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プレイリポート:DM編(後編)
041101
文責:いしかわ
ゴースト&スケルトンとの戦いを終え、ほうほうの態で帰還したHFOたちは、【筋力】の減少した2人(トールとエーチェ)を治療すべく、村の治療院へ向かう。のだが。
ファ=マド「・・・ところで今ふと思い出したんだけどさ、この村って1レベルクレリックしかいないんじゃなかったっけ?能力値回復できなくない?」
エーチェ「・・・・そういえば。んじゃ道具屋でポーションだねえ」
サイス「この村のgpリミット144gpだよ?」
エーチェー「・・・・・・・・・ギャー!!」
そう、小さな村だとgpリミットのおかげで1レベル呪文のポーションしか買えないのである。
一応オットーがレッサー・レストレーションのポーションを持っていたものの、1本しかない貴重なポーションは非常時にまで取っておきたい。
トール「・・・・どうしよう?」
エーチェ「・・・・・しょうがない。6日寝よう(笑)」
いしかわ「ま、しょうがねえやなあ(笑)」
エーチェ「あ、待てよ?!サイス〈治療〉 持ってるんだよね?」
サイス「え、まあ」
エーチェ「〈治療〉 技能使えば1日に【筋力】2点回復するよ!」
トール「いよっしゃあ!3日で済むぞ!」
ファ=マド「それだ!」
ジム「すげー、〈治療〉 強ぇー(笑)」
いしかわ「いやー、こんなに〈治療〉 一生懸命使ってる人はじめて見たよ(笑)」
【たぶん最初で最後】
Behind the DM screen 〈治療〉で回復能力値が増えるってルール自体はじめて知ったよ俺ぁ(笑)。 ちなみに難易度は15なので、出目10を使うことを考えると〈治療〉持ちは技能修正が合計5あればそれなりに働けるっぽい。 しかし呪文のないところで暮らしている人たちはこうやって地道に回復させてるんだろうなあと思うと涙がでるよ。まさか自分がDMのときに見れるとは思っていなかったが。 |
7:魔道士と巨人と
3日の休暇を経て体力を回復した一行は、再び鉱道の奥へ−−−そして先刻の幽霊とスケルトンのいた広間へと戻った。
広間の奥の大きな両開きの扉は3日前と全く同じ姿で一行を待っていた。
ただひとつ−−−前回撤退前に入り口前に仕掛けたまきびしが全て除去されているのを除いて。
どうやら敵がいるのは確実だ。それも知性を持つものが。
6人の戦士たちは表情に緊張を浮かべながら扉に対峙した。
いしかわ「で、まあ扉なんだけど。部屋にはけっこう埃が溜まってるんだけど、扉の前はきれいになってる。ドアノブの部分にも埃はたまってないね」
サイス「・・・・やる?(ホールディングバッグから携帯用破城槌を取り出しながら)」
オットー「あ、一応〈解錠〉 あるんで。・・・・(ころころ)・・・21ですが」
いしかわ「・・・・・・は?ホントに本職並の値出してくるなあ(笑)。では、コクン、という機械音が聞こえる。どうやら鍵がはずれたようだ」
エーチェ「よっしゃあ!じゃあとびr」
石川「(話をさえぎって)はいここで!扉の前にいるのはオットーだね?では目の前で扉が向こうにむかってバーン!と開きます。で、そこにはトロールが口元にいやらしいニヤニヤ笑いを浮かべながら立ってますねえ」
オットー「ギャー!奇襲だ!」
第3エンカウント:トロルとゴブリンシャーマン
[コンセプト]
・ 再生持ちってHFO的にはどうなのよ?
・ ゴブリンシャーマン(3レベルソーサラー)はどのくらいツラいのか?
[出した敵]
トロル(MMママ) CR5
ゴブリンシャーマン CR3(どっかのシナリオから拾ってきた奴)
ミュータントゴブリン(バグベア相当・特殊能力つき) CR3x4
[戦術]
入り口前を封鎖するようにトロールが立ちはだかり、その後ろからゴブリンの飛び道具・呪文がPCに向かって飛ぶ。
ゴブリンシャーマンは3レベルソーサラーで、精神系呪文を中心に使用。
可能なら前線要員をフィアーで追っ払って後衛をトロールが襲う展開が望ましい。
[結果]
<プレイヤー視点のリポートはこちら>
というわけでイキナリ扉の前のオットーが襲われる、という展開からスタート。
Behind the DM screen <スケアー・ボルト> 正しくはスクリーミングボルト。DMGp188。 矢の通り道20ft以内の敵はDC14の意志セーヴに失敗すると怯え状態になる。 ・・・・・・だまされた(笑)。 効果が「恐怖」でなく「怯え」であることに気がついたのは全てが終わったあとでした。くそ! とはいえ強烈なアイテムであることには変わりなし。 矢そのものが+2でバラ売りしてるし、安い(257gp)から地方でも手に入るし。 特に効果が「全ての敵」ってのがエロい。どんな混戦状態でも撃ったら味方超有利に。エロっ! ・・・こんな矢あったら戦争の形態変わるっちゅーねん。 あと戦闘後「この矢って拾ったら再使用できますか?」と聞いてきたトールの中の人も相当エロいと思います(笑)。 |
よりによってここでの影の主戦力とも言えるゴブリンシャーマンがボルト効果により撤退を始める。
残ったのはトロルとゴブリン1体だけ。
とーりょー。
[考察]
スケアーボルトが納得いかねーんじゃよー!
まあルール確認怠った私が悪いんですが。くそ!
とはいえやっぱり精神系呪文はヤバイ。
今回は被害はエーチェだけで済んでますが、HFO側にスケアーボルトが飛んでいたらと思うともう。
実際のところ、4レベルになっても3レベルソーサラーのフィアーが50%以上の確率で効く。これはつらい。
フィアーなら逃げるだけで済むけと、これがチャーム系だったりした日にゃあもうげっそり度5割増しですよ?
あとやっぱり硬い。
トロルを持ってしてもフルプレート着てる相手とはどつき合う気にならなかった。
ジムにしてもAC23あったわけで。まあ「当たれば全通し」なD&Dなので一撃で死亡直前まで追い込んだりしてますが(笑)。
とはいえさすが腐っても戦士。
「足止め袋で行動にペナルティ」→離れて攻撃とかでフクロにされると結構やることなし。
再生能力も及ばず、攻撃も当たらず、で結局撃墜されました。
・・・・・・・・スケアーボルト。
【まだ言ってる】
[結論]
・ HFOは精神系呪文ムリ。ムリのムリムリ。
・ HFOは強い敵には弱い。
・ ルールはちゃんと確認しましょう(笑)
8:眠れる宝
ゴブリンを不思議な力で追い払い、トロルを倒した一行は、ゴブリンのリーダーのものと思しき宝箱を発見する。
エーチェ「よし、俺の出番だな!〈捜索〉!罠を探します!」
サイス「あ、じゃ援助します・・・・成功!」
エーチェ「うし、では・・・・・おお、合計24ですよ!」
いしかわ「スゲエ!24か!」
エーチェ「24ですよ!」
いしかわ「うん、罠はないよ(満面の笑みで)」
エーチェ「ぎゃー!!」
一同「(これから何が起こるかを予想しきった笑顔で)あははははは」
ご存知の方も多いかと思いますが、〈捜索〉 難易度が21以上の罠を見つけられるのはローグだけ、というルールがあるのです。
わはは。
でまあ、擬似ローグであったエーチェがどうやってこの危機を乗り越えるかといえば〈HFO式装置無力化〉しかないわけです。
その顛末はこちらにて。
[結論]
・ 擬似ローグはやっぱり擬似でした。
9:最終決戦
トロルたちを撃退したPCは、その部屋から通じる回廊の奥に、奇妙な大広間を見つける。
そこは明らかにドワーフの手になる建築物−−おそらくは玄室だろう−−であったが、部屋の奥には大きな釜やガラスの器具、そして蛍光色を放つ奇妙な液体で満たされた大きな水溜りがあった。
水溜りの周辺は頭を切り開かれ脳を抉り出されたドワーフの死体や、血を絞り取られたと思しき人間の死体が無数に転がっている。
一行が部屋にはいったとき、その水溜りが沸き立つような音が聞こると同時に、引絞るような苦悶の悲鳴が広間に響き渡った。
木製のウィンチがあり、そこには裸にされた人間の男が吊り下げられて、奇怪な色の液につけられている。男の悲鳴がか細くなり、ついにはやんだあたりで、白い鎧を着たドワーフがさっと手を上げると、脇に立っていたゴブリンがウィンチを操作して哀れな犠牲者をたまりから引き上げた。男の下半身は、足先からまるで人参のように赤く膨れ上がり、悪性の腫瘍のようにグネグネと捻じ曲がっている。
ドワーフはそれをしばらく丹念に観察した後「だめだ・・・ドワーフの血ではうまくいかんのか・・・・」とつぶやいて、初めて部屋の入り口に立つ戦士たちの一行に気がついた。
振り返ったドワーフの顔に浮かんだのは、満面の笑顔だった。
「ほお、人間ではないか・・・・・ちょうど良かった。実験の材料が手に入る」
戦士たちはその目に浮かぶ狂気の色をありありと感じ取った。
ドワーフが無言のままに手にしたスタッフを、ただ一度床に打ち付けた。スタッフの先に象嵌されたゴブリンの頭蓋をかたどった翡翠飾りが、輝くため池の不気味な光に乱反射する。実験を見守っていた大柄なゴブリンたちは合図の瞬間に武器を抜き、戦士たちのほうに吼え声とともに駆け寄った。
そしてその背後では、3mほどもありそうな巨大なゴブリンが檻から解き放たれていた。
戦士たちは、顔に緊張を浮かべたまま、自分の武器を構えた。
第4エンカウント:クレリックと愉快な仲間たち
[コンセプト]
・ んじゃそろそろ本格的に4レベル相手の敵出して見っか?
・ 雑魚いっぱい+クレリックってどれくらいきついんだろ?
[出した敵]
5レベルドワーフクレリック CR5:ルール的には古代にゴブリンが残していったアイテムに触れたせいで「ゴブリンの変異体を完成させよ」というサジェスチョンを受けている、という設定。手に持ってるスタッフがその元凶。Dungeon誌に出てた奴をレベルだけ調整し、不浄なる暗黒の書の呪文をいくつか追加した。
ゴブリンシャーマン:CR3。さっきのエンカウントで逃げた奴。なので呪文残り少ない。ドワーフクレリックのアシスタント。〈職能(ウィンチ操作)〉を持つ(ウソ)。
性能は第3エンカウントのとほぼ同じ。
ミュータントゴブリン(バグベア相当・特殊能力つき) CR3x2
ミュータントゴブリン(チョーカー相当・接触でダメージ与える能力つき) CR3x2
ミュータントゴブリン(大) (MMトロル相当。ただし再生能力なし) CR4
[戦術]
1R目にドワーフがアニメイトデッドでそこらに転がってる屍体をゾンビに。
戦場に入ってくる奴には入り口横に潜んでるミュータント(チョーカー)が攻撃&ミュータントたちが総攻撃。
2R目以降はディセクレイトでアンデッド強化したり、ゾンビにアンリビング・ウェポン使ったり、といった嫌がらせを行う。
[結果]
<プレイヤー視点のリポートはこちら>
以前にも述べたように、現状の日本語ルールではグラップルに対する有効な手段が少ないため、チョーカーがスゲエ厄介だったくさい。
実際先頭切って突っ込んでいったエーチェは最初のラウンドに捕まったきり、ほとんど何も出来ずに毎ラウンド首を絞め続けられるだけという特撮モノのヒロインみたいな役回りを演じる羽目になった。
とはいえ雑魚には強いHFO。
hpの高くないバグベア(風)やゾンビは所詮敵ではない。軽快に切りまくり、ついでに《薙ぎ払い》 で隣のゾンビをどついて爆発に巻き込まれてみたりしつつも順調にドワーフを魔法物質の池の傍まで追い込んでいく。
特にインビジビリティポーション+陽光棒(の光)で「なんかわかんないけど光ってる不思議なモノ」になったトールがミュータント(大)のまわりをうろうろしてそっちに気をそらせ続けたり、ポーション使いまくって能力値ブーストしたサイスやファ=マドが攻撃を当てまくったり、などという光景がそこかしこで見られるように。
しかし敵もさる者、クラッチ・オヴ・オルクスで前進を食い止めたり、ホールドパーソンやコーズフィアで戦力の削減を図りつつ、ひっそりゴブリンを回復したり、とエロい動きでPCを翻弄する。
最終的には魔法物質の池が腐蝕性であるのに気づいたトールが突き飛ばしでクレリックを池に叩き込み、残敵を掃討して終了。
・・・・・・無念。
[考察]
・・・・・なんか通常のプレイと同じ光景が繰り広げられているような気が(笑)。
強化呪文でブースト→攻撃、とか防御系呪文でAC底上げ、とかインビジで敵をかく乱、とか、術者がいるときとまったく同じだもんなあ。
あるのは金額の差と、回復がしょぼいってだけで。
イヤそれがめっさつらいという話もあるけど。
あとお金かけてもグラップルへの弱さと精神系呪文への弱さは埋まらかったなあ結局。
ドンマイ。
[結論]
・ HFOは金があればいつもどおりヤれる。
・ HFOはやっぱり強い敵には弱い。
・ HFOはやっぱり意志セーヴ呪文に弱い。
10:エピローグ
戦い済んで日が暮れて。
無事事件を解決し、帰還したPCたちには約束の報酬が手渡され、彼らは村一番の英雄として鉱夫たちの大歓迎を受けるのでした。
鉱山の通路はもちろん、今回の事件の舞台となったドワーフの遺跡は、ナゾの溜め池とともにドワーフたちにより埋められることになりました。
戦士たちが帰った翌日のこと、ケンスキーをはじめとする石工たちの手によって玄室へと通じる階段は崩落され、遺跡は再び静かな眠りについたのです。
ドワーフがなぜゴブリンを率いていたのか、そしてあの池がなんだったのか、わかるものは結局だれもいませんでした。
だけど、これでもうあの邪悪な溜め池を利用することは、誰にも出来ないのです。
そう、永遠に・・・・・・。
まずは、めでたしめでたし。
其の伍「戦士心得」(まとめ)に続く。
エピローグ2
ドワーフの手により崩落した通路の先の玄室は、静寂に包まれていた。
まるで数日前の激しい戦いなど無かったかのように。
ここに連れ込まれ、殺された犠牲者の遺体は、ゴブリンたちの死体とともに地上へ運び出され、すべて埋葬された。無論、戦士たちに先駆けて地下通路へ入り、邪悪な実験の素地として扱われたものたちも。
そう、ただ一人、池に落ちて死んだドワーフを除いて。
ちゃぷん。
小魚の撥ねるような音。
どこからか、水音がする。
古代のドワーフ王の彫像のほかは見るものの無い玄室で、不吉な輝きを放ちつづける池から、その音は聞こえた。
池のふちあたりで、その音は断続的に続いている。
ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ・・・・・・
蛍光緑の液体に、幾重もの水輪が生じている。
その中央には、緑色のつるりとした何か。
ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ・・・・・・・
それは、無数の翡翠が象嵌された、なだらかな球のように見えた。
ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ・・・・・・・
球状の部分が途切れた、代わって二つの穴が水上に姿をあらわす。
二つの穴は、眼窩だった。
翡翠で象嵌されたそれは、動物の頭蓋を象った何かだった。
それは何の支えも無く、あたかも釣りの浮きか何かのように、池に浮かんでいるようだった。
やがて、口にあたる部分まで水上に浮かび上がって、頭蓋は動きを止めた。
いや、本当に浮いているものなのだろうか。
頭蓋は動きを止めてから、水面に固定されたかのように微動だにしない。
水中にいる何かの手によって支えられている。そんな感じだった。
眼窩の奥で、炎が揺らめいた。
ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ・・・・・・・
ざ、ざざざ。
水音が大きくなる。
杖よりもより池のふちに近い部分で、池が波立つ。
べしょり。ぐじゅ。
濡れ雑巾を叩きつけるような音。
輝くため池から、何かが這い上がろうとしている。
それは、まるで流れ着いた水死体の様にぶよぶよになり、赤黒く変色した腕・・・・白い手甲をはめているためにかろうじて腕とわかるもの・・・・・あるいは腕だったモノ、と形容するほうが適当か−−−だった。
象嵌の目が再び炎に輝く。
池の外に出た腕がつけた鎧の隙間から、じくじくと池の水が染み出した。と、白い鎧の隙間を潜り抜けるかのようにしながら、軟体動物の触手のようなものが伸び、周囲の匂いをかぎまわるかのような、探るような動きをみせた。
やがて、その触手が一本、また一本と床の石畳の隙間に食い込む。
ざば。ずずず。
触手がいっせいに縮みあがり、池に沈んだ体を引き上げようと身悶えた。
その様子を動くことなく見ている頭蓋の象嵌は、池に浮かび上がってきたときと、なにひとつ変わりなくその場に浮かんでいた。
しかし、見るものがあれば気づいただろう。
その髑髏は、明らかに嘲っていた。
表情なく、言葉もない。
しかし、その髑髏は笑っていた。間違いなく。
その笑いが何を意味しているのか−−−−−それを知る物は、誰もいなかった。
そう、今はまだ。