特別付録 「はじめてのキャンペーン講座」
2004/02/07
by B.M
世界を創造せよ!
ついに出た日本語のワールドガイド
FR(フォーゴトン)の方を期待していた人も多いと思いますが…なかなかどうして
グレイホークも味があって面白い世界ですよ
この本さえあればキャンペーンが開始できるといっても過言じゃない!!
第1章 グレイホークの世界 |
グレイホークの世界観、気候、暦といったことについて少しずつ紹介されています。1週間の呼び名や祭りの名前と言った要素はキャンペーンの雰囲気つくりには必須でしょう。 |
第2章 フラネスの住人たち |
オアリディアン、オーマン、スエル、バクルーニー、フラン、レンといった人間の主要6種族。それからエルフ、ドワーフといったPC用種族。そしてゴブリンやノールといったNPC用種族についての紹介です。フラネスで使われる言語についても紹介されています。 |
第3章 歴史 |
災害と移住から始まる約1000年間のグレイホークの歴史につい簡潔にまとめられています。もっとも有名な戦争である「グレイホーク戦争」も紹介されています。 |
第4章 フラネス・エリア・ガイド |
おそらくこれがこの本のメイン記事でしょう。100ページを超す詳細なフラネスの地域ガイドです。 フラネスの様々な国家(及びそれに類似した組織)に関して【正式名称、支配者、政治形態、首都、主な町、行政区分、資源、貨幣制度、人口、言語、アライメント(属性)、宗教、同盟国、敵対国、概要、歴史、抗争と陰謀】の各項目に渡って精密に描写されています。 この章を読めば、たとえば『グレイホーク自由都市は商人ギルドや魔法ギルド、宗教ギルドの代表者による会議で統治されているのだな』とか『ニロンドには 12の行政区分があり、混乱しているのだな』とか『やっぱりパワーJじゃなくてポマージなんだな…っていうかオーク帝国じゃねぇかここ!』などといったこ とが分かります。 選んだ一つの地域でキャンペーンを始めるのに十分な情報量が詰まっていると言えます。 |
第5章 フラネスの地理 |
キャンペーンをやるとしたら欠かせないのが地理。この章ではフラネスの各地域が森林、山岳、丘陵といった各地形ごとに分かりやすく分類されています。検索しやすいのでとても良い感じです。 |
第6章 パワー・グループ |
フラネスで力を持っている12の組織についての解説です。フレーバーとして使うもよし、どれかを中核に据えてキャンペーンを始めるもよし、敵として出してPCを困らせるもよし。 かの有名なモルデンカイネン先生の”サークル・オブ・エイト”も紹介されています。 |
第7章 グレイホークの神々 |
神々についての簡単な記述があり、Domain(領域)と神性武器ついて説明されています。クレリックには必須ですし、自分のPCに神を信仰させたい人も参考になるでしょう。1つ1つの説明は短めですが、そのぶん数は膨大です。まさに多神教といった感じがよく出ています。 |
付録 リヴィング・グレイホーク・ キャンペーン |
最初の方は日本には関係無さそうな記事ですが(ぉ むこうでどのようにしてグレイホークがプレイされ、拡張されているのかを知る良い資料です。 また、キャラクター作成ガイドラインが若干載っています。 |
索引・その他 |
最後に控えるのはしっかしりとした索引で、人名・地名はもとより有名なアイテム、モンスター、事件なども網羅されています。 表紙と裏表紙の裏には紋章リストがあります。ビッシリと描かれた紋章を見ていると、あちらの人は紋章好きということにも納得できます。好きやのうー。 付属のカラーマップは 色味はアッサリですが都市の位置関係はバッチリ分かります(むしろそれがメインでしょう)。ヘクスに描かれているのでキャンペーン中に都市間の距離を知り たくなったときも簡単に調べることができるでしょう。ところで、ヘクスの数え方(”ヘクス54B”など)が載っているにも関わらず本文中にはその数え方で 場所が表記されていないですね。んー、トラベラーみたいにしっかり書いてあると便利なんだけどなぁ…。たとえばグレイホーク市の説明のところに”場所:ヘ クス28Y”とか。 |
例) 新米DMのデイヴは陰惨で猟奇的なキャンペーンを始めたいと思った。 テーマは要約すると”血”になるだろうか?。 PCもNPCも血まみれになり、その愛憎と謀略が渦巻く中で悲惨な事件が起きるのだ。 デイヴはこれから始まるキャンペーンにワクワクした。 |
例) 地図を眺めていると”恐怖森林”という デイヴはそこを冒険の舞台にすることに決め、近くのキーオランドを冒険者のホームエリアにすることに決めた。 |
例) デイヴは便利な索引を駆使してキーオランドが47ページにあることをつきとめた。 説明を読んでみると、とても古い国だということが分かった。 【古い国→古い因習→血の宿命→ウヒョー!!】デイヴの腐った頭はすぐに邪悪な想像をした。 さらに歴史を読み進めると”憎悪戦争”というよだれが出そうになるほど甘い単語を発見した。 人間以外の種族とウレク各国が戦った、とある。キーオランドはここで日和見をして嫌われたらしい(笑)。 これをキャンペーンの根底のテーマにしようとデイヴは考えた。 さらに現在の「抗争と陰謀」の欄を読むとウレクとキーオランドは現在緊張関係にあるという!。トレビアン。 ”憎悪戦争”で虐げられた人間以外の種族がウレクに復讐するために動き出すのだ。 そう、そこにはキーオランドに伝わる大いなるデミヒューマンの秘密が絡んでいるのだ!(それについてはデイヴも良く知らない)。 |
例) 「抗争と陰謀」には”南方でモンスターが暴れている”とある。 まずはこれでPCに”モンスター退治”でもやってもらって肩慣らしをしてもらおうとデイヴは思った。 しかし、このキャンペーンのテーマは”血”である。単純なモンスター退治にすることはデイヴのちっぽけな脳の中のさらに小さな小さな美意識というヤツが許さなかった。いわゆる美しくないというやつである。 そこで、ある辺境の村で”先祖帰り”を起こしてしまった村人が山に逃げ込んだ話にすることにした。 PCは怪物退治ということで村を訪れる。 だが、怪物になった村人の娘がPCを追い返そうとする!。そして村で発生する猟奇殺人事件!。 とまぁそんな感じで陰鬱になるようにデイヴは腕によりをかけてシナリオを書いた。 第2話へのつなぎはこの場合簡単である。 “憎悪戦争”の元にもなったデミヒューマンの”大いなる3つの秘密”がこの先祖帰りにも関係しているのである。 もしかするとウレクに対抗するデミヒューマン勢力(の組織?)がこれを裏で操っていたのかもしれない。 そういった情報を撒いて第2話へとつなげるようにしようとデイヴは思った。 |
例) デイヴのキャンペーンもついに佳境に入った。次回のシナリオでは壮絶な殺し合いと血みどろの陰謀の挙句、おそらくNPCが10人前後死ぬだろう。最終回間際でたくさん殺すのはデイヴの(小さな小さな)美学というやつである。デイヴはニヤニヤしながら殺すNPCを決め始めた…彼にとって至福の一時である。 デイヴはヒマなときに「グレイホークワールドガイド」をパラパラとめくっては読んでいる。キャンペーンを進めるうちに本文と若干のズレも生じてきたが、デ イヴは細かいことは気にしないことにした。キャンペーンは上手く動いている。それが大事だ。ページを適当に開いていると”キーオランドの物言わぬものたち”という項目が目に入った。ほほう。そんな組織があったのか!!。これはきっと”大いなる7つの秘密”を解く鍵を握っているに違いないな…。 デイヴの”世界の創造”はつづく。 |