D&D 3E キャンペーンリプレイ(020127)
*シナリオ集 “Pool of Radiance: Attack of Myth Dranner”より
文責・DM:石川
<参加キャラクター>
アレイ(プレイヤー:右近):パラディン7
エディン(ヤモン):プリースト7
エレーネ(Psy-Joe):ウィザード7
スタイン(dandan):ローグ3/ソーサラー4
ホッジ(今回はNPC):ファイター6/ゴーストウォーカー1
レイン(こんこん):バード7
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前回の『骨の塔』攻略後、会議の末(*1)「オーバ何たらの墓を探す」ことに決めた一行は、まず墓の場所を特定するため、墓荒らしをしているカルトメンバーを捕らえて情報を聞き出すことにした。
スタイン:「ふふふ、俺の出番だな」
いつの間にかソーサラー4/ローグ3になっていた(*2)スタインは近くの墓荒らし現場で働くカルトの傭兵を“インビジビリティ”で奇襲するのだが・・・。
スタイン:「じゃあ峰打ちで。(コロコロ)まあ当然命中、と。ダメージは・・・・9点」
DM:「は?スニークは?」
スタイン:「入れて9点。今+2d6しかないんよ」
そう、ローグレベルが下がったため、これまでの一撃必殺性が薄れてしまったのだ。
DM:「・・・じゃあ傭兵は当然のように生きてるので、仲間に助けを求める。(コロコロ)2人の傭兵と指揮者らしい黒衣の魔道士、それからトロールが一匹やってくる」
アレイ:それ俺達見えてるよね。「まずい!失敗だ!助けに行くぞ!」というわけで現場に走っていく。
のこり全員:後に続く。「うおおおりゃー!」
スタイン:「(冷静に)危ないんで移動してもう一回“インビジビリティ”(*3)。」
DM:「・・・えー、じゃあ状況を整理すると、スタインは30ft移動して消えて、で消えた方角の向こうから明らかに戦闘態勢にある一団が駆けつけてくる、と(笑)」
アレイ:「まあ、そうなりますね(苦笑)」
DM:「じゃあ遠慮なく呪文攻撃の方向性で」
とはいえ術者の多いPCパーティと、術者の一人しかいないカルト側では勝負にならなかった。傭兵の一人を生け捕りにしたゴーストウオーカー・ホッジの『クラススキルじゃないのに必要な』intimidate技能が光り、何とか墓の場所を聞き出した一行は、大急ぎでオーバックの墓所へ向かう。
オーバックの墓は大きな墳墓に近いもので、土盛りと重厚な石造りとで、あたかも要塞のようでもあった。その入り口は厳重な石積みが為されていたが、外敵から守る、と言うよりは内側から開くのを防ぐような構造になっている。しかし今やその入り口の土は数十人の手になるであろう土木作業によって全て除かれ、さらに石積みは呪文によるものであろう、粘土か飴ででもあるかのように歪められ、人が通れるほどの穴が穿たれていた。
前回までの冒険で懲りたらしいPC達は“ディテクトマジック”や技能で罠や物音を調べまくりながら墳墓の中を探索する。明らかに最近人が入った痕跡の見られる墳墓には、しかし4つしか部屋はなく、しかも最後の部屋に残された棺にガス・トラップがあるばかり(*4)で、後には金目のものなんの手がかりも残されていなかった。が、シークレットドアの類があると見当を付けたPC達はあちこちの壁を探り廻り、ついに秘密の階段を見つけだした(*5)。
DM:「階段を下りると突き当たりになってて、左右に通路が続いている。階段を下りるほどに古いカビやコケが腐ったような臭いと年経た死の臭いが濃厚になっていく・・・。」
スタイン:「とりあえず左右を見回す。」
DM:「てことは交差点に立ってるんだね?SearchをDC20でどうぞ。」
スタイン:「ぬ、ぬ、ぬ・・・・ぬかーっ!(*6)」
DM:「え?ローグでしょ?20って厳しい?」
スタイン:「今はソーサラーです(笑)」
DM:「そういやそうだ(笑)。じゃあ落とし穴。そんで底にトゲ。ACいくつ?(大量のダイスを振る)・・・・21ダメージ」
スタイン:「ぐわーっ!死ぬっつーの!」
この事件でローグの本分を思い出したスタインはS&Sに掲載されている新兵器「折りたたみ10ft棒」で常に床をつつきながら歩くようになった。あほらしいとの他プレイヤーの思いをよそに、交差点の度に同じような落とし穴が次々と発見される。
アレイ:「・・・・・アメリカ人いい加減にしろ!(*7)」
レイン:「? 『あめりかじん』ってなんのこと?」
アレイ:「いや、ただの魂の叫びだから気にしないで(笑)」
そうして探索を続ける内に、一行は次々と奇妙な事実に出会う。明らかに最近死んだ牛が部屋の真ん中に転がっていたり、乾いて間もない血痕が見つかったり・・・。しまいには大型の類人猿が骨を片手に襲いかかってきたり、バグベアが矢を撃ってきたりする。
エディン:「なんで?ここ墓の中なのに、なんでこんなに生き物がいっぱいなの?」
DM:「(無視して)で、次の部屋にはいると、突き当たりの壁の方でなんか動いてる」
アレイ:「戦闘準備をしつつ見る」
DM:「素っ裸でつるっぱげのおっさんが、一生懸命壁の割れ目とか落ちてる石とかを調べてる。で、君たちに気付いて振り返った。『・・・・お前ら、敵か?』」
アレイ:「(即座に)違う。」
裸の男(DM):「そうか。」といってまた壁の方に向き直って、調べごとを再開している。
エレーネ:「・・・・・なにあれ?」
エディン:「ねえ、何してんの?」
裸の男(DM):「穴を捜してる。侵入者がいるということは、どこかに入り口があるはずだからな」
レイン:「侵入者って?」
裸の男(DM):「魔法使いだ。何人か仲間を連れている。それより穴を捜すのを手伝え。」
アレイ:「穴って、見つかったらどうするの?」
裸の男(DM):「ビューティフル・フラワーとともに外へ出る」
アレイ:「? なにそれ?」
裸の男(DM):「私だ。私の母だ。世界の全てだ」
エレーネ:「・・・・なんだかさっぱりわかんないわね」
スタイン:「じゃあ俺達は向こうの方を探してみるよ」
裸の男(DM):「うむ、しっかり探せよ」
スタイン:「(部屋を出てから)なんなんだ、ここは?」
アレイ:「よくはわからんけど、やっぱり奴らが侵入してるのは間違いないっぽい。探索を続けよう」
無数の落とし穴となぜか生きているクリーチャー達の攻撃をかいくぐり、あるいは時に撃退しながら、PC達は次々と不可解なものを見つける。先ほどの裸の男そっくりな屍体を2体見つけたり、類人猿が強力な攻撃によって死んでいたり、ワイトが閉じこめられた部屋を見つけたり・・・・・・。また、この墓のものとは思えない、傭兵風の身なりの屍体も見つかった。
DM:「さて、通路を進んでいると・・・・(ころころ)アレイとレインは通路の先の方で話し声がするのに気が付いた。」
アレイ:「む。スタイン任せた」
スタイン:「俺気付いてない(笑)。」
アレイ:「これだからソーサラーは(笑)。じゃあ教える。で、行って。」
スタイン:「了解。なに話してる?」
DM:「トロル語わかる?・・・ってコンプリヘントランゲージヘルムがあるんだっけ。じゃあさっきの裸の男の声と、トロルらしい男の会話が聞こえる。トロル『奴らを追って始末しよう!』男『しかし、やつらはビューティフル・フラワーには目もくれていない。それに奴らが奥から帰ってこれるとも思えん。それより奴らが通ってきた道を探して、ビューティフル・フラワーを外へ出すのが先だ』トロル『しかし、奴らは手当たり次第、あちこちの部屋をあたっている。もしそのままビューティフル・フラワーの所に行き当たったら・・・』
スタイン:「・・・・話しかけてみるか」
裸の男(DM):「む!お前は誰だ!魔法使いの仲間か!」
スタイン:「違う。その魔法使いを捕らえに来たものだ。奴らはどこへ行った。」
裸の男(DM):「そこの通路のさきの、墓のもっとも深いところへ行った。なにやら宝を探しにこの墓の主の所へ行ったらしいが・・・。」
スタイン:「案内してくれるか?」
裸の男(DM):「その先は一本道だ。我々とて危険が故に近寄らぬ場所、奴らは死んでいるだろうが、それでもいいなら勝手に行くがいい。」
そして、示された墳墓の最深部に通じる通路には、不気味なメッセージが彫りつけられていた。
曰く、『ここより先は黄泉の国なり この先に眠るは死に魅せられし 邪悪なるオーバック 彼の眠りは仮の眠りに過ぎぬ 汝、定命の者よ 引き返せ』
通路を抜けた先は真っ暗な大広間だった。この部屋の、そしてこの墳墓の主人のものであろう、大きな石造りの石棺が部屋の最奥で不気味な燐光を放っている。部屋の中はしんと静まり返っているが、先ほどまで何者かが生きていたであろうことは部屋に入るなり確信できた。部屋には濃密な血の臭いがあふれ返り、また暗闇を通して見える床には無数の人型のものが転がっているからだ。そして、それまで無人と思われた部屋の中央で、青白い影がもぞり、と蠢いたのが見えた。
DM:「みんなの頭の中に、不思議な声が響く。『なんだ、また来客か。お前達の仲間はすでに、ほれ、この通りだ。』と、影が手を振り上げると床に転がっていた屍体が一斉に立ち上がり、君たちの方を向い・・・・・・。」
エディン:「(DMがそれ以上しゃべる前に)ターン・アンデッド!(ころころ)・・・・8レベルアンデッドまで!」
DM:「(苦笑)・・・た屍体はそのまま向きを変えてエディンから遠ざかっていく。『ほう、僧侶がいるのか・・・・なら、これでどうかな?』と呪文の詠唱が始まる。さあ、イニシアチブからいこうか?」
1R目、青白い影はサモンモンスターを使用。召喚されたのはフィーンディッシュ・ダイアウルフ。ダメージリダクション10/+1を持つ強敵だ。近くにいたアレイとエディンがとりあえず斬りつけるが、リダクションに阻まれ有効打を加えることはできず。飛び道具を持つ者たちは一斉に青白い影に射撃を加えるも、矢は全て厚いゴムのような外皮に弾かれる。
2R目、青白い影は口元の触手をPCの方にたなびかせて・・・
アレイ:「ちょっと待て。なんだ口元の触手って?」
マインドブラスト攻撃。幸いにも犠牲者なし。
アレイ:「だから触手とかマインドブラストって何よ?」
エレーネは矢が通らないのを見て、『とりあえず効きそうな』マジックミサイル。青白い影に命中するも、影は平然と立っている。エディンは目の前のダイアウルフにディスペルマジック。見事成功し、ダイアウルフは消滅する。
DM:「影は目でエディンをじっと追っている。」
エディン:「・・・・・なんかすげえイヤな予感が・・・・・」
3R目。影に肉薄したアレイがスマイトイビルを発動。20ポイントを超えるダメージを影に与えるも、影にはひるむ様子すら見られない(*8)。
DM:「近くに寄った人は相手の姿がわかる(シナリオの挿し絵を見せながら)。んー、ちょっと変わったコスプレの人だね(笑)」
その挿し絵に描かれていたのはマインドフレイヤ。しかも、その体皮はかさかさにしぼんでおり、アンデッドらしい風情を漂わせている。そう、こいつはリッチ化したマインドフレイヤ、アルホーンなのだ。
アレイ:「コスプレでサイオニクス使えるようになるか!やばーい!」
4R目。アルホーンは触手をホッジに向ける。2発命中。ダメージは大したことはないが、触手はホッジの体にからみつく。
エディン:「うわあ!まずいって!喰われるって!」
アルホーン(DM):「というところで、頭の中に声が響く。『さて、捕まえたぞ』」
アレイ:「・・・・・はあ。」
アルホーン(DM):「こいつを喰われたくなければ、武器をしまってもらおう。取引がしたい」
スタイン:「取引?」
アルホーン(DM):「そうだ。私に施された呪縛を解いてもらいたい。」
アルホーンによれば、よそのプレーンを旅していた彼は、強い魔力を感じてこの世界に降り立った。しかし、この墓所全体に仕掛けられた結界と、さらに魔力の源である王杓に仕掛けられた魔法の罠のため、彼はこの大広間に呪縛されているという。
アルホーン(DM):「見ての通りの不死の身だ。何百年封じられていようと我が身が滅びることは無いが、いささか退屈に過ぎる。そこで、そこの僧侶、お主が先ほどのディスペルマジックで呪縛を解いてくれるなら、こいつを解放するばかりか、この墓所で見つけた宝はすべてくれてやろう。」
エディン:「(え?そんなことできねーよ)・・・・えーと、さっき使っちゃったもんで、もう呪文がないんだけど・・・」
アルホーン(DM):「長い月日を過ごしてきたのだ。今更1日2日待たされたとて代わりはない。ゆっくり休んでからでかまわぬ。」
エディン:「はあ・・・。じゃ、まあ・・・(←なんとか逃げる算段をしている)。」
アレイ:「あのー、ここに封じられてたオーバックとかってのは?」
アルホーン(DM):「?・・・・・そこのミイラのことか?ここに来たとき楯突いたによって、その場で滅ぼしてくれたが。」
アレイ:「あ、あはは・・・・いや、そんならそれでいーんです。はは・・・・ははは」
スタイン:「あ、『強い魔力』って?」
アルホーン(DM):「そこに転がってる王杓のことだ。ネクロマティック呪文に関わる呪器のようだが、そいつのおかげでわしはここに呪縛されることになってしまった。欲しければくれてやる。」
アレイ:「じゃもらっていくか。奴らの手に渡っちゃうとまずいし」
DM:「と、アレイが触った瞬間、部屋中を明るい光が包んだ。で、気が付くとアレイの横にエルフが立ってる。その体は半透明で、青白い輝きを放っている。『ようやく善のものが触れてくれたな。安心しろ、敵意はない。我が名はモロストロイ、ドランナーの守護者の一人だ。君たちに頼みがあって現れた。』」
エルフのリッチらしいモロストロイは語り始めた。
「カルトオブドラゴンは、ドランナーの地下深く、“輝きの池”を見つけだし、その力を使って街の守りであるmythalを停止させた。彼らの究極の目的はドラコリッチのペレンダラーを“池”に入らせ、そのおぞましい力をもって彼を強化し、また同時にmythalを利用して世界に邪悪なる力をあふれさせることだ。
「カルトは“池”の力を完全には理解しておらず、つまりはコントロールできていない。彼らはドラコリッチを“池”に入らせるのは、5分5分の賭だと考えている----悪くすればドラコリッチは破壊されかねない賭だと考えているのだ。そこで、少しでも賭の分をよくするために、カルトはペレンダラーに魔法の護りを与え、またドラゴンたちの屍体を蓄えている。ペレンダラーが仮に“池”によって滅ぼされても、精気をその屍体に移し替え、何度も試せるように準備しているのだ。
「私の同志は、他の君たちのような冒険者のグループにも手伝いを依頼している。彼らは、ドランナーでもっとも強力な---その中にはかのドラコリッチも含まれている---カルトの部隊と戦う決意をしてくれた。しかし、彼らがペレンダラーを倒すことができたとしても、ペレンダラーに与えられた護符がある限り、その勝利は一時のものに過ぎなくなってしまう。だが、君が今手にしているその王杓----Orbakh’s Ivory Scepterは、かの護符を破壊する魔力を秘めている。ペレンダラーの死を永遠のものとする事ができるのだ。
「私は今、ここに映像を投射しているに過ぎず、その王杓を動かすことはできない。だから、君たちにはその王杓を持ってドランナーの地下へ赴き、護符を破壊して欲しいのだ。その道のりは危険だが、私はドランナーにほど近い位置まで通じる隠し通路を知っている。どうか、手伝ってはもらえないだろうか?」
会議の末、モロストロイを助けることに決めた一行は、モロストロイの呪文により街へとテレポートしてもらう。
モロストロイ(DM):「あさってには迎えに来る。充分体を休め、戦いに備えてくれ(*9)」
ドランナーの地下、カルトオブドラゴンの本拠地に乗り込むことになったPC達。その先には一体何が待ち受けているのか?以下次号!(*10)
*1:実験的にネット上で掲示板を使ってやってみました。プレイヤーが社会人になって時間が不自由になった分を埋める方策として考えられたものです。
*2:専業ローグだったスタインは、アーケントリックスターの性能に目がくらんだ(笑)プレイヤーの手によって、いつの間にか兼業ローグになっていた。のだが・・・。
*3:これひどくない?<移動+呪文投射>って普通にできる行動なのに、確実に逃げられるんだけど。それともみんな“see invisible”持ってるのか?
*4:石造りの棺に毒ガスが満たされてて、開けると部屋中に拡散、吸ったものはFort ST失敗でCon1/Con3d6ダメージ。どうやって避けるんだこんなの。つーかConダメージってのがひでえ。どんな高レベルでも充分死ねる。直るまでえらい時間かかるし。アメリカ人はこんなトラップ出されて平気なのだろうか?ちなみに今回は2人が本気で死にかけ(Con1)ました。あぶねー。
*5:発見者はローグのスタインではなくエルフのアレイ(種族特典でシークレットドアを見つけやすい)。なんつーか、このゲームエルフ以外の種族を選択する気にならないんですが(FRの某種族を除く)。
*6:「ぬかった」の意。RAINBOW用語。
*7:ほんとになー。こういう無意味にやたらいっぱい置いてあるトラップって、結局ローグが「罠に気を付けて進みます」って宣言するだけで、DMのさいころ振る回数が増えて終わりなんだけどなー。アメリカ人の作ったシナリオってこういうのが多い気がするんだけど。
*8:平気そうだけど、実はけっこう痛かった。けどアルホーンはアンデッドで痛みを感じてないため、平気そうに振る舞っています。
*9:シナリオには本当はこんなヘルプはありません。いきなり隠し通路に連れて行かれて護符の破壊を命じられます。ほんとに6レベルキャラ4人でクリアできるのか?
*10:ビューティフル・フラワーとアルホーンがほったらかしなのは気が付かないふりをする方向性で(笑)。いや、ホントはアルホーンはモロストロイが元のプレーンに返しちゃったんだけど、ビューティフル・フラワーのほうは正体すら分からずじまい。なんだかなー。