はじめの一歩 4歩目  自分のキャラを作ろう(1) 純戦士編

 030219 文責:石川

 

 

 #この原稿はPHBと3月発売予定のダンジョンマスターズガイドDMGの記載のみ

 #もとに書かれています。本当はクラスブックなどを入れると強力なのですが、初心者向けと

 #いうことで。中級者〜ベテランの方はご勘弁を。

 

 

 さて、せっかく3歩目で職業を5グループに分けたので、今回からは数回に分けて、グループ別に各々の役割と、必要とされる能力、そしてそのクラスでのキャラクター作成でのポイントなどを述べていこう。

 今回はもっともわかりやすい純戦士についてレポートする。

 前衛クラスづくりの参考になれば幸いである。

 

 ちなみに各種クラスブックの日本語版発売を祈念しつつ、1〜5lvのキャラ対応である。ご了承のほどを。

 


 3歩目で述べたように、純戦士は戦闘に特化したクラスだ。といえば聞こえはいいが、「戦闘以外の面でパーティに貢献できる場面が少ない」クラスであるということでもある。バードやローグが情報収集に出向き、クレリックやウィザードが呪文で目標を探知している間、純戦士たちに出来ることといえば鎧の錆を落としたり剣を研いだり、あるいは立ち木を殴って己が拳を極めることぐらいなのである。そんな彼らがパーティ内でも肩身の狭い思いをせずに済むには

 

1)     ほかに出来ること(できれば他のPCが出来ないこと)がある

2)     戦闘時に確実に頼りになる

 

 のいずれかでなければならない(*1)。ところが、前述したように純戦士である彼らは戦闘以外の能力をほとんど持っておらず、よって1)を満たそうと思うならマルチクラスをするしかない(そして、その道にひたすら邁進してきたローグやバードの蔑み(ないし哀れみ)の視線を受けることになるのである)。とするならば、必然的に彼らのパーティへの貢献は、「どれくらい戦闘時に役に立つか」の一点にかかっているといっても過言ではない。

 

 では、戦闘時に彼らが求められている役割はなにか。大まかに言えば2つに凝縮されると思う。

直接打撃による戦闘能力:いくら魔法が強力とはいえ、魔法の効かない相手も存在する。また、一日に使用可能な呪文数が決まっているのに対し、彼らの振るう剣/拳は事実上無制限である。直接打撃力をもって敵中を突破し、活路を切り開く「剣」の役割である。

後衛に向かう敵を食い止める(いわゆる「壁」役)ACや耐久力に劣るウィザードら後衛に、敵の戦力が近づかないように食い止め、あるいは術者の呪文の完成やクレリックの救護活動を邪魔させぬよう、前線からの敵の侵入を防ぐ。パーティをどっしり守る「盾」の役割である。

 

では、この役割を果たすために必要とされるものは何か?

a)とにかく倒れないこと:高いHP,堅いAC、死なないための危機回避能力

b)高い戦闘能力:これには「一発」の打撃力だけでなく、「弱い雑魚敵を一掃する」、「機会攻撃を数多く」、「ダメージ以外による敵の無力化」など、さまざまな要因が含まれる。

c)強い心と知恵:「パーティを守るのは自分だ」という強い意志。『戦士だから頭は要らない』などというのは大嘘だ。戦闘能力以外に頼れるものがない純戦士だからこそ、頭を使って戦力を最大限に生かさねば!

 

 これらの点を踏まえて、純戦士に分類された各クラスを作ってみよう。

 

<総論>

 前述のように、前衛としての役割を期待されている彼らは「攻撃力」と「耐久力」を併せ持っている必要がある。よって、純戦士は攻撃力を規定する【筋力】と、耐久力(HP)を規定する【耐久力】が高いのが最低条件となる。無論、【敏捷力】も高いほうがいいのは言うまでもないが、最終的には重装鎧を着る=【敏捷力】ボーナスの恩恵をほとんど受けられなくなることを考えると12(場合により13・後述)以上は必要ないかもしれない(モンク以外:モンクは高いほど良い)。

 一方、実戦度を考えるに、ACなどに直接反映されるモンクはもちろん、ファイター・バーバリアンらにとっても【判断力】は重要なファクターであるように思う。無論、【筋力】【耐久力】とはくらぶべくもないが、余裕があるなら【判断力】も高めにしたほうが良いと思われる。

 理由は2つ。〈技能〉のため、そして意思セーヴ値の上昇のためである。

 【判断力】ボーナスは〈聞き耳〉や〈視認〉などといった知覚系の〈技能〉に適用される。ファイターはこれらの〈技能〉がクラス外技能であり、上昇が遅い。つまり、他のキャラクターより藪に隠れた敵や後ろから忍び寄る暗殺者に気づきにくいのである。ただでさえ技能ポイントの少ないファイターなのに、修得に2倍のポイントが必要なクラス外技能。せめてボーナスくらい高くなければやっていられない。

 また、3種類あるセーヴ値のうち、すべてが迅速に上がるモンクはさておき、ファイター・バーバリアンは頑健セーヴ値以外は「お情けかよ!」といいたくなる程度しか上昇しない(p45などを参照)。痛いのはどのセーヴだっていっしょだろ、とお思いかもしれないが、単なるダメージであることの多い反射セーヴ失敗より、一発で戦闘不能(下手すると「味方を攻撃」)になる意志セーヴの失敗のほうが本人に、そしてパーティに致命的な被害を及ぼしやすい(*2)。実際のアドヴェンチャーを考えると、治癒・回復手段の豊富な中盤以降より、序盤での失敗のほうが「痛い」ものだ。

 

 戦闘において、実は技能もバカには出来ない。いくつかの技能は戦闘時には必須とさえ言えるものだし、そうでなくても純戦士の(ひいてはパーティー全体の)生存率を上げてくれるものだからだ。

 以下に示すのは、純戦士にとって重要な技能である。

 

〈軽業〉:ローグ用っぽいイメージだが、敵の横や敵の場所(マス)を機会攻撃を受けずにすり抜けるのに使える。非修得では出来ないので1ランクでもいいから取ろう(仮に判定に失敗しても機会攻撃を受けるだけで移動そのものは可能。どんどん使え)。ちなみに5ランクあるとさらに防御的戦闘のときのACボーナスが増える(地味に強い)。ちなみに軽装時しか使えないRAZさんサンクス!)

〈聞き耳〉〈視認〉 :敵に不意打ちされる危険を減少する重要技能。とくに3eではローグに不意打ちされると即死しかねない。

〈隠れ身〉〈忍び足〉:鎧のペナルティを受けるものの、強敵の目を避けたいときなど冒険のさまざまな局面で使える。

〈治療〉:クレリックが意識を失ったときの最後の砦に。無論、そうならないよう体を張るのが君の仕事なのだが。

 

 クラスによってはクラス技能になっていないものも多い(特にファイター)が、技能修得に際し、これらの技能は優先して取得されるべきだと思う。そう、たとえ他クラスの2倍の技能ポイントを支払っても

 

 同様に、《特技》についても慎重に検討して欲しい。いくら「前衛は死ににくい方が優秀である」と言っても、ここで《追加hp》を選択するようでは一流の戦士には成りえない。つうかとっととブラウザ閉じて布団ひっかぶって寝やがれ。

 前述の通り、純戦士には「後衛へ向かう敵を食い止める」という役割がある。しかし、通常の状態ではこの任務を果たすのは容易ではない。なぜなら、移動してくる敵を食い止める重要な能力である機会攻撃を、君のキャラクターは1Rに一度しか行えないからだ。つまり、何の変哲のないゴブリンでも、2匹まとまってかかれば純戦士である君の横を(少なくともどちらか一方は)すり抜けていくことが可能なのである。そこで、まずは機会攻撃回数を増やしてくれる《迎え討ち》をオススメしよう。「【敏捷力】ボーナス分だけ機会攻撃を増やす」《特技》なので、【敏捷力】ボーナスがないキャラクターには意味が無いが、一回でも増やすことが出来るのなら取っておくほうがいいと思う。あるいは(【敏捷力】が低いのなら特に)《強打》も良い選択だと思う。《強打》そのものは低レベルではさほど有効に機能しないが、《強打》 を取ったあとで選択できる《薙ぎ払い》が君の攻撃回数を増やしてくれるからだ(もし特技数が足りるんなら、キャラクター制作時にセットで取ってしまうのもいいだろう)。こちらはパーティの『剣』としての役割を果たすときにも活用できるし。

 

 

 

[ファイター]

 まず最初に理解しておいてほしい。

 『キャラクター作成時にファイターを選択するのはイバラの道である』ということを。

 どうしてもファイターじゃないとダメな宗教上の理由であるとか家庭の事情があるのでも無い限り、別のクラスを選択することを強くオススメする。

 さしあたり、この項を読んだあと、キャラクター作成に移る前に[バーバリアン]の項を読んでくれ。それでもなおファイターを作るというのならそれ以上何も言うまい。君は君の道を行け。それこそが、HFOの魂である。

 

 <総論>で述べたように、ファイターを作成するに当って重要な能力値は【筋力】【耐久力】【判断力】の3つである。よって、人間以外の種族を選択するならドワーフかハーフオークが有利だろう。いずれも暗視を持っていたり、前者は【耐久力】+2・呪文への抵抗に+2、後者は【筋力】に+2と戦士向けの能力を有している(とくにドワーフは適正クラスがファイターである)。しかし、ドワーフは移動速度が遅く(基本で20ft)、戦場で出遅れる可能性もある。またハーフオークは社会的に差別されている場合が多い。《特技》もひとつ余計にもらえるし、無難にいくなら人間を選択するのが安全だろう。目指せHFO。

もし君が「アーチャー」タイプのファイターを作ろうと思っているのなら【耐久力】ではなく【敏捷力】を上げておくほうがいいかもしれないが、君がパーティ3人目のファイターだとでも言うのでなければアーチャーはオススメできない。アーチャーは前衛が敵を足止めしてくれている間に攻撃する、つまりウィザードらと同じ役割をもったクラスであり、パーティの防壁役を担えるクラスではないからである。遠距離射撃はローグやバードなどの専門家に任せることにして、ファイターたる君は前線に立つことを第一に考えて欲しい。

 また、ファイターでも「重装歩兵型」と「軽歩兵型」(*3)とがあるが、同じ理由で前者をオススメする。軽歩兵型はACを稼ぐのに多大な浪費(魔法鎧、味方の防御呪文、《特技》、上級クラスの取得etc)を強いられるし、そのデメリットを埋められるほどのメリットを感じられることが少ない(*4)。魔法付チェインシャツで600gpのハーフプレートと同じACを稼ごうと思ったらいくら支払うことになるか・・・・・・DMGの発売を待とう(笑)(*5)。もっとも、キャラクター作成時のしょぼい財布の中身ではスケイルメイル+木製ラージシールド(計57gp)がせいぜいだと思うが。

 装備の話ついでに武器であるが、序盤は両手持ち武器を使うとラージシールドが持てない、という、ごく単純な理由から、片手のMサイズ武器をオススメする。7gpでACが+2などというコストパフォーマンスの良い物を使わずにいる余裕は1lvキャラにはないのだ。レベルが上がってHPが増えたら(そして攻撃回数が増えたら)ダメージの大きい両手武器も悪くないが。最初の武器としては効率面で言えばロングソードが良いのだが、やや高い。DMが骨好きならライトフレイルなどの殴打武器もいいだろう(*6)。実は、武器による劇的な差はないので、ここでは多少趣味に走ってもいいとも思う(宗教によって好まれる武器もあるし)。飛び道具も欲しいところだが、弓は高価なので手投げ武器(ジャベリンが安くて軽い)で我慢しよう。

 

 ついで〈技能〉であるが、ファイターほど〈技能〉面で不遇なクラスはない。戦士として真に必要な技能の大半はクラス外技能で、クラス技能になっている数もわずか6個、しかももらえる技能ポイントが全クラス中最低なのだ。よって、マルチクラスを前提に考えるなら1lv目にファイターをとる必要はない、とまで言われている(*7)。

 とはいえ、ないものを嘆いていても仕方がない。以下はファイターにとって重要な技能である(▲=クラス外技能)。

 

重要〈軽業〉▲、〈聞き耳〉▲、〈視認〉▲、〈隠れ身〉▲、〈忍び足〉 ▲、治療▲

余裕があれば:〈騎乗〉〈動物使い〉

  #馬に乗る機会があるかどうかは定かではない(低レベルでは買う金が無く、高レベルではテレポートがある)が、

  #クラス技能の中ではまだましなほうなので。まあ、たしなむ程度に。

 

 ▲(クラス外技能)ばっかりだって?

 だって、実際そうなんだからしょうがないじゃないか。〈水泳〉とか〈登攀〉取ってるひまがあったら〈軽業〉とか〈聞き耳〉取らないと、戦場で困るんだもの。前述のとおり、ファイターの存在意義は戦場にある(歯に衣を着せずに言えば戦場『にしかない』)。だったらあるかないかの「いざ」って時のために〈水泳〉取ったり、プロがいる〈登攀〉取ったりするくらいなら〈軽業〉〈聞き耳〉〈視認〉覚えとくのが戦士のたしなみってもんだ。だろう?

 (「〈軽業〉は移動力が落ちるほど重い装備だと使用できなくなる(p63)」ため削除しました:RAZさんサンクス!)

 

 さて、最後にファイターをファイターたらしめている(そしてファイターを初心者向けでないものにしている)《特技》の決定だ。ファイターとしてキャラクターを作った場合、キャラクターレベルとして1つ、クラスとして1つ、そして人間ならボーナスとしてさらに1つの《特技》を修得できる(この特典のために人間を選択する人も少なくないと思う)。3Eから導入された新概念《特技》であるが、こいつはその選択肢が非常に広く、どれがどの状況に有効であるのかを見極めるのが非常に難しい。特に戦闘系《特技》は他の《特技》の前提条件になっていることも多く、うかつに取れば一生後悔がついて回る。気をつけたい。

 選択に際しては、<総論>で述べたように、まずは機会攻撃回数を増やしてくれる《迎え討ち》をオススメしよう。《迎え討ち》が効果が無いほど【敏捷力】が低いのなら(つまり【敏捷力】ボーナスがないのなら)《イニシアチブ強化》を取ってもいいが、d20に対して+4しかボーナスが得られないのであまり効率がいいとはいえない(無論、ないよりはずうっとマシなのだが)。

《強打》《薙ぎ払い》をセットで取ることにしてもいい。《強打》は基本攻撃ボーナスが上がるほど効果が上がるし、成長の暁には《薙ぎ払い強化》の修得でさらに攻撃回数を増やしてくれる。

 【知力】が13以上あるなら《攻防一体》を取ってもいい。こちらも修得後《足払い強化》 や《武器落とし強化》を修得することで敵を無力化するチャンスを広げることが出来る。足払いや武器落としは【筋力】で判定すること、持っている武器によって修正が付くものもあること(フレイル、両手持ち武器等:p99以降の武器の詳細を参照)なども、ファイターにとって有利に働くだろう。ただし、これらの戦技は使える相手が限定されるという欠点もある(飛んでる相手や武器を持たない相手には通じない)。

 あとは《鋼の意志》 《早抜き》 《武器熟練》 《無視界戦闘》 あたりが選択肢になりうるが、どれも無理をして取るものではない。レベルアップを重ねたあとで取る程度だろうか(《武器熟練》はほとんど唯一のファイター特権である《武器開眼》 の前提条件なので、ファイター4レベルになるまでには修得しておくほうがいい。その効果(1種類の武器に命判+1だけ)はファイターを使うものすべてが抱く不公平感や不納得感を大いに刺激するだろうが)。

 

 ファイターは、正直4lv以上成長させる意味が薄いクラスであるように思う。場合によっては2lv以上上げなくてもいい、とすら思う。他のクラスに比べて、得られる特典が2レベル毎に《特技》がひとつだけ、とごくわずかなものだからだ(BMの言葉を借りるなら「ウィザードがファイヤーボールやライトニングボルトを覚えている間に、ファイターは命判を1とSTを2上げている」というやつだ)。故にファイターを選択したプレイヤーは他のクラスを選択したときよりも真剣に、そのキャラクターの人生設計を考える必要がある(*8)。ここでスタンダードなマルチクラス先はクレリックだろう。鎧や武器の制限が少ないため前線能力の損失もすくないし、クレリックの回復呪文や防御呪文は前線での戦闘力を大きく引き上げてくれるだろう。

 同様に、ウィザード(またはソーサラー)とのマルチクラスという手もある。ん?ウィザードって鎧着れないんじゃ?その通り。より正確に言うなら「着れない」のではなく、重装備になるほど「呪文失敗確率」がついてしまうので重装備を避ける、というだけの話なのだが。しかし、実はこの呪文失敗確率は呪文の構成要素の内、動作要素がある呪文にのみ適用されるものなのである。つまり、どんな重装備でもウィザードを1レベル取ればファイターにとって最も使いたい呪文の一つであるトゥルー・ストライク(一回の攻撃に+20ボーナス)の使用能力が得られると言うことだ。ほかにもシールド、エクスペディシャス・リトリートなど、使いたい呪文は1レベル呪文だって山のようにある。たとえ鎧を着てたって、ワンドで使う分には問題なく使える(呪文開放型アイテムは身振り(=動作要素)がいらないので、鎧を着ていても呪文失敗確率が適用されない:p280)。ガンガン買って、どんどん使おう。また同時に、ウィザード呪文のスクロールを使用できるようになるというのも大きい。もちろん、高レベルの呪文を投射するには〈呪文学〉チェックが必要なのだが、それでも「全く出来ない」のと「出来る可能性がある」のの間には大きな差がある。特にある程度高レベルになれば、帰還のためのテレポートは欠かせない。不慮の出来事で体力に乏しい秘術系術者が死んでしまった場合のフォローのためにも、秘術系術者クラスは持っていて損はあるまい。

 術者クラスとのマルチクラスは意志セーヴが上昇するので弱点の補強にもなるという点も見逃せない。

 ローグとのマルチという手もあるが、装備のことを考えると事実上「急所攻撃」以外の能力を生かしにくい。それでもいい、と割り切るのならそれでもかまわないが、やはり積極的にはおすすめできない。

 

 <まとめ>

 ファイターは《特技》が多いほか、これといった特徴がない。技能も使えるものがなく、《特技》選択に失敗するとホントに使えねぇ奴に成り下がる。また、単体ではさほど力を発揮できないので他クラスとのマルチが重要。将来をしっかり見据えたキャラクターづくりをしよう。

 

 

 

[バーバリアン]

 ファイターと同様、前線を担うべきクラス。「属性が秩序以外でなければならない」と制約がある点に注意。

 「バーバリアンて職業じゃなくてライフスタイルじゃないの?」などといったヤボな突っ込みはヴァニッシュ呪文で遠い世界へ追放しつつ、まずはバーバリアンの特徴を確認しておこう。

 ここではその特徴を際だたせる意味で、パーティ内で同じ役割を担うであろうファイターとの比較を行ってみよう。

 彼らがファイターと異なる点はなにか?

 

1)ヒットダイスがd12:ファイターよりHPが平均1(最大2)大きい
2)移動力が高い:鎧が中装鎧までなら移動力が10ft増加する(=「高速移動」)

3)特殊能力の取得:「激怒」「直感回避(2lvから)」「ダメージ減少(11lvから)」など

 

 ちなみに「激怒」は1日1回[3+【耐久力】ボーナス]Rの間、【筋力】と【耐久力】に+4、意志セーヴに+2する代わりにACに-2のペナルティを受ける、という能力である(レベルが上がれば増加・「マスターオブザワイルド(バーバリアン、ドルイド、レンジャーの強化ハンドブック:未訳)」には激怒数を増加したり、「激怒」に付加価値を付ける《特技》が掲載)。ちなみに効果時間が切れると疲労状態に陥る(p41)ので使いどころが重要。

 「直感回避」は不意を打たれたときでも【敏捷力】のACボーナスを失わずに済む(=透明な敵に攻撃されても「急所攻撃」を受けずにすむ)とか、「挟撃」されずに済むようになる能力である。急所攻撃ダメージが強烈なこのゲームにおいて、この能力はキャラクターの生存率を大きく引き上げてくれるだろう。

 ダメージ減少はその名の通り、受けるダメージを減少する能力。他ゲームの「装甲」のようなものと考えてくれればいいだろう。

 

 え?「有利な点しかないじゃん」って? 

 

 あっはっは。そのとおりだよコンチクショウ(*9)。

 

 実際のところ、1lvのバーバリアンは、ファイターより《特技》が1つ少ないだけでこれだけ多くの特典が得られる。

 そのほか、技能ポイントもファイターの2倍もらえ、しかもクラス技能数もファイターより多い。

 キャラクター作成時はHPが最大値になるから、ファイターと比べてHPが確実に2大きい。

  

 どう考えてもファイターとしてキャラクターを作るくらいならバーバリアンとして作った方がトクなようだ。(「《鎧習熟(重装)》 が無いじゃないか」だって?1レベルのキャラクターにそんな物を買う余裕があるとでも言うのかね?

 

 いや、この際はっきり言おう。

 序盤、特に1レベルの時点で言えば、バーバリアンはファイターより遙かに有能かつ強力である。

 純戦士を希望する初心者には、ファイターよりバーバリアンをお勧めしたい。

 

 

 さて、バーバリアンに求められる能力はファイターと同様である。すなわち、【筋力】【耐久力】(そしてできるなら【敏捷力】【判断力】)が高いのが望ましい。特に【耐久力】が高いと「激怒」の持続時間が伸びるし、HPも増加する。

 もし人間以外の種族を選択するなら(これまたファイター同様)ドワーフかハーフオークが有利だろう(ハーフオークは適正クラスがバーバリアンだしね)。まあ、ファイターと違ってたくさんの《特技》がもらえるわけではないから、あえて人間で作成し、《特技》を稼いでおくというのもテかも知れないが。

 

 技能についてもファイターと同様の選択でいいだろう。すなわち

〈軽業〉▲、〈聞き耳〉、〈視認〉▲、〈隠れ身〉▲、〈忍び足〉 ▲、治療▲

 あたりが重要技能である(▲=クラス外技能)。クラス外技能が多いが、特に〈軽業〉はぜひ修得して欲しい。君の攻撃能力を大いに高めてくれるからである(前線をすり抜けて蛮人がウィザードに飛びかかっていく光景というのは、やる側から見れば結構痛快じゃないか?やられる側にとっては悪夢以外の何者でもないだろうが)。

 野外での生存を考えてクラス技能である〈野外知識〉を取っておくのも悪くない。この〈野外知識〉は野外で食料集めが出来るほか、自然の危険を避けたりモンスターの足跡から生物種を割り出したり、と適用範囲が広い。取っておいて損はないだろう。

 

 《特技》についてであるが、今後の成長においても3レベル毎に1つしか得られないことを考えて、慎重に選択しなければならない(人間以外の種族なら特に)。とはいえ、パーティのことを考えると<総論>で述べたように《迎え討ち》が欲しいところだ。「激怒」で上昇した【筋力】を生かす(後述)という点では《強打》《薙ぎ払い》 セットも捨てがたいが。安定なら前者、「とにかく突っ込んで敵を引きつける!ので素通りされたらゴメン!」とパーティの面々に言い切れる君は後者を選択するといいだろう(もっとも後者を選択できるのは人間だけだ。種族選択の時点で前者に確定する場合も多いかもしれない)。ちなみにファイターと違って特殊な戦闘法(《足払い強化》とか《騎乗戦闘》とか)に《特技》を費やす余裕はバーバリアンにはない。だったら《イニシアチブ強化》《鋼の意志》《無視界戦闘》あたりを取っておく方がはるかに有益である。

 

 装備に関しては、少なくとも初レベルでは重装鎧を購入するような経済力の持ち合わせはないので、ファイター同様スケイルメイル+木製ラージシールド(計57gp)、武器は好みの片手武器というあたりが順当なところだろう(バーバリアンの特典、高速移動(移動力+10ft)は中装鎧までの特典であることを心のどこかに置いておくように!)。飛び道具も持てるなら持っておきたいが、やはりこれも財布と相談、ということになるだろうか。レベルが上がったなら、威力の大きい両手武器も考慮に入れてよいが、低レベルのうちはじっと我慢した方がいい。よく言うだろ?「命あっての物種」って。それだけラージシールドのAC+2は大きいってこった。

 

 さて、前述の通りバーバリアンはファイターと同様の働きを要求されるクラスである。しかし、ファイターより有利な点として1)移動力が高い、2)「激怒」能力を持つという点がある。高速移動による機動力を生かして、強引に〈軽業〉で前線を突破し、一気に敵の術者を襲うといった闘い方も可能だろうし、豊富なHPを生かして敵の前衛相手に突撃し、前線の敵を一手に引きつけるという戦術を採ることもできる(まあ、序盤ではやめておく方が無難かと思うが。ローグに挟撃されると結構な高レベルでも死ねるし)。

 なお、「激怒」は前述の通り、命判・ダメージに+2,レベル毎に追加HPを2ポイントずつできる、という能力である。ということは、両手武器を持てばダメージを+3できるということだ(当然、さらに固有の【筋力】ボーナスもx1.5されることを忘れずに)。HPの低い序盤ではおすすめできないが、ある程度HPが高くなったら、ぜひ両手持ちの武器を使ってみて欲しい(あるいは盾を捨て(=移動相当アクション:p128表8-4参照)、片手武器を『両手で使う』事にしてもよい(p96))。【筋力】が高いほどその威力は強大になるし、《薙ぎ払い》などの《特技》との相性も抜群である(《薙ぎ払い》は「敵を倒した時に追加で一回攻撃できる」ようになる《特技》である。よって、ダメージが大きいほど機能する可能性は大きくなるし、突撃で一体倒す→《薙ぎ払い》といったコンボも期待できる)。ぜひ一度お試しいただきたい。

 いくつかの冒険を経た後(というよりむしろ収入を得た後)、君は一つの選択を迫られることになる。

 今のまま中装鎧で過ごすか、高速移動を捨てて重装鎧にするかの選択である。

 しかし、<総論>で述べたように、中装鎧と重装鎧の間には大きなACの差がある。最も頑健な中装鎧であるブレストプレートはAC+5(最大【敏捷力】ボーナス+3)、重装鎧であるフルプレートなら+8(同+1)である。敏捷力ボーナスが+3以上あるのなら、まあブレストプレートでもかまわないだろうが、現実問題として【敏捷力】が16(以上)あることは少ないだろう。そして、例えば移動力を2倍にするマジックアイテム(DMGルールに基づき、エクスペディシャス・リトリート呪文をuse-activated(使用時に起動)アイテムとして作成)はたかが2000gpで手に入る。たとえアイテム作成が認められなかったとしても、ブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング(DMG所収:移動力を2倍にし、さらに〈跳躍〉技能に+10、ジャンプ距離制限のなくなるアイテム)でさえたかが25006000gp(#)で手にはいるのだ。それに対し、鎧のACを上げるためのエンチャントは[ACボーナスの自乗]×1000gpが必要となる。例えば+3の防御効果を得るためには、9000gpが必要となるのだ!そう考えると、やはりフルプレートなどの重装鎧を着るのが有効なのではないか、という気がする。#朋さんエラッタ情報サンクス!

 同時に、両手武器を持つかどうかの選択も同列の問題といえるかもしれない。両手武器を持つということは、ラージシールドを持たない、つまり(少なくとも)ACを2下げる、という選択だからだ。HPが高いので多少のダメージは気にせず、とにかく《薙ぎ払い》で敵の数を減らしたい、とか、「こっちのACがいくら高くても当ててくる強敵」を相手にするときには両手武器は非常に有効である。まあ、豊富な【筋力】を生かして両方の武器を持っていき、必要なときに持ち換えるというやり方でもいいのだが。

 ある程度成長した後は、マルチクラスについて考えた方がいいだろう。確かにバーバリアンとして成長を続ければ「激怒」回数も増加するし、「直感回避」や「ダメージ減少」も強化されるが、実際にはこれらの強化のされ方は非常に緩慢で、「だったらその間に別のクラスでもやっとけ」とでも言いたくなるようなものだからだ。現実問題として、バーバリアンとしては2lv(「激怒」「高速移動」「直感回避(敏捷力ボーナス)」を獲得)、せいぜい5lv(「激怒」2回、「直感回避(挟撃されない)」)まで成長させれば十二分と言えるような気がする。

 では、その後どのクラスとマルチクラスすべきか?まず、戦闘系としての能力を強化したいのなら何をおいてもファイターだろう。1,2lvで戦闘向けの《特技》がもらえるし、4lvでは《武器開眼》 を修得することも可能になる(「武器ダメージ+2なんて」とお思いかもしれないが、BAB上昇に伴う攻撃回数の増加、「激怒」、両手武器、そして《薙ぎ払い》と組み合わせたとき、この2ダメージは大きなものとなる)。

 また、ファイターの項で述べたようにクレリック、ウィザード(またはソーサラー)とのマルチクラスも、弱点を埋め、自助能力を上げるという意味で有効である。なお、クレリックを選択するならコード、聖カスバート、ハイローニアス、オリダマラあたりを信仰するのがよいだろう(力、戦、幸運などの領域が強力:詳細は[クレリック]解説を参照)。

 他のクラスは有効とは言い難い。レンジャーを1レベルだけ修得するという手も無いではないが・・・。

 

 <まとめ>

・1レベル時は明らかにファイターより強く、初心者にもオススメ。

・「激怒」は使うタイミングに注意。

・レベルが上がったら「高速移動」を捨てても重装備に(そのためにファイターとのマルチも有効)。

・5レベル以上に成長させても益が少ない。マルチクラス先を考えておこう。 

 

 

[モンク]

 先に紹介した2クラスとは少々おもむきの異なるクラスである。彼らは武器や鎧に頼らず、己の強靭な肉体のみを頼りに戦うのである。素手での戦いに熟練し、それを支えるさまざまな特殊能力を持つクラス。それがモンクだ。

 モンクたちには自分の体しか頼るものがない。それがゆえに、他クラスには無いさまざまな特典を有している。まず、強靭な肉体と、それを守る能力が充実していることが上げられる。彼らのセーヴ値は三種においてすべてトップクラスであり、同時にACも【敏捷力】ボーナスのほかに【判断力】ボーナスを加算できる(さらに、レベルが上がればボーナスACを獲得できる)。また、素手での戦闘に長けているため、素手攻撃のダメージが1lv時で1d6、3lv時には1d8とだんだん上昇していき、最終的には1d20にまで成長する。また、「素手攻撃ボーナス」を基本攻撃ボーナスとは別に持っており、武器で攻撃するより多くの回数攻撃可能なうえ、特殊能力“連撃”によってさらに追加打撃を与えられる(この能力により、彼らは1lv時から2回攻撃が可能なのだ)。他にもレベルアップに伴い移動速度が増加したり、病気や毒の無効化、特殊な攻撃法の体得、加齢による老化を受けなくなるなどさまざまな特殊能力を身に付け、最終的には人間ではない「来訪者」として扱われるようになる。

 

 何だ、いいこと尽くめじゃないか。じゃあ僕もモンクで行こう。

 

 ちょっと待った。モンクでキャラを作る前に、俺の話を聞いてくれ。

 死んだおふくろが言ってたよ。うまい話には必ずウラがあるモンだってな。

 

さまざまな特典に恵まれたモンクは、身体能力だけで言えば間違いなくナンバーワンのクラスだ。

しかし、前述の説明をよく読んでくれ。『彼らは武器や鎧に頼らず、己の強靭な肉体のみを頼りに戦うのである。』 

そう、彼らは武器も鎧も持たないのだ。厳密に言えば、装備そのものは可能である。しかし、鎧(それがどんな軽いものでも!#)を着れば【判断力】のACボーナスをもらえないし、各種の特殊能力も秘術呪文同様のペナルティを受けるようになる。そして、武器を持てば多数回攻撃も強大な素手ダメージも生かされず、またその攻撃ボーナスは(純戦士でありながら)クレリックらと同等になる。#鋼の城氏間違い指摘サンクス!

え?「ACはボーナスいっぱいもらえるんだし、武器も持たなきゃいいだけでしょ?素手が武器よりダメージ大きくなるんなら、それでいーじゃん」って?

いや、まてまて。【判断力】ボーナスが入るったって、せいぜい+2〜+3がいいとこだろ?てことはモンクは『ラージシールドとスケールメイル』なんて57gpでそろえられる装備と同じだけのACしか持てないってことだ。もちろん序盤ならこの程度のACがあれば十分だろう。しかし、モンクはこの先、マジックアイテムによる防護を除けば5レベルにつき+1のACボーナス以外、防御力を上げる手段が無いのだ。これは前衛クラスとしては恐ろしいことである(ただでさえHDが1d8なのに、だ!)。

また、武器の扱いに長けていない点も苦しい。確かに素手ダメージは強力だ。例えば8レベルになれば、彼らは1d10(+【筋力】ボーナス)で毎ラウンド2回(命中率をちょっと犠牲にするなら3回)殴れる。でも、このとき相手がダメージリダクション10/+1(*10)をもつクリーチャーだったら?”気”打撃はそれをカバーする能力だが、10lvでやっと+1である。仲間の呪文による援護(マジックファングなど)が受けられればそれでいいのかもしれないが・・・。一応、素手攻撃同様の命中率と攻撃回数で攻撃できるモンク専用武器(ヌンチャクなど)もあるが、こちらはダメージが1d6しかない(*11)。

 

 これらの事実を勘案するに、モンクが最前線で活躍するのは少々苦しいように思われる。冒険の難度が上がれば当然敵も強くなる。となれば当然攻撃される回数も増え、ACの低いモンクのHPは見る見る削られていく・・・。収入でACを上げるにも、重戦士が鎧で+1、盾で+1、指輪で+1・・・などと安価にACを上げているのを横目に、モンクである君は高価な+2、+3の防御系アイテムを購入しなければならないのだ。「攻撃回数が多く、移動力が高い」という特徴は、たくさんの雑魚が出てくる場面や、「機動力を生かしての後衛を奇襲」などといった場面では有効に機能するのだが・・・。要するに、純戦士に求められる役割「剣」と「盾」のうち、「盾」の機能を果たすことはほぼムリ、ということだ

 

 

 ここまでを読んでなお、モンクを作りたいというのならもう止めはしない。

 古来より、死地に赴く戦士には最高級の施しがなされたという。

 その伝統に則り、私も全力で協力しようじゃないか。

 

 

 まず能力値であるが、【魅力】以外のすべてにおいて高いほど良いといえる。【筋力】は攻撃の命中率とダメージ、【耐久力】はHP、【敏捷力】はAC(ただでさえACは低くなりがちなんだ。少しでも高いほうがいいに決まっている)、【判断力】はACボーナスのほか、特殊攻撃(朦朧化攻撃----なんてステキな訳語だ!----など)の判定ボーナスとして用いられる。【知力】は無用といえば無用なのだが、修得する《特技》によっては13必要な場合があることに注意。P79の《特技》一覧表の「前提条件」を確認しておこう。

種族はSサイズ種族だと素手攻撃ダメージや移動速度が生きないので避けよう。他の種族はどれも一長一短があり、どれがいいとは言い切れない。強いて言えば不要な能力値以外は下がらないドワーフかハーフオークだろうか(ドワーフは移動速度が遅いのでオススメしないが)。エルフも悪くは無いが、【耐久力】が下がるのがやはり痛い。結局《特技》がひとつ余計にもらえる人間が安定かも。

 

技能に関しては、ファイターやバーバリアンと同様である。つまり、

 

〈軽業〉、〈聞き耳〉、〈視認〉▲、〈隠れ身〉、〈忍び足〉、治療▲

 

あたりが候補に上がってくるだろう。前2クラスと異なり、【敏捷力】系の技能がクラス技能になっているのがうれしい。特に「奇襲型」のモンクは〈軽業〉の使用頻度が高いので、ぜひ最高値にしておこう。また、重装備になるファイタ/バーバリアンと異なり、軽装のモンクは〈隠れ身〉〈忍び足〉が高ければ偵察要員としても活躍できる。可能ならこれらも伸ばしておくといい(「盾」になれないなら、せめて「眼」になっておこう。できる仕事がないと邪魔者にされるってのは、君のパパが休日ママにどんな目に遭わされてるかを見てればわかるだろ?)。

 

さて、《特技》であるが、前2者とは異なり、「盾」の役割を期待しにくい彼らは、《迎え討ち》をとっても有効に機能し得ない。足を止めて打ち合えば、防御力に劣るほうが敗退するのは目に見えている。であれば、パーティの「剣」としての役割を強化する方向で取るべきだろう。

と、なれば、さほど選択に迷うことはない。

 

奇襲をメインにするなら《回避》《強行突破》《イニシアチブ強化》

人間型の敵に特化した無力化攻撃を目指すなら《攻防一体》《武器落とし強化》《足払い強化》

手数を増やすなら《強打》《薙ぎ払い》

 

あたりで決定だろう。とはいえ、「無力化」には【知力】が13必要だし、「手数」の《強打》は基本攻撃ボーナスの低いモンクでは今ひとつ効果が薄い。となれば「《強行突破》 で前線を突き破り、ダッシュで敵ウィザードを攻撃orグラップル」というあたりが有効なのではあるまいか。その後、袋叩きに会うのは必至だが。囮役さえ果たせればいい、と割り切るんなら《攻防一体》のAC+5も捨てがたいのだが・・・。 

 

 こんなモンクの未来予想図は?というとこれがまた微妙である。

 まず、モンクは一度転職すると、二度とモンクレベルを上げることができなくなる(*13)。これはつまり、モンクとして欲しい能力を取りきった後でないと転職できないということだ。他のクラスのように「ウィザード1レベルとってスクロール使えるようにしとくべ」なんて事はできないのである。その一方で、レベルが上がるほど攻撃力&特殊能力が強化されるという特性のため、なるべくならモンクレベルをたくさん積んでおきたい。ジレンマである。

 一方で、モンクは「1レベルだけ取って他クラスの踏み台に」という使い方だとかなり強力なクラスとなる。例えばウィザード/ソーサラーに1レベル混ぜてみよう。全てのセーヴに+2され、「身かわし(セーヴに成功するとダメージ0)」を得、接近戦能力(ダメージ、朦朧化攻撃、連撃)も上がり、ACも【判断力】ボーナス分だけ強化される。同様のことは軽装のドルイド、バードなどでも言える(*14)。また、2lvまで欲張ればこれに加えて「矢止め」能力が得られるのである(*15)。秘術系術者の欠点を、これだけ一度に埋めることのできるチャンスは少ないのではないだろうか。

 

 <まとめ>

・モンクは前衛としては微妙。奇襲・偵察要員なら、まあ。

・レベルアップ毎に身体能力が強化される。が、転職できない。

・《特技》の修得がやや難しい。でも奇襲要員なら《回避》《強行突破》《イニシアチブ強化》だろ。

・いっそ1lvだけにして、術者クラスになった方が・・・。

 

 

 

 ううむ。

 結局のところ、純戦士としては「バーバリアン→ファイター」がベストというところだろうか。

 クラスブックが加わっても、この構図は大きくは変わらないような気がする。

 せいぜいファイターレベルを取る時期(=《特技》を取る時期)が多少早まるくらいだろうか。

 

 「前衛クラス、ダメじゃん」って?

 大丈夫。

 次回は純戦士に特殊能力が加わった「複合型戦士」の能力と、その作り方についてレポートしよう。

 

 

 

5歩目:自分のキャラを作ろう!(2) 複合型戦士編

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 <注釈>

*1:『「強いところが何もないキャラ」が知恵と勇気で強敵を打ち破る』ようなプレイもアツい(例:指輪物語のフロドなど)のだが、まあ初心者向けじゃねえだろ、ということで。

*2:無論、術者系クラス(=意志セーヴが上がりやすい)とのマルチクラスを考えればよいのだが、回復手段が少なく、死亡率の高い序盤にこそ、抵抗力が高いほうがいい。

*3:ほかに「騎兵」もあるが、ダンジョン向きではないのでここでは措く。

*4:フルプレートをつけていようがタワーシールドを装備していようが、急所攻撃や[得意な敵]ボーナス(笑)は受けられるのだ。

*5:ちなみに9000gp。まあ、チェインシャツは【敏捷力】ボーナスたくさん得られるから一概には言えないけど、同じ金額をかけるのなら、結局「重い鎧+盾+魔法」のACを越える手段はそうない。

*6:スケルトンは殴打武器以外のダメージを1/2にする。

*7:ちなみにもっとも多く技能ポイントがもらえるローグとの差は4倍。彼らが(【知力】修正無しで)32ポイントもらってるときに、ファイターは8ポイントでやりくりしなければならない。泣ける。

*8:本来ならSword and Fist(未訳)などに掲載されているクラスも勘案するべきなのだが、ここではあえてプレイヤーズハンドブックとダンジョンマスターズガイドに掲載されているモノのみで話を進めている。某社が本当にクラスハンドブックまで出すかどうかわかんないからね(笑)。

*9:強いて不利な点を述べるなら「文盲である」という点くらいか。技能ポイントを2ポイント支払うか、他クラスとマルチするだけであっさり解消してしまう欠点だが。

*10:「+1以上の魔法武器で攻撃しないと、ダメージを10点減少する」防御能力。成長後、モンク自身が特典として身につけられるのは皮肉な話である。

*11:一応素手ダメージにエンチャント効果を与えるアイテムは存在。でも高い。ちなみに最近は木製の武器であるヌンチャクにspikes呪文(ディフェンダーオブザフェイス(未訳)所載。3レベルクレリック/ドルイド呪文:武器に+2のエンチャントボーナスを与え、かつ機会攻撃範囲を2倍にする)を投射したモンクが最近のトレンド。「モンクが強い」というより「呪文が強い」感が拭えないが、参考まで。

*12:「ソードアンドフィスト」が導入されると状況は一変する。みんなで翻訳されることを祈ろう(笑)。もっともいつ出るかわからない日本語版を待つ間に、値段の安い英語版をつなぎで買っておくのは悪くないと思うのだが。

*13:前述「ソードアンドフィスト」にはモンク用の上級クラスも掲載されており、こちらは再びモンクレベルを上げることができると明記されている。

*14:モンクである程度レベルを上げ、素手攻撃ボーナスを上げた上でドルイドに転職し、シェイプチェンジで打撃力の高いクリーチャーに変身するというテもある。変身後も素手攻撃ボーナスは維持されるため、非常に強力。

*15:こういう使い方をするのなら、ついでに種族をノームかハーフリングにするといい。体の小ささによるACボーナスがもらえるからね。