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D&Dはじめの一歩特別編
サイオニックはじめの一歩
五歩目:パワーとハサミは使いよう
060301 いしかわ
前章にて述べたように、
”パワー使用は、多くの場合魔法よりも消耗率が高く、勢いサイオニック使いは「電池切れが早い」などと揶揄される。
そうしたサイオニックが有効に運用されるには
1)電池切れの前に圧倒する
2)電池切れが起こらないような工夫と運用
3)電池切れしても回復するorそれまでに撤退する判断と能力
が重要になってくる。”
わけだが、パワーの選択だけではこうした困難を逃れることは難しい。
特に3)は難しい。現在置かれている状況を客観的に観察する力や彼我戦力を比較する冷静さは知識だけでフォローできるものではなく、たくさんの経験と試行錯誤のすえに獲得できるものであり、サイオニック使いであるか否かにかかわらず難しいのだ。ぶっちゃけいしかわもそんなに自信があるわけでもないのでここは華麗にスルーしつつ、ルールを調べれば何とかなりそうな1)および2)について述べていこう。そうしよう。
とか思ってたら前回・前々回と寄稿してくださった”ザ・ドロマイト” Lapin氏が再度ご寄稿下さった。
上記項目中、特に2)に関わる内容がTips的にまとめられてるので、まずはこちらをご紹介しよう。
Lapin's サイオニック応用編
ただある能力を使うだけでは面白味に欠けます。
どんなパワーも使い方次第。
ここでは、低レベルから使える、特技やパワーの応用や組合わせについて幾つか例を挙げてみます。
・《技能熟練(精神集中)》 (再録)
〈精神集中〉に+3のボーナスが貰える特技。《戦闘発現》が防御的発現の時のみ、《精神集束》がサイオニック集束を得る時にのみ+4のボーナスを貰えるのに比べ、あらゆる状況で+3のボーナスが貰えることを考えればその便利さが判ります。足留め袋をぶつけられた時や絡みつかれた状態になったとき、更には組みつかれたときでも有効です。
・パワーを発現する
サイオニック・パワーの発現は、純粋に精神的なアクションです。つまり精神が働いてさえいれば麻痺していても使うことが出来ます。
ただし、幻惑状態や吐き気がする状態、朦朧状態にあるときには発現することが出来ません。
#《パワー状態克服化》を使えばそのような場合でもある種のパワーを発現することが出来ますが、それが可能になるのはずっと先のことでしょう。
・サイクリスタルを取ろう
《サイクリスタル共感》の特技を取得すれば、サイクリスタルを得られます。サイクリスタルは後々便利なので、取っておいて損はありません。サイクリスタルが与えてくれる利益も便利です。
例えば、《サイクリスタル封入》まで取得すれば、サイクリスタルにサイオニック集束を持たせておくことが出来ます。使うのにサイオニック集束を消費する必要のあるサイオニック特技やサイオニック修正特技は、その性質上、同じような他の特技と同時に使用することが出来ません。しかし、サイクリスタルにもサイオニック集束を持たせておけば、この問題も解決します。
また、ソリシット・サイクリスタルのようにサイクリスタルを前提とするパワーもあります。
・エルフサイト + シネシート + マイ・ライト
特にサイオン/ローグのマルチクラスにお奨めです。エルフサイトは夜目が得られるだけでなく、あたかもエルフのように隠し扉に気がつく可能性があります。マイ・ライトがあれば、光源を手に持つ必要も無くなります。明かりを消したいときは目を閉じればいいでしょう。目を閉じても、シネシートさえあれば、周囲の様子を“視る”ことが出来ます。おまけに〈聞き耳〉、〈視認〉、〈捜索〉といった技能に、ボーナスまでついて来ます。
・《限界突破》と《天与の素質》+エクスパンション
エクスパンションは便利なパワーだが、その持続時間は1ラウンド/レベルと短い。しかし、《限界突破》と《天与の素質》を組合わせることで、サイキック・ウォリアーなら2レベルから増幅して使うことが出来る。マルチクラスするときにも便利ですよ。
・《パワー距離延長》で光線を撃とう
エナジー・レイやクリスタル・シャードのようなパワーは1レベルから使える有用なパワーですが、距離が近距離という欠点があります。しかし、《パワー距離延長》があれば、この距離を2倍にすることが出来ます。しかも、《パワー距離延長》はサイオニック集束を消費するだけでよく、追加のパワーポイントを必要としません。
・《修得パワー追加》で他のクラスのパワーを選ぼう
サイオンならば、3レベルから《修得パワー追加》が選択肢に入るでしょう。しかも、《修得パワー追加》で修得出来るパワーは、他のクラスから選ぶことが出来ます。例えば、シェイパーでなくともアストラル・コンストラクトを使うことが出来るわけです。レベルが上がれば一層効果的で、特定の分野特有のパワーやサイキック・ウォリアーのパワーなどがお勧めです。
・シェア・ペインを活用しよう
ヴィゴーと組み合わせれば、かなり効果的な使い方が出来ます。
また、エランのサイオンならば、自らのダメージ軽減の能力との相性も悪くありません。ただし、パワーポイントを使いすぎないように気をつけましょう。
・ディテクト・ホスタイル・インテントを使おう
このパワーは範囲内の敵意ある存在を感知する能力です。ただし、[精神作用]のパワーなので、[精神作用]の無効な相手には効果がありません。逆に言うと、戦闘中にこのパワーに反応しない敵は[精神作用]が効かない相手だと予測することが出来ます。サイオニックには[精神作用]のパワーが多く、[精神作用]が効かない相手の中には見ただけではそうとは判らないものもいるので、そう言う時には便利です。ただし、ディテクト系に対して防御されているだけという可能性もあるので、確実ではありません。
また、パワーの作用中は、30フィート以内の任意の存在に対して、1回のフリーアクションで〈真意看破〉の判定を行えることも忘れてはいけません。
・パワー・ストーンを使おう
サイオニック能力者キャラクターは他の能力者やパワー・ストーンを元に、パワーの発現を試みることが出来ます(XPHp63参照)。 その為には1ラウンドかけて接続し、1ラウンド以内に発現する必要がありますが。
よって、発現時間が長くなく、持続時間の長いパワーで、緊急性の高くないものは自分で修得しないで、代わりにパワーストーンを買っておくといいでしょう。
ディスペル・サイオニクスを使う
ディスペル・サイオニクスの増幅性能は極めて優秀です。《限界突破》を使えば、8レベルで、ワイルダーが荒れ狂う激情を使うならば、7レベルで発現者レベル判定に+20できます。
・ボディ・アジャストメントとエンパシック・トランスファー
ボディ・アジャストメントの回復効率はあまり高いとは言えない上に、発現者自身にしか働きません。そこで、エンパシック・トランスファーと組合わせて使うことで、他者のダメージを回復させ、自分が受けた分はボディ・アジャストメントで回復することが出来ます。
・コントロール・オブジェクト+ソリシット・サイクリスタル
コントロール・オブジェクトについては、既に述べた通りです。
更に、ローグ/サイオン(キネティシスト)のマルチクラスしているなら〈解錠〉の際に、コントロール・オブジェクトとソリシット・サイクリスタルを組み合わせることで、自分で〈解錠〉のボーナスが貰いましょう。
・ディメンジョン・スライドあれこれ
ディメンジョン・スライドで瞬間移動し、そのまま敵を攻撃します。ロマンがあり、ヴィジュアル的にも美しい攻撃ですね。
ところで、ディメンジョン・スライドを移動アクションで発現するには追加で4パワー・ポイントを払わなければなりませんが、《限界突破》と組み合わせれば、7レベルで可能となります。
更に、ハッスルも併用すれば、ハッスルで得た移動アクションでディメンジョン・スライドを発現することで、瞬間移動後に全ラウンドアクションを取ることも可能です。
また、ディメンジョン・スライドは近距離のパワーですが、《パワー距離延長》と組み合わせれば倍の距離を瞬間移動出来ます。
パワーの選択の他にも諸問題を解決する手段はある。
たとえばXPHで追加されたサイオニック・アイテムの数々がそれだ。
以下にはサイオニック使いの行動をよりヴァリエーションに満ちたものにしてくれるアイテム類について示してある。これらのものを購入するにはもちろん古代フェニキア人の作り出した誠意を数値で示すことを可能にする悪魔の発明品が必要になるわけだが、特に消耗品の類は「パーティのために使うのだから」と他PCに幾ばくかの補助をしてもらうようにした方がいいだろう(*1)。
■コグニザンズ・クリスタル
クリスタルの装飾品に見えることが多いらしい。
ppを蓄え、必要なときに自分のppとして使用できる。ポイントをたくさん蓄えられるものほど高価だが”再充電”が可能なので、”電池切れ”の早いサイオニック使いにはけっこう便利。
■ドルジェ
いわゆる金剛杵。特定のパワーを50発分蓄えている。
ただし自分のパワーリストにあるパワーでなければ使用不可。
要はパワー版ワンド。
便利そうだが、ちゃんと解説を読んでみると、パワーには意外と持続時間の短いものが多かったりする(=最低レベルで作成すると1Rで効果がなくなる)ので作成レベルに気をつける必要がある。
特に頻用されるエクスパンションやアストラル・コンストラクトは効果時間が発現者レベル/Rなので、うかつに1レベルで作ると「大きくなった次の手番の前に元のサイズに」とか「作ったはいいけど一回殴ったら消えた」などということになりかねない。
【経験者は語る】
なので、そういったことで困りたくない人は効果時間の関係ない&増幅しなくても良いパワーのドルジェを買うのが無難だろう。
■パワーストーン
3色集めて超パワーアップ。変身したら柱とか引っこ抜いて投げる。
【ゲームが違います】。
一塊の親指大クリスタルで、1〜数回使用可能なパワーが蓄えられている。
要はパワー版スクロール。よって自分のパワーリストにあるパワーでなければ使用不可である点に注意。
ちなみに前述の通り、サイオニック使いには呪文書があるわけでもないのでパワーストーンがあっても自分のパワーのレパートリーを増やすことは出来ない点にご注意を。
■サイクラウン
宝冠状だったりクリスタル入りのヘッドバンドだったり、とにかく頭に装備する。
ppが蓄えられており、それを消費して込められているパワー(固定・たいてい複数)を使用できる。
要はパワー版スタッフ。
区分が”解放型”なので、やっぱり自分のパワーリストにあるパワーでなければ使用不可。
■サイオニック・タトゥー
5インチくらいのタトゥー(刺青)だが、人に近づけて念じることで他人に移したり出来る。キモイ。
たぶんサイオニック使いのイラストがタトゥーだらけなのはこれのせい。ちなみにみんなハゲの理由は永遠の謎。【どうでもいい】
”叩く”ことで効果を発揮する(他人のを叩くことも出来る)ので、暗闇などの視覚異常に対応したパワーをタトゥーにしておくとかいった使い方が便利かも。
要はサイオニック版ポーションだが、場所を選ばず使えるし、アイテム破壊効果を受けない(たぶん)のでポーションより使いやすい。かも。
これらのアイテムの多くは上記 2)電池切れが起こらないような工夫と運用 問題の解決の一助となるものである。
収入があったときには積極的に活用するといいだろう。
最後に。
これまでの解説にもあったようにサイオニックは強力で、しかも使い勝手が良いものも少なくない。
運用がやや難しい面があるものの、そこを乗り越えられれば君たちの目の前には芳醇たる沃野が広がっているのである。
そして何より、サイオニックは楽しい。
いしかわがこれまで何度エロいサイオニック使いに驚愕の叫びを上げ、手塩にかけたNPCやクリーチャーを瞬殺され、丹念に用意した罠を噛み破られたことか。
サイオニック使いでなくても、XPHの記述を生かして既存のキャラクターを強化したり、パワーで既存のキャラクターを助けることも十分に可能だ。
ここで、Lapin氏が示してくれた”裏”の応用編をお送りしよう。
●サイオニクス・ハンドブックの裏ススメ! 第3.5版
サイオニクス・ハンドブックを使う理由は何か?
強くなれるから?
確かに、それも1つの理由だろう。しかし、本当に大事なのはそんなことではない。強くなるだけなら、サイオニックに限らず様々な方法があるし、1人の力が及ばなくても、足りない分は仲間たちと補いあえばいい。それが仲間というものだ。
では、何故、サイオニックを使うのか。
それはロマンがあるからだ。
サイオニックを使う者は、如何に格好よく、あるいは美しく、自らの能力を発揮するか、そこにこそ重点を置くべきである。
かつて、有名なサイキック・ウォリアーはこう言った。
「強くなければ生きてはいけない。ロマンがなければ生きる資格が無い」
強さとロマンを兼ね備えた時、君は真のサイオニック能力者としての一歩を踏み出すことが出来る。
ここでは、ロマンを求めたパワーや特技の取得、生き方を幾つか紹介してみよう。
・《荒削りの素質》+《触霊攻撃》
HFOにとって最大の敵とはなんだろう? おそらくその1つは非実体の敵であろう。低レベルでは、ゴーストタッチの武器も手に入れ難いでしょう。そんなHFOの諸君は、1レベルで《荒削りの素質》を取得すれば、3レベルで《触霊攻撃》を取得できる。
己の精神を込めた武器で、奴らをぶん殴ってやれ!
・壁を駆け抜ける
《壁走り》の特技を取得すれば、壁を走りぬけることが出来る。これは面白い! 格好いい!
面白いだけでなく、ダンジョンものが主体のときは色々と役に立つ。
例えば落とし穴のに落ちたときにロープに頼らず、自力で上ることが出来るかもしれない。あるいは、逆に下に降りるときに使うことも出来る。仮に下まで辿り着けなかったとしても、《壁走り》で移動した分は落下ダメージを減らすことが出来るだろう。
将来的にも《一撃離脱》等と組合わせて、高い位置から攻撃を仕掛けつつ、駆け抜けるといった事も可能である。
・ボルトとコール・ウェポンリィ
低レベルで遭遇するダメージ減少を持った敵は恐るべき強敵と言えよう。
しかし、コール・ウェポンリィで取り寄せた武器は、ダメージ減少を抜く上では魔法の武器扱いとなる。その上、幻想的な輝きに包まれており、何よりも虚空から武器を取り出すというのが格好いい。
あるいは、ボルトも悪くない。そのままでも+1相当な上、発現者以外の者でも使える。
・コール・トゥ・マインド
埋もれていた記憶を呼び起こすことが出来る。
失敗した〈知識〉判定をやり直すことが出来る。発現時間が長いので、戦闘中には使えないが、情報収集や謎の解明の時にはぜひ使っておきたい能力だ。
・コントロール・オブジェクト(キネティシスト)
物体を動かすことが出来る。精神集中が必要な上に持続時間も短が、使い方次第で色々な応用が出来る。さらに、ローグが〈解錠〉をする時の支援にもなる。
・オブジェクト・リーディングとセンシティヴィティ・トゥ・サイキック・インプレッション
この2つさえあれば、サイキック・ディテクティヴとして生きていける、まさにサイオニックらしい能力である。めざせサイコメトラー。
ただし、この2つはシナリオを崩壊させてしまう危険性もあることを忘れてはならない。この手の身もフタもない能力はDMの用意した謎やトリック、プロットを一瞬にして崩壊に導く場合もある。
なので、シナリオやキャンペーンによっては、あらかじめDMに確認を取っておいた方がいいだろう。
・二刀流を強化せよ
オフェンシブ・プレコグニションとオフェンシヴ・プレシェンスは二刀流などの攻撃回数の多いスタイルと相性がいい。
二刀流の命中率とダメージを両方同時に上げることが出来る。理論上、手数の多いクリーチャーほど効率が良くなるのでぜひともモンクやスリクリーン、いやいっそスリクリーンのモンクなんかで試してみていただきたい。
・ノーマッドと観念移動系パワー
ある種の観念移動系のパワーはノーマッドならではの優遇措置がある。
サイオニック・レヴィテートを他者や物体に対して発現出来たり、ディメンジョン・スワップを自分以外の仲間2人を入れ替えることが出来るのもノーマッドだけなのだ。
特にディメンジョンスワップは強力で、死にそうなPCを安全地帯に移動したり、逆に攻撃力は高いが足の遅いPCを最前線に出したサモン・クリーチャー(など)と入れ替えることで戦況を一瞬で変えることが可能となるなどコンボ研究の価値が高いパワーだ。
もし、ノーマッドをやるのであれば、こうした特徴も忘れずにおきたい。
・ワイルダーとディシペイティング・タッチ
ディシペイティング・タッチは触れた箇所をの表面を消滅させるという、なかなかに格好いいパワーで、しかも、かなり強力だ。
しかし、接触が必要なので、低レベルからサイオンが積極的に使うには少々躊躇われるところ。
そう言うときこそ、ワイルダーの出番である。
基本攻撃ボーナスがクレリック並みで、パワーポイントも多く、軽装鎧や盾にも習熟しているワイルダーならば前線に立つ事が出来る。
さらに、荒れ狂う激情で発現者レベルが上がるばかりか、4レベルになれば荒れ狂う歓喜のボーナスまで入る。
・ワイルダーの荒れ狂う激情を活用しよう
ワイルダーの荒れ狂う激情は使いこなせれば充分に強力な能力である。
精神力消耗の可能性こそあれど《限界突破》よりも効率がよく、《天与の素質》の代わりにサイオニック修正特技を使う余裕が出来る。
例えば、1レベルのワイルダーが荒れ狂う激情から発現したマインド・スラストはセーヴに失敗した相手に2d10ものダメージを与えられる。3レベルワイルダーなら、実に5d10ダメージである。
その代わり、ワイルダーは修得パワーの数が少ないので、どのパワーを修得するかの選択が重要になってくる。将来的には、《修得パワー追加》の取得も考慮に入るだろう。
例えば、6レベル・ワイルダーが《修得パワー追加》でアストラル・コンストラクトを修得すれば、その時点で4レベルのアストラル・コンストラクト作れるばかりか、8レベルの時点で6レベルのアストラル・コンストラクトを作ることが可能となる。
・サイオニック・リペア・ダメージとEberron
Eberronなどで人造がパーティにいる場合に、サイオニック・リペア・ダメージは便利である。
このように、XPHに掲載されているものには、単に強力なばかりでなく、知恵によって使い方が広がったり、思わず膝を手で打ってしまうような使い方が出来るパワーが無数にある。
前述のようにそれはサイオニック使いだけの特権ではないし、そうした力を身につける方法も無数に用意されている。
そしてその”力”は、いままさにそこにあるのだ。
さあ、歩きだそう!!
<了>
番外編:Dromite is Here!
*1:もっともこれを要求するとウィザードやクレリックが同じように巻物代を要求してくる諸刃の剣。〈はったり〉や〈交渉〉
の低い人にはオススメできない。