D&D はじめの一歩3.5
----日本語版発売記念 初心者向け企画----
文責:石川 050312
かつて我々がD&Dと呼んでいたものは、赤や青の薄べったい箱に入った、新和という会社が邦訳したルールのことだった。薄べったい箱に入ったルールは当然ながら箱より遥かに薄く、中綴じで100ページにも満たないもので、箱を振ればからからと音がするような代物だった。にもかかわらず1箱4800円という値がついたそれは、購入に踏み切るまでに大いなる決断を購入者に強いたものである。
薄っぺらなくせに異常に高価なこの冊子どもは、しかしあたかも魔法のアイテムであるかのように当時小学生であった我々に世界をまたにかけたファンタジックな冒険の日々と、ついでにレゲーアーマーとかワォーハンマーとか10レベル郷土魔法使いとかを提供してくれた。
当時、ようやくRPGというものを知り始めた我々にとってこうまで自由度が高く、それでいて詳細にルールの決められたゲームはなく、プレイヤーたちは時に足りないルールをつけたし、また時に改変しながら「自分だけのD&D」を作り上げ楽しんでいった。時々「自分だけ」過ぎてワケがわからなくなったりしながらも、D&Dは我々の心に大いなる金字塔を打ち立てたのである。
時は流れ、AD&D2ndの悲しい失敗のために新和がD&Dの出版から手を引いて、D&Dの日本語展開は終わったものと考えられていた。しかし、D&Dの妖しい魅力にとりつかれた濃ゆいマニヤたちはものすごく時期はずれなときにメディアワークスから出た文庫版D&Dを横目で見つつamazonや輸入ゲームショップで買ったD&D3eを辞書片手に翻訳し、ほそぼそとプレイしていた。
しかし。そう、しかしである。
2002年12月、決して出版されることはないであろうと言われ続けたD&D第三版日本語版が、ホビージャパン社より突如としてリリースされた。「コアルール3冊出したら終わりだろ」という冷淡なマニヤたちの声もなんのその、快調に売り上げを伸ばしたHJは世のプレイヤーたちの要望に答える形で「武器・装備ガイド」や「不浄なる暗黒の書」、「フォーゴトンレルム・ワールドガイド」と言った、古参言うところのマストアイテムが次々と出版され、そして2005年1月29日、ついに3eのアッパーバージョンであるD&D3.5版が日本語訳されるに至ったのである。
ここに断言するが、D&D3.5eは非常に良く出来たシステムであり、またプレイの根幹となるプレイヤーズハンドブック(PHB)は非常に良くできたルールブックである。
私は拙稿にて、かつて3eを評して「ルールは章ごとにきちんとまとめられ、用語集や索引などで検索性を高める工夫もしてある。判定など、理解しにくいところではクラスクやリダが(時には体を張って)例を示してくれるし、すでに説明されたことであっても重要だと思われるルールは繰り返し説明されている(にわかに信じがたいことかもしれないが、これは古くからのD&D/AD&Dプレイヤーにとっては画期的なことなのだ!)。」と述べた。しかし、3.5eは明らかにそれを上回る完成度を誇っている。
しかしながらルール体系がしっかりしているがゆえの弊害と言うべきか、D&D3.5eは初心者にとって敷居の高いゲームである。様々な場合に対応したルールが存在しているがためにそのルールは膨大で、初めてのプレイヤーはどこから読み始めればいいのか、どうしてプレイすればよいのかもわからないかもしれない。
一方で、D&Dは定型的な処理をする点が多く、一度慣れてしまいさえすればスピーディーにプレイすることが可能になる。しかし「慣れる」ためには経験者のガイドや、少なくとも一緒にプレイしてくれる人たちが必要になるわけだが、初心者が見知らぬ人と初めてのゲームをプレイするというのもなかなか勇気が必要なものだ。
そこで、本稿では3.5eをこれからはじめようという人たちの「はじめの一歩」をサポートしたい。
ルールブックの読み方、キャラクターの作り方、プレイを楽にする工夫など、自分が今までプレイしてきたなかで得られたことを踏み台に、一人でも多くのプレイヤーにD&Dを楽しめるようになって欲しい。
そして楽しめるようになったなら、今度は友人を誘ってコンベンションに向かって欲しい。
そうして一人でもD&Dプレイヤーを増やすことができなたなら、私にとって望外の喜びである。
さあ、歩き出そう!
三歩目 役割とクラスを選ぼう
四歩目 基本クラスの一 ファイター
五歩目 基本クラスの二 ローグ
六歩目 基本クラスの三 クレリック
七歩目 基本クラスの四 ウィザード
番外編 キャラクターを作ろう!
(キャラクターシートへの記入法詳解)
Hall of Champions
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