はじめの一歩 3.5e
3歩目:役割とクラスを選ぼう
                           文責:石川 050427



 さて、2歩目でどんな種族とクラスがあるかを紹介したわけだが、突然この中から好きなのを選べといわれても、たいていの人は困ってしまうばかりだろう。
 そりゃそうだ。PHBだけでも
7種族11クラスがあるのだ。
 その組み合わせは単純計算で77種類。
 君のやりたいクラスや種族がすでに決まってて
「それ以外のキャラでやらなきゃいけないんならD&Dなんて二度とやらないっていうかこの場で割腹して果てる所存。さあ!さあ!と白装束でDMに迫るとかいうなら話は別だが、おそらく95%(*1)くらいの人はそこまで激しいモチベーションを持ち合わせていない。
 たいていの人は「で、ボク何したらいいの?」的な状態にあると思われる。

 そこで本稿ではどんな基準でクラスを選べばよいか、またどんなキャラにすればよいかについて述べてみよう。


 まず最初に、もし君が自分のPCが一人で冒険できると考えているとか、PCの性格を「一匹狼的な自信にあふれた男・他人とは協力しない」として設定しているなら、君は次のキャラクターの準備をしておくべきだ(*2)。君のキャラはダンジョンに入ってまもなくこの世から姿を消すことになるだろうし、次のキャラクターを作っている間他のプレイヤーを待たせておかなくてはならなくなるからだ。

 断言するが、
D&Dというゲームにおいては(少なくとも序盤は)一人での冒険などありえない

 なぜか?
 一人のPCが取りうる能力が、ごく限定されたものだからである。

「自分の持っていない能力を持つ他のPCと協力できなければ生き残れない」のがD&Dである、と言いかえてもいいだろう。
 たとえば前衛は攻撃力はあるが、傷を癒すことも扉の鍵を壊すことも、非実体の敵を攻撃することもできない。秘術呪文使いたちは前衛には手におえない相手や状況を打破できる呪文を行使できる代わりにその肉体は脆弱で、荒事に向いているとはとてもではないが言えないだろう。

 もちろん、多少成長した後ならマルチクラスによって「万能キャラクター」を作成し、一人で冒険することも不可能だとは言わない。しかし、そうしたやり方で生まれたPCは、長所の多くをスポイルされた中途半端なキャラに成り下がることが大半である。ウィザード1/ファイター1/ローグ1/クレリック1のPCを考えてみるといい。鎧は着れず、一人であるがゆえに挟撃も出来ず、キャラクターレベルは4なのに術者レベルは1なのだ。

 ゆえに、PCは他のPCとパーティを組む必要がある。いや、むしろ
『パーティを組むことを前提としてPCを作る必要がある』と言うべきか。
 
そこで、ここではパーティにおける役割をタイプに分けて紹介してみよう。


パーティでの役割

[戦闘能力]

:ダメージディーラー。敵陣を切り開く。攻撃力重視。
:壁。敵の進撃を阻止。防御力・ストップパワー重視。
ガーディアン:キュア・補助呪文要員。
シューター:遠距離攻撃。秘術呪文使いとかアーチャー。


[非戦闘能力]
:感覚系の能力。索敵や周辺警戒のための能力・移動も含む
スペシャリスト:冒険技術要員。〈知識〉とかも含む。
:交渉要員。
魔道士:魔法的解決手段。

 パーティにはこれらの役割につくものが少なくとも一人ずつ(役割は一人何役かで重複していてもかまわない。特に[戦闘能力]と[非戦闘能力]の重複するキャラクターを作るのは難しくないだろう)いるのが望ましい。
 なお、●印のついた役割は必須、・印のキャラはいなきゃいないで何とかなるもの(むろんいるに越したことはないが)と考えてよい。なので人数不足の時にはまず●印のクラスから埋める方向で。

 ここにあげた8つの役割は、基本的にはクラスを各プレイヤーに割り振る形で分担するのが簡単だろう。それぞれのクラスは冒険のための”得意技”を持っており、その技の多くはここで分類した役割に生かすことができる。

 前章に示したように3.5eにはPHBには7つの種族と11のクラスが掲載されており、「この中から自由に選んでいいよ」といわれてもなかなか出来るものではない。選択肢が多すぎて途方にくれること必定である。「究極の自由は究極の不自由」というやつだ。

 ここではまず「基本クラス」と呼ばれる4つのクラスのキャラクターとその運用についてご紹介しよう。
これらのクラスはいずれも「冒険者パーティに必要な能力」を有しており、また複雑な能力が少ないため扱いも比較的簡単なのだ。
[基本クラス]
ファイター
 パーティの防波堤にして剣。いわゆる前衛クラス。殺到してくる敵を体を張って受け止め、敵陣を切り崩すのが役割。
ローグ
 〈聞き耳〉 や〈視認〉 で危険をいち早く察知し、〈解錠〉や〈装置無力化〉で障害を除く冒険技術者。また特定状況で発揮できる急所攻撃は敵に大きな打撃を与えうる。
クレリック
 神聖魔法の使い手にして回復と補助のエキスパート。呪文回数も多く、装備もそれなりに重装が可能な万能型。
ウィザード
 秘術魔法
の使い手。直接攻撃力としてはもちろん、移動や探索などに大きな力を発揮する。また広い知識は遭遇した相手への対応力を高めるだろう。

 もちろん、君がプレイに慣れ、ルールを十分使いこなせるようになったなら、これ以外のクラスに挑戦しても良い。ただ、他のクラスはこれらのクラスに比べて制限・制約があったり、考えなければならないことが多かったりと少しばかり面倒なのだ。出来ればこれらのクラスで基本的な動かし方やプレイングを学んでからにしたほうが良いと思う。
 
 同様に、プレイに慣れてきたら、自分のやりたいキャラクターをやりたい、と主張してもよい。
 しかしその折にはぜひ思い出してほしい。D&D、いや、TRPGというゲームは人と人が遊ぶものであるということを。人と人とで遊ぶものである以上、一緒に遊んでくれる相手を尊重しないのは遊び方としては下の下である。せめて「自分のキャラがパーティにできる貢献」について語ることができるくらいまでしっかり構築してほしい。君の失敗はその卓全員の失敗になってしまうことだってあるのだから。




四歩目 基本クラスその1 ファイター

もどる

 







*1:
 ”日本人”種族修正値混み。非日本人は1%で発生。ダメージはショートソードで自分に「とどめの一撃」扱い。ちなみにこのダメージでは死ねないレベルに達したサムライは介錯人を付ける。ロクガンの高名なエピックサムライ”タクミ−ノカミ−アサノ”は自身のハラキリの際6人の介錯人を必要としたという。
*2:
 個人的にはプレイに慣れないうちはキャラの性格とかって無理して決めとく必要ねーよな、とか思う。D&Dにはすでに「属性」ってキャラの指針があるんだし。「性格決めとくと迷ったときの指針になっていい」って人もいるけど、それよりは「決めた性格に振り回される人」とか「決めた性格に縛られる人」のほうが多いように見えるんだよな。……俺とか。