はじめの一歩 3.5e
5歩目:基本クラスの2 ローグ
                            文責:石川  051207


 君はいままで「ローグ」という言葉を聞いたことはあっただろうか?
 ゲーム用語(クラス名)として他のゲームで聞いたことがある?
 なるほど。では意味は?

 他のゲームでは「シーフ」と呼ばれることの多いローグだが、WotCでは「シーフだと『泥棒』的なイメージが強すぎて、ハン・ソロやインディアナ・ジョーンズのようなキャラクターのイメージを抱きにくい」ということでローグRogueと改名されたようだ。
rogue
━━ n. 悪漢; 〔戯言〕 ちゃめ, いたずらっ子; 群から離れている猛獣.
━━ a. (群れから)はぐれて狂暴な; 一匹狼のような.

thief

━━ n.pl. thieves) 泥棒.

 なるほど、確かにニュアンスが違っている。Thiefが単なる『泥棒』であるのに対し、Rogueは悪漢・一匹狼などアメリカ人好みの「ダークヒーロー」的な要素を持ち合わせているようだ。

 名前の変化のおかげではないだろうが、ローグは従来のシーフに比べ、かなり優秀なクラスへと変貌した。基本4職業のなかではもっとも「万能」に近い能力を持ったクラスであるといえるだろう。
 そして「万能」であるがゆえに、彼らの冒険者としての仕事は非常に多岐にわたっている。

 まず、
「ローグ技能」の[スペシャリスト]としての役割がある。「ローグ技能」とは、いわゆる冒険技術者としての技能〈捜索〉〈解錠〉〈装置無力化〉〈手先の早業〉などを指す。内容については後述するとして、これらの能力を使いこなせるのは事実上ローグだけなのだ。特にD&Dにおいては、罠には「100フィートの塔から放り出す」とか「永遠に落ち続ける落とし穴」とか激しくタチの悪いものも少なくない。
 次いでパーティの[目]としての役割がある。3歩目でも述べたように、感覚系能力(3.Xeにおいては〈視認〉 〈聞き耳〉〈捜索〉 などがある) すべてを含む役割だが、[目]として十分働くためには敵に見つからずに行動する〈忍び足〉 〈隠れ身〉 などの技能も必要となる。多量の技能ポイントが与えられるローグであればこそ、優秀な[目]として働くことができるだろう。
 一方、戦闘においてもローグは優秀な軽戦士として戦うことができる。彼らは敵の不意を打ったとき、あるいは仲間と敵をはさむように位置したとき(=挟撃)に追加ダメージを与える
急所攻撃能力を持っている。使える条件・相手が限定されているものの、そのダメージは強烈であり、場合によっては前衛戦士よりも強烈なダメージディーラー、すなわち[剣]として活躍できる。同時に、クラス的に【敏捷力】が高いことの多いローグは優秀な[シューター]としても活躍が可能である。
 さらにローグのクラス技能には〈魔法装置使用〉がエントリーされている。この技能は低レベルではほとんど機能しないが、ある水準を超えると巻物やワンドを術者クラスのように、そして他クラス専用のアイテムでさえ利用できるようになる。メインにはなり得ないものの、[魔道士]としての任務を果たすことさえ可能になるのだ。

 いいことずくめのようだが、一方でローグには弱点もある。その最大のものといえるのは、やはりその
脆弱性であろう。
 まず、ヒットダイスがD6のローグは打たれ弱い。ファイターやバーバリアンといった前衛クラスからみれば半分程度のhpとなることもざらなローグは、一回のセーヴ失敗でそのまま死んでしまうこともざらだ。反応以外に良好なセーヴ値を持たないローグが毒にやられて死ぬ、というのは存外よく見られる光景である。
 
「当たらなければどうということはない!」といいたいところだが、ローグの特徴を生かそうと思えば軽装鎧までしか着ることはできず、実際にはマジックアイテムと【敏捷力】頼りになるローグのACは低くなりがちで、しかも不意を打たれた際などに非常に危険である。
 
 こうした特徴から、ローグは戦闘時でも非戦闘時でもとにかく
頭を使う必要があるクラスだと言うことができる。戦闘時はうまい立ち回りが必要となるし、非戦闘時には自分が今何をすべきかを常に意識しながら行動していなければならないのだ。これらは君を守るだけでなく、君のパーティ全員に関わる問題である。


 では、どうすれば機能的なローグを作ることができるのか。
 まずはローグがどんなことができるのかを考えてみよう。
 

 <技能>

 先に「ローグは冒険技能の[スペシャリスト]であり[目]でもある」と述べたが、こうした特徴はローグとして獲得できる<技能>によって支えられている。
 ローグはPHBに掲載されるクラス中最大である
8技能ポイントを獲得でき(なんとファイター4人分だ!)、またクラス技能にエントリーされている種類も最も多い。

 どれもさまざまな状況で有効であり、魅力があるが、パーティでのローグとしての役割を考えるに以下のものが候補に上がってくるだろう。
 

1)   パーティの目と耳:〈視認〉〈聞き耳〉(+〈忍び足〉〈隠れ身〉)
 前者2つは他のクラスでも優先して取得されるくらい重要な技能。先手を打つことが大きなアドバンテージとなるD&Dにおいて、
索敵能力は何よりも重要と言っても過言ではない。
 また、後者二つは先行偵察や待ち伏せの際必要になってくる。ローグ能力の重要能力ひとつ「急所攻撃]は相手の先手を打ったときや、不意打ちを行なったときにも行える(後述)ため、これを生かす上でも有用である。

2)   ローグの『仕事』:〈捜索〉〈解錠〉〈装置無力化〉
 
3.5eになって、ローグ以外のクラスでもこれらの技能をクラス外技能として習得可能となったものの、難易度21以上の罠の〈捜索〉はローグにしかできない。また、ローグは(難易度は高いものの)魔法の罠であっても発見・無力化(〈捜索〉 +〈装置無力化〉 )できる。 貴重なディテクト・マジックディスペル・マジックのムダうちを防げるという点においても、この能力は重要だ

3)   汎用(どこでも役に立つ):〈はったり〉〈魔法装置使用〉
 〈はったり〉は戦闘や<隠れ身>のきっかけとして利用できるほか、NPCとの会話に有用(うそをしゃべる場合はたいてい<はったり>と<真意看破>の抵抗ロールを要求される)
 〈魔法装置使用〉 は、基本的なことでも高い難易度が設定されているため序盤ではほとんど役に立たない。高レベルになってから一括修得と言う形にした方がいいかもしれない。

 
 このうち、パーティ内でのローグとしての任務をまっとうするには少なくとも〈視認〉 〈聞き耳〉 〈捜索〉 〈解錠〉 〈装置無力化〉 の5つは必要だろう。残りのポイントは自分のローグのタイプによって振り分けるのが良いだろう。軽戦士系なら〈はったり〉(後述)、偵察型なら〈隠れ身〉 〈忍び足〉 など。また、3.5eになって〈知識〉系技能による敵クリーチャーの判別の重要性が高まってきたので、余裕があるなら(それがクラス外であっても)習得しておくのも悪くない。
 このように、ローグは毎レベル8ポイントの技能ポイントが与えられている、と言ってもほとんど[行き先]が決まってしまっているため、自由に使えるポイントはさほど多いものではない。
 とはいえ、【知力】修正抜きで32ポイントもの技能ポイントを獲得できるローグは各技能に4ポイントずつを割り振ったとしても8種類の技能を修得できるのだ。これで文句を言ってたら
ファイターに殴り殺される心して技能の割り振りを決定しよう。


 <Sneak Attack(急所攻撃)>

 この恐るべき能力は、その名の通り相手の急所を攻撃することで追加ダメージを与えるものである。ローグ以外のクラスは獲得できない(*1)この能力は、多数回攻撃すべてに追加ダメージを与える事も可能な上、30ft以内であれば飛び道具はおろか魔法にまで(*2)載せることが可能であるなど、非常に強力な能力である。

 しかし、効果のある相手が決まっていたり、発動条件が厳しかったり、といった欠点がある事に注意しなくてはならない。急所のない生物(アンデッドやゴーレムのような命のないクリーチャーやスライムのような生物)には効果はなく、また相手の不意を突くなどしない限り急所を攻撃することはかなわない。急所攻撃が可能な状態は以下の通り。しっかりと頭にたたき込んでおくこと!

挟撃している
・攻撃側が不可視   
・防御側が朦朧、戦慄、バランスを崩した状態
・防御側が不意をうたれているor立ちすくみ       
・防御側が組み付かれor押さえ込まれ中 

・〈はったり〉技能によるフェイント(和PHBp82)    

 こうした条件のいずれかを満たし、視界が確保できた(=視認困難ではない)状況で、かつ相手が急所を持つ生物であるならば、君のローグは急所攻撃を行える。
 中でも「挟撃中」および「不意打ち/立ちすくみ中」という状況は比較的よく発生するし、プレイヤー側の工夫(まちぶせなど)によって生じる場面も少なくない。
 
また「攻撃側が不可視」という条件は「ローグが〈隠れ身〉 で隠れている」ことでも、また相手の目を見えない状態にしてしまうことでも満たすことができるし、もちろんインヴィジビリティ呪文などによっても満たすことが可能である。

 これらの条件を満たしてさえいれば、そのラウンドの攻撃全てに急所攻撃ダメージが有効になる。つまり、奇襲や挟撃に成功していればレンジャーお得意の両手攻撃やモンクの連撃能力、《速射》特技による射撃武器の連射など、複数回の攻撃によるすべてに急所攻撃ダメージを乗せることが可能なのである。高位のローグは時として同レベルの術者並みに危険な存在であるとも言われるゆえんである。
 

 さて、かように強力な急所攻撃ではあるものの、これを行うにあたり大きな不安が一つある。

 それは、ローグの脆弱性である。ローグは軽装鎧の習熟しか修得しておらず、盾を装備することもできない。いや、より重い鎧や盾を装備できないわけではないが、そうすることで<忍び足>などといった、ローグにとっての飯の種となる各種技能にペナルティが付くし、身かわしなどの回避能力が使用不可になってしまう(PHBp57)のだ。
 また、彼らのヒットダイスはD6であり、平均すればファイターらの1/2ほどのHPしか持っていない。ACが低い上に体力がないとなると、当然敵に攻撃されないようにしたいものだが、前線に出ていればそれもままならない。
 ゆえに、なるべくなら攻撃は遠隔攻撃で済ませてしまいたい。君子危うきに近寄らず。装甲の薄いローグなればこそ、無理して前線に出ず、後方からそっと忍び寄って敵の見えないところから矢を放ちたい。
 ああそうとも。HFOという敵に殴られたり範囲呪文に巻き込まれたりするのが仕事の奴隷階級が体を張って群がる敵を食い止めている間に、君は飛び道具による一方的な殺戮の喜びに浸る。それこそが
チームプレイってもんだよ。



 まあ、たぶんね。





 とはいえ、飛び道具による急所攻撃にも欠点はある。急所攻撃のチャンスそのものが挟撃によって発生する近接攻撃と比べ、行える状況が非常に限られるという点だ。

 前述した条件のうちで最も頻繁に発生する状況といえば「防御側が不意打ち or 立ちすくみ」と言うことになるが、そのためにはまずPC側が先に敵を発見し、可能なら待ち伏せや急襲を行う必要がある。待ち伏せできれば最低1回、その後イニシアチブが取れればさらにもう1回(以上)の急所攻撃が可能となるのだ。
 しかし、当然ながら相手を先に見つけなければ不意は打てないし、パーティ単位の行動を考えるに敵の方がパーティを先に見つける可能性の方が高い(君の左を見るがいい。そこには大いなる騒音発生装置とでも呼ぶべきプレートメイルを着た戦士がのんきな顔で鼻をほじっているはずだ!)。また君が常人離れした【敏捷力】と、ついでになけなしの特技をやりとりして《イニシアチブ強化》 を獲得していたとしてもイニシアチブがD20ロールで決定されている以上、先手をとりそこなうことも少なくない。
 ゆえに、飛び道具による急所攻撃を安定させるには

  1)パーティから離れて行動できる隠密性(〈隠れ身〉〈忍び足〉etc.)
  2)敵を先に発見する 知覚(〈聞き耳〉 or〈視認〉 )
  3)遠隔攻撃できる手段 or 一撃を加えた後逃げる手だて


が必要となる。

 しかし、「先手を取る」戦術は、当然ながら敵に後れを取れば1度も急所攻撃出来ず終わる。たとえ前衛2人に挟撃されたクリーチャーに矢を打ち込んでも急所攻撃にはならないのだ。自分の姿を不可視に出来る能力があればよいが、金か呪文の助けなくしてそのような力に恵まれることはないだろう。

 そこでオススメしたいのは〈はったり〉技能の使用である。和PHBp82にあるように、〈はったり〉技能は戦闘時におけるフェイントとして利用できる。すなわち、標準アクションで相手にフェイントをかけることで、次の攻撃時の対象の【敏捷力】ボーナスを失わせ(*3)、急所攻撃の対象とすることが可能なのである。対象は〈真意看破〉で対抗ロールできるものの、前衛系のクラスやクリーチャーでこの能力を持つものは少ない。標準アクションなので、「フェイント+攻撃」には2Rかかることになってしまうものの攻撃を《近距離射撃》+《速射》で行えば、都合弓による急所攻撃を2度出来ることになるので採算はとれるだろう(*4)、《フェイント強化》 を習得すれば、フェイント行動を移動アクションとして行うことが可能となる。つまり、1R中にフェイント+攻撃が可能になるということだ。
 ただし〈はったり〉→急所攻撃は「フェイント後の次の攻撃」にのみ有効であることに注意。多数回攻撃を持っていようがどうしようが、相手が【敏】ボーナスを失う(つまり急所攻撃が適用される)のは最初の攻撃一回だけなのだ。

 なお、〈はったり〉は「相手に気付かれているとき〈隠れ身〉を行うための一瞬の隙」を作るためにも使用できる。急所攻撃の条件である「不可視になる」には、魔法的に「消える」だけでなく、〈隠れ身〉によって相手の視界から消え去ることも含まれている(隠れる場所とその好機さえ作れれば、だが)。無論、1対1で向き合っているような状態では完全に「消える」ことは難しいだろうが、集団戦においてはどさくさまぎれに隠れて攻撃することだって不可能じゃない。
 この両者を使いこなすことで、パーティ火力は大きく向上するだろう(*5)。

 
 さて、急所攻撃を有効に使うもう一つの方法に挟撃の利用がある。また、「2Rに一回の攻撃なんて貧乏くさいこと出来るか!」という剛の者は、近接戦での急所攻撃を好むだろう。
 たとえ君がそんな愚か者剛の者でなくとも、何らかの理由で前線要員が足りなくなったり、無能な前線要員が敵兵の突破を許したりすれば、近接戦を強いられる場合もある(そしてもちろん戦闘終了時には突破された間抜けを後ろから一突きしなければならない)

 前述の通り、近接攻撃の方が急所攻撃が可能となるチャンスが多い。
 特に挟撃は乱戦中には頻繁に発生するので、うまく立ち回れば戦闘中ずっと急所攻撃し放題!といった状態にだってなり得る。しかし、前述のようにローグの防御力は総じて低い。【敏捷力】ボーナスが(通常)高いという事を考えに入れても魔法の助けなしにACが20を超える事はまれだろうし、なによりローグはHPが低い。なので、なるべく相手に攻撃されない、少なくとも相手に挟撃or包囲されることを避けるような立ち回りを考える必要がある。

 そのために重要となる<技能>といえばやはり<軽業>をおいてほかにない。<軽業>が十分高ければ、敵の間合いの中を移動することも、敵のいるマス目を突破することも簡単に行える。3eと比べれば弱体化したとはいえ、今もって軽戦士には必須の技能と言っても過言ではあるまい。どんなに包囲されても脱出できるという安心感を得られるのみならず、挟撃を行う際に自分の望む位置へ自由に移動できる能力は大きなアドバンテージをもたらしてくれるだろう。

 同じ目的のため、《強行突破》を修得するのもいいだろう。この特技は機会攻撃による攻撃に対してACに+4のボーナスを与えてくれる。とはいえ、ローグは《特技》修得数に富むとは言えないので、前提条件として《回避》が必要なこの特技を取るのは少々キツい気もするが。

 また、
ロングスピアどの間合いのある武器を選択し、せめて一歩離れたところから、あるいは味方の背後から攻撃、という手もある。問題は5フィートステップで近寄られたときになすすべがないという点だろう。ファイターであればはこれに《早抜き》を組み合わせ、間合いの内側に入ってくる相手を攻撃、という手も残されているが、ローグが貴重な特技をここに使うだけのメリットがあるかどうかというと少々疑問が残る。

 なお、挟撃・組み付きともに他のキャラクターとの協調がなければ機能しない。冒険前、あるいは戦闘前には味方前衛としっかり意志の疎通を図り、あるいはミーティングや仮想戦を行って、君の急所攻撃が戦術的に有効に運用できるよう最大限の努力を払おう。幸いローグである君は高い<はったり>や<交渉>を有するチャンスに恵まれている。渋る味方前衛を言いくるめ説得し、時にはおだて、なだめすかして自分が安全な位置で敵を挟撃できるような展開に持っていくことを忘れずに!(地味ながら、こうした日々の努力こそが君のPCの寿命延長に大きく寄与するのである)。

さらに、術者たちのサモンモンスター(通称お犬様)も挟撃の際には非常に有効に機能する。他の補助呪文(インヴィジビリティ、ヘイスト、ブラーなど)もまた、君の急所攻撃を助け、君の命を守ってくれるはずだ。一生懸命自分がどれほどパーティの役に立ち、彼らの所持金を増やすことができるのかをアピールしておこう。


え?ファイターのときと対応が違う?君には虎と猫の区別もつかないのかね?虎には媚び、猫はこき使う。これが老獪なキツネの生き方だ。ローグをプレイする君は、彼らが力でなく知恵を頼りに生きているということを、しっかり心に刻みつけておくべくだと思う。


 

なお、実は急所攻撃には武器制限も装備制限もない。つまり、ローグ9/ファイター1のキャラがフルプレートにラージシールド、ヘヴィランスを装備した状態で騎乗突撃したって、適切な状況下であったら急所攻撃ダメージは発生するのだ(*6)。また、基礎攻撃回数の増加や、二刀流や《速射》による多数回攻撃がある場合は、そのそれぞれの攻撃について、個別に急所攻撃が可能である。

 

 <防御能力>

 急所攻撃があまりに強烈すぎるため取りざたされる事は少ないが、実はローグは特定の攻撃に対して強力な防御能力を有している。その能力とは身かわしと直感回避である。

 2lvで修得できる身かわしは、反応セーヴによってダメージを1/2に出来るような攻撃----ファイヤーボール呪文や一部のドラゴンブレスなど----に対して、セーヴに成功することで全くダメージを受けずに済むという超絶能力である(*7)。なお、軽装鎧より重い鎧ではこの能力を発揮することは出来ない事に注意。

 一方直感回避は奇襲や挟撃などへの耐性である。たとえば4lv時には、ローグは立ちすくみ状態でも、また不可視の相手からの攻撃によっても【敏捷力】ボーナスを失わない(=急所攻撃にならない)。また8lv時には挟撃によっても急所攻撃を受けないようになる(敵が自分より4レベル以上高いローグレベルを持っている場合はこの効果は無視される)。

 前者はモンクが、後者はバーバリアンがともに有しているが、ローグはこれに感覚系技能がお得なセットメニューになっている。そのため、サバイバリティを向上すべく、前衛系キャラにローグを混ぜる人も少なくない。参考まで。

 

 

 

 

 <特技>

 技能に恵まれたローグではあるが、《特技》に関しては恵まれているとはいえない。というのも、上級クラスに付くための条件を除けば、ほとんど自動的に決まってしまうからだ。

 まず、なんとかして《イニシアチブ強化》を習得したい。
 ローグにとって相手の先手を取れるというアドバンテージは果てしなく大きい。また、単騎偵察に出たとき、ばったり敵と出くわすようなハメに陥ってもイニシアチブが早ければ無傷で逃れることが可能になる。

 ついで優先されるのは戦闘系の《特技》だろう。<技能>が仕事の中心なのだから《技能熟練》 で達成値を上げる手もないではないが、《技能熟練》はあまりにコストパフォーマンスが悪い。それなら戦闘面を強化して金を稼ぎ、<技能>を補佐するアイテムを買う方が効率がいい。
 ローグに有効な戦闘系《特技》は、《回避》から始まる一連の防御系《特技》か、《近距離射撃》から始まる射撃系《特技》のいずれかを選択することになるだろう。本当なら両方ほしいところだが、それをするには少々《特技》数が足りない。《攻防一体》系の《特技》(足払いや武器落としを強化)もローグらしくて良いのだが、有効な相手が限定されるのが少々困る。その点、《回避》系であれば自由な位置取りが可能になるので挟撃しやすくなるし、射撃系は単純に命判、ダメージ、攻撃回数を増加できる。どちらも有効なものなので、どちらをメインの戦法にするかによって決めていくといいだろう。

 なお、近接戦型であれば(武器は限定されるが)《武器の妙技》も良いだろう。基本攻撃ボーナスが+1必要とされるのでキャラクター作成時に修得することは不可能だが、君の【敏捷力】によっては命中率の大幅な向上が見込める。武器は軽い=低ダメージのものに限定されるが、「ダメージは急所攻撃で補う」と割り切ってしまえ。急所攻撃が効かない相手にはどうするのって?君は何のために<隠れ身>技能を修得したのかね?

 

 

 <装備>

 ローグとしての仕事を全うしようと思うなら、まず最初に君が買うべきアイテムは盗賊用具(30gp:p124)である。これなしでは<解錠><装置無力化>に-2のペナルティが与えられてしまう。序盤の低い技能値では-2は結構痛い。
 なお、盗賊用具には高品質のもの(100gp)もあり、こちらは各技能に+2のボーナスを与えてくれる。(*8)

 ほかにも引っかけ釘(1gp)+ロープはローグの活躍の場を広げてくれるだろう。できれば軽くて<縄使い>にボーナスを与えてくれる絹ロープにしたいところだが、そこらへんは財布と所持重量と相談ということになろうか。

 そしてもちろん、金があるなら技能強化型のアイテムを購入しよう。DMGにも有用なアイテムはたくさん示されているし、君のDMが3.5eへのコンバートを許してくれるなら「武器装備ガイド」には一般アイテムでも各種ローグ技能を手助けしてくれるものはたくさんある。もともと判定値の高いローグがブーツオヴエルブンカインドなんぞを履いた日には君のローグは偵察し放題、不意打ちし放題のスーパークリーチャーになること間違いナシだ。買うしかねえ。

 

 さて、ローグとしての能力をすべて活用することを考えると、鎧は軽装鎧まで(それもできれば判定ペナルティの極力少ないもの)に抑えたい。鎧による判定ペナルティはローグに重要な技能である<隠れ身><軽業><忍び足>などを減少させる。また、ローグはそもそも軽装鎧にしか習熟していないし、移動力が落ちると位置取りにも不便なので、それ以上重い鎧や盾を持つのは得策ではない。よって、達成値の低い序盤では、判定ペナルティのないレザーが賢明だろう(前衛に頻繁に出ることになりそうで、かつ金があるならスダデッド・レザーorチェインシャツでもいいが)。

冒険後、金が入ったなら、なるべく早く高品質の鎧に換えよう。高品質の鎧は元値+150gp(PHBp123)で購入でき、判定ペナルティを-1減少してくれる。これを利用すればバックラー(など)をペナルティ0にして装備することも可能だから、(君の美的センスがローグに盾を持たせることを許すなら)こちらも併せて購入しよう。また、DMG所収のミスラル製の鎧は材料の特殊能力として「鎧の種類を1ランク軽いものとみなして良い」ということが明記されている。すなわち、ミスラル製ならブレストプレートまでは装備してもローグの邪魔にならないということになる。少々値は張るものの、検討する価値は充分あるのではないだろうか。

 武器はp56にローグ用武器として指定されたものがあるので参照のこと。序盤ならショートソードかレイピア、そして(金があるなら)ショートボウでいいだろう。前2者には《武器の妙技》も適用できる。参考まで。

ちなみにショートボウなどの射出式の飛び道具は、ダメージに【筋力】のボーナスは付かないのにペナルティはしっかり付いてしまう(PHBp8)。なので、【筋力】の低い人はクロスボウが良いのだが、こちらは(矢の装填に移動相当アクションが要求されるため)《速射》特技による連射ができない。うーん微妙。【筋力】が高いなら《早抜き》 を取って手投げ武器(ジャベリンやダガー)という選択も充分アリなのだが。

なお、素手ないしサップ(いわゆるブラックジャック。砂を詰めた靴下とか)なら急所攻撃を非致傷ダメージにすることも出来る(PHBp56)。誘拐や奴隷狩りを生業とするローグはぜひ。

 あと、金に余裕が出来たら各種回復アイテム(キュア・ライト・ウーンズポーションなど)を買うようにしておこう。ローグがhpに劣るから、ではなく、「範囲型攻撃呪文や奇襲をうけても死ににくいから」がその理由である。つまり、回復アイテムをもつ君の任務は「一撃で倒れてしまった回復役を回復させること」だ。回復呪文に富むクレリックの生死は、そのままパーティの生死に繋がるといっても過言ではない。『最後の切り札』として、最低1つはこの手の回復アイテムを持とう(そうやってクレリックに恩を売っておくことで、君は恒常的な回復力を手に入れる事が出来るのだ。安い投資ではないか。エビでタイを釣ることこそが、知恵に生きる君の使命なのである)。

 

 

 <キャラクターメイキング&将来設計>

 さて、これらの特徴を踏まえて実際のキャラクターメイキングを考えてみよう。

 まず種族。これはエルフかハーフリングが良いだろう。両種族はローグにとって最も重要な能力値である【敏捷力】に+2のボーナスが付く。また、エルフは感覚系技能に種族ボーナスを持っているし、夜目も効く上、ロングボウを使うことが出来(ローグは普通ショートボウの習熟しか持っていない)、隠し扉発見能力(なんと近くを通っただけで発見する可能性がある!)をも有している。地味ながら、この「夜目が効く」という特徴は、暗がり(特にダンジョン内)での闘いに非常に有用である。前述したように視認困難な状態、すなわち「かなりの暗闇」より暗いところでは急所攻撃が出来なくなってしまう(*9)からだ(PHBp133)。一方でハーフリングはACと<隠れ身>にサイズボーナスを、<忍び足><聞き耳>に種族ボーナスを得ることが出来、また投擲武器やセーヴィングスローにボーナスを得られる一方で、移動力がやや低い(基本20ft)という特徴がある。ローグ能力の向上を考えるなら前者、戦闘能力(とくに生存能力)を考えるなら後者といったところか。
 例によって<技能>ポイントと《特技》を余分にもらえる人間でも良いのだが、各種種族ボーナスほどの効果があるかどうかは微妙なところ。とはいえ各種クラスブックを利用することまで考えると特技の重要性は高くなるので、特技を使っていろんなことをしたいなら(つまりは《追加hp》 とかに特技を使わないと約束できるなら)人間は充分アリな選択だと思う。

 

 

 能力値であるが、優先順位としては 

【敏捷力】>【耐久力】>【知力】>【判断力】>【筋力】【魅力】

  といったところだろうか。

 各種ローグ技能の判定には【敏捷力】が要求されることが多いし、装備によるACの低さをカバーすることも可能になる。他クラス(特に戦闘系クラス)では【知力】がないがしろにされることも多いが、もらえる技能ポイントが減少するとローグとしてのアドバンテージが得られない。最低でも±0,できれば+修正がつく程度の能力値を割り振っておきたい。【判断力】は下位に入っているが、感覚系技能の判定基本値として使われたり、低くなりがちな意志セーヴの基本値にもなる事に注意。近接戦をメインにするつもりなら【筋力】の順位をもう少し上に置いてもいいかも知れない。

 ただ、ローグは他クラスとのマルチによって大きく強化され得るクラスなので、できれば将来設計を考えてから能力値を割り振るようにした方が良いだろう。
 たとえばウィザード/ソーサラーとのマルチを考えているなら【知力】/【魅力】を12以上にしておくとか。こうして組み合わせるなら技能がたくさんもらえるよう【知力】を優先してウィザードとマルチする方が賢明だとは思うが。

 

 

 最後に。

 ローグはマルチクラスを考えずにただひたすらローグ道を邁進しても強力だし、他クラスを混ぜても強力になる、という希有なクラスである。秘術魔法使いと組み合わせて急所攻撃を強化してもいい(遠隔接触呪文による急所攻撃は脅威である。命判が接触判定で良いのだから。ほかにも不可視化や命判の強化、行動力の増加など、とれば有利になる魔法は枚挙にいとまがない)。バーバリアンの機動力+高いHPとの組み合わせも相性がいいし、モンクの防御力&多数回攻撃力も捨てがたい。同様にレンジャーの二刀流も急所攻撃と相性がよいといえる。《特技》を強化する意味でファイターとマルチクラスしてもいいし、いっそ隠密行動能力を捨てて盾と鎧で重装備にしてしまう事も可能だ(武器や鎧は急所攻撃に影響を与えないのである。また、<聞き耳><捜索>などローグの「仕事」の大半には鎧のペナルティは影響しない:*10)。クレリックとは多少相性が悪い(互いの長所能力を生かしにくいという意味で)かもしれないが。

 よって、マルチクラスするならパーティに足りないものを補う形で成長させるといいだろう。もちろん、各種クラスブックにはより強力なローグ用上級クラスがある。各種レビューなんかを参照にしつつ、自分がなりたいローグの方向性を探っていて欲しい。

 え?どんなローグにしたらいいかわからない?



 よろしい。
 以下には当サイトに集いし猛者たちが作り上げた1レベルローグたちが示されている。 
 自らの経験から、さまざまな状況に対応できるキャラクター構成と装備を知っている彼らは、役割別、出来ること別に最適であろうと思われるローグを構築し、本サイトに投稿してくれた。

    

Hall of Rogue

 もし君がローグの作成に困ることがあったら、まずはこちらをご参照いただきたい。
 これらはすべて1レベルのキャラクターであり、各ページをそのままプリントアウトすることでPCとして利用できるよう作成されている(ただし一部のキャラクターはフレーバー的データ(身長・体重など)は空欄のままになっている。この辺はルールを参照しつつ自分で埋めてほしい)。これらのキャラクターにはいずれにも得意とする戦術や「やるべきこと」が記載されており、プレイングの際にも大いに参考になるはずだ。
 君はこれらのキャラクターをもちろんそのまま使ってもいいし、特技や技能、装備を入れ替えて使っても良い。
 まずは「習うより慣れろ」。いろいろなキャラを試して、自分にとっての最適解を見つけて欲しい。

これらのキャラクターはいずれも
   能力値:28ポイントでの購入形式
   所持金:各クラスの最大値
   使用ルール:PHB,DMGのみ

 というRPGAの推奨するグレイホーク・キャンペーン用レギュレーションに基づいて作成されています。




 

 

6歩目:基本クラスの3 クレリック

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 <注>
*1:DMGや各種クラスブックには急所攻撃持ちの上級クラスがたくさんあるのでご安心を。
*2:魔法の場合には「命中判定を必要とする魔法(遠隔接触呪文とか)」という制限がある点に注意。つまりレイオブフロストなら可だが、マジックミサイルは不可ということだ。これは急所攻撃が「敵の急所を狙って当てる」攻撃だからであろう。
*3:〈はったり〉を成功させたものの攻撃に対してのみの効果である点に注意。君が誰かにフェイントをかけても、その相手に接敵してるファイターが利益を受けることはないのである。
*4:3.5eではフェイントは近接戦専用になってたよぎゃー!モカごっつあんでーす!
 
ちなみ本文でも述べたように、フェイントの強化には《フェイント強化》 がPHBに収録されているほか、Races of FaerunやDragon誌、大全シリーズ(クラスブック)にはよりローグを強力にするクラスや《特技》が掲載されてたりするので興味のある人はどうぞ。
*5:このへんの事情はアーチャーを極めよ!企画に詳しい。3e用記事の上、上級者向けの内容だが、ひまな人はこっちもチェックしてみよう。
*6:騎乗突撃に成功してダメージが増加した際、急所攻撃ダメージまで増加することは無い、という点に注意;武器のダメージとSTRや魔法による固定追加ダメージ(=ダイスロールするダメージは不可)ならば増加できる
*7:この能力のおかげで世のウィザードたちは反射セーヴに頼らずに済む(代わりに効果の今ひとつな)呪文を修得しなければならなくなった。つーかダメージなしはありえねえだろ。せめて1/4とかにしてくれえ。
*8:「武器装備ガイド」には、このほかにも各種<技能>にボーナスを与えてくれるアイテムがある。このサプリメントは面白いので、持ってない人は是非。3e用サプリだけど、DMを拝み倒して使わせてもらおう!
*9:急所が判別できなくなるから、ということだろうが、暗がりで急所を突いてくるのがローグではないかという気がしないでもない。ともあれ、このルールのおかげでウィザード達はローグ対策としてブラーを用意することが多い。
*10:《鎧習熟》 のある鎧に関しては。《鎧習熟》 のない鎧を着けている場合は、通常ペナルティを受ける技能に加え、〈騎乗〉〈解錠〉〈装置無力化〉などの各技能にもペナルティが加わる(p99《鎧習熟》解説参照)ので、「重装ローグ」を目指すならファイターなどとマルチクラスするのが良いだろう。もっとも〈軽業〉に影響を受けるし移動力も落ちるので接近戦型ローグは少々苦しいかもしれないが。
*11:それぞれ3.5eで4lv、8lvに変更になりましたよギャー