TOP13忍者プレイリポート>第14話 夜牙塔到着

CDS:PE&レインボー合同
D&Dサード プレイリポート企画
13NinjaTitle

第14話 夜牙塔到着

2005/02/24
by B.M

マスター&ライター:B.M
プレイヤー:石川(ウエスト)、
ルトガー(ジール)、ジェック(ガロウズ)、右近(サイラン ダー)ヤモンのせい(ヴァロック)
[敬称略、順不同]



**市販シナリオ「夜牙塔の心臓」の**
**ネタバレが微妙にありますので**
**あなたのDMに相談してから**
**お読みください**



[登場人物] ※画像をクリックすると詳細な説明が見られます(無いキャラもあり)
ヴァロック
シスコン
〜シスコン僧侶〜
人間
“デルソフィ”を信仰するクレリック

 《Extra Turning/退散回数追加》とディヴァインフィートを取り、小技も利くクレリック。全般的に高い能力値を持つため後衛の防御戦闘も行える優秀な駒であ る。〈Spot/視認〉や〈Listen/聞き耳〉が苦手で大事なことに気付かなかったりする。
 ……問題は常にかぶっているグレートヘルムか……
 〈Speak Language/言語〉が大得意(???)。レベルが上がるために貴重な2スキルポイントを〈Speak Language/言語〉に注ぎ込んでいる言語マニア。誰か止めてくれ。無理だけど。
ウエスト
善でない
悪の善ではない魔術師〜
人間
ウィザード/エイリアニスト

 ヒプノティズムによる幻惑や膨大な〈Knowledge/知 識〉によるサポートがメイン。戦闘では《サモン強化》のフィートで強化された犬軍団を統率する、犬将軍。
 「60の夏」研究を進めるうちに禁断の邪悪なる呪文に手を出したと言う噂。
 ファミリアは「いかめし君」(謎のコウモリ風生物)
 笑い方は『げっひっひ』
ケイト
なんですのん
〜オークハンター〜
人間
レンジャー/ローグ

 とにかくオークに恨みを持ち、オークを殺すことに生涯を捧げる 生レンジャー(ありえない)。必殺技はオークを捕まえて“Take20 (出目20)で朝まで〈Intimidate/威圧〉”すること。普段ののんびりっぷりと、殺戮 の宴を始めた時の変貌っぷりで“ランチさん”と呼ばれることになったり。
 口癖は『なんですのん?』『かなんなぁ』『いけず』
サンダー

サンダー
〜謎のモンク2号〜
エルフ
モンク

 サイランとは全く関係無い人。……まあ、全く関係無いと言いつ つ「実は師匠が同じだった」とか「偶然同じ事件を知っていた」とか、なんか微妙に関係が発覚しつつあるが。まあ、別の人。
ガロウズ
ガロウズ
〜HFO〜
人間
ファイター

 正統派HFO。涙無くしては語れない《Whirlwind Attack/大旋風》を習得しているあたり、筋金入りのHFOだ。しかも、スパイクド・チェインなんてチキンな武器は使わないぜ! だめだこりゃ!
レ ア
レア
〜紙のhpを持つ少女〜
人間
バード

 怪しげな“ガルシアスの実”のおかげで一命を取り留めたが、そ れでも貧弱なことには変わりは無いのだった。兄を心配してパーティに着いてきた(……と言いつつ実はガロウズに付いて来た説アリ)
ジール

[Now
 Printing]

〜俺は戦士〜
人間
ファイター/ゴーストウォーカー
 フェニックス帝国の戦士団長。メル クリアン・グレートソードをぶんぶん振り回す豪傑。愛称は“隊長”──もちろん部下は一人もいないけれど。



目次
§14−1 いつもの与太話
§14−2 あらためて自己紹介
§14−3 そして夜牙塔へ
§14−4 納骨堂
§14−5 どうやって入る?




§14−1 いつもの与太話

良くぞ集まった我が精鋭たちよ

 今回はアブロとノインガムがお休みで、かわりに珍しくガロウズが参戦。それに、新キャラクターのジールも入ったりと。なかなか激動のセッションでした。 まずはわいわいガヤガヤとアイテムを購入したり、呪文を選択しなおしたりと。
 このぐらいのレベルになって来ると冒険の準備にも時間がかかるもので。
 なんかこの辺だけで2〜3時間かかってしまうのが悩みの種であります。

ウエスト「──うーん、もうちょっとダイアモンド有った方がいいんじゃね?」
ヴァロック「……そうだねー。もうちょっと欲しいねー」

BMの 浅知恵袋>
 ダイアモンドはレイズ・デッド(500gp)、レストレーション(100gpの粉末)などに使うので、この辺りのレベル (9〜)になると
重要なマテコン(触媒、物質要素)になります。

ケイト「ところで皆さん、所持金はどないでっしゃろか?」
ガロウズ「ああ、有ればダイアモンド買い足したいね……って、俺は無一文」
ウエスト「……うーん……俺2gp(笑) 今、自分で見て笑っちゃったよ」
サンダー「俺、46gp5sp」
ガロウズ&ウエスト&サンダー「うははははは(笑)」

 ……笑ってる場合ではない【←金欠の原因】

ウエスト「あ、ワンドって半分のチャージのヤツ買える?」
BM「……うーん、ルール上は買えないんですけど、今回は特別にOK(これ以降しばらく買えないし……)」
ヴァロック「5とか3チャージが許されればなぁ。めちゃくちゃに買って行くんだけど(笑)」
ウエスト「もう、ワンドでAC上がるくらいな」
BM「弁慶かいっ!(笑)」
ヴァロック「じゃあ、レアのためにハーフチャージのシールド・ワンドをくれ〜」
ウエスト「まあ、AC+7あれば少しはマシだろう……」
レア「ありがとうおにいちゃん〜」
ヴァロック「わーい(萌)」
BM「……(どうにかしろこのクソ兄貴)」
ガロウズ「あ、俺レベル上がったんで、Hなヤツを振らせてください」
サンダー「ジェーーーック!!(謎)」
ヴァロック「……ック!!(激謎)」
ウエスト「……ック!!!(なぜか超気合)」
BM「…………ック!!!(DM業放棄)」
ジール「……???」
BM「──説明しよう、“ク!”とはヴァルカニアで“Hな”を意味する」
ガロウズ「うるさいよアンタらは(笑) いいからhp振らせてくれよ」
BM「前回はシケたからねぇ……」
ガロウズ「まあまあまあ……えい……(ころころ)……あっ」


「1」


ヴァロック「1はいいよ!!」
サンダー「1はええねん!」
ウエスト「1は良いよ!!」
BM「やっちまってるー!(笑)」
ガロウズ「……ま、そういうこともあるよね……hp52、と」
ウエスト「52ぃぃ!? おい、俺44あるぞ(笑)」
サイラン「俺も48ぐらい」
ガロウズ「まあまあまあまあ」
ウエスト「いや、まあまあって言うか、大丈夫なのか?(汗)」
ガロウズ「まあまあまあまあ」
ウエスト「いやいやいやいや」
ガロウズ「まあまあまあまあ」
ウエスト「いやいやいやいや」

ガロウズ「まあまあまあまあ【何かを薦めながら】」
ウエスト「いやいやいやいや【消しゴムを押し返しながら】」
BM「うるさいよ!!」

 ……大丈夫なのか?(汗)

レア「大丈夫よ、私なんか7レベルにして12hpだもん」
ヴァロック「れあー(萌)」
サンダー「ダメやん(笑)」
ウエスト「おい、やっぱコイツ(レア)置いていった方がいいんじゃないのか?(笑)」
ヴァロック「俺だって置いていきたいけどさぁ……ああ、そういやリングがあるから少しマシになったんだよ」

 ヴァロックはエンターテイメント業界一痺れる優しいDMに『レア⇒ヴァロックにだけシールド・アザーが常時発動している一組のリング』を 作成してもらい、購入。ただし本品にAC及びセーヴボーナスは付きません(そのかわり効果範囲は1マイル)。

ヴァロック「くそ、高かったよコレ! クソマスター!!」
サンダー「でもhp12じゃあ焼け石に水って気もするけど(笑)」
ウエスト「本当にな。……それにしてもレアって、何で付いてきちゃったの?」
BM「……愛?(笑)」
サイラン「愛がアップしたのか」
ウエスト「……(飛び蹴りのポーズ)」

 ロマサガって言われましても。

ヴァロック「微妙なんだよー。もう、ガロウズと2人っきりってことは無いから、いいんだけどー。かと言って、付いてこられても困るんだよー」
ウエスト「なんかなー。1人加えても戦力的にはダウンしてるような気が……」
サンダー「しぃっ! ……言わなきゃバレないから!」
ウエスト「あ、ああ、そうか。じゃあ黙っていよう(笑)」
BM「誰にバレる/バレない、なんだ(笑)」
サンダー「ええと、ホラ、…………ええと……さぁ、セッションを始めよっか!(笑)」


§14−2 あらためて自己紹介

BM「さて、楽しいお買い物タイムとDMへ呪いの言葉を吐く時間が終わりまし たところで……」
ヴァロック「終わってないよ!(笑) 今日はこれから一日中呪うから」
BM「おい! ……まあ、それは置いといて、13忍者を始めて読む人もいると思うので簡単に自己紹介をしますか。まずはレアから」
レア「ええと、歌って踊れるバードになりたいレアです。ヴァロックの妹です。hp12のうえにAC13ですけど、きっとお兄ちゃんが守ってくれると信じて ます。一応、ちょっと呪文が使えるので……ヒディアス・ラフターとか……あとは呪歌ですね」
ケイト「オークハンターのケイトどすぅ〜。うちは、えずくろしいオークどもを狩るために生きてます。それ以外の人生の目的はありまへん。オークを狩る時は 任せておくりゃす(キラリ) ……あ、あと、村に残って農作業したおかげで、ローグとしてレベルが上がりました〜」
ヴァロック「“えずくろしい”って言われても(笑)」
ウエスト「つーか、どんな農作業なんだ(笑)」
サンダー「冒険してた俺らよりレベル上がってる(笑)」
ケイト「……なので〈Search/捜索〉とか〈Disable Device/装置無力化〉とかできます〜。せやから、これでオークどものワナにはかかりまへんで〜〜」

 ローグのアブ朗ことアブロさんがお休みなので、苦肉の策でした。
 どうもアブ朗さんはこの時期忙しかったようです。
 また、良からぬことを企んでいたという噂アリ!?

ガロウズ「ファイターです。《Whirlwind Attack/大旋風》を 覚えたので、頑張ります」
BM「《Whirlwind Attack/大旋風》キタ━━(゚∀゚)━━!!(笑)」
サンダー「……それだけか?(笑)」
ヴァロック「無駄だよ!(笑)」
ウエスト「《Whirlwind Attack/大旋風》って言う単語が出ただけで笑いが起こるのもどうかと思う(笑)」
BM「他は?(笑)」
ガロウズ「ああ、えーと、《Whirlwind Attack/大旋風》の条件になってるヤツは、《Whirlwind Attack/大旋風》を取るためだけに習得してます。あと、〈Swim/水泳〉を+17まで上げたので、なんと鎧を着たまま泳げます
ウエスト「いらん!(笑)」

BMの 浅知恵袋>
 3版は重量によるペナルティがキッツいので、戦士が鎧を着たまま泳ぐのは大変です(いや、無理に泳ぐ必要はありませんが)
。3.5版はペナルティが楽になったので、“納得行かない”とガロウズはこぼしておりました (笑)

ガロウズ「重量で-16されても+1残るようになったよ〜♪」
ケイト「おお〜、たんと上げはりましたなぁ〜」
ウエスト「いや、1ポイントもいらん(笑)」
サンダー「……ごめん、もういい(笑)」
ガロウズ「なぜだ!!(笑)」
BM「はい、次はサダー(記録用紙にこう書いてあっ た)」
ウエスト「サダーって誰やねん(笑)」
サンダー「……ごめん、それは1モカ貰うからサンダーにしといて(笑)」
BM「ええー? 本名マサシーとか言うキャラだと思ったのにぃー」
サンダー「ええと、人間を観察するために付いてきているサ……サンダーです。もちろんモンクとしての戦闘力(AC21、hp48)もあるので、前線にも立 てます。基本的には〈Move Silently/忍び足〉と〈Hide/隠れ身〉を活かして偵察に行って帰って来ます」
BM「日本語は正しく使いましょう。行って帰ってこれるかどうかは誰にも分かりませんよ?(笑)」
サンダー「……ええと、行って帰って来たい。希望。心意気ってやつ?(笑)」


§14−3 そして夜牙塔

 まあ、いろいろと激しい冒険が有ったと思いねぇ。
 道中は大スペクタクルだったと思いねぇ。
 心意気を見せたり1回死んだりと、サンダーさんが大暴れ。異国の戦士ジール と出会ったり、13忍者の手下(4人目)と対決してドローになったり、地形や天候でヒドい目にあったり。
 等々、様々な困難を乗り越えて、ついに夜牙塔の真下にやってきた一行なのであった。
 詳細は後日!【逃げ口上】

 禍々しい形をした塔の高さは300フィートほどで、土台の直径はおよそ100フィートぐらいであった。

BM「──しっかりとした石組みで形成されており、高さ50フィートぐらいの高さからは、このような(イラストを見せる)彫刻がびっしりと」
サンダー「ふーむ」
ジール「なにか、超自然的なものを感じるな」
BM「確かに。このような不安定そうな形の塔が、こんなに高くまでしっかりと建っているのは、神秘的ですらあります」
ウエスト「まあ魔法だろうな」
サンダー「だろうな、ってそんな簡単に言うな(笑)」
ウエスト「いや魔法使いですから」
ケイト「ああ、そうでしたなぁ〜」
ウエスト「……お前ら、俺のことをなんだと思ってたんだ?」
ケイト「……(うつむく)」
サンダー「……(目をそらす)」
ウエスト「だ ま る な

 言わずもがな。

ウエスト「これがやがとうか……」
BM「……えっ!? いや、キャラクターはまだ夜牙塔の名前は知らないはずですよ(笑)」
ウエスト「えっ? そうだっけ?」
サンダー「……いや、違う。俺らが話してるのは、ヤガさんのこと」
ウエスト「そうそう、ヤガさんの顔に似てたから」
ヴァロック「ああ、ヤガさんかぁー」
BM「本当かよ!(笑)」
ウエスト「ヤガ君、ちょっとおでこ広いよね」
サンダー「しかもちょっと怒ってるね」
ガロウズ「寝不足だね」
ヴァロック「それよか、頭が尖ってない?」
ウエスト「いや、彼はメタルだから。これ髪型」
BM「嘘つけぇ!!(笑)」

 プレイヤーは“ヤガ君の顔に似ている塔”と呼ぶと主張。
 略してヤガ塔だという。
 つーかヤガって誰だ。
 (※注:正式には“よるきばとう”であるという噂アリ)

ヤガ君ヤ ガ君(レア画)

ウエスト「ほんでわ、アーケイン・アイを塔の頂上に送ります。……何が見える?」
BM「塔はモルタル造りですね。そして、頂上部には屋根がありません。アーケイン・アイは……人間の視力ですよね? なら、壁の陰になって いて暗くて底はよく見えません。」
ウエスト「他には? その窓から中を覗けない?」
BM「それはくぼみですね。模様の一部だと思ってください」
ウエスト「模様なのー?(笑)」
ガロウズ「なんかの意味があるのかねー?」

 いろいろと意見が出たが、やが君のエクボということで解決(してない)。

ウエスト「じゃあ、次はこの小屋みたいなものをアーケイン・アイで偵察」
BM「はい、その小屋はモルタル造りのものでして、床はツタに覆われています。入り口から差し込む光によって、床になにやら塊が転がっているのが見えま す」
ウエスト「……塊?」
BM「何か毛がふさふさとした中型のものです。それに、その周辺には虫の死骸が散らばっています」
サンダー「何かがヤバい(笑)」
ウエスト「虫の死骸ねぇ……〈Spellcraft/呪文学〉やっていい?」
BM「どうぞ」
ウエスト「……うーん、26だ」
BM「ウエストはこういう呪文を思いつきませんでした」
サンダー「クリーピング・ドゥーム?」
ヴァロック「なぜか、リペル・ヴァーミン持ってきてるよ(笑)」
BM「……(マジかコイツ)」
ウエスト「なんでそんな1点読みなんだよ(笑)」
ヴァロック「いや、このDMだと油断できないでしょう(笑)」

 ありえへん(ケイト風)

ウエスト「わからんなぁ……あ、そうだこれを伝えて知識チェックやってもらうってのは?」
BM「また聞きで? まあ、一応可能です(難易度を上げておこう)」
ヴァロック「じゃあ、それを伝えて、知識やって貰おう。20出せばいいんだな」
BM「お前は20出してもだめだよ(笑)」
ヴァロック「いや、俺じゃないよ」
BM「???」
ヴァロック「レアに」
BM「ああ、バードだっけ。そういやそんな能力もあったねぇ(笑)」
レア「伝聞ですか。まあ、一応……(ころころ)……あ」
ヴァロック「1が出たよ(笑)」
レア「……ええと……それは……」
ウエスト「それは?」
サンダー「それは?」
レア「……ムカデです(消え入りそうな声で)」

 言いながら、ヴァロックの後ろに隠れるレア。

ウエスト「ムカデねぇ」
サンダー「ふーーん」
ウエスト「バード様が言うんじゃ、しょうがねぇや」
レア「…………ムカデです(ヴァロックの背中から)」
ヴァロック「文句あるのか、お前ら(笑)」
ウエスト「べぇーーつにぃぃー」
サンダー「あーあ、期待してたのになぁー」
レア「…………ムカデ

 いたいけなバードをいじめないように。


§14−4 納骨堂

 バードがアテにならないので塔に近付いて調べる事にした一行。
 まずは塔の横にくっついているモルタル造りの建物へ。
 ここは納骨堂なんだがPCはそんなこと知らない。

BM「──という、塔とは明らかに材質の異なる、間に合わせの感じがする建物です」
ウエスト「本当にモルタルなのかぁ」
BM「塔に増築したような感じですね」
ケイト「とりあえず、周囲を調べてみますぅ〜」

 微妙にレンジャーらしさを発揮して(主にオークの足跡が無いか)調査するケイト。
 なんと、人型生物のものと思われる足跡を発見。

ケイト「足跡ですぅ。オークではありまへん」
ウエスト「何の足跡だか分かる?」
ケイト「オークではありまへん」
ウエスト「いや、それは分かったよ(笑) じゃあ、俺が〈知識:モンスター〉で…… 」
BM「ええと、足跡から判定ですね。長い爪のあるゴリラのような足跡です。ヒバゴン(雪男)のような」
サンダー「そ、それはウェ、ウェ、ウェンディ……」
ウエスト「危ないよ(笑) みんな、後ろから風が吹いてるのに前に引き寄せられたら 気をつけろよ」
ヴァロック「気を付けようが無いけどな(笑)」
ウエスト「まあ、いいや……(ころころ)」
BM「その目だと……トロル、オーガ、ジャイアント……」
サンダー「ジャイアント!?」
BM「……では無い、と分かりました」
ヴァロック「無いのかよ(笑)」
ウエスト「役に立たねぇー(笑) レアは?」
レア「ゴブリン、オーク、コボルド……ではありません」
ヴァロック「分からんよ(笑)」
サンダー「じゃあ、メジャーじゃない生物なのかな? ま、分からないなら考えてもしゃーないわ。行こうぜ」
ガロウズ「行くかー」

 ヒバゴン?の足跡は無視して建物の中に侵入することにした一行。
 そこで……

BM「はい、ではここで、深い意味はありませんが、隊列をしっかり決めてくだ さい」
ヴァロック「嫌だ」
サンダー「決める必要無い」
ウエスト「断固として拒否する
BM「決めろや!!(笑)」

 拒否しないように(笑)
 結局、ファイター2人(ガロウズ&ジール)が前になって突入。

BM「はい、では、ガロウズさんとジールさん」
ガロウズ「はい」
ジール「はい」
BM「〈Listen/聞き耳〉やってください」
ジール「13だなぁ」
ガロウズ「1です(笑)」
BM「いや、技能を足してください」
ガロウズ「足して1です(笑)」
BM「それでは、ジールの耳には、奥からかすかにレクイエムが聞こえてきまし た」
ウエスト「レクイエム!?……とりあえずティテクト・マジックしとこう」
BM「暗闇の奥から魔法のオーラを感じます。Enchantment (心術) で、オーラ力は中程度」
ウエスト「オーラちから言うな(笑)……しかし、中程度って結構強いな。コホン、あー。私の得意とするschool(系統)の魔法の力が働いているよう だ」
サンダー「じゃあ悪い力だな」
ケイト「もう全滅してしまうわ」
ウエスト「おい!(笑)」

 日頃の行い。

ウエスト「しかし、このまま行くとファイター2人がいきなりトンで終わるっつー可能性あるよなぁ」」
ガロウズ「俺、自信無いよ(笑)」
ジール「俺はなんとかイケるかなぁ(意志セーブ+9)」
サンダー「そこまでして入る必要があるのか?」
ヴァロック「他に無ければ、入るしかないけれど……」
ウエスト「後回しにするか?」

 などと相談が始まる。
 しばらくDMはヒマになるのであった。

ジール「やはり、もうちょっと状況を見ないと、動きよう無いかなぁ」
ガロウズ「そうだねぇ」
ウエスト「じゃ、アーケイン・アイはもうやったから、サモンでもやるか……出でよ、犬!」
犬「犬だワン!」
ウエスト「中を走れ。1匹は真ん中、1匹は右の壁沿いに」
犬「わかったワン!」

 走り出すお犬様。
 しかし、途中で犬はパタリと倒れてしまった。

ウエスト「……!?」
ヴァロック「即座に消えない、ってことは死んだんじゃなさそうだな」
ウエスト「寝た? まあ、Enchantment (心術) だしな」
ヴァロック「サイレンス持って来てるよ。まあ、有効かどうかは分からないけど」
ジール「効くかなぁ」
サンダー「うーん、寝るだけならまだマシか? その、倒れた犬に何かが襲い掛かる様子とか、無い?」
BM「今のところね。あ、それなら〈Spot/視認〉やって」
サンダー「あい(ころころ)」
BM「……それだと……まず、部屋には他にも獣の死体が転がっているのが見えました。それから、壁や床に生えていたツタがあるでしょ? あれがサモンした お犬様の身体に少しずつ巻きついているのが分かった」
ウエスト「ひぃぃー」
サンダー「ううーーーむ(笑)」
ウエスト「バード分からない?」
レア「(ころころ)……分かりません」
サンダー「今日はこーゆーのに詳しい人(ノインガム)がいないからなぁ」
ケイト「しぜんしぜんしぜーーん!」
ヴァロック「いや、あきらかに不自然だけどね(笑)」

 ここで、おずおずとレアが口を開いた。

レア「……あのぅ……私、もしかしたらお役に立てるかもしれません」
ヴァロック「れあー(萌)」
ウエスト「ええい、どけ兄貴(笑) なんだ?」
レア「はい、Bardic Music(呪歌)のCountersong(打ち消しの歌)です」
サンダー「おー、それっぽい(笑)」
レア「この日のために《Skill Focus/技能熟練》までして歌を練習してきました」
ウエスト「アンタ他にやることないのー(笑)」
レア「しかも《エクストラ・ミュージック》も取ってますぅ 」
ウエスト「無駄ッッ!!」
ヴァロック「れあー(萌)」
サンダー「お前はどいてろ(笑)」
ウエスト「よし、ならばその歌を見せてみろ」
レア「はい、歌います。聞いて下さい……」
ガロウズ「あ、それって町で練習してた歌だね」
レア「そうです。上手く行くか分からないんですけど……」
ガロウズ「落ち着いて歌えばきっと成功する。がんばって」

 レアは大きく両手を広げると、深く息を吸い込んだ。
 そして、小さな口を精一杯に使って、憂鬱な鎮魂歌を吹き飛ばすがごとく勇猛な歌を歌い始めた。
 いつのまにかガロウズが横に寄り添い、一緒に歌っていた。
 最初はおずおずと遠慮がちに歌っていたレアだが、ガロウズの唱和に勇気付けられたのか、次第に力強さを増していった。
 レアの高い綺麗な歌声に、ガロウズの低い声がかぶさっていく。
 それはそれは見事な調べであったが、一人だけ全く歌を楽しめていない男がいた。

ヴァロック「……ぐぬぬぬぬ(納得いかん)」
ウエスト「お、兄貴が沸騰しそうだ(楽しそうに)」
サンダー「まあ、パーティの命運がかかってるから、兄貴は黙ってろ(楽しそうに)」
BM「……というわけで、レアの技能判定値が24だったので、セーブが24より低かったら24を使うことができます」
サンダー「強ぇ」
ジール「よし、十分だ」
ウエスト「さすがに24あれば大丈夫だろ」
BM「歌には歌で対抗かぁ……なんか、最終回みたいだ」
一同「(笑)」

 こんなモルタル小屋で最終回は嫌だ(笑)

ヴァロック「♪あふれる〜 おもいに〜〜」
BM「ちなみにそんな歌ではない(笑)」
ジール「よし、みんなで入ろう」
BM「入ったな? ……とりあえずウィル(意志)セーヴしやがれ」
サンダー「シケたー、19」
ウエスト「じゃあ24だ」
BM「……(くそ、19だったらかかっていたのに)」
レア「21でした」
ケイト「うちも16だったんで24どすえー」
ガロウズ「20だったんで……24」 
BM「うーん、全部しのがれたか」
サンダー「やべぇ、バード強い?(笑)」

 これぐらい無いとやってらんないという話が。

ヴァロック「……で、音楽ってのはどこから聞こえてきてるの?」
BM「部屋中のツタから」
ウエスト「このダンシングフラワーめ!」
BM「いや、どっちかっていうとヴァインです(しかもシンギングだし)」
サンダー「焼いちまおう」
BM「動物の死骸には、良く見ると細いツタが絡み付いていますね」
ケイト「もしかして、このツタ、植物やろか?」
ヴァロック「もしかしなくても植物だよ」
ケイト「……ク……クククク……植物かい……」
ウエスト「あ、スイッチ入っちゃったか(笑)」

植物は敵!!
ケイト「…………ククク……こぉんの、クソヅタがぁぁぁぁっ!! 死にさらせぇぇぇ!!!」

ウエスト「……あー、そういや第2のFavored Enemy(得意な敵)が植物だったっけ……無駄だ……」
ケイト「この、緑野郎!! くたばれ!!」
サンダー「(“緑野郎”ってなんだ……)」

 呪いの言葉を喚き散らしながら、あちこちを剣で切り飛ばしまくり、手でツタを掴んで引きちぎるケイトさん。
 あっという間に室内のツタは一掃された。
 「イヒヒヒ……」と、ひきつったような笑い声を発しながら、草の汁を顔にべっとりと付け、うろつくケイト。
 危険すぎて誰も声をかけられません。
 しかし、なぜ彼女がそんなに植物を嫌いなのか?
 それは誰も知らない……

 室内を物色するとワイルドエルフの死体が発見された。
 立派な緑色のマントをつけており、矢筒には新品同様の矢が収められていた。
 さっそく身ぐるみ剥ぐ夜盗のような一行。
 彼はさらに羊皮紙のメモを身に着けており、ヴァロックがばっちりワイルドエルフ語で解読する。

ヴァロック「やった! 役に立った!(笑)」
BM「それにはこう書かれているよ(と言いながらメモを手渡す)」
ヴァロック「……なになに……か ど に き を つ け ろ ?」



角に気を付けろ



ヴァロック「角に気を付けろぉぉぉ!?」
サンダー「やだ、帰る!!」
ガロウズ「なんだろうねぇ(笑)」
ウエスト「やる気ねぇーー(笑)」
サンダー「ヌンチャクが無いと無理ッッ!!」
ジール「……何の話ですか?」

 一行は、第4部の冒険(未公開)にて出会った、“60の夏生物”の話をする。
 渦巻く煙の中から現れる、青白いぬめりのある肌を持つおぞましき生物の話を。
 前回はソイツに死ぬほど苦しめられたのであった。

ジール「“角”から出てくる!?」
ウエスト「そう、ヤツは時空を飛び越えてどこからでも現れる」
ヴァロック「軽く10億年ぐらい飛んでくるらしい」
ジール「じゅ、10億!?」
ウエスト「まあ、角が無ければ大丈夫。……って、この部屋は?」
BM「良く見ると、部屋の隅にモルタルを塗って、角を無くしている様な感じです」
ウエスト「えー!? それでモルタルなのか?」
サンダー「帰るーー」
ヴァロック「やだーー」

 さて、ツタ騒ぎやメッセージ騒ぎで重要な事を忘れていた一行。

ヴァロック「……あ、そういや、この部屋って出口ないの?」
BM「無いですねぇ」
ヴァロック「無いの!?」

 困った事に、無いのである。



§14−5 どうやって入る?

ウエスト「うーん?」
ヴァロック「じゃあ、どうやって塔に入るんだ???」
ガロウズ「ここが入り口じゃなかったのか……」
サンダー「へ? ……じゃあ、隠し扉調べるか?」

 エルフビーム(隠し扉発見能力)などを駆使して調べるが、発見できず。

サンダー「どうすっか。ここは後にするか?」
ガロウズ「まず、塔の周りを調べてみようか?」
ヴァロック「ヤガ君の顔を見ている限りでは、色々と入れそうなんだがなぁ」
ウエスト「ヤガ君は性格悪いからねぇ」
サンダー「じゃあ、これはヤガのせい?」
ウエスト「いや、ヤモンのせい」
ヴァロック(ヤモン)「なんでだよ!」
サンダー「俺、ちょっと登って見るわー」

 サンダーはモルタル造りの納骨堂の屋根に登り、ヤガ君の顔(仮)と対面する。

BM「その、口のように見える部分。それは飾りで、奥には進めません」
サンダー「ヤガ!(怒)……じゃあ、下に戻るか」
ヴァロック「どう考えても、この辺りから入れないとおかしいんだけどなぁ」
ウエスト「そこも入り口じゃなかったかあ」
サンダー「紛らわしいわぁ」
ガロウズ「うーん、どっから入るんだ?」
サンダー「上まで登るのは無理かなぁ」
ガロウズ「危ないだろ。また、あの鳥が襲ってくるかもしれんし」
ヴァロック「どうする? イセリアル・ジョーントで強引に入るとかー?」
ウエスト「どれぐらい行動できる?」
ヴァロック「10ラウンドだから……5ラウンド行って、5ラウンド帰ってくる」
ジール「現状では、情報を得るためにそれはアリですねぇ」
ガロウズ「やってみる価値はあるだろ」
BM「ファイター的にはどうすか、この展開は?(笑)」
ガロウズ「いや、俺やることないし(笑)」
BM「まあまあまあ」
ガロウズ「ああ、じゃあ、凄く楽しい!!(笑) もう、ワクワクしてきちゃっ たよ!!(笑)」


 結局ヴァロックがイセリアルとなって地面に潜ることに。
 ずぶずぶ。

BM「というわけで、これよりヴァロックとのタイマンとなります。他のプレイヤーは何も喋らないように」
ヴァロック「まあ、俺が死んだらレアのことは頼む」
ガロウズ「任せとけ」
ヴァロック「……行くのやめようかな」
サンダー「いいから行け」
BM「いいから、やるぞ(笑) ええと、部屋の形はこんなもんだ。磨き上げられた床には穴が開いていて、鉄製のはしごが備え付けられている」
ヴァロック「じゃあ、それに沿って降りるか」
BM「じゃあ、2ラウンド目は下に降りる、と」
ヴァロック「降りるよ。しかし、どーすんだよ、これでダンジョンがメリケンだったら(笑)」
ウエスト「(いやー、こりゃメリケンだろ)」
サンダー「(きっとメリケンだよ……)」
BM「(そこ、切ない声出さない(笑))」

 メェェェェリケェェーーーン!!
 (ちなみに、「夜牙塔の心臓」を持っている方は、地図を良く見ればヴァロックがどこから入ってどこへ行っているかが分かる……かもしれません)

BM「細かい瓦礫や、汚物などが、上の穴から落とされたかのように山となって積みあがっている。床には他にも骸骨、骨、様々な足跡などがあり、北側の壁に は何やら紋様が刻まれているね。さて、3ラウンド目だ」
ヴァロック「紋様? ……あーっと、まあ、分からないものは後回し。今は時間が無いから……よし、次の部屋に行こう」
BM「はい、4ラウンド目ですね。くぼみが左右にありますね。それぞれのくぼみの中には骨が積み重なっており、ほこりが覆っています」
ヴァロック「メェェェェリケェェーーーンかよ! どうすっか」
ウエスト「飛ばしちゃえ。ガンガン進め」
BM「はい、ヴァロック以外のプレイヤーは喋らないように(笑)」
ウエスト「いや、誰がやっても同じやん」
BM「ノー。静かに」
ヴァロック「まあいいや。とりあえず南の突き当りまで行こう。といっても半分だから、ダブルムーブで30なんだけどね。遅いなぁ」
BM「はい、こんな感じ」
ヴァロック「メリケンは止めようよ〜(泣) まあ、とにかく道なりに進むしかない。次は東へ」
BM「6ラウンド目な。……えーと、こんな感じです」

 示されたのは、またもやメリケンなマップ。

ヴァロック「うーーーーわーーー、広いなぁ(泣)」
BM「戻る?」
ヴァロック「いや、まだ行ける行ける(笑)」
ジール「男だー(笑)」
サンダー「バクチに出やがった(笑)」
ヴァロック「まだ大丈夫な筈。で、その扉ってのは?」
BM「なにやら竜のようなものが掘り込まれた扉です。若干壊れてヒビが入っています」
ヴァロック「まあ、すり抜けて入る」
BM「中はタイル張りの部屋で、石でできた棺桶が置かれています」
ヴァロック「……うぅーむ、こりゃ、やっぱ無理だなぁ……。広過ぎるよぉ(泣)」
BM「石棺調べる? 1ラウンドかかるけど」
ヴァロック「調べないよそんなもん(笑) 時間が勿体無い……そろそろ無理かなぁ」
ウエスト「戻れ戻れ」
BM「はい他の人は喋らない」
ウエスト「ちぃっ」
ヴァロック「次は9ラウンド目か。……さすがに戻るか。このまま上方に移動」
BM「その位置から上と……はい、すると地表に戻ってきました」
ヴァロック「ぷはー、戻れた(突如として実体化)」
ウエスト「うわ」
サンダー「どうだった?」
ヴァロック「……ダメだった」

 頼りないヴァロックの情報を元に、地図を構成する一行。
 どうやって攻めるか喧々諤々。

ジール「変な構造の塔だねぇ」
サンダー「でも、下が“当たり”って気もするなぁ」
ジール「俺も」
ガロウズ「だね」
ウエスト「何回も潜るかぁ?」
ヴァロック「いいけど、孤独な作業だよ?(笑)」
ウエスト「でも入り口は見つかってないしなぁ」
ジール「上から下に入っていく塔なんだろうか……」
サンダー「あ、そういえば」
ガロウズ「ん?」
サンダー「あの、ホラ、ヘンウェンの鏡で塔を見た時(未掲載エピソード)に さぁ……確か、塔の上空から入っていったじゃん。あの時の映像って、確かそうだったよね?」
ヴァロック「ああ、そうかもしんない」
BM「(あいかわらず良く覚えてるなぁ)……そうだね。ヘンウェンの見せた映像では、そうだった」
サンダー「……ってことは、やっぱ入り口って上なんじゃない?」
ガロウズ「飛ぶ呪文があるんなら、上から行っても良いとは思うんだけど」
ウエスト「上にアーケイン・アイを飛ばして、調べてからテレポートかなぁ」
ヴァロック「灯りはどうする?」
ウエスト「ダンシング・ライツか?」
ジール「届かないでしょう。上まで300だし」
ウエスト「困りキン」

 などと呪文についての論争が始まる。
 ……その時、HFOは……

BM「……ファイター的にはどうすか(笑)」
ガロウズ「凄く楽しいよ!(笑) もう、ワクワクしてきちゃった(笑)
BM「本当かよ!(笑)」
ガロウズ「これからどうなるのかドキドキだね!(爆笑)」
サンダー「おれもー。もう、ちょーたのしー(笑)」
ガロウズ「たのしーー……あ、ウエスト」
ウエスト「ん?」

ガロウズ「俺、荷物持てるよ?」

サンダー「言っちゃった!(笑)」
BM「ファイターが口開いちゃった(笑)」
ウエスト「……ああーー、いや、いい(笑)」
ガロウズ「しかも、かなりたくさん持てるよ?」
サンダー「おれもおれも!」
ウエスト「…………まあ、お前らは座ってろ(涙をそっと拭いつつ)」

 ガロウズとサンダーを除いて続けられる会議。
 哀れ。

サンダー「ええと、じゃあ、俺らはヒマなんで(笑)」
ガロウズ「……えーと……〈Jump/跳躍〉してみるってのは?」
サンダー「300は無理(笑)」
ガロウズ「じゃ、とりあえず穴でも掘ってみようかな。下の階に到達できるように」
ウエスト「……あー、それは重要な仕事だから。がんばれ(投げやりに)」
サンダー「あ、そうだ。俺って左手に“例の印”が付いてるんだよね? それで 塔の壁を触ってみよう」
BM「ほお。良い所に気付いたな。すると、なんだか微妙な斥力を感じる。静電気が紙を持ち上げるぐらいの、微妙な感じだけど」
ヴァロック「うーーん、あんまり良い所じゃないよソレ(笑)」
サンダー「……俺もなんか、ダメな気がしてきた(笑)」
ウエスト「なんで? 良い塔じゃん(笑)」

 サンダーは以前の冒険により、左手の甲に
オールドサイン
 という紋章のようなものが付いている。
 詳細は不明。

ウエスト「いかめしにライトをかけて一緒に行かせるかぁ」
ジール「それはアリだね」
サンダー「また、いかめしがピンチに(笑)」
いかめし「いえ、私はご主人様のためならば、この命を捧げる覚悟」
ウエスト「うむ」
いかめし「命短し恋せよ乙女」
ウエスト「乙女じゃねぇ(笑)」
ヴァロック「俺がライト持ってる」
ウエスト「いかめしに直接かけるとマズいので、何かいかめしがくわえられるようなものにかけてくれ。小石とか」

 透明ファミリアであるいかめしがライトのかかった石を持って飛んでいくことになった。
 イザとなったら石を落とすように、という命令が。

いかめし「穴の底までは……ここからは見えません」
ウエスト「深いのかー。まあ、もうちょっと奥へ行ってくれ」
いかめし「御意……牙のような石が頂上部に並んでおります。高さ5〜15フィート、約40フィートの間隔で」
ウエスト「なにそれ? 円形に石が置いてあるってこと?」
BM「(……いや、このイラストの一番上の、この部分です。ヤガ君の髪のこと)」
ウエスト「(全然違うやん!(笑))」
BM「(……まあ、あくまでもイメージ画ですから(笑))」
いかめし「もう少し潜ります……や、雨がパラついて来ました」

 もともとどんよりとしていた空模様が、さらに悪化したようだ。
 ポツポツと雨が降り始め遠くから雷鳴が低く響いてきた。
 下で待つ一行は、慌ててモルタル小屋(納骨堂)へと入り、雨宿り。

BM「(まあ、いかめしの〈Spot/視認〉は失敗と……)」
いかめし「???……何か岩のようなものが……」
ウエスト「岩?」
BM「……さて、そんないかめしですが。彼に向かって突如として触手が伸びてきました」
ウエスト「なぬ!? 不意討ちか?」
BM「30フィートほど遠くから触手が伸びてきました。と、その時雷鳴がパッっと辺りを照らしました」

 その一瞬の光で浮かび上がったのは、この世でもっともおぞましき部類に入る生物の姿だった。
 いや、はたして生物と呼んでしまってよいのかどうかも分からない。
 ぶよぶよとした肉塊から蛸の様に無数の触手を伸ばし、波打つコウモリのような羽を背中から生やした、それ。
 それはうっすらと緑色がかかった身体を震わせ、触手をいかめしへと伸ばしてきた。

ウエスト「……美しい」
ヴァロック「え!? 何?」
ウエスト「いやいや、なんでも無い」
BM「〈知識:60の夏〉判定してください」
ウエスト「えーと、27」
BM「それならば……ウエストはこれを最も強くて美しい、神話的な生物の姿にそっくりだと思いました。大洋にて眠り続ける大いなるものに」
ウエスト「……いや、そんなことは閃かないけどね」
BM「ルールを無視しないでください(笑)」
サンダー「呟かないでね」
ヴァロック「喋らなくていいよ」
ウエスト「(これは……まさに……あの化身……)」

 それ、の攻撃は強烈だった。
 透明なはずのいかめしに迷わず触手が伸び、かっと絡みついた。
 もがくこともできないほどの圧倒的な力の差。
 そのものの触手に巻きつかれ、いかめしは体中の骨を折られていく。
 それ、の口らしきものが開き、いかめしは真っ暗な洞窟に似たその中に運ばれていく。
 ズラリと並んだ牙が、粘液でてらてらと光っていた。

いかめし「……ご、ご主人様……もうダメです。でも、任務だけは……」

 最後の力を振り絞り、いかめしはライトのかかった石を塔の床に落とした。

ウエスト「戻れ! ……くそ、戻って来い!」
いかめし「……あなたのような主人を持てて、私は幸せでした……」
ウエスト「……ちぃっ」
いかめし「……ありが……とうございました……竹馬の友よ」

 最後まで支離滅裂ながらも別れを告げたいかめし。
 化け物の口内で咀嚼されるいかめしの痛み、最後まで主人のために働いたという満足感、そして別れを告げる寂しさ。
 様々なものがどっとウエストに伝わってきた。

 いかめしは死んでいった。おぞましき生き物に噛み千切られて。
 だが、心の奥底にそれを「幸せである」と感じる自分がいることにも、ウエストは気付いていた。
 必死に否定しようとするが、それでも沸きあがってくる密かな至福感。
 何かと一体となることによる恍惚。
 背徳の喜びがウエストの身体を貫いていた。

ヴァロック「どうした?」
ウエスト「……いや、なんでもない。……どうやら屋上から入るのは無理なようだ」

 ウエストは激しく降り始めた雨をものともせず小屋の外に出た。
 ファミリアを失ったことによる代償として、ローブの下では出血していた。
 それすらも今のウエストにはたいしたことではない。
 思いつめたような、なにかを噛みしめるような、不思議な表情でウエストは雨の中に立っていた。
 レアが心配そうに声をかける。

レア「顔色が悪いですが……何かあったのですか?」
ウエスト「……いや、なんでもない」

 そう言ってウエストは、降りしきる雨をものともせずに塔の頂上部に顔を向けた。
 降り始めた黒い雨が、ウエストの無表情な顔を叩いていた。

14話了
(イラスト:涙勿(チョモラン)様)

−14話了−