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63万hit記念 ミニ記事
060530
文責:いしかわ
ユニバーサルチェック表
あるいは出目10/20のススメ
ローグは君が選べる中で最良の職業だ。【PHB風に】
はじめの一歩3.5・ローグ編でも述べたように、ローグには冒険のスペシャリストとしての仕事と、急所攻撃による遊撃手としての仕事、高レベルになれば〈魔法装置使用〉による万能的な仕事の他に、ホームタウンに戻れば〈情報収集〉 や〈交渉〉 といった仕事を任される事も少なくない。
そう、ローグは激しく忙しい職業なのだ。
しかしながら、TRPGというゲームにおいては、「忙しい」ということはそうイヤなことでもない。
そりゃそうだ。忙しいって事は「ゲームに参加する機会が多い」って事に他ならない。
戦闘でも探索中でもプレイに絡める機会が多く、しかも他のクラスには考えられないほどのレベルでの”仕事”ができるローグは勢いパーティメンバーに頼られる回数も多く、「他人に必要とされることを心の糧として生きる」人間、すなわち社会を構成する我々の大多数が大きな喜びを感じられる職業と言うことができるだろう。プレイ中に「戦闘になったら起こしてね」とPHBを枕にドリームランドに旅立つ人種を除いては。
とはいえ、「ローグなんかやるんじゃなかった」と思える日も確かに存在する。
たとえば、多くのD&D3eプレイヤーが通ってきた道----WotC公式連作シナリオ第1弾 地底の城砦なんかをプレイしてみれば、その言葉の意味はたちどころにわかる。
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DM「扉を開けると20x40の広間になってるね。北側に扉が1つ、西と東には2つずつの扉がある。」
ローグ(うんざり顔で)「うへえ。とりあえず〈視認〉 と〈聞き耳〉 。(ころころ)ええと……14と9。」
DM「部屋の中で動くものや聞き取れる音は無いよ」
ローグ「(仲間の方を振り返りながら)さて、どうする?」
ファイター「ドアが5つか……部屋の中にはめぼしいものはないんだよね? んじゃ扉を開けるしかないんだけど……」
ウィザード「待て待て、さっきの扉みたいにトラップがある理由がわからないところに落とし穴があるかも知れん。ちゃんと調べてくれよ」
クレリック「その前に全部の扉で〈聞き耳〉 してみた方がいいわ。前の部屋みたいに『部屋にいるネズミに不意討ちされる』なんて判定もなしに言われたらかなわないもの」
ローグ「どぅあぐ。じゃあ僕は〈忍び足〉 で部屋に入って全部の扉の前で1回ずつ〈聞き耳〉 やって、異常がないのを確認したら全部の扉とその前の床を〈捜索〉 、そんで罠があったりカギがあったりするなら〈装置無力化〉 とか〈解錠〉やればいいんだね?」
DM「じゃ、まず最初の扉まで〈忍び足〉 チェックして、それから5回分の〈聞き耳〉 どうぞ。」
ローグ(さらにうんざりした顔で)「へえへ。〈忍び足〉 が……12。んで〈聞き耳〉 が……16,7,11,20,9。」
DM「なにも聞こえない。では〈捜索〉チェックを5回どうぞ。」
ローグ(苦痛をすでに超越した表情で)「9,17,9,18,11。」
DM「なにもないよ。」
ファイター「おし、じゃあ東の手前の扉から開けていこうか。」
DM(うれしそうに)「さわった瞬間、突如として扉が音を立てて開き、備え付けてあったクロスボウから矢が飛んで……扉を開いたファイターに6点ダメージ。で、その先は10フィート幅の通路になってて、40フィートくらい続いている。通路の左右には10フィート間隔で扉がついてて、突き当たりには大きな両開きの扉があるよ」
ローグ 「……で、僕は何回ダイス振ればいいんだって?」【もう帰っていいですかと言わんばかりの形相で】
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いわゆるRAINBOW用語でいうところのメーリケンの語源となった記念すべきシナリオ「地底の城砦」だからこそ起こった事態といえるやも知れないが、実はそうではないということを我々は続編「夜牙塔の心臓」で知るのである。コーデルはいっぺん死ね。ホントに死ね。
とはいえ、プレイヤー側とて手をこまねいているばかりではない。
ああそうさ。3eになってから追加されたステキルール「出目10/20」を有効に使えば、ダンジョン潜ってるんだかダイスころがして出た目を瞬時に足し算していく脳年齢の若返り法を実践してるんだかわからなくなるような事態は避けられる。
そりゃあ決まった値以上の罠や敵を発見できなくなるというデメリットはついて回るけど、ポパイの算数教室みたいな作業をひたすら続けさせられるくらいなら罠にはまって死んだ方がなんぼかましってもんさ。そうだろ?
ということで、世のローグには「ユニバーサルチェック」とか「ローグバッチ」などと称して「扉があったらどんな行動を取るか」を前もって決定しておき、可能なら出目10/20して達成値をDMに伝えておく、というスタイルを取るものも現れた。
このユニバーサルチェックの利点は3つある。
1つ。大量のダイスロールとその足し算をしなくて済む。
2つ。ロールと足し算を省くことによるプレイ時間の大幅な短縮。
3つ。コーデルへの殺意とイライラが減ることで、カルシウムの無駄な消費が抑えられる。
こうやって自動化するとゲームが無味乾燥な感じがするのでイヤだという人もいるわけだが、そういう人はぜひ地底の城砦を省略することなくイチからプレイしていただきたい。
おそらく、いや間違いなく「メーリケェェン!」ないし「コーデル死ね!」と叫んだのちにユニバーサルチェックの偉大さを身をもって感じてもらえる事と思う。
ぶっちゃけた話、DM的にもユニバーサルチェックはありがたかったりするんだよね。
某”恐怖の墳墓”みたいに出てくるもの出てくるものみんな致命的ってアホシナリオはともかく、普通のシナリオではそんなに大量のトラップや障害を設置しておくってことはまずない。
でもプレイヤーは「油断して一発食らう」のは避けたいから、結局全ての場所をじっくり調べながら進む、というプレイスタイルにならざるを得ない。
これってDM的には、すんごくダルいのよ。
DMはもうなんにも無いって事がわかってるわけで、そこを延々と調べられて時間と気力を消耗されて、あげく「こんだけ調べてなんにもないんだからもうチェックナシでいっちゃおか?」なんて言い出した矢先に扉に罠が仕掛けてあったりなんかして。
で、罠で緊張感を取り戻してまたなにもないところでも延々チェックを繰り返すPCに「なにもないよ」言い返し続ける作業に従事する事になるわけだ。
まあしょうがないっちゃしょうがないことなんだけど、だったらいっそ出目10が使えるところでは出目10使って処理しちゃおうよ。とか思うわけですよ時間の貴重な社会人になってからは特に。
いかにも怪しいところはいつも通りダイス振ればいいんだしさ。
というわけで、そうした処理を一括して記録して置くためのシートを作成してみた。
<ダウンロードせよ!>
ユニバーサルチェックシート
(PDF版)
使い方は単純だ。ローグは自分のユニバーサルチェックに用いる技能値と関連能力値、それに関係する修正の類をシートに記入し、出目10・出目20の値を記録しておくだけでいい。
ユニバーサルチェックをするときにはチェックの順番に技能名と出目10(か20)での達成値を述べていけばよいのである。
写しをつくってDMに渡しておけば、DMもいちいち”PCが気付くかどうかわからないイベントや物品”に関するチェックをするときPCに質問する手間が省けるってもんだ。また、この手のチェックはすべてブラインドロール(DMスクリーンの向こうで黙ってチェックするプレイスタイル)しているDMにとってもこの手の表はかなり手間を省いてくれるはずである。
世のローグ諸君、だまされたと思って使ってみてくれたまえ。
そして、少しでもプレイ時間をくだらぬダイスロールで”消耗”するでなく、より有効に---楽しむための時間として使ってもらえるようになったのなら、それは私にとっても望外の望みである。
Good gaming!
Bang! Bang!
【靴下を手に嵌めて相手の口に突っ込みながら】
出目10を使い倒せ!
拡張エンハンスメント