はじめの一歩 7歩目 自分のキャラを作ろう(4)
信仰呪文使い編
030515,16 文責:石川
#この原稿はPHBとダンジョンマスターズガイドDMGの記載のみを
#もとに書かれています。本当はクラスブックなどを入れると強力なのですが、初心者向けと
#いうことで、中級者〜ベテランの方はご勘弁を。
<解説の前に>
今このコラムを読んでいる君は、「一歩目」でPHBにタグを付けただろうか?
もし君がそうしているなら、そして君が信仰呪文使いをプレイしようと思っているなら、以下のページに追加のタグ(できれば色違いのものがいいだろう)ないし付箋紙を貼り付けておくと便利だろう。参考まで。
<クレリック用>
p28:クレリック解説
p68:よく使う技能(〈精神集中〉)
p90:神様一覧
p156:信仰呪文解説
p163:クレリック呪文リスト
<ドルイド用>
p35:ドルイド解説
p68:よく使う技能(〈精神集中〉)
p156:信仰呪文解説
p169:ドルイド呪文一覧
巻末「モンスター」の項:“相棒”および召喚した動物データ
#他にも使用する魔法の効果に関係のあるところにマークしておくといい。
#例)オブスキュアリングミスト:p133 視認etcの修正 など
さて、「信仰呪文使い」として括りはしたものの、今から紹介する2クラス、クレリックとドルイドはほぼ完全に役割の異なるクラスであると言っても過言ではない。両者は同じ「信仰(系)呪文」を使うクラスであり、HDがd8、セーヴ上昇も一緒であるなど共通点も多いが、与えられた特殊能力(と制限)によって大きく異なるクラスとなっている。
この差はウィザードとソーサラーの差よりも大きなものであるかも知れない。『魔法使い』の彼らが、運用法は異なれどパーティ内では近い役割を担えたのに対し、クレリックとドルイドは、一方がその持ち味を「生かさない」選択を行わない限り、同じ役割を果たすことすらできないためである。
そして(身も蓋もない言い方をしてしまえば)、「パーティに必要とされる度合い」も大きく異なっていると言わざるを得ない。
そうした差は、どのような違いから生まれるのだろうか?
<総論>
前述したように、信仰呪文使いであるクレリックとドルイドは大きく異なるクラスである。
よって、他クラスの様にまとめられる部分はほとんどないといって良いのだが、一応まとめられそうな部分を<総論>としてここにあげてみよう。
信仰呪文使いはその名が示すように「信仰呪文」を使用するクラスである。
その使用法は前章「魔法使い」の使う秘術呪文とほぼ同様であるが、大きく異なる点が二つある。一つは「重装備(など)によって呪文の使用を阻害されない」点である。より簡単に言うならば、どんな重装備をしていても、秘術呪文使い達のように「呪文失敗確率」を課されることはない、ということである。これがいかに強力な特徴であるかは言うまでもあるまい。
そしてもう一つは、信仰呪文は神(など)から「いただく」ものである点である。この特徴は、信仰呪文の使い手が8時間の睡眠をとらなくても、特定の時間帯に1時間の祈りを捧げ、瞑想を行うだけで呪文の「準備」ができ(和PHBp156)かつ呪文リストに載っている呪文であればどれでも選択可能であるという長所と、信仰に背くような行いを取ったときに呪文使用能力を失うという短所の両方を併せ持っている。
つまり君が死と破壊の神を信仰するクレリックであるならば、モンスター達を殺戮しかつその財貨を奪いつくすという陰惨な作業を否応なしに行わねばならない一方で、血の宴が二晩、三晩と続こうとも、そこで流された血を生贄に1時間の祈りを捧げることさえできるならば、不眠不休で人を支配下においたり身動きを取らせなくしたり生死の境に追いやる呪文を使用できるということだ。もちろんこれらの作業は君に----じゃない、君のキャラに科せられた義務なのだ。プレイヤーの君ではなく、君のキャラクターが望んでやってることなのだから、君がどんな残虐行為を行おうとそれはしかたのないことさ。だから口の端から零れる随喜の涎を隠す必要はないんだよ・・・・・・まあ、たぶんね。
さて、呪文の発動や、発動に伴う諸々の判定は、「魔法使い」編で述べたのと同じシステムが使用される。
つまり、彼らにとっても“精神集中”に関するルール(和p151、技能はp68)、機会攻撃(ならび防御的発動(PHBp152))ルールなどは重要であるということだ。これらの行動に関する〈技能〉や《特技》については前章(6歩目)<総論>に詳しく述べたので、よくわからない人はそちらを参照して欲しい。ちなみに魔法使い達とは異なり、呪文相殺は信仰呪文使いにはさほど重要なルールではないように思われる。相殺に必要な〈呪文学〉ロールのベースとなる能力値が【知力】である点、相殺する間にやるべきことがたくさんありそうな点などがその理由である。まあ、キュア系呪文をことごとく相殺されるのはけっこうイヤかもしれないが。
呪文という長所を最大限に生かそうと思うなら、「魔法使い」達同様、浮いた金はスクロールとワンドに使いたい。例えばキュアライトウーンズのポーションは1本50gpである。ところが(信仰呪文使いにしか使用できないという欠点はあるものの)スクロールなら一回あたり25gp、ワンドならわずか15gpでキュアライトウーンズを使用できるのである(そしてこれらのアイテムを作成する《特技》があれば、わずかな経験点と上記の半額を支払うだけで入手できるのだ!)。また、彼らは戦闘能力もさほど低くないので、余裕があるなら優良な武器や防具に費やす手もあるだろう(詳しくは各論参照のこと)。
さしあたって、両者の共通点といったらこんなものだろうか。
少ない、とお思いの方もいるかもしれないが、実際この程度しか共通して述べることのできる点がないのだからしかたがない。
さあ、各論に移りたまえ。
[クレリック]
神に仕え、神の意志を具現化する者たち----それがクレリックである。
地上において神の意志を代行するため、彼らは主たる神より様々な能力を得ている。
その能力は一部のプレイヤーの間で『クレリック最強説』をささやかれるほどに強力で、しかも応用範囲が広い。最強か否かはさておき、冒険には必須である回復系呪文を使いこなせるクレリックは冒険者パーティになくてはならない存在であることは間違いない。一説には『ファイターのいないパーティは無数にあってもクレリックのいないパーティはない。なぜなら、そんなパーティは遠からず全滅の憂き目に遭うからである』ともいわれる。
では、まずクレリックがいかなる能力を持っているのかを確認してみよう。
まず、クレリックをクレリックたらしめている呪文から。
クレリック達は自らが忠誠を誓った神から信仰呪文を得る。3eの神々は非常に太っ腹(*1)なので、どんな神を信仰していてもクレリック呪文リスト(PHBp163)にある全ての呪文からその日使う呪文を選択できる。ウィザードが大金を支払って呪文のレパートリーを増やしているのに比べ、なんというアドバンテージだろう(ああ、ソーサラーについては触れないでやってくれ。クレリックに出会うたびに自殺を図られるのは非常に迷惑だから)。呪文数もウィザードのそれとほぼ同じ(高レベルになればやや多い)な上、【判断力】が高ければそれに応じてボーナススペルも受け取ることができる。さらに、彼らは追加で各呪文レベルにつき1回の領域呪文を得る。
領域Domainとは、信仰する神の「得意分野」とでもいったもので、PHBに掲載された神はおのおの少なくとも3つの領域を有している(PHBp29)。キャラクターメイキング時に信仰する神を決定したクレリックは、自分の仕える神の領域から2つを選択(*2)し、キャラクターシートに記入しておく。領域によっては武器技能や特殊能力(“ダイスの振り直し可”なんてどインチキな能力をも含む)を得られる場合もあるので、慎重に選択したい。ちなみに領域によってもたらされるボーナス呪文と特殊能力(など)はp165〜にまとめられている。
さらに、属性が善であるか、あるいは仕える神の属性が善であるクレリックは呪文の任意発動が可能である(PHBp30)。任意発動とは、用意した呪文を同レベル(以下)のキュア呪文に変換する能力である。ちなみに属性が悪(または神の属性が悪)のクレリックはキュアではなくインフリクト呪文に任意発動する能力を得られるが、よほどの事情(PCが全員マゾだとか、キュア呪文アレルギーだとか)がない限り、キュアに変換できるよう設定しておいた方がいいだろう。正味のところ、キュアを任意発動できないクレリックは1段下がると考えていいと思う(*3)。
ちなみに信仰する神は「PCと属性が同じか、一段階だけ異なる属性を持つ」ものしか選択できない(PHBp29)。たとえば秩序にして中立のクレリックは秩序にして善、秩序にして中立、秩序にして悪、真なる中立の神を選択することが可能だが、たとえば混沌にして善の神を信仰することはできないのだ。ちなみに神の属性は、ほかにも『対立する属性の呪文は使用できない』など、微妙な部分で冒険に関与してくるので、前述の領域共々よく考えて決めてほしい。
もう一つ、「クレリックならでは」といえる能力にアンデッド退散/威伏がある(PHBp139)。前者は正のエネルギーをもって負の生き物であるアンデッドを追い払い、あるいは破壊する。また後者は負のエネルギーをもってクレリックの意に従わせ、時にはそのアンデッドを完全に服従させる。ちなみにクレリックの【魅力】ボーナス分、アンデッド退散/威伏が追加される(*4)。
この能力も、呪文の任意発動同様、クレリックないし神の属性の影響をうける(中立の神ならどちらかを選択しておかねばならない点も同じ:p30)。なお、アンデッド退散/威伏と任意発動は連動していることに注意。たとえば任意発動をキュアとして選択したクレリックは、自動的にアンデッド退散を選択することになる。
この2大能力に加え、クレリックはすべての鎧と盾に習熟、基礎攻撃ボーナスはローグと同じ、ヒットダイスD8、基礎セーヴ値上昇は2種などの特典を有する。他クラスよりほんのちょっとだけ優遇されているようだが、ほんのちょっとだけなので気にせずキャラクターメイキングに移ろう。まあ、ほんのちょっとだし。
まずは能力値の割り振りから。
基本的にはウィザードなどと同様に、呪文投射に関与する能力値である【判断力】を中心に割り振ればよい(最低15あればすべての呪文が唱えられる、という点もウィザードらに準ずる)。<精神集中>やHPの多寡に関与する【耐久力】やACを強化できる【敏捷力】が高ければ、前衛を抜けてきた敵をくい止める際にも役立つだろう。ただ、交渉系技能がクラス技能としてあること、アンデッド退散/威伏回数に追加が得られることなどを加味して【魅力】をあげておくのも有効かもしれない。クレリックは将来的には「情報の真贋を明らかにする」類の呪文を投射できるようになる。そうした呪文を有効に活用するためにも、【魅力】をあげておくのは悪くない選択であるように思われる。それから、重装備で移動することを考えると、【筋力】もあるに越したことはない。重量制限で移動速度が落ちると、パーティ全体の移動速度が落ちる。ご一考のほどを。
種族については特におすすめのものはない。実は【判断力】【魅力】が変化する種族はいないからである(*6)。とはいえ、ハーフオークだけはクレリック的に不便な点が多いのでさけておく方が無難だとは思う。また、後衛に立つ機会が多いようなら弓の習熟を有するエルフを選択しておくのも悪くない。また、例によって技能と特技に恵まれた人間を選択するのもいいだろう。まあ、ここでは自分の能力値決定のダイス目と相談しながら、自分のイメージに合った種族を選択するといいだろう。
技能に関してもウィザードら同様、<精神集中>は必須の技能であるといえる。傷つけられやすい前衛PCの回復をじゃまされないためにも常に最大値にしておくことをおすすめする。また、<治療>を修得すれば低レベル時でも毒や麻痺に対応できるので、回復手段に乏しい低レベルのうちはなるべく修得しよう。【魅力】が高めに設定されているなら<交渉>も捨てがたい。情報収集や物品の購入、NPCの雇用や依頼主との交渉など、様々な場面で役に立つ。戦闘関連技能に比べ軽く見られがちな<交渉>だが、使える人間が多いほど有利に冒険が進められることはまちがいない。知識関連技能(<呪文学>や<知識(宗教)>)もあるに越したことはないが、【知力】が低いと達成値も稼げないし、なにより技能ポイントが足りなくなりそうだ。それでも1ランクあればチェックは許されるので、ポイントが許す限りで広く浅く修得しておくのもいいだろう。
《特技》については、まず《イニシアチブ強化》 をおすすめしておこう。攻撃や防御を補助する呪文を使う機会が多いクレリックであるがゆえに、「早く動ける」この《特技》の有効度は高い。「すんでのところでキュアが間に合わなかった!」などといった事態を避けるためにも修得をおすすめする。また《巻物作成》は「普段使わないけどないと『終わる』呪文(マジックウェポンやディテクトイービル/マジック、レビテートなど)」を安価に準備しておくために役立つ。《その他の魔法のアイテム作成》もDMがアイテム作成の時間的余裕を与えてくれ、かつ3レベル以降の修得であるという条件を満たせるのなら非常に有効である。
そのほか、序〜中盤では《呪文持続時間延長》も候補にあげられる。クレリック呪文には能力値やAC、あるいは攻撃力を補助する呪文が多いため、呪文の持続時間が2倍になるこの《特技》はダンジョン内で有効である(もっとも1レベル時にはほとんど使う機会はないので3レベル以降で十分だが)。《戦闘発動》も邪魔されずに呪文が投射できるという点で有効だが、秘術魔法使いらに比べるとその有効性は低いように思われる。だったら《近距離射撃》を修得などしたほうが活躍の場面は多いかもしれない。
さて、秘術魔法使い達から見たらとても信じられないことであるが、<総論>でも示したようにクレリック達はどんな重装備でも呪文投射に失敗することはない。ウィザード達を低ACに規定する元凶である「鎧による呪文の失敗確率」が、信仰呪文には適用されないからである。つまり、クレリック達は重装甲のままに冒険を続けることができるのである。この特質のため、クレリックは前衛を補助する役割をも担うことが多い。しかし、もしパーティの前線要因がどうしても足りない、などといった事情がない限り、クレリックが前線にでるのはおすすめできない。なぜか?
一つには、前線での呪文投射は機会攻撃を受けやすいということがある。前線要員の回復がクレリックの仕事であると考えるなら、多少の戦術的有利のために自らの仕事が果たせなくなるような状況を自ら招くべきではない。たとえファイターが倒れても回復すればよいが、クレリックが倒れればパーティは全滅する。もちろん君が戦神あるいは狂気と混沌の神の信者であるならこんなことを言っても無駄だろうけれど、それでも君がパーティ二人目のクレリックなどという状態であれば、『戦闘型クレリック』というのも十分に考えられる選択肢だ。クレリックである君は、これらのことを念頭に置いて、自分が前線にでるべきかどうかをよく考えて他のメンツとよく話し合った上で決めてほしい(*5)。
前線に出るにせよ出ないにせよ、いずれの場合でもクレリックは極力防御力を上げておくべきだろう。繰り返すがクレリックが倒れることは、パーティが倒れることに等しい。どうせ君が知覚系スキルや運動能力を必要とする場面で何かを期待されることなどないのだ(クレリックにそんなことを期待するようなパーティなどどうせ長くは存在できない。さっさ見切りをつけて別のパーティを探したまえ、君の神の名にかけて!)。幸いにして、クレリックはすべての鎧と盾に習熟している。多少の重量ペナルティなど気にかけず、できる限りの重装備をしておこう。
さあ、残るは神の選択だ。忠実なる神の僕にして、神の代行者である君は、当然信仰する神を慎重に選ばねばならない。なぜならどの神を信仰するかでそのクレリックの方向性が大きく変わる。PHBだけでも19柱の神々が在り、それぞれが他の神とは異なる個性と特質をもっているのだ。その信徒が神の性質を反映するものと考えれば、クレリックの方向性が異なってくるというのもおわかりいただけることかと思う。
そしてまた、その選択は信徒すなわちクレリックの能力にも大きく関わってくる。ぶっちゃけ領域の選択で明らかに能力に差が出る。正直、領域の有無で神を選択したくなるくらい、その差は顕著なのだ。
ではどれほどの差があるのか?その能力がもっともぶっとんでいる幸運の領域(p166)の能力を見てみよう。
効果:術者はたったいま自分が振ったロールを振り直すことができる
おいっ!さらっと書くな!! と叫んでしまうほどヤバい。世にはこの能力のためだけに幸運の領域を持った神のクレリックを1レベルだけ修得するものまでいるほどである。
ほかにも旅の領域(フリーダム・オブ・ムーブメント呪文の自動使用)や魔術の領域(1/2レベルの秘術呪文使いとしてスクロールやワンドの使用可)、動物の領域(アニマル・フレンドシップの使用可・通称「ドルイドいらず」)など、強烈な効果を持つものは多数ある。
さらに、これら領域からもたらされる領域呪文も強力なものが多い。中には本来クレリックなら使用できない呪文が多数含まれている領域まである(たとえば旅の領域はフライ、ディメンジョン・ドア、テレポートなど、冒険中使いまくる呪文が並んでいる)。なお、これら領域で追加された呪文ででもワンドなどの使用は可能である。強っ!
どの神(っていうかどの領域)の能力がもっとも優れているかについては、プレイスタイルやキャラクターのタイプ、パーティ内での役割などによって変わってくるので何ともいえない。たとえば自分の目的に合致する神があったとしても、属性が悪だとちょっと選択しづらくなる。任意発動が自動的にインフリクトになってしまうし、他教のパラディンに追っかけ回される危険すらあるからだ。それに、ほしい2つの領域を両方とも持っている神がいない場合もあるかもしれない。だがまあ気にすることはない。その場合にはDMに『僕のクレリックは特定の神を信仰しないことにするよ』と宣言すればいいだけの話だ(p30)。DMがガタガタ言いそうなら『決まり切った信仰に従うクレリックではなく、小さなほこらに祀られているような土着の神を信じるクレリックを演じてみたいんだけど』とかなんとか言い添えるのも忘れずに。最小の努力で最大の利益を得るのがよいプレイングってもんだよ・・・・・・まあ、たぶんね。
とはいえ、世間には偏狭にして頑迷な君がどんなに言っても特定の神をあがめなければクレリックとしての存在を許さない、などという「信教の自由」を全く理解できない前時代の遺物のようなDMだって存在している(*7)。不幸にしてそのようなDMに遭遇してしまったときのために、いくつかおすすめの神&領域を示しておこう(神の詳細についてはp90からの解説参照)。
・ ファラングン:「領域」の組み合わせという点だけで見れば最強。前述した幸運・旅の領域のほか、4レベル以降の領域呪文の強力な守護の領域をエントリーしている。むしろどれを選択するか迷ってしまうくらい。
・ オーバド・ハイ:動物の友達を連れて歩けるようになる動物の領域が単純に強いほか、火あるいは水の領域の攻撃呪文がなかなか。
・ コード:幸運の領域を持っている。また、力の領域の【筋力】ブースト能力は、領域呪文とあわせて「戦うクレリック」を強力にバックアップする。
次点としてペイロア(治癒が地味に強い・太陽の攻撃力がまあまあ)、ボカブ&ウィー・ジャス(魔術の領域が強いが、それだけという話もある)といったあたりが選択の余地に入るだろうか。
なお、神の属性は善か中立を選ぶよう気をつけよう。でないとキュアへの任意発動ができなくなり、クレリックとしての能力が半減する(*8)。神とクレリックの属性は1ステップしか違えないという制限も忘れずに!
信仰する神と領域が決定すれば、あとは呪文の選択である。とはいえ、前述のようにクレリックは特定の呪文書を持っているわけではなく、クレリック呪文リストにあるすべての呪文から、その日使用する呪文を選択できる。しかも任意発動により、同レベルのキュアないしインフリクト呪文への変換が可能である。なんかほかの術者クラスやるのがばかばかしいくらいの応用力を誇る彼らだが、では実際どのような呪文を選択すべきなのか?
これまで何度も述べたように、キュアへの任意発動を選択しているなら話は早い。その回の冒険にふさわしい呪文(対ヒューマノイドなら精神系呪文など)を選択すれば良いのだ。使えない呪文は年中必要とされるキュア呪文に変換してしまえばよいのだから、「特定の相手には絶対的な効果を持つ呪文」などといった、ウィザードなどではちょっと使いづらい呪文でも、比較的気軽に準備していける。
ところがインフリクト系だとこうはいかない。キュア呪文はキュア呪文として別に修得しておかねばならないからだ。無論アイテムで補うことは不可能ではないが、いざというときのキュアが使えない、というのはやっぱり心細いものである。滅多に使わないインフリクト呪文が自由に使える、などと言われても正直あんまり嬉しくない。かえすがえすも、任意発動はキュア系にしておくことをお奨めする。
以下には汎用できそうな呪文を示してある。また、◎は特にオススメの呪文である。なお、ここではあえて個々の呪文の解説を行わない。呪文の詳細についてはPHB本文を繰り返し参照して、呪文の内容を完全に把握してほしい。そうして呪文の性質を熟知することこそが、術者としての能力を最大に高めてくれるのである。
<0レベル>
ガイダンス、ディテクト・ポイズン、◎ディテクト・マジック、◎リードマジック
<1レベル>
コマンド、◎コンプリヘンド・ランゲージズ、サモン・モンスターI、◎サンクチュアリ、◎ディヴァイン・フェイヴァー、ディテクト・イーヴル、◎ブレス、◎マジック・ウェポン
<2レベル>
◎サイレンス、サモン・モンスターII、シャター、スピリチュアル・ウェポン、ゾーン・オブ・トゥルース、◎ディレイ・ポイズン、ファインド・トラップス、◎ホールド・パースン、レッサー・レストレーション
<3レベル>
インヴィジビリティ・パージ、ウォーター・ブリージング、サモン・モンスターIII、ストーン・シェイプ、スピーク・ウィズ・デッド,スピーク・ウィズ・プランツ、◎ディスペル・マジック、ネガティブ・エナジー・プロテクション、ビストウ・カース
ちなみにリストの中には「常に必要とはされないけど時々あると便利つうか無いと終わる」ような呪文も含まれている。そうした呪文は記憶しておくよりも、むしろスクロールとして1-2本持っておくようにした方が賢いかもしれない。
さて、クレリックの将来設計であるが、結論から言えば「マルチクラスはやめとけ」と思う。前述したように、クレリックには際だった弱点がない。防御力、体力ともにそこそこあり、自衛手段も多い。つまり、秘術系術者のようにモンクやローグを混ぜて防御力を向上させたりしなくても充分生き残れる、ということだ。だったらよけいな寄り道などせず、呪文投射能力の向上を目指した方が良い。もちろん、パーティに前衛が足りないからファイターかパラディンを1レベル混ぜるなどといったことをしなければならない場合もあるだろう。しかし、クレリックとしての能力向上は君のPCの命を守るばかりでなく、君のパーティ全体を守ることになるということをよく考えて、慎重に将来設計をしてほしい。
最後に。
クレリックはこれといった弱点もなく、その呪文や特殊能力は強力なものが多い。特に治癒能力はD&Dというゲーム中でも随一のものである。すべてのクラス中における総合力が最強とさえ言われるほどに。
しかし、優秀であるだけに、PCとして、またパーティの一員として求められるものが多い。
苦悩と煩悶の末選び抜いた呪文をアホな仲間がつまらんトラップにかかって傷ついたおかげでキュアに変換しなければならなくなる、なんてことは日常茶飯事である(そして、そうやって変換した呪文に限ってあとで必要になるのも世の常というものだ)。また、敵を攻撃したり攻撃呪文を唱えたい場面なのに、愚かにも単騎突撃して袋叩きにあったファイターの治療を行わなければならなかったり、突撃してくる敵から脆弱なウィザードどもを守ってやったり、と他人の世話に追われてしまうこともしょっちゅうだ。あまつさえ、戦闘後にはキュアのワンドを腕がしびれるほど振り続け、仲間からは「救急箱」「キュアマシーン」「ホイミスライム」などと呼ばれる屈辱すら味あわなければならない。
そう。クレリックとは、強力であるが故に自分を殺さねばならない場面の多い職業なのである。
この点をもって「クレリックは強いけど面白味に欠ける」とするプレイヤーも少なくない。
なので、「アグレッシブなプレイをしたい」とか、「他人の面倒なんてまっぴらだ!俺は俺の道を行く!」というような人は、パーティのメインクレリックという役割にはストレスを感じるかもしれない。まあ、これが2人目、3人目のクレリックなら、勝手気ままに振る舞っていても害は少ないのだろうけれど。
しかし、逆に言えば他人の世話が好きな人や、「縁の下の力持ち」的なキャラが好きな人にはうってつけのクラスであるともいえる。自分のやりたいことを抑え、自らが信仰する神の使徒として、神のなすべきところをなし、パーティの面々を身をもって守る。うーむ、シヴい。
メインクラスとしてクレリックを選ぶ人は、自分はなぜクレリックを選ぶのかをよく考えてほしい。
もちろん、その理由が「強いから」であったとしても、それも一つの考えだろう。
けれど、「神に身を捧げる」と言うことがどのようなことなのか、それを考えながらキャラクターを作れば、君のクレリックはより深い背景と、より深い個性を持ったキャラクターとなるだろう。
[ドルイド]
自然と一体になることで、自然の驚異の力を振るう者達。それがドルイドである。
彼らはクレリック同様に信仰呪文を用いるが、その呪文リストは独特であり、また運用法もクレリックとは大きく異なるが故に、クレリックとは完全に、といって良いほど異なったクラスになっている。
では、いかなる点がクレリックらと異なっているのか?
まず、呪文リストが異なっている点が上げられる。
ドルイドの呪文は、自然の中でこそ真価を発揮するような呪文がその大半を占めている。彼らは自然環境の中においてその能力を十二分し得るのだ。しかし、逆に言えば自然でない環境----街中とかダンジョン内とかでは、その能力を十分に発揮できないクラスであるともいえる。
ついで装備の制限。ドルイドは自然の中に生きることを旨としているが故に、金属製の鎧をつけることがないし、盾も金属のものを使わない。また武器も限定された10種以外を使うことはない。なぜなら、彼らがこの禁を破ると24時間の間いっさいの魔法的な力を失ってしまうためだ。
さらに、特定の神に仕えているわけではないので、クレリック達のように領域からの特殊能力や領域呪文を受け取ることもできない。1日の使用可能呪文数がクレリックと同じであることを考えると、領域呪文の分だけ、つまり毎レベル一回ずつ呪文が少ない、ということになる。また、神の力を行使しているわけではないので、アンデッド退散/威伏を使うこともできないし、キュア呪文をもってはいるが任意発動もできない。
いや、待ってくれ。
そんなにあわててブラウザ閉じなくたっていいじゃないか。
もちろん悪いところばかりじゃない。ドルイド達は成長とともにクレリック達には無い様々な能力を身につけることができるんだ。
たとえば1レベル目で得られる“自然知覚”によって、ドルイドは動植物を完璧に見分け、自然にひそむ危険を見破ることができるようになる。つまり彼らはハシブトガラスとハシボソガラスを見分け、シメジとヒメシメジとニセシメジを完璧に区別し、馬と鹿を見間違えることもない。もちろんイヌノフグリと犬のタマ○ンを取り違えることだって無いし、モーニン○娘。メンバーの名前と顔をすべて一致させることすら容易に行えるのである。
同じく1レベルでは“動物の相棒”が得られる。この能力により、ドルイドは森の動物(詳細は巻末付録“モンスター”の項参照)を相棒として冒険に同行させることが可能である。もっともこの相棒はあちこち連れ回そうとするならドルイドレベルと同数のHDしか持てない、というものであるのだが(*9)。まあ、クレリックが動物の領域を選択すると“動物の相棒”を得るための呪文であるアニマル・フレンドシップ呪文をオマケとして獲得できたりするわけだが。
ほかにも自然のヤブなどに足を取られずにすむ“森渡り”(2lv)、足跡を残さない“跡無き足取り”(3lv)、フェイらの擬似呪文能力への抵抗力(4lv)など、あると便利な能力が目白押しだ(無くても困らないけど)。また、5lvで得られるワイルド・シェイプ能力はポリモーフ・セルフ呪文同様、ドルイドを自然界の動物に変身させる能力である。5lvでは1日1回しか使えない(*10)が。
・・・・・まあなんだ。
数値に表れることだけが「強さ」じゃないぞ。
一生懸命やろうとするその姿勢こそが大事だと、先生思うんだな。
上記内容からもわかるように、ドルイドには「微妙」という評価が下されることが多い。
・ 回復呪文はあるけど任意発動できないので呪文選択の余地が狭い。
・ 呪文は自然の中なら強力に作用するものが多いが、草木の生えないところではイマイチ。
・ 特殊能力は大して強くない。
・ 金属武器・鎧が持てないので戦闘力・防御力ともに低い気味
・・・・・・・まあ、「微妙」と判断されるのもやむを得まい。
むしろ「ダメ」と評価されなかっただけありがたいと思わねばならないほどの充実っぷりといえなくもない。
いや,「ダメ」って言う人もかなり多いし、「これなら動物領域とったクレリックのがなんぼかまし」といいたくなる君の気持ちも解らいではない。
だがしかし。
しかし、だ。
ドルイドにはアレがある。
そう、“動物の相棒”だ。
少なくとも序盤では、“相棒”は破格ともいえる活躍を見せる。
たとえばサンプルとしてあがっている狼の場合、2HD(hp13)で、移動力は50ft、噛みつきに+3の命中修正(ダメージ1d6+3)、しかも攻撃が命中すれば自分が足払いを受ける心配なく足払いチェックが可能、とすばらしい性能を誇っている。はっきり言ってへたなファイターより強い。
しかも、たとえ“相棒”が戦いに倒れても、ドルイドはいっさいペナルティを受けない。使い魔や“特別の乗騎”のように、死んだからといって経験値ペナルティを受けるわけでも、1年と1日待たないと“代わり”がこないわけでもない。つまり、最前線におとりとして“相棒”をつっこませて死なせたりしてもすぐに新しい“相棒”を“補充”できるし、レベルがあがればより高HDの“相棒”に、何のペナルティもなく“交換”できるということだ(*11)。
また、ドルイドそのものの戦闘力も案外バカにできない。
たしかに金属製の装備を一切使用できないドルイドだが、アイアンウッド (4lv呪文)製のブレストプレートやプレートメイルを着ることは可能だし、各種防御呪文だってある。低い命判もフレイム・ブレード呪文による近接接触攻撃でカバーできる(*12)。またマジック・ファング呪文で強化された“相棒”との挟撃やサモン・ネイチャーズ・アライによる援軍召還で、戦いをより有利に展開できるだろう。
賢明なる諸君には、もうおわかりだろう。
ドルイドは信仰呪文使いでありながら、パーティの回復役ではない。
そう、ドルイドは前衛クラスなのである。
とれる回復呪文が少ないのも、自然環境下でしか効果的な呪文が無いことも、そう考えれば腹が立たないだろ?
むしろ「“相棒”とともに戦い、補助的な呪文まで使えるスーパー前衛クラス」だと思えば、パーティのメンバーだって「え?前衛なのに回復呪文まで使えるの?スゲエ!」って言ってくれるに違いない・・・・・まあ、たぶんね。
そうと決まれば話は早い。
さあ、早速キャラクターメイキングに移ろうじゃないか。
まず最初に。
ドルイドは術者クラスでありながら、ドルイド単体で成長させる意義の少ないクラスである。他の術者クラスに比べ高レベル呪文の魅力に乏しいことが主な理由であるが、呪文の質の低さを気にする必要はない。だって、君は前衛クラスなのだから(*13)。あくまで呪文はオマケであり、だったら攻撃力や防御力を強化する方向でのマルチクラスを考えた方が賢明ってもんだ。候補としてはファイター(武器・防具習熟、HP底上げ、《特技》追加)、モンク(セーヴ上昇、素手ダメージ&防具なし時のACへの【判断力】ボーナスがオイシイ;いずれもワイルドシェイプで動物化したときにも適用される)あたりだろうか。
これらのことを念頭に置いてキャラクターを作るとすれば、【能力値】の優先順位は
【判断力】>【耐久力】【敏捷力】【筋力】>【魅力】>【知力】
といった感じになるだろう。【判断力】は例によって15あれば最高レベルまでは投射できるので、むしろ【敏捷力】か【筋力】を高めにした方が良いかも知れない。また9lv呪文はいらない!と見切りをつけるんなら、より低くても、あるいは成長させなくてもかまわないだろう。とはいえ、2lv追加呪文が得られる14は確実に確保しておくべきだろうが(理由は後述)。ちなみにドルイドはクラス制限によって弓を使えない。かといって【筋力】を優先すると今度はACが下がるというジレンマを抱えてもいるのだが。まあ、命判・ダメージは呪文で増強することにして、【敏捷力】優先にしたほうが生存率は高いような気もする。“相棒”の助けも得られることだしね。
【魅力】も<動物共感><動物使い>のベース能力値である、という以外にはあげる理由に乏しいので、せめてマイナスにならない程度にしていれば良いだろう。どうせ<技能>は金さえあればいくらでも(以下略)。
《特技》については、序盤ではあまり重要といえるものはない。たとえば戦闘関連の《特技》は基礎攻撃ボーナス+1以上が必要なため修得できないものが多いし、呪文操作系特技も低レベルではさほど有効に機能しない(*14)。よって、他クラスのように《特技》を稼ぐために人間を選択する必要は低いといえる。強いて言えば《イニシアチブ強化》、《武器熟練》、【敏捷力】を上げてあるなら《武器の妙技》、《回避》といった前衛クラスが普通に修得するような《特技》を取るのが無難か。
また、ドルイドは(なぜか)2レベルに使いやすくて強力な呪文が集まっているので、補助のために《巻物作成》を取っておくのもいいかも知れない。
<技能>は術者の常として<精神集中>は必須といえる。また、“相棒”の能力を最大限に引き出す意味で、<動物使い>を見過ごすわけにはいかない。この<技能>が無ければ君の“相棒”を自在に操ることはできない。この二つのほか、<動物共感><野外知識><交渉>などもあればダンジョン外で何かと役に立つ。<技能>ポイントもまあまあ潤沢なので、クラス外技能であっても知覚系技能(<聞き耳><視認>など)を修得しておくのも良い。
装備については、まずp35「武器と防具の習熟」を見てもらおう。
そう、ドルイドは「鎧はハイドまで、武器は十種のみ」という重い制限が課されている。解説を読むに「霊的な誓い」でこの10種以外の武器を使わないようなので、ダークウッドでごまかすわけにもいかないようだ。となると結局のところ、シミターくらいしか使えそうな武器が無い。よって初期装備としてはハイドアーマー、木製ラージシールド、シミターで決定、ということになるようだ(アイアンウッド呪文で作った武器は例外的に使えるが、ファイターなどにマルチクラスしていないと《武器習熟》を持っていないことになり、結局ムダが大きい)。とはいえ、少なくともAC15(+【敏捷力】ボーナス)はあるので、序盤の前線要員としてはそんなに悪くない。【敏捷力】を高くしておいて《武器の妙技(シミター)》を修得しておけば命判でもファイターに引けを取ることはないだろうし、なにより君には“相棒”がいる。
あ、そうそう。“相棒”を連れて歩いている人は、“相棒”分の食料及び水を買っておくのも忘れずに(*15)。
さて、残るは呪文の選択である。
前述のように、信仰呪文使いであるドルイドはドルイド呪文リスト(p169〜)にあるすべての呪文から自分の使いたい呪文を選択できる。とはいえ、その選択は、おそらく厳しいものになるだろう。繰り返しになるが、ドルイドは任意発動ができないため、キュア呪文を修得しようと思えばほかの呪文をあきらめなければならないためだ。とはいえ、もしパーティに十分な回復手段があるなら(要するに、キュアのワンドが買えるだけの経済力があるのなら)いっそのこと回復呪文には手を出さず、汎用呪文を取ってしまうのが良いのではないだろうか。
<0レベル>
キュア・マイナー・ウーンズ、ディテクト・マジック
<1レベル>
△エンタングル、オブスキュアリング・ミスト、サモン・ネイチャース・アライI、◎マジック・ファング
<2レベル>
◎チル・メタル、ディレイ・ポイズン、バーク・スキン、◎ヒート・メタル、◎プロデュース・フレイム、フレイミング・スフィアー、◎フレイム・ブレード、レッサー・レストレーション
<3レベル>
ウォーター・ブリージング、◎グレーター・マジック・ファング、サモン・ネイチャース・アライIII、ストーン・シェイプ、スピーク・ウィズ・プランツ、ニュートラライズ・ポイズン
なお、◎はオススメ、△は状況によっては非常に使えるけど・・・な呪文である。
ごらんの通り、2レベル呪文が異様に充実している。フレイム・ブレイドは接触呪文として命中判定できるので当たりやすく、ダメージもそこそこ(序盤〜中盤のドルイドの主武器であると言う人もいる)。バーク・スキンは数少ない外皮ボーナスを与えてくれる呪文である。マジックファング、グレーター・マジック・ファングはモンクや“相棒”の攻撃力強化に必須ともいえる呪文だ。DR持ちの敵対策としても、いつも1発は持って歩くようにしよう。また、各レベルのサモン・ネイチャース・アライは“相棒”とともに、君の助けになってくれるはずだ。また前線参加したくない向きにはプロデュース・フレイム、フレイミング・スフィアが強力。チル/ヒート・メタルは鎧を着た相手に持続的にダメージを与えられるし、相手の武器にかければ武器を捨てさせることもできるなど、使い道も広い。
さらに、呪文ではないがワイルド・シェイプ能力も戦いの助けになってくれる。他の生物になると呪文が投射できなくなるなどのペナルティもあるが、それでも熊や狼のように特殊な攻撃法を持つ生物に変身すると、接近戦では無類の強さを発揮できる(*16)。
あるいは、“相棒”を<動物使い>で調教後、騎乗して突撃!といった戦術もある。人間などのMサイズ生物だとLサイズ以上の生物を選ばなければならないし、調教が必要で、かつ自身も<騎乗>技能を修得しなければならないなど苦労は多いものの、分類が「動物」であれば(そしてHDがドルイドレベル以下なら)何でもいい、というのはかなり強力だ。
ある人は騎乗用の“相棒”として「Desmod Bat(モンスターマニュアル2所載)」を強く勧めている。かの生物は飛行が可能であり、ダンジョン内にも比較的連れていきやすいからだ。また、キャラ作成時にSサイズの種族を選択しておき、最初からMサイズクリーチャーに騎乗してしまうという手もある。ダンジョン内での移動を気にするならオオトカゲなどを“相棒”にすればいいし、ドルイドならハイドアーマーまでは着用できるのでライノ・ハイド・アーマーを着けて突撃ダメージ倍率を上げることも可能だ。この場合、ファイターを混ぜて騎乗戦闘関連の《特技》を取っておくとなお良い。また、エイプ(ゴリラなどの類人猿)も<登攀>技能をもっているし、攻撃可能範囲が広いのでかなり使いやすいとされる。ダンジョンでのはしご移動などを何とかできると言うことであれば、ライオンやタイガーといった攻撃力の高い動物も捨てがたい。
おお、読者諸賢よ、そろそろお気づきであろうか。
そう、ドルイドは、ドルイド本人ではなく、“相棒”こそが強力なクラスなのだ。
むしろ“相棒”が本体であり、ドルイドはその世話係なのだ。
しかし、自然と一体となるべく精進しているドルイドであるところの君が、そんな些細なことを気にするはずもない。
さあ、“相棒”を世話しろ!
そして戦ってもらえ!
それこそが『自然と一体になることで、自然の驚異の力を振るう者達』、すなわちドルイドの真の姿なのである。
まあ、たぶんね。
* 1:今はDomain(領域)といえばクレリック用のボーナスのように扱われているが、2nd(AD&D)ではプリースト呪文はウィザードの呪文のschool(系統)のように「Domain」によって小分けにされ、しかも神ごとに使用できるdomainが決められていた。一般に強力な神は多くのdomainにアクセスできたが、貧弱な神だと4つ程度しかdomainを持たず、場合によっては「2lv呪文が無い!」などという切ない事態に陥ることもしばしばだった。
* 2: 「特定の神に仕えない」場合はリストから好きな領域を2つ選んで良い、とPHBp30にはあるが、勢いマンチな方向に走りがちなため、このオプションを好まないDMもいる。またフォーゴットンレルムのように「信仰する神を決めなければならない」土地もあるので、「特定の神」を決めないクレリックを作る場合には事前にDMに確認しておく方が良いだろう。
* 3: ちなみに属性が中立(ないし神が中立)のPCは、キャラ作成時にどっちに任意発動できるか決められる。
* 4:「別にいらねえよそんなもん」とお思いかもしれないが、もし君のDMがディフェンダー・オブ・ザ・フェイス(クレリック/パラディン用サプリメント)導入を決めているのなら【魅力】を高めに設定しておくといい。かの本にはDivine Feat(信仰系特技)と呼ばれる≪特技≫が記されており、これらは「退散/威伏」数を消費して使用する。めっさ強力なうえ、修得の前提条件もさほど難しくない。鬼。
* 5:高レベルになるとまた話は変わってくる。各人が何らかの回復手段を持つことが多いし、ハ−ム呪文の存在によってパーティの最大打撃力保持者がクレリックになってしまうためだ。そのころになると、前衛クラスがクレリックを安全にボス敵のそばまで運搬できるかが勝負の要になったりする。何だ、結局護衛係なのは変わらないのか。
* 6:といいつつフォーゴットンレルム世界などには結構いるのだが。
* 7:ちなみに石川は頑迷にして偏狭なので、特定神を信仰しないクレリックの存在を認めないか、あるいはa)領域を一つしか使わせない、b)2つ選んでよいが、領域からのボーナス呪文を得られない、c)ガタガタ抜かすんなら1時間に一回ワンダリングモンスターとしてドラゴン1d6体出現、のどれかを選択させることにしています。まあ、ハウスルールですが、参考まで。
* 8:まあ、プレイスタイルにもよるだろうけど。たとえばマジックアイテムを使い放題なキャンペーンなら、キュアはワンドやスクロールですべて間に合うので、任意発動はインフリクト系の方が使えるかもしれない。とはいえ「いざというときのキュア変換」はやっぱり心強いものだが。
* 9:ドルイド作成時のみ、2HDまでのクリーチャーを選択でき、しかもそいつはドルイドがどんなに貧弱な坊やであろうと忠実に従ってくれる。よって、1lvの間は動物の領域をもったクレリックよりもアドバンテージがあるといえないこともない。
* 10:ちなみにこの能力は6lv以降、使用回数が増加するのでご安心のほどを。他の能力についてはPHBp36を参照のこと。
* 11:もっとも、毎回2ヶ月の期間をかけて<動物使い>によって戦闘法を仕込まねばならないので、結構面倒かも。ちなみに “相棒”をとっかえひっかえしなくて済むよう“相棒”も1/2の経験値を受け取るNPCとして成長していく、とするプレイグループもある(ハウスルール)。この場合、成長する“相棒”はファイターレベルを得、HDや基礎攻撃ボーナスを増加する。
* 12:ディフェンダー・オブ・ザ・フェイス(クレリック/パラディン用クラスブック)を導入すれば、最強の攻撃補助呪文と呼ばれるスパイクspikes(3lv;木製武器に+2の修正を与え、ダメージに+術者レベルし、クリティカル可能域が倍になる)の一択なのだが。もっともスパイクは他人の武器にもかけられるので、だったらファイターの武器にかけてやれ、という話もあるけど。
* 13:なんだかんだ言って、ドルイドの治癒呪文に頼るようなパーティでは長生きできない。だったら治癒呪文は専門であるクレリック先生にお任せして、ドルイドは別の仕事ができるようにした方がパーティに貢献できるってもんですよ。実際キュア能力は、キュアライトウーンズワンドがあれば結構間に合っちゃうもんだし。
* 14:これがマスター・オブ・ザ・ワイルド(バーバリアン・ドルイド・レンジャー用クラスブック)導入後なら、結構話が変わってくるのだが。リジェネレート系呪文が入ったりしてるので、呪文の持続時間延長がかなり使いやすい。
* 15:食料・水問題はきっちり管理するクセをつけた方がいい。ダンジョン到着前に餓死、というのは相当情けない(経験者は語る。ちなみにこのときは「ワンダリングモンスターに暴れ乳牛でも出ないかなー」とか、オークの死体を前に「これ、食えるかなぁ」などと言い出すなど、かなりヤバイことを言いだしていた)。必要量や移動の詳細に関してはモンティコアに詳しいので参照のこと。
* 16:モンク能力(格闘関係の特殊能力、《特技》、ACボーナス、素手ダメージなど)は変身後も使用可能なので、ある程度モンクとして修行を積んでからだとものすごく強力になったりする。たとえばタコに変身すると、モンクの素手ダメージのままに8回殴れたりするのである。ううむ、恐ろしい。