はじめの一歩 5歩目  自分のキャラを作ろう(2) 複合型戦士編

 030302 文責:石川

 

 

 #この原稿はPHBと3月発売予定のダンジョンマスターズガイドDMGの記載のみ

 #もとに書かれています。本当はクラスブックなどを入れると強力なのですが、初心者向けと

 #いうことで。中級者〜ベテランの方はご勘弁を。

 

 前回4歩目では純戦士、すなわち純粋に戦闘のみを目的としたクラスを紹介した。彼らは事実上、戦闘以外に活躍の場がないがために、戦闘面での強化が「パーティにいて肩身が狭くならないため」の絶対条件であると言っても過言ではない。そりゃそうだ。歯に衣を着せずにいえば、彼らは戦闘以外に能がない。だったら、ただ一つの特徴を最大限有効に活用したいというのが人情というものであろう。

 さて、今回は複合型戦士、すなわちパラディンとレンジャーの紹介である。彼らは純戦士同様、戦闘をメインとしたクラスであるが、純戦士と異なり、戦闘能力以外に様々な能力を持っている。通常のゲームであればこういうクラスはえてして純戦士クラスより多少なりと戦闘力が低下し、代わりに幾ばくかの特殊能力を有するものだが、D&Dではこれら複合型戦士はどんな特徴を持っているのだろうか。

 

<総論>

 結論から言ってしまえば、複合型戦士に分類されるパラディンとレンジャーは、純戦士と比較して遜色ない戦闘能力を有している。彼らはいずれもファイターと同じ基本攻撃ボーナスを有し、HD(つまりHP)も同じ、軽装を義務付けられたレンジャーはともかく、パラディンは武器・鎧の制限もファイターと同じである。《特技》が少ない分、戦闘における柔軟性に欠けるきらいはあるものの、基本的にはほぼ同等の戦闘力を有していると考えて差し支えないだろう。

 純戦士並みの戦闘能力を持っているのならパーティ内で果たすべき役割もそれに順ずることになる。つまり、

1)     パーティの「剣」:直接打撃力による敵の排除

2)     パーティの「盾」:高い防御力と耐久力で敵が後衛に向かうのを食い止める

 の2つの任務を果たすのが複合型戦士の基本となる。

 その一方で、クラス技能として修得できる技能数も多く、それに加えて呪文や特殊能力(特に防御・回復能力)を有している。これらの能力は戦闘時の助けになるばかりでなく、情報収集やエンカウントの回避などさまざまな場面で役立つものも含まれている。ただ、残念ながらこれらの任務を主体にしたクラスほどの活躍が期待できるものではなく、補助的な役割であると考えざるを得ない(もちろんそうしたクラスのいないパーティであれば、中心となって働かざるを得なくなるのだが)。

 かように多才を誇る複合型戦士だが、「能力値が高くないと能力が発揮できない」という欠点がある。例えばパラディン、レンジャーともにレベルが上がれば多少なりと信仰呪文を使用できるが、それには少なくとも11の【判断力】が必要で、しかも強力な4レベル呪文(彼らにとっては最高レベルの呪文だ)を使用したければ14以上でなければならない。また、呪文数が少ないのでボーナススペルもほしい、と考えると、結局「高いほどいい」ということになる。また、パラディンは特殊能力の効果の関係で、どうあっても【魅力】が必要だし(後述)、前述のように「剣」と「盾」の役割を果たそうと思えば、【筋力】【敏捷力】【耐久力】の3能力値は不可欠である。

 

聡明なる君なら、そろそろ悟ったころだろう。

そう、複合型戦士は「すべての能力値が高い」必要のあるクラスなのだ。

 

 では、「すべての能力値が高い」必要のある彼らは、それに見合った能力を持っているのか?

 それは、各論を読んで判断して欲しい。

 


[パラディン]

 「聖騎士」という邦訳が当てられることの多いパラディンは、D&D3eにおいてもその名にふさわしい能力を有している(*1)。例えば、彼らの基本セーヴはファイターと同じ上昇比率であるが、彼らは1lv時からそれに加えて「信仰の恩寵」を得る。神の加護により、【魅力】ボーナスがそのままセーヴへのボーナスになるのである。同時に[【魅力】ボーナス×lv]ポイントの傷を癒すレイオンハンズ健全なる肉体(全ての病気への完全耐性)、周辺のものにフィアー耐性を与える勇気のオーラ、病気を癒すリムーヴディジーズなどといった防御/治癒能力に加え、レベル分の攻撃ボーナスを得る悪を討つ一撃アンデッド退散、忠実なる乗騎を得るなど、戦闘面においても優秀な能力を得るし、信仰呪文(パラディン専用の呪文リストを使用)はディバインフェィーヴァー、ブレスウェポン、ホーリーソードなど、戦闘に大きく寄与するものがそろっている。また、ディテクト・イーヴル能力は1日になんどでも使い放題という景気の良さだ。これだけの特殊能力があるにもかかわらず、HDはファイターと同じd10で、基礎攻撃ボーナスもファイターと同じくレベル毎+1である(*2)。

 そうさ。世の中は不平等にして不公平なものなのだ。ファイターの悲嘆などには耳を貸さず、これらの能力を生かせるよう最善を尽くすことが、彼らの手向けにもなる(死んでません)。

 

 

さて、<総論>でも述べたようにパラディンは最前線で戦うのに有効な能力をたくさん持っているクラスである。

ということは、ファイターら純戦士同様、前線で活躍するために必要な3能力値、すなわち【筋力】【耐久力】【敏捷力】の3つは高いほど良い、ということになる。加えて、高レベルパラディンの特典である信仰呪文投射のためには最低11の、そして強力な4lvパラディン呪文を使用するためには14以上の【判断力】が必要で、さらにボーナススペルも欲しいとなれば、これも高いほど良い、ということになる。さらに、パラディン固有の能力である信仰の恩寵、レイオンハンズ、そしてアンデッド退散は【魅力】によってその効果や回数が左右されるので、「パラディンならでは」の能力を発揮したければ【魅力】こそ高くなくてはならない

 そう、つまり、【知力】以外のすべての能力値が高くなければパラディンとしての高い能力は維持できないということになる。とはいえ、君がバイニンとしての修行を積んだ末、何度さいころを振っても6が出つづけるというのでもない限り、そうそう「すべての能力値が高い」というわけにはいかない。

となれば、キャラクターメイキング時には優先順位を考えざるを得なくなるだろう。

これは非常に判断に迷うところであるが、

【魅力】【筋力】>【判断力】>【耐久力】【敏捷力】>【知力】

といったところだろうか。もし「呪文はスクロール/ワンド頼み」あるいは「成長時の能力値増加ですべて補う」と割り切れるなら、【判断力】を捨てるという選択もあるだろう。また、「前線には出ずアーチャーとして後方支援に立つ」というなら【筋力】【耐久力】 を切り捨てることも不可能ではない。しかし、パラディンの能力は前線でこそ光り輝く。パラディンとして光輝に満ちた活躍をしたいなら、悪魔に魂を売ってでも全能力値を高水準にしておくほうがいいだろう。また、特殊能力が要らないのなら【魅力】が低くてもいいが、そんなキャラを作るくらいならクレリックかバーバリアンにしたほうが何ぼかましである。【魅力】がないパラディンなど頭の固い、口うるさいだけの戦士に過ぎないのだから。

 

さて、お次は装備だが、これもやはりファイターなどの純戦士と同種の装備で十分だろう。すなわちスケイルメイル+木製ラージシールドである(特に初期の所持金ではファイターらと同じにならざるを得ない。資本主義とはかくも厳しいものなのだ)。武器はパラディンらしさを追求するならロングソードやランスといったところが定番となるだろう。また、信仰する神のオススメ武器(p90〜) を持つことも多いようである。初期所持金決定時にダイス運に恵まれれば馬を購入できるが、はっきり言ってこれは罠。「パラディンらしい」と言う意味では馬がほしいところだろうが、そもそも作りたてのキャラクターの乏しい財布の中身では戦闘用の馬など買えるはずも無い。となれば乗馬用の馬になるが、こいつは臆病なため、馬術の未熟な1lvパラディンでは戦場で馬が逃げないようにするだけで精一杯になってしまう危険もある。どうせ5レベルになれば通常の3倍優秀な専用の乗騎がもらえるのだから、それまで我慢したほうがいい。

 

さて、技能であるが、さしものパラディンも技能までは優秀とはいいがたい。

重要:〈聞き耳〉▲、〈視認〉▲、〈交渉〉、〈知識(宗教)〉

余裕があれば:〈騎乗〉〈動物使い〉

 序盤はさしあたって必要な技能はないし、【知力】を犠牲にしてパラディンを作っていたら技能ポイントも少ないのは目に見えているので、適当に。魅力が高いのを生かして〈交渉〉をとっておくのも良いだろう。無駄な戦闘を避け、周囲を自分に有利な状況に持っていく能力も立派な『戦力』のひとつである。

 

ついで《特技》である。パラディンは特殊能力が多い代わりに、もらえる《特技》数が少ないため、慎重に選ばなければならない(*4)。前線での「剣」としての働きを重視するなら《強打》(+《薙ぎ払い》 )、「盾」としての働きを重視するなら《迎え討ち》が定番であろう。特に打撃強化能力を数多く持つパラディンには《薙ぎ払い》が有効であろう。

将来を見据えて騎乗戦闘関連の《特技》をとっておくという選択もあるが、実際に騎乗して戦う場面は案外少ない(特にダンジョン内では。乗騎が階段やはしごを昇降できるのなら話は別だが(*5))。プレイングスタイルやキャンペーン形態にもよるが、汎用性の高い戦闘用《特技》をとっておくほうが安定な気がする。

 さて、このようにファイターより明らかに前線要員として優秀な能力を持つパラディンであるが、いくつかの欠点(というか制限)を科されている。まず、属性が「秩序にして善」でなければならない、ということ。プレイスタイル(特にパワーよりの場合)によっては
完璧に無視されがちな点であるが、そもそもパラディンは「なろうとしてなるもの」でなく、「天啓によりパラディンになる(なってしまう)」ものらしい(*6)ので、「秩序にして善」的な行動(p89)とあわせ、それなりに振舞うべきだと思う(さもなくば世間がアーシマー(*7)のパラディンだらけになるという現実を受け入れなければなるまい)。

 もうひとつの欠点としては、転職が自由にできないことが上げられる。モンク同様、どの職業にでも転職は可能だが、一度転職してしまうともう2度とパラディンレベルを上げることができないのだ。

 とはいえ、パラディンになる前の転職には制限はない。よって、マルチクラスによる強化は充分可能である。例えば、1レベル目にファイターを1レベルだけ取って戦闘用の《特技》を稼ぐ(特に人間以外の種族を選択した場合に有効な選択だ)とか、ウィザード/ソーサラーを1レベルとって呪文投射能力を得ておくとか(マウント呪文のスクロールがあれば、君はダンジョン内でも騎乗突撃ができるのだ!)。クレリックを1レベル混ぜて回復能力を得ておくのも悪くない。

しかしながら、これらの能力と引き換えにパラディンレベルが1下がるのが等価であるか、というと、実はそうとも言い切れない。パラディンが高レベルになって投射できる呪文は戦況を大きく変えうる呪文がおおいし、少なくとも5lvくらいまでは毎レベル何らかの特典が得られる。そう、パラディンは転職しなくても十分な能力を持つという、D&Dには稀有なクラスなのである(*8)。

また、逆にパラディンを1〜2レベルだけとって、他の職業のフォローにする、というプレイヤーもいる。高い【魅力】を必要とする職業---ソーサラーとバード---はいずれも防御力/耐久力に劣る。それをパラディンの信仰の恩寵と高HDで補おうという戦略だ。アライメント制限さえクリアできるのなら、かなり有効な戦略だろう(ロールプレイ上の困難をいかに切り抜けるかという問題さえクリアできるのなら、だが)。

 

<まとめ>

強力な割に扱いの難しい能力が少ないパラディンは、実は初心者向けのクラスであるように思われる。すでにロールプレイの方向性が定められているから難しい、という人もいるかもしれないが、実際には初心者は「なんでも自由にやっていいよ」と放り出されるほうがやりにくいのではなかろうか。

というわけで、初心者の君は「迷ったらパラディン」という方向で。

ぜひともパラディンの強烈さを味わって(そしてできることなら高レベルまで成長させて)、パワーの魅力に触れてほしい。何故われわれ先達がむさぼるように新しいルールを買い求め、重箱の隅をつつくようにルールを解析するのか。その一端がわかってもらえることと思う。

 

 

 

 

 

[レンジャー]

<総論>で触れたように、レンジャーは純戦士系クラスに準じた能力を持っている。つまり、ファイター同様の基本攻撃ボーナスを保ったまま、戦闘以外の能力をも併せ持っている強力なクラスであるということだ。特に野外活動に特化したファイターとしてデザインされた彼らは、《追跡》、得意な敵、《両手利き》+《二刀流強化》などさまざまな特殊能力を得るほか、4レベルからは信仰呪文(レンジャー呪文)を使用できるようになるなど、非常に優秀なクラスである。

 

 

 はずなのだが。

 

 

 実際、世がレンジャーに下す評価はまったく寒々しいものばかりである。

いわく『最弱クラス』、いわく『ファイター以下』、いわく『1レベルマルチクラス専用』、etc. etc.…

 RAINBOWではNPCデータにレンジャー10lvと書いてあるだけでプレイヤーが一斉に大笑いをはじめる始末(←ひでえ)。一体、なぜこんなことになってしまったのか。

 

 このような評価を受けている最大の原因は、やはり全般的な中途半端さにあるように思われる。

 たとえばレンジャーは1lvから「得意な敵」という能力が得られる。この能力はレンジャーの敵に対する広範な研究とそれらで戦うための適切な技術を表現した能力だそうだ。では、ここにその効果を引用してみよう。

 

レンジャーはその種のクリーチャーに対して<聞き耳> 〈視認〉 <真意看破> 〈はったり〉 <野外知識> を使用する際に技能判定に+1のボーナスを得る。同様にレンジャーはこの種のクリーチャーに対する武器のダメージロールに同じだけのボーナスを得る

 

 「・・・・・はあ、そうですか」としか言い様がない。

技能に+10できるアイテムが2000gpで手に入るこの世界で「技能に+1(マジックアイテムの相当額でいえば50gpである)」。そして、ダメージへの+1も、相手がクリティカルヒットに耐性を持つアンデッドなどであれば無効になる。せめて命判に+1ならば・・・などと愚痴をこぼしてみても始まらない。

さらに、この能力はレベルの上昇に伴いボーナスが増加する。そう、レンジャー20lvまで育て上げれば、そのボーナスは+5まで上昇するのだ。ウィザードが時間を止め、隕石を降らせ、またクレリックが死者を屍体のかけらすらないところから蘇らせているときに、〈技能〉とダメージに+5である。さすが自由の国アメリカ。自由すぎてなんだかよくわからないところに到達している。

 

 レンジャー「ならでは」といえるもうひとつの特殊能力に『二刀流への習熟』がある。彼らは1lv時から《両手利き》と《二刀流》特技を持っているかのように、両手にそれぞれ武器を持って戦うことに習熟しているのだ。つまり(利き手じゃない側(逆手)の武器はSサイズ武器に限定されるものの)、毎ラウンド2回の攻撃が可能になるのである。

 が、だ。

まず二刀流による攻撃は、両方に-2のペナルティがかかり、かつ逆手の武器はSサイズ武器に限定される(*9)。つまり、序盤では非常に命中しにくく、かつ当たってもさほど大きなダメージが見込めない、ということだ。命判のほうは《特技》(《武器熟練》など)でフォローすることもできるが、その場合には各々の武器について《特技》を取らねばならないのが痛い(かといって両手にSサイズ武器を持てば、今度はダメージが小さくなる)。

また、「両手に武器を持つ」ということは、「両手が武器でふさがる」ということでもある。つまり、序盤の貧弱なキャラクターの命を支える木製ラージシールドが持てなくなるということだ。

そして最大の問題点は、この二刀流スタイルが、軽装鎧以下の重さの鎧を身につけているときでなければ機能しない、という点である。そう、レンジャーはモンクと同じく、前線要員でありながら、守備力の低いクラスなのだ。かといって飛び道具を持ってしまえば、結局のところファイターと大差ない(むしろ《特技》数で有利なファイターのほうがまし)。

ただでさえ盾が持てないのに、鎧はチェインシャツまで。攻撃力が飛びぬけて高いわけでなく、攻撃回数が1回多いだけ。まったくもって中途半端といわざるを得まい。

 

また、4lvに達すれば、レンジャーは独自の呪文リストに基づいた呪文を投射できる。が、ここでもやっぱり中途半端な能力しか発揮できない。なぜなら、術者レベルはクラスレベルの半分しかなく、呪文リストにもこれといって有効なものが見当たらないからだ(*10)。レンジャー1lv呪文にアニマル・フレンドシップ呪文が入っているのが唯一の救いだろうか(もっともドルイドなら1lv時に入手している能力だが)。

 

その中途半端さであるにもかかわらず、前衛クラスとしての戦闘力と、呪文投射能力のために【筋力】【敏捷力】【耐久力】【判断力】の4つの能力値が高水準である必要がある。同時に、レンジャーとして活躍するために必要な〈技能〉を多く得るためには【知力】も必要となるだろうし、動物に言うことを聞かせるには【魅力】も必要である・・・・・・・割に合わん。

 

ところで件の〈技能〉であるが、これはさすがに他クラスよりは幾分ましになっている。もらえるポイントがバーバリアンと同じ[4+【知力】修正]ポイントであるのがなんとも悲しいが。

まあ何だかんだいっても前衛クラスであるから、取りたい〈技能〉は純戦士らとそう変わらない。

 

〈聞き耳〉、〈視認〉、〈隠れ身〉、〈忍び足〉

 

 あたりが重要技能である。特に「隠れる」系の〈技能〉はクラス技能になっているので積極的に修得しよう。レンジャーとして生きるんならどの道重装備はできないのだ。だったら偵察のひとつもできるようにしておかねば。

 また、〈捜索〉〈知識(自然)〉〈動物使い〉〈野外知識〉なども取っておいて損はない(君のレンジャーがパーティに居辛くなったとしても、こうした能力があれば野外で一人生きていくことが可能になる。安心だろ?)。特に「未習得時のチェック不可」になっている〈技能〉には、1ポイントでもいいから振り分けておくといいだろう。

 

 《特技》についても純戦士系と同様でかまわないと思う。つまり、《迎え討ち》、《強打》+《薙ぎ払い》などである。二刀流で戦うことを考えて《武器熟練》 を取っておくという選択もあるが、いくぶん費用対効果が薄い気がする。また、低い防御力をフォローするため《回避》、《攻防一体》 を修得しておく、という手もある(どうせ雑魚を蹴散らすくらいしかできないんだから、と割り切って「戦闘時は囮役を引き受ける」つもりなら、むしろこっちのほうが有効に機能するだろう)。

ちなみに1lv時にボーナスとして得られる《追跡》は使える場面が限定されているため、今ひとつ使い勝手が良くない。野外で出会ったワンダリングモンスターの巣を略奪するときには便利なのだが、ダンジョンや街中ではちょっと使いにくい。

 

 このように、レンジャーは「いろいろなことができる」ように見えて、その実「どれも中途半端」という、いわゆる器用貧乏なクラスに仕上がっている。ウリである二刀流も「結局のところグレートソードを持った方が強い」という悲しい計算結果が出されている(*11)今、さほど存在価値を見出せない。

 

 しかしながら、レンジャーは特定クラスとのマルチクラスによって、大きな破壊力を発揮できる。

 それは、ローグとのマルチクラスである。ローグの急所攻撃は攻撃それぞれに適用されるから、二刀流で攻撃したそれぞれの武器に急所攻撃ダメージが加算される。つまり、単純に急所攻撃ダメージが2倍になるのである。レンジャーは1レベル分だけあれば十分なので、ローグメインのキャラクターということになるが。他のクラスと組み合わせても良いが、「軽装でなければならない」かつ「近接武器で戦う」という2条件を両方とも満たした上で有効に利用できるクラスはローグぐらいしかないのではなかろうか(この辺が「1レベルマルチクラス専用」などとよばれる所以である)。

 

 <まとめ>

・最前線で戦うにはやや欠点が多く、かといって後方支援にも今ひとつである。

・偵察要員としては、まあ使えないこともない。ので修得する<技能>をよく吟味すること。

・むしろ1レベルだけとって、他クラス(特にローグ)とのマルチクラスを目指したほうがいいかも。

 


えー、結局のところ、「パラディンは強い」という話で終わってしまったわけですが(笑)。

 

まあでも、戦闘面では強い、というだけで楽しめるかどうかと言う点においては他クラスと等価だと思うので、「なーんだレンジャー弱いのかよ。じゃあやーめた」などといわず、いろんなクラスにチャレンジしてみて欲しい。

きっと強さだけでない楽しみが見つかるはずだ。

弱いクラスをプレイヤーの知恵で強くする、というのもTRPGの醍醐味のひとつだよ・・・・・まあ、たぶんね。

 

 

さて、次回は術者クラス。

6歩目:自分のキャラを作ろう!(3) 魔法使い編だ。

秘術呪文を使う2クラスの長所と短所、そしてキャラクターを作るときの注意点についてレポートする。

お楽しみに!

 

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*1:これにパラディン/クレリック用サプリメントであるディフェンダーオブザフェイス(未訳)が加わるとホントに手がつけられなくなる。テンプラーをはじめとする凶悪上級クラスに加え、さまざまな乗騎(ドラゴンとか)、もはや邪悪とすら言えるほど強力な《特技》(divine feat)が紹介されている。

*2:2nd時代もパラディンは他を圧倒する高性能を有していたが、必要な能力値制限が非常に厳しかったし、武器のスペシャライズができない、マジックアイテム制限などといった欠点があったため「パラディン強すぎ!」などと言った意見はあまり聞かれなかった。が、能力値制限も何も無く、ただ属性が[秩序にして善]であればパラディンになれる3eでは・・・・・。

*3:もし諸能力値があまりに低いならば、パラディンはあきらめて他の戦士系クラスとクレリックをマルチクラスするという手もある(むしろその方が強力なキャラクターに仕上がる可能性が高い)。

*4:ディフェンダーオブザフェイスを使用するなら1つは「ディバインマイト(アンデッド退散を一回消費してダメージに【魅力】修正を追加・フリーアクション(!))で確定なのだが。

*5:「アホ言うな」とお思いかもしれないが、ディフェンダーオブザフェイスにはトカゲ、クモ、大コウモリ、ドラゴン(!)などを乗騎にするルールが掲載されている。パラディン本人は重量制限などもあってSサイズ種族にほぼ限定されるが、ダンジョン内で騎乗突撃されるのは結構コワい。

*6:PHB参照。これを厳密にとるならば「1レベルだけパラディンとって・・・」などといったことはできなくなるのだろうが・・・・まあ。

*7:フォーゴットンレルム世界の種族名。アーシマーはセレスティアル(天上界の種族とのハーフで、【魅力】が上がるため良くパラディンやバードに用いられる。

*8:この点については、さまざまなハンドブックが発売された今日でも大きくは変わっていない。「パラディンをXXに特化させるクラス」としてのプレステージクラスはあるものの、パラディンを総体的に強化できるクラスはないのである。それだけパラディンが強力だということなのだろうが。

*9:Mサイズの武器を持つことも可能だが、その場合はペナルティが上昇する(p125 表8-2)。

*10:バーバリアン/ドルイド/レンジャー本であるマスターオブザワイルド(未訳)では少しましになってはいる。ほかにもマジックオブフェイルーン(未訳)のハンターズマーシィなど、地味なレンジャー強化はされているのだが。

*11:ここの掲示板のここ(16-19)参照。切ねえ。