TOP13忍者プレイリポート>第11話 「災厄の村」

CDS:PE&レインボー合同
D&Dサード プレイリポート企画
13NinjaTitle

第11話 災厄の村

2004/05/12
by B.M

マスター&ライター:B.M
本文イラスト&写真:だいすけ@IMR書記長【鬼】
プレイヤー:石川(ウエスト)、ヤモンのせい(ヴァロック)、だいすけ(アブロ)、ダンナ(ノインガム)、ルトガー(フォンス)
[敬称略、順不同]


in調理室

調理室からこんにちわ、BMです。
えー、かなりご無沙汰してしまいました。
13忍者の続きをやっとお届けすることができます。
今回はかなりスピードアップして書きますんで話が一気に進む……予定!


**シナリオのネタバレがありますので**
**アナタのグループのDMに確認してから**
**お読みください**








[登場人物]
 ※画像をクリックすると詳細な説明が見られます(無いキャラもあり)
アブロ
アブロ
〜偉大なる小悪党〜
人間
ローグ【6LV】

キャラクターシート
 ローグならではのスキルでパーティを牽引する案内役……とはいえ、広いダンジョンは苦手のようだ(笑) イザとなれば敵にも、もちろん味方にも気付かれずに宝を盗み出す凄腕の男。
ヴァロック
シスコン
〜シスコン僧侶〜
人間
“デルソフィ”を信仰するクレリック【6LV】

キャラクターシート
アイテムシート
 《Extra Turning/退散回数追加》とディヴァインフィートを取り、小技も利くクレリック。全般的に高い能力値を持つため後衛の防御戦闘も行える優秀な駒である。〈Spot/視認〉や〈Listen/聞き耳〉が苦手で大事なことに気付かなかったりする。
 …問題は常にかぶっているグレートヘルムか…
ウエスト
善でない
悪の善ではない魔術師〜
人間
ウィザード【5LV】・エイリアニスト【1LV】

キャラクターシート
 ヒプノティズムによる幻惑や膨大な〈Knowledge/知識〉によるサポートがメイン。戦闘では《サモン強化》のフィートで強化された犬軍団を統率する、犬将軍。
 「60の夏」研究を進めるうちに禁断の邪悪なる呪文に手を出したと言う噂だが…
 ファミリアは「いかめし君」(謎のコウモリ風生物)
ノインガム
ネチャライ社長
〜ネチャライ社長〜
人間
“ダラナーラ”を信仰するドルイド【6LV】

キャラクターシート
 『サモネチャライ!』で戦場を掻き回すのが得意。お供のロクナント(ヴァイパー)の”攻撃表示”によるサポートもこなす。ヒマがあればグッドベリーでパーティの飢えを満たす。
 口癖は『俺のターン!』『ネチャラーイ!』
ケイト
なんですのん
〜オークハンター〜
(NPC)
人間
レンジャー【6LV】

キャラクターシート
 とにかくオークに恨みを持ち、オークを殺すことに生涯を捧げる生レンジャー(ありえない)。必殺技はオークを捕まえて”Take20で朝まで〈Intimidate/威圧〉”すること。普段ののんびりっぷりと殺戮の宴を始めた時の変貌っぷりで”ランチさん”と呼ばれることになった。
 口癖は『なんですのん?』
ヘンウェン
電波さん
〜電波さん〜
(NPC)
人間
ドルイド?

 ???
フォンス

NOW
PRINTING

〜超絶美形吟遊詩人〜
人間
バード・ソーサラー

 ???





[目次]
§11−1 オシントンにて
 吟遊詩人フォンス
 長老マードゥス
 襲撃
 ヘンウェン

§11−2 遺跡巡り
 警戒移動
 巨大塚
 地下
 セスナー将軍







[本編]

§11−1 オシントンにて
謎の騎士
庄屋
の攻撃をかいくぐりながらオシントン村に到着したアブロヴァロックウエスト、それにケイト
オシントンは深い森の中にひっそりと佇む小さな村だった。
果たして、ここに“木の化け物 = トゥイッグ・ブライト”の情報はあるのだろうか?

BM『オシントンは、石の塔のようなものにグルリと周囲を囲まれた小さな村です。畑もあるようですが、農作業をしている様子はありません。また、食事時なのに煙が上がっている様子もありません。なんだか静かで、重苦しい雰囲気の村です』
ヴァロック『やっぱりなんかあったのかなぁ』
アブロ『儲からなさそうな村だなぁ……』
ケイト『オークもいなそうですね(寂)』
ウエスト『さーて、ちょっと声をかけてみるか。……ええーと……ブロックさんのお知り合いの方はおらんかねーー?』
BM『すると、向こうの方から農民達がワラワラと寄ってきます。みんな、やせ細って栄養失調のような感じです』
ウエスト『――ブロックさんの知り合いはおらんかね?』

呼びかけるウエストの元にやってきた年老いた男は、よろめきながらこんなことを言った。

農民A『……旅の御方……なにか、食べ物をめぐんではくれんだろうか?』
ウエスト『いや、そうじゃなくてブロックさんを……』
ヴァロック『おい、話が通じて無いぞ(笑)』
農民A『何でもええです、贅沢はもうしません。葉っぱでも、腐った肉でも……』
ウエスト『もしもし、ブロックさんの……』
農民B『いや、いや、ワシに是非……』
農民C『いや、ワシの方に!』
農民A『わしゃあもう何日も水しか飲んでおらんで……』

農民達は一行を取り囲んで騒ぎ始めた。

アブロ『囲まれたな』
ウエスト『埒が明かんな。おーい、長老はおらんのか?』
農民D『あっ、あっ、それなら私が案内しますんで、何か食べるものを!』
農民E『ああっ、きさま!、抜け駆けしやがって!』
農民F『てめぇ!』
農民D『なんだと!』

乱闘すら始まる始末。
辺りは騒然とし始めた。
なんだかめんどくさいことになりそうな雰囲気だ。


吟遊詩人フォンス
アブロ『……ま、そんな騒ぎはほっといて、大きい建物を探そうぜ』
BM『ほっとかれた(笑)(……相変わらず義理や人情の無いパーティだなぁ)』
ウエスト『こいつら邪魔だから〈Intimidate/威圧〉でも使うか?(笑)』
ケイト……何人か斬ってもいいでっしゃろかねぇ?(ボソリ)
ウエスト『わーー、それはダメだ、めんどくさいから……ま、しかし、食べ物が無いというのはかわいそうなもんだな【無表情】』
ヴァロック『少し食料を分けてやるか?』
ウエスト無駄なことを……(ボソリ)
ヴァロック『なんか言ったか?(笑)』
ウエスト『いやいやいや』

――と、そこへ流れてくる綺麗な旋律。
不思議に心が落ち着くメロディが辺りを包んだ。
音を辿っていくと、その中心にはリュートをつまびく男がいた。
まるで彫刻のように端整で華奢な顔をし、多少色あせているが優雅な服に身をまとっている。
男の口からは流水のように滑らかな歌がほとばしっている。
気が付けば、先程まであれほど暴れ狂っていた農民たちは、いつのまにか棒立ちになって歌を聞いていた。

BMの浅知恵袋>
 ……などと
格好良いことができるのが「バードの呪歌(じゅか)」です。歌を聴かせ、それによって対象を勇気付けたり、恍惚とさせたり、いろいろなことができます。
 感情に働きかける能力なのでアンデッドやゴーレムなどには効果がありませんが、このように暴徒の群れにかけるのは有効な使い方の一つでしょう。
 うまく使えば面白い能力だと思います。


ウエスト『むう……これは“呪歌”だな(〈Spellcraft/呪文学〉成功)』
ケイト『随分とハンサムさんですの〜』
アブロ『上手な歌だな。……じゃあ、俺も昔取った杵柄でひとつ……』
ヴァロック『お前はやめとけ』
アブロ『……元旅芸人なのに……』

その男は一行に向かって手を差し出すと、ペコりとお辞儀をした。

フォンス『どうも……こんにちわ、みなさん。私はフォンスと言います(歯がキラリ)』
ウエスト『はじめましてフォンスさん【棒読み】』
アブロ『我々はブレイジングデルから来た【棒読み】』
フォンス『ほう?』
ウエスト『そして私は男性だ【棒読み】』
フォンス『いやいやいや(笑) なんで、そんなに棒読みなんですか!』
アブロ『そして私は人間だ【棒読み】』
フォンス『いや、正直うるさいです』
ヴァロックそして私の兜は魔法の品物だ!!【絶叫】』
フォンス『いや、そんな説明はいらないから(笑)』

ハンサムを妬むのは世の男の常というもので……
PCはその後もしつこく自己紹介を続けたが、全部書いてると日が暮れるので割愛。

フォンス『……ほう……すると、ブレイジングデルをオークから救ったっていうのはアンタ達のことだったのかい?』
アブロ『正確には違うがな。まぁ、そんなとこだ』
フォンス『なんでも“オーク叩き”っつー剣で大活躍したらしいな?』
ウエスト『まぁ、そんなような、そんなようでもないような、そんな感じだ』
アブロ『剣を見つけたのは俺達だしな』
フォンス『ほぉ。そいつは凄い。本物の勇者、ってわけだな』
アブロ『まぁな……。ところで君、良い身体してるね。ウチのパーティで戦わないかい?(笑)』
ウエスト『国を守ってみないか?(笑)』

実はこのパーティは前衛分が不足していたりする。
まぁ、バードを仲間にしても不足したままの気がするのだが……

フォンス『そうだね。私は、私の行きたい所に行く。私の行きたいところが君たちの行くところと同じなら、一緒に行くよ』
アブロ『むぅ、それは残念』
ケイト『残念ですのん……』
ウエスト『うわ、早速よろめいてる奴がいるぞ(笑)』

……と、ケイトが思わず頬を染めるほど、フォンスは美形な吟遊詩人だった。
どれくらい男前かというと具体的にはCharisma 【魅力】 18
フォンスのおかげで件のブロック(殺された農民)は食料の買出しに出かけたところだった、と分かる。
さすがバードだけあっていろんなことを知っているフォンス
旅の途中でオシントンに立ち寄ったら、騎士のおかげで村から出れなくなったという。
彼が長老のマードゥスの所に案内してくれることになった。

BM『えー、村の中を歩いていて分かるのは、この村がやばいくらい貧乏だ、ってことですね』
アブロ『シケてんなぁ』
BM『えー、そんなシケた村の間をぬって歩いてですね。この村で唯一の2階建ての建物に辿り着くわけです』
フォンス『ここです。……おーい、マードゥスさん! 旅の方ですよぉ〜』

フォンスの呼びかけに応じて、神経質そうな60ぐらいの小男が出てきた。
あちこちを落ち着かなげに見回しながら、皺の刻まれた顔と落ち窪んだ目で一行をジロジロと眺めだした。

マードゥス『これは珍しい……客人か』
ウエスト『うーん、果たしてこいつが何かを知っているのだろうか』
BM『まぁ、知っているかどうかは別として年老いてはいますね』
ヴァロック『別なのかよ!』


長老マードゥス
長老の家の中に案内された一行。
粗茶ならぬ粗水が出され、自己紹介が一通り済んだ。
フォンスはフラリといなくなった。

アブロ『……よりによって水かよ…(ごくん)…しかもマズい……』
ウエスト『えー、我々は、ブレイジングデルから調査隊として派遣されました(大嘘)』
マードゥス『ちょ、調査!?(ちょっと嬉しそうな顔になる)……何の調査ですか? オシントンの?』
ウエスト『いや、そういうわけではない』
マードゥス『(がっかりしながら)……そうですか……。おお、そういえばブレイジングデルはオークの集団によって滅びたと聞きましたが?』
ウエスト『滅ぶ寸前で我々が防ぎました』
アブロ『我々の活躍でね』
マードゥス『ほほ〜、それは見事な……』
アブロ『ていうか俺の活躍によってね』
マードゥス『(うるさいなこいつ……)ところで、村の入り口で何か騒ぎがあったそうですが?』
アブロ『なんか、食料をたかられたよ』
マードゥス『それは申し訳ない。今は村がチト厄介ごとに巻き込まれていましてな。旅人にご迷惑をおかけしては申し訳ない……なにか揉め事が起きる前に、どうか村を離れてくだされ。その、オークの調査とやらの仕事があるのでしたら』
ウエスト『いや、ま、オークの調査じゃないんだが……』

マードゥスは首を振り、悲しそうな顔をした。

マードゥス『あなた方の役に立つような情報は……ここには無いと思います。この辺にはオークも出ませんし……』
ケイト『(がちゃん、と、水の入ったコップを取り落としながら)……い、い、い、いないんですのん!!?
マードゥス『(剣幕に押されながら)いません、いませんから大丈夫です』
ケイト『…………ふわぁ〜(呆然) ……私、帰らさせていただきます……』
アブロ『まあまあ、大丈夫だ。多分植物がいるから』
ケイト『ま、まぁ、それなら……』
ウエスト『そうそう、その「植物」なんだよ。この辺で植物の化け物が出ると聞いたのだが……』
マードゥス『植物? いや、我々が困っているのは別のものなんじゃが……』

ここで、ウエストがトゥイッグ=ブライトの外見を語って聞かせた。

マードゥス『ふむ?。……おお、アレのことか!! あれじゃ!あれじゃ!』
アブロ『知っているんですか!』
ウエスト『キ●ヤシさん!』
アブロヴァロック『なんだってぇぇーーーっ!(AA省略)』
マードゥス『……我々は……とんでもない思い違いをしていたのかもしれない……』
ウエスト『いや、思い違いじゃ困るんだが(笑)』
マードゥス『もしかして、あの、性悪のエルフどもが襲撃に使う、アレのことじゃあるまいか?』
アブロ『だとしたら大変なことですよぉぉ!』
ヴァロック『なんだってぇぇーーーっ!(AA省略)』

やかましい。

マードゥス『実は我々の村は悪いエルフの襲撃を受けていましてな。奴等が襲撃の時に使うのが、その、大きな植物の化け物なんじゃよ』
ウエスト『エルフねぇ……そんな形跡あったか? ケイトよ?』
ケイト『はぁ……よく分かりませんですのん』
アブロ『植物は嫌いだけど、エルフは嫌いじゃないんだ?(笑)』
ヴァロック『レンジャーなのにエルフ知らないのかよ(笑)』
ケイト『はぁ……エルフって、なんだかとても潔く死ぬからあんまりいたぶり甲斐が……』
ヴァロック『わーー、聞かなきゃ良かった(笑)』
アブロ『ひぃぃぃ』
ウエスト『ええい、まぁいい。そのバケモノを誰か見たものがおるのかね?』
マードゥス『はぁ。エルフと一緒に村を襲ってきたことがありますです』

マードゥスの話によると、エルフが襲ってくるようになったのは何ヶ月か前からだと言う。
村の北西の方にいるエルフが、オシントン村を襲ってくるのだと。

アブロ『その時は、どうなるのかね?』
マードゥス『いやぁ、そりゃあ、私のような者は逃げ惑うばかりですじゃ。村の若いもんが、ささやかな抵抗ぐらいはしますが』
ウエスト『どんな攻撃をしてきた?』
マードゥス『遠くから矢を射かけ、植物のバケモノが村の中で暴れ狂い……それは悲惨な有様じゃて』
アブロ『え、どうやって撃退したの?』
マードゥス『撃退なんて、とてもとても。ただひたすら戦闘が終わるのを待つばかりじゃよ』
ウエスト『なにかエルフに恨まれるような心当たりはあるのか? どこかの木を切ったとか?』
マードゥス『そりゃあ……生活するのに必要な分の木は切るがのう……』
ヴァロック『だって、今まではそうやって生活してて、何も起きなかったんだろう?』
マードゥス『その通りで』
アブロ『この村は古いのか?』
マードゥス『へぇ。我々は昔から木を切って生活してきたのです』
ウエスト『うーん、するとエルフの方がこの森に流れ着いたとか……??』

ここで、突如として身を乗り出して大声を出す長老。

マードゥス『いやいや、しかしな。わしゃあ、全てのことの起こりはあの「騎士」だと思っとるんじゃ!』
ヴァロック『騎士!?』
マードゥス『そうじゃ。あの騎士がやってくるようになってから、全てが変わってしまったんじゃ!』

思わず目を見合わせる一行。
マードゥスによると、数ヶ月前にこの付近に鎧を着た「騎士」が現れたのだという。
「騎士」はあちこちを徘徊し、であった村人を容赦なく切り殺すという。
騎士が徘徊する場所とは森の中、そして森に点在する遺跡や名跡の類。
それは風化しかけた巨石の集まりである「静寂の番人」、丘に描かれた地上絵である「赤馬」、古い神々を祀った「教会堂」、それに偉大なる英雄が眠るという「巨大塚」などであるという。

マードゥス『騎士が現れてすぐに、エルフの攻撃が始まった。わしは、何かこの2つに関係があると睨んでおるんじゃ』
ウエスト『えーと、どんなエルフだったのかとか……分からんのか?』
マードゥス『ううむ、そう言われても……おお、そうそう、奴らの使っている矢がありますが。これで何か分かりますかのう?』

マードゥスは折れた矢を差し出した。

ウエスト『これって、どの〈Knowledge/知識〉?』
BM『なんか、それっぽいものあります?』
ウエスト『うーん、無いなぁ……』
BM『バード知識も無いですよね? じゃあ生INTで』
アブロ『6!』
ヴァロック『1!』
BM『は? えー、じゃあこれは「矢」! 矢に間違いない』
ウエスト『10』
BM『えーと、つくりの良い矢ですね。高品質な矢じゃないかと。ウエストにはそれぐらいしか分かりません』
マードゥス『なにか……分からんかのう?』
ウエスト『(当然だ、という顔をしながら)これはエルフの矢だな……
マードゥス『おおお、本当ですか』
ウエスト『(矢を持ち上げて眺めながら)ああ、この矢羽根の形に特徴がある【真面目な顔で】』
ヴァロック『でまかせくせぇ!(笑)』
ウエスト『で、そのエルフってのはどんな姿格好だね?』

マードゥスの話を総合すると、どうもワイルドエルフと呼ばれる種族らしいということが分かった。

BMの浅知恵袋>
 「ワイルドエルフ」というのはエルフの亜種です。その名の通りワイルドで(笑)、普通のエルフよりも好戦的で血気盛んな種族です。


ウエスト『まさに……これはワイルドエルフの矢だよ!』
ヴァロックアブロ『なんだっ(略)』
アブロ『ふうーむ。ところで、エルフと騎士が同時に出たってことはないのかね?』
マードゥス『さぁ……村には同時に来たことは無いと存じますが……』
アブロ『エルフに殺されれば矢傷だろうし、騎士に殺されれば切り傷だよね?』
マードゥス『おお、そう言われてみればそうですのう』
アブロ『両方のタイプの傷が同時にあったら……それは、同時に出たと考えられるよね?』
マードゥス『そう言えば……そのようなことは無かったですのう』
ウエスト『それにしても、なんでこんな貧乏な村を襲うんだろうな?』
アブロ『うーむ……』
ヴァロック『えーと、僧侶の俺としてはさっき言ってた「教会堂」が気になるんだけどさ。それってどこにあるの?』
マードゥス『村に入る前に見えませんでしたか?』
ウエスト『ああ、あれだろ。あの古い祠みたいの。俺達がスルーしたヤツ』

10話参照。

アブロ『ああ、なんか中で祈ってる人がいたような……シャーマンみたいな人』
マードゥス『ああ……「あの方」ですね。あの方はヘンウェン様と申しまして。毎日、日が昇ると共にあの祠に入り、日が暮れるまで中でなにやら祈っておりますです』
ヴァロック『どういう由来の祠なの?』
マードゥス『さぁ……わしはそこまでは知りませんで……なんでも、とても古い、今ではいない神様を祀っておるとか……』
ヴァロック『いない神? ってことは俺とは関係無さそうだが』
ウエスト『その、ヘンウェンという人はどんな人だね?』
マードゥス『どんな、と、言われましても……まぁ、僧侶様のようなのですが……なんだかちょっと変わったところのあるお方で。なにやらいつもアチラの方の世界と話しているようなお方です。詳しくは知りませんで』
ウエスト『あちらのせかい?』
マードゥス『……はぁ……なんでも……古き神々とかなんとか……』
ウエスト『(ピカーン ←電球が点いた音)……ニヤリ』
ヴァロック『なんか閃いてるぞ(笑)』

他の遺跡についてもマードゥスから話を聞く。
言い伝えや、場所について。
聞きながら場所を地図に書き込むヴァロック(パーティの資料係)。

ウエスト『ふーむ。他にこの町に物知りな人はおらんかね?』
マードゥス『はぁ……塔に住んでおられる賢者のダイソン様がおりますが……』
アブロ『行ってみるか』
マードゥス『へぇへぇ……では、案内いたします……』

長老は重い腰をあげ、戸口へと向かった。


襲撃
BM『……と、マードゥスが君たちを案内しようと小屋の外に出た瞬間、空を切り裂く“シュッ”という鋭い音が響きました』
ヴァロック『なんだ? 何が起こったんだ?』
ケイト『なんですのん!?』
ウエスト『あーあ』
アブロ『ご愁傷様』
BM『はやいなぁ(笑)。まぁ、その通りなんですが。どこからか放たれた矢が、マードゥスの心の臓を貫きました』
マードゥス『ううううーーーっ!(バタリ)』
BM『マードゥスは、何かを言いたそうにヴァロックの方を見つめると……そのままガクリと首をうなだれました』
アブロ『毒かな?』
BM『いや、心臓貫かれてますからねぇ』
ヴァロックキュアかけるかなぁ』
BM『イニシアチブいきましょう』

まだ姿が見えない襲撃者との戦闘が始まった。

ヴァロック『よーし、俺か。これはもうウィンドウォールだな』
BM『わー、マニアックな呪文おぼえてやがるなぁ(笑)』
ヴァロック『こうやって……全員が入るように囲むわ』
BM『ほほう……(ちぃっ、これでもう射撃は通らんな)』

ウインドウォール

BMの浅知恵袋>
 ウィンドウォールは風の壁を作り、射撃を遮断する呪文です。このシーンのように、遠くから矢を撃たれているような時にはとても役に立ちます。
 ……つーか、よくこんなスペル持ってきてたなぁヴァロック……


アブロ『うーん、〈Spot/視認〉するか。矢が飛んできた辺りに(ころころ)』
BM『えーと、向こうから鷹が飛んできたようです』
アブロ『鷹だー……で、ケイトはどうすんの?』
ケイト『待機します』

フクロウや鷹が現れ、一行を攻撃し始める。

ケイト『じゃあ、近くの鷹を5フィートステップから全力攻撃で切ります……当たり、当たり、当たり』
BM『鷹は落ちました』
ウエスト『今日も当たってるねぇ!(笑)』
ヴァロック『つーか、このパーティってケイト以外ロクに当ててないよな(笑)』
アブロ『えぐり込むようにスニーク……22点』
BM『あー、そっちの鷹も落ちました』
ウエスト『落ちてどうなった?』
BM『消えました』
ウエストサモンだったか。よし、これで当面の危険は去ったな……よし、自分にシールド
ヴァロック『シールドかよ!(笑)』
ウエスト『だって死んじゃうもん!』

襲撃者は去った模様。

ウエスト『よし、じゃあ矢を撃って来た方向へいかめしを飛ばそう……飛べ!向こうの方を探って来い』
いかめし『イエッサー!』
ウエスト『4倍速で行け……えーと、どうなるの?』
BM『まぁ、《Track/追跡》が無いと普通に追いかけるだけですが……とりあえず〈Spot/視認〉で』
いかめし『(ころころ)……マイマスター!』
ウエスト『どうした?』
いかめし『見失いました!』
ウエスト『……そこでヒンズースクワット2000回やってから帰って来い』
いかめし『私の脚は2000回に耐えられません。過ぎたるは及ばざるがごとし、です』
ヴァロック『何言ってんだ(笑)』

マードゥスの死体を調べる一行。

ウエスト『むうう……この、矢は……やはりワイルドエルフのものだな!【したり顔で】』
ヴァロック『本当かよ!(笑)』
アブロ『村人その辺にいないかい?』
BM『こっちにフォンスがやってきましたよ』
フォンス『大変でしたねぇ』
ヴァロック『むう……そういや、君はこの辺の遺跡について知らないかい?』
フォンス『もちろん知っていますとも』
アブロ『じゃあ、聞かせてもらおうか、その長い物語を』
ウエスト『世界の始まりからな』
フォンス『……そう……世界は、最初は混沌とした一つの塊で……その塊から最初の神が大地をつくり……』
ウエスト『長いよ!!(笑)』
ヴァロック『聞いたのアンタでしょ(笑)』
フォンス『ま、この辺りの事なら……ヘンウェン様の方が詳しいかもしれませんね』
ウエスト『ああ、教会堂で祈ってるっていうちょっとアレな人か』
アブロ『どんな人なの?』
フォンス『まぁ……ちょっと、捉えどころの無い方で(言い難そうに)』
アブロ『やばいのかな?』
フォンス『いやいや、我々には見えないものが見えている、とても凄い方ですよ。きっとイロイロなことを知っています』
アブロ『……ウチのパーティにもいますよ、そんな奴(ボソリ)』
ヴァロック『じゃー行ってみっかぁー』

一行はフォンスの案内で教会堂のヘンウェンに会いに行くことにした。


ヘンウェン
教会堂の中の壁には様々な模様が刻まれ、四方の壁にはなにやら紋章のようなものがたくさんあった。
中で祈りを捧げていたのはボロボロのローブに身をまとった女性。
なにやら身体ににペイントをほどこし、髪を幾房にもたばねている。
肩には謎の、猫ともリスともつかないような動物が乗っている。
へん


ヴァロック『こんにちわー』
ヘンウェン『…………(儀式を続けている)』
ヴァロック『返事が無い――』
ケイト『――ただのしかばねのようだ』
ウエスト『それは無い』
アブロ『お祈りが終わるまで待つしかないか?』
ヴァロック『その生物って何?』
BM『どーぞ(イラストを見せる)』
アブロ『ド●バッキーだ!(笑)』
ウエスト『そのド●バッキーって俺の知ってる生物か? ……(ころころ)……〈モンスター知識〉で14』
BM『うーん、猫かリス、です。どっちかです
ウエストどっちなんだよ(笑)』
アブロ『どっちかって、どっちも違うじゃん(笑)』
BM『動物だから、〈Knowledge/知識〉じゃなくてINTで振ってもらってもいいですよ』
アブロ『えーと、15』
BM『猫とリス、ではないのは確かです』
ヴァロック『俺は16』
BM『うーん、猫のような、リスのような』
ヴァロック『さぁ、3つに意見が分かれたぞ(笑)』
ウエスト『動物のことならレンジャーですよ。ケイトは?』
ケイト『(ころころ)……あ、1が出ました……あれは犬ですのん(笑)』
ヴァロック『それが間違いだってことだけは分かる(笑)』

謎の生物はほっておいて、祠の中の「紋章」を調べる一行。

ヴァロック『それって、どんな紋章なの? 俺達の知ってるもの?』
BMヴァロックの知らない紋章だね。端から、「後ろ足で立ち上がったユニコーン」、「燃え上がる太陽」、「不気味なまでに美しい女性の顔」……といった感じで、最後は「空白」だ』
アブロ『はぁ、そんな感じね。確かに、俺らは知らないよな』
BM『宗教〈Knowledge/知識〉やってみ』
ヴァロック『無理だって……11』
BM『うーん、それなら、これらがとても古い神の「聖印」だと分かる。まあ、どれがどんな神なのかは分からないけれど』
ウエスト『たしか、「雷を握る手」が無かったよな』
アブロ『無かったね』

ここにあったのはヴァルカニアにおける「古い神々」の聖印。
つまり、通常のグレイホークの神々の紋章だった。
ユニコーンの印ががアローナを表し、以下ペイロア、ウィー=ジャス、ボカブ、ファラングン、オーバド=ハイ、オリダマラ、ネルル、そしてヴェクナ。
ヴァルカニアでは滅びてしまった9つの神が祭られていた。
10個目の聖印があるべき部分は空白となっている。

ウエスト『空白ねぇ……俺、なにか分からない?』
BM『〈Knowledge(60 Summers)/知識(60の夏)〉どうぞ』
ウエスト28!!
BM『28!? うーん、それでは、ウエストにはその“空白の部分”の意味がなんとなく分かりました。それは、決まった姿を持たず、言葉も持たず……全てにして一つのもの……あらゆる時間、あらゆる場所に存在するもの……それゆえに偶像を持たぬものです』
ウエスト『(盛大な声で)ニヤリ!!
ケイト『うわ、びっくりした。なんですのん?』
アブロ『なんだ、「ニヤリ」っていう神なのか?(笑)』
ウエスト『げっひっひ』
アブロ『なんだ、「ゲッヒッヒ」っていう(以下略)』
ヴァロック『うわー、ダメな人だー(笑)』
ウエスト『げひ』
ヘンウェン『……それに触れてはなりません!』

突如としてヘンウェンが叫んだ。

ヴァロック『わ、喋った』
ウエスト『ニヤリ!!』

ウエストヘンウェンの静止を振り切り、“空白の部分”に向かって祈り始めた。

BM『すると、ウエストの頭にはこんなイメージが浮かんできました――真っ暗闇、光る静かな水面、長い静寂の後、ポツリと垂れる一滴の滴……波紋が円状に広がり……そして消えていく――そんな感じの。なぜか、全身が恍惚感に包まれました』
ウエスト『……ニヤリ!!!』
アブロ『ダメな人だ』
ヴァロック『ダメな人だねぇ』
ケイト『変態さんですのん』
ウエスト『ニヤリ!!』
ヴァロック『いや、分かったよ!!(笑)』

一人で興奮するウエスト
儀式を中断したヘンウェンは眉間に皺を寄せて怒っている。

ヘンウェン『いけません! それは、崇拝してはいけない“もの”なのです。名前を出してもいけないし……考えてもいけないものなのです』
ヴァロック『なんだか俺もそんな気がするんだよなぁ(笑)』
アブロ『俺も(笑)』
ウエスト『げひ。……ところで、それって宗教知識では分からんのか?』
ヴァロック『あ、一応俺も』
BM『どーぞ』

2人のチェックで“空白の部分”について分かったことは
・遥かな昔に失われた(?)神であること
・配列から言って9神の中心となる一番強い神であること

ぐらいだった。

BMの浅知恵袋>
 変な神が出てきましたね。名前すら禁じられた古代の超神――これは通常のルールには無い設定で――まぁ、知っている人なら知っているというヤツなんですが。
 ヴァルカニアはグレイホ−クの世界です。が、既にグレイホークの神々はある理由によって全て滅んでいるのです。それはこれからの物語で明らかにされるでしょう……
 どうも、このパーティではウエストだけが「その知識」を持っているようです。

ウエスト『……ニヤリ』
ヘンウェン『あなたは……恐ろしい人です』
アブロ『合ってるなぁ』
ヘンウェン『あなたは、ここにいてはいけない人です』
ヴァロック『それも合ってる気がするなぁ』
ウエスト『ニヤリ』

笑みが絶えないウエストだった(笑)
それはさておき。
このウエストの行動がヘンウェンを怒らせてしまったらしい。
彼女は話をしてくれるどころか祠から一行を追い出す始末。

しかたなく村の中で色々と聞いて回った(例の“賢者”にも会ったが、期待外れだった)のだが、ここにはこれ以上「騎士」や「ワイルドエルフ」の情報が無いことが分かっただけだった。
ならば現地調査と言う訳で、一行は村の近くの遺跡群を巡ることにした。
そのうち木の化け物も出てくるだろー、っつーわけで。


§11−2 遺跡巡り

ヴァロック『さーて、どこから行くかね?』
ウエスト『と言っても、別に手がかりないしなぁ』
アブロ『騎士が出そうな所って分かる?』
フォンス『さぁ……遺跡に出るということくらいしか……』
ケイト『できれば、オークの出そうな所が良いですのん』
ウエスト『それはない』
アブロ『なんか、出る順番に規則性は無いの?』
フォンス『うーん……騎士が怖くて、誰もマトモに調べようとしてないらしいですからねぇ……』

村を出発することになり、荷物の点検を始める一行。
――と、そこへノインガムがフラリと現れた。
ネチャラァァァイ!!!!


ノインガム『やぁ、ネチャラーイ!(ドルイドの挨拶)』
ウエスト『ネチャラーイ!』
ヴァロック『どこ行ってたんだよ?』
ノインガム『集めてた盾(泳ぐ寺院の盾)をゴートスの神殿に預けてきたところだよ』
ウエスト『あと何枚くらい?(笑)』
ノインガム『9枚集めたらしいから……あと3枚かな(笑)』
アブロ『がんばったなぁ』
BM『そりゃあもうお姫様がドラゴンを勇者から助けたりとか』
アブロ『ドラゴンになったお姫様が勇者を助けたりとか』
ノインガム『そうなのか(笑)』

そうらしい(ぉ
いや、「外伝2」をやる気はありませんが。
っつーわけでノインガムが森の中を先導してくれることになり、ますます楽になったパーティであった。


警戒移動
ヴァロック『で、どこ行く?』
アブロ『やっぱ、「巨大塚」じゃない? なんか、あの騎士も亡霊みたいな感じだったし』
フォンス『塚なら場所を教えますよ』
ケイト『場所さえ分かれば私が案内します〜』
ウエスト『おーし、じゃあ塚行くべー』
フォンス『お気を付けて〜』

ここでフォンスと別れ、ノインガムが一行に加わる。

ヴァロック『……どのくらい警戒して進むかねぇ?』
BM『あちこちに注意しながら歩いているとすれば移動速度は半分だよ(※)』
ノインガム『俺は森の中は得意だから、別に問題無いんだが』
ヴァロック『半分は遅いんだよなぁ』
アブロ『じゃあ、少し警戒するか』
ヴァロック『やや警戒しよう』
BM少しって言われても(笑) 「する」か「しない」かどっちかだよ』
ヴァロック『意味が分からん(笑)』
BM『分からなくないし(笑)(……いや分かるんだけどな まぁ、ゲームだから)』

BMの浅知恵袋>
 (※)
あちこちに注意しながら歩いているとすれば移動速度は半分だよ

 移動のルールは日本語PHB p.142あたりにありますが。「警戒移動」などと言うルールはルールブックには明記されていません。
 それなのに、なぜ、こんなハウスルールを使っているかと言うと……それは、「不意打ち」のせいです。
 このゲームでは不意打ちは「避けられないもの」です。シナリオには『ここでパーティは不意打ちされる』などとハッキリ書かれていますし。不意打ちに気付 くようなSpecial Ability(特殊能力)も限られています(高レベルになればスペルやアイテムである程度はなんとかなりますが……まぁ、それはもっと後の話でして)
 エンターテイメント業界一痺れる優しいDMとしましてはPCに不意打ちに気付くチャンスを与えたいのです。「敵が動く音が聞こえた」とか「敵の匂いがした」とか。
 だから

警戒移動(1/2移動)中は不意打ちしてくる敵に対して
なんらかの技能チェック(1種類)が出来る


 というハウスルールを決めたのです。
 ……いや、別にこういうルールを作っておけば不意打ちがガンガン仕掛けられるなんて思っていませんy(以下略)

ヴァロック『じゃ、警戒したりしなかったりして行こうよ(笑)』
BM『どっちなんだよ!』
ヴァロック『あんまし遅いのは嫌だなぁ』
アブロ『じゃあ……警戒を全くしないで行くか(笑)』
ウエスト『そんなヤケにならんでも』
アブロ『もうね、目をつぶって耳を塞いで行くさ』
BM『じゃ、木の根っこにつまづいてコケました(笑)』
アブロ『うわぁ〜〜』
ケイト『なにしてはるんですのん?(笑)』

結局、騎士の不意打ちが怖いので警戒移動で進むことに決定。

アブロ『騎士が襲ってきたらどーするよ?』
ノインガム『嫌だねぇ』
アブロ『なにかスペルはあるかい?』
ウエスト『うーん、じゃあインヴィジビリティ・スフィアー使うか?』
ヴァロック『効果時間は?』
ウエスト『えーと、一時間』
ヴァロック『じゃ、30分進んで、30分戻ろう』
BM『辿り着かねー』
ヴァロック『それはしょうがない』
BM『しょうがなくねー』
ウエスト『いや全然。だって、危ないもん(笑)』
アブロ『そうだな。よし、止めよう』
ノインガム『ガーン』
BM『危ないって言われても(笑)』
ケイト『まあまあ。塚までは、15マイルくらいですよ』
ヴァロックアブロ『遠い!』
ウエスト『……やっぱ止めようか?』
アブロ『無理無理』
ノインガム『なぜにみんなそんなに腰が引けてるですか?(笑)』

なんとも根性の無いPCたちである。
なかなかここまで情けないPCというのはリプレイ史上いないのではないかと自負する(するな)
まあ、それぐらい庄屋(騎士)が怖いってことなんだろうけど……
なんだかんだ文句を言いながら出発。

BM『それでは……ええと、ノインガムは前方に不思議なものを発見しました。ノインガム以外の人には分からないんですが』
ノインガム『どんなものですか?』
BM『樹皮を無残に剥がされ、そのまま立ち枯れしてしまった樹ですね。これは、ドルイドにとっては物凄くむごい光景です』
ヴァロック『自然じゃないの?』
BM『自然っちゃあ自然なんだが』
ノインガム『みんな、ちょっと待ってくれ。気になるものを見つけた』
ケイト『なんですのん? き、木の化け物ですのん?【緊張した顔で】』
ウエスト『それはない』

ここでノインガムのウンチクが始まる。
これはドリュアスという木の精が宿っていた樹で、樹皮を剥がされたことで死んでしまったのだという。
それは物凄く残虐な殺し方だ、とノインガムは憤った。

ウエスト『まーくー(熊)じゃないのね?』
ノインガム『むぅ、誰がこんな酷いことを……とりあえず「安らかに眠れ」と儀式をしておきましょう』
ヴァロック『どーなんだろ? これが例のエルフと関係してたりするのかね?』
アブロ『うーむ……ところで、その木は高く売れたりしないのかな?(笑)』
ノインガム『貴様!!(怒)』
アブロ『ひぃ』
ノインガム『貴様はデュエリスト(?)として少し自覚が足らんようだな? 少し、ここでドルイドの教えを貴様に説いてやろう』
アブロ『ひぃぃぃぃぃ』

正座させられたうえに説教を受けるアブロ
ノインガムの説法はアブロ
「もう勘弁してください」
が出るまでみっちり続いたのだった。
(ドルイド語では冒険者を「デュエリスト」と言います)

その後、廃屋を発見したり。
仕掛けられていた毒を塗った蔦、ブービートラップなどを避けたりしながら進む。
アブロがいつになく〈Search/捜索〉で冴え、罠を発見しまくるのだった。
おお、アブロが役に立っている……のかもしれん!

アブロ『おいっ! ケイト退がれっ!』
ケイト『な、なんですのん!?』
アブロ『役に立たたねぇなぁ……そこ、足元にツタがあるだろ?』
ケイト『???』
アブロ『外すのめんどくさいから迂回すんべ……まぁ、ここは一つ俺に任せろ』
ヴァロック『すげぇ、役に立ってるよぉ!』
ウエスト『まるでローグみたいだ!』
ノインガム『ローグじゃないんか!?(笑)』
アブロ『しかし、これだけ罠がかかってるってことは……我々に来て欲しくないってことだよなぁ?』
ヴァロック『そうだろうなぁ』
ウエスト『相手がエルフだと厄介なんだよなぁ……』

などとブツクサ言いながら、ついに目的の巨大塚に辿り着いたのだった。
途中、毒ヅタに絡まれてケイトが大変なことになりつつ。


巨大塚
それは大きなドーム型の塚だった。

BM『形は……東京ドームを小さくしたようなもんだと思ってください』
ヴァロック『うーん……それって、ドーム何個分?』
BM『いや、ドームより小さいんだよ(笑)』
ノインガム『何でできてるのかな?』
BM『入り口のアーチ部分は石造りのようですね。全体が土で覆われていて、あちこちに木も生えてます。相当に古い塚なのではないかと』
ヴァロック『とりあえず、周りを一周してみようぜ』
アブロ『登るってのは? 俺、登りたくてしょうがないんだけど』
ノインガム『“周る派”と“登る派”ができましたな』
ウエスト『じゃあ、俺は“入る派”』
ヴァロック『“入る派”はありえないだろ!(笑)』
アブロ『いきなり入るな(笑)』
ウエスト『そんなら“宝を見つけて帰る派”だな(笑)』
アブロ『ん、俺は“幸せに暮らす派”で』
ケイト『じゃあ、私も“余生を縁側でひなたぼっこしてのんびり暮らす派”でおねがいします』
ノインガム『うーん、“中の魔物に襲われて呪われる派”かなぁ』
ウエスト『そこまで言うなら俺なんか“駐車場の管理人になって暮らす派”かなぁ』

ボケしかいない漫才をしている場合ではない。

BM『……えー、で、入り口にはドルイドの使うルーンが彫り込まれていまして。ノインガムは分かるわけです』
ノインガム『む、なんて書いてあるんだ?』
アブロ『おい、ドルイド語だよ、どーすんの?(笑)』
ヴァロック『やべぇ、覚えなきゃ(笑) あ、でも普通は覚えられないんでしょ?』
BM『うーん、ドルイド1レベル取れば?(笑)』
ヴァロック『取ろうかなぁ……』
ウエスト『それはパーティが困るから止めてくれ(笑) 頼むから』
ヴァロック『いつかは取るぞぉ』
ウエスト『や〜め〜ろ〜』


BMの浅知恵袋>
 えー、ドルイド語はドルイドたちの秘密になっていまして、通常は習得することができません。まぁ、こんなルールを適用されるクレリックは世界広しと言えども言語フェチのヴァロックだけだと思いますが。
 ところでコンプリヘンド・ランゲージヴァロックの信仰するデルソフィ神においては禁呪らしいです。何故。


ノインガム『ふむ、ここには“セスナー将軍”と書いてありますな』
BM『はい、これ(と言ってイラストのコピーをヴァロックに渡す)』
ヴァロック『なんか書いてあるよ(笑) やっぱ、覚えなきゃダメかなぁ』
アブロ『……え? この3文字で“セスナー将軍”って読むの!!?(笑)』
ウエスト『無理!(笑)』
BM『いや、たぶん“セス・ナー・将軍”の三文字じゃないかと(どうでもよい)』
ヴァロック『その三文字だけでも習得したいんだけど?(笑)』
ウエスト『えーと、その名前に対して歴史いいすか? えい……(ころころ)……うわ、10いかないや』
BM『えーと、それならば――彼は大きな軍団を束ねる者――という知識が得られました』
アブロ『それは将軍だから(笑)』
ヴァロック『“セスナー”の方は知らんのか!(笑)』

あいにくとパーティの知識はヒットせず、何も分からずじまいだった。
悩んでいても仕方ないので中に突入。

ウエスト『ついに国内は“入る派”で統一ですよ』
BM『まだ言ってるんですか(笑)』
ケイト『じゃあ、私は外を見張ってますのん(……お墓、嫌い……)』
アブロ『大丈夫かなぁ〜〜? 騎士が来たら……』
ケイト『お、脅かさないでください』
ウエスト『あーあ、ケイトともお別れかぁ……』
ケイト『……』
ヴァロック『いい奴だった!(※)』
ケイト『……行きますよ! 一緒に行けばいいんでしょ!』

BMの浅知恵袋>
 ※ 「いい奴だった!」
 レインボー用語。本来は勇敢な戦死を遂げたPCに贈られる言葉であるが、たいていは残りhpが少ないPCや一人で偵察に向かったPCに贈られる。

こうして一致団結した一行は塚の奥へと進む――
――訂正。
いかめし君
いかめし
ウエストのファミリア)が奥へと進む。

いかめし

しばらく進んだところでいかめしは敵の姿を発見したのだった!
(ソナーによって)

いかめし『何かがいます、ご主人様』
ヴァロック『それ、どんなヤツ?』
BM『こんなヤツ(と言いながらイラストのコピーを手渡す)』
ヴァロック『やべぇーー』
ウエスト『あー、それはモンスターマニュアルの後ろの方に載ってる人だねぇ』
ノインガム『日本語版だと真ん中くらい?』
BM『いや、“ワ”だから後ろですよ(笑)』
アブロ『ワ……ワ……和●勉?(笑)』
BM『いや、別に和●勉なら怖くないでしょ! ……いや、怖いかな?(笑)』
ノインガム『ワ……ワ……ワイリー=コ●ーテ?』
ヴァロック『もういいよ!(笑) 俺が〈モンスター知識〉やるよ。アンデッドならクレリックでもできるんだよね?』
BM『どーぞ。いくつ?……それだと、分かるなぁ……こいつは……ワ……』
ウエスト『……やっぱり勉か(笑)』
ヴァロック『ワイトだよ!(笑)』
BM『俺より先に言うなよ!(笑)』

全国の心優しいDMの良き友人、ワイト。
プレイヤーの嫌悪の的、ワイト。
楽しいモンスターとの戦闘開始だ!

アブロ『まずは俺か。力いっぱい退がるよ』
ノインガム『次はロクナントか……やっぱ、退がらせよう……“来い!”。そしてヴァロックバークスキン
ヴァロック『それは俺に前に出ろってことですか?(笑)』
ノインガム『さぁ(笑)』
ウエスト『おーし、俺は変な狼(スードゥナチュラルウルフ)を召喚するぞ』
BM『えー、奴は奥から出てこないようです。次のラウンドへ行きます』
ウエスト『えー、じゃあ狼を攻撃させよう』

狼は果敢にトリップなどを仕掛けるが、回避される。
逆にワイトの攻撃が狼にヒットする!

ウエスト『ま、……どーせ消耗品だしね(笑) どんと来い』
BM『え〜と、命中、5点。フォートで14やってください』
ウエスト『余裕……失敗(笑) どんと来い』
BM『えーと、じゃあ狼のレベルが1下がりました(……くそ、こんなヤツのレベル下げてもちっとも面白くない……)』
ウエスト『関係無し!(笑)……とりあえず、自分にシールドかな(笑)』
ヴァロックバークスキンかかってるからなぁ。前に行くか』
アブロ『男だねぇ』
ウエストファイアーボールぶち込んでやりたいけど、塚が崩れるかもしれんからなぁ』
ヴァロック『それは勘弁』
BM『ワイトは待ってても出てきませんね』
ヴァロック『頭良いなぁ』
ノインガム『なかなかだな。だが、どうやら世界で2番目のようだ(笑)』
アブロ『いや、2番目って結構頭良いじゃん(笑)』

ズバッとネチャライ、は置いといて。
なかなか出てこないワイトとの神経戦になる。

ヴァロック『出てこないなぁ』
ウエスト『おい、ケイト。ちょっと行ってくれ』
ケイト『な、なんでですのん!?』
ウエスト『あいつはオークかもしれないぞ(笑)』
アブロ『そうそう(笑) 元はオークかもしれない』
ケイト『ひぃ』
アブロ『植物かもしれないぞ(笑)』
ケイト『それは嘘ですぅ〜 まだ、6レベルでhp24しか無いんですよぉ〜』
ウエスト『低いな!(笑) まぁ、でも行ってくれ。数少ない前衛だし』
アブロ『頼むぜ前衛』
ケイト『せめてブルズ・ストレングスが欲しいですのん』
ウエスト『よし、かけてやるから行け!(笑)』

呪文でStrength 【筋力】 が上がったケイトが、おそるおそる前に出る。
ターンアンデッドの準備をしたヴァロックが後ろに続く。
ここで、まさかのワイトの強襲。
あまつさえイニシアチブでワイトが勝つ!
ヴァロックよりも前にワイトの攻撃が……ケイトにヒットした!

ケイト『わひぃぃぃ』
ウエスト『……ま、レンジャーならフォートは高いだろ(笑)』
ケイト『+4しか無いですのん(泣)』
ウエスト『4!!?』
BM『まあ、ベースが+5、耐久力でマイナス1されてますから……』
ウエスト『ぎゃーー』
ケイト『だから前は嫌だって言ったのにぃぃぃ〜(泣)』
ウエスト『まぁ……がんばれ』
ケイト『ひんひん……(ころころ)……ひぃぃぃぃぃぃっ!!……ああっ、急にめまいが(泣)』

6レベルケイトが攻撃を受け、5レベルケイトは溜息をついた。
(正確にはこの時点では6−1レベルケイト

ケイト『おたすけ〜〜』
ウエスト『このゲームで前衛だけはやりたくないよな……』
アブロ『ありえないよね……ま、それは関係無くゲームは淡々と進むんだが』
ヴァロック『さ、次、次行こうぜー』
ケイト『鬼〜〜!!』

ワイトはその後、ヴァロックのターンアンデッドで退散。
負のレベルをゲットしてショボーンなケイト
平気な顔をしている一行を恨めしそうに睨んでいるのだった(笑)

BMの浅知恵袋>
 まともにやったら、相当キツいワイト戦もクレリックがいれば楽勝。やはり、クレリックとドルイドの二択は……どうしてもクレリックの方に軍配が上がりますね。
 パーティにどちらか一人しか入れられ無いとしたら、まずはクレリックを入れるべきでしょう。じゃないとワイトの群れで悶絶することになります。



地下
「ワ」が付くもの……罠やワイトやワンダリングモンスター、それに和●勉を蹴散らしながら一行は奥へと進む。
正直、この辺ちょっとメェェリケェェーン!!入っててキツかったり。
広大なマップはDMがノートに描き写している。
プレイヤーは次第に「前」とか「右」とか「倒す」とか「解除する」とかしか言わなくなる(笑)
……そしてそのうち「勝つ!」とか「クリアする!」とか言い出す始末。
流れ作業&ユニバーサルはどんどんと極まり、遂にはDMが勝手にマップを描きだすところまで行った(笑)
DMもプレイヤーも疲れ始めたところで……(なんでそこまでしてやってるのか説浮上)……ついに突き当たりで階段を発見する!

アブロ『や、やっとだ……次もまた扉とか十字路だったら萎えてたよ』
ウエスト『といっても、まーだ下があるってのがなぁ……』
ノインガム『なんで常にこんなにだだっ広いですか?』
ケイト『向こうは土地が余ってるから……』
アブロ『向こうってどこだよ(笑)』
ヴァロックウエスト『メェェリケェェーン!!』
ヴァロック『……それにしても下に行く階段かぁ……なんか、上に行く階段だったらダンジョンの大きさも推定できるんだけどさぁ(笑)』
BM『おいおい(笑)』
ヴァロック『だってさぁ、下だとこの先またどれくらい広いか……(笑)』
BM『心配するな……まぁ、上の3倍くらいだろうな(笑)』
ウエスト『心から嫌だ!』
ヴァロック『メェェリケェェーン!!』
BM『メリケンはもういいよ(笑)』

などと騒ぎ立てながら階段を降りる一行。
一行の前に現れたのは……行き止まりの部屋だった!
そこは墓のようなところで、部屋の中心には棺が置かれている。
そして……

ヴァロック『やったぁーー!!、行き止まりだぁ!(喜)』
アブロ『一時はどうなることかと……』
ウエスト『いや、まて、なんかDMが棺の横にフィギュア置いてるぞ(笑)』
ヴァロック『クソマスターだよ』
BM『なんでじゃ』
ノインガム『敵か!?』
ケイト『オーク!?』
ウエスト『うん、それはない』
ヴァロック『つーかさー、ワイトでしょー、また』
BM『悪かったな! またワイトで!!』

墓
(真ん中の銀色のが棺だと思ってください)

アブロ『なんで後ろ向いてるの?』
BM『このゲームに向きは無いけどね!(笑)』
ヴァロック『それはいいよもう! で、どんなワイトなの?』
BM『どうも、さっきターンアンデッドした奴等じゃないかと』
ヴァロック『怯えてんのか?』
アブロ『このまま追い詰めて回り込めば、部屋から出て行くような気がするが』
BM『いや、ターンアンデッドは10ラウンドなんで、もう切れてるでしょう』
ヴァロック『じゃ、もう1回やるかぁ』
BM『まあまあ。イニシアチブ次第だよな? イニシアチブ振って……』
ヴァロック『(ころころ)……あ。もう戦闘終わったよ』
ウエスト『本当だ(笑)』
BM『なんだと!?』
ヴァロック『20が出た。イニシアチブ27』

しゅーーーーりょーーーーー

BM『まあ待て……』
ノインガム『待つと何かあるんですか?(笑)』
ウエスト『27は無理だろ(笑)』
BM『…………10(ショボーン)』
ヴァロック『じゃ、27から行くわ……ターンアンデッド、はい成功』
BM『……(ショボーン)』

BMの恨み袋>
 ヴァロックむかつく。


ヴァロック『ようし、後は遠くから飛び道具で終了の方向性で』
ケイト『じゃ、さっき吸われた恨みがあるんで、撃たさせていただきますのん』
ウエスト『ガンガン撃ってやってください』
ケイト『私の青春を返せぇーーっ!!(ばすっばすっ)』
ノインガム『気合入ってるなぁ』
ウエスト『いや、こいつはいつもじゃないですか?(笑)』
アブロ『俺も撃とうっと』
BM『とりあえず、1ラウンド目の行動を終わらせてください』
ウエスト『え? まだ何かあるの??』
BM『さぁ』
ヴァロック『さぁ、って言うかあるんだろ!(笑)』

あるんだな、これが。

BM『ワイトを撃っているとですね……入って来た方角、ちょうどノインガムの後ろの方から声がしました』
ウエスト『うーん、今は見えないところかな?』
BM『まぁ、向きが無いゲームだから別に後ろでも見えるんですが(笑)』
ノインガム『じゃあ見よう。どんなやつ?』
BM『鎧を着て大きな剣を持った、ゾンビのような姿です』
ヴァロック『ゾンビ?』
ゾンビのような姿『そこで何をしている、貴様等!?』
ヴァロック『うわ、なんだ!? ……って、なんて喋ればいいのかなぁ……それ共通語だよね?』
BM『ちょっと古めかしい共通語』
ヴァロック『持ってる武器ってどんなのよ?』
BM『そうだねぇ……剣と呼ぶには余りにも大きくて、それはまるで……』
ヴァロック『鉄塊なのかよ!(笑)……あ、アンデッドなら〈モンスター知識〉できるんだけど?』
BM『OK、どーぞ』
ヴァロック『ベースが8で……えーと1下がって……(ころころ)……25!』
BM『おお、珍しく分かったな。彼はどうもワイトの上位種のようだ。地縛霊のように、墓に結び付けられているタイプのワイトだ』
ヴァロック『うーん、あんまし敵にまわしたくないなぁ』
ウエスト『良いよ、やっちゃえよ』
ヴァロック『微妙ですなぁ……だって、上位種でしょ?』

悩むヴァロック
やってしまえとけしかけるウエスト

ヴァロック『よし決めた……あー、我々は騎士を調査するためにここに来たのだ』
ノインガム『我々に敵意は無い!』
ケイト『えーと、ワイトに射撃……えいっ!(ばすっ)』
謎のワイト『敵意は無い……!? 思い切り弓を撃っているではないか』
ウエスト『いやいやいやいや(笑)』
謎のワイト『いや、いやいやいやって言われてもなぁ……』
ヴァロック『まぁまぁまぁまぁ』
ウエスト『我らは今……えーと……なんて村だっけ?……』
ヴァロック『オシントン』
ウエスト『……オシントンから、村を悩ませる騎士を調査に参ったのですよ……って、誰か今のうちにケイトを止めてくれ』
アブロ『まー、落ち着きたまぇよケイト君』
ケイト『なんでですのんっ!!』
アブロ『なんでって……(笑)』
謎のワイト『うむ、分かった……我が下僕よ、落ち着けい』

すると、ワイトたちはおとなしくなった。
それを見てケイトもしぶしぶと弓を収める。
一行は謎のワイトに促され、名乗りを上げた。
それを受けてワイトが答える。

謎のワイト『我はセスナー、将軍である!』



セスナー将軍
さすが将軍というべきか。
そのワイトはすぐに話し合いに応じてくれた。
そればかりか、PCたちが事情を説明すると村を助けるためには協力するとまで言ってくれた。

ヴァロック『えー、で、その騎士というのに心当たりはありませんか?』
セスナー将軍『無いな。その、騎士と言うのはもちろん私のことでは無いし、この塚とも関係無い』
ヴァロック『マジかよー』
セスナー将軍『我はこの塚から動くことができぬ。配下のワイトどもを使ってある程度の情報は入ってくるがな』
ヴァロック『うん、まぁ、俺のクレリックとしての知識も「彼はここから動けない」と言っている』
アブロ『エルフについては知りませんか? 森に住むワイルドエルフっていう種族なんですが』
セスナー将軍『奴等は自分達こそが優れていると思っていてだな。いつかは人間達を襲ってくるのでは無いかと思っていたが……』
ウエスト『やっぱりそうなのか?』

しばらく話しあった一行だが。
どうもセスナー将軍は昔の人なので最近の事情には疎いことが分かってくる。

ウエスト『昔に死んだ人だから、現在の事情はあんまし知らないっぽいな』
ヴァロック『ハズレじゃん、ここ』
ノインガム『うーん、じゃあ昔の話をしてください』
ウエスト『――その昔、世界は一つの塵しか無かった……』
アブロ『長い話になりそうだなぁ(笑)』
セスナー将軍『……昔? おお、それならばおぬし等、この紋章を見よ』

セスナーが自分の鎧の肩当てに描かれた紋章を指差す。
それは「雷を握る手」の紋章……そう、グレイホークではハイロニアスと呼ばれる神の紋章だった。

セスナー将軍『これは、今では失われてしまった神の紋章じゃ』
ヴァロック『お……おお、それだ! その紋章じゃよ!』
アブロ『何を興奮してるんだ?(笑)』
ヴァロック『それが……それじゃよ!!』
ウエスト『ま、それは放っておいて、その紋章がどうしたって?』
ヴァロック『流すなよ(笑)』
セスナー将軍『これは“無敵”と呼ばれた神、ハイロニアスの印じゃ……我は無敵なり!
アブロ『ああ、そういや、俺らは知らないけど「秘密の工房」でそんなのあったなぁ(ガロウズとジッターのみ出会ったイベント。試練としてハイロニアスの化身と戦った――エピソード未収録)』
ヴァロックそれなんじゃよーーー!!【絶叫】』
ノインガム『何があったんですか?(笑)』

何故か突然、その紋章を見るとエキサイトしだしたヴァロック
一体何が……?……って、まぁ、ヴァロックの裏設定なんだけど(笑)
ヴァロックはその印によってイロイロと苦しんでいたりする。

ヴァロック『その紋章が、例えば……身体にあるとして、害は無いのか?』
セスナー将軍『害どころか、祝福があるであろう。聖なる神の印であるぞ……我は無敵なり!』
ウエスト『決めセリフはいいから(笑)』
セスナー将軍『……というわけでだな。昔はこのように力のある神がたくさんいたのだ。そして、それが争っていた』
アブロ『今は争って無いのか?』
ヴァロック『今は特に争って無い。悪神ヴァモン以外は』
セスナー将軍『神々の争いは恐るべき不幸を巻き起こした……神同士の戦いが巻き起こす破壊のエネルギー、それが恐ろしいモノをこの世界に引き寄せてしまったのだ』
ヴァロック『なんか嫌な予感がするけど……何?』
セスナー将軍『それは、世界の真の支配者……“大いなる存在”と呼ばれている』
ウエストニヤリ!!……ところで、〈Knowledge(60 Summers)/知識(60の夏)〉やっていいか?』
BM『どうぞ』
ウエスト『(ころころ)……おおお、分かりきった! 20が出たから31!』
BM『おお、30を超えましたか。それならば、ウエストにはその“存在”が何だかハッキリと分かりました――それは、●●=●●●●です』

それは、一応伏せ字にしておきます。
まぁ俺も命が惜しいので。
(意味無いかな?)

ウエスト『よっしゃ来たーー!!!!
セスナー将軍『その“存在”が全ての神々を殺したのだ』
ヴァロック『相変わらずウエスト1人で盛り上がってるねぇ(笑)』
ウエスト『じゃ、示唆だけはしておこう――それは、いつの時代にも、どこにでも、あらゆる場所に存在するものなのだよ……』
セスナー将軍『その混沌たる存在が、力を与えしもの、それがウルサ=ドラサと呼ばれる邪悪な竜だ』
ヴァロック『あ、それもどこかで聞いたなぁ』
ウエスト『なんか、「地底の城砦」で聞いたよーな気が』
アブロ『長い伏線だったなぁ(笑)』
セスナー将軍『その竜が、暴れだし、カロース平原を一晩で灰に変えたのだ(と言いながらマップを見せる)』
アブロ『ああ、あの大きな平原が、そうなのかぁ……』
セスナー将軍『我が先祖は、ウルサ=ドラサに抵抗するのが精一杯で、倒すことなどとてもできはしなかったのだが……』
ウエスト『今はいないよな?』
ヴァロック『どこかで封印でもされたのかな?』
アブロ『破壊するのに飽きてどこかに行ったとか、なぁ』
ウエスト『あ、そういや蝋燭の都市が吹っ飛んだのって、なんかこれに関係してるのかなぁ?』
ヴァロック『大災厄?』
ウエスト『そうそう……あ、セスナー将軍って大災厄以後に死んだの?』
セスナー将軍『大災厄……各地で爆発が起きたというアレか? ワシはそれ以前に死んでおる』
ウエスト『あー、じゃあ昔のことも良く知っているのか』

セスナー将軍は他にもいろいろな過去の話をしてくれた。
「静寂の番人」、そして「赤馬」……

セスナー将軍『おお、赤馬とな? あの壁画か。あれは我が祖先がウルサ=ドラサを模して描いたものだ』
ヴァロック『なるほど』
ウエスト『なる……って、馬じゃないじゃん(笑)』
セスナー将軍『別に我々が赤馬と名付けたわけじゃないわい』
ウエスト『うーん、とりあえずこんなもんかなぁ』
ヴァロック『まあ、目当ての情報は手に入らなかったけど、キャンペーン的には重要な情報だったような気がする』
アブロ『事件は一行に解決に向かってないね(笑)』
ノインガム『それを言ったら、ワシの盾の情報も……』
ケイト『……はぁ、結局私はレベルが下がっただけ……(泣)』
セスナー将軍『ワイトに精を吸われたか? 知らぬこととは言え、部下が失礼したな……よし、女よ、これをやろう』
ウエスト『なーにぃぃ?、またNPCを強化するというのか!』
ヴァロック『DMの横暴だよ(笑)』

将軍はケイト魔法の腕飾りを与えた。
プレイヤーがぶうぶう文句を言ったのは言うまでも無い。

ケイト『♪アイテムもろた〜』
ヴァロック『なんか納得いかないけど……まあ、レベルが下がるよりは良いかなあ』
アブロ『ねー、その剣ちょうだいよ。お金でもいいけど』
セスナー将軍『何を言っておるんだお主は(笑)』
ウエスト『良いじゃん、将軍なんだからさぁー。ケチケチしないで』
ヴァロック『あ、そういえばさぁ。もう1回ここに来たい時はどうすればいい?』
セスナー将軍『あー、それは……って、来るな! もう用は無いじゃろ!(笑)』
ヴァロック『いや、だってさぁ……』
セスナー将軍『貴様等、ワシの偉大さを知らんようじゃな……帰れ!』
アブロ『あー、知ってる、知ってるよ。知ってるからなんかくれ』
セスナー将軍『この地域を救ったのはワシじゃぞ! その辺のヤツに聞いてみい! みんなそう言うぞ』
アブロ『そうだっけ?』
ウエスト『ふーん』
セスナー将軍『貴様等……えーい、もう帰れ帰れ!!(泣)』
ウエスト『なにも泣かなくてもええやん(笑)』

余りにも無礼なPCたちである。

アブロ『ま、これ以上ここにいても何にも貰えなさそうだから、帰ろうぜ』
ウエスト『呪文覚えなおすのに一日休まなきゃなぁ』
ノインガム『墓を出てキャンプしましょう』
ヴァロック『それよりさぁ……ねぇ、将軍』
セスナー将軍『なんじゃ、まだいたのか』
ヴァロック『ここで寝ていい?』
アブロ『(どこまで失礼なヤツなんだ(笑))』
セスナー将軍『ダメじゃぁっ!! 早く帰れ!!【大 絶 叫】』

こうして一行は追われるようにして塚を後にした。
なんだか常に問題を起こして追われているような気がしてならない。
捜査に進展は無かったので、一度オシントンに戻って次の作戦を練ることにした。

ヴァロック『はぁ、なんか、分かったようで全然分からなかったね』
ウエスト『まあ、知識は増えたが事件とは関係無いことが多かったなぁ』
ヴァロック『他の遺跡もなぁ。「巨大塚」が一番関係ありそうだったんだけどなぁ……』
アブロ『次に関係ありそうなのは、「赤馬」か?』
ヴァロック『いや、ワイルドエルフの所に直接行ってみるとか?』
ウエスト『あー、そうか、直で行くってのも手だなぁ』
ヴァロック『行こうぜ。もう、埒があかないから』
ノインガム『場所は分かるのか?』
BMフォンス君が知ってる筈ですね』
ウエスト『うーん、じゃあ、行くか。行って決着付けるべ』
ケイト『ついに植物と戦えるんですね!』

ワイルドエルフの所へ行くことに決めた一行。
果たして交渉はできるのだろうか?

……ケイトは夜にエナジードレインに対抗チェックをしたのだが……耐久力の低さが響いて……
「ひゃぁぁぁぁーー」
――合掌。
その夜、ケイトは枕を涙で濡らした……そして、そこへ忍び寄るウエストの影……
ウエストの邪悪な笑みは何を意味するのか?
ケイト身体が危ない!
果たして何が起こったのか?
待て、次号!


<第11話 了>