Steal This Hook! | 10/11/2004 |
ダグ・ベイヤー
今回の「スティール・ジス・フック!(このアイデアを盗め!)」は英雄的行為の為に法を破らねばならない時がある、という事実をテーマにしている。PCは正しいことをするために法を曲げたり犯したりしなければならないだろう。彼らはシャーンの警邏からクバーラのブラック・スケールの戦士の一団まで、あらゆる法の番人と衝突するかもしれない。しかし行為が成し遂げた暁には正義がなされたことを彼らも知るだろう。秩序属性のキャラクターはこれらがいいかげんで不道徳であると感じるかもしれないし、自身の行動原則から決して外れた物ではないと考える者もいるかもしれない。どちらにせよ、エベロンでは常に正義に不動の定義があるわけではないという事を思い出させるためには悪くない選択であろう。また英雄をトラブルに巻き込むためにこうした状況を与えてみるのもいいだろう・・・PCを雇ったのも、そもそも彼らを罠にはめるためだったのかもしれない!
キングズ・フォレスト(エベロン・ワールド・ガイド p150)は唯一ウッドリング・ジャガー(ウッドリングテンプレートについてはモンスター・マニュアルVを参照するか、他の稀な森の生物で代用すること)の棲息する場所として知られている。ウィザードは体を衰弱させる謎の病気から彼の息子を救うために、かの生物の肝臓を必要としている。しかしキングズ・フォレストでは、それが希少動物でなくとも狩をすることは違法である! 英雄たちは少年を助けるのに必要とされる動物を探す間、ナイト・レンジャーズの目を誤魔化せるだろうか? 無法者たるジャングル・ボーイズはこの森のことをよく知っている――彼らは、英雄たちを助けるだろうか、それとも妨害するだろうか? 或いはウィザードは、邪悪な目的のために肝臓を必要とする地下竜教団の信者かもしれない!
殺人で告発されたエルフの鍛冶屋が、明日日没に絞首刑に処せられる。彼の娘は彼が潔白であることを知っているが、絞首刑が執行されるまでの間に無実を立証する時間がない。英雄は最初に死から彼を救い、次に彼が逃げ延びている間に彼の潔白を証立てる証拠を探し出すのを助けなければならない。検察官は単に本物の殺人者の手がかりを見逃したのか、あるいは故意に男性を犯人に仕立て上げたのか? 犯人は彼に恨みを持ち、それに罪をなすりつけようとした親戚かもしれない。また彼は実は吸血鬼を殺せる武器を作っており、吸血鬼の手先がそれが完成する前に裁判官や検事を裏から操り、男性を有罪に陥れたのかもしれない。
スレイン国境のアリーソーン砦周辺で国境を越えるPCたちは、入国許可を持っていなかったし、任務の為に聴取を行う権利を要求することも出来ない。なぜなら彼らはズィラーゴのスパイだからである。偽の身分許可証と入国許可証を得てはいるものの、事実が発覚したときには誰も守ってくれない。ズィラーゴのノームはアリーソーン砦でモーンランドから回収した死体に何らかの実験を行っているのではないかと疑っており、砦の責任者であるシルヴァー・フレイムの聖職者はモーンランドにいまだ存在する主要なサイアリの軍人と司令官を復活させることによってスレインに有利な状況を作り出そうとしているのだ。それを邪魔する外国人のスパイに対して、彼はいかなる慈悲も持ち合わせはしないだろう。
有名な話だが、アルカニクスの浮遊塔下部はダイヤモンドその他の高価な宝石で覆われている。アルカニクスの象牙の塔に篭るメイジたちは、誰であれこれを取って行く事を禁止している――彼らは、宝石が塔を浮遊させる力の一つだと信じているのだ。アンデールの不品行な貴族にしてアルカニクス一帯の領主であるケンス・イル・ケンシ卿は、彼の頭の上でキラキラ光りながら浮かんでいる「宝石の浪費」を長いこと苦々しく思っており、これを調べるためにPCを雇う。卿はどのようにして宝石が守られているか、またPC達がどれだけの宝石を彼の元にもたらしてくれるかと言う点に特に興味を持っている。条件としては万が一捕らえられた場合に手を回してくれる約束と、浮遊塔まで彼らを運んでくれるメイジブレッド・スパイダー・イーターの乗騎が提示されているが・・・さて?
ドロアームは不和の絶えない、野蛮な辺境の地であるがそれでもスローンホールド条約に定められた主権国家に準じる存在である。そして、何故PCはドーターズ・オブ・ソラ・ケル(EWGp188)の権力機構に侵入しているのだろうか? 犯罪集団の親玉のふりをして、ドーターズの司令官とその部下の機嫌をとり、あまつさえハグその人たちとともに聴衆を睥睨しているのは何故だ? 気が狂っているのでなければ、門を護る者たちに雇われて、ドロアームの政治情勢を探るために雇われたのだろうか? ブレランドの王家からソラ・カトラ暗殺の使命を受けたのか? 実際に、姉妹の一人の為に他の二人に対する陰謀に荷担しているのか? 同様に潜入した外国の実力部隊はPC達が本物の犯罪者であると認識してPC達を攻撃してくるかもしれない。PCは目的を果たすために、ドロアームの流動的な政治構造の中で巧みに動き回る必要があるだろう。