はじめの一歩 6歩目  自分のキャラを作ろう(3) 魔法使い編

 030326 文責:石川

 

 

 #この原稿はPHBと4月発売予定のダンジョンマスターズガイドDMGの記載のみ

 #もとに書かれています。本当はクラスブックなどを入れると強力なのですが、初心者向けと

 #いうことで、中級者〜ベテランの方はご勘弁を。

 

 

 

<解説の前に>

 今このコラムを読んでいる君は、「一歩目」でPHBにタグを付けただろうか?

 もし君がそうしているなら、そして君が術者としてプレイする予定なら、以下のページにタグ(できれば色違いのものがいいだろう)ないし付箋紙を貼り付けておくと便利だろう。

 

24(or p32):ウィザード(ソーサラー)解説

p66&p68:よく使う技能(〈呪文学〉&〈精神集中〉)

p125:魔法関連アクション

p155:秘術魔法の準備など

 

 #他にも使用する魔法の効果に関係のあるところにマークしておくといい。

 #例)グリッターダストp133 視認etcの修正  など

 

 

 

 

 さて、いよいよ魔法使い編である。

 魔法使いといえば旧来のD&D/AD&Dでも最強のクラスとして勇名をはせていたが、3Eではどうなのだろうか。

 

3eにおいては、魔法----日本語版PHBの記述にあわせるなら『秘術系魔法』----の使用をメインにするクラスは2つ----ウィザードとソーサラーである。両クラスは秘術系呪文の投射を生業とし、HDがd4、セーヴは意思セーヴ優先、武器/防具はほとんど使えない、など、クラスとしては似通った特徴を有している。しかし、両クラス間で、その唯一にして最大の能力ともいえる呪文投射の形態がほんの少し異なっているために、両者の間には大きな能力差が生まれている。では、どちらがどのような特徴を有しているのだろうか?

 

<総論>

結論から言えば、「魔法使い最強」の構図は未だ変わっていない。

相変わらず秘術呪文----特に高レベルのそれは一撃で戦況を大きく変化させうる力を持っている。

また戦場においてのみならず、検知・捜索系呪文は高精度で求めるものを見つけ出し、テレポートをはじめとする移動呪文は冒険中もっとも多くの時間を使うであろう、目的地への移動時間を限りなく0に近づける。

すなわち、魔法使いは戦闘力においてのみならず、汎用性においても他クラスよりはるかに高いポテンシャルを有しているのだ。

 

 というとなんだかいいことづくめのように聞こえるが、「一日に決まった回数の呪文しか使えない」「鎧(など)を着ることができないため、ACを上げるのは魔法頼り」などといった欠点も相変わらず。つまり、「呪文数の少ない低レベルでは生き残りに必死」「呪文の選択をミスると一日でくの坊」「呪文の使用タイミングを間違えると(以下略)」などといった『魔法使いの悲しみ』も未だ色濃く受け継いでいるのである。

 

とはいえ、脆弱な序盤を乗り切り、3レベル呪文が使用可能になったころから、パーティの主戦力として活躍できるという点は未だ変わらない。ならば、5lvになるまでの日々を有意義に過ごし、来るべき栄光に備えるのが魔法使いの心構えというものだろう。「5lvまではパーティのお荷物」などといわれずに済むような工夫こそが、パーティ内での君の地位を確立するのである。

 

 生き残りをかけた君がすべきことは、まずルールの把握である。ただでさえ生命力の弱い魔法使いの命を守るのは、あふれんばかりの知恵しかない。それもキャラクターの、というよりプレイヤーの知恵こそが重要となる。間抜けな行動による失敗を「こいつはこういうキャラだから」と言い訳するのはもう止めて、魔法使いらしい行動を取れるよう精進しよう。

 

 まず確認して欲しいのは“精神集中”に関するルールだ(和p151、技能はp68)。術者は呪文の発動中にダメージを受けたり、敵からの呪文のセーヴに失敗したりすると、〈精神集中〉技能チェックを強いられ、失敗すると、その呪文は効果を発揮することなく消散してしまう(!)。つまり、術者は攻撃を受ける危険のある場所で呪文を唱えてはいけない、ということだ(まあ、そうしたくてもできないなんて状況はざらにあるのだが)。おっと、そんなひどい、なんて言わないでくれよ。昔はラウンドの最初に行動宣告して呪文を唱えるまでの間に集中を乱されたら無条件で呪文が消散してたんだから。それに比べたら天国だぜ。いやホント。

 

こうした「発動中のダメージ」の大半は機会攻撃あるいは敵の待機攻撃によってもたらされる。しかし、機会攻撃は呪文の投射時に、防御的発動(PHBp152)を行うことで回避できる。すなわち、[15+呪文レベル]の〈精神集中〉チェックに成功すれば、機会攻撃を誘発することなく呪文を投射できるのである(ただしチェックに失敗すればその場で呪文は消散してしまうので、技能ランクが低いうちは無理に行わないほうが賢明かもしれない)。一方、敵の待機攻撃を防ぐ方法はない。攻撃されない場所(充分距離をとるとか、ファイターの後ろとか)にいない限り、相手の待機を打ち破る方法はないのである。こういう場合は相手の待機をスカすため、呪文の投射を止めてしまうのも手だが、それが相手の思うツボ、なんてこともありうるので、その相手の移動が届かない距離まで移動して呪文を唱えるか、あるいは「殴られても〈精神集中〉に成功すればいいのだ!」と割り切ってその場で投射してしまう、という手もある。

いずれにせよ、発動中にダメージを受けた場合には、[10+受けたダメージ+呪文レベル]の〈精神集中〉に成功しなければ呪文は消散する。高レベルならともかく、低レベルではこれだけの達成値を出すのはなかなか難しい。極力攻撃を受けない位置で呪文を唱えるよう心がけよう。

 

それから、使う機会は少ないが“呪文相殺”について触れておこう。呪文相殺とは、相手の呪文を食い止めるための手段のひとつで、相手が唱えようとしている呪文と同じ呪文を消費することで、呪文を打ち消す行動である。これを行うためには1)自分の手番に誰の呪文を打ち消すかを決めて“待機”、2)相手が呪文を唱えたら、その呪文を判別するための〈呪文学〉チェック(DC15+呪文レベル)、3)呪文相殺、と非常に条件が厳しい。しかし、〈呪文学〉判定さえ成功すれば相手の呪文を確実に消去できるのは大きい。また、相手の唱える呪文を持っていなくても、その大半はディスペル・マジックで代用できる(しかもディスペル・マジックなら〈呪文学〉の判定さえ必要ない!)。頻繁に使う類のものではないが、「できる」ということをしっかり頭に入れておくといいだろう(*3)。

 

 魔法使いにあたる2クラスは、いずれも〈技能〉ポイントに恵まれているとはいいがたい。が、上記2点を鑑みて、〈呪文学〉 と<精神集中>は修得しておくべきだろう。前者は魔法にかかわるさまざまなチェックの際に必要とされるし、後者は防御的発動のほか、心を集中できないような状態のときに呪文を唱えられるかどうかのチェックに用いられる。いずれもレベルにかかわらず頻繁に使用される能力なので、できることなら(特に<精神集中>は)最大値まで修得しておいて欲しい。

 

さて、前述のように、魔法使いは一般に軽装を強いられる。これには

1)   呪文の失敗確率:一般にACの高い鎧ほど、動作要素を必要とする秘術呪文の投射を邪魔する(*1)

2)   所持重量制限:ふつうの魔法使いは【筋力】を高く設定しない。加えて、ウィザードはクソ重い呪文書を持ち運ばねばならない

3)   デザイナーの陰謀:魔法使いは物理的に弱くあるべきであるとするデザイナーの信念(いや、むしろ信仰と呼ぶべきか?)によって、魔法使いはキャラを作った時点では鎧や盾に習熟していない

などの理由がある。

 

特に1)は深刻だ。

例えばACが2しか上がらないレザーアーマーでさえ、呪文の失敗確率が10%もある。そう、レザーアーマーを着ているだけで、10回に1回は呪文の投射に失敗するのだ!呪文失敗確率はマジックアイテムをもってしても変化しない(*2)ため、結局のところ魔法使いは鎧の類を一切身につけないのが普通である。よって、魔法使いは基本的にパーティの戦闘系クラスに守ってもらう必要がある。ただでさえ体力に乏しく、ACまで低いのだから、近接戦闘に巻き込まれたり、射撃戦の標的になったりすれば、あっという間に次のキャラクターの設定を考える羽目に陥る。しっかり守ってもらうためにも、積極的に「パーティに役立つ存在」であることをアピールしていこう。

なに、レベルが上がりさえすれば、君の地位はびっくりするほど----そう、灰かぶりと呼ばれた娘が一夜にして姫と呼ばれるくらいの勢いで----向上する。体力にものをいわせてふんぞり返ってる腕自慢の前衛系クラスの連中だって、じきに哀れみを誘う声で君の援護呪文を請う様になる。今後「2階級特進」以外に地位の向上が見込めないファイターやレンジャーたちと、輝ける未来の待つ魔法使いとでは所詮格が違うのだ。そのことを肝に銘じつつ、今は屈辱に甘んじながら、おだて、あるいはなだめすかしてかけがえない君の生命を守らせてやれ。近い将来、彼らの生殺与奪の権限は君が握るようになるのだから。 

 

 ちなみに武器は飛び道具がいいだろう。敵に接近する危険を冒さず、前衛たちの後ろから攻撃できる利点は何物にも代えがたい。魔法使いが《特技》を消費せずに使用できる飛び道具はごくわずかであるものの、ないよりはあったほうがいいのは言うまでもない。ひまがあるとキャラクターシートの空きスペースをイラストで埋めてしまう癖のある君は、君の性的嗜好が他のプレイヤーに明らかになってヒかれてしまう前に、魔法使いがひまになりがちな戦闘中にできることを見つけておくべきである。

 

 そんなわけで魔法使いは装備にさほど金がかからない傾向にある。

 では、浮いた金はどこに使うべきか?答えはすでに決まっている。スクロールとワンドである。

 スクロールはそれを読むことで一回だけ呪文を投射できるようになる、いわば使い捨てのアイテムである。しかし、たとえ自分が学んだことのない呪文であっても、そして準備していない呪文でも投射できる、というのは非常に大きい。〈技能〉チェックが必要になるものの、本来レベルが足りなくて唱えられない呪文でさえ、スクロールから投射することが可能なのだから。よって、自分が知らない呪文はもちろんのこと、「めったに使わないけど必要なときにないと困る呪文」をスクロールとして持ち運ぶことで、君はより応用範囲の広い魔法使いとして活動できるのである。また、ウィザードはスクロールに書いてある呪文を自分の呪文書に写し取ることで、自分の選択可能な呪文レパートリーにその呪文を加えることができる。

 いっぽうワンドはスクロールと違い、通常50回分のチャージを有している。1レベル呪文なら1投射につき15gpと非常に安価に使用できる。また、動作要素を必要とせず、機会攻撃を誘発しないという点もすばらしい(そう、ワンドからであれば、君はプレートメイルとラージシールドを装備し、かつ敵の真正面でも失敗なく呪文を投射できるのだ!)。

 可能であれば防御系マジックアイテムを買いたいところだが、これが高い。プレイスタイルにもよるだろうが、パーティで収入を管理・運営するRAINBOWのようなスタイルだったら、こうしたマジックアイテムの費用は前衛クラスに廻し、自分は自前の呪文で我慢するのが効率的な気がする。もっとも資金を個人管理しているなら遠慮は要らない。レジストリングでもナチュラルアーマーリングでもプロテクションリングでも好きなように買ってやりたまえ。

 

 最後に。魔法使いは100gpの魔法の材料を揃え、1日の儀式を行うことで、自分のFamiliar(使い魔)を手に入れることができる。使い魔はp25の表にある動物から1つを選べる。悲しいことに、ここでは【耐久力】が+2される(!)ヒキガエル以外を選ぶ理由はないのだが(*4)。なお、ヒキガエルではどうしても君の美的センスが納得しない、ということであれば、あとは似たり寄ったりなので好きなモノを選ぶといいだろう。強いて言えば会話ができる大鴉や牙に毒があるヘビなどがRP的には楽しいのだが、頑健セーブが+2されるラットも悪くないかもしれない。

 

 

 

 さて、ウィザードとソーサラーに共通して言えることを総論として思いつくままに上げてみたわけだが、最も重要な点である呪文の選択については未だほとんど述べていない。なぜなら、両クラスは同じ呪文リストから呪文を選択するという関係にあるにもかかわらず、まったく、といっていいほど異なる呪文選択のしかたを強いられるからだ。

 私は序文で両者----ウィザードとソーサラーには大きな力の差があると述べたが、それが何に起因しているものか、なぜそんな差が生まれるのかについては、以下の各論を参照して欲しい。

 

 

 

[ウィザード]

 ウィザードとソーサラーは同じ秘術魔法使いでありながらまったく違う様式によって「秘術」を行使する。ウィザードは体系的・論理的に魔法を学習したうえで、秘術を実践するのだ。よって、ウィザードの呪文能力は【知力】によって左右される。1日の使用回数、キャラ作成時のボーナススペル数、使用できる最高呪文レベルなどは、全てを【知力】値によって決定される。また、【知力】修正値はセーヴィングスローの難易度決定や〈呪文学〉〈知識〉〈念視術〉などウィザードに必須な技能の修正にも用いられるので、高値であることが望ましい。

 一方で、体力的に貧弱なウィザードは【耐久力】や【敏捷力】を高めにしておくべきだという意見もある。【知力】は15あれば(そしてレベルアップによる能力値の成長を全て【知力】の成長につぎ込むことにすれば)9レベル呪文を使用することもできるし、ボーナススペルだって十分もらえる。だったらHPや〈精神集中〉、頑健セーヴに関わる【耐久力】や、AC、反応セーヴに関与する【敏捷力】を上げておくべきでは、というのがこうした意見の大要である。

 これらのどちらを採用すべきかは、プレイスタイルによる、としかいいようが無いところではあるが、攻撃型ウィザードを目指すなら前者、汎用型ウィザードを目指す、あるいは序盤の生き残りに重点をおく、ということであれば後者を選択すべきだろう。どちらにせよ、ウィザードなら【知力】は15以上あるべきだし、高くできるのならそれに越したことはないのだが。

 

 種族については非常に選択に迷う部分が多い。

ウィザードといえばエルフというイメージがあるが、エルフは【敏捷力】 に+2され、ウィザードが適性クラスとされているほか、弓(など)の《武器習熟》 を有している(PHBp14)ものの、【耐久力】に-2のペナルティを負う。正直、キャラクターのまことに死に易いD&D3Eというゲームにおいて、【耐久力】-2(レベル毎のHPが-1になる!)に見合ったボーナスであるとは言い難い。

 よって、種族的な特徴を生かす、という意味ではノームならびにハーフリングのほうがウィザードには好適ではないだろうか。エルフのように【知力】が増えはしないものの、前者は【耐久力】、後者は【敏捷力】に+2されるし、両者ともSサイズクリーチャーなのでACに+1のボーナスが得られる。また、前線に出ることも少ないのでSサイズであることによる欠点(移動距離の短さ、武器の小ささなど)を気にすることも無い。さらに、ノームは幻術士としての適性とそれに伴ういくつかの特典(PHBp17)を有しているし、ハーフリングは全てのセーヴに+1、投擲武器に+1などの特性をもっている(PHBp20)。

 また、例によって人間を選択し、《特技》をひとつ多くもらうという無難な選択もある。人間なら技能ポイントもレベル毎1ポイント多くもらえる(ウィザードはもらえる技能ポイントが少ない。【知力】ボーナス分だけファイターよりましだが)し、そう悪くない選択といえるかもしれない。

 

 能力値と種族を決めてからも、ウィザードである君の苦悩は続く。ウィザードにのみ可能な「系統の専門化」を行うか否かの選択である。この専門化は、特定の系統の呪文を毎呪文レベルごとに1つ追加で得る代わりに、ある系統の呪文が一切使用できなくなるというものだ。『毎呪文レベルごと1回の追加呪文』というと相当強力に聞こえるが、しかし禁止系統ができてしまうという短所はその長所を失って余りある。どの系統にも大抵は「どうしても使いたい呪文」があり、また系統によってはそれが「無いと終わる」呪文だったりすることが往々にしてあるからだ。低レベルで終了するのがわかっているキャンペーンなどといった場合や、パーティがウィザードだらけなどといった奇怪な状況でない限り、専門化は行わない方が無難だろう。

 

 さて、技能であるが、総論で述べたとおり、ウィザードには<精神集中>と<呪文学>は必須の技能である。その他、敵に気づくための<視認><聞き耳>、情報戦に役立つ〈言語〉、ノーム・ハーフリングなどのSサイズ種族なら〈隠れ身〉などが候補に挙げられるだろうか。それから〈知識(各種)〉は未習得時にはチェックを試みることすらできない技能であるから、1ポイントでいいので修得しておくといいだろう。いや、むしろ1ポイントずつさまざまな分野の〈知識〉を持っておくほうがいいかもしれない。どのみちさして多くない技能ポイントをやりくりしなければならないのだから。

 

 一方《特技》であるが、ウィザードは5lv毎にボーナス《特技》を得られるし、呪文操作特技という、いわば術者専用の《特技》がある。というとずいぶん選び甲斐がありそうだが、実際にはその選択の幅は(特に序盤では)限られていると言って良い。序盤では呪文レベルの上がる呪文操作特技はやや使いにくいし、かといって《呪文熟練》でセーヴの難易度を2上げる、というのもなんだかもったいなく感じられるからだ(それでもスリープやホールドパースンなど、「決まれば勝ち」系呪文の《呪文熟練》を取っておく男らしい選択もあるが)。

 そこで一般的なところとしては、まず戦闘中の呪文発動に大きな助けとなる《戦闘発動》が上げられる。この特技は、戦闘中の防御的発動に+4ボーナスを与えてくれる。ただそれだけの特技だが、+4ボーナスはやはり大きい。

 また、《イニシアチブ強化》 も良い選択だ。スリープなどの範囲呪文は敵味方が入り混じる前に投射できたほうが有効だし、ヘイストなどの補助呪文を前衛を待たせることなく使用できるのは有益である。

 接敵されたときのために《回避》を修得しておく手もあるが、こちらはACに1のボーナスが付くだけなので効果は今ひとつ。だったらいっそ「攻撃は最大の防御」を実践するのはどうだろう。

 例えばレイ・オブ・フロストなどといった光線系の呪文の命中率とダメージを上げるべく、《近距離射撃》を修得する(基本攻撃ボーナス+1が必要だが、命判とダメージにそれぞれ+1されるのはかなりオイシイ)。総論でも述べたように、ウィザードは戦闘に参加するときは近接戦を行うべきではない。呪文だけでなく、射撃武器にもボーナスを生かせるこのチョイスはかなり有効だろう。また、君が高い【敏捷力】を有しているなら、ロングボウなどの射撃武器の《武器習熟》を取得するのも、パーティ戦力の強化という意味では悪くない。 

 またDMがアイテム作成の時間的余裕を与えてくれるようならば《その他の魔法のアイテム作成》を取るといいだろう(3レベル以降の話になるが)。「その他の魔法アイテム」で作れる魔法のアイテムは非常に多岐にわたっており、しかも強烈なものが多い(内容についてはDMGの発売を待ってもらうしかないが)。こうしたアイテムが市価の半額で手に入れられれば、パーティの助けとなるはずだ(当然君のパーティ内での地位向上にもつながるものである)。

 

 さて、ここまで終わればあとはお楽しみ。呪文の選択の時間である。ウィザードは1レベル修得した時点で呪文書を一冊持っており、そこには0レベル呪文(キャントリップともいう)全てと、3+【知力】ボーナスの1レベル呪文が書き込まれている。また、レベルアップの度に2つずつ新しい呪文をただで記入できるので忘れないように(詳しくはPHBp155参照)。

 また、ウィザードは巻物(スクロール)から自分の呪文書に呪文を書き写すことで、自分の呪文のレパートリーを増やすことができる事も忘れてはならない。この点はソーサラーと最大の相違点であり、ソーサラーよりウィザードが圧倒的に優位であるとされる理由の全てがここにある。もっとも呪文レベルごとに呪文書2ページ分の費用(1呪文レベルに付き200gp)がかかるから、序盤ではおいそれと増やすこともできないのだが。

 ともあれ、【知力】ボーナスが+3とすれば、君のウィザードは6つの1レベル呪文を選択して冒険をはじめられるわけだ。以下には序盤で有効に機能しそうな呪文をリストアップしておこう。ちなみに◎は特にオススメの呪文である。呪文の詳細については穴が開くほどPHBの呪文の記述を繰り返し読んで欲しい。そうやって呪文ひとつひとつの特質を熟知することそのものが、強力なウィザードを作るのだから。

 

<1レベル>

 ◎サモン・モンスター1、◎グリース、レイ・オヴ・エンフィーブルメント、◎スリープ、チャーム・パースン、トゥルー・ストライク、マジック・ウェポン、◎シールド、プロテクション・フロム・イーヴル、◎マジック・ミサイル

<2レベル>

 ◎インヴィジビリティ、ミラー・イメージ、◎ウェブ、◎サモン・モンスター2、◎シー・インヴィジビリティ、ノック、ブラインドネス/デフネスまたはグリッターダスト、

<3レベル>

 ◎インヴィジビリティ・スフィアー、サモン・モンスター3、スティンキング・クラウド、ホールド・パースン、◎ヘイスト、◎フライ、◎ディスペル・マジック、ファイアーボール

 

 ちなみに君のウィザードは1日にp24にある表3-3に記された呪文数に加え、【知力】値に応じてボーナス呪文をもらえる(ちなみにボーナス呪文数はp8の表参照)。ただし、呪文を憶え直すには前夜8時間の休息をとらねばならず、かつ使いたい呪文は前もって1時間かけて準備どの呪文を使うか決定し、キャラクターシートに記入すること)せねばならない(PHBp154)。ソーサラーやバードはこの時間は15分しか必要としないうえ、どの呪文を使うか前もって決める必要はないが、これはウィザードが秘術呪文の理論を体系的に学ぶことで施行していることを表現するためのルールだろうと思われる。彼らの1日に使用できる呪文数がソーサラーより少ないのもこのへんが原因だろう(屁理屈くさい奴に実際仕事をやらせてみりゃあ口先ばっかりで何にもできないなんて事は良くあることさ、そうだろ?)。

 ともあれ、限られた呪文を効果的に使ってこそのウィザードである。いつでもこれから戦う相手や状況にあわせた呪文が選択できるよう、自分の持っている呪文の性質をよく学んでおこう。

 

 最後に。

 ウィザードである君は、転職についてあれこれ考える必要はない。下手により道をするより、そのまま秘術魔法の研鑽を積み、より高レベルの呪文が使えるようになることこそ、君を強力にする道なのだ(*5)。君のパーティの前衛が当てにならず、敵がどんどん前線を乗り越えて君を直接攻撃に来るとか、DMがサモン・モンスター好きでしょっちゅう直接殴られたりグラップルされたりする、ということなら前述のようにモンクを1レベル混ぜるのもいいかもしれないが(もっとも、そんな役立たずな前衛などさっさと呪文で葬り去って、新しい仲間を捜すほうが手っ取り早いって気がするがね)。

 

 

 

[ソーサラー]

 まず、君が初心者なら、ソーサラーを選ぶのは止めたほうがいい事をお伝えしておこう。

 単発シナリオであるとか、練習用にどうしてもやってみたいというのでなければ、ソーサラーはあまりに考えなければならない要素が多すぎる(そしてそれに見合ったものが得られるわけでもない)。

 また、多少のプレイ経験がある君も、パーティの秘術魔法使いが君だけ、という状態であれば、やはりソーサラーは避けたほうがいい。冒険半ばにして雇われたNPCウィザードに羨望のまなざしを向ける悲哀にみちた中年秘術使いをプレイしたいのなら、それはそれでいいのだが。

 

 なぜこうまで言われなければならないのか?

 それを知るには、ソーサラーがどのような能力を持っているかを知る必要がある。

 

 ウィザードとソーサラーは同じ秘術魔法使いでありながらまったく違う様式によって「秘術」を行使する。ウィザードが理論にしたがって魔力を行使するのに対し、ソーサラーは生来の才能によってその魔力を振るうのである。よって彼らの呪文投射能力は【魅力】に左右される。なんでやねん。

 ともかくなんだかよくわからない理由から魅力のあるソーサラーほど強力な秘術呪文を使いこなせるのだが、彼らはどんなに複雑な呪文であろうとウィザードのように呪文を準備する必要がない。彼らは呪文を才能と直感で行使するため、1日に決まった回数だけ、自分のレパートリーにある呪文を使用できるのである(*6)。また、その回数はウィザードに比べて(たいてい)レベル毎+2回。そう、1レベルウィザードが必死に1,2発の1レベル呪文をやりくりしている間に、ソーサラーはボーナススペルなしでも3発の1レベル呪文を呪文の選択もせず使用するのである。選んだ呪文の効かない相手が出てきたら投了のウィザードと比べて何という柔軟性!しかも呪文数が2回も多いなんて!

 ところが、である。

 ソーサラーはそのレパートリー、すなわち呪文選択のの幅が狭いという最大にして無二の欠陥を持っている。そしてこの欠点故に「ウィザードには及ばない2戦級クラスである」とされているのだ。

 でも、そんなに厳しいの?

 そう思った君はp33 表3−9:ソーサラーの修得呪文数を見てみよう。例えば1レベルソーサラーは0レベル呪文が4つ、1レベル呪文が2つ覚えられるのがわかると思う。では表をそのままに、20レベルソーサラーの欄を見てみよう。たくさん呪文数が書いてあるように思うかもしれないが、1レベル呪文はわずか5種。そう、1レベルの時点から、3つしかレパートリーが増えないのである。そしていくら【魅力】や他の能力値が高くても、修得呪文数は増加しない。また、それを解決するマジックアイテムも存在しない。つまり、1レベルソーサラーであっても、呪文は一生つきあう覚悟で選択しなければならないのだ。しかも、ソーサラーはウィザードより上級レベルの呪文を覚えるのが1レベル分遅い。例えば彼らが2lv呪文を投射できるようになるのは4レベルからである。この1レベルの差は、果てしなく大きい。

 考えてみるがいい。例えば序盤に有効な呪文であるスリープを取ったソーサラーのことを。なるほど、1日に3発以上もスリープが使えるんなら相当な数のザコ敵を掃討できるだろう。眠りに落ちた相手など死んだも同然だ。しかし、彼が10lvに成長したときのことを考えてみるがいい。彼はこのときには毎日6発以上の1レベル呪文を投射する能力を持っている。しかし、10レベル冒険者の彼に、スリープが効く4HDの敵を相手にするような局面が訪れるだろうか?仮に訪れたとしても、それは多くが、言ってしまえば「どうでもいい」エンカウントであろう事は想像に難くない。つまり、強力な相手に対抗すべく使いたい呪文スロットの一つを、ザコにしか効かない呪文のために埋めてしまうハメに陥る、ということである。かといって、高レベルのことをにらんで汎用性のある呪文しか取らない、ということになると、今度は威力や効果に問題が生じたりする。まさに痛しかゆしである。

 もちろん、スクロールはウィザード同様使用できるし、ワンドやスタッフだってそれは同じだ。でも、「だったらウィザードでいいじゃん」という言葉に返す言葉を、少なくとも私は持たない(*7)。

 

 ソーサラー、ダメ?

 

 冒頭で述べたように、パーティ唯一の秘術使いとして考えるなら、ソーサラーはかなりダメである。

 

 

 しかし、もしこれが2人目の秘術使いであるなら、工夫次第で強力なパーティ戦力となりうる。

 

 かのスキップ・ウィリアムスはソーサラーを評してこういった。「ソーサラー=マジックミサイルマシーンである」と。

 ソーサラーはパーティ戦力としてみた場合、一人目の術者としては必要能力に大いに欠けていると言わざるを得ない。術のレパートリーが増やせず、状況に応じた呪文投射が難しいのだから。

 しかし一方で、呪文数だけはやたらと多い。これは非常に大きなアドバンテージである。

 だったら特定の状況下で働けるようにデザインしてしまえば良いのだ。

 

 最もわかりやすいのはウィリアムスのソーサラー評にもあったように、マジックミサイルマシーン、つまり戦闘用してデザインすることだろう。呪文は攻撃系呪文のみ選択し、術の出し惜しみをせず、『移動砲台』としてパーティに加わるのである。

 こういうソーサラーを一度敵に廻してみるといい。

 君は、というよりそのパーティは全滅か、少なくとも半殺しの目に遭うであろう事は間違いない。

 例えば6レベルの『移動砲台』を考えてみるといい。彼の【魅力】 が16以上なら、そして彼がファイヤーボールを選択しているのなら、彼は君たちに向かって立て続けに、なんと4発もの6レベルファイヤーボールを投射してくるのだ!あるいは術者めがけてサモンモンスターを連発するかもしれないし、前衛の【筋力】を片っ端から下げていくかも知れない。いずれにせよ、通常のウィザードとはひと味違う恐怖を味わうハメになるだろう。

 このデザインは攻撃型にとどまらない。例えばインヴィジビリティやキャッツ・グレースのような、仲間を強化する呪文に特化したデザインや、グリース、ウェブなどの攻撃補助呪文に特化したデザイン、プロテクション系呪文に特化した防御型デザインでもいいし、対人呪文(精神コントロールや幻覚)に特化した情報収集型だっていいかも知れない。高レベルなら敵が強化魔法使ってくるのを見越してディスペルマジック専門の「退魔術師」なんてのもカッコイイかも(とりあえず名前はカッコイイだろ?実より名を取るのがソーサラーのスタイルなのさ!)。

 もちろん、この目的のために、他クラスとマルチクラスしても良い。ウィザードのように自分の身を守るためのクラスではなく、自分の役割を強化するためのデザインをするのだ。例えば前述「対人交渉型」ならバードとマルチクラスして〈情報収集〉や〈交渉〉技能を手に入れる。君の情報屋としての価値は格段に向上するだろう。また、後方から前線を支援すべく、基礎攻撃ボーナスの高いファイターやバーバリアンとマルチクラスして、弓を装備するのもいいだろう。君が1レベル呪文にトゥルー・ストライクを選択していれば、「必中」とも言える矢を連射できるのである。さらにはインヴィジブルなどの呪文を有効に生かすべく、ローグとマルチクラスする手もある。

 

 さて、どうだろう。

 君は、パーティの砲台とか、エンチャントマシーンと呼ばれる覚悟ができただろうか。

 もし君が「XXバカ」などと呼ばれるのを好まないなら、いますぐこの項を見るのをやめてウィザードの項を読むことにした方がいい。少なくともレベルアップの度に呪文の少なさに歯がみしつつ、スクロールの呪文を書き写すウィザードの背中めがけてファイヤーボールを唱える必要はなくなるだろうから。

 

 しかし、もし君が「俺は一生砲台でいい!」「みんな燃やしてやる!」「消えるぜ!消えまくるぜ!そして行くぜ!!(どこかへ)」「私のメイジアーマーは天下一品!さあ、何回でもかけて上げるからいらっしゃい!鎧と重複しないけどね!」などと男らしく言い放てるというのなら、よろしい、キャラクターメイキングに移ろうじゃないか。

 

 人間的魅力が魔力の行使とどう関係あるのかはよくわからないが、ともあれソーサラーの【魅力】は高いことが望ましい。【魅力】が高ければ高レベルの追加呪文ももらえるし(もっとも、使えるようになるまで生きていられるかどうかが重要な問題として立ちはだかっているのだが)。たしかにウィザード同様、【魅力】は15あれば(そして成長に伴う能力値増加をすべて【魅力】 につぎ込めば)9lv呪文までは投射できるから充分、とお思いかも知れないが、セーヴの難度を上げておくにこしたことはない。ただでさえ呪文レパートリーが少ないんだ。せめて持ってる呪文くらいは敵が抵抗できないよう、できるだけ高くしておこう。

 では他の能力値はどうか、といえば、こちらはウィザードとほぼ同様である。つまり、サバイバルのために【敏捷力】と【耐久力】が必要であるということだ。ウィザードと違うのは【知力】 がメイン能力値でないため、技能ポイントや〈呪文学〉などのチェックのために【知力】を高めに設定する必要がある点だ。都合、ウィザードより1つ高めにしておきたい能力が多い計算になる。とはいえクラス技能はウィザード同様、あまり応用の利くものはないので、魔術系の知識や情報収集を他人に任せられるようなら思い切って【知力】を切ってしまうのも手かも知れない。

 またスタイルによっては弓(など)での攻撃を頻繁に行う必要があるだろう。そうしたキャラクターにしたいのなら敏捷力を高めにしておくといい。種族を弓攻撃の得意なエルフにしておくのも良い選択といえるだろう。もちろん、ウィザードの項で述べたように小型種族を選択してACやセーヴを上げておくのも手だ。

 

 技能のセレクションについてはウィザード同様である。つまり、<精神集中>と<呪文学>は必須、あとは知識系技能を薄く広く、である。もっとも、【知力】を「切って」いるならウィザードよりさらに狭い範囲でしか技能を修得できないことになってしまうが。何にせよソーサラーとしては大した技能は覚えられないし、もらえる技能ポイントも少ないので、欲しい技能があるなら他クラスとのマルチで獲得する方が良さそうだ。

 

 次いで《特技》の選択である。これまで本稿では「ウィザードとソーサラーはほぼ同じ」的なことを書き続けてきたが、この点ばかりはそうは言っていられない。なぜなら、魔法の威力や運用を左右する《呪文修正特技》の意味合いが、ウィザードとソーサラーで大きく異なっているためである。

 まず、ソーサラーは呪文修正特技を使用すると、その「修正」がどんなものであれ全ラウンドアクション(以上)で呪文を投射するようになる。例えば《呪文高速化》は呪文の投射にかかる時間を短縮する《特技》だが、これを使ってもソーサラーは全ラウンドアクションとして呪文投射しなければならないのだ。

 しかし、長所もある。ウィザードと違い、ソーサラーは呪文を準備しなくて良い。これと同じく、呪文修正特技を使用する際も準備はいらず、その場で使用する《特技》を選択できるのである。つまり、たとえば《呪文音声省略》を持っているソーサラーなら、鎧を着たときや捕まったその場で呪文を選択し、使用することができるのである。また、《呪文威力強化》を持っていれば相手にあわせて威力を調整できると言うことにもなる(これは呪文のレパートリーが少ないソーサラーにとって特に重要なポイントである----限定的ではあるものの、擬似的に呪文の種類を増やすことが可能になるのだから)。

 ウィザードでは「少々もったいない」と述べた《呪文熟練》もソーサラーには重要な《特技》だ。呪文の種類が少ないのだ、せめて知ってる呪文くらいは確実に聞かせたいのが人情というものだろう。特に《呪文熟練》1つの魔法系統全体に機能する。どうせ呪文の種類が少ないソーサラーだ、いっそ系統を絞って《熟練》しておけ。

 また、攻撃型ソーサラーなら武器関連《特技》+《近距離射撃》などの組み合わせでもいい。同様に、自分のスタイルにあった《特技》で固めるのもいいだろう。

 一方で、アイテムや巻物を作成する《特技》はあまりソーサラー向きではない。そりゃできるにこしたことはないだろうが、例えばアイテム作成なら、アイテムごとに必要な呪文が異なったりする。巻物にしたって、唱えられる呪文ならいつでもどれでも唱えられるソーサラーには重要度は低い。とまあ、かように作成系《特技》は知っている呪文の少ないソーサラーにはまことに不経済なものなのだ。この種の《特技》を取る余裕があるのなら、前述の呪文修正特技や《呪文熟練》を取る方が賢明だろう。

 

 さて、お次はソーサラーの命である呪文の選択だ。この選択がソーサラーの活躍を決める。もっとも前項の通り自分の「役割」を決めているならば、その役割に従った呪文選択を心がければいいので実際にはさほど困らないだろうが(「選択肢が狭くて困る」のは、魚屋が魚を売ってるのと同じくらい当然なことなので普通に困りたまえ。それがイヤだというのは「八百屋に『八百』が売っていない」と文句を言うようなものであり、そんな君はウィザードを選択すればよいのである)。

 とはいえ、例えば1lv呪文なら、ソーサラーレベルが7になったときに覚えた5つ目の呪文と一生おつきあいして行かねばならないソーサラーである。「んー、まあこれでいいか」などと適当に決めればパーティメンバーに一生ぐちぐちとイヤミを言われ続けるハメに陥りかねない。そこで、以下には「選択する呪文が特にない場合取っとくと良い呪文」を上げておこう。ちなみに優先度が高そうな順に並べてあるので参考に。

 

<0レベル>

 ディテクト・マジック、リード・マジック、デイズ

<1レベル>

 シールド、マジック・ミサイル、グリース、レイ・オヴ・エンフィーブルメント、(戦闘系なら)トゥルー・ストライク

<2レベル>

 インヴィジビリティ、グリッター・ダスト、ウェブ、ノック

<3レベル>

 ディスペルマジック、ヘイスト

 

 最後に他クラスとの組み合わせであるが、ソーサラーベースで行くのなら、ムリして他のクラスと組み合わせる必要はないと思う。ただでさえウィザードより呪文の学習ペースが遅く、また覚えられる呪文数も少ないのに、他のクラスに寄り道してそのペースをさらに遅いものにする必要はない。ただ、ソーサラー単体ではできることが限定されてしまうので、何らかのクラス(技能か特技の豊富なクラスがいいだろう)を1−2lv取って「ふだんできること」を増やしておけば、パーティメンバーに愛想を尽かされずに済むだろう。

 一方で、他のクラスをベースとして、その能力の補助としてソーサラー能力を使おうというのなら、このときにもやはりソーサラーの能力は有効に機能するだろう。例えばファイターやローグが1レベルだけソーサラーを取り、呪文としてトゥルー・ストライクを選択する。トゥルー・ストライクは動作要素がない(つまり鎧を着ていても関係なく投射できる)呪文だから、突撃や、奇襲による急所攻撃の大いなる助けとなってくれることだろう。また、呪文数にものを言わせて「失敗確率なんざ関係ねえ!」と叫びつつ成功するまでシールドを投射するとか、命中率の高い遠隔接触呪文(レイ・オヴ・フロストなど)に急所攻撃ダメージを乗せる、敵の真後ろにサモン・モンスターでモンスター召喚→挟撃して急所攻撃、などアイデア次第でできることはたくさんある。

 呪文リストに穴が開くほど良く読んで、自分の「役割」にぴったりの呪文を探し出そう。そうやって呪文のことを学ぶことこそが、強いソーサラーを作るのである。

 

 

 結論。

 

 ソーサラーは万能なる術者には成りえない

 ただし、機能を絞れば充分強力な術者と成り得る

 同時に他クラスの実力底上げに有効である。

 

 

 

7歩目:自分のキャラを作ろう!(4) 信仰呪文使い編

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      1:ちなみに動作要素を必要としない呪文はごくわずかしかない。動作要素をなくす《特技》として《呪文動作省略》があるが、支払う代償が大きいため、非常用呪文以外にはオススメできない。

      2:一部の魔法金属は非常に軽く、呪文の失敗確率を減らしてくれる。といっても0になるわけではないので大差ないといってしまえばそれまでだが。

      3:序盤ではともかく、5lv以降のレベルでは、待機さえしてれば一撃死すら呼びかねない相手の呪文を打ち消せるディスペル・マジックによる呪文相殺はかなり使える(と思う)。解呪判定が必要だけど、ザコの攻撃呪文で削り殺されるのが回避できるのは大きい。

      4:魔法使い用サプリメント“トーム&ブラッド”で多様な使い魔が追加されている。中にはちびドラゴンやショッカーリザード(ピカ○ュー)なども。使い魔は簡単に換えられないので、このルールだけでも使いたいところだが・・・。

      5:追加サプリメントによる上級クラスに付くにしても、毎レベル呪文能力が上がるもの以外は(よほど強力な特殊能力があるのでない限り)修得しない方が強力なことが多い。

      6:いわゆるウィザードリィ方式ですな。

      7:少なくともウィザードに比べて、成長時の楽しみに大いに欠ける。いくら呪文が連発できると言っても、次々新しい呪文を学べるウィザードと一緒にいるとマジで切なくなる程度には(笑)。これが「10lvキャラ作って冒険スタート」なんて場合ならさほど気にならないかも知れないのだが。

 

 

※本稿は朋さん、EL-COさん、通りすがりのおやじさん、独楽屋さんの示唆を受け、訂正してあります。多謝!