呪文選択:ウィザード編

050413 骰拾陸&いしかわ





「全国200万のD&Dファンの前でプリキュアファンなどと……。今の私はふたご姫とマイメロディの虜だというのに……。プリキュアなど第一シリーズの8話までしか認めていないというのに……。けど、個人的にはガイキングが好きですよ、ええ。」


−−ある日の某氏からのメールより−−



「ほほう。ガイキングですか。
 
 で。ど れ で す か ?


−−ある日のいしかわのメールより−−


「あー、そうですねぇ。
 とりあえず、ダイヤが一番たまらないんですが
 人の目もあることですし順当にシズカの姐さんで。」


−−ある日の某氏からのメールより−−



    参考:ガイキングのダイヤ





******


いしかわ

骰拾陸……もう少し、

  こう……なんというか


イタくない
相手というか……

  とりあえず
男の子はマズイだろ






骰拾陸

「いしかわ殿。
 イタくなければ
    
萌えませぬ

   【むやみに誇りに満ちた表情で】






子供 「むーざん、むーざん」





----『灰鷹忍法帖』より----




どんなイントロダクションだとかガタガタ言わない。




○○総則

 ウィザードの呪文の仕事は、他のPCやアイテムでは不可能なことを可能にすることだ。これが大原則である。
 不可能なこととは何か? 低レベル・パーティにとってそれは、非実体存在への攻撃や、不可視状態の敵の看破飛行などだ。高レベルになったなら、広大な距離の瞬間移動、念視による遠く離れた場所、わずかな手がかりに対しての情報収集、単ラウンドでの敵の排除などだろう。
 極論するなら、他のPCの技能や特技、手に入るアイテムで可能なことについては、メンバーとの打ち合わせた上でウィザード以外に任せてしまっていい。アニメイト・ロープはいくつかの場面で有用かもしれないが、時間と工夫によって技能や一般装備で代用できないことも無い。しかし、シー・インヴィジブルで不可視の敵を見つけられるようにできるのはウィザードだけなのだ。
 重ねて言う。
 他のPCによって可能なことを、わざわざウィザードがする必要は無い。
 従って、ダメージ呪文は“わざわざ取る必要は無い”とまずは思っておこう。相手のhpを削るのは前衛の仕事だ。前衛では手に余る戦況のときに必要とされる、それがウィザードのダメージ呪文なのである。つまりそれは、広範な敵に一斉ダメージを与えなければならないときや、攻撃の当たらない敵に判定無しにダメージを与えなければならないとき、単ラウンドで相手を除去できるだけの甚大なダメージを叩き出す必要があるときなどである。何回でもぶん回すことのできる前衛の武器と、数の限られた君の呪文では、はるかに重みが違う。従って君は、前衛とは別の戦闘教義を身につける必要がある。
 他のPCがやれることはしなくてよいというのは、呪文についてすら言える。他の呪文使い(特にクレリック)とは十分な意思疎通をしておくこと。やや極論になるが、クレリックとウィザード両方が使える呪文(Buff(強化)系呪文や防御術のいくつか)などはクレリックに一任してもよい。

#もちろん、クレリックの呪文は常にキュアとして消費されてしまう可能性があることにも注意。

 ただし、単に自分の欲しい呪文を優先して書き込むためクレリックにディスペル・マジックを任せたりしないこと。あくまでウィザードにしかできないことを行なうため、クレリックに補佐してもらうのだ。それと、真に必要な呪文は、たとえ自分のスロットで覚えておく機会が少なくても呪文書に書き込んでおくこと。太っ腹な神様に甘えてられる信仰系とは異なり、君の力は呪文書に限られているのだから。



○○呪文の選択
 呪文の選択に完全な正解は無い。あるのはいわば定跡であり、そして冒険の常としてすべてが定跡に当てはまるはずは無い。実際のセッションではここに無い呪文が有用だったり、必要だったりもすることだろう。
 結局君は、“君にしかできないこと”のために呪文を準備するべきなのだ。パーティ構成によって欠けている部分を君が補完する必要もある。そのときにはここで上げていない呪文を取らなければならないときもあるだろう。君は常にキャンペーンの方向をある程度予測し、情報を積極的に集めてその時々の対処法を考えること。
 そしてそのときには前述の原則を思い出して欲しい。君が対処すべき問題とは、君にしか解決できない問題であるべきだ。
 その準備には時に時間がかかりすぎ、セッション前に計画を整えておく必要すらあるかも知れない。
 筆者の知る莫迦にはそこを醍醐味と嘯くやつもいた。
 曰く、「ウィザードはセッション外でもRPGができる稀有なクラスなのだ」と。鵜呑みにする必要は無いが真実の一面だと筆者は考える。

 さて、ウィザードの呪文にはゲームとしての要請上から、

Aランク:レパートリーには必須、普段から自分のスロットに準備が必須(マジック・ミサイル、ディスペル・マジックなど)。
Bランク:レパートリーには必須、普段は自分のスロットには準備しなくてもよし(スクライング、アイデンティファイなど)。
Cランク:あると便利。巻物でいくつか持っておいてもよいが呪文書に書くほどじゃない(マウント、ガスト・オヴ・ウィンドなど)
Dランク:特に必要なし。ウィザード向けというよりも、マルチクラスしたときに便利な呪文など。

 と4段階ほどの重み付けができる。
 Aランクの呪文には、術者レベルにより効果(ダメージ、持続時間、ボーナス量など)が増大する呪文や、現場に直面して使う呪文(緊急性の高い呪文フェザーフォールや戦闘時に使いたい呪文のほとんど)がある。特に、事前調査で環境がわかっている場合、Aランクに上がってくる呪文などもある。ウォーター・ブリージングなどはそうだろう。
 Bランクの呪文は、いわば冒険に取り掛かる前の情報収集・分析に使う呪文や、特定状況のときのみ必要な呪文。“準備しよう”と思ってから8時間掛けて準備して、それから発動しても間に合うタイプの呪文だ。アイデンティファイ、スクライングなどの呪文が代表だろう。コンプリヘンド・ランゲージ、ブレイク・エンチャントメントなどの無いと詰まるが常時スロットに入れてもいられない呪文もここだ。
 Cランクの呪文は、あると確実に冒険が楽になるが必須ではない呪文などである。筆者は3.5版のBuff系呪文(ブルズ・ストレンクスなど)はこのあたりなんじゃないだろうかと考えていたりする(これには異論があるかもしれない)。
 Dランクの呪文は専業のウィザードには求められていない役割のための呪文だ。トゥルー・ストライク、エクスペディシャス・リトリートなどはウィザード単体が使ってもいいが、それよりはマルチクラスで威力を発揮する。
 従って、スロットにはAランク呪文、呪文書にはA+Bランク呪文、巻物やワンドでCランク呪文というのが理想だ。ここではAランク呪文とBランク呪文、いくつかのCランク呪文について書く。
 なお、クレリック呪文のときのJess DeckerはDragon誌の#339にてウィザード呪文についても記事を書いていたので、それをベースとした。

○○基本ウィザード呪文
○0レベル呪文
アシッド・スプラッシュ(D)
 これはウィザードの攻撃呪文ではない。アーケイン・トリックスターなどが急所攻撃を遠隔接触で乗せるためにある呪文だ。同じ0レベル呪文のレイ・オヴ・フロストと違い、呪文抵抗を受けないのでこっちの方がいいだろう。

ディテクト・マジック(C)
 クレリックが取っていてもいいのだが、多分〈呪文学〉が高いのはウィザードなので。1分あればたいていのエリアは探索できるため、術者レベルが1レベルでもOK。ワンドで振っておけ。

デイズ(A or C)
 1ラウンドの間、相手にアクションをさせないという、えらく強力なキャントリップ(初級呪文)。高レベルになったら使うことはないだろうが、低レベル時には有効。えらく有効。0レベルで戦術的に使える数少ない呪文。人型生物相手のときは入れておいて損なし。ただし、頼るほどのものではない。

オープン/クローズ(A)
 宝箱も扉など、開けて罠が発動する場合などに便利。仮に開けたところを中心にファイアーボール(半径20フィート)が炸裂する罠であっても、近距離(25+5フィート/2レベル)の射程なので、範囲外から開けられる。屋内行動には何とか実用的な距離を確保できるので、術者レベルは高い方が使いやすい。0レベル念動系呪文では一番用途が限定されているが動かす力は一番強い(30ポンドまで)。

メイジ・ハンド(A)
 手を触れずに何かを動かせるというのは常に便利な代物。0レベルには同系統の呪文がこれを含めて3種ほどあるが、メイジ・ハンドは一番自由に動かせる。5ポンドといえば2kg強の重量。ちょっとしたものを捜査するには十分。そういったものとはたいてい距離をとっておきたいので高い術者レベルの方が便利。

メッセージ(B)
 距離、相手を視線に捉えている必要がある点など、0レベルなりの使い勝手意思疎通系呪文。シティ・アドベンチャーなら用意しておいてよい。分離行動しつつ隠密裏に行動する必要がある場合はもう少しマシな意思疎通手段を持っておきたいが……。低レベルで必ず手元にあるはずなので。高レベルになったらマシな手段に切り替えること。

メンディング(C)
 ほんとにちょっとしたものしか直せないが、封蝋や毒に入れ替えたビンの口を元通りにでき、痕跡を残さないので時によってえらく使える。冒険者が〈製作〉技能なんか取っているはず無いので逆にこれくらいしか修理手段が無いときも。1ポンドまでの物体なので《武器破壊》されたダガーや聖印なども直せる。

プレスティディジテイション(B)
 この呪文をフレーバー呪文と思ってたヤツは、音読百回せよ。これは0レベルで3種ある念動系呪文のうち、持続時間が1時間というタワケた代物なのだ。潜る前に唱えておけば1時間の間、10フィート以内の重量1ポンド以下の物体を手を触れずに持ち上げる事ができる。そもそも“制限の範囲内で自由に何かできる”って言う呪文は、3つしかなく、残る二つはリミテッド・ウィッシュウィッシュなのだ。なにか事を構える前に唱えておいて損は無い。一方、術者レベルに依存するパラメータが無いのでワンドや巻物で十分。


 以上は筆者の意見でした。以降“ ”でくくった記述がDragon誌339、Jesse Deckerの記事から引っ張ってきたもの。

○1レベル呪文
グリース(A)
 Jess先生は例の記事でウィザードの範囲攻撃呪文は派手だし十分に意義は認めるものの、このグリースやスティンキング・クラウド、ウェブなどのBattle Field Control spellsに注目すべきと書いている。
 “この呪文は本来されるべき評価を受けていない。モンスターが反応セーヴに成功したって移動には難易度10の〈平衡感覚〉判定が必要だ。その間移動速度は半減するし、立ちすくみ状態とみなされてACに【敏】ボーナス乗らないんだぜ! (訳注・『プレイヤーズ・ハンドブック』P.82を参照のこと)”
 筆者としてはさらに、アイテムに対して発動し相手の手から落とさせたり、味方の鎧や服にかけ、組みつきその他から逃れる〈脱出術〉判定に+10を得るという効果にも注目したい。低レベル時の組みつきは簡単にPCを殺す。
 さらにこの呪文は最初の反応セーヴはともかく、移動に〈平衡感覚〉なんてマイナー技能を要求し、呪文抵抗も適用されないため、高レベルになっても決戦級の威力を発揮する事がある。

マジック・ミサイル(A)
あしたのためにその1 マジック・ミサイル
攻撃の突破口をひらくため、
 あるいはシールド呪文や呪文抵抗の有無をさぐるため、
 マジック・ミサイルを小刻みに打つべし。
 このさい、呪文書をわきの下からはなさぬ心がまえで、敵の胴中をねらい、えぐりこむように打つべし。
 せいかくな(引用者注:適切な)マジック・ミサイル3発につづくファイアーボールは、その致死率を3倍に増すものなり。
 マジック・ミサイル、打つべし! 打つべし! 打つべし!
 ――とある片目のウォーメイジが語る。


 ウィザード攻撃呪文の基本中の基本。Jess曰く“ダメージ自体は低いけど、必ず当たるっていう事実がそれを補って余りある。瀕死の敵を確実に仕留めたい時とかにいいよね。本数分割はそれぞれで仕留めきれるって言うよっぽどの自信があるとき以外はやめときな。”
 前述したとおり、ダメージを与えるのは本来のウィザードの仕事ではない。そもそも1d4+1ポイントというダメージは、同レベルのグリースが戦況に与える効果と比べれば微々たる物だ。
 これは、ダメージを与える呪文ではない。
 “確実に”ダメージを与える呪文、なのだ。
 さらにこれは、低レベル時に絶望的、中レベル以降でも厄介な“非実体”の相手に対してダメージを与える手段である。いっそそのための呪文であると割り切ってしまっていても良い。いずれにしろ、1レベルの術者がスロットに入れておく呪文ではない。
 あと場合によってはミラー・イメージを1ラウンドで飛ばせる呪文でもある。範囲呪文は命中判定を行なわないためミラー・イメージを消せないが、これなら各鏡像に1本ずつ飛ばすことで確実に鏡像をつぶす事ができるのだ。
 Aランク評価は術者レベルが3から5レベルになったときの評価。とはいうものの、高レベルになり5d4+5の[力場]ダメージを確実に与えられるというのは(1レベル呪文としては)間違いなく強力。
 なお、DMGにあるブローチ・オヴ・シールディングというアイテムがこのマジック・ミサイルにのみ対抗する手段としてあることからも重要性が伺える。

プロテクション・フロム・イーヴル(A or C)
 “そりゃ高レベルになればこの呪文のボーナスなんてたいしたこと無いよ。けど、この呪文の一番のウリは「クリーチャーに精神制御を及ぼそうとするすべての試みを遮断する」というところ。近接屋にはあらかじめかけとけ”
 以上Jess。まったくそのとおり。巻物で持続時間1分というのは微妙なところ。時々戦闘が長引くとやばい。ただそれでも術者レベル3レベルくらいにした巻物を自作して持っておくくらいでいいんじゃないかな。

レイ・オヴ・エンフィーブルメント(A)
 “この強力な対Buff呪文はいかなるレベルでの冒険でも有用。この呪文は戦闘のはじめに使っておくとより効率が良いので、戦端を開くのにぴったりな呪文だ”
 D&Dの戦闘は要するに高い【筋力】でナンボな代物なので、ほぼどんな相手の戦闘能力も下げる事ができる。特にオーガやトロルなどの高【筋】モンスターに対しては目覚しく、こちら側の被ダメージを下げることになる。

 以降は筆者のオススメ。
スリープ(A or B)
 セーヴィング・スローかできるようになったり、ヒット・ダイスが固定になったり、発動時間が1ラウンドかかったりとクラシック、3.0、3.5とどんどん弱体化しているといわれてしまう呪文。割といまさらと思う人も多いだろう。
 だけどさ。
 それでもなおこの呪文は、1レベル呪文で、複数対象を1つの呪文で完全に無力化できる呪文なのだ。しかも距離は中距離ということで、実のところ屋内遭遇なら戦場をほぼ全域カバーできる。相手を無効化するという呪文ではカラー・スプレーなんてものもあるが、アレは15フィート円錐という、いわば緊急退避用イタチの最後っ屁呪文であり、比べようも無い。
 さらに、実ダメージを与えるものではないため、敵対的な意図でなくても使用できる。物陰からスリープ、その間に侵入とかいうのはシティアドベンチャーでは普通にある傾向。低レベル帯では制圧呪文として、中レベル以降ではユーティリティ的に使える。中レベル以降は巻物で良いんじゃないだろうか。

コーズ・フィアー(A)
 クレリック呪文でも上げたとおり、殴ってこない敵はいないのと同じ。
 セーヴに失敗したなら1d4ラウンドほぼ無力化でき、成功しても命中やセーヴなどに−2のペナルティがつくが6HD以上の相手には効かない。低レベルではお世話になるだろうが、高レベル以降は使われないかも。割とこういう「特定レベルなら有用」って呪文もウィザードには多い。

エクスペディシャス・リトリート(D)
 かなり有用だが、ウィザードにとっては余りうれしくない。トゥルー・ストライクなどと同様にマルチした時にうれしい呪文。ウィザードならほかにする事があるはず。
エンラージ・パースン(A)
 前衛を強化する手段。得るものは広い接敵面、広い間合い、高いダメージ能(武器サイズが大きくなる+【筋力】ボーナス)、組みつき足払いその他へのボーナス。
 失うものは、AC、反応セーヴぐらいなので覚悟を決めてもらおう。なに、命中判定は変わらないし、削り勝てれば問題ない。

エンデュア・エレメンツ(B)
 寒いところ、暑いところに行くときのため。3.0版と違ってエネルギー・ダメージを防いでくれなくなったので、本当に凍傷避け・日射病避けの呪文。持続時間が1日なので必要なときは毎朝使うこと。「クレリックが使えるじゃーん」と言うかもしれない。そのとおりだが、クレリックにはキュアさせておけ。
 この呪文は必要なときがほぼ確実にわかり、そして巻物で準備しておけば十分なものなので、ウィザードが巻物で使った方が効率がいいのだ。

シールド(A)
 メイジ・アーマーと並ぶウィザードの防御呪文。ACに盾ボーナス+4、ACへのボーナス量は同じだが、持続時間はレベル分、対象は術者のみ。
 ウィザードが殴られる位置にいてはいけない、というのが多分本当。つまり、ウィザードがACを上げて防御能力を高くするというのはあまり正しい手段ではない。そして、1レベル呪文のスロットをレベル分・術者のみが恩恵を得られる防御呪文で埋めるのは低レベル時には辛い。
 が、この呪文はマジック・ミサイルを完全に止められる呪文でもある。マジック・ミサイルの項で示した“絶対命中という特性”を防ぐことのできる“盾”なのだ。中レベル以降、ウィザードが敵に狙撃される場合、特に呪文発動に対してマジック・ミサイルを待機されているような状況をこの呪文は完全に克服してくれる。
 1〜4レベルの間は考えなくても良いだろうが、中レベル以降は自分のスロットに入れておく価値は十分にある呪文。ま、ブローチ・オヴ・シールディングでも良い。
 なお、マルチクラスの呪文使いの場合には非常に有用。軽戦士系のキャラ構成ではACをガッツリと上げられる頼れる呪文。

リデュース・パースン(B)
 使い方を知っている人とそうでない人で、重要さの認識がかなり変わる呪文。低レベル時に巻物で持っているだけで、いくつかの遭遇をやり過ごせたりするが、本領は移動系の呪文を使うとき。
 そういった呪文の効果は一呪文で一体というのが標準だが、小さくした仲間を対象者が抱えることでパーティ全体がその恩恵を受けて移動できたりする。フライが1つしかなくても裂け目を越えたりできるわけだ。また、敵の使ってくるエンラージ・パースンを解呪することもできる。
 ガムテープのごとくあれば便利なので人数分用意しておくとよい。

ホールド・ポータル(C)
 一番初期に手に入る壁系呪文。
 扉がある人口ダンジョンで分断策を取ったりするときに使用。つまりこれは攻撃補助呪文なのだ。距離があっても使えるので、敵が扉を討ち壊せないような敵の場合には安心して使ってよい。撤退時の時間稼ぎとかにもなる。
 当然のことながら扉が無いと意味が無い。市街地の冒険や人造ダンジョンなどで1本巻物で持っておくと以外に助かる事がある。

テンサーズ・フローティング・ディスク(C)
 死体運搬用。特に前衛は装備も含めて重いので。前衛の体重と装備を足した作戦時の体重を聞いておき、それをまかなえるだけの術者レベルがあるか確認しておくこと。術者レベル4レベルくらいあれば十分だとは思う。巻物で十分。
 死体をかついで移動速度遅くなって全員死んだのでは目も当てられないが、PCの死体を遺棄するといろいろとリアルに問題があるときもあるので。
 もちろん、抱えきれない宝物を持って帰るときにも有用だが、寡聞にしてそんな幸せな冒険者の話は聞いた事が無い。
 ……ああ、財産がすべて銅貨だったドラゴンという悪夢の話は聞いた事がある(つか、それはDMの嫌がらせでは? )

○2レベル呪文
フォールス・ライフ(C)
“ヒット・ポイントは重要だ。そしてフォールス・ライフはヒット・ポイントを得るのにとても便利な呪文。数時間持続するので前もってかけておくこと。戦闘時の貴重なラウンドをこれに費やすことは無い。”
 最低でも1d10+3ポイントの一時的hp得られるので、《追加hp》なんて取らなくてよろしいといえる呪文。エンデュアランスベアズ・エンデュアランスになったおかげで、レベル時間でhpを底上げする呪文が少なくなっている3.5環境なら考えても良いかもしれないが、対象が術者のみなのが×。
 「このhpで稼げるラウンドで戦局を打開してみせる」と言って仲間を黙らせられるならアリ。その自信が無いなら、黙って巻物で使っておこう。

グリッターダスト(A)
 “不可視状態を無効化したり、盲目状態を範囲で及ぼしたりというのは個々の効果としての呪文であったとしても価値がある。この呪文はその2つの効果を1つの呪文まかなえる呪文。ウィザード/ソーサラーが持っておかなければならない2レベル呪文。”
 Jesse先生べた褒めのこの呪文。こちらとしても言うこと無い。問題があるとすれば、まず不可視の相手の居場所を見当つけておかなければならないこと。
 シー・インヴィジビリティとの違いはそこで、これはパーティのほかのメンバーが不可視の相手を見られるようにするところに意味がある。理想は、シー・インヴィジビリティをあらかじめ使用しておいた上で、グリッターダストで仲間の攻撃を誘導するという流れだろうか。

ミラー・イメージ(A)
 シールドの項で若干触れたように、ウィザードは対物理攻撃対策として、ACは高いに越したことは無いが、実のところ“AC避け”よりも“確率避け”が有効だろう。つまり、ブラーブリンク、そしてこのミラー・イメージなどにより、当たるのが前提の攻撃を一定確率で無効化するというものだ。なぜなら、敵はウィザードを可能なら1ラウンドで無力化しよう、当てて来ようとするからだ(朦朧化、組みつき、もちろん一撃で殺すことも含めて)。高いACでもたいがい当てられてしまうだろうから、それよりは攻撃をに無効化できる方が有用。
 前置きが長くなったが以降はJesse先生の言。
“高レベル秘術使い必須の防御呪文。鍵になるのは持続時間がレベル分であることなので、戦闘前に発動するよう努力せよ。〈聞き耳〉判定するたびにこの呪文掛けてたら、君ンとこのDMは嫌がるかもしれないが、パーティ・メンバーがドアを開けようとするたび、この呪文を掛けるかどうか検討してみて間違いない”
 この呪文、命中判定があるものに対して虚像が対応して消えるので説明あるとおり、ファイアーボールとかでは消えない。逆に、敵が《薙ぎ払い強化》とかしてくるときには、1ラウンドで全部虚像を破壊された上で本体が殴られることもある。

ウェブ(A)
 “この呪文はセーヴに成功したモンスターですら足を止めさせ、パーティを殴る代わりに網との苦闘を余儀なくさせる。ウェブは簡単に敵を分断させ、戦力を集中させる事ができる。また、戦場を離脱する際の足留め呪文として最上の手段である。”
 Battle Field Control spellsの代表。何レベルになっても有用な呪文。この呪文に対抗するためにトーチを持って歩いたって良いくらいだ(半分本気)。セーヴに失敗した時点で移動できなくなり、成功しても絡みつかれた状態であるので突撃はできないわ、【敏】は下がるわ、移動距離は半分だわ、呪文使用に判定を要求されるわと涙が出る。
 注意点としては、範囲が広いこと、捕らわれた相手に対して攻撃することもまた難しいことが上げられる。蜘蛛の巣が遮蔽を提供してしまうのだ。
 あと忘れがちだが、保持する場所(天井や壁)が無いとつぶれて役に立たないので注意。
以下は筆者のオススメ。
インヴィジビリティ(A)
 “できない事を可能にするウィザード呪文”を体現するかのような呪文。
 見えてなければ殴られない。ので、防御呪文として考えてもよい。また、他者にもかけれらるので使い方はいろいろだ。
 ただ、持続時間がレベル分なので、侵入用途に使うときはさっさと用事を済ませること。あと、音や残る足跡、匂いなどに気をつけること。特に匂いは重要で、魔獣とかは存在に気がついてその場にブレスめくら撃ちができるので過信は禁物。

ブラー(A)
 確率避け呪文。ただ、所詮20%なので当たるときにはバリバリ当たって泣くハメになる。ミラー・イメージの方が確実。こっちの利点は仲間に掛けられることと、急所攻撃を無効化できること。急所攻撃を持つフランカーが敵にいるようなら前衛にかけて恩を売れ。

サモン・スウォーム(A?)
 2レベル屈指の影響力をもつ範囲型攻撃呪文。多くのユーザーは『モンスター・マニュアル』のスウォームの記述を読まずに見過ごしているはず。いいからDMにコピーしてもらってでも情報を手に入れて百回音読せよ。ただし、使用タイミングが難しい。呼び出したスウォームの操作ができないためだ。場合によっては自分たちがひどい目にあう。

シー・インヴィジビリティ(B)
 できない事をできるようにするウィザード呪文。低レベルには不可視の敵はどうしようもない。が、見えていればグリッターダストも撃てる。常時作動させておくのでなく、1遭遇のみなら巻物でも良いかもしれない。

ディテクト・ソウト(B)
 知的クリーチャー探知呪文。壁抜きできるので、侵入前にクリーチャーの存在を確認できたりする。また、市街地なら家一軒ていど難なく走査できる効果範囲なので使いながら1区画捜査とかもできる。2ラウンドまでの捜査なら、相手に意志セーヴを要求しないためアクティブな探知を気づかれないだろう。特定属性に限らず存在を確認できる点が他のディテクト系より優れているといえるかも。表層思考を読む効果はもちろん有効だが、その試みが対象に気づかれてしまう点、セーヴを許し、抵抗されたら終わる点であまり深く期待しない方がいい。

スパイダー・クライム(A or C)
 汎用便利呪文。単に高いところにいきたいだけならフライでなくこれで十分。往復する気なら仲間を背負ってもいい。天井などが高いなら、これで天上に張り付くだけで多くの敵が近寄れず、攻撃できなくなる場合もある。また、味方の飛び道具使いとかに掛けておくと射界の確保に便利。思いのほか効果時間が長い(レベル×10分)のでダンジョン潜って最初に使うというのもアリだろう。

パイロテクニクス(A or C)
 屋外で行動する事が多く、弓使いがいるなら考えてみて良い。特に多い人数の敵を先に見つけたり、野営中の集団を急襲するときなどはこの呪文を使うチャンスだ。
 花火バージョンで使えば、火元から120フィート以内(間違いではない、直径240フィートってことだ)のクリーチャーを1d4+1ラウンド盲目状態に(! )できる。
 コア三冊のみからは外れるが、『武器・装備ガイド』のアルケミスツ・アローや、手製の火矢などを使えば、120フィートの閃光範囲外から種火を打ち込む事ができる。ウィザードはその火矢の打ち込みに対しパイロテクニクスの発動を待機アクションしておくわけだ。

ロープ・トリック(A)
 このレベルでは完璧な退避呪文。
 まず見つかることのない状況で数時間の間休む事ができる。術者レベルが8以上であるなら、中で休み呪文を取り直すことができる。つまり、ダンジョンの中で安全に一晩を過ごせるのだ。《呪文持続時間延長》してもよいだろう。それなら5レベルの時点で、本拠へ帰投することなしに、体制を整えなおし作戦を続行できる。

スコーチング・レイ(A)
 3.5版になって追加され、レイ・シューターというクラス概念すらもたらした攻撃呪文。
 3レベル時点で、4d6の[火]ダメージをセーヴなしで叩き込む。修得した時点であればほとんどの敵を撃滅もしくは半壊せしめる事が可能。つまり、“ウィザードにしかできない火力”というわけである。
 実のところ、7レベルになるまではダメージが増えないので、3〜6レベルまでは巻物でも十分かもしれない。が、術者レベル7で8d6相当のダメージが2レベル呪文で与えられるというのはちょっとしたもの。
 あと、ワンドや巻物による攻撃呪文としても効率が良い。

○3レベル
ヘイスト(A)
“君なんかよりも、近接戦好きの連中がこの呪文をありがたがるだろうね。とはいえ、攻撃力を上げるえらく強力な呪文だから、手ごたえありそうな遭遇ならいつでも早めにかけておこう。”
 3.0版から3.5版で大きくバランス調整がされて、やや煮え切らなくなった呪文。いや、前がひどすぎただけだという話もあるが。
 追加行動ではなく、全力攻撃時にのみ追加1回の攻撃。ACへ+4の加速ボーナスではなく命中判定に+1、ACと反応セーヴに+1の回避ボーナスと悪くはないけど劇的でない感じ。
 現時点で一番大きな効果はあらゆる移動モードが30フィート増加するということだろう。そしてこの効果がメンバーに一度に効果を及ぼすというのは、タクティカル戦闘では大きい。神通力はなくなったがなお重要な呪文。

マジック・サークル・アゲンスト・イーヴル(C)
 “この呪文はその長い効果時間、そして精神制御に対する防護によって、意志セーヴの弱い前線系キャラに対する、最重要な強化呪文となっている。”
 まったくそのとおり。前線の要と自分、2つにかけておくと信頼性が高くなる。

スティンキング・クラウド(A or C)
“そりゃ他の3レベル効果範囲呪文みたいな派手派手しい効果は無いよ。けど、この時点でおそらく最強の呪文だね。この呪文は戦場を制圧し、多数の敵を戦闘から一気に排除できるとんでもない強さがある。あと、このスティンキング・クラウドは視線をさえぎりはするけど効果線はさえぎらないことに注意。つまり、君はこのスティンキング・クラウドの望むところにファイアーボールを叩き込む事ができるんだ。”
 さりげなく呪文抵抗ができないひどい呪文。ちなみに吐き気のする状態とは、“攻撃したり、呪文を発動したり、呪文のための精神集中を行なったり、その他、注意力の必要な行動を一切とれない”というありさま。確かに、セーヴィング・スローに失敗した時点で戦力外となり、しかもこの効果は数ラウンド持続する。
 敵分断のための壁としても、純粋に攻撃手段としても優れている。頑健セーヴを要求するので対前衛よりも、中衛以降を狙いたい。敵ウィザードの行動前に使用できればほぼ無力化できるだろう。

 以降が筆者のオススメ。

サモン・モンスターIII(A)
 呪文自体はもう少し前から使用できるけど、このレベルになればほぼ確実に役立つように使える呪文となる。もちろん、強いクリーチャーを召喚して相手を殴ったりするのもよいが、低いレベルのモンスターを複数召喚するやり方も使える。
 戦いは数。たとえ1体1体が弱く打撃力にならなくても、クリーチャーの壁を作り敵の侵攻、突撃をとめたり、射線をさえぎらせて遮蔽を得たりできる。
 また、固い敵に対しては、召喚クリーチャーで囲み、援護行動を取らせることで、前衛の攻撃を当てたり、長持ちさせたりもできる。
 ちなみに、セレスチャルはバイソンが、フィーンディッシュはエイプが“ダメージ減少5/魔法”がつくのでお得。
 それと、術者レベルがある程度あり、召喚したクリーチャーと意思疎通ができるなら、召喚したモンスターを探索機として罠のある通路に行ってもらうこともできる。大丈夫、別にそのクリーチャーはもとの次元界に帰るだけで死ぬわけじゃない!? 

レイ・オヴ・イグゾースチョン(A or C)
 状態変化系遠隔接触呪文。単体で物理攻撃能力が強力な相手には特に有効。当たってセーヴに失敗すれば過労状態(【筋】と【敏】に−6、移動速度半減)、成功しても疲労状態に。特に敵がファイター系で特技にぶいぶい言わせている場合、この能力値減少で《強打》から派生する特技、《回避》から派生する特技が一気に使えなくなることがある。
 まぁ、ある程度のレベルになったらメイン能力値が20超えてて当然かもしれないけど、覚えたての頃には十分なはずだ。あと、突撃されなくなるというのも大きい。

アーケイン・サイト(A or C)
 〈精神集中〉なしにオーラの数、強さ、位置がわかり〈呪文学〉があるなら系統も判別できる。不可視の相手とかでも魔法によるものならオーラを見て位置は特定できてしまうわけだ。さらに、クリーチャーの持つ魔法的なポテンシャルもある程度知る事ができる。
 ドアを蹴破って入ったときに、相手もある程度準備ができているときなど、この呪文を掛けているかいないかで初期情報の量が違う、つまり戦略が異なってくる。そんな呪文だ。ラスボスが呪文使いだとわかっているなら、そのためのみにでも巻物で持っておけ。相手が掛けている呪文の見当がある程度つく。
 たとえば、相手の見た目はなんら変わったところが無いのに、強力な防御術のオーラをまとっているなら、スペル・ターニングマインド・ブランクを使っているという見当がつくはずなのだ(疑問に思ったなら『プレイヤーズ・ハンドブック』を確認せよ)。そしてそれがわかれば一発目に威力最大化したファイアーボールを叩き込むのを思いとどまれるだろう。
 早いところパーマネンシイしておきたい呪文。

クレアオーディエンス/クレアヴォイアンス、タンズ(B)
 このレベルに限らず、占術系統の呪文というのは、これ以外では不可能な情報を得たり、操作できる呪文であり、およそウィザードたるもの使えるようにしておかねばならない呪文といえる。
 この二つの呪文の効果は、確かに技能その他で何とかなるかもしれず、3レベル呪文唯一として準備する類のものではないが、あることによる効果は劇的だ。

ウォーター・ブリージングフライ(B)
 できない移動を可能にする類の呪文。ただし、活動期間は結構短いので注意。とくに全員でこの種の移動をしようとするのであれば通常スロットだけでは足りない。事前情報を得た上で巻物を書くべき呪文。

ディスペル・マジック(A)
 重要なことは間違いないが、クレリックが準備できるのであれば任せてもいいだろう。が、そのときでも巻物は持っておくこと。術使いを相手にするのであればスロットに用意しておく。

ファイアーボール(A)
あしたのためにその2 ファイアーボール
 マジック・ミサイルで敵の体勢を崩し、突破口を見いだせば、すかさずファイアーボールを打つべし。
 これ、D&Dの火力戦における基本なり。
 ファイアーボールは半径20フィートの範囲をはあくし、少しでも多くの目標をぶち抜くように打つべし。
 このさい、効果範囲が“拡散”なるため曲り角を回りこんで術者より見えざるところへも届き得ることを知るべし。
 一発で勝利をうむ3レベル呪文なり。
 ――やはり片目のウォーメイジが語る。


 元ネタリスペクトの上、必ずしも現状に一致しないがそこはご容赦。
 ロマンである。単なるロマンではない、実力を持ったロマンだ。
 たしかに、[火]への抵抗を持つ敵は多いし身かわしされれば意味は無い。
 だが、これほどのダメージポテンシャルを持つ呪文は無いのだ。二次元面ですら44マスに及ぶ効果範囲に修得時点で5d6のダメージ。与ダメージの潜在的な総計は、44×5d6=770ダメージに及ぶッ! 威力最大化したら44×60=2,640ダメージだッ!
 さらに射程距離は最低でも600フィート。どうだ、嬉しいじゃないか! (ごほごほ)

 さて、冷静になろう。
 命中判定なしに中程度ダメージを広範囲に与えられる呪文である。中程度とはいえ修得時点では十分なダメージだ。そもそも単体を削る呪文ではない。
 サプリメントを探ればより使い勝手がよい呪文も、より大きなダメージを出せる呪文もあるだろうが、戦端を切って前衛の邪魔になる雑魚を掃討するのにはやはり最適である。逆に混戦になってからは使いようがないので注意。同レベルのライトニング・ボルトはある程度隙間を抜けるのが使い勝手がいいといえなくもない。
 一般的な理想は、
1.ファイアーボールで雑魚掃討、中程度敵にダメージディール。
2.飛び道具使いなどにより、主目的への突撃路をふさぐ対象を始末。
3.肉弾戦突撃屋(チャージャー)などが主目的を撃つ。
 という形だろう。

○○補1・ウィザードは面の制圧力、前衛は点の突破力
 見出しの言葉は、筆者が先輩から受けた口伝。
 クラシックから入った人にとって、3版以降でのウィザード火力の地位の下がりっぷりは戸惑うことすらあるだろう。ファイアーボールは20d6まで行かないし、身かわしで避けられたらダメージ入らないし、エネルギー抵抗持つ敵は多いし……。
 実際、決定的な打撃力ではなくなった。それは事実だ。だが、それをもってウィザードが戦闘時の火力担当の立場から去ったと考えるのは早すぎる。
 敢えて言えば、以前のウィザードの火力は“確実に大ダメージを与える”能力であった。つまり、命中判定という不確定要素なしにダメージを与えられる能力だったわけだ。そして実のところ、3版以降も範囲型呪文による命中判定なしのダメージ能力というヤツは変わっていない。ただ、“広く重く”だった与ダメージ能力が“広く(比較的)軽く”になっただけ。
 だがやはり、“複数対象にダメージを与えられる”能力はやはりウィザード呪文がトップクラスだ。したがって、控えている遭遇がある程度敵の数がある遭遇であると予測されるなら、依然ファイアーボールは有用といえる。
 逆に、単一の強力な敵との遭遇の時には、ファイアーボールのありがたみが少なくなるだろう。そこで、“光線呪文”だ

○○補2・3.5版における“光線”呪文。
 3.5版はつまるところ光線呪文である(←言いすぎ)。いや、“光線”というより遠隔接触呪文のことである。

#余談だが翻訳スタッフとしては“[酸]の光線”や“[音波]の光線”、さらには“光の光線”(ランタン・アルコンが持っている)とかという名前に忸怩たるものがあるのだけど、仕方ないものとあきらめていただきたい。

 本題。
 ウィザードの火力は“広く軽く”になっていると述べた。では、ウィザードの仕事は雑魚の殲滅のみなのか? 否である。
 先ほどの制圧力云々の鍵となっているのは“命中判定を必要としない”という点だ。だが命中判定を必要とする呪文、とくに接触判定の呪文は確実性と引き換えに強大な性能を持っている。
 具体的に言ってセーヴ不可のものが多く、モノによっては呪文抵抗すら許さない。3.5版以降はそうした呪文が多くなっている。後述するがスコーチング・レイなどまさしくそういう呪文だ。また、『秘術大全』の導入によりその数はさらに増える。
 これらの呪文は与ダメージ能力のみならず、状態変化などをもたらすこともでき、単一対象の戦闘能力を削るのに素晴らしい力を発揮する。
 つまり、ウィザードはこれからの遭遇で必要とされている攻撃呪文の性能は範囲型の制圧力、個を対象とした決定力のどちらなのかを判別し、準備する必要がある。とりあえず、双方のタイプの呪文をどれか巻物で書いておくというのはいい対応方法だ。

○○補3・幻術と心術
 今回上げた呪文は基本的に効果が決定されていて、“必要なときに使えばそれだけで有効”な呪文である。そのため、幻術系の呪文、チャーム系の心術がほぼ省かれている。これらの呪文は、ややキザな言い方をすればNPCの“心”に働きかける呪文であり、D&Dにおいて数少ない“もたらす結果が未知数な”呪文群でもある。
 これらの呪文は運用法、タイミングによっては劇的な効果を持ち、かたくななNPCの警戒を解いたり、群集を扇動できたり、DM渾身の清純系美少女NPCを毒牙にかけたりもでき、キャンペーンや冒険へのインパクトは実のところ他の呪文と比べ物にならないこともある。
#映画『カリオストロの城』の中で、ルパン三世がクラリス嬢に対してどんなことをして見せたか、それが何を導いたかを思い出して欲しい。

 が、逆にあまりに状況に左右されすぎるのも事実だ。実際、アンデッドが山のように出てくるダンジョン・ハックなどでは屁の役にも立たないだろう。ある意味、D&Dの呪文の中でもっともファンタシィ小説的な魔法であり、一般的な定跡に当てはめにくいため、言及は避けた。個人的にはこれらをうまく使えたらならかなりロマンなのだとは思う。



○○結びに代えて
 ここまでいろいろと書きなぐってきたが、実のところ筆者のウィザードとしての経験はさほどではない。敵役としてウィザードはよく使ったが、ほぼ一回限りのNPCウィザードとPCウィザードではどうしても呪文選択が変わってくる。
 このあたりの情報は、卓を一緒にした仲間、および他のマスターの方々から得たものだ。特に、冒頭の呪文ランク辺りの記述は“にっこり笑って人を切る鬼軍曹”川本氏がmixiに上げた文章に多くを拠っている。
 きむら氏、ミイラの中身氏、K3氏といった普段のゲーム仲間にも数多くの助言をもらった。電光寺先輩からはさまざまな口伝を受けた。
 うまく文中で引けなかったが1つ、ひどく納得した台詞がある。シャウンティアのDGDM氏の言葉だ。
「ウィザードは、呪文選び三年、立ち位置八年」
 この意味はぜひとも各自で感得していただきたい。

 呪文の選択こそがウィザードの個性だ。呪文リストこそは、そのウィザードをもっとも雄弁に物語る“キャラクター・プレイ”の真髄である。定跡と呼ばれるものはあるだろうが、その上にまぎれない個性が現れてくる。そうなるまで、是非『プレイヤーズ・ハンドブック』の11章を読み込んでみて欲しい。
 それでは、良い冒険を!








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