はじめの一歩のいっぽ先
                      ----中級者を目指すあなたへ----
                                                       
since 070814
 文責: いしかわ 
 はじめの一歩3.5eは、日本語化されたD&D3.5eをはじめたばかりのプレイヤーたちが、プレイをはじめるに当たって何をすればいいのか、どんなことに気をつければ厳しい低レベルを生き残ることができるかに焦点を合わせ、個々のPCの役割や機能について詳解したものである。
 
 しかし、これらはあくまでも基礎的なこと、それも生き残ることに重点を置いての解説であったがために、「生き残れるキャラクター」を超えた「強いキャラクター」、さらには(あえて誤解を恐れずに言うならば)「楽しいキャラクター」については多くを語っていない。
 
 D&Dは非常にルールの多いゲームである。…という紹介をされることが多いゲームだ。
 いや、事実世界的な視点で見ても「こんなにルールのあるゲームねえよ!」というほど大量のルールが存在し、また現在も月産ペースで追加されている。

 我々D&Dを古くからプレイしているものたちはこの大量のルールを(たいていの場合は”買ってないルールの方が少なくなるほど”購入し、セッションに導入しつつ「ではDC98の頑健セーヴを。失敗したら【耐久力】に60点のダメージです」とか「じゃあ突撃。フルアタックを接触攻撃で入れて全部で254ダメージです」とか「魔法を使わずに非実体クリーチャーにダメージ与える手段持ってますか? じゃあそちらの攻撃はすべて効きませんとかってことを真顔で言い出すため、一部の人々からは「ルールタッキー」とか「マンチ」とかいう呼ばれ方をされたあげく「だからD厨は」などと揶揄される。こうした背景から、D&Dは”マニアたちが重箱の隅をつつくようにしてルール解析をしてマンチなコンボを決める初心者お断りのゲームだ”とか”ルールを理解してないと古参のマニアに小一時間説教され、かつキャラクターの作り直しを命じられる”とか、ぶっちゃけ怖いゲームだという印象さえ持たれている。


 しかしそれは誤解である、と声を大にして言いたい。

 まず、ルールが多いことは、決してD&Dが難しいこととイコールではない
 もちろん、膨大なルールを管理するのは大変だが、基本的なルール(D20振って修正値加えて目標値以上が出れば成功とか)は一切変わることはなくコアルールのみで解決できる状況がほとんどであり、多くの追加ルールは「新しい修正や変化を加えるルール」であったり「特定の状況を解決するルール」であるため、ぶっちゃけ”知らなきゃ知らないでどうにかなる”ようなものが大半なのだ。
 D&Dの創造主とも言えるかのゲイリー・ガイギャックスでさえ、「どの技能で判定したらいいかわかんねえ判定があったら、能力値どれか使って難易度15のチェックやればいいんじゃね? PLが使えそうだって技能があったりするならそれ使ってもいいし、ボーナス+2くらいつけときゃいいよ」と仰せである(この大いなる福音をして、いしかわは多くの判定をこの方式で済ませてきたが、いまだプレイヤーから抗議を受けたこともなければゲームの進行に問題を来したこともない。てかラクだし)
  
 では、なぜ我々D&Dの古くからのメィニアたちは先を争うように追加ルールを買いあさり、ルール研究を行うのか? 追加ルールが無くてもプレイできるなら、追加ルールなど買わずとも良いではないか。


 それは、ルールを追加すればプレイがより深く、楽しいものになるからである

 たとえばPCとしてファイターをプレイしているプレイヤーがいたとする。
 彼はもちろん、ファイターとして成長し、ファイターの特技を研究し、またより強力な武器を持って自らを強化することが可能であろう。
 しかし、そこに別のルール---たとえば「信仰呪文」を加えたらどうなるだろう? 
 すなわち、クレリックとして1レベルを追加し、信仰呪文の恩恵が受けられるよう強化したら?

 彼はおそらく、信仰呪文(そこには本来自分が使用できないレベルの呪文の巻物などが含まれているかもしれない)の力によって自らをファイター独力では到達し得ない高みに置くことが可能である--信仰呪文には「信仰とは殺戮の歴史なのである」と言うことを骨の髄まで味合わせてくれるような、戦闘時に有効な呪文が山のようにある--ばかりでなく、位置取りや呪文投射のタイミングを計ると言った術者としての楽しみ、冒険前の呪文選択の楽しみ、そして信仰を持つものとして行動や信仰を持つゆえの葛藤といったロールプレイ面での楽しみを得ることもできるのだ。
 そう、彼は「クレリック」というルールを加える(これは確実に彼のルール管理を複雑化し、場合によってはキャラクター管理や準備の手間にかかる苦労も拡大するはずだ)ことで、ファイターのみでは得ることができなかったであろう楽しみを得ることが可能となったのである。

 同じことは、次々発売される追加ルールにも言える。
 多くの場合、追加ルールは「従来できなかったこと」の”やりかた”を明文化したり、従来よりも強力なオプションを提供したりしている。つまり、追加ルールを導入することで、自らのキャラクターがこれまでできなかったことが可能になったり、より強力なキャラクターになったりする、ということだ。
 強力になるとは「戦闘に強くなる」という単純なことだけではない。
 たとえばローグでもないのに罠を(解除するのではなく)攻撃で破壊できるようになったりとか、異形っぽく腕を伸ばして腕の届く範囲を広くしたりとか、ロボ人間になって睡眠も呼吸も不要になってみたりーといった”強化”は、プレイにおける楽しみをゲーム的な面でもロールプレイ的な面でも大いに拡張してくれるだろう。
 そしてこの楽しみを知っているからこそ、我々は先を争って新しいサプリを購入し、ルール解析を行い、従前のルールとのコンボを研究するのである。
 
 前置きが長くなったが、本コラムはそうした”楽しみ”をより深く、広く知っていただくべく、初心者から中級者、さらには上級者へと成長していくためのヒントや実践的な方法論を示したい。
 「はじめの一歩」から、さらに先へと一歩を踏み出してもらうための、ぽんと背中を押す力になりたいと考えている。


 さあ、踏みだそう!

■前衛[モンク]編
070814 T_N