Eric Haddock著
正しき勘定は7レベル・キャラクター4人用の短い冒険だ。一行はどのようなクラスの組み合わせで構成していても良いが、出来事は連続していて立て直す暇は用意していないため、クレリックは極めて有用だろう。このシナリオは6から8レベルのキャラクターに妥当な挑戦である。この冒険はグレイホーク・キャンペーン・セッティングの東海岸を舞台にしているが、漁村が栄えている土地ならほぼ何処にでも配置できる。1月のMap-A-Week記事にある地図(“1/11 Lighthouse”の地図)を印刷すること。
海岸沿いの漁村2つ、転岩村と呻吟町はここ数十年間切磋琢磨しあっている。毎年、公明正大な判定によってその年の漁獲量を比較し、勝者には優勝記念――銀製の長さ2フィートのトライデント――が与えられる。勝利した村は続く1年近くトライデントを持ち続け、それから次の催しの直前の2週間前に手放す。同じ優勝記念がこの伝統が始まって以来使われ続けている。
長い年月、その計測はいつも同じ人物に任されている:近くの島で暮らすノームの灯台守ペリ・ウルサーンに。彼ほどに信頼されどちらの村の誰にも彼ほど信頼され尊敬されている者はおらず、どちらの村も交代を頼もうと考えた事もない。ペリはいつも真剣にこの任務をこなし、注意深く村それぞれの漁獲量を毎日記録し続けている。毎年師走になると彼は2週間かけて記録を洗い総量を算出して新たな勝者を決定する。その結果に満足するとペリは特別な催しの途中でトライデントを勝利した村に渡す。それから村2つは揃ってお祭り騒ぎを行う――勝者は自らの勝利を祝い、敗者は単に祝福の機会を活用する。
しかし今年、問題が発生している:ペリの姿が1週間見られていない。より悪いことに、大きなサーペントがかのノームが独居している灯台付近の水中に潜んでいるところが目撃された。村人たちはそのサーペントが買い物しようとロングボートに乗ったペリを攻撃した――あるいは海から鎌首をもたげてもしかしたら灯台をちょっと出た彼を引きずり込んでしまったのかもと危惧している。
どちらの村もサーペントの哨戒する水辺へと小舟を漕ぎ出せる程に勇敢な者を輩出できない。にも関わらず、誰かが灯台を訪れてペリの命運を調べるべきだと村人全員が考えている。例年の競争以上に、彼らはペリの安否を気にしている。
キャラクターたちが海岸を旅していると、転岩村か呻吟町に訪れる機会を持つ。ペリの命運ばかりが村人たちの口に上るため、どちらの居住地を通過する者もこの問題を確実に耳にする。また、PCたちが巻き込まれるには更なる後押しが必要かもしれない。ここにGMがキャラクターに関心を持たせるのに使えるきっかけをいくつか記す。
N小さな町
退廃+4;犯罪+4;経済−4;法治−6;情報+2;社交−4;危険+20%
欠点無秩序
人口統計
政治体制独裁制
人口500
著名なNPCペリ・ウルサーン
市場
基本価格200gp;購入上限5,000gp;呪文4レベル
下級アイテム8(スクロール・オヴ・ウォーター・ウォーク、高品質クオータースタッフ、高品質スリング、スクロール・オヴ・ウォーター・ブリージング、ワンド・オヴ・タッチ・オヴ・ザ・シー、ワンド・オヴ・キュア・ライト・ウーンズ);中級アイテム3(スクロール・オヴ・スクライング[秘術、3レベル]、スクロール・オヴ・ブレイク・エンチャントメント[秘術])
欠点解消後
退廃+0;犯罪+0;経済+0;法治+0;情報+2;社交+0;危険+0%
PCたちが漁村を訪れると決心したなら、どちらの町に最初に入るかはGMの差配に委ねられる。それぞれには約500人おりgp上限は200だ。
GMはこの遭遇で望みの通りにPCにペリ、毎年の競技、そしてサーペントについて知らせられる。村人たちは明けっ広げであり、知っていることなら何でも漏らしたがる。それには以下が含まれる:
PCたちが灯台の調査に関心を持ったなら、GMは彼らが望むようにその島への移動手段を手配させるべきである。一行の中に熟練の船乗りでもいない限り、村人を雇って小舟で出立するのが最善だろう。ペリが灯台に仕掛けた魔法の罠によって魔法に依る飛行で灯台に到達するのは困難だ(下記の崖っぷち参照)。
キャラクターが島に近付いたなら、以下の文を読むか言い換えること:
島に近付くにつれ、君たちは船乗りたちが何故ペリを訪れる為の出航に神経質なのかが分かってくる――海の怪物の脅威がなくてさえ。水面は荒れ、波は高さが3フィートにまでなる。突風は四方から吹き、船旅を不安定なものにしている。
灯台ははっきりと見え灯りがついているが、灯りは本来あるべきものより煌めき瞬いているように見える。その島は海原から突き出る岩程度のもので、どうにか支えられるだけの面積があるごく小さな切り出しに灯台が建てられている。灯台の多くには灯台守用の隣家があるものだが、ここにはそれができるだけの空間がない。ひょろ長い埠頭がこの小島の岩がちの入江から突き出ているが、停泊している小舟はない。
PCたちが村人たちを徴募して島まで連れて来ていた場合、荒れる海の航海に判定は必要ない。自力で小舟で船出した場合、灯台までの航海には〈職能:船乗り〉技能判定(DC15)が要求される。失敗すると島から250フィートほど離れたところで小舟は転覆しPCたちは冷たい水へと投げ出される。その場合、キャラクターそれぞれは移動相当アクションとして通常の1/4の速度で泳ぐのか全ラウンド・アクションとして通常の半分の速度で泳ぐのに〈水泳〉判定(DC15、持っている装備品毎に−1のペナルティ)に成功しなければならない。〈水泳〉判定に5未満の差で失敗したキャラクターはそのラウンドは進まない。5以上の差で失敗したキャラクターは溺れ始める(Core Rulebookの溺れのルール参照)。毎ラウンド新たな判定が要求される。
魔法的な飛行で灯台まで近付こうとするキャラクターはすぐに煌めく光の秘密を知ることになる(下記の崖っぷち参照)。この効果の犠牲になったPCも着水する。
着水した場合、ペリを飲み込んだと信じられている「シー・サーペント」が即座に攻撃する。(そうならないなら、島から200フィート以内に小舟が来た時かGMが決めた時に攻撃する。)しかし実はここには1体でなく2体のクリーチャーがおり、サーペントでは全く無いが、トジャナイダである――水の元素次元界を原住とする知的ではあるが飢えた生き物だ。それぞれのクリーチャーの上半身から伸びている爪の生えた付属肢を、村人たちはサーペントの頭部だと勘違いしたのだ。
トジャナイダ(2) | CR5 |
---|
hp51(B3参照)
船員(いれば) | CR1/2 |
---|
人間のエキスパート1/ウォリアー1(GMG参照)
hp11
大型の船
マス1(10ft.×20ft.)費用500gp
防御
AC9;硬度5
hp120(オール60、帆40)
基本セーヴ+2
攻撃
移動速度30ft.(膂力または風);加速度30ft.
CMB+1;CMD11
衝突ダメージ1d8
一般データ
推進力膂力、風または流動
航海判定〈交渉〉または〈威圧〉(膂力を使う時);〈職能:船乗り〉(風または流動を使うとき)
操縦装置オール
推進手段6オール、10マスの帆(1帆柱)
乗組員4から6中型サイズの漕ぎ手
デッキ1
貨物/乗客2米トン/8乗客まで(伝馬船は乗組員あるいは乗客として、8体の中型サイズのクリーチャーを乗せることができる)
トジャナイダたちは数年前に海底に開いた門からやって来た。この環境に喜んだ彼らは以来住み着いている。彼らの好物であるグリーン・オクトパスの繊細な香りが彼らをここまで惹きつけた。実際には、この場所にそのようなクリーチャーはいない――その匂いは最近ペリが行った錬金術の実験の失敗の産物だ。にも関わらず、トジャナイダたちは狩場をここと定めており、逃げるのが得意な蛸の巣を見つけるまでこの地に居続けるつもりだ。そうなった時点で、彼らは所有者はどちらかで争い合うだろう。しかし望む食事を待っている間にPCたちを食べられるのは彼らにとってはこの上ない喜びである。
水中のPCはあらゆる攻撃に−1の状況ペナルティを受ける。小舟にいるキャラクターをトジャナイダが攻撃する場合、村人が操縦していない場合小舟は転覆する;操縦している場合は戦闘の間船は浮き続ける。
キャラクターが戦闘で優位になった場合トジャナイダだちはこの範囲を監視できる程度の距離まで逃げ、水中の岩礁で遮蔽を取る。そこで彼らは傷を癒やしPCが離れるのを待ってから自分たちの捜索を再開する。
水界語でトジャナイダと話そうとする場合、2体のクリーチャーは灯台守は食べた事も見た事さえないと否定する。しかし彼らは島からだろうと大陸からだろうとのこのこやって来た肉候補の命運を関知する約束などしない。
ディスペル・マジック光線 | CR― |
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種類魔法;〈知覚〉DC―;〈装置無力化〉DC―
効果
起動条件;再設置不可
効果術者レベル10の目標型ディスペル・マジックとして機能する。
灯台から200フィート以内の無作為に選んだクリーチャー1体に影響を与える。
灯台に近付くにつれ、熱線に関する異常が分かってくる:これはディスペル・マジック光線だ。灯台の大鏡はゆっくりと回転しているが、灯室の追加の鏡は大光線の一部を様々な方角へと反射している。(これが先述した瞬きの発生源だ。)光線は水面より上から灯台の高さまでの縦幅を網羅しており、水平方向では全方位に10フィート離れたところから200フィート先まで伸びる。PCがこの建造物から200フィート以内に来ると、そのPCは解呪光線1本に撃たれる。以降、集団が範囲内にいる限り、一行が島に到達するまで1ラウンドに1回無作為に決められた1人のキャラクターに光線が直撃する。
この奇妙な光線の起源を知るのはペリのみであり、キャラクターたちはまだ彼の命運を暴く必要がある……
Eric Haddock著
前回、PCたちは灯台で暮らす隠遁ノームのペリの謎の失踪について知った。地元の村人は最近沿岸で水中にいるのを目撃されたシー・サーペントが食べてしまったのではないかと恐れている。灯台への航海中にPCたちはこの「シー・サーペント」と遭遇し、好物を求めるトジャナイダのつがいだと判明する。その脅威を無力化したPCたちは現在灯台を調査し何故大鏡にディスペル・マジック光線の要素があるのか調査しようとしている。
灯台の手入れは行き届いており、塗料が塗りたてのようにさえ見える。(実際その通りで、ペリは毎年催しの前に塗装している。)この建造物は4階建てで中央の螺旋階段で接続されている。外壁は石製だが、内装の壁、床、そして天井(全て高さ7フィート)は木製だ。特記ない限り、灯台の扉は頑丈な木製だ(硬度5、20hp、DC23で壊せる)。灯台には全部屋コンティニュアル・フレイムの松明が灯っている。
島に入ると、PCは小舟を細長い埠頭に舫って狭い岩の道を這い上がって入り口に到達できる――扉はエリア13に続く。地図では上から下へと部屋の番号付けを行っているが、PCたちは下から上へと灯台を探検するであろうから、部屋の記述は逆順に書いている。
ペリはこの部屋を食材と、この灯台の補修用物資の貯蔵に使っている。乾燥した白い塗料で線の引かれた桶が数個壁に積まれている――彼が最近この建造物の外壁を塗装したという更なる証拠だ。この部屋で最も価値のあるアイテムはよく磨かれた銀でできた直径2フィートの凹面鏡であり、10,000gpの価値がある。このアイテムは小さな銘の押されていない船舶用の木箱に厳重に収められている。手探りに依る〈知覚〉判定(DC20)に成功したPCはその鏡の入った木箱を見つける。
この部屋にペリがあらゆる天候に対処できる装備を貯蔵しており、それにはいつも小舟に乗る前に装着しているジャケットと靴も含まれる。装備に欠けはなく、ペリは灯台から出ていないか、適切な装備なしに出たかを示唆している。
この部屋はよく設えられた待合室であり、フラシ天の椅子に良質の木製丸机、そして豪奢な防寒用の石炭の暖房といった家具が有る。この部屋は極めて寒く、暖房は点いていない。丸机の1台には使われていないタバコ用の器具が様々あり、それにはシガーカッターといったものも含まれる。
ペリはこの部屋で客人をもてなす。どちらかの村長がいるならPCにここはペリが銀製トライデントを毎年勘定を始める前に受け取る部屋だと教えるだろう。ノームはいつも隠遁していて何処か不思議であり、村人をこの灯台の他の部屋に招くことはない。
この小さな食堂の中には良質の磁器でいっぱいの戸棚があり、椅子4脚と小さいが最高級の丸机が有る。
食器戸棚の引き出しの1つには15gpの価値のある銀細工一式がある。この銀はペリの家系が代々に亘って受け継いできた遺産だ。ペリがこの冒険を生き延びその紛失に気付いた場合、彼はPCが取ったのだと考え、自分がやっていないと証明できないかぎり以来あらゆる取引を断る。その後に銀器を返しても彼の態度は変わらない。
この大部屋にはかまどが2台あり、明らかに厨房だ。この部屋の中央にある炉の上には大きな鉄の薬缶が釣られていて、精巧な鼎が底面にある。現在炉に火は点いていないのに、粘着きが表面張力を超過して薬缶のふちから垂れ、何かきつね色のものが薬缶から煮こぼれした。一瞬の後、君たちは火の気がないのにその煮こぼれが動き続けるのに気付く――黄色いネバネバが冷えた薬缶から溢れ、床に広がり続けている。
「煮こぼれ」は実際には竈をねぐらにしていて一行を攻撃するため這い出してきたオーカー・ジェリーだ。
オーカー・ジェリー(2) | CR5 |
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hp63それぞれ(B1参照)
オーカー・ジェリーを倒せば、この部屋を調査できる。薬缶の底には村人がペリのものだと認識する印章指輪がある。薬缶を指定して観察したキャラクターは自動的に見つける;そうしないならこのエリアの手探りに依る〈知覚〉判定(DC10)の成功で見つかる。
この指輪はペリの価値のある私物であり、このノームをスクライング呪文で見つけようとする者に対して意志セーヴに−4のペナルティが与えられる。試みに成功したなら、感覚器はぬばたまの闇と呼吸の音だけを明らかにする。術者がダークヴィジョンも併用する場合、彼はペリが無傷で生きているが、とても狭く暗い空間に縮こまっていることが分かる。スクライングで数分見続けると彼は大きな旅行鞄に隠れていてとても不安そうであることが分かる。彼は武器を携帯しておらず、旅行鞄の中には他に物はない。
Eric Haddock著
前回までで、PCたちは灯台で暮らす隠遁ノームのペリの謎の失踪について知った。地元の村人は最近沿岸で水中にいるのを目撃されたシー・サーペントが食べてしまったのではないかと恐れている。灯台への航海中にPCたちはこの「シー・サーペント」と遭遇し、好物を求めるトジャナイダのつがいだと判明する。クリーチャーたちを倒したPCたちはペリの住まいである、奇妙な解呪光線を放つ灯台に入った。そこで彼らはオーカー・ジェリーと戦い、ペリの居場所の手掛かりを発見する。この話で、脅かす者からペリを救出しようとPCたちは灯台の探索を続ける。
帳簿が山と積まれた丸机数台がこの部屋を専有している。外壁に固定されているのは彫刻のされた本棚であり、限界まで本と帳簿が入れられている。
ここはペリの記録室であり、公式の漁獲量を計測する場所だ。PCに同行してここまで来た村人は今年の帳簿の発見に執心する。手探りに依る〈知覚〉判定(DC15)の成功が正しい本の把握に要求される。
帳簿によるとその勘定はまだ完了しておらず、2つの村はペリが筆を置いた時点では漁獲量においておおよそ同数だ。どちらの村の者もいる場合、彼らは即座にどちらの村が克つかを論じ始める。PCがここに彼らを残す場合、その口論は白熱し拳打を伴うようになる。GMはPCが介入に失敗した場合にどちらの村人がこの拳闘で勝利するかを決定するべきである。
ペリはトライデントの戦勝品をここに置いており、良質な木材によって整えられた玻璃の戸棚の中に入れられている。このトライデントは長さ2フィートで銀でできており、波を模した装飾が施されている。公開市場では5,000gpの価値があるが、噂と重要性のため、この地での売却は極めて難しい。
この部屋にもこれまでの競技全てとそれぞれの漁獲量の記録が含まれている。この記録を調査しようとするキャラクターは面白い2つの事実を暴く為の手探りに依る〈知覚〉判定(DC15)を試みて良い。1つは呻吟町が転岩村よりトライデントを勝ち取った回数が多いこと;もう一つはどちらの村の漁獲量もここ数年減少していること。(GMは漁獲量の減少理由を自由に決め、それを将来の冒険の契機に使って良い。)
ペリの趣味の一つに日曜大工があり、この灯台の家具の殆どは彼の自作だ。この部屋は彼の工房であり、木工細工の工具と材料、丸机、椅子、戸棚、彫刻の施された本棚など書き途中の設計図が収められている。そうした小物全てはノームにとって使いやすいような大きさになっている。〈製作:大工〉技能判定(DC10)の成功によってペリは極めて高価な木材と高品質の道具しか使っていない事が明らかになる。彼が造った小物も同様に高品質である。
〈知覚〉判定(DC15)の成功で廃棄された木屑の山の下に本があるのが明らかになる。その巻には木造の攻城兵器の建造方法を扱っている。ペリが欄外に記した走り書きを流し読みすると、彼は灯台を攻城兵器から守る方法を発見しようとしていた事が分かる。沖合からこの灯台を脅かせるほど遠くまで飛ばせるような攻城兵器をPCは耳にしたことがなく、誰も小舟に積めるような攻城兵器を知らないため、これは興味深い記述だ。
二度目の〈知覚〉判定(DC20)の成功によって明らかに捨てられたハンド・クロスボウがこの部屋の北東の隅にあるのが明らかになる。それには毒――ペリのアルケミストとしての初期の実験の一つの産物――の塗布されたボルトが番えられている。その混合物はサソーヌの葉の残滓と同等に機能する(接触;セーヴ頑健DC16;潜伏期間1分;頻度1/分を6分間;初期効果2d12hpダメージ;副次効果1【耐久力】ダメージ;治癒1成功)。この武器をノームが持っているのは変だが、この部屋の成功な罠の一部を意図してペリは購入した。しかし最終的に彼はこの発想全体を断念し忘れることにした。このハンド・クロスボウはこの灯台唯一の本物の武器だが、ペリは失踪する結果になった出来事の前に来れを手に取る時間がなかった。
この部屋の中央にある小さな丸机の上には木製のペリの灯台の模型が立っており、土台となっている地面の一部まで完璧なできだ。小さなロングボートがその外にある埠頭に舫われている。その模型周辺には1ダース前後の地図が広げられている。
この地図はアーンスト伯国を描いている。主要な地理的な特徴に加えて、伯国の様々な天然資源と野生動物の場所を詳述しており、それには資源それぞれの近くにいるモンスターも含まれる。ペリが地図に記述したその走り書きは、彼はあらゆる種類の木と鉱物を伯国から守ろうと旅をするつもりであったことを示している。この書類には日付が書かれていないため、彼が未来にするつもりだった旅を示しているのか、過去に行った旅を示しているのかは分からない。〈知識:地域〉判定(DC20)の成功で、地図の何枚かは極めて古く一部が不正確であるが、それ以外は出来立てで実に正確だ。
この部屋はまた別のペリの図書室であり、壁沿いに並んでいる彫刻のされた木製の棚でいっぱいだ。ここの本の背には様々な題目が書かれているが、主題の中で多いのは現在アーンスト伯国と呼ばれているこの土地の歴史だ。それらの書籍にはこの地の歴史についての重要な詳細が含まれており、数千年前に知的な存在が最初にどう居住したかについての発展した理論さえある。
この部屋の他の家具は椅子一脚、この王国の政治的な有り様に関する本と走り書きの積まれた丸机一台で構成されている。
丸机の本と走り書きに対する手探りに依る〈知覚〉判定(DC20)の成功でペリはサイラス・エンジャーという名前のソーサラー――この伯国に幾多あった戦闘のいくつかに参加した人間――に強い興味を持っていたことが明らかになる。ペリの走り書きの詳細さによって、サイラスの起源を辿りたいだけでなく、彼の行き着く果ても判断したかったことが明らかになる。ここにあるどの本や書物のどれにも彼の死についての言及がない……
Eric Haddock著
前回までで、PCたちは灯台で暮らす隠遁ノームのペリの謎の失踪について知った。灯台への航海中にPCたちは村人たちが目撃した「シー・サーペント」と遭遇し、好物を求めるトジャナイダのつがいだと判明する。クリーチャーたちを倒したPCたちはペリの住まいである、奇妙な解呪光線を放つ灯台に入った。そこで彼らはオーカー・ジェリーと戦い、ペリの居場所の手掛かりを発見する。更に調査してペリは強力な魔道士を研究していたことが明らかになるが、その理由は謎のままだ。今回、PCたちはペリを見つけ、古の戦闘魔道士サイラス・エンジャーは本当に死んでいるのかが判明する。
このエリアの扉を開くと酷い臭いが君たちを出迎える。錬金術だけがこのような悪臭を生成でき、室内に並んでいる玻璃の管、容器、そして小さく制御された火はこの錬金術研究室は絶賛稼働中だと証言している。
ここはペリの錬金術研究室だ。この部屋で彼はエリクサーを調合し、過去の冒険で見つけたポーションを識別している。〈知覚〉判定(DC15)の成功で魔法のポーション5本が明らかになる:エリクサー・オヴ・ファイアー・ブレス、ポーション・オヴ・ヒロイズム、ポーション・オヴ・レッサー・レストレーション、ポーション・オヴ・リデュース・パースンそしてエリクサー・オヴ・ハイディング。手探りに依る〈知覚〉判定の結果が20位上だったキャラクターは「危険! 粘体! 壊すな!」と札の貼られた壊れたビンも見つける。
錬金術や魔法の技に卓越した者でさえ、ペリがこの研究室から最後に離れた時に何を行っていたかは明らかにならない。
この部屋にあるものは全て原型さえ留めず打ち壊されている。木片、ガラス片、そして石の欠片が部屋中に散らばっている。
〈知覚〉判定(DC20)の成功で礫の中の足跡が明らかになる。キャラクターは〈生存〉判定の成功(DC22)でその跡を追える。跡はエリア3に通じている。
大きな鉄の箱6つがこの部屋の外壁に沿って並んでいる。7つ目の箱はこの部屋の中央にある。その上で猫背になって錠をいじっているのは白い翼を大きな灰色の該当に設えられた穴から生やした、頭巾を被った男だ。彼は滑らかな乳白色の肌をし、裸足で、奇妙で桃に似た奇妙な香りを放っている。君たちが入ると、彼は動きを止め君たちに向き直る。
男は消えたソーサラーのサイラス・エンジャーであり、今や神話級メドゥサへと戦慄の変貌を遂げてしまっている。数年前、活力に満ちた国であるアーンスト伯国で、ある若者が支配権を賭けて競った。手中に収めるのに追加の頭数を必要だと判断した彼は助力の為デヴィルと秘密の契約を交わした。しかしサイラスは裏切られ、抵当を取られ、戦慄の呪いをかけられて現在の姿へと変成させられ、ソーサラーの能力を剥ぎ取られた。ペリの調査を知った彼は灯台へと来て、ノームが自分に興味を持つ理由と、この実に才能のあるアルケミストである彼に自分がソーサラーの能力を取り戻す助けをする能力が有るかを知ろうとした。
ペリは灯台へと飛翔するサイラスを目撃し、逃げる手段がなかったため、灯室にディスペル・マジックを発動し、このモンスターの接近を阻止か遅らせるとした。そして彼はこの部屋の箱の1つに隠れた。
サイラスはここのペリの足跡を追って、PCが到着した時には箱を開こうとしているところだった。現在何者にもペリの捕獲を台無しにさせるつもりはないため、サイラスは即座に彼らを攻撃する。
サイラス・エンジャー | CR10/MR3 |
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男性のアドヴァンスト神話級メドゥサ
LE中型の人怪(神話)
イニシアチブ+12M;感覚暗視60フィート、全周囲視覚;〈知覚〉+18
防御
AC27、接触15、立ちすくみ22(+3【敏】、+12外皮)
hp133(9d10+30+54)
頑健+9、反応+11、意志+10
防御的能力身かわし、視認困難;DR5/エピック
攻撃
移動速度30フィート、飛行60フィート(良好)
近接高品質バスタード・ソード+12/+7(1d10+3/19〜20、加えて“毒”)、2蛇の噛みつき+14(1d6+5、加えて“毒”)
遠隔高品質コンポジット・ロングボウ+15/+10(1d8+2/×3、加えて“毒”)
接敵面5ft.;間合い5ft.(蛇の噛みつきは10フィート)
特殊攻撃神話パワー(3回/日、活性+1d6)、石化解除、石化の凝視、毒、毒の武器、蛇招来
一般データ
【筋】14、【敏】21、【耐】22、【知】16、【判】19、【魅】23
基本攻撃+9;CMB+11;CMD26
特技《イニシアチブ強化》M、《近距離射撃》、《能力熟練:石化の凝視》、《精密射撃》、《武器の妙技》M
技能〈交渉〉+11、 〈威圧〉+16、〈隠密〉+15、〈知覚〉+18、〈はったり〉+13、〈飛行〉+17、〈変装〉+13、〈知識:地域〉+8、〈真意看破〉+6;種族修正+4〈知覚〉
言語共通語
戦闘用装着品20アロー
他の装着品高品質バスタード・ソード、高品質コンポジット・ロングボウ(+2【筋】)、リング・オヴ・イヴェイジョン、リング・オヴ・カウンタースペルズ(ホールド・モンスター)、クローク・オヴ・マイナー・ディスプレイスメント(翼が機能するよう特別に誂えられている)
特殊能力
石化解除(超常)神話級メドゥサは神話パワーを1回分消費することで、1分の間(ストーン・トゥ・フレッシュを使用したかのように)石化状態のクリーチャーに命を取り戻させることができる。そのクリーチャーは(ドミネイト・モンスターを使用したかのように)メドゥサの制御下にあり、持続時間が終了すると石像に戻る。メドゥサが神話パワーを3回分消費すれば、このクリーチャーは1分ではなく24時間の間石化状態を解除される。
蛇招来(擬呪)全ラウンド・アクションとして、神話級メドゥサはサモン・モンスター呪文を使用したかのように、エンペラー・コブラ1体かアンフィスバエナ1d3体を招来することができる。招来された蛇はメドゥサの凝視攻撃に完全耐性を持ち、消えるまで8ラウンドの間存在する。
毒の武器(変則)神話級メドゥサは標準アクションを用いることで、蛇の毒を剣1つかアロー2本に塗布することができる。通常はあらかじめ武器に毒が塗られている。
石化の凝視(超常)永続的に石に変える、30フィート、頑健DC22無効。
毒(変則)蛇の噛みつき;セーヴ頑健DC20;頻度1回/ラウンド(6ラウンド間);効果1d4【耐】;治癒2連続のセーヴ成功。
戦術:サイラスは接近戦に入る前に出来るだけ多くのPCを石にしようとし、戦闘中も凝視攻撃を使う。PCの半分の石化に失敗し35ポイント以上のダメージを受けた場合、彼は逃げようとする。
箱:サイラスが開けようとしていた箱はペリが入っているものだった。他の6つの箱には合わせて30,000gpの価値がある硬貨と宝石が入っている。それぞれは頑丈な鉄の錠で施錠されている(〈装置無力化〉DC20;硬度15、25hp)。
このエリアの主な要素はこの灯台の鏡(エリア1)に通じる階段だ。
この灯台の最上階には最上級の鏡と大きな水晶の透鏡が並んでいる。コンティニュアル・フレイムのかかった松明と直径2フィートの銀の鏡1つづつがその並びの中心にある。別の魔法的なオーラがこの並びの中で交差しているのが見え、配列がゆっくりと回転するのにつれ無作為の方角へと反射しているように見える。このオーラはこの灯台のガラス容器の外側では不可視になる。
この灯台ではコンティニュアル・フレイムの光と、この灯台への途上のPCに影響を与えたディスペル・マジック光線を投射する魔法的な銀の鏡を使用している。錬金術の秘技を使うペリは鏡を、特定の魔法のエネルギー――今回なら、ディスペル・マジックとライト効果――を捕え、反射し、投射できる物質で覆っている。彼はこの物質の改良を終生の課題としているが、現在に至るまでライトとディスペル・マジックのみが完全な塗布に成功した呪文である。
ペリ・ウルサーン | CR9 |
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男性のノーム(歯車)のウィザード5(呪文相殺の系統)/アルケミスト5(閃き薬師)
N小型の人型生物(ノーム)
イニシアチブ+2;感覚夜目;〈知覚〉+7
防御
AC13、接触13、立ちすくみ11(+2【敏】、+1サイズ)
hp78(5d8+5d6+5+30)
頑健+5、反応+4、意志+7;+5対[毒]、+2対幻術
攻撃
移動速度20ft.
近接なし
遠隔+9爆弾(3d6+2[火])
特殊攻撃爆弾(最大8/日、準備なし)
擬似呪文能力(CL10;精神集中+12)
1/日―ダンシング・ライツ、ゴースト・サウンド、プレスティディジテイション、スピーク・ウィズ・アニマルズ
準備処方(CL5)
2レベル(3/日)―なし
1レベル(5/日)―なし
準備呪文(CL5;精神集中+7)
3レベル(2+1/日)―なし
2レベル(3+1/日)―なし
1レベル(4+1/日)―なし
0レベル(回数無制限、4)
S専門化呪文;専門防御術;対立心術、幻術
一般データ
【筋】8、【敏】14、【耐】16、【知】16、【判】8、【魅】14
基本攻撃+5;CMB+3;CMD15
特技《万能投擲術》A、《ポーション作成》A、《巻物作成》W、《魔法の武器防具作成》W、《その他の魔法のアイテム作成》、《解呪の相乗効果》、《名匠》、《抵抗破り》、《統率力》
技能〈装置無力化〉+13、〈製作:錬金術〉+20、〈製作:大工、罠、武器〉+12、〈呪文学〉+13、〈知識:神秘学、工学〉+14、〈交渉〉+9、〈真意看破〉+3、〈知覚〉+7、〈隠密〉+11;特技修正+2〈製作:錬金術〉;クラス修正+5〈製作:錬金術〉;種族修正+1〈装置無力化〉、+1〈知識:工学〉、+2〈知識:神秘学〉、+2〈知覚〉
言語共通語、ノーム語、森語、竜語、エルフ語、ドワーフ語
SQ発見(インヴェスティゲーターの技[ローグの技{人たらし、迅速なる罠師}]、希釈)、即行錬金術、毒の使用、秘術構築家(その他の魔法のアイテム)
装着品呪文書、処方書、絆の品(指輪)
特殊能力
抵抗力(変則)ウィザードは呪文を準備する際、エネルギー種別を1つ選択する。選択したエネルギー種別に対する抵抗5を得る。この抵抗は毎日変更することができる。
中断(超常)近接接触攻撃によって、君は目標の周囲に呪文を中断させるフィールドを作り出すことができる。フィールドの範囲にいる間、目標は他の精神集中判定を要求される事柄に加えて呪文の発動や擬似呪文能力の使用を行うために精神集中判定を行わなければならない。この判定のDCは15+呪文レベルの2倍に等しい。判定に失敗した場合、目標の呪文は失われる。このフィールドは君の2ラウンドの間続く。君はこの能力を1日に6回だけ使用できる。
ノームの魔法ノームが発動した幻術呪文に対するセーヴィング・スローのDCは全て+1される。
閃き薬(超常)閃き薬を飲むと、アルケミストは5の閃きプールを得る。アルケミストはまた、ACに+2の回避ボーナスを得るが、【筋力】と【耐久力】に−2のペナルティを受ける。
フリー・アクションとして、アルケミストは閃きを1回分消費することで、能力値判定もしくは技能判定の結果に1d6を加えることができる(出目10や出目20を選択した場合でも、行うことができる)。アルケミストは閃き薬を飲んだ時点で閃きプールを得、閃き薬の持続時間が終了すると未使用の閃きは失われてしまう。
閃き薬の効果が終了すると、アルケミストは【筋力】と【敏捷力】に2ポイントの能力値ダメージを受ける。50分持続する。効果時間中、以下が出来る。
呪文書0レベル―19の0レベル呪文
1レベル―タッチ・オヴ・ザ・シー、アニメイト・ロープ、シールド、メイジ・アーマー、クラフターズ・フォーチュン、エンデュア・エレメンツ、スナップドラゴン・ファイアーワークス
2レベル―グライド、デス・フロム・ビロウ、ウィスパリング・ウィンド、ガスト・オヴ・ウィンド、ボイアンシー、ロケート・オブジェクト、アーケイン・ロック
3レベル―ディスペル・マジック、ウォーター・ブリージング、ウォーター・ウォーキング、アーケイン・サイト
処方書1レベル―タッチ・オヴ・ザ・シー、アイデンティファイ、ヴォーカル・オルタレーション、インヴィジビリティ・アラーム、イリュージョン・オヴ・カーム、ヴォーカル・オルタレーション、キュア・ライト・ウーンズ、ポリパーパス・パナシーア
2レベル―タッチ・インジェクション、アニマル・アスペクト、パーシーヴ・キューズ、レヴィテート、トランスミュート・ポーション・トゥ・ポイズン
ペリはサイラスを灯室に惹きつけたのはそこにある魔法の配置であると信じているため、ひと度安全になると灯室の設備を解体し、外しておいた銀の鏡(エリア15にある)を代わりに使う。それから彼は勘定を完了させ適切な村(GMが決定する)にトライデントを授与する。どちらが勝つにせよ、どちらの村もその時にはPCを名誉ある客人としてもてなす。町長2人はキャラクターを翌年の競争に招待し、今年のような興奮を約束する。
ここにはGMが更なる冒険の為に活用できる多数の土地がある。
Eric HaddockはかつてのDragon誌の補助編集者だ。様々なキャンペーンを行っているが、彼は忠実なプレイヤーの仲間たちと寄りを深め、驚きの結末に関するずば抜けた才能を磨いている。
経験点(ストーリー経験点含む) | 約22,400XP |
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4人が次のレベルになるのに必要なXP | 64,000XP |
実際の宝物 | 約27,893gp |
脅威度から求められる宝物 | 約14,900gp |