はじめの一歩 3.5e
2歩目:種族とクラスを知ろう
文責:石川 050319
さて、D&Dにおいては各プレイヤーは少なくとも1人ずつ自分のキャラクター(プレイヤーキャラクター;PC)を持つ必要があるわけだが、どんなキャラを作ったら良いのだろうか。
いや、まてよ?
その前に、僕はどんなキャラが作れるんだ?
D&Dにおけるキャラクターは様々な能力を示す用語と数値から構成されている。
ゲームに慣れてくれば、これらの用語や数値をざっと眺めるだけでそのキャラクターがどんなキャラクターなのか、あるいは何が出来るキャラクターなのかを判断できるわけだが、初めてPHBを開いた君は、おそらくパニックに陥るだろう。「キャラクター作成」と銘打たれたページには見たことも聞いたこともないような用語が何の説明もなく当たり前のように書き連ねられ、作成の解説に割かれたページはわずか1ページでしかないのだ。
果たして僕は、無事キャラクターを作りおおせるのだろうか。
君の背には冷たい汗がじんわりと滲み出し、青ざめた額からたれる脂汗が買ったばかりのPHBを上のほうから濡らし、PHBを握り締める手はわなわなと震えていることだろう。
このままでは過呼吸はおろか心臓麻痺すら起こしかねない君のために、まずはこれら用語の解説をしてみよう。
こうした用語はキャラクターのできることを、また数値のあるものならその度合い(どのくらいできるか)を示している。
なお全てを一度に解説することは出来ないので、ここではゲームに良く使うものを中心に解説している。
能力値
そのキャラクターの基礎となる能力。「腕力がある」とか「すばしっこい」とかいう能力が、6種類の能力値(【筋力】【敏捷力】【耐久力】【知力】 【判断力】 【魅力】 ) に分類されている。クラスごとに必要とされる能力値が異なっているが、HPを決める【耐久力】、ACを決める【敏捷力】の2つは高いに越したことはない、技能をたくさん使う職業なら【知力】が高いほうがいい(【知力】が高いほどたくさん技能ポイントがもらえるから)などが定説。また、クラスに必要な能力をより高めるために人間以外の種族を選択するプレイヤーもいる(初期キャラクターの能力値を18より大きくする唯一の方法である)。
通常は「4d6して3つダイスを選ぶ」ロールを6回行い、好きな能力に割り振るが、DMによってはより自由に、かつ同じ条件でキャラクターが作れるよう「能力値割り振り(規定のポイントを割り振って能力値を「買う」)方式」をとるものもいる(DMG参照)。
[アーマークラス](AC:Armor Class)
いわゆる装甲値。高いほど相手の攻撃を受けにくい。盾/鎧のアーマーボーナスに【敏捷力】修正値、魔法ボーナスなどを加えた値。ほかのゲームと違い、D&Dでは受けたダメージを減少する手段は少なく、大抵の場合「当たって全ダメージか、外れて0ダメージか」の2択であることに注意。
[基本攻撃ボーナス](BAB:Base attack bonus)
そのキャラクターがどれくらい敵に攻撃を命中させやすいかを決める基礎となる値。レベルアップ以外の方法で上げることができない(上昇の仕方はクラスによって異なる)。+6を超えると複数回攻撃が可能になる。
[近接/遠隔攻撃ボーナス]
基本攻撃ボーナスに、近接なら【筋力】修正値、遠隔なら【敏捷力】修正値のほか、魔法や上質な武器のボーナス等を加えた値。戦闘時にはこの値にD20を加え、相手のACと比べて大きければ命中となる。ゆえに、(当然ながら)高いほど良い。
[セーヴィング・スロー](ST:Saving Throw)
キャラクターが危機を回避する能力。高いほど回避能力が高い。頑健、反応、意志の3種に分類されており、それぞれ【耐久力】 【敏捷力】 【判断力】 の能力修正値が修正として加えられる。クラスにより、回避能力が高い分野が異なっている。これは逆に言うと、クラスごとに回避能力が低い=弱点となる個所がある、ということでもある。これを埋めるために複数のクラスに就いたり、STにボーナスのつく<特技>をとる事もある。
[技能]
キャラクターが「できること」のうち、D20でチェックするタイプの能力。キャラクター作成時およびレベルアップ時にポイントを支払う形で「ランク」を獲得し、各技能にあった能力値修正とD20を足して判定する。かなり細分化されているうえ、クラスごとにラクに修得できるものとできないものが決まっているなど、結構複雑。しかし、使いこなせると戦闘や冒険で有利になる技能も数多い。また、ランクが0ランクでも判定を行える技能と、ランクを修得していないと判定できない(【知力】系の、[知ってるかどうか]をチェックするような技能に多い)技能とがある。
[特技] キャラクターが「できること」のうち、判定を必要としないもの。多くは「この特技を持っていればXXを行うことができる」などといった形の、いわゆる「特殊能力」に近い。キャラクター作成時、すべての種族で1つの<特技>習得を許されるが、人間はさらにもうひとつ余分に<特技>を受け取ることができる。
[呪文]
ファンタジーではおなじみの超常能力。D&D3eはPHBだけで200以上の呪文があるため、選択の幅は広い。
秘術呪文と信仰呪文の2系統があり、またそれぞれが「バード呪文」「ドルイド呪文」などとグループ分けされている。それぞれに特徴があるが、秘術呪文のほうがペナルティが多い代わりに強力、信仰呪文は回復や防御に力を発揮する、といった傾向がある。
[特殊能力]
「暗視(暗闇で目が見える)」などといった身体的な能力(大抵は種族の特徴として得られる)や、「バーバリアンの激怒」「金剛身」などといったクラス特有の能力までさまざま。なかにはアンデッド退散やパラディンの癒しの手のように、呪文のように機能する能力もある。
文中にわからない単語があるなら、p302〜の用語集を探してみよう。ほとんどの場合、答えはここで見つけられるはずだ。ほかにもイニシアチブや移動力、装備など、いろいろ重要なキーワードはあるのだが、各論についてはそれぞれ必要となるところで解説する。
いずれも「値」なら高いに越したことはないし、「能力」なら数多いに越したことはないが、「ほしいものがすべてもらえるわけではない」のが世の常である。よって、キャラクターを作るまえに、君は自分のキャラを「どんなキャラクターにしたいか」を考えた上で様々な選択をしなければならない。
こうしたキャラクター作成時における選択は、キャラクターの種族とクラスの選択という形で行われる。
言い換えるなら、自分のPCの方向性に合わせて種族とクラスを選択する必要があると言うことだ(*1)。
しかし現実問題としてPHBには7つの種族と11のクラスが掲載(*2)されており、初めてキャラクターを作るに当たってこの中から最適解を求めるのはおそらく不可能だろう。そこで、本編ではまず種族を、次いでクラスをざっと説明する。
※なお、実際にゲームをプレイする際にはほかのプレイヤーと話し合った上でクラスを選択するようにしてほしい。これをおこたると「ファイターばっかり」「ローグばっかり」のパーティができたりする。「バードだけのパーティ」などができた日には、冒険者だか旅芸人の一座なんだかわからなくなってしまうではないか。TRPGはコミュニケーションのゲームなのだ。ゲーム開始前から話し合い、譲り合ってクラス決定をしてほしい。
種族
君はキャラクターを作成するに当たり、種族をひとつ決定する。[人間]
スタンダード種族。通常世界では最も多数派。能力値や特殊能力をこれといって得られない代わりに、キャラクター作成時にボーナス特技1つを得ることができる。このボーナスが非常に大きいため人間を選んでしまうプレイヤーは多い(後述)。またキャラクター作成時に技能ポイントを4ポイント、レベルアップ毎に1ポイントだけ多くもらえるほか、マルチクラスによる経験値ペナルティを受けにくい(PHBp59参照)。
[エルフ]
人間を華奢にしたような外見の森の種族。敏捷だが耐久力に劣る(【敏捷力】+2、【耐久力】-2)。『指輪物語』で描かれているほどではないものの、人間にはない能力をたくさん持っている。
・魔法の眠りを受けず、心術呪文に抵抗STに+2ボーナスを得る。
・睡眠は1日4時間で良い(+4時間の瞑想)
・夜目(暗闇での視界2倍)
・クラスにかかわりなくロングソード、レイピア、ボウ類の《武器習熟》を持っている
・〈聞き耳〉〈視認〉〈捜索〉に+2ボーナスを持ち、近くを通りがかるだけで隠し扉などを発見できるチャンスがある
適正クラス(マルチクラスの際経験値ペナルティを受けずに済むクラス)はウィザードとされている。たしかに「ふだんできること」の少ないウィザード的にはロングボウを撃てるのは悪くないが、感覚系技能に+2、隠し扉発見能力、【敏捷力】へのボーナスなど、どちらかと言えばローグに親和性が高いと評されている(【耐】が低下しているため前線に出る際やや不安が残りはするのだが)。
[ドワーフ]
人間をタテに7割ほどにつぶしたような種族。非常に頑丈だが人付き合いが不得意(【耐久力】+2、【魅力】-2)。
・石造りのものを調べるとき〈捜索〉〈鑑定〉 +2。また10フィート以内のおかしなものに気付くことができるチャンスあり。
・オーク、ゴブリン類への攻撃+1、対巨人AC+4
・移動力が遅い(基本移動距離20フィート)が、中・重装鎧を着ても、中・重荷重でも移動力が落ちない
・足が短いため転びにくい(足払い、突き飛ばしに抵抗する際+4ボーナス)
・暗視(暗闇でも物を見ることができる)60フィート
・呪文・擬呪への抵抗STに+2
3e→3.5eへのアップグレードに際し、「中・重装鎧を着ても移動力が落ちない」「転びにくい」という特徴を得たことでもっとも前衛向きの種族となった。前者はこれまで鈍りがちだった移動力を補強するのみならず、〈軽業〉 による敵陣突破が鎧を着たままで可能となったという点において非常に大きい(バーバリアン、ファイターのマルチクラスにおいてこの長所は最大限に発揮されるだろう:後述)。また伏せ状態から起き上がるのに機会攻撃が発生するようになり。足払い攻撃の有効性が向上した3.5eにおいて転びにくいと言う特徴は非常に重宝される。明かりがなくても敵を発見できる暗視、低くなりがちな呪文への抵抗力をも併せ持っている点も前衛としての弱点補強にピッタリである。
[ノーム]
イメージ的にはディズニー映画『白雪姫』の7人の小人に近い(*3)種族で頑丈だが非力(【耐久力】+2、【筋力】-2)。エルフが森の妖精なら、ノームは土の妖精と言えるだろう。丘に穴を掘って家を作っているためかアナグマやモグラのような生物と仲が良い。また生まれつき幻術に親和性が高く、【魅力】が10以上だと擬呪を3つ得ることができ、幻術への抵抗ST に+2ボーナスを得、また幻術使用の際難易度に+1できる。
このほか、夜目や〈聞き耳〉 へのボーナスなどいくつか能力を持ってはいるものの、小人であるがゆえに移動力が低く(基本移動20フィート)、【筋】が低くなりがちなため今ひとつ使い勝手が悪い。バードが適正クラスとなっているが、小さいこと(=AC+1)を生かしてウィザードやソーサラー、あるいはウォードッグを駆る騎乗系前衛になるものの方が多いかもしれない。
[ハーフエルフ]
人間とエルフの間に生まれた子。なのでエルフの能力と人間の能力を半分くらいずつ受け継いでいる。ために人間の半分くらいとエルフの半分くらいしか便利じゃないのだが、代わりに独自の能力も得ていたりする。
・魔法の眠りを受けず、心術呪文に抵抗STに+2ボーナスを得る。
・夜目(暗闇での視界2倍)
・〈聞き耳〉〈視認〉〈捜索〉に+1ボーナス
あと複雑な出自と環境で育つため〈交渉〉 〈情報収集〉 に+2ボーナスを得るとの記述に全米が泣いた(*4)。
ううむ、せめてこれで「ボーナス特技ひとつ」か「隠し扉発見」がついていれば・・・・能力値も変わらず、人間の長所の代わりに上記能力が得られると考えればそれなり。交渉系PCとしてローグ、バードをやるなら十分活躍が見込めるだろう。
[ハーフオーク]
人間とオークの間に生まれた子。オークっぽい外見と強靭な力、そしてアホさまでをも受け継いだ種族(【筋力】+2、【知力】【魅力】-2)。能力値的にやや不利なものの【筋力】が上昇する唯一の種族であり、暗視60フィートを持っていることから前衛への親和性が高い。特にバーバリアンが適正クラスとなっているのでファイターとのマルチクラスが有用だろう。
[ハーフリング]
人間とリングの間に生まれた子(ウソ)。人間の半分の大きさの種族。【敏捷力】+2、【筋力】-2。移動力が低く(基本移動距離20フィート)【筋力】 が落ち、サイズが小さい(ダメージが小さい)ため近接戦型ローグとしては微妙だが、適正クラスはローグ。〈忍び足〉 〈聞き耳〉 などに+2ボーナスのほか、全てのSTに+1、恐怖へのSTに(さらに)+2など、冒険者としては有用な能力が多いのだが。
クラス
君がなりたいキャラの大まかな方向となる「クラス」だが、前述のとおり、PHBに掲載される基本クラスだけでも11クラスある。この中から「好みのクラス」を選ぶ、といってもなかなか簡単にはいくまい。
そこで、まず以下に示すクラスのサマリーを見て欲しい。
詳細な能力はさておき、概要とおおまかな特徴がわかるだろう。なお、文中上級者向きとされているのは運用が難しいとか扱いにくいなどといったクラスなので、初心者は避けたほうが良いかもしれない。
・ウィザード(p24):秘術呪文使いのスタンダード。HPが低く、武器・防具の大半を使用できないが、1日に決まった数の秘術呪文を使用できる。自分の呪文書に書かれた呪文を毎日覚えなおし(銃に弾を込めるようなものだ)、必要なときに発動する、というやり方で呪文を使用する。発動に柔軟性を欠くものの、呪文書にはスクロールなどから呪文を書き写すことが出来るため、広い選択肢が得られるのが特徴。呪文数も「専門化」(特定分野の呪文が得意になる代わりにいくつかの分野の呪文を使用できなくなる)で呪文レベル毎に1つずつ増やせる(とはいえどの領域の呪文をあきらめるのかが難しいので初心者にはオススメしない)。あと、100gpかかるが「Familiar(使い魔)」もさりげなく強力。使い魔は種々の特殊能力(セーヴ強化、〈技能〉ボーナスなど)を主人に与えてくれるので、有効に活用したい
・クレリック(p28):いわゆる「僧侶」。特定の神を信仰し、その力を呪文という形で使用する人たち。加えて、自分が信仰する神格の持つ「領域」から呪文を得たり、特殊能力を得たりすることもある。また、アンデッド退散(属性が悪のものなら威伏)などの特殊能力や、任意発動(準備した呪文を治癒/ダメージ呪文に変換して発動する)など、強力な能力を備え、また武器/鎧にもかなり習熟している。何より、回復呪文を使用できるため、パーティには欠かせない存在であり、また欠点らしい欠点を持たない点から『クレリックこそ最強』を唱えるプレイヤーも多い。
・ソーサラー(p31):ウィザード同様、秘術呪文を生業としているが、ウィザードと違って呪文の準備が不要で、知っている呪文を好きなときに発動できる。また、1日の呪文使用数もウィザードより多い。しかし、ウィザードのように呪文のレパートリーを増やすことは出来ず、またレベルアップによる新呪文の獲得も、ウィザードよりやや遅い。よって、獲得呪文の選択が非常に難しく、呪文それぞれを良く知っていないと有効な術者になれない場合もあるため、ウィザードより上級者向きであるといえる。ちなみにウィザードとは異なり、【魅力】が高いほど呪文能力が高くなる。
・ドルイド(p34):クレリック同様、信仰呪文を使用するが、彼らは特定の神からではなく自然からその力を得る(呪文そのものも「ドルイド呪文」として独特の選択がなされる)。そのため、自然知覚(動物と植物の見分けなど)、森渡り(茨などを何の障害もなく通過できる)など、自然に関係した特殊能力を数多く得る。中でも手足となって働いてくれる「動物の相棒」や動物への変身能力である「自然の化身」は有用。しかし一方で、金属を好まないという特徴から、結果的にクレリックより防御力が低く、また呪文数もクレリックに劣る。上級者向き。
・バード(p37):吟遊詩人。ウィザードの1/2ほどの数ではあるが秘術魔法(バード呪文)を使用できる(ただしレパートリーはソーサラー同様増えにくい)ほか、歌や詩によって他人に効果を及ぼす呪歌(まがうた)を使用できる(呪文への抵抗力を高めたり、攻撃力を高めたり、と補助的な効果を持つものが多い)。また、ローグのように罠を発見したりは出来ないものの、魔法の道具・装置を使用する〈技能〉(〈魔法装置使用〉)を修得できる。そしてバード最大の「力」は、1レベルで取得できる『バードの知識』である。バードはたとえそこが世界の果てであっても(チェックの達成値が高ければ)その土地や伝説などについてさまざまなことを知ることが出来るのである。この能力は達成値が30を超えると「強力なウィザードの子供のころのあだ名」などという非常にあいまいな知識でさえ「知っている」事にされてしまうため、実にマスター泣かせな能力なのだ。とはいえ、その戦闘能力は低く、また使用できる呪文も少なくて使いづらいため「ダンジョン内で出来ることが少ない」、『何でも屋にして器用貧乏』なクラス。上級者向き。
・バーバリアン(p41):いわゆる「蛮族」型戦士。戦場の暴れ者。ファイターより少しだけHPが多め(HD=d12)。ファイターのようにたくさんの《特技》はもらえないが、「激怒」(特殊能力)で攻撃力を上げたり、「直感回避」で急所攻撃や挟撃を回避したり、といった能力を持つ。また、移動力を10ft分増加する「高速移動」が地味に強力。が、重装鎧に習熟していなかったり、重装備にすると高速移動能力を失ったりする。ファイターとの組み合わせ(マルチクラス)も有効。
・パラディン(p43):聖戦士。ファイター並みの戦闘力とあふれんばかりの特殊能力、そして(わずかながら)信仰呪文も使用可能、とオールラウンドな性能を誇る。特に【魅力】修正値がすべてのセーヴ値のボーナスになる「信仰の恩寵」や手を触れるだけでレベルx【魅力】ボーナスの傷を癒す「癒しの手」、アンデッド退散、そしてディテクト・イーヴル(使用回数制限なし!)などの諸能力は確実にパーティの危機対応力を増加してくれるだろう。しかし、【魅力】が低いとこれらの特典は生きてこない。その一方で、呪文使用能力を得るために高い【判断力】が、また戦闘要員として前線で戦うために【筋力】【耐久力】【敏捷力】が必要であることを考えると、ほとんどすべての能力値が高くないと『強い』パラディンにはなれない。また属性が[秩序にして善]でなければならず、ロールプレイ上の制約が多い。
・ファイター(p47):戦闘系の基本クラス。たくさんの武器/防具に習熟し、戦闘用の《特技》もたくさんもらえるので、《特技》を使った多彩な戦術を駆使できる。どちらかといえば鎧を着込み、前線で戦う重戦士向き。3.5eでは特技の有用性が上がっているため3eに比べて強力になったクラスだが、あいかわらず〈技能〉が絶望的に弱い(もらえるポイントが少ない上、選択肢が狭い)、「他にできること」の少ない地味なクラスでもある。
・モンク(p49):僧院で修行を積み、素手での戦いに習熟したものたち。素手でのダメージが通常より大きく、レベルの上昇に伴い最大2d10ダメージまで増加する。セーヴ値も高く、レベルが上がればAC・移動速度が上昇するほか、ほぼ毎レベル身体能力を強化するような特殊能力を得るなど身体能力だけでいえば最高級のクラス。しかし、武器/防具を持つと能力の大半を失うという欠点のため今ひとつ使いづらい。上級者向き。
・レンジャー(p52) :『指輪物語』でいう「野伏り」。全クラス中、3.5eでもっとも大きく変化したクラス。前衛クラスとしてはやや弱いが、野外活動に有利な能力を備えているほか、得意な敵で指定したクリーチャーに追加ダメージが与えられる。また2レベルから戦闘スタイルとして《二刀流》 か《速射》を、4レベルから動物の友達と呪文投射能力を得るが、軽装鎧までしか着用できないなどいま一つ使いにくい印象を受ける。正直中途半端。上級者向き。
・ローグ(p55):いわゆる盗賊。単に罠や鍵を解除したりするだけでなく、魔法の罠や仕掛けを発見したり、使用したりすることの出来るクラス。どれも冒険には必須の能力であり、パーティに1人はローグが必要だろう。また〈聞き耳〉〈忍び足〉 や〈交渉〉〈情報収集〉などの情報収集能力にも優れ、それらを構成する技能もたくさんもらえるため、かなりの万能性を発揮できる。戦闘においても、「身かわし」や「直感回避」など防御能力に優れ、また不意を討ったり挟撃(仲間と挟み撃ち)した時に「急所攻撃」による追加ダメージを与えられるため、やりようによってはファイター以上の活躍も見込める。ただし、体力、ACともに低くなりがちなので、うかつに前線に出ると瞬殺されるという欠点もあるのだが。