Steal This Hook! | 01/31/2005 |
ダグ・ベイヤー
スティール・ジス・フックにまたもやようこそ! 今日のテーマは「珍しい」仕事である。PCはありふれた冒険者ではないが、これらもまたありふれた冒険ではない。これらの冒険をやり遂げたPCたちは富豪からの良くある依頼が驚きに彩られて実に意外な結末を迎える、そんな話を溜まり場で一、二杯のエールを引っかけながら話すことが出来るだろう。典型的ではないエベロンでの冒険のためにこれらのフックを盗んで欲しい。
PCは「奪回」の任務を任せる事の出来る冒険者を探している依頼主と出会う。あなたは、音読するか、または以下のテキストについて言い換えることができる。
「会ってくれたことにまずは感謝します。私は失われたアイテムを捜すさる裕福な企業家の代理を務めています。私のクライアントはシャドウマーチのヴァイル沼を探検中、ブレイと呼ばれる生物に遭遇し、問題のアイテムを奪われてしまったのです。貴方の仕事はブレイを狩ってアイテムを回収することです。取り返してくだされば、彼は報酬を惜しまないでしょう。何か質問は?」
PCは恐らくアイテムとその詳細に付いて尋ねるだろう。会話のときに適宜以下の情報を与えること。
「取り戻すべきアイテムとは私のクライアントの下半身です。ブレイの噛み付きは彼の腰を断ち切りました。足と骨盤はブレイの二番目の胃でまだ原形をとどめているでしょうが、早ければ早いほどいいのは言うまでもありません。下半身は成人男子シフターの物で左の腿に曲がった傷痕があり、銀の飾りがついた恐竜革の乗馬靴を履いています。ブーツも一緒に回収してくれるなら追加の報酬をお支払い出来るでしょう」
PCがそれ以上の事に付いて尋ねるなら、彼はもう話せる情報はないこと、また時間こそもっとも貴重な物であることを強調して話を打ち切る。
英雄たちは謀略には慣れっこだ。これまでも犯罪組織のボスをワインとご馳走でもてなし、王族と仮面舞踏会で踊り、ドラゴンマーク後継者に対する陰湿な噂を広め、中小の貴族たちの数え切れないほどの秘密を手に握ってきた。しかし今回はまた別の流儀での陰謀である――なんといってもペティウォン夫人はチェンジリングの第二階梯なのだ。
シャーンのノースエッジに居を構えるノブ・ダルームはチェンジリングの商人であり、男で一つで娘を育てていることを誇りに思っている。その彼が娘を調査するのにPCの手を借りたいと言ってきた。フェブの娘レクは7歳。ノースエッジのチェンジリングのための学校で起きた、教室をバリケードでふさいだ事件の首謀者の一人である。どうやって出入り口を塞ぐ事が出来たのか分かるものは誰一人おらず、僅かに扉の覗き窓から子供たちが外見を交換し合っていること、どうやってかジェム・オブ・トゥルーシーイングを非活性化している事が確認できた。双方手詰まりになったかと思われた六時限目、子供たちは奇妙な要求を突きつけてきた。学校に属しない非武装の大人に、交渉のための仲介になって欲しいと言うのだ。
一体何が起こっているのだろう? 子供のいたずらとしか思えないこれは、より重大な何かの兆候なのだろうか? 子供たちは単独でこの反乱を仕組んだのか、あるいは教師に化けたラクシャーサによって操られ、人質とされているのだろうか? PCは教室に忍び込み、誰がフェブの娘であるか判別し、真相を解明することが出来るだろうか? なにより七歳の女の子から真相を聞きだすと言う途方も無い難事業は、PCたちをしてこの仕事を引き受けたことを後悔しながら残りの一生を過ごす羽目にさせるかもしれない。
年老いたソーサラーにして裕福な探検家、ペルトー(Paelto)のアーケイン・マークが押された手紙に記されていたのは、もっとも知恵深きもののみが突破出来る罠、秘密の動く壁、パズルの部屋で一杯の巨大なダンジョンのこと。それは地下の怪物、リヴィング・スペル、そしてアンデッドに護衛された空間だという。しかし彼の多塔の城での晩餐で、ペルトーはこう説明する――PCたちはそのダンジョンを攻略するのではなく、設計するべく選ばれたのだと! あるいは少なくとも大まかなデザインを示し、作業やコンセプトについて経験に裏打ちされた助言を与えることが望まれている。ペルトーは既に彼の夢のダンジョンを建設するための建築家、技術者、メイジライトのチームを編成し終えている。しかし無数の事故――爆発するルーンの設置ミス、カーカス・クラブの卵の予定より早い搬入、現場監督の殺害、ゾリアットからの召喚を行う計画に無い部屋など――が二年にわたる野心的な工程を脅かしている。またペルトーは経験豊富な冒険者たちのアイデアに興奮しており、半ば完成したダンジョンをより危険なものとするため、冒険者達にそれに挑戦するよう求めるかもしれない。
英雄達はちょっとした災難に見舞われている―ー多分スレインの牢獄、あるいはクバーラのブラックスケール族の虜囚として――ちょっとした英雄的冒険の後にやってくる苦労と言う奴だ。彼らがPC達をバラ売りしようとしたまさにその時、謎の後援者がPCたちを一括して買上げる。オリエン氏族の馬車が彼らを拾い、彼らの新しい主人に引き合わせる。彼の名はバニ。13才の人間の少年であるが、その指にはアーラムの銀色の指輪が嵌まっている。英雄達は危険を脱したが、しかしその代価を支払わねばならない状況に置かれているのだ。バニは一連の奇妙で危険な仕事につくことによって彼が支払った代価を返済することを英雄達に"許可"する――そして彼らを道端の石ころと同様に扱う。
バニはギルドマスターの財産の相続人であり、甘やかされて育ったどら息子である。彼が秘密裡に進めていたのは一年前に死んだ彼の父親を甦らせ、突然負わされた責任を返す計画である(ただし、その計画には彼自身すら知らされていない裏の目的がある)。彼の父親の魂は時の動かぬドルラーのどこかへ消えてしまい、ウィッシュとミラクルを除けばそれを甦らせる方法はただ一つ、三重の月蝕の時に行われる特別な儀式――五つの魂と引き換えに一つの魂を呼び戻す――だけなのである。PCたちはバニへの義務を果たした後もなお、その常命の魂を保持しつづけることが出来るだろうか? アーラムに巣食う闇の力はバニの地位と立場を利用してドルラーへのポータルを作らせるように仕向けたのだろうか? そしてバニは自らの愚かな行いを償い、父を助けることが出来るだろうか?
若く高貴な成年、アンサラク・ド・ヴァダリス(ヴァダリス氏族の頭領の息子)がドロアームの伝説的なハグであるソラ・カトラとの結婚を発表した瞬間、コーヴェアの全てが絶句した。そして直後PCは急使を通して緊急警告を受け取る。アンサラクの父であるダリン・ド・ヴァダリスは結婚式の責任者として、またこの政治的にして不浄な結婚をスパイさせるためにPC達を雇う。彼は狡猾なソラ・ケルの娘がどうにかして彼の息子に魅了の呪文を投げかけたという証拠を何がなんでも必要としているのだ。そして他の全ての手段が失敗した場合は諦めて良い花屋、エルデンリーチの内装業者、そしてハープの演奏家を手配する羽目になるだろう。
これは非常に危うい状況だ――英雄たちの機転、口車、そして知恵と工夫を必要とするような。政治的な理由により、ダリン男爵は自身が結婚を止めるように見られてはならない。彼は表向きはむしろ息子の愛を応援し、PC達に不利になるように動かねばならないかもしれないのだ。しかし、ドロアームのハグの力を考えるとき、この婚姻がヴァダリスに何をもたらすのか、ダリンが考えを揺らすことがあるかもしれない。アッシュに属するもののドルイドたちはエルデンリーチにおける長年の悩みの種なのだ・・・。