D&Dはじめの一歩特別編
サイオニックはじめの一歩
  一歩目 サイオニックって何よ?

060107 いしかわ


Yo, Yo, Yo, Yo, YO!!

The Power is Here!


「ギース!ギース!ギース!・・・」
(満場のギスコール)



”サイオニック学の博士”であるこの俺様が、これからテメエにぶっ食らわす!
パワーポイント、パワー増幅、サイオニック集束、サイオニックアイテム!
どいつもテメエの知らない世界だ!

はっきり言っておくぜ!サイオニックはとてつもねえ!
お前にはわからねえ、サイオニックはマジヤベえ!
俺が真のパワー・プレイヤー!お前はプアー・プレイヤー!
お前の頭をお前の(ピー)に突っ込む!
食らうがいい、お前の(マイクを客席にむけながら)・・・・・・
”クソ”を!



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 日本語版では「サイオニック・ハンドブック3.5版(以下XPH)」として発売されたExpanded Psionics Handbook。本書によって、3版で大きく変更されたサイオニックはより大きくエクスパンドされ、ぶっちゃけ2ndまでのサイオニックとは似ても似つかぬものへと成り果てた
 すなわち、在りし日の”サイオニックを持たないものに−8のペナルティを与えつつセーヴを強いて2d8R スタンさせる”とか”1レベルキャラが時間を止めてその間に好き放題”とか”毎ラウンド1000ダメージとか与えたりする”とかいう強大にして狂った力はそのなりをひそめ、割と常識的な力とルールでもってプレイできるルールへと成り下がった調整されたのである


 おお、しかし安心せよ。パゥアを求めし者たちよ。
 つまりは95%くらいのD&Dプレイヤーどもよ。


 確かにかってのような「僕の考えた超人」みたいな能力はなりを潜めているものの、剣と魔法に並ぶ第三の力として、サイオニックは十分に機能する
 そう、他のプレイヤーの見せ場を全て奪い取り、ロールプレイのヒマなど与えることなくあらゆる困難を瞬時に粉砕してDMに常にうんざり顔を浮かべさせるくらいには。

 では、そんなサイオニックの簡単な紹介とともに、XPHのミニレビューをお送りしよう。

 の、前に。

 すでにサイオニクスをプレイに使用している人たちのために、これまでにもいろんな表類を作成してくれたHAL氏が、日本語版XPH発売を記念してプレイ用サマリーシート記入用パワーリスト(シート)を作成してくれたのでご紹介。
<ダウンロードせよ>

 ・《総合》 New! 110212

⇒Psionic Powerlist (v1.09) −全クラスのパワーを包括。アイテム用カード,強化パワー用シートなどの各種ツール。
  サイオニック・パワーリスト [Excel版]


 ・《基本クラス》  New! 110212

 −『サイオニクス・ハンドブック 第3.5版』
 ⇒サイオン/ワイルダー・パワー (v1.09)
 ⇒サイキック・ウォリアー・パワー(v1.09)

 −『Complete Psionic』[未訳]
 ⇒ラーク・パワー (v1.09)
 ⇒外套パワー (v1.09)


 ・《上級クラス》  New! 110212

 −『Dragon #281』[未訳](第3.0版)
 ⇒トゥルース・シーカー・パワー (v1.09)

 −『Secrets of Sarlona』[未訳](エベロン)
 ⇒アサシン(サイオニック版)・パワー (v1.09)
 クラス別パワーシート [PDF版]


 ・《おまけ》 New! 110212

 ⇒全パワーリスト (v1.09)
 クラスに関係なく、全てのパワーの詳細を含む。使用できるクラスの中で最も低いレベルを記載、1〜3lv,4〜6lv,7〜9lvで区切り、など。
 ⇒サイオニック・クラス入門用サマリー (v1.09)
 各基本クラスの簡単なまとめ。基本的な部分の要約、中〜高レベルの開始時にどのレベルのパワーをどれだけ習得して開始するのか、など。
 ⇒強化(妨害)パワー用シート (v1.09)
 Excel版に入っているもののPDF版(ただし空欄)。
 ⇒各クラス&全パワー一覧用インデックス (v1.09)
 各クラス&全パワーの、パワー名,分野,参照先のみの簡略版。



サイオニック プレイ用サマリー
(Zip圧縮・pdf版)

(おまけの再録)
1レベルパワーリスト
(Excel版・英語版)
使い方はこちら
カードverもあるよ!
いしかわ作


 「プレイ?英語版からやってるに決まってるじゃん!」というキミもぜひ!




■で、サイオニックって何よ?

 XPHの解説文によれば、サイオニックとは「精神に秘められた可能性を開発する技」であるそうだ。




 うん、なんだかさっぱりわかりません
 これに続く数十行にわたる説明もなんか無限の世界とか秘められた可能性とか一条の旋光とか、なんだか自己啓発セミナーで48時間の絶食と不眠のあとで見せられるビデオみたいな内容なんでここでは割愛しつつ、いしかわ流の解釈で説明することにしよう。


 
 サイオニック能力は、魔法のようなものだと思ってくれればほぼ間違いないだろう。
 それもウィザードのよりも、ソーサラーやバードのそれに近い。

 サイオニック能力者(発現者と呼ばれる)は自分の有するパワー(魔法で言うところの「修得している呪文」にあたるもの)のレパートリーの中から、必要なときに必要なパワーを使用する。その際には精神集中が必要で、個人の能力に規定されている1日の制限を超えて使用することはできない。

 ね?呪文と同じでしょ?

 ただ、魔法とは異なる点がたくさんある。
 その中で最大のものといえば、やはり「サイオニックはパワー・ポイント(以下pp)制を使用する」という点だろう。

 ソーサラーやバードの呪文がクラスレベルごとに、呪文レベルごとの使用可能回数が増加していくのに対し、発現者たちはクラスレベルの上昇に伴ってppが増加していく。各パワーにはパワーレベルが決められており、それぞれに消費ppが決められている。
 つまり、ソーサラー達の呪文を(旧)ウィザードリィ方式と呼ぶとすれば、サイオニックはドラゴンクエストやファイナルファンタジーで使われているMP制に近いといえるだろう。
 発現者たちは、例えば3レベルパワー(5ppを消費する)を1回使用する代わりに1レベルパワー(1ppを消費する)を5回使用するか、1レベル2回と2レベル(3ppを消費)1回する、などといった選択が可能となるのだ。
 このことは、魔法を使う者たちに比べ、相対的に使いたいパワーを数多く使うことができることを示している。たとえば10レベルのソーサラーが使える総呪文数は0〜5レベルまでで32回(0レベル呪文から6,6,6,6,5,3回)だが、サイオンなら88ポイント(=1レベルパワーなら88回、5レベルパワーなら9回とちょっと)である。
 また、多くのパワーには”増幅”という項が設けられており、そこで決められたppを消費することによって威力や効果を上昇させることができる。魔法では呪文修正特技を修得することで可能となることが、パワーにおいては標準装備されているということだ(*1)。
 先のpp制であるという点も含め、これらの点はサイオニックを使用する者たちに能力発揮の柔軟性という大きなアドバンテージを与えている。

 一方で欠点もある。
 呪文であれば"術者レベル"によって威力が上がったり効果が上昇したりするものもある(たとえば1レベル呪文マジック・ミサイルは高レベル術者が用いると1レベル呪文のままでも結構なダメージを与えられる)わけだが、パワーに関して言えば”発現者レベル”に依存してダメージが増えるものは少ない。つまり、攻撃的パワーは誰が使っても一定の威力しか得られない、ということだ(*2)。
 そのためか、パワーは呪文よりもやや威力・効果が強力に設定されている傾向がある(ように思う)。たとえば1レベルのパワーであるマインドスラストは抵抗に失敗したものに1d10のダメージを与え、かつ追加1ppごとに1d10の追加ダメージを与える。抵抗されればダメージはなくなるものの、これだけの効率でダメージが与えられる呪文はない(*3)。

 内容について話が出たので、ついでに個々のパワーについて触れておこう。
 パワーはこれまで私家版の翻訳では”超能力”という訳を当てられることが多かった。
 パワーの記述が非常に超能力っぽいものが多く、使われる用語もまたSFなんかで使われる「超能力用語」が多いからだ。たとえばサイオニックの代表的クラスといえるサイオンクラスの一つ”テレパス”や”キネティシスト”はSF小説なんかでもよく出てくる言葉だし、パワーを使用したときには”奇妙なにおい”や”銀色の炎の球”、”虹色の光、”低い唸るような音”、”エクトプラズムの出現”など、「いかにも超能力」なエフェクトが付随して現れる。
 パワーそのものも非常に”超能力”っぽいものが多い。たとえば魔法呪文では数少ない「時間コントロール系」能力を比較的低レベルから持っている点も挙げられる。3レベルパワーのタイム・ホップはセーヴに失敗するとR/Lvの間、問答無用で時間をすっ飛ばされる。また精神を攻撃したり、精神を変化させたり、エクトプラズムを実体化させて壁やクリーチャーを作り出したりするものもある。なかにはサイオニック・タンズとかサイオニック・キーン・エッジとか「魔法呪文にサイオニックってつけただけやん」とかいうものも多いよなあとかガタガタ言わない


 そのほか、鎧を着ていてもサイオニックの妨げにならないとか、呪文のように準備しなくても朝起きたらすぐ使えるなどの長所もある。

 では、これらの点をふまえつつ、次回は実際のサイオニック使いについて考えてみよう。




二歩目:種族とクラス






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*1:ちなみにppをよけいに消費することで特定の能力をパワーに付加する「サイオニック修正特技」もある。こちらもppをよけいに使って能力を付加したり、サイオニック集束(後述)を消費する必要がある。
*2:攻撃用パワー以外は発現者レベルに依存して効果や効果時間が増加するものはたくさんあるのでご安心を。
*3:一部のD20サプリを除いては。D20の世界は広くて奥が深すぎるので、時々「これ小学生が作ったんちゃうんか」言うような内容がさらっと書かれたサプリがあったりするのです。なあ、ウォークラフトD20