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週刊タイマツ 2号
第2号
2006/03/09
記者:トゥースポル
編集長:ノーザラー・ウィットーゲン
週刊タイマツ新聞社(平和橋横、剣塚館三階)



ある日の螺旋堂
 それは、私が閉店間際の“トロン螺旋堂”でオリエンタルなアイテムを物色していた時のことです……。
 
“……ヤァ”

 私は誰かに後ろから(実は、今考えてみても、最初にどこから聞こえてきたのか、どうしても分からないのですが)声をかけられた、と 思いました。

“……キョウミがあるのかね?”

 その声は、頭の中に直接響いて来ている感じがしました。
 咄嗟に振り返ると、そこには紫色のローブを頭からかぶった、小柄な人物が立っていました。顔は見えなかった ものの、なんだかその雰囲気にゾっとしたのを覚えています。

“……パワー・ストーンが、欲しいのか?”

 その人物は右手を上げ、私の前の棚にある小さな水晶を指差しました。釣られてそれを覗き込むと、その小さなクルミほどの大きさの不透明な塊は、内側か ら淡い光を放っていました。不規則なタイミングで揺らめくそれを見つめているうちに……

“これは質が悪いネ。もっと良い物が欲しければ、ジェラスに来るとイイ……”

 ……身体の中に不思議なエネルギーが流れ込んでくるのを感じました。
 心地良い、暖かいお湯に首まで浸かっているような感覚……。
 
「おい、そろそろ店じまいだよ」

 不機嫌そうなトロンの声で、私はハっと目が覚めました。
 ……どうやら、立ったまま私は眠り込んでいたようです。
 辺りを見回しましたが、先程の不思議な人物の姿は既に有りませんでした。
 仕方なく、件の水晶をトロンから(法外な値段で)買うと、私は店を出たのです。

 それから、私はあの一時の体験──秘術でも信仰でもない、不思議な第三の感覚──を求め、ジェラ スで取材をすることになったのです。


サイオニクス in ファーガンド
 はい、というわけでサイオニクスです。
 ファーガンド・キャンペーンにおいては、サイオニクスは“珍しい”ものであると します。
 しかし、使用者がいないわけでは無く、密かにサイオニック種族が出入りしている 場所があります。
 それが悪 徳の町ジェラスで す。
 もう一箇所、サイオニック能力者が居る地域がありますが……それは、ぎゃざシナ リオを読めば分かるようになっているので、DMは各自調査してみてくださ い(笑)


 さて、ジェラスのどこで怪しげなサイオニック・アイテムが取引されているのでしょう?
 ……そう、あの噂に名高い“大慈善市”ですね。
 このバザー会場のどこかには、紫色のローブをまとった小柄な店主が経営する怪しげな店がある筈です。
 根気良く探せば辿り着きます(〈情報収集〉で難易度11)
 そこではサイオニック・アイテムが通常の1割増しで購入できるのです。

 この、小さな友人たちは何者でしょうか?
 一説によると、特殊な門を通じ、異次元からやって来た種族だと言います。
 頭から触覚が生えているのを見た、とか。
 なめらかで固い手をしていた、とか。
 噂はかなりの勢いで広まっていますが、その明確な姿を見たものはいないのです。
 正体を暴こうと、様々な者が挑戦しました。
 しかし、彼等は用心深く、そして何らかの方法でこっちの意図を知るらしく、今までのところそれに成功した者はいません。


キャンペーンでの運用

 どうやらジェラスにはサイオニックな世界との接点があるらしく、そこに『サイオニクス・ハンドブック』に載っている異種族が出入りしているのはほぼ間違 いないようです。ジェラスの人口の数パーセントは、このような不思議な種族で占められているようです。……もっとも、広大な地下迷路街を含むジェラスの実 態を把握している者などいませんが。

 DMがキャンペーンにサイオニクスを取り入れたい場合、ジェラス出身とするのが良いでしょう。
 正確には“ジェラスに通じているポータルの向こうの世界”が出身なのでしょうが。
 アイテムがバザーの時にしか購入できないのが難点ですが、これはファーガンドではサイオニクスが特殊なためで、仕方ないでしょう。
 より上級のアイテムが手に入れたければライルマー、またはキャンデリアを訪れる必要があります。

 また、ファーガンドでは“魔法とサイオニクスは同質”であると裁定します。
 よってディスペル・マジックでサイオニクスに影響を与えることができますし、パワー抵抗で呪文を止めることも出来ます。
 (サイオニクス・ハンドブックの第4章を参照)


記 事:B.M(びいえむ)
設定協力・アドバイス:Lさん(敵)