プレイリポート
D&Dサード エレグソン一家物語
2001/11/25
*シナリオ「pool of radiance2」より

マスター:石川
文:石川
編集:BM


前回、無事『神の卵』を孵化場とも言うべき『力の井戸』に納めたPC一行は、『井戸』を森のエルフ立ちに護ってもらう代わりに、呪われた『廃都』----ある日を境に突如として魔物の巣窟と化した古きエルフの都市ドランナーに集結する謎の一団について調査することになった。
しかし、調査といっても何の手がかりもない。やむなく一行は『廃都』近郊の街マサーダで情報を収集することに。

レイン:「さあ、ぼくの出番だね・・・・・<バード知識>!」
アレイ:「あ、じゃあ俺もついでに。CHR高いんで<情報収集>取ってあるから。」
 結果はバードのレイン9,パラディンのアレイ23(笑)。
DM:・・・・まあ、ダイス目には勝てねえやなぁ。ではアレイの活躍で『廃都』のことがちょっとわかった。
・『廃都』は化け物の巣窟になっている。最近ではデヴィルやデーモンなども時折見られるようになってきたらしい。
・『廃都』には未だにかつての都市の『護り』が生きている。周囲は魔法フィールドに覆われ、簡単には侵入できない上、ガーゴイル等が空から侵入者を監視しているらしい。
・そうした『護り』があるにも関わらず、一部の有力な冒険者が『廃都』に残された魔法の品を求めて侵入し、生還した者もいる。むろん帰ってこない者も多いが。
スタイン:「じゃあ、その冒険者ってのを探して見ようよ。バード先生、お願いします。」
レイン:「OK!・・・(ころころ)ぐわあー!」
DM:「・・・・・まあ、ダイス目には勝てねえやなぁ(笑)(*1)。反応は<敵対的>ですな。くだんの冒険者は見つかったけど、まるで相手にされません。」
スタイン:「えーと、どんな人?」
DM:「剃り上げた頭に無数の傷がある、ひげ面の男。黙って杯を口元に運んでるけど、その表情にはすごみがある。杯を持ち上げるたびにうねる腕の筋肉が、『こいつと敵対してはいけない』という気分にさせる。とにかく強そうです。で、そいつがうるせえな、ガキが、といった風に君らを見てますが」
スタイン:「・・・・あはは。いや、何でもないです。じゃ。」
エディン:「うーん、あんな強そうなのじゃないと生きて帰れないって事かぁ・・・。」
アレイ:「デーモンとかデヴィルとか言ってたしなあ・・・。」
 と、その時。Spotチェックに成功したスタインは後ろの席のノームがPCの様子をチラチラと伺っているのに気がついた。スタインは持ち前のMove Silentlyスキル(*2)をフルに活用し、ノームの真後ろに回って声をかける。
スタイン:「さっきからチラチラ見てるけど、何か用かい?」
ノーム(DM):「うわ!」

 スタインの手腕に驚いたノームはターバッシュと名乗り、PCに助けを求める。彼の甥が『廃都』の周辺部に位置する共同墓地にある、黒い塔に捕らわれているというのだ。

ターバッシュ(DM):「お願いだよ!早く行かないと甥っ子がゾンビに変えられちゃうよ!助けてくれたら『廃都』に入る方法を教えるからさ!」
スタイン:「え?知ってるの?」
ターバッシュ(DM):「うん、僕と甥っ子は放置されたり置き去りになってる宝物にもう一度日の目を見させるために、あの辺の遺跡や墓場を探検してたんだ(*3)。でも、最近あの辺に住み始めたおかしな連中に捕まっちゃって・・・・」
アレイ:「おかしな連中って?」
ターバッシュ(DM):「なんか黒いローブ着て、ドラゴンがどうとか言ってた。ゾンビとか骨とか連れ歩いてるんだ。なんか、鱗とか牙の生えてる奴もいたよ。」
エディン:「・・・・奴らかね?」
アレイ:「奴らだろうな」
スタイン:「奴らだな。『住み始めた』って言ったな?どの辺かわかる?」
ターバッシュ(DM):「僕の甥が捕まってるのは墓場の中央に立ってる黒い塔で、『骨の塔』って呼ばれてる塔だ。奴らはそこを中心にして、あちこちの墓で墓泥棒してるみたい。全くひどい奴らだよ。でも、人の出入りが多いから、本隊はたぶん『廃都』の方にいるんだと思う。」

 その後、『廃都』についてさまざまな情報を聞き出したPCは、「街への入り方を教える」というターバッシュの言葉を信じ、彼の甥を助けに向かうことになった。

 目的地は森の中に開けた草地に遺された墓地だった。貴族のものであろう、典雅な造りの大きな墓が墓地のあちこちに点在している。その隙間を埋めるかのように建てられた無数の小さな墓は、うち捨てられた年月に飲み込まれ、森の緑と一体になったかのように苔とツタにびっしりと覆われている。
そして、その中央に、周囲とは全くそぐわない漆黒の塔がそびえている。窓ひとつなく、全体を骨のような彫刻で覆われてたその塔は、生気あふれる森の中にありながら全く生命感を感じさせぬ、不気味な静けさに包まれていた。塔の入り口には黒いクロークを纏って武器を手にした兵士らしき男が3人立っている。

ターバッシュ(DM):「そうそう、あいつらみんなあんな黒い服着てるんだ。だから僕も作ってきた。5枚あるから貸したげるよ」
エディン:「・・・・・ねえ、この胸のマーク何?」
ターバッシュ(DM):「ああ、本物の方になんか書いてあったから付けといたんだけど」
レイン:「・・・なんかてきとーだなあ。(本物をのぞき見しながら)・・・あれ、カルトオブドラゴンの紋章だよなあ、やっぱり。」
アレイ:「まあ、こっちのマークはともかく、『廃都』にはやっぱり奴らがいるってこった。」
スタイン:「さて、3人ばかりだ。いつもの手で片づけましょうか。」(*4)
アレイ:「いや、せっかくだからこのクローク使おうや。お前らが俺とエディンを捕まえてきた、ってことにして、なるべく穏健に中に入ろう」

アレイの作戦は図にあたり、一行はまんまと塔内に侵入することに成功する。
塔内は甘い、しかし不快な香り----死臭に満たされていた。一階ホールで談笑する警備兵の生気が似つかわしくないほど、塔の中には死の静寂と腐敗の空気が満ちていた。
地下から調査を開始することにした一行は、地下層をくまなく探し回るがターバッシュの甥は見つからない。代わりに見つかったのは、奇妙な赤い錆のような菌に覆われたゾンビと、『使用済み』とおぼしき多量の死体、死を司る神をまつる祭壇、そして不死の研究を進めるネクロマンサーたちであった。

スタイン:「生きてる相手なら問題なーし!」

 それまでスニークの効かないアンデッドに手を焼いていたローグのスタインは嬉々としてネクロマンサーたちを攻撃する。その間にもエディンのアンデッドターンがうなり、スタイン・アレイの行く道を開く。ほんの数ターンであっさりネクロマンサーたちをうち破った一行は、空室になった牢にごく最近まで人のいた気配をつかみ取り、階上を探すことに決定。「連れていかれてる=ゾンビに変えられようとしている」と考えた一行は、それまでの隠密行動をやめ、力による正面突破を敢行することに決定した。
 しかし、ここは敵の前線基地。当然のように仲間を呼び集める警備兵たち。なのだが・・・。

スタイン:「生きてる相手なら問題なーし!」

 そう、「生きている」警備兵相手ならスタインのスニーク(*5)が効果を発揮するため、つぎつぎと警備兵は倒されていく。おまけにアレイは“ホーリーマイト”を発動。ダメージを強化するこの能力は、前回レベルアップ時に取ったばかりのクレイヴ能力と非常に相性がよく、また2回攻撃が可能になったことも手伝って、まさに鬼神のような戦いぶりで(*6)、一行は一気に屋上へと登りつめた。

 屋上には不気味な光景が広がっていた。
 その一角には大きな祭壇がしつらえられ、祭司らしき男が血の付いた曲刀を手に祈りを捧げている。
祭壇の左側には、老若男女様々な、しかし共通してやせ細った人々が、一言も発することなく2列に整列していた。彼らは声を発するどころか、まばたきもせず、呼吸すらしていないようだった。彼らの喉元にぱっくりと開いた、未だ血の滴る大きな傷口が、そうした活動がすでに彼らに必要ないことを告げていた。
祭壇の周辺には鎧を着た男達がおり、祭壇の右方に集められた、縄で手足をくくられた者たち一人また一人と祭壇へと引き上げようとしている。引き上げられようとしている男----ノームは必死にあらがおうとするが、鎧の男---あたかもは虫類との混血ででもあるかのように、その体は所々がヌメヌメと光る鱗に覆われ、目にはまぶたの代わりに半透明の薄膜がかかっていた----の膂力に抑えこまれ、祭壇にしつらえられた手枷と足枷に固定されてしまう。
「ターバッシュ、あれ・・・・」
「うん、僕の・・・・僕の甥だよ!」
 ターバッシュの悲鳴にも似た声が屋上に響き渡ったとき、祭壇に向かっていた男がゆっくりと振り向いた。鱗の浮いた禿頭は油を塗り込めているかのようにてらてらと光り、赤く血走った目に浮かんだ光---狂気と血への歓喜---を増幅しているかのようだった。男は口元を笑みの形にねじ曲げながら、ゆっくりと口を開いた。

祭司(DM):「・・・・・儀式の最中に祭場に上がり込むのは愚か者か、あるいは侵入者のみだろう。そして我がcult of dragonはそのいずれをも必要としておらん。死ぬがいい!」

 言い終わるやいなや、左側に控えていた者たち----ゾンビがが生気のない目をPC達に向け、だらりと下がった腕を力無く持ち上げながら動き出す。同時に祭司は呪文の詠唱を、鎧の男達は剣を抜き、PC達へ向かってきた。
 
 しかし、主戦力であるゾンビはエディンのターンアンデッド2回であっさり無力化され、レインのロングボウと「生きてる相手なら問題ない」エディンが鎧の男達の息の根を次々止めていく。祭司は攻撃呪文と召喚呪文で何とか状況を転じようとするが、クレイヴ能力をフルに使ったアレイが周囲の敵を蹴散らして襲いかかる。

アレイ:「攻撃・・・・・おっと、クリティカルか(*7)。えーと、42点。」
DM:「は?・・・計算間違ってない?」
アレイ:「いや、スマイトイビルとディバインマイトとSTRボーナスと出目足して21(*8)。それの2倍なんで。」
DM:「ご・・・・ごえぇぇぇ!」
アレイ:「で、2回目・・・・命中。」
DM:「(鼻血)」
 1ラウンドの攻撃で合計60点ものダメージをぶちかまされ、7レベルクレリックの祭司は一瞬にして葬り去られた。合掌。
 
 戦い終わって、あとに残るは楽しい略奪の時間(笑)。塔の中のありとあらゆるところ(特に祭司の部屋)を探し回り、見つけたお宝は以下の通り(*9)。

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古書(2d6×100gp ) 15冊(*10)、potion of fly、potion of climb、+1 braces of armor、呪文書(Chill touch, knock, Magic missile, Melf's acid arrow, Protection from good, Spectral hand)、pearl of wisdom +2、decanter of endless whiskey、Scroll (Endurance, Phantom steed) (ほか宝飾品多数)
<手がかりになりそうなもの>
・ちぎりとられたページ:本の一部らしい。ページの中央にLathander神のホーリシンボルのすかしが入っているが、書いてあることは(read language呪文をもってしても)読めない。しかし、goodのクレリックやパラディンには、何か暖かな波動を放っているように感じられる。
・Tome of the Dragon:Cult of the Dragonの教義書。ネクロマンシーと不死について、また竜とその生態についての研究書でもある。滅びた世界を再生し、統治するものこそが不死のドラゴンDracorichである、という教義の元に書かれたもので、時間をかければCultの哲学について学べるかも知れない。
・黄変したスクロール:古代エルフ語で書かれたもの。『ドランナーを護るため、全ての門は魔法のルーンにより封じた。いざというときのため、またルーンが敵の手に渡ることのないよう、強力なガーディアンとマジックアイテムとともにPolyandriumなどあちこちに、その鍵であるRune of the Starsおよび Rune of the Sunを隠すものなり』といったことが書かれていた。(ターバッシュによればPolyandriumとは「堕ちたるものの墓」といった意味の言葉で、今PC達のいる墓地のことを指す、という)
・祭司の日記:おおよそ、以下のようなことがつづられている。
・ リンゴス(祭司)は、ドランナーに潜む、カイヤという女司祭に命じられ、「ドランナーの各所を封じている魔力を解放する鍵、Runeを探す」ならびに「周辺に埋あされている魔法の物品の収集」の2つの任務についていた。骨の塔はそのための前線基地として使われている。
・ 教団(Cult of the Dragon)はドランナーの街に隠されていた強力な魔法の源、『泉』を発見した。
・ 「恐るべき赤竜ペレンドラーが、Cultのためにドランナーに到着したという。あといくつかの封印が解放され、宝が見つかれば、かの赤竜が世界の主となる日が来る。」
・ 「ネクロマンサー=ネヴェッサムに『セプター』の探索を命じるよう指令が来た。イヤな奴だが腕はたしかだ。きっと探し出してくるだろう。Orbakhの墓が一番怪しいが、さりとてSunのRuneがないことには扉は開かない。まずは周辺の墳墓を探るよう言っておいた。」
・ 「ネヴェッサムはRothilionの墓が怪しいという。StarのRuneが必要。他の墓の探索を急がせるため、新たに探索隊を2隊組織。」
・ (最後のページ)探索にでていたグループの一つが魔法書の一部とおぼしき紙片を持ち帰った(リンゴスはこのページを“忌まわしい思想と哲学に彩られた文で、goodの力とpositive energyに満ちた呪わしいもの”と評している)。リンゴスはこのページを破壊しようとしたが上手くいかず、「『泉』ならこの忌まわしい力を吸収し、清めてくれるに違いない」「1ページでこれほどの力を持つものが、実際に1冊分そろったらどうなるか、考えるだに恐ろしい。一刻も早く見つけだし、破壊しなくては」などと書いている。
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 ターバッシュは約束通り甥を助けてくれたPCに何度も重ねて礼を言う。
「で、約束のことなんだけど・・・・・・ホントに行くの?」
 急に不安げに語り始めるターバッシュ。ターバッシュの談によれば、確かにドランナーへ侵入できるルートまで案内することはできるが、そこから先に進める保証はないという。なぜなら、ドランナーはいまや怪物達の宝庫で、他のプレーンからも埋もれた財宝を求める化け物が集まってくるような場所になっている、というのだ。中にはデーモンやデヴィルまで混じっているらしい。
「案内するのはいいけど・・・・・・僕は恩人が死ぬのは見たくないよ」

 助けられたロバレンドは始め安堵のあまり口も利けない有様だったが、ターバッシュから数本のポーションと食料をもらって落ち着くなり、思い出したように話し始めた。
「そうだ!教団の奴らがとんでもないこと言ってたんだ!オーバ・・・・・何とかって奴の墓に、強力な死霊使いのための宝が埋まってるって。そんで、今朝そこの鍵が見つかったから、これから開けに行くって!」
 
 依頼通りターバッシュの甥ロバレンドを救出したPCは、たくさんの手がかりを手に一体どこへ向かうのか?教団は何を探しているのか?
 そして『泉』とは?
 (以下次号)


*1:
レインのプレイヤーはRAINBOW有数の『ダイス目の悪い男』です。イヤホントに。どんなに強いキャラクターで、盤石の体勢で攻撃を放っても、そのダイス目が1だったり2だったりする男です。そのダイス運の悪さは大事な局面になると他のプレイヤーから「あいつにダイス振らすな!」と言われるほど。
 

*2:
高い技能値の半分がエルブンカインドブーツに依存してるのは内緒だ(笑)。
 

*3:
世間ではそれを墓泥棒と呼びます。
 

*4:
スタインには「背後から忍び寄ってスニーク」でホブゴブリン1小隊を全滅させた前科があります。てゆうかエルブンカインドブーツ&クローク
が強えぇ。誰か何とかしてくれ。
 

*5:
生きてる相手にはホントに強いんだけどねー。相手がアンデッドやコンストラクトだと戦闘力は一気にレンジャー以下に(笑)。
 

*6:
塔にいる警備兵&休息者、計14名をわずか6ラウンドほどで葬り去っています。うむう。
 

*7:
レインのプレイヤーとは対極に、アレイのプレイヤーはレインボー1の『ダイス目のいい男』です。重要な局面で、いかさまダイス使ってるのか?っていうくらいクリティカルを連続したりする能力は、マスターに「あいつにダイス振らすな!」と言われるほど。
 

*8:
これを見ただけでも「ファイターやる奴ぁ馬鹿だ」と言わざるを得ない。つーかクリティカルなしでも1Rのダメージ期待値が35(スマイトイビル6+ディバインマイト4+STRボーナス3+剣1d8:2回攻撃)って、同レベルのウィザードを越えてます。鬼。
 

*9:
シナリオのママ。6レベル対応のシナリオでこんな財宝かい。アメリカ人って・・・・。
 

*10:
例によってヤモン先生が価値決定のダイスをお振りあそばし、当然のごとく“3”という目をお出しになられ、他のプレイヤーから
「ヤモンのせい」の大喝采をお受けになられていた。つーかダイスの目が1違うだけで1500gpも価値の違う宝ってのもどーかと思うが。最大15000gp差だよ?なんだかなあ。