二歩目 サンプルキャラを作ろう        

030127

 

 

 PHBをひも解いてみれば、目次の次のページ(p4)にはキャラクターの作り方が掲載されている。

 D&Dではキャラクターは以下の手順を踏んで作られるようだ。

 

 

 

0.マスターの話を聞く

1.能力値

2.クラスを選ぶ

3.能力値を割り振る

4.開始パッケージを参照する

5.種族特性・クラス特性を記す

6.技能を選ぶ

7.特技を選ぶ

8.第6章を見る

9.装備を選ぶ

10.戦闘や技能関係の数値を記す

11.いろいろな細かい点

 

 

 断言するが、この「手順」とやらを読んだだけでキャラクターを作成出来るものは皆無だろう。PHBだけで11種の職業に7種の種族があり、またそのそれぞれが使用可能な技能や特技、特殊能力や呪文が違う中で、いきなりルールを手渡されて「はい、じゃあ作って」と言われても途方にくれるばかりだろう。

 しかし一方で、キャラクター作成という作業はルールを理解する上で非常に有用である。

 そこで、本稿ではまず、ごくシンプルなキャラクターを実際に作成してみることをお勧めする。と、言われても、D&D初体験の君は何がシンプルで何が複雑なのかもわからないだろう。そこで、ここではわたしの作るキャラを、そのままなぞる形でキャラクターシートに書き込んでいって欲しい(←ちなみにこうやって色が変えてあるのは実際に作業をするポイントである。参考まで)

「こんなの一回読めばいっしょだよ」と思われるかもしれないが、ぜひキャラクターシートをコピーして、一から書いていって欲しい。「見たことがある」のと「やったことがある」では、やはり大きな差が生まれるからだ。

 

 サンプルキャラクターはRAINBOW用語で言うところのHFO,すなわち「ヒューマン、ファイター、男」で作成する。なんのこたぁない、「もっともシンプルな組み合わせだから」というのが主たる理由である。よって、彼の名は「エレグソン一家物語」でおなじみホッジ・エレグソンに決定しよう。1レベルなのに「8レベルだったのだがワイトのエネルギー吸収でレベル1になった」と言い張る、妻に逃げられた中年親父である(こういうキャラをサンプルに選ぶあたりにRAINBOWの魂を感じていただきたい)。

 

 

 さて、キャラクターを作る前に、キャラクターシートを用意して欲しい。巻末(p282)にまっさらなキャラクターシートがあるので、これをコピーしてこよう。下のほうに「個人使用に限り何枚コピーしても可」とあるので、これを機に6万枚ほどコピーして、一生D&Dが出来るようにしておくのも悪くは無い。ここでは3〜5枚ほどもあれば十分だろうけれども。

 それからp6「プレイに必要なもの」にあるように、ダイスのセット、筆記具(消しゴムで消せるものが望ましい)なども必要だ。特にダイスは6面体(以下d6)が4個あるほうが楽チンなので、ぜひ用意して欲しい。#と言っても本編ではまだダイスは使用しないのだが

 

 

 

 さて、さっそく手順に従ってキャラクターを作ってみよう。

 まずは能力値だ。PHBでは4d6(うち低いダイス1ケを無視)を6回行って、それを3.の工程で割り振る、と言うことになっている。

 

 おっと、4d6ってのはわかるよね?dはダイスのこと。例えばd20と書いてあれば、それは20面ダイスを使えってことだ。で、dの前に数字が書いてあったらその数だけダイスを振れ、ってこと。例えば4d8とあれば、「8面ダイスを4個(または4回)振れ」ってことだ。ここでは4d6なので、6面ダイス(いわゆる「さいころ」って奴だ)を4個振って、そのうち目のいいもの3つを選んで合計する、って作業を6回繰り返してメモっておく。

 

 話を簡単にするために、ここではわたしがもう振ったことにしよう。

12,13,13,17,11,9が出た。

 

 

 さて、次の手順は『2.クラスを選ぶ』だが、これは前述のとおりHFO、すなわちファイターに決定しているので、次の『3.能力値を割り振る』に行こう。

 「どの能力値がいつ/何に必要か」、能力値が何を意味しているかの詳細については後の回にて述べることにして、ここではファイターに必要そうな【筋力】【敏捷力】 【耐久力】に高い値を割り振ることにしよう。君のキャラクターシートに下のように書き込んでくれ

          

           【筋力】             17       

           【敏捷力】         13

           【耐久力】         13

           【知力】            12

           【判断力】         11

           【魅力】             9

 

 実は、プレイ中にこの能力値をそのまま使う場面はあまり多くない。

 実際に使うのはこの能力値から算出される『能力修正値』である。p8を開きたまえ。そこには能力値と能力修正値の関係が記されている。この表にしたがって、能力値横の欄に能力修正値を記入しよう。例えば【筋力】は17だね。表によると17の修正値は+3だ。よって、【筋力】 の能力修正値は+3となる。以下、能力値の並び順に+1、+1、+1、0、-1となる。

 

 諸般の事情(サンプルキャラが理解できないほど使えない、とか)から4.は飛ばすことにして、次は「5.種族特性・クラス特性を記す」である。

 まず種族特性である。一部の種族はその生まれや生得能力を「特性」として記録しなくてはならない。そこで、人間を選択した君はp13を見て欲しい。解説そのもの(p12〜)は後でゆっくり読んでもらうとして、右端に箇条書きでまとめられた「種族的特徴」を見て欲しい。ここの記述に基づいて、以下の点を書き込んでくれ

 

・移動速度(キャラクターシート(左)の上方・右)「30ft(フィート)」

 

 とりあえず今書く必要があるのはこれだけである(他にも技能や特技にボーナスがあるが、特に書く必要は無い)。

 そう。人間の特徴とは「特徴がないこと」であり、種族特性と言えば「プレイヤーの鉛筆の消耗度を減少すること」だ(まあ、だからサンプルキャラに選んだのだが)。

 

 次にクラス特性である(p45を参照)。クラス特性とは、君のキャラがついた職業にもたらされる恩恵やペナルティの総称で、キャラクターシート右側にある「特殊能力/特技」欄に記入すべき内容である。

 で、ファイターのクラス特性であるが、p46"武器と防具の習熟"の項に書いてある「単純武器、軍用武器、すべての鎧、盾に《習熟》」と書けば、クラス特性は書き込み終了である。

 そう。ファイターの特徴とは(以下略)。

 あ、そうそう。ちょっと手順は変わるけど、攻撃ボーナス(+1)をキャラクターシート(左)中段上「基本攻撃ボーナス」欄に、各セーヴ値(頑健+2、あとは0)をセーヴィング・スロー欄内「基本セーヴ」欄に書き込んでおくといいよ。

 

 さて、次の「6.技能を選ぶ」あたりから少々面倒になってくる。ちょっとした計算や細かな選択が必要になるからだ。

 〈技能〉(Skill)とは、そのキャラクターは何がどれくらい出来るか、という判定の大本になる値である。技能によっては未修得(技能が無い状態)でも可能なものものと、未修得では出来ない専門性の高い技能とに分かれている。

 さて、〈技能〉を選ぶ前に、ホッジ・エレグソンがどれくらいの〈技能〉を体得しているのかを計算してみよう。この「どれくらい」をD&Dでは「技能ポイント」として扱う。では、ホッジは何ポイントの技能ポイントを持っているのだろうか?

 

 先ほど参照したp46を見てみよう。「クラス技能」と言う項に、「1レベルでの技能ポイント」と記述があるね。ふむふむ。(2+【知力】修正値)X4か。

 先ほどの割り振りで求めたように、ホッジの【知力】修正値は+1だ。ということは、ホッジは(2+1)X4=12の技能ポイントを持っている。さらに、ホッジはHFOすなわち人間である。人間は多才で有能なため、キャラクター作成時に追加で4技能ポイントを得られる(p13)。よって、ホッジは最初に技能ポイントを16持っていると言うわけだ。キャラクターメイキングの際には、この技能ポイントを「支払う」ことで技能を「購入」(=修得)する。こうして得た技能を、ルール上では「技能ランク」と分類している。 

 

 p59には[表4-2:技能]がある。ヨコ軸のファイターの項をタテに見て欲しい。タテ軸には<技能>が列記され、交わるところには大丸、小丸、×の3種類が記されている。表左下にあるように、これらの記号は「クラス技能」「クラス外技能」「取れない技能」の3種に分かれている。

 「クラス技能」とは、そのクラスのものが得意としている技能で、技能ポイント1ポイントで1技能ランクを修得できる。

 「クラス外技能」は、「苦手だけど出来なくはない」技能だと考えればいいだろう。1ランク修得するために2技能ポイントが必要となる。

 そして「取れない技能」はそのまま。取れない。

 

こういうシステムのご多分に漏れず、「技能ランクが高いほどうまく出来る」ようになる。よって、キャラクターを特徴付ける上でも、そのキャラが得意な分野には多く技能を割り振っておくほうがいいだろう。しかし、誕生直後にありとあらゆる鍵やトラップを解除するローグがそこら中にあふれ返られては困るという配慮から、獲得できる技能ランクには上限が設けられている。22の表3-2を参照したまえ。そこにはレベルと経験点、そしてレベルに伴い変化する諸数値が書かれている。これによるとクラス技能最大ランクは4、クラス外技能最大ランクは2とある。すなわち、表4-2(p59)の大丸なら4ランクまで、小丸なら2ランク(ただし1ランクにつき2ポイント必要なことに注意!)までしか獲得できないことになる。

 

では、獲得した16ポイントを割り振ってみよう。

ホッジはまず戦士のたしなみとして、クラス技能である<騎乗>4ランクを修得後、ファイター技能のあまりの使えなさに絶望し、岩場から身を投げ、トゥルー・リザレクションで蘇生し、泣く泣くクラス外技能として〈隠れ身〉 〈聞き耳〉 〈視認〉を2ランクずつ修得した。クラス外技能は1ランクの修得に2技能ポイントが必要なので、ホッジはこの4つの技能にすべてのポイントを費やしたことになる。

修得したランクはキャラクターシートに記入しよう。キャラクターシート(左)の右側『技能』欄に、まず最大ランク(4/2)を書き込もう。

ついで、今修得した4つの技能を「技能名」欄に、また〈騎乗〉以外の技能については技能名左の「クラス外」ボックスにチェックをつけておこう。そして、各技能の「対応能力値」(表4−2(p59)右端に列記されている。例えば〈騎乗〉は【敏】)と、その「能力修正値」(さっき能力値のヨコに書き込んだアレだ)、「ランク」のところにそれぞれのランク(〈騎乗〉=4、他の3つ=2)を記入しよう

 

ふう、何とか技能を取り終わったぞ。次は「7.特技を選ぶ」に行こう。

《特技》は、そのキャラクターが持つ特殊な能力や技術を表す。〈技能〉と異なるのは、《特技》にはランクがなく、よって判定がない、という点だ。

〈技能〉と同様、ホッジは何個の《特技》が取れるか決まっている。

再び3-2(p22)を見て欲しい。特技と書かれた欄に、キャラクターレベルが1のとき「1つ目」と書かれているのがわかるだろう。また、ホッジは人間なので専門的な技術を習得するのが早く、さまざまな才能を持っているので1レベルの時点で1個のボーナス《特技》を持っている(p13)。さらに、表3-15(p45)を見てほしい。1レベルの「特殊」欄を見ると「ボーナス特技」とあるね。そう、ホッジは1レベルの時点で3つの《特技》を持っているのだ!(ただし、最後のひとつ(ファイターのボーナス《特技》)はファイターと関連のある《特技》しか修得できないことに注意:p46 ボーナス特技

そこでホッジは戦闘力強化のために《Power Attack/強打》と《Cleave/薙ぎ払い》を、そして意志セーヴの低いファイターの欠点を補うべく《Iron Will/鋼の意志》 を修得した。本当は《Improved Trip/足払い強化》などを中心とした技能派ファイターになりたかったのを前提条件である【知力】 13に足りなかった(つまりは足払いが出来ないほどのアホだった)ためにあきらめたのはヒミツだ。これら修得済み《特技》を、キャラクターシート右の「特殊能力/特技」欄に記入しておくこと。

 

さあ、ようやくキャラクターの骨子が定まってきた。今度は「8.第6章を見る」に従ってキャラクターの細部を決定しよう。ここで決定するのは属性(旧D&Dプレイヤーにはアライメントといったほうがわかりやすいかも)・信仰する神・名前・年齢・性別・身長体重・性格・背景などだ。記入欄はキャラクターシート(左)上方、プレイヤー名の下になる。

属性はp88〜に細かい説明があるのでそれを参照して自分のキャラクターイメージに合ったものを選べばよい(ちなみにホッジはTrue Neutral (真なる中立) である。時々「混沌にして悪」とか「秩序にして悪」になるようだが)。

信仰する神は、クレリックやパラディンには重要な要素になるが、ファイターにはあまり大きな影響はない。ので、無宗教にしてもいいし、キャラクターの味付けとして何か信仰をもっていることにしてもいいだろう。(ちなみにホッジは無宗教である。時々”悪の勇者“Hextor (ヘクストア)を信仰したりするようだが)。

名前・性別は自分の好きなように付けたらよい。「好きなように」と言っても自分の好きな子の名前にしたりすると数年後に古本の山の中からキャラクターシートが発掘されたときに衝動的に手首を剃刀で抉りたくなったりしかねないので避けよう。また、オフィシャルワールドであるグレイホーク(中世ヨーロッパ風)でプレイすると言うのに『骨皮スネオ』とか『キン肉スグル』などという名をつけるのも避けたい。

年齢は表6−4(p93)によれば人間のファイターは15+1d6で決定してもいいが、最低年齢以上なら何歳でもよい。ただし、人間なら35歳を超えると『年齢効果』によって能力値が変化してしまうので、特に体を使うクラスのプレイヤーは注意。まあ、逆に頭を使うクラスならわざと中年以降にして【知力】などを上げるという手もあるけど。ちなみにホッジは(話を簡単にするために)34歳にしておこう。つまりホッジはいつDMが「そして1年が過ぎた」と述べるかについて非常に敏感な、デリケートなお年頃のOLみたいなファイターになったのである。

身長体重もまた、ランダムに決めるか、(制限の範囲内で)自分のキャラクターイメージに沿った値にする。ホッジは男らしくランダムで決めることとし、人間・男の欄にあるように2d10を振ったところ11が出たので、4’21”(4フィート21インチ)=5’9”(5フィート9インチ:1フィート=12インチだから)となる。また体重は2d4を振り、出目は4。この4をさっき振った11とかけあわせ、基本体重である120に加えた164ポンドが彼の体重となる。ちなみに1インチ=2.54cm、1フィート=30.5cm、1ポンド=453gなので、ホッジは身長175.4cm、体重74.3kgということになる。

残るは性格・背景だが、この時点では無理に決めなくてもいいだろう。キャラクターが固まりすぎるとプレイしにくくなったりするし、記入欄もないし(どうしても書きたい人は「メモ」欄にでも書いておくといいだろう)。

 

さて、そろそろ大詰め、「9.装備を選ぶ」である。装備に関しては(「一歩目」でタックを張ったかな?)武器ならp99、防具ならp104、そしてその他の品についてはp108に記載されている。

 

よーし、パパプレイトメイル買っちゃうぞー。

ん?ちょっと待った。俺、いくら持ってんの?

 

そう。初期所持金はまだ決定されていない。

 

ああ、もう!どっか一箇所にまとめとけよンモウ!

とかつぶやきながらp95を開けてみよう。

 

おお!そこには!7-1:開始時所持金ランダム決定表があるではないか!

ファイターであるホッジは6d4x10gp持っている。ロールした結果、出目は10(低っ!たぶん奥さんに逃げられたという事実と何らかのかかわりがあるに違いない)。よって、ホッジは最初の買い物を100gpで抑えなければならない。

泣きながらホッジが買い揃えたグッズは以下のとおり。

 

 ロングソード(4ポンド・15gp)、ショートボウ+アロー(2ポンド+3ポンド・31gp)、スタデッド・レザー(20ポンド・25gp)、木製ラージシールド(10ポンド・7gp)、背負い袋(2ポンド・2gp)、保存食10日分(計10ポンド・5gp)、水袋2つ(計8ポンド・2gp)、ロープ(麻50ft:10ポンド・1gp)、旅人の服(5ポンド・1gp(*))、ベルトポーチ(1ポンド・1gp)

89gp 

 

なのでホッジの財布には11gpが残されるばかりとなる(記入欄はキャラクターシート(右)下段。忘れずに書いておこう。ちなみに重量は貨幣50枚で1ポンド(p96)である)。

では、これらの購入品をキャラクターシートに記入しよう。

まず、持っている品は武器であれなんであれ、キャラクターシート(右)の「装備品」欄に書いておくことをお勧めする。武器・防具はキャラクターシート(左)にも記入しなければならないので2度手間のように思われるが、装備品重量を計算する都合上、一まとめに書いてあったほうが便利なのだ。世のマスターたちが大好きなラストモンスターやブラックドラゴン(*)が出現したときにも処理が簡単になるし。

*いずれも金属性のものを腐蝕・破壊する能力をもつ。ファイターがダンジョンの奥で武器・鎧を破壊され、突然「ただの人」になってしまう光景は実にのどかで美しい。

 

ちなみに装備品欄には「装備品重量」や「装備品の個数」を書く欄がないので、装備の後ろにでもかっこ書きで書いておくこと。あと、最下段を「重量総計」欄にしておけばなお便利だ。ちなみに彼の現時点での総重量は7570ポンドである(独楽屋さんのご示唆を受け訂正しました:「初期状態で着ている服は無料」「キャラクターが着用している服一着分は装備重量には含めない」PHB p111)。

 

それから、ゲーム中困らないために、どの装備をどこに持っているかを書いておくといい。たとえば服、鎧、盾、剣などはいつも装備しているからいいが、戦闘中重い背負い袋を捨てたり、ベルトポーチを引きちぎられたリしたとき、そこに何を入れてあるかでもめる場合がある。そのような事態を未然に防ぐためにも、例えばホッジなら

 

身に付けているもの     E

背負い袋                  A

ベルトポーチ               B

 

などと決めておき、装備品の名前の前にでも記入しておくといい。

例えば “E ロングソード(4ポンド)”なら「身につけている」と判断できるし、

A ロープ(麻;10ポンド)“なら「バックパックに入っている」と一目でわかる。また、財布をどこに入れておくかは街中(特に市場などの人ごみ)を歩く上で重要な場合があるので、しっかり記入しておこう。

 

キャラクターシート右への記入が終わったら、今度はキャラクターシート左に武器・防具の詳細を記入しよう。いずれもキャラクターシート左下側に記入欄がある。

武器はロングソード、ショートボウ、防具はスタデッド・レザーと木製ラージシールドとそれぞれ記入し、各々固有の値(武器ならダメージ、クリティカル、射程、重量、サイズ、タイプ、防具ならタイプ、鎧ボーナス、判定ペナルティ、【敏】ボーナス上限、秘術失敗率、移動速度、重量など:p98〜に記述アリ)を記録する。ホッジの場合は以下のとおり。

        ロングソード:ダメージ1d8、クリティカル19-20/X2、重量4、サイズM、タイプ斬撃

        ショートボウ:ダメージ1d6、クリティカルX3、射程60ft、重量2、サイズM、タイプ刺突

 #あと、矢弾欄が最下段にあるので20本分確保しておこう

        スタテッド・レザー:タイプ軽装鎧、鎧ボーナス+3、判定ペナ-1、【敏】ボーナス上限+5、秘術呪文失敗率15%、移動速度−、重量20

        木製ラージシールド:盾ボーナス+2、重量10、秘術呪文失敗率15%、判定ペナ-2

 このなかで実際頻繁に使うのはダメージ・鎧/盾ボーナスと、判定ペナくらいなのだが、キャラクターシートに空欄があるのもあまり気分が良くない(DMはこうした空欄めがけて呪いとか付与呪文を投射してくる習性のある生き物だ)ので、しっかり埋めておこう。

 

 さて、いよいよ最難関。“10.戦闘や技能関係の数値を記す”である。ここはとにかく書き込むところと計算するところが多い。書き落としの無いよう、順をしっかり追ってほしい。

 では、キャラクターシート左がわを上から順に書き込んでいこう。

 まずはHP。3eでは初レベルではHP決定のためのダイスロール(いわゆるヒットダイスというやつだ)を振らずに最高値で決定してよいとされている(すばらしい!)。ファイターであるエレグソンは【耐久力】修正値が+1であるので、10に【耐久力】修正値を加えた11が現在の最高HPとなる。HPの「合計」欄に11と記入しよう。同時に、「非致傷ダメージ」欄の横に、消えないもので「HP成長記録」欄を作り、10と記入しておくことをお勧めする。今はいいが、この手の欄が無いと4〜5lvになったころ、自分が3lvだったころにHPがどれくらいあったかを思い出すよすがに困る場合があるからだ(特にワイトやヴァンパイアに遭遇した後、こうした郷愁の感に襲われることが多い)。

 

 ついでにHP欄の真下、AC欄も記入しよう。

 ここには先ほど装備を購入したときに書き込んだ数値が役に立つ。キャラクターシート左下欄「鎧/盾ボーナス」の値をそのまま書き込めばいい。いっしょに右となりの「秘術呪文失敗率(=持ってる防具の合計を記入:30%)」「防具による判定ペナルティ(=合計:-3)」も記入しておこう。

ACは基本が10、【敏捷力】 修正値はそのままの値(+1)を、またサイズなどは修正がつかないので、結果、ホッジの現ACは16になるはずだ。

 

 その下「イニシアチブ修正値」は《特技》により変わることが多いが、今回は特に関連《特技》を修得していないので、【敏捷力】修正値そのままの+1が修正値となる。

 

基本攻撃ボーナス(BAB)は先ほど書いたとおり+1(のみ)。

よくわからなくなったらp22の表3-1を参照のこと。

 

 その下(【能力値】欄の真下にあたる)にはセーヴィング・スロー欄がある。

 序盤で基本セーヴ欄に書き込んだはずだが、ちゃんと出来ているだろうか?ちなみに上から順に+2,0,0と書いてあれば正解だ。

 今度はここに、能力値修正とその他の修正値を記入しなければならない。能力値修正は、各々セーヴ名の横に書いてある能力の能力値修正を用いる(記入しよう:上から順に+1、+1、+0となれば正解だ)。そして《Iron Will/鋼の意志》による意志セーヴへのボーナスを「その他」欄に+2と書こう(当然ながら、意志セーヴのみに、だよ)。これらを合計すれば、上から順に「+3、+1、+2」となるはずだ。確認してほしい。

 

 続いて「近接攻撃ボーナス」「遠隔攻撃ボーナス」である。両者とも、ほとんど書く内容は同じなので一度に操作しよう。まず、両方の「基本攻撃ボーナス」に+1と記入。その他の修正は能力値修正のみなので、「近接〜」には【筋力】の、「遠隔〜」には【敏捷力】の修正値をそのまま記入する。すると、「近接」は計+4、「遠隔」は計+2になるのがわかる。

 

 ここで求めたボーナスは、そのままその下の武器欄に反映させよう。

 

 武器 ロングソードの合計攻撃ボーナスには近接=「+4」を、ショートボウの合計攻撃ボーナスには遠隔=「+2」を記入する。また、ダメージ欄にはすでに数値が入っていることと思うが、ロングソードにのみ+3と付記しておこう。より高価な武器を使用しない限り、通常遠隔武器ダメージには【筋力】ボーナスを加算することは出来ないのである。

 

 さて、そのまま視線を右にずらしてみてくれ。<技能>欄がまだ中途半端なはずだ。それを完全に埋めよう。

 といっても君がするのは「能力修正値」と「ランク」(どっちも記入済のはずだ)を合計して、技能修正値欄に記入するだけだ。各欄に〈騎乗〉5、〈隠れ身〉3、〈聞き耳〉2、〈視認〉2と書いてあれば正解である。

 

 最後に、〈技能〉欄の下「頭上に持ち上げる」などの値を記入しよう。この3つの四角の値はすべて【筋力】を基に算出され、その計算表はp142、表9-1に示される。ホッジの【筋力】は17。『重荷重』欄の値は「重荷重とみなされる重さ(のエリア)」を意味しているので、『頭上に持ち上げる』には最大値である260を、またその下の欄にはそれぞれ、x2,x5した数値を書き込んでおけばいい。お宝として発見された銅の延べ棒100本や、目の前を歩く子ウシをお土産に持って帰ることを決める際の一助にしてくれれば幸いである。

 

さあ、ここまで終わればあとは穴埋め。”11.いろいろな細かい点“に進もう。

まだ書き終わってない欄は・・・お、キャラクターシート左上段の名前・クラスとか、髪や目の色なんて部分が埋まってないね。

名前はホッジ・エレグソン、クラスはファイター、種族は人間、レベル1、サイズM、年齢34、性別 男までは前もって決定しているので、抜けがあるようなら記入してくれ。ちなみに目の色はグレー、髪の色はブラウンである(今決めた)。

 

 

さて、どうだろう。

考えうるかぎりでもっとも簡単な組み合わせのキャラ作成である。

簡単だった?それとも面倒?

 

今はどっちでもいいから、ぜひもう一度キャラクターシートを見返してほしい。

そして、「この数値ってどこから導いたんだっけ」とか「どうやって計算するんだっけ」と言う値があったら、その値の欄に赤ペンか何かで『参照すべきページ』を書き込んでおくと良い。同時に、キャラクターを作るにあたって重要そうなことをどんどん書き込んでおくといいだろう。そうすれば、次回、今度は自分の好きなキャラクターを作る際の『ひながた』として使用できる、「キャラクター作成シート」とでも呼ぶべきシートが完成するはずである。

 

長くつらい練習の時間は終わりだ。

 

君はこれから、D&Dの広大な世界を自由に歩き回るのだ! 

 

そう!自由な人間のファイターとして!

 

 

 

 

 

・・・・・・気がついたろうか。

君が練習し終えたのは、HFO(たぶん君は一生プレイしないだろう)の作り方だけだ、ということを。

 

 

 

というわけで、次回からは自分好みのキャラクターをデザインしていこう。

お楽しみに!

 

 

 

三歩目 キャラクターとクラスの「力」を知ろう!

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