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フェイルーンといえばFR である
それは間違いない
そしてFRといえばフェイルーンである
それもまあ、ある意味当たっているかもしれない
ところが「フェイルーンのモンスター」はFR用ではない!

Monsters of Faerun
フェイルーンのモンスター
2005/04/15
B.M(びいえむ)

 FRじゃなくても使える!
 3.5版でも使える!



 80種類を超える素敵モンスターが載っているサプリメント。どいつもこ いつも普通のキャンペーンにぶち込んでも大丈夫なヤツばかり。特にFRじゃないと使えないモンスターというのは基本的に存在しません。“レルムでは”とい う項目が付いているので、FRで使う際にはどうすれば良いのかが分かり易い、という程度ですか。その項目自体たいした情報量じゃないので、“使えなくて損 した 感”も低め!(笑)
 なにより、これらのモンスターを使ってみて気に入ったら、いっそのことFR教に入信するのも手じゃないかと思います(笑)
 次には『フェイルー ンの魔法』が控えてるしね!!

 さて、一口に素敵モンスターと言っても、それじゃ全国のDM諸氏は惹かれないと思います。
 どの辺が素敵なのか。
 ぶっちゃけて言うと強いモンスター、 更に言うならばヒドいモンスターっ てことで。
 ヒドい、正直ヒドい(笑)


 それではDMのためにコッソリと“どの辺が強くてヤバいのか”を紹介しよう。
 ここから先はプレイヤー諸君は読んではいけない。
 DMの許可が無い限りは。






























 さあ、ここからはDMだけのお楽しみの時間(笑)
 例えば、魔獣ベインラー。
 何がおかしいって、このゲームは基本的に「脅威度=キャラクターレベル」である筈です。最低でも。
 それに加えて強いモンスターならば、その能力の分だけ脅威度が上昇している……はず。
 それなのに、ああ、それなのに。

 脅威度の ベインラー君は6レベルウィザード/クレリックとして呪 文を発動します。

 もう、何がなにやら。

 あまつさえ、全ての呪文は音声要素しか持ちません。

 いみわからん。 

 更に言うならば1ラウンドに1つはフリー・アクションで撃てます。

 わからんわからん、なんにも分からん(笑)

 しかもStrength 【筋力】 26と か言ってるし、高速治癒2持ってるし。
 組み付きは+23ですよ。鼻血出るっつーの。
 グラップルしながらフリーで呪文撃つっつーの(まあ、〈Concentration/精神集中〉+12だけど)。
 エゲつねぇ!

 逆に言えばFRのキャラクターってのはこうでもしないと叩き伏せられないヤツば かりということなのでしょうが……。

 まあ、脅威度がおかしいとかそういうことを言っても始まらないんで、この辺で(笑)
 バランスの悪いところを突く遊び方は余りスマートじゃないと思いますんで。
 (バランスがおかしいと思えばDM判断で変更すりゃあ良い話だし)


 とにかく呪 文をフリーで撃ててStrength 【筋力】 26の化け物ヘビがいるということを分かってもらえれば良いです(笑)

 クリーチャーの能力のところに『魔法のアイテム』っつー項目がワザワザ有って、アイテム使用を推奨してます(笑) イカす。
 口の回りに付いている触手でアイテム使えるって書いてあるし(イラストの通りだと少なく見積もっても10本……)。
 なんだ、ワンド撃ちながらフリースペルで追撃か。やり過ぎだ(笑)
 もう、殺す気マンマンを通り越して殺す気しかねぇ(笑)
 毒が難易度18で2d4Constitution 【耐久力】 ダメージなのがカワイク思えてくる。
 カワイクネー。

 さすがに3.5版コンバートによって脅威度が7になってます。
 ……けど、7なのか……?(笑)
 フリーだぞフリー(しつこい)。


 さて、全てのモンスターがそんな感じで、かなり強烈なパワーを持ってます。
 そのうえ設定もアクが強くて面白い。
 前述のベインラー君は魔法のアイテムに精通したナーガの一種、とか言ってます。
 他にも殺すために生まれてきたような極悪設定がズラズラと並んでいます(笑)。
 “全ての存在を喜んで消去してしまっていたかもしれない悪”とか“魔法の混沌を具現化したもので、世界を支配しようとしたらできたかもしれない”とか。 いそぎんちゃくとヒドラが合体したような姿で、スライム状の粘液を排出して滑走するヤツとか。ちょっと可愛い(笑)。

 そんなデッドリーなヤツばかりの本ですが。
 たまーーーに地球に優しいモンスターも潜んでます。
 たとえばドレッド・ウォリアー。
 《Power Attack/強打》が使えるだけのhp26のゾンビが何故か脅威度3。
 なんちゅーか基本攻撃+2で《Power Attack/強打》ってナメてんのか(笑)
 ──同じ脅威度3のフェアリン・ジャイアントは68hpで外皮+10、さらに怯え効果付き咆哮をフリー・アクションで出来ますが?

 しかも“レ ベル4以上のファイターの死後一日未満の死体からしか作れない”とか言ってる割には、ファイターっぽいところは《Power Attack/強打》しかねぇ、っつーかせめて《Weapon Specialization/武器開眼》にしろや。なんのために4レベルファイターの死体使ってんじゃあああ!! やっぱりファイターは無駄死にか いぃぃ!!
 他にも“遠隔武器を効果的に使用する教養は保持 していない”とか“36文字以上の命令は誤解する可能性が ある”とか“ラシュメンの魔女と戦闘する場合攻撃に −2の技量ペナルティ”などなど、どーでもいいレベルまで、なんつーか目頭が熱くなる嫌がらせが満載。そんなにファイターが 嫌 いかお前ら。

 何度考えても、コイツ相手に苦戦する3レベルパーティの姿が思い浮かびません。
 熱い。
 やっぱり戦士は熱いぜぇぇl!!【絶叫】

 3.5版にコンバートされてどうなったかというと、さすがにこれじゃ弱すぎるというジャッジが下ったのか《Weapon Focus/武器熟練》と《Toughness/追加hp》が増えました。

 ……って

 タ フ ネ ス か よ !!



 まあ、そんな感じで強烈なモンスターから癒し系のファイターまで。
 プレイが楽しくなること請け合いのネタが満載です。
 誰か、ドレッドウォリアーで3レベルパーティに勝ってくれぇぇ(無理)。

 更にはスペシャルボーナスとして『3.5版コンバート対応表』まで付いてます!
 これは英語版には無かったもので、これでこころおきなく3.5版で使うことができます。
 これはかなり嬉しい配慮。

 さて、この本をまとめるとこうなります。

・フォーゴトンレルムじゃなくても使える
・レルムで使うと楽しさ倍増
・ハッキリ言って強烈な強さ
・設定が面白くイラストも秀逸
・3.5版でも問題なく使える
・ファイターの死体を粗末にするな



 加えて巻末には作者リッチ・ベイカーとジェームズ・ワイアットのデータまで紹介までされてます。
 すげぇぜ、デザイナーと戦う事ができるなんてまさにコンペディウムッッ!!
 ……とか意味不明に終わろうとしたら、ジェームズさんは極悪DoFを書いた人ですが、同時に「夢でささやく者」も書いていることが発覚。
 うーむ。

【微妙な終わり方】