はじめの一歩3.5 7歩目  
  ウィザード編

 050413 骰拾陸 & いしかわ

 





 さて、いよいよ魔法使い編である。

 魔法使いといえば旧来のD&D/AD&Dでも最強のクラス----かつては
マジックユーザーというひねりのかけらもない名前で呼ばれていた----として勇名を馳せていたものだが、3.5eでもその威名は衰えていない。
 鎧を着れず、Hpは低く、セーヴは頑健、反射ともに低い。武器習熟もなく、技能ポイントも少ない、身体能力的には全クラス中でも最弱に近い彼らが、何故そうした強固なる地位を得ることができたのか?


 それは、彼らが魔法--ルール用語で言うところの
秘術呪文--を、もっともよく使いこなすことができるクラスだからに他ならない。
 まあそりゃそうだ。魔法使いってのに
得意技は杖と長剣での攻撃で、騎乗して崖を駆け下りつつ攻撃するのが大好きですってんじゃ厨丸出しってもんさ。なあ某超有名ファンタジー


 高レベルに成長した彼らウィザードは巨大なドラゴンも一撃で屠り去る破壊の呪文を放ち、検知・捜索系呪文で砂漠の砂に埋もれた針一本を探しだし、テレポートをはじめとする移動呪文で冒険中もっとも多くの時間を使うであろう、目的地への移動時間を限りなく0に近づける。

 そう、魔法使いは
戦闘力においてのみならず、汎用性においても他クラスよりはるかに高いポテンシャルを有している

 



 
高レベルまで生き延びられればな





 まあ、要するに、
人生ってな楽じゃないってことさ。
 彼らは確かに上記したようなすばらしい力を得ることができる
可能性を持っているが、「一日に決まった回数の呪文しか使えない」「鎧(など)を着ることができないため、ACを上げるのは魔法頼り」などといった欠点もあわせて有している。
 そう、つまりかつてマジックユーザー達が言われていた「呪文数の少ない低レベルでは生き残りに必死」「呪文の選択をミスると一日でくの坊」「呪文の使用タイミングを間違えると(以下略)」などといった『魔法使いの悲しみ』を、未だ色濃く受け継いでいるのである。
 そればかりか「死ににくくなった」と評判の3e-3.5eシステムの中でも最も低いhp最も低い頑健/反射セーヴをキープし続け、しかも鎧を着ることも盾を持つこともできない。
 つまりはザコ中のザコとも言えるコボルドやオークの一撃を受けただけで
かんたんに死ねるという、長所を補ってあまりある短所をも相変わらず併せ持っているのだ。ああシューティングゲーム人生。

 
 ぶっちゃけた話、序盤におけるウィザードの役割といえば
「生き延びること」、そして「パーティの邪魔にならないようにすること」の2点につきると言っても過言ではない。
 「パーティの役に立つ」事ももちろん不可能ではないが、それは補助的な役割であったり、あるいはいくつかの偶然に恵まれた時になしえることであって、
序盤でウィザード大活躍!なんて場面はそうそうお目にかかれるものではない。

 だがしかし、ウィザードとしての長所・短所をしっかりと見つめ、自分のなすべき事がなんであるかをよく考えて準備し、また行動することで、君のウィザードが活躍できる可能性は飛躍的に----とまでは言えないものの、少なくともパーティメンバーにお荷物といわれずに済むくらいには働くことができるようになるはずだ。

 そして雌伏の時--低レベル帯を抜け、5レベルを超えたあたりから、君の真価が発揮される。
 ウィザードにしかできない仕事が格段に増え、パーティに不可欠な存在として一目置かれるようになるのだ。
 そう、
映画版ドラえもんにおけるのび太のように(ああ、普段のひ弱さとかもひっくるめて、まったくそっくりだよ、彼らは!)。


では、ウィザードはどんな長所と欠点を持ち、またどんなことができるのか。
まずはその辺から押さえつつ、キャラクターの成り立ちから考えてみよう。





○○ウィザードの作り方

 まず、ウイザードの最大の武器っていうかウィザードの全てとも言える秘術呪文の使用能力は【知力】によって左右される。1日の使用回数、キャラ作成時のボーナススペル数、使用できる最高呪文レベル、そして自分の投射する呪文のセーヴ難易度などは、全てを【知力】値によって決定される。特に最後の一点は重要で、いかに強力な呪文でもセーヴを通されるととたんに色を失うことは言うまでもない。従って、【知力】は高いほど良い、ということになる。少ない技能ポイントも知力ボーナスで補うことができるしね。
 しかし前書きでも述べたように、ウィザードの体力は脆弱であり、序盤はちょっと敵に囲まれただけでホントによく死ぬ。また中盤以降になってもウィザードがよけにくい反射セーヴの呪文を食らったり(Hpとセーヴに秀で、戦場を縦横無尽に飛び回る前衛でなく、後ろに固まってる後衛にライトニング・ボルトをブチ込もうなんてのはよく見る光景だ)、大いなる運命のイタズラ----世間ではクリティカルヒットなどと呼ぶこともあるようだ----によって命を落とすこともある(次元界を行き来し奇怪な生き物を従者に従えるまでになったウィザードが、一介の3レベル術者のスコーチング・レイのクリティカルで即死する、なんて言うのは3.5eではよく見られる光景である。……正直スマンかった*11)。よって、低いhpを補うためにも何とかして【耐久力】を14、贅沢を言えば16は工面したい。そうすれば最初のhpは6(7)ポイント。オークはともかく、とりあえずコボルドの一撃や一本のマジックミサイルで死んでしまう「シューティングゲーム状態」からは脱却できる。

 ぶっちゃけ【知力】は合計19あれば最終レベルである9レベル呪文を使用することもできるし、ボーナススペルだって十分もらえる。だったらHPや〈精神集中〉、頑健セーヴに関わる【耐久力】を上げて、とにかく死にやすい序盤を乗り切る、というのは充分アリな戦術だろう。

 ただ「呪文がよけられやすいウィザード」というのもやってると結構切ないものがある。また、光線(遠隔接触ロールを要求される)呪文が強力になった3.5eにおいては、命中判定に用いられる【敏捷力】が低いのは少々ツライものがあるし、直接戦闘には関わらないとしてもある程度の【筋力】がないと荷物を運べずに往生する羽目に陥る。
 よって優先順位的には
【知力】≧【耐久力】>【敏捷力】>【筋力】>【判断力】【魅力】
 という感じになるが、実際には最後の2つ以外はうかつには切れない、というのが現実だ。

 種族については非常に選択に迷う部分が多い。

ウィザードといえばエルフというイメージがあるが、エルフは【敏捷力】 に+2され、ウィザードが適性クラスとされているほか、弓(など)の《武器習熟》 を有しているため「呪文が切れたらやることがないよー」という状態が脱却しやすい。しかし、【耐久力】に-2のペナルティを負うという巨大な十字架を背負っているため、なかなか選ぶ勇気がわいてこないといったあたりが正直なところ。だって【耐久力】-2って、レベル毎のHPが-1になるんだよ?! 

 よって、種族的な特徴を生かす、という意味ではノームならびにハーフリングのほうがウィザードには好適といえる。前者は【耐久力】、後者は【敏捷力】に+2されるし、両者とも小型サイズクリーチャーなのでACに+1のボーナスが得られる。また、前線に出ることも少なく、仲間に接触呪文をかける事も少ないので移動距離の短さ、武器の小ささなどを気にすることも無い上、ハーフリングは全てのセーヴに+1、投擲武器に+1などの特性をもっている。

 また、例によって人間を選択し、《特技》をひとつ多くもらうという無難な選択もある。人間なら技能ポイントもレベル毎1ポイント多くもらえるし、3.5eでは特技の質・量とも3eより大幅増強されているので悪くない選択といえる(*3)。

 

 ちなみにウィザードと言えば「系統の専門化」が可能であるが、3.5eにおいてはほとんど「無い」選択であるとされている。理由はいろいろあるが、「2つの系統が使えなくなるのはつらすぎる」というのが最大の理由だ(そしてそれ以上の理由は必要ないように思われる)。「毎レベル呪文を1発もらえる」などの特典もあるので、単発セッションとかショートキャンペーンだとわかっているなら無いこともない、という選択だが、それでも君が2人目の秘術使いだとでも言うのでない限りは選択しない方が無難だろう。
 

 さて、技能であるが、ウィザードは前述の通りレベル毎2ポイントの技能ポイントしか得られない。しかし、技能ポイントには【知力】ボーナス分が加算されるため、結果として+2~+3ポイントくらいの加算が見込めるため、ファイターよりは小マシといえなくなはい。
 そこで、修得に際して考慮に入れるべきは<精神集中>と<呪文学>である。前者は呪文発動時の様々な障害を無視したり、敵に接近されたときや組み付き攻撃されたときに呪文の防御的発動で難を逃れるために必須のものである。後者は敵の唱えた呪文が何かを判別したり、ディテクト・マジックで見たオーラがいかなるものであるかを判定するのに頻繁に使用される(後述)。
 次に重要なのは、3.5eにおいて大幅な変更の加えられた〈知識〉であろう。これまでは遭遇した相手についてはPCが自分の知識で相手の種族や特性、能力などを判断することが許されていたが、3.5eからは相手がどんな生き物であるかは〈知識〉に基づく判定を必要とされるようになった。その上判定値は[そのクリーチャーのHD+10]と高く、危険な特殊能力を持つ敵(そして大半の敵は危険な特殊能力を持っている)が判別できずに突っ込んで死ぬ、といった事態を避けるためにもパーティ内での〈知識〉の分担必須なものとなった。特に〈知識〉 はクラス技能となるクラスが少ないため、勢いウィザードにその責がかかることとなる(*4)。〈知識〉は未習得時にはチェックを試みることすらできない技能(*10)なので、せめて1ポイントでいいから全ての〈知識〉 を得ておく方がいいだろうが、それでもなお選ばなければならなくなるようなら、ツラい敵の多く含まれていい〈知識〉を中心に修得しておくといいだろう。たとえば〈知識(次元界)〉で判別できる来訪者はとにかく別次元の相手なら誰でも判定可能なので非常に頻繁に用いられる。また人造・竜・魔獣がわかる〈知識(神秘学)〉や異形・粘体のわかる〈知識(ダンジョン探検)〉などが「わからなかったときツラい」という意味で重要な気がする。
 その他、敵に気づくための〈視認〉 〈聞き耳〉 、(小型種族なら)〈隠れ身〉などが候補に挙げられるだろうか。

 

 《特技》であるが、ウィザードは5lv毎にボーナス《特技》を得られる。というとずいぶん選び甲斐がありそうだが、実は呪文修正特技かアイテム作成特技か《呪文体得》 のどれかしか選べない。よって《招来クリーチャー強化》 などといった「なんでコレ一般特技よどう考えてもスペルキャスター用じゃん」なんて特技の習得が出来ないというなにやらフシギなカンジになっている。
 とはいえ、ボーナスで浮いた特技分でいろいろ選ぶことは可能であろう。そこで一般的なところとしては、まず《イニシアチブ強化》が上げられる。スリープファイヤーボールなどの範囲呪文は敵味方が入り混じる前に投射できたほうが有効だし、ヘイストなどの補助呪文を前衛を待たせることなく使用できるのは有益である。
 また、《技能熟練(〈精神集中〉 )》も悪くない。かつては 《戦闘発動》が良いとされていたが、戦闘中の防御的発動の〈精神集中〉 チェックに+4ボーナスを与えてくれるだけの《戦闘発動》 より、常に+3ボーナスを与えてくれる《技能熟練》 のほうがおトク感が強いような気がする。

 「攻撃は最大の防御」を実践するため《近距離射撃》を修得する(命判とダメージにそれぞれ+1されるのはかなりオイシイ)、あるいは光線(遠隔接触攻撃)を《武器熟練》して命中率を上げておく、というのもアリかも知れない(3.5eにおける光線呪文の強化については呪文解説に詳しいのでそちらを参照のこと)。 

  また、短期的な視点だけで見るなら(特に低レベルキャラで単発で遊ぼう、という時なら)《追加hp》も選択肢に入れてしまっても良いと思う。ひ弱な最初の数レベル(*1)を生き残る手段として「とりあえずhp+3」というのはそんなに悪い選択ではないだろう(なんせ多くのウィザードにとって、hpの50%以上の増になるのだ!)。 


 さて、呪文の選択だが、ウィザードは1レベル修得した時点で呪文書を一冊持っており、そこには0レベル呪文(キャントリップともいう)全てと、3+【知力】ボーナスの1レベル呪文が書き込まれている。また、レベルアップの度に2つずつ新しい呪文をただで記入できるので忘れないように。

 加えて、ウィザードは巻物(スクロール)から自分の呪文書に呪文を書き写すことで、自分の呪文のレパートリーを増やすことができる。ソーサラーよりウィザードが圧倒的に優位であるとされる理由の全てがここにある。もっとも呪文レベルごとに呪文書1ページ分の費用(1呪文レベルに付き100gp)がかかるから、序盤ではおいそれと増やすこともできないのだが。

 ともあれ、【知力】ボーナスが+3とすれば、君のウィザードは6つの1レベル呪文を選択して冒険をはじめられるわけだ。
 

 では、どんな呪文を選択すればよいのだろうか?

 この疑問には、クレリック編に引き続き骰拾陸氏が解説してくれているのでご紹介しよう。
 ここで紹介されている呪文は筆者骰拾陸氏の経験がみっしりと詰めこまれている。
 そして、単に記事を読むだけでなく、PHBの呪文の詳細を穴が開くほど繰り返し読んで欲しい。そうやって呪文ひとつひとつを熟知することこそが強力なウィザードを作るのだから。

 さあ、読みやがれ!


呪文選択:ウィザード編
by 骰拾陸 + いしかわ

 

 ちなみに君のウィザードは、1日にp24・表3-3に記された呪文数に加え、【知力】値に応じてボーナス呪文をもらえる(ちなみにボーナス呪文数はp9参照)。ただし、呪文を憶え直すには前夜8時間の休息をとらねばならず、かつ使いたい呪文は前もって準備せねばならない。つまり、一度に持って行ける呪文の数と種類は1日のはじめに決められてしまうと言うことだ。準備についてはp175に「全ての呪文を準備するなら1時間、一部だけなら15分以上」と規定されている。よって、もし呪文の判断に迷い、かつ準備に15分かかっても良い呪文があるのならあえて呪文を準備せず、スロットをあけたままにしておき、いざと言うときに改めて準備する、という手もある。どうせ1戦闘内で使える呪文数など知れたものだ。だったらスパイダークライムウォーターブリージングなどの「無いとものすごく困る(時がある)呪文」のための呪文スロットをあけておくのも良い。

 ただし、いつも準備のための時間と準備できる静かな空間が用意できるわけではないので無理はしないように! 


 限られた呪文を効果的に使ってこそのウィザードである。いつでもこれから戦う相手や状況にあわせた呪文が選択できるよう、自分の持っている呪文の性質をよく学んでおこう。

 




○○ウィザードの動かし方

 さて、キャラクターができたところで、今度はウィザードの動かし方を考えよう。

 前書きに書いたように、ウィザードは強力な魔法を使いこなせるものの、身体能力が決定的に低い。ぶっちゃけ「魔法をぬかしたらコモナー」と言われちゃうくらい基本性能が低いのである。
 ヒットダイスは全クラス最低レベルのd4(これはコモナーと同じだ。やる気あんのか貴様)。呪文の失敗確率(後述)を避けるために鎧も着れない(着ようと思っても習熟もない)し、セーヴは意志セーヴのみ良好であり、これはつまり頑健ならびに反射セーヴがいつまでたっても上がらないことを意味している。
 つまり、ウィザードはあらゆる冒険者クラスのなかでもっとも脆弱かつ打たれ弱いクラスなのだ。少なくとも中級レベルに達するくらいまではhpもACもパーティ最下位の座をほしいままにするだろうし、ファイヤーボールを撃てるようになった頃には敵のファイヤーボールで一撃で焼き殺されたりしている自分に気がつくはずだ。特にセーヴの低さはあとになるほど致命的な魔法が増加するという意味において)堪えてくる。ローグの身かわしも、ファイターのhpもない君たちにとって、反射/頑健セーヴはまさに鬼門なのだ。もちろん、通常の攻撃にも弱いのは言うまでもない。そりゃそうだ、鎧を一切着れないんだから。おまけにhpも低いもんだから弓兵に狙われたらひとたまりもないし、レンジャーの二刀流攻撃で倒れるという屈辱的な場面にも出くわしかねない。

 こうした欠点をどう埋めるかがウィザードが生き残るカギとなる。
 一体どうすればよいのだろうか?

 解決策は2つ。
 一つは「作り方」でも触れたようにヒットポイントを何とか増やすことである。ACが低かろうがセーヴが低かろうが、とりあえずhpさえ残ってれば死なずに済む。だったら単純にhpを増やせば良いではないか(*2)。
 

 もう一つの解決策は、ACが低かろうがセーブが低かろうが、敵の攻撃の一切を無効化するという究極的な手段である。
 敵の手の届く位置にいない
 これにつきる。

 いや、何も冗談で言っているわけではない。
 ”呪文編”でも骰拾陸氏が触れているように、DGDM氏いうところの「ウィザードは、呪文選び三年、立ち位置八年」なのである。
 いくらマジックアイテムや魔法を駆使したところで身を守る手段など限られている。特にウィザードが自前で上げられるACやセーヴなど、同レベルのキャラクターにだって容易く破られてしまうくらいの強化しかできない脆弱なものだ。
 しかし、どんな強力な敵の攻撃も攻撃可能範囲に近寄らず、突撃路を避けていれば攻撃されることはない。
 そもそも、敵に見つからず、標的にならぬよう振る舞えば、すなわち攻撃の的にさえならなければACもセーヴも関係ないではないか。
 常に仲間と敵の位置関係と敵の能力に気を配り、時には物陰に隠れ、時にはファイターを身代わりにして敵の手から逃れる。これこそがウィザードの君にできる最大の防御術 なのである。
 そして秘術魔法には、そうした行動を容易にする呪文が無数にある。
 たとえば相手が飛ばない・飛び道具のない相手(動物など)なら、レヴィテートスパイダークライムだって充分な防御手段になるし、敵に見つからない事を旨とするならインヴィジビリティばかりでなく、単に敵から逃げると言うだけならオブスキュアリング・ミストだって有効だ。また「敵に狙われない」ことを狙うならディスガイズ・セルフ、あるいは同呪文の能力を常動させるハット・オヴ・ディスガイズでローグっぽいかっこうになっておくだけで、敵ウィザードは君に反射セーヴを強いる呪文を打つのをためらうだろう。・・・まあ、たぶんね!
 さらに、ACが上げられないのなら「相手の攻撃を無かったこと」にする呪文で身を守るという手もある。ミラー・イメージブラー、前述のインヴィジビリティもこうした手段に数えられるだろう。呪文の詳細に関しては骰拾陸氏が詳細に解説してくれているのでそちらに譲るが、秘術呪文にはちょっとした知恵で大きな効果を得られるものが無数にあるということを肝に銘じておいて欲しい。その知恵と機転こそが君と、そしてパーティの命運を左右するのだから。

 
 しかし、どんなにがんばってみても思いも寄らぬ方法で接近されたり、あるいは単に奇襲を受けてしまうような場合だってあるだろう。そんなとき、相手が獣やモンクだったりすると、あっという間に組み付きに持ち込まれて、いいようにもて遊ばれてしまうことだってあり得る。また広範囲の嫌がらせ呪文には呪文の発動を邪魔したり、行動そのものを阻害するようなものだって含まれている。

 では、そうした難を逃れるためには一体何をすればよいのだろうか。何を

 生き残りをかけた君がすべきことは、何をおいてもルールの把握である。
 ただでさえ生命力の弱い魔法使いの命を守るのは、あふれんばかりの知恵しかない。いま何をされて、どんな判定が必要になっているかがわからなければそれに対する対策も立てられない。
 それもキャラクターの、というよりプレイヤーの知恵こそが重要となる。間抜けな行動による失敗を「こいつはこういうキャラだから」言い訳するのはもう止めて、魔法使いらしい行動を取れるよう精進しよう。

 

 まず確認して欲しいのは“精神集中”に関するルールだ(p138、技能はp74)
 術者は呪文の発動中ダメージを受けたり、敵からの呪文のセーヴに失敗したりすると、〈精神集中〉技能チェックを強いられ、失敗すると、その呪文は効果を発揮することなく消散してしまう(!)。つまり、術者は攻撃を受ける危険のある場所で呪文を唱えてはいけない、ということだ(まあ、そうしたくてもできないなんて状況はざらにあるのだが)。まあ、そういう場所だと機会攻撃受けることも多いしね。
 おっと、そんなひどい、なんて言わないでくれよ。昔はラウンドの最初に行動宣告して呪文を唱えるまでの間に集中を乱されたら無条件で呪文が消散してたんだから。それに比べたら天国だぜ。いやホント。

  さて、こうした「発動中のダメージ」の大半は機会攻撃あるいは敵の待機攻撃によってもたらされる。しかし、機会攻撃は呪文の投射時に、防御的発動(PHBp138)を行うことで回避できる。すなわち、[15+呪文レベル]の〈精神集中〉チェックに成功すれば、機会攻撃を誘発することなく呪文を投射できるのである(ただしチェックに失敗すればその場で呪文は消散してしまうので、技能ランクが低いうちは無理に行わないほうが賢明かもしれない)。
 一方、敵の待機攻撃を防ぐ方法はない。攻撃されない場所(充分距離をとるとか、ファイターの後ろとか)にいない限り、相手の待機を打ち破る方法はないのである。時には相手の待機をスカすため、呪文の投射を止めてしまうのも手だが、それが相手の思うツボ、なんてこともありうるので、その相手の移動が届かない距離まで移動して呪文を唱えるか、あるいは「殴られても〈精神集中〉に成功すればいいのだ!」と大きな声で叫びながらその場で投射してしまう、という手もある。

いずれにせよ、発動中にダメージを受けた場合には、[10+受けたダメージ+呪文レベル]の〈精神集中〉に成功しなければ呪文は消散する。高レベルならともかく、低レベルではこれだけの達成値を出すのはなかなか難しい。
 極力攻撃を受けない位置で呪文を唱えるよう心がけよう。

 

それから、使う機会は少ないが“呪文相殺”について触れておこう。呪文相殺とは、相手の呪文を食い止めるための手段のひとつで、相手が唱えようとしている呪文と同じ呪文を消費するかわりに敵の呪文を打ち消す行動である。
 これを行うには
  1)自分の手番に誰の呪文を打ち消すかを決めて“待機”
  2)相手が呪文を唱えたら、その呪文を判別するための〈呪文学〉チェック(DC15+呪文レベル)
  3)呪文相殺

と非常に条件が厳しい。
 しかし、〈呪文学〉判定さえ成功すれば(そしてその呪文を持っていれば(*5))相手の呪文を確実に消去できるのは大きい。アクション分損なような気もしてしまうのだが、実際にはファイヤーボールをお互い撃ちあう(=こっちも向こうも一発食らう)より、ファイヤーボールを食らわない方がリソース消耗が少なくて済む事も少なくない。てゆうか一発食らうとガチで死にかける可能性があるので強烈な攻撃魔法は食らいたくないというのが正直なところだったりするのだが。
 また、相手の唱える呪文を持っていなくても、その大半はディスペル・マジックで代用できる(しかもディスペル・マジックなら〈呪文学〉の判定さえ必要ない!)。頻繁に使う類のものではないが、「できる」ということをしっかり頭に入れておくといいだろう(*6)。


 そのほか、チェックしておくと良い戦闘行動としては”近接戦闘中の敵に遠隔攻撃を行う”(p138)、”戦闘における接触呪文”(p139)、”防御専念”(p140)、”遮蔽”(p148)、”視認困難”(p150)、”行動遅延”や”待機”(p158)による呪文投射タイミングの調整などがある。特に光線系呪文を使う人はこれらの行動を頻繁に取ることになるだろう。


 最後に。

 ウィザードである君は、転職についてあれこれ考える必要はない。下手により道をするより、そのまま秘術魔法の研鑽を積み、より高レベルの呪文が使えるようになることこそ、君を強力にする道なのだ。
 ウィザードの術者レベル1の差はダイスをいっぱい振れる呪文を使ったり、呪文を打ち消されたりしたときにものすごくよくわかるものだ。 あと呪文抵抗を持つ敵と対峙したときには「なんであのとき俺はほかのクラスに寄り道したりしたんだろう、俺のバカ!バカ!」と自分の頭を何度も殴りながらバロール様の炎の剣の餌食になる自分の未来予想図が脳裏をよぎってしまうだろう。
 そんな悲惨な事にならぬためにも、ウィザードはひたすら魔法の研究に邁進して欲しい。




○○装備と買い物

 

さて、前述のように、魔法使いは一般に軽装を強いられる。これには

1)   呪文の失敗確率:一般にACの高い鎧ほど、動作要素を必要とする秘術呪文の投射を邪魔する(*7)

2)   所持重量制限:ふつうの魔法使いは【筋力】を高く設定しない。加えて、ウィザードはクソ重い呪文書を持ち運ばねばならない

3)   デザイナーの陰謀魔法使いは物理的に弱くあるべきであるとするデザイナーの信念(いや、むしろ信仰と呼ぶべきか?)によって、魔法使いはキャラを作った時点では鎧や盾に習熟していない

などの理由がある。

 

特に1)は深刻だ。

例えばACが2しか上がらないレザーアーマーでさえ、呪文の失敗確率が10%もある。つまり、レザーアーマーを着ているだけで、10回に1回は呪文の投射に失敗するのだ!
 呪文失敗確率はマジックアイテムをもってしても変化しない(*8)ため、結局のところ魔法使いは鎧の類を一切身につけないのが普通である。
 また、一部のアイテムによってACを上げることもできるが、それらの多くは非常に高価で、たとえばリングオヴプロテクションでチェイン・シャツのAC(+4)を稼ごうと思えば32000gpもの大金が必要となる。だったら無理してACを稼ごうとせず、ほかのリソースに資金を割いた方が賢いというものだ。
 よって、魔法使いは基本的にパーティの戦闘系クラスに守ってもらう必要があ。そしてしっかり守ってもらうためにも、積極的に「自分がパーティに役立つ存在」であることをアピールする必要があるというわけだ。

なに、レベルが上がりさえすれば、君の地位は大いに向上する。体力にものをいわせてふんぞり返ってる腕自慢の前衛系クラスの連中だって、じきに哀れみを誘う声で君の援護呪文を請う様になる。今後「2階級特進」以外に地位の向上が見込めないファイターやレンジャーたちと、輝ける未来の待つ魔法使いとでは所詮格が違うのだ。そのことを肝に銘じつつ、今は屈辱に甘んじながら、おだて、あるいはなだめすかしてかけがえない君の生命を守らせてやれ。
 近い将来、彼らの生殺与奪権は君が握ることになるのだから。 

 

 ちなみに武器は飛び道具(特に【筋力】に関係なくそれなりのダメージが与えられるクロスボウ)がいいだろう。敵に接近する危険を冒さず、前衛たちの後ろから攻撃できる利点は何物にも代えがたい。魔法使いが《特技》を消費せずに使用できる飛び道具はごくわずかであるものの、ないよりはあったほうがいいのは言うまでもない。ひまがあるとキャラクターシートの空きスペースをイラストで埋めてしまう癖のある君は、君の性的嗜好が他のプレイヤーに明らかになってヒかれてしまう前に、戦闘中にできることを見つけておくべきである。また、ロッドやワンドのためにあえて手を空けておく、というのも一つの選択だろう(後述)。

 

 そんなわけで魔法使いは装備にさほど金がかからない傾向にある。

 では、浮いた金はどこに使うべきか?答えはすでに決まっている。スクロールとワンドである。

 スクロールはそれを読むことで一回だけ呪文を投射できるようになる、いわば使い捨てのアイテムである。しかし、たとえ自分が学んだことのない呪文であっても、そして準備していない呪文でも投射できるというのは非常に心強い。なんせ(チェックが必要になるものの)本来レベルが足りなくて唱えられない呪文でさえ、スクロールから投射することが可能なのだ。自分が知らない呪文はもちろんのこと、「めったに使わないけど必要なときにないと困る呪文」をスクロールとして持ち運ぶことで、君はより応用範囲の広い魔法使いとして活動できる。

 いっぽうワンドはスクロールと違い、通常50回分のチャージを有している。1レベル呪文なら一本750gpと高いように思えるかも知れないが、1投射につき15gpと考えるとかなり安価に使用できる。さらに、ワンドは動作要素を必要とせず、また機会攻撃を誘発しないという点もすばらしい(そう、ワンドからであれば、君はプレートメイルとラージシールドを装備し、かつ敵の真正面でも失敗なく呪文を投射できるのだ!)。
 さらに、3.5eではDMGにメタマジック・ロッドが追加された(DMGp24)。これらは1日に三回、望む呪文にそのロッドに定められている呪文修正特技の効果を与える(もちろん呪文レベルの上昇などは生じない)ものだ。3レベル呪文までに適用できるレッサーのロッドでも、エクステンド(持続時間延長・強化呪文をめっさ長持ちさせる)、サイレント(音声要素を省略・隠密行動に)などは3000gpで手に入るので非常に使いやすいし、エンパワー(9000gp:威力強化)やマキシマイズ(18000gp:威力最大化)などは値段に見合った働きをしてくれること請け合いだ。ていうかマキシマイズロッドとかぶっちゃけ壊れてます

 

 最後に。魔法使いは100gpの魔法の材料を揃え、1日の儀式を行うことで、自分の使い魔を手に入れることができる。使い魔はp27の表にある動物から1つを選べるが、3.5eになってからは取る意味がやや薄れた。テレポートなどの移動系呪文に使い魔がカウントされるため移動が大変になるのが最大の理由であるが、ほかにも「死んだあと補充が大変(1年と1日待たねばならない)」のも結構しんどいし、なにより前回世界中の魔術師が使い魔にしていたヒキガエルのボーナスが【耐久力】+2から《追加hp》 へと大幅な弱体化を果たしたことも大きな原因のひとつである(*9)。
 それでも「魔法使いったらやっぱり使い魔っしょ!」って君はリストにある好きな使い魔を選ぶがいいさ。将来的に魔法大全なんかで追加される呪文で戦闘獣として利用できる日が来るだろうし、頑健セーブが+2されるラットなんかもそんなに悪くない。もちろんボーナスや強さにこだわらず、黒猫や大カラス(しゃべれる!)なんかを選ぶのも楽しいだろう。

 





○○まとめ


 ・ウィザードは身体的に激しく弱い。
 ・特に反射セーヴ系呪文はヤバイ。死ぬ。
 ・接敵されると死ぬ。
 ・なので仲間に守ってもらえるようがんばれ。
 ・魔法は「ほかのクラスにできないこと」のために使え。
 ・最大の防御手段は「敵の標的にならないこと」である。
 ・防御アイテムなんざいらねえ!ワンドやロッド、スクロールを買え!



 そしてなにより、ウィザードの最大にして最高の武器は魔法を操る知恵である。
 単なるファイヤーボール投射機とかマジックミサイルマシーンでは、驚嘆はされても尊敬されるウィザードにはほど遠い。

 的確なタイミングで必要な呪文を用意し、またそれを使いこなす。
 それこそがウィザードの王道であり、醍醐味でもあるのだ。

 

 なお、以下には当サイトに集いし猛者たちが作り上げた1レベルウィザードおよびソーサラーたちが示されている。 

    

Hall of Wizard

 もし君がウィザードの作成に困ることがあったら、まずはこちらをご参照いただきたい。
 これらはすべて1レベルのキャラクターであり、各ページをそのままプリントアウトすることでPCとして利用できるよう作成されている(ただし一部のキャラクターはフレーバー的データ(身長・体重など)は空欄のままになっている。この辺はルールを参照しつつ自分で埋めてほしい)。これらのキャラクターにはいずれにも得意とする戦術や「やるべきこと」が記載されており、プレイングの際にも大いに参考になるはずだ。
 君はこれらのキャラクターをもちろんそのまま使ってもいいし、特技や技能、装備を入れ替えて使っても良い。
 まずは「習うより慣れろ」。いろいろなキャラを試して、自分にとっての最適解を見つけて欲しい。

これらのキャラクターはいずれも
   能力値:28ポイントでの購入形式
   所持金:各クラスの最大値
   使用ルール:PHB,DMGのみ

 というRPGAの推奨するグレイホーク・キャンペーン用レギュレーションに基づいて作成されています。


 

 

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1:昔はこんな事は言えなかったものだが、最近はサイオニック本を導入することで過去の恥ずかしい自分を帳消しにできるようになったため、比較的気軽に「取るもんなかったら《追加hp》 にでもしとけば?」と言えるようになった。誠に喜ばしい(そしてDMとしては誠に苦々しい)ことである(何のことかわからない人はサイキック・リフォーメーションを参照してみよう)。
*2:かつてはこの目的のためにパーティにはやたらとオニババが多かったものだが、3.5eになって悔い改めたものか、最近はオニババが暴れる姿をとんと見なくなった。よいことだ。【ものすごく棒読みで】
*3:ちなみに各種大全を導入するなら人間でウッドボール(木毬)ですよ。だってSudden系の呪文修正特技入っちゃうし。ちなみにSudden系ってのは呪文のレベル上昇なしに1日1回だけ呪文にある呪文修正適用しちゃう特技で、たとえば10レベルのウィザードが《sudden maximize》使うと10d6のファイヤーボールがいきなり最大化・60点(もちろん呪文レベルのアップ無し)になるというクソ特技。これ取らない理由がわかんねえ。
*4:ちなみに他クラスに任せられるのは〈知識(宗教)〉と〈知識(自然)〉くらいだろうか。前者はパーティに必ずいるであろうクレリックが持てるから良いが、後者はレンジャーやドルイドの技能なので君の分担になってしまう可能性も大きい。南無。
5:大全系のサプリメントや世界設定本には呪文相殺を強化する特技もある。これ持って片っ端からPCのキュア呪文を相殺し続ける地獄のようなソーサラーとか出したことがあるが
ものすごくウザがられた。正直スマンかった。
*6:解呪判定がしんどいっちゃしんどいが。ドンマイ。詳しくはディスペルマジック呪文を参照。
7:ちなみに動作要素を必要としない呪文はごくわずかしかない。動作要素をなくす《特技》として《呪文動作省略》があるが、支払う代償が大きいため、非常用呪文以外にはオススメできない。
8:一部の魔法金属は非常に軽く、呪文の失敗確率を減らしてくれる。といっても0になるわけではないので大差ないといってしまえばそれまでだが。
*9:この変更によってヒキガエルがレッドデータブックに載ってしまうくらいの勢いで世界中から減少し続けているのはゆゆしき問題である(WWF調べ)。
*10:厳密には10以下の判定ならチェック自体は可能。ギャー!1モカごっつあんです!
*11:最初スコーチングレイを反応セーヴ呪文として記述してたよスマンス。1モカごっつあんです!