D&D はじめの一歩
----日本語版発売記念 初心者向け企画----
文責:石川 030107-030515
In Finally・・・・・・the Japanese-PHB has come back in Japan !!
If you Smeeeeeeeeeell ! What the RAINBOW is cookin’ !!
ついに・・・・・そう、ついに。
日本語版D&D3eプレイヤーズハンドブック(PHB)が発売となった。
待ちかねていた君は発売当日、ゲームショップに駆け込んでひったくるようにPHBを手に取り、叩きつけるようにして6090円(消費税込み)を支払って、家に駆け戻ったことだろう。そして家に上がるなり自分の部屋に飛び込んで、包装紙を引き破る手ももどかしく、ページを繰り始めたはずだ。そう、あたかも君が中学生のころ、はじめてえっち本を買った日のように。
しかし、ページを繰る君は、それがえっち本とは大きく異なることに気づくだろう。
君がめくるページというページは百科事典並に細かい文字で書かれたルールにびっしりと埋め尽くされ、しかもそれが300ページ以上も続いているのだ。もちろん、そこには数ページに1度むさっ苦しいおっさんがハーフオークの顔を踏んづけてるイラストがあるばかりで、扇情的なグラビア写真の類は一枚も無い。なにより、筆者は寡聞にして300ページものえっち本の存在を知らない。
TRPG初心者はもちろん、ちょっとしたゲーム歴を持つ君でさえ、この立ちはだかるルールの山を登りつめるには相当の忍耐が必要であることを悟るだろう。この後、ほかに2冊同じようなルールが出て、それを読まなきゃプレイできないと言うことを、君はおそらく知ってもいる。しかもその3冊のほかに、ハンドブックだのワールドセッティングだのドラゴンマガジン(「まあ、これは読んだことあるけどね。富士見書房のあれでしょ?」)だのを読まないといけないのだ。小さくため息をついた君は、PHBをそっと本棚にしまい、セブン・フォートレス(アルシャード、ゼノスケープでも可)のルールを開くことにしてしまうかもしれない。
いや、大枚6090円(消費税込み)を投資した以上、そんなもったいない真似はできない、と発奮して、まず一通りは目を通してみよう、と思うかもしれない。
そんな君はとりあえず[第1章 能力値]と書かれたページを開いてみる。そして第2章、第3章と読み続けながら、おそらく23ページ目あたりでPHBを枕によだれをたらしている自分に気がつくはずだ。細かい文字と、それに付随する膨大な情報は、君に20lvウィザードになった夢を見させてくれるだろう。
私のひいき目なのかもしれないが、PHBはかなり良い出来であると思う。
ルールは章ごとにきちんとまとめられ、用語集や索引などで検索性を高める工夫もしてある。判定など、理解しにくいところではクラスクやリダが(時には体を張って)例を示してくれるし、すでに説明されたことであっても重要だと思われるルールは繰り返し説明されている(にわかに信じがたいことかもしれないが、これは古くからのD&D/AD&Dプレイヤーにとっては画期的なことなのだ!)。そして、この手のルールに付き物の誤植も少ない(まったくつまらないことだが、これも重要な点だと思う)。特に君が手にした日本語版は、英語版にあった間違いや、発売後に行われたルール改正を反映しているという、いわば最新バージョンなのである。
そのルールは多岐にわたり、さまざまなキャラクターの、さまざまな行動、そしてさまざまな判定が簡易に出来るよう工夫されている。しかし一方で、皮肉なことに、長所であるはずの「さまざまな」という部分が、最大の短所、というか欠陥ともなっている。そう、あまりに「さまざま」な状況に対応しようとデータを蓄積しつづけたがために、そのルールがあまりに膨大になってしまったのである。
そして、その結果が、君が今手にしているPHBなのだ。
正直なところ、このルールははじめてTRPGをプレイする初心者に薦めることの出来るものではないと思う。
あまりにもルールが膨大で、ほとんどの読者が「どこから手をつければよいのやら」という状態になってしまうだろうからだ。とてもではないが、経験者のガイド無しに順当にキャラクターを作りおおせるとは思えない。
しかしながら、現在TRPGを取り巻く環境はまことに寒々しいものである。オンラインゲームやTCGに押されてプレイヤー数は激減し、地方はもちろん、都市部でも簡単には教えてくれる人はおろか、一緒に遊んでくれるプレイヤーすらつかまえるのに苦労するような状況である。
そこで、私は初心者の「はじめの一歩」をサポートしたい。
英語版発売当初からプレイしている古参の一員として、すべてを手取り足取り教えることはかなわないまでも、せめて「プレイしやすい環境」とここを抑えておけば、という、いわば「ルールのキモ」を示したい。
あまりのルールの重厚さに一歩引いてしまっているプレイヤー候補生達に、魅力あるD&Dの世界へと足を踏み出して欲しい。
そして、多少なりともプレイが出来るようになったら、ぜひ身近な人たちや、コンベンションでもプレイして欲しい。
そうしてD&D人口が一人でも増えてくれたのなら、これに勝る喜びは無いのである。
さあ、歩き出そう!