TOP13忍者プレイリポート>第3話 集う冒険者たち

CDS:PE&レインボー合同
D&Dサード プレイリポート企画

第3話 集う冒険者たち

於2003年6月7日(土)

マスター&ライター:B.M
プレイヤー:Hawk、だいすけ、石川、右近、ジェック、ヤモン、Dandan[敬称略、順不同]

2003/06/11 公開開始


(各種シート)

目次
§3−1 プロローグ
§3−2 プレイヤーキャラクター
§3−3 集う冒険者たち
 オークハースト V.D803年6月15日(日)
 ”軽”戦士ジッター
 善なる戦士
 ケロウィン・ハクリール
 謎の男、アブロ登場
 治療院にて
 いざ、冒険の旅へ


§3−1 プロローグ

西のフェニックス、東のマイディラン。
ヴァルカニアを挟んだ2つの大国は今も尚あの忌まわしい”大災厄”からの復興中である。
秘術魔法を廃し、剣の力を基盤に帝国を再建しつつあるフェニックス。
同じく秘術よりも信仰を拠り所とし、その新しき神々の力のもと人心を掌握するマイディラン。
2つの国はあの“ドゥームズ・ディ”以来、対照的な道を辿ってきた。

マイディランは“新しき太陽”ヒルディールの名のもとに信仰を各地に広めている。
ヒルディールは異世界からの侵略に耐えて残った数少ない古き神の一人であり、暗き時代を照らす道標として人々に崇められている。
その教えは要約するならば”教えに忠実であれ”。
人は分をわきまえ、神の教えに従っていれば幸福になれるという教義である。
当然、マイディランの法律よりも優先するその教えは”ツ・アーク”と呼ばれ何よりも尊ばれている。
そのような厳格な土地柄に絶えられず、ヴァルカニアへと移住するものもいるという。

キオン市の没落により使われなくなった”旧街道”に対して”新街道”と呼ばれる街道を、1人の青年が歩いていた。
マイディラン風の窮屈な服を身に纏っているところを見るとそういう移民の1人なのかもしれない。
ヴァルカニアの6月は暑い。
神が見放したとも言われる土地で、涼しい風爽やかな空気、生活しやすい環境を期待するのが間違っているともいえる。
酷暑と熱風にさらされてボロボロになった青年の顔。
眼の周りには黒い隈が貼り付き、鼻の頭の皮は剥け、長く洗髪していない髪はボサボサだ。
そうして歯を食いしばるようにして歩を進めている。
額を汗が流れ落ちる。埃があちこちにへばりつく。
移民というよりは難民といった感じだが、彼の目に宿る強い意志の光がそれを否定する。
街道とは言うものの舗装状態は劣悪で、あちこちに水溜りができ、岩や小石がごろごろしているような道だ(もっとも、これでもヴァルカニアでは最良の道なのだが)。
おそらくその男の足は豆でボロボロになっているだろう。
歩き続けた疲労のために筋肉はパンパンに張っているだろう。
それでも男は歩く。
街道の先を厳しい視線で睨みつけながら。

太陽が、ヒルディールが頂点を滑り落ち始めてから数時間がたった。
今となれば彼が何故ゆっくりと歩いているかが分かるだろう。
背負った人物を気遣っているのだ。
この男はただでさえ過酷な熱気の中を、人を背中に背負って歩いているのである。
背負われている者はフードをまぶかに被っているために人相風体は分からないが、どうも小柄な人物のようだ。
時々道端に腰を降ろしては容態を確認するかのようにフードの奥を覗き込み、水筒から水を与える。
その男にとってはよほど大事な人物らしい。
いたわり方からそれが分かる。
そうしながら休むことなく、ゆっくりと、男はヴァルカニア南西部最大の都市ジッタールを目指していた…。
『あそこならば…きっと…。』
苦しげに唇の隙間から漏れた言葉にも、乾いた大地は何も答えてくれない。

§3−2 プレイヤーキャラクター

などとプロローグを書いてしまいましたが。
あくまでもプレイリポートなんでいらないんですけどね、こんなもん(笑)。
長く続くキャンペーンになるかもしれないので記念にちょっとだけ…

各キャラクターの設定に関してはメーリングリストや身内の掲示板で意見交換しながら煮詰めていきました。
とっぴょうしも無い世界設定だったんですが、プレイヤーの人達が頑張っていろいろと考えてくれました。
……Dice Of Fury に合わせようと苦心していたようですなぁ(笑)←フィーンディッシュDM
キャラクター背景設定のコーナーと重複しますが、ここにもう一度載せておきます。
(あっちの方は随時更新していくため、これが「初期設定」となります)

ガロウズ
人間、2レベルファイター、男

HFO。
愚直なまでに真っ正直に生きる男。
頼まれると断れない性格で、困っている人をほおっておけない。
人は彼を”善なる戦士”と呼ぶ。

アブロ
人間、1レベルローグ、男

・キャラクター設定
元、ジプシー旅芸人一座「ブロンズ過積載」のメンバー(どんな名前だ)。
……が、副業でやっていた空き巣がバレて一座は解散。
アブロは運良く逃げ出して放浪の旅に出てます。

で、そろそろ路銀もつきそうだし、空き巣は性に合わないしで、一山当てられそうな冒険者一行に潜り込めないかと考えているところ、ってな感じで。

ヴァロック
人間、1レベルクレリック、男

・旅立ちの動機
妹がいる。名前はレア。レアは重病にかかっていてその病は神の力すら及ばない。
ここ2週間が峠だと聞かされて、焦っている。
そんな時、オークハーストで
『病気を癒し、体力を付ける不思議な木の実があるらしい…』
と言う情報を手に入れた。
それさえあればレアの病気が治るかもしれない。
それを探す為に旅立つ事にした。

・その他
レアはブロンズなんちゃらと名乗る旅芸人の一座を追っかけていたらしい。
その中でもアブなんとかと言う奴が気に入っていたと言う話だ。

・更にその他
成人の日にレアからグレートヘルムをもらった。一生大切にしようと誓った。

ウエスト
人間、1レベルウィザード、男

・行動
ヴァロックの妹の病気を治す方法が自分の所持する「60の夏」という書物に書かれているかもしれない、と言ってヴァロックと行動を共にしているウィザード。
ヴァルカニアでは魔術師の1人歩きは危険なため、僧侶と一緒に行動するのは賢明であると言える。
決して本心を明かさず、闇のようにパーティに連れそう”怪しい男”。

グライズ=ボーズ
人間、2レベルバーバリアン、男

・気性
とにかく荒っぽく、なんでもパワーで解決できると考えているパワーJ
何も考えていないようで何かを秘めている予感のする男。

サイラン
エルフ、2レベルモンク、男

・生い立ち
 サイランは魔術師としての素質がなく、かといって信心深いわけでもないためエルフの村でも孤立していた。そんなある日、命の危機を「SwimingOX」というモンクに助けられる。
 ヴァルカニアのエルフの類に漏れず、人間を見下していたサイランだったが、オックスと交流を深めるうちに「人間にもいい奴はいるのではないか」と思うようになり、彼の勧めもあってモンクとしての修行をつみ、人間と言うものを見てみようと思い、旅に出た。

・気質
 能力のある人間やいい奴は好ましく思うが、親の七光りで役職についたような奴は大嫌い。その辺遠慮を知らないので、貴族のバカボンボンとか見たら堂々と侮蔑の言葉を吐いて問題を起こすと思われます(って言うか起こします
・好きな戦法は先手必勝、手数で勝負なかんじ。

ジッター
人間、1レベルパラディン、男

・外見
「天野喜孝が描きそうな」パラディン
無精ひげ、銀髪、長髪で紙を後ろで結んでいる、中近東からアジア風の色彩の服

・キャラクターの設定
 ジッターはゴートスのアスリートな面が強いキャラクターで武術を極めることを目標として、もちろん冒険の目的もそうです。しかし、剣を極めるには、心も鍛える必要があることを理解し、剣よりもむしろ心に重きを置き始めています。
 そんで、自分だけではなく、他人の心も鍛えることもよく行います。そして鍛えた後にはひっそりと数人かの弟子を取ることが夢だったりします。

・旅立ちの動機
剣の師匠であるブラフォード卿が行方不明に。
なんとかかんとか有給休暇を取りつけたジッターは寺院の激務の合間を縫って師匠が最後に見られたというオークハースト村へ出発したのだった。

・プレイヤーの意気込み
がちがちのアーキテクトなパラディンではなく、口は結構汚いけど根は優しい、みたいなフランクなパラディンをやってみようかと。

クロナス
人間、1レベルレンジャー、男

・出自
オークハーストの東の森に住んでいたレンジャー。

・旅立ちの動機
近くの村(オークハースト)へ行けば何か運が開けるかもしれない、と思ってやってきた。


ノインガム
人間、2レベルドルイド、男

・キャラクター設定
 チキン・ザ・マンデルの行為で荒廃したヴァルカニアの中で、尚生き続けるまだ見ぬ動物や植物に会える事を、又それらの力を得る事を期待して放浪を続けていたノインガム。その放浪の最中にグライズに会った。
 只グライズと共に行動するようになってから、微妙に方向がずれてきているような……?。その上ヴァルカニアは自然生物にとってやはりつらいらしく、閑散とした風景をながめては、彼はふと懐かしき森に想いを馳せるのですよ、きっと。

§3−3 集う冒険者たち

…と、いう面々ですが、今回はグライズ、ノインガムがお休みでした。
それでも7人もいるしなぁ(笑)。
ヴァロックはヴァーダントロードになれないらしい(笑)ので、能力値の入換えなどをして根本的にキャラを作り直しました。

ちなみに今回はこんな感じです。

(ウエスト『ああ、こんなことならショッキンググラスプとっておけばよかったぁ!(笑)』)

BM『さて、それでは13忍者キャンペーンの第1回を始めたいと思います。』
一同『パチパチパチ…。』
BM『さあ、石川さん、ICレコーダーを…。』
石川『電池。』
BM『おお、今回は電池が入ってるんですね。』
石川『いや、電池。』
ヤモン『またかーっ!(笑)。』
だいすけ『買って来いよ!(笑)。この辺(※1)なら売るほど売ってるだろ!(笑)。』
BM『売るほど(笑)。』
石川『えぇー。』

準備なし!!
っていうか開幕0.1モカの方向性で(笑)。

オークハースト V.D803年6月15日(日)

BM『…というわけで恒例の(?)行事も済みましたので…。どのキャラクターから導入を始めるか決めたいと思います…ピョロリラピョロリラ…キュピーン!(※2)。…えーと、クロナスさんですね。』
クロナス『はい。』
BM『森を出て外に出るとなると…えーと、この地図を見てもらえますか。』

ここでヴァルカニアの簡略マップを広げる。
まだ細かいところまで決める必要が無いのでスカスカな地図だ(笑)。

(縮尺は特になし…ですが、だいたいオークハーストからジッタールまで歩いて10日)

BM『この、森の南にある都市のキオン。ここは治安が悪いことで評判なんですよ。』
クロナス『いきなり治安が悪いところに行くのは嫌ですね。』
BM『シーフギルドがキオン市を牛耳っていますからね。だから川を越えてロウパスまで行くか、近くのオークハーストに行くかという感じなんです。で、まあオークハーストに行くのが無難では無いかと。』
クロナス『そうですね。とりあえず近くの村で色々と話を聞いてみましょう。』

荒れた耕作地と痩せこけた家畜をわずかばかりの策や囲いで守るつつましい村、オークハースト。
人口は900ほどだろうか。
住む者のと建物の数だけで言えば”町”といってもいいぐらいだが、古ぼけた掘っ立て小屋のような家とボロボロの囲いしか無い町並みは貧相極まりない。
誰も住まなくなったあばら家があちこちにあり、いくつかの家畜小屋は空になっている。
住人たちもどこか暗い顔をして農作業に精をだしている。
と、いうヴァルカニアでは標準的な陰気な村である。

BM『クロナスが村に近付くと、そのボロボロの服をまとった血色の悪い住民の1人が声をかけてきます。』
クロナス『むむ。』
住民『アンタ…この村に何しに来た?。』

手に手に農具を持って何人かの村人が集まってくる。
みんな不安そうな顔をしている。

クロナス『いや、私はここに旅をして来たのであって、危害を加えようとは思っていない。』
住民『本当か?。』
クロナス『ああ。』
住民『じゃあその武器を置いて村に入ってくれ。奪うわけじゃない。出るときには返す。』
クロナス『…いいだろう。』

これはヴァルカニアでは決して珍しくない風習。
ほとんどの都市は武装した人物の出入りには気を使う(いつ夜盗や山賊が襲ってくるかも分からないし、もしかしたらその人物が悪党の内通者かもしれないからである)。
キオンのような無法地帯は別であるが…。

住民『どっちから来なすった?。』
クロナス『すぐ近くの森(※3)から来た。長く歩いて来たので今日は宿が取りたいし、食事もしたい。どこか良い場所があるかね?。』
住民『ああ、そんなら”老いた猪亭”に行くと良いよ。』
クロナス『ああ、ありがとう。』

ぎりぎり”宿”と呼べるよなシロモノがクロナスの前に姿を現した。
看板には力強く”老いた猪亭”と書いてある。
どうも、威勢がいいのはこの看板だけといった感じのボロい建物である。
カウンターには苦虫を噛み潰したような…猪のような…顔の親父が待ち構えていた。
客に向かって挨拶もせず、無言で壁の張り紙を指差す。

BM『こんな感じです(といってDMG(日)p148のイラスト(※4)を見せる)。』
クロナス『えーと、"No SpellCasting"…?。呪文を投射するなってか。いや、俺はスペルキャスターじゃないよ。』

店内には真昼間から酒をあおっているやさぐれた男(アブロ)がいるだけ。
しかたなくおやじと会話するクロナス(笑)。

おやじ『なら飲ませてやるし、泊めてやる。なにがいい?。』
クロナス『エール…かな。2つ頼むよ。』
おやじ『去年は不作だったでな。エールは銅貨5枚になっとる。』
クロナス『ああ。…(金を払いながら)…ところで、この辺にゴブリンが良く出ているようだが?。』
おやじ『(エールを置きながら)…ああ、そうさなぁ。最近じゃ村のほうまで出てくるんじゃ。家畜も守らなきゃいかんし、困っとるよ。』
クロナス『良く出るようになったのはごく最近かい?。』
おやじ『うーん、前々から南の峡谷の方にいるらしいとは言われておったんじゃがのう。こっちにまで頻繁に来るようになったのは最近かのう…。』
クロナス『ふぅむ。』

クロナスとおやじはゴブリンをネタに酒を飲み始めた。
いつのまにか2つめのジョッキはおやじが握っていた(笑)。
というところで次のキャラへ。

”軽”戦士ジッター

BM『では次の人…(キュピーン)…えーと、ジッターかな。』
ジッター『うーす。』
BM『君はジッタール市で働くパラディンだが。』
ジッター『…その割には金が無い。どうしよう。』
BM『…だろ?(笑)。っていうかもう借金してるだろ。ヴァロックと知り合いじゃないのか?。』
ジッター『そうだなぁ。どうやって知り合ったの?。』
BM『君が当直の時にゴートス寺院に少女が運び込まれたんだ。治療を受ける前にぶっ倒れてしまって…そこを偶然通りがかって介抱したのが君だ。その光る手で(※5)。』
ジッター『ああそうそう(笑)。この「レイオンハンド」でね。』
BM『で、まあその少女の兄貴がヴァロックだったのだよ。』
ジッター『おおそうか、じゃあ早速だが金貨20枚貸してくれ(笑)。』
ヴァロック『(いいけどさぁ)。』
BM『で、君の知り合いにブラフォード卿という人がいる。同じゴートスのパラディンなんだが…君にとってどういう関係にあるのかな?。親?親戚?同僚?それとも師匠?。』
ジッター『俺は剣の腕を磨いているわけだから…師匠かなあ。』
BM『オーケー。じゃあ、君の師匠が行方不明になった(爆笑)。』
ジッター『なにぃーーっ!!(笑)。』

プレイヤーの間からは”BMだから当たり前だろ”の声が。
こらこら。
業界一痺れる優しいDMのこの俺様が……おいっ!聞けっ!。

ウエスト『(分かっていても師匠を選んでしまったか(笑))。』
BM『師匠が”ゴブリン退治に行く”と言ってジッタールを出たのが1ヶ月前。それっきり消息不明なんだな。』
ジッター『すぐに探しに行きたい。』
BM『ところが。寺院での仕事があるんでそう簡単には抜けられなかったんだ。君は寄付をして(所持金が0になって)、働いて、やっと休暇を貰った。』
ジッター『ううむ、行きたいけど金が無い…あ、そうだ(ヴァロックの方を見る)。』
ヴァロック『(なんだよ(笑))。』
ジッター『ヴァロックを酒場に呼び出そう。』
ヴァロック『(そこに)居て良い?。』
BM『いいよ。』

ジッタールにある大きな大衆酒場で待ち合わせるジッターとヴァロック。
会うなりとんでもないことを言い出すジッター。

ジッター『よう!ヴァロック!。今日はお前の金で飲むぞ!(笑)。』
ヴァロック『ええー?(笑)』
ウエスト『(いいんか、そんなんで)。』
BM『パラディンなのになぁ。』
ヴァロック『(まあ、コイツには妹を助けてもらった借りがあるしなぁ…)いいけど、どうしたんだよ。』
ジッター『実は色々あって金が無い。よって今日はお前の金で飲もう!。』
ヴァロック『(説明になってねぇよ!)。まあいいや。…分かったよ!!(笑)。』
BM『と、そのヴァロックの後ろに見慣れない男が1人(ウエスト)。まあ、あからさまに魔法使いだね。』
ウエスト『くっくっく。』
ジッター『ふーん。ま、それはいいや(笑)。こんにちわ。…あと、実は旅をするのに路銀が無くてなぁ…。』
ヴァロック『お前、何も無いじゃないか!(笑)。』
ジッター『まあまあ。』
ヴァロック『まあまあじゃない!。』

どういうパラディンなんだコイツは(笑)。
普段の寺院の仕事が厳しすぎてこういう所で緩むのだろうか。
ま、そういうことにしておこう。

ジッター『実はな。俺の師匠が行方不明になったもんでな。それを探しに遠くまで行く事になったのよ。』
ヴァロック『へえ。』
BM『なんてことを言っていると店に若い娘が3〜4人やってくる。黄色い声を上げながら。』
娘たち『ジッターさ〜〜ん。』
ジッター『やあ!。』
ウエスト『(なんなんだコイツは…)』
娘『ねえねえ、なんだか寺院で聞いたらジッターさん休暇を取って遠くへ行っちゃうって?。』
ジッター『そうなんだ。師匠探しの旅に出るんだ(ニヤけながら)。』
娘『えー、いやよー。』
ジッター『はっはっは、仕方が無いんだ。きっと戻ってくるから安心しておくれ。』
娘『きっとよ?。じゃあ、これ餞別の…』
BM『…というところでCharisma 【魅力】 判定してくれ。』
ジッター『よし…あれ、9しかないや。』
BM『じゃあ娘たちは君に食料を…5日分くれた。』

こんなに貧乏で、どうやって生活していたかの謎が解けた(笑)。

ジッター『お、おおこれはマジでありがてぇ!(笑)。』
娘『どこまで行くの?。』
ジッター『(マスターに)どこ?』
BM『ブラフォードは”オークハーストに行く”って言ってたな。』
ジッター『じゃあ、オークハーストって村だ。』
娘『オークハースト…?あ、知ってる!。その辺で美容に良い木の実が取れるって聞いたことあるわ!。』
ジッター『美容?(俺には必要無いな←カリスマ18)。』
娘『そうそう。なんでも夏に取れる木の実で…』
娘2『アラ、私は健康に良いって聞いたけど?。食べれば風邪引かないって…。』
娘3『えー?。私は病気が治るって聞いたけど?。どんな病気でも治るって…。』
ヴァロック『(話に割り込んで)…本当か!?。病気が治るって?。』
娘3『ええ。寺院の人に聞いたから間違いないわ。なんでもロウパス(街道沿いの小さな村)のおじいさんが、ゴブリンが持ってきたって言う木の実を食べたら悪かった脚が治ったんですって。食べた次の日には歩けるようになったって言う話よ。』
ウエスト『ゴブリン…?。信用できない話だな。』
ヴァロック『ちなみに、妹の容態はどんな感じ?。』
BM『キュアディジーズで少しずつ伸ばしてはいるけど…あと2週間ぐらいだとゴートス寺院では言われたね。』
ヴァロック『…じゃあ…行くか。そこへ。』
ウエスト『え?。ヴァロック殿、オークハーストへ行くのですか?。』
ヴァロック『もう時間が無いんだ。』
ジッター『なんだ、お前らも行くのか?。丁度良い。一緒に行こう。』
ヴァロック『ああ。』
ウエスト『え?…行くの?…だって、ゴブリンだよ…?(笑)。』
ヴァロック『行く!。』

こうして(やや不納得なウエストを含む)一行はオークハースト目指して出発した。
徒歩では10日ほどかかってしまうため、乗合馬車に便乗する事にした。
ジッターが馬車の護衛をするという条件で格安で乗せてもらえた。
村の入り口でもクレリックとパラディンがいるため、ウエストのことはなんなく許してもらえた。

ウエスト『(小声で)ちっ、辛気臭い村だな…。』
ヴァロック『俺は妹をこの村の治療院に預けに行って来る。酒場で待っててくれ。』
ジッター『あいよ。』

なんとかオークハーストに辿り着いた3人。
果たしてどうなるデコボコトリオ。

善なる戦士

BM『…と、残るはガロウズとサイランか。君たちは今グラス村で守備隊のようなことをしている。』
ガロウズ『今は夏でしょ?。じゃああれから(※6)半年ここにいたのか。』
BM『そうだね。で、何回か夜盗の襲撃があった。それを2人で撃退してきたんだ。』
ガロウズ『グライズとノインガムは?。』
BM『彼らは近くの森に行った。そこのドルイドたちと交流しに行ったようだ。で、まあ何度も襲撃を受けたわけだが。どうも気になる点があった。襲ってくる盗賊たちが、どうも君を狙っている気がしたんだ。』
ガロウズ『うーん?。』
BM『家畜小屋への被害が無いのに君のいる建物が狙われたり…戦闘中に盗賊が一斉に君の元へ殺到したり。なんだか腑に落ちない点が多い。』
ガロウズ『それはおかしいね。』
BM『で、まあ君が狙われているんなら、ここに留まっているのは問題じゃないかと。』
ガロウズ『そうかもね。どうしようか。』
BM『そんなことを考えている時にだ。グラスの隣のオークハーストで、人探しをしている人物がいるという噂を聞いた。』
ガロウズ『うーん、じゃあ行って見るかな。これであっちに夜盗が出始めたら狙いがハッキリするしな。』
サイラン『そういうことなら俺も行こう。』
BM『その人物はケロウィンという名前だそうだ。』

かくしてグラス村を旅立った2人。
グラス村の人たちは食料まで持たせて、暖かく送り出してくれた。
オークハーストについたところで、やはり村人が誰何しに出てくる。

村人『なんじゃね、アンタら(ほんに今日は色んなヤツが来るのう)。』
ガロウズ『あーっと、俺はあちこちを旅しているガロウズって言うもんだが。』
村人『(ころころ)…知らんのう。何しにきた。そんな、武器をたくさん持って。』
ガロウズ『ここでケロウィンって人が人探しをしているって聞いたんだけど…。』
村人『たしかに、ケロウィンさんなら滞在しとるが…。』
ガロウズ『会いたいのだが。』
村人2『(おい、アレはグラス村でホルグを倒したっちゅう戦士じゃないか?。)』
村人1『(そうけ?。)』
村人2『(たしかガロウズと言った気がするんじゃが。)』
村人1『(ああ、そういえばそうかもしれんの。)…あんた、あのガロウズさんかね?。ホルグを倒したっちゅう。』
ガロウズ『…そうだよ。』
村人1『ほう。なら、ええだ。じゃが決まりなんでの。そこに武器を置いていってくれんかの?。』
ガロウズ『ケロウィンさんはどこにいるんだ?。』
村人1『今は村長さんと世間話でもしとるんかの。…呼んで来るで、”老いた猪亭”で待っててくれんか。』

こうしてアブロとクロナスがいる酒場に2人が行く事になった。
果たして一行は出会えるのか(笑)。

ケロウィン・ハクリール

この時点で”老いた猪”亭の店内には昼から飲んでいたアブロ、クロナスがいた。
そこへジッター、ウエストが加わり、夕方すぎにはガロウズとサイランが現れた。
これで治療院に行ったヴァロック以外のPCは全員揃ったことになる。
店内は久しぶりの活況に満ち、店のおやじはあちこち駆けずり回っていた。

下男らしい男を引き連れてガロウズの元に訪れたのは、浅黒い体格の良い中年の紳士だった。
おおよそオークハーストには似つかわしくない育ちの良さが滲み出ている。


(ケロウィンとガロウズ&サイラン)

神経質に手を揉み合わせながら切り出すケロウィン。
ケロウィン『…君が、あのホルグを倒したというガロウズ君かね?。』
ガロウズ『そうですが。』
ケロウィン『私はジッタールで商業を営むハクリール家の当主でケロウィンという。実は私の兄弟たちが行方不明になったのだ。』
ガロウズ『それは大変ですね。』
ケロウィン『ゴートス寺院のブラフォード卿がゴブリン退治に出たのだ。どうやらそのミッションにウチの兄弟たちが参加したらしいのだ…。アイツらは危険な仕事を引き受け、報酬でその日暮しをするという稼業に手を染めておってな。ワシもなんども止めたんじゃがな。どうしても止めやせんで、ついにはこんなことになってしもうた。』

余程悔しかったのか、愚痴気味になるケロウィン。
つーかその冒険者を目の前にして良く言うよな(笑)。

ケロウィン『このオークハーストに来たという事は分かっておるんじゃ。それはワシがこの村で調べたからな。…そしてこの近くのゴブリンの住処に向かったっきり帰ってこんのじゃ。』
ガロウズ『なるほど。』
ケロウィン『2人を探してはくれんか?。報酬は用意する。』
ガロウズ『引き受けましょう。』

ジッター『ねえ、それって俺たちにも聞こえてるの?。』
BM『そうだね他にめぼしい話題も無かったから…よく聞こえたんじゃないかな。』
ジッター『じゃあ後ろから肩を叩こう。えー、俺もブラフォード卿を探しているんで、一緒に行くぞ。』
クロナス『私も一緒に行こう!(笑)。』
ガロウズ『おおそうか、よろしく頼む。』
ウエスト『おまえら頭悪いだろ!(笑)。』
ガロウズ『俺は疑わないし。』
ジッター『いやー、これが悪いんですよ(キャラクターシートを指差しながら楽しそうに)。』

ジッターの知力は8。
一般人(10)以下なので決して良いとは言えない。

ウエスト『しかも勝手に行く事になってるしー(笑)。ヴァロックはまだ来ないのか?。』
ヴァロック『来ないの?。』
BM『君は今、治療院でヒーラーの人と話してる最中。妹さんの治療もしてるしね。しばらくかかるよ。』
ヴァロック『それなら仕方ない。』
ジッター『まあ、安心しろ。』
ウエスト『お前は安心できん!(笑)。』

謎の男、アブロ登場

アブロ『ねえ、それって…(裏設定用紙を指しながら)…これのことだよね?。』
BM『(そうです。アブロが一緒に行ってたという人たちのことのようですね)。』
アブロ『(なら…この辺が出るタイミングかな)。酒場の隅からボソリと呟きます。…あー、それについちゃあ俺は知らないでもないナァ。』
ケロウィン『(血相を変えて)な、なに!?本当か?。』
アブロ『ああ。その証拠にそいつらの名前を教えてやろうか?。』
ケロウィン『ぜ、是非…。』

あきらかにボッタくってください状態のケロウィンさん。
これを百戦錬磨のアブロが見逃すはずはなかった(笑)。
シメタとばかりに喰らい付く。

アブロ『…おいおい、タダってこたぁ無いんじゃないのか?。』
ケロウィン『(無言で財布から金貨10枚出してテーブルに載せる)…。』
アブロ『(硬貨を数えてしまいながら)…そのブラフォードってヤツと、ファイターのタルジェン、ウィザードのシャーウィン、それにレンジャーのカラカスってのが一緒に行った奴等の名前だ。』
ケロウィン『そ、そうです。タルジェンとシャーウィンが私の兄弟です。何故知っているのですか?。』
アブロ『…なぜなら、俺も途中までは一緒に行ったからな。』
ケロウィン『え、ええーっ!。それではその様子を詳しく教えてくだされ!。』

まんまと金貨をせしめて愉快そうなアブロ(笑)。
実はアブロは”ブラフォードたちと一緒に行ったが途中ではぐれて引き返してきた”という設定の持ち主だったのだ。
そのため場所やその行方不明になった地域の情報を知っている。
これを小出しにしながらパーティを引っ張るというアツイ役まわりなのだった。

アブロ『うーん、救助したら報酬が出るといったよなぁ?ケロウィンさん。いくら出すんだい?。』
ウエスト『(突然)ちょっと待った!。俺もその情報に興味あるな。(と、懐をチャラチャラ言わせながらテーブルから立ち上がる)』
アブロ『ん?。』
ウエスト『(チャラチャラ)こっちもその情報を買いたい、って言ってるんだ。』
ケロウィン『(慌てて)た、助けてくれましたら金貨700枚出させていただきます。』
アブロ『それは行ったヤツで山分けだろ?。』
ケロウィン『いやいや、アナタにはその他に金貨100枚を上乗せさせていただきます。』
アブロ『じゃ、そっちに乗った。』
ウエスト『ち、そんなに出されちゃお手上げだな。譲るぜ(笑)。』
BM『譲るって…ちなみに、いくら持ってたんですか?。』
ウエスト『…実は無い。』
BM『…何の音ですか?(笑)。』
ウエスト『いやぁー、マテコン※7)とか?(笑)。』
BM『ありえねー。』
サイラン『ま、俺はガロウズが行くならついて行くけど…そんな金に汚い人間たちのザマを見て、密かにため息をついています。』
BM『やっぱりダメだ…みたいな?(笑)。』
サイラン『そう。そんな感じで。』

金に汚い人間ども(笑)はワラワラと集まってきて、この仕事に群がったのだった。

治療院にて

オークハーストの粗末な治療院のベッドにヴァロックの妹が寝かされていた。
大量に汗をかいてはいるが咳と発作は治まったたようで、今では軽い寝息をたてている。
その寝汗を優しい顔立ちの女性が丁寧に拭き取っている。
ヴァロックはそれに背を向けるようにして入り口近くの椅子に腰掛けている。

フェロシアル『…これで、とりあえず発作は治まると思うのだけれども…。』
ヴァロック『(後ろを向いたままで)…ありがとうございます。…実際、妹はあとどのくらいなのでしょうか?。』
フェロシアル『そうね。ジッタールの寺院で治療しても治らなかったのなら…持ってあと1週間といったところかしら。』
ヴァロック『……そうですか。』
フェロシアル『気を落とさないで。守護の女神デルソフィ(※8)は私達を見守っているわ。』
ヴァロック『そうですね。…ヒーラー様、お尋ねしたいことがあるのですが?。』
フェロシアル『何かしら?。』
ヴァロック『このあたりに育つという”病気を治す木の実”についてご存じ無いでしょうか?。』
フェロシアル『もちろん、あるわ。私はヒーラーですもの。』

途端に元気になるヴァロック。
振り返ってフェロシアルの方に歩み寄る。

ヴァロック『本当ですか!。それはいったいどういうものなのでしょうか!?。』
フェロシアル『10年ほど前からこの地方に伝わる伝説なのよ。その、赤い林檎の実を食べるとどんな病気や怪我でもたちどころに治るらしいわ。』
ヴァロック『それはどこに生えているのですか?。』
フェロシアル『分からないわ…ただ…それを売りに来るのはゴブリンらしいわ。』
ヴァロック『ゴブリン!?。』
フェロシアル『ええ、そう。毎年、夏…そう、ちょうどこのぐらいの時期になると…ゴブリンが売りに来るのよ。しかし、その効果は本物のようよ。実際に病気が治ったり、怪我が癒えたりしたという話は聞いているわ。』
ヴァロック『この辺に棲むゴブリンたちが?。』
フェロシアル『なにか関係があるかもしれないわね。』

それを聞いたヴァロックは礼を言うのも忘れ、走って”老いた猪亭”に向かったのだった。

いざ、冒険の旅へ

酒場ではガロウズを中心に寄り集まり、ケロウィンから行方不明になった2人の姿などを聞き出していた。

ガロウズ『…なるほど。その指輪があれば身元がすぐに分かるのですね?。』
ウエスト『ああ、そりゃ”印章付き指輪”ってヤツだな。』
ケロウィン『そうです。それからタルジェンは…』

そこへ扉を蹴り開け中に踊りこんだヴァロック。

ヴァロック『おいっ!ジッター!。ゴブリンの所に行こう!。』
ジッター『いや、だから行くんだってば。』
ウエスト『なんだなんだいきなり。』
ヴァロック『実は…こういうことで…ゴブリンの所に行けば何か分かるんじゃないかと。』
ジッター『うん。じゃあ、行くか。』
ウエスト『…お前…。』
BM『ところでウエストさん。その”木の実”について聞いたんで、〈Knowledge(60 Summers)/知識(60の夏)〉(※9)でロールしてみてください。』
ウエスト『ん?。なんか、嫌な予感がするんだが(笑)。えーと…ああ、11しか行かねぇや。』
BM『なるほど。じゃあ”ちょっと気になった”程度で。その木の実が60の夏と関係あるような気がしました。一瞬。』
ウエスト『むむぅ。ちなみにこれってどーいう知識なの?。』
BM『ウエストの持っている”60の夏”に書いてある学問のようなものです。オカルトと初歩的な科学(錬金術)を足したような…それに占いと占星術を足したような…。ようするにインチキっぽいヤツ(笑)。』
ウエスト『ふーん。…ちなみにこの本って軽くならない?(笑)。重いんだけど。』
BM『いや、軽くはなりませんが(笑)。あ、そうそう、その本は”60の夏 第1巻”ですんでヨロシク(笑)。』
ウエスト『なにぃーーーっ!!。』

ヴァロックが加わり、これでパーティ全員が一緒になった。
なんとかまとまったみたいだ。

ガロウズ『さて、アブロはブラフォードが行った場所を知っているんだよね?。どこなの?。』
アブロ『おっと、そいつは教えられねぇなぁ(笑)。』
ウエスト『なんだとー?。』
アブロ『当たり前だろ?。それを教えてトンズラされちまったらこっちは割に合わないからなぁ。へっへっへ、依頼達成まではこっちのペースで情報は出させて貰うぜ。』
ガロウズ『なるほど。』
サイラン『これだから人間ってヤツは…。』
ヴァロック『頼むぜー?。こっちは俺の妹の命がかかってるんだからな?。』
アブロ『へいへい。分かってますって(ニヤリ)。』
ウエスト『まあいい、これは好都合かもしれん…(くっくっく)。』
ジッター『さあ、師匠を助けに行くぜ!。』

…やっぱりまとまってないかも?(笑)
さあ、次回は探索だ!。

<第3話 了>


*注釈*

※1 この辺
電器屋がたくさんある場所でプレイしてました。




※2 キュピーン
R2−D2型電子6面体を使ってました。
ピロピロ鳴った後でキュピーンと目が表示されます。





※3 近くの森
特に名前が知られているほど大きな森じゃなかったので。
単に”キオンの北の森”とか、そーゆうレベルの森です。




※4 DMGのイラスト
DMに頼んで見せてもらいましょう(笑)。




※5 光る手
『俺のこの手が光って唸る!お前を治せと輝き叫ぶ!!。』 





※6 あれから
前回のミニセッション(0.5回)参照。
グラス村を救ったガロウズは、村の警備隊として過ごしていたのでした。




※7 マテコン
”マテリアルコンポーネント”の略。
いわゆる触媒のことです。
(…ってもしかしてこう言ってるのレインボーだけ??(笑)。)
”ソマコン”とか”ババコン”とかは言わないなあ、そういや。






※8 デルソフィ
守護と治癒を司る慈悲の女神。
その御心は寛大で、善でも悪でも同様に癒して包み込む。
…そのため”悪・即・斬”のゴートス信者には煙たがられている場合もある。
Head Defense なヴァロックは当然こーゆう神様を選択。




※9 〈Knowledge(60 Summers)/知識(60の夏)〉
もちろん自作ルールです。
オカルト…というかトンデモというか。
怪しげで一般人が理解できない謎の学問の知識です。











[EOF]