Tome of Battle上級クラス紹介
080209
by ヒョッシー
編 いしかわ
販売当初あれこれ騒がれたTome of Battle(以下ToB)ですが、せっかくなので上級クラスの紹介をする事にしました。クラスの背景等の紹介があまり出来ていませんが、読んで頂いた方が購入する際の参考になれば幸いです。なおエベロンワールドガイドの際と同様、書式や評価の指針等は、CDS:PE様の上級クラス辞典やレビューを参考にいたしました。また訳語はウェブエンハンストメントを訳して下さった、オカさんのものを使っています。どちらも書く際、非常に役に立ちました。本当にありがとうございます。
<評価基準>
評価
基準
S
比類なき強さを誇るクラス。他の選択肢を切って選ぶ価値があり、独自のセールスポイントを持つ。
A
基本クラスと同程度の能力を有する。クラスチェンジしても不利になることは無い。選択肢としては優秀。
B
能力的にやや落ちるか、扱い難いクラス。使い方を考えて適材適所で使っていけば面白い。
C
能力的にかなり難があり、どうにもこうにも辛いクラス。苦難の道を敢えて選ぶ猛者にのみ許されたクラスw
D
_| ̄|○
Bloodclaw Master(ブラッドクロー・マスター)
出典:ToB96
レベル:5レベルまで
前提条件:〈跳躍〉9ランク;《複数回攻撃》または《二刀流》;タイガー・クローの武技3つ
ベースアタック;クレリック
良好セーヴ:頑健、反応
ヒットダイス:d12
修得可能な流派:タイガー・クロー
修得武技の増加:3つ
修得構えの増加:なし
準備済み武技の増加:1つ
総合評価:S
特徴:(つ)(楽)
これはまさしく理想の二刀流戦士です。武器を爪の様に、時には本当の爪で、獣の如く敵を切り裂き、その爪を血に染める。これだけ書くとフレーバーに見えますが、本当に二刀流の際の命中とダメージの出し方が、爪で複数回攻撃をする動物と同等になります。
また爪つながりで、エベロンワールドガイド(キャンペーンセッティング)収録のシフターがこのクラスになった場合は、特別な扱いになり、もれなくシフター垂涎の能力が付いてきます。
つまみ食いでも十分に強いクラスですので、繰り返しになりますが二刀流の方は是非ともどうぞ。
Bloodstorm Blade(ブラッドストーム・ブレード)
出典:ToB100
レベル:10レベルまで
前提条件:〈平衡感覚〉8ランク;《近距離射撃》; アイアン・ハートの攻撃技1つと構え1つ
ベースアタック;ファイター
良好セーヴ:頑健
ヒットダイス:d12
修得可能な流派:なし
修得武技の増加:なし
修得構えの増加:なし
準備済み武技の増加:なし
総合評価:A
特徴:(つ)(楽)(器)
これはまさしく理想の投擲武器戦士です。上と同じ様な書き出しですが、実際にクラス能力のほとんどが投擲に関わるもので占められています。ひたすら武器を投げて戦場に血の嵐を起こすというイメージのクラスになっています。
さてそのクラス能力ですが、投擲を強くするだけなら序盤の数レベルを取るだけで済みます。しかし、10レベルまで取ると投擲版大旋風とでも言うべき能力が手に入るので、その為に10レベル取るのも非常に楽しい選択です。まさしく血の嵐の出来上がりですから。
これまたつまみ食いでも十分に強いクラスですので、繰り返しになりますが投擲武器使いの方は是非ともどうぞ。
Deepstone Sentinel(ディープストーン・センティネル)
出典:ToB105
レベル:5レベルまで
前提条件:ドワーフ;基本攻撃ボーナス+10;〈平衡感覚〉13ランク;《強打》もしくは《ストーン・ドラゴンの生命力》;ストーン・ドラゴンの武技2つと構え1つ
ベースアタック;クレリック
良好セーヴ:頑健
ヒットダイス:d10
修得可能な流派:ストーン・ドラゴン
修得武技の増加:3つ
修得構えの増加:なし
準備済み武技の増加:1つ
総合評価:C
特徴:(楽)(N)
ここにきて突然弱いクラスがやってきました。デザイナー間で「バランス壊れ過ぎだから弱いクラスを入れよう」という合意でもあったんでしょうか。
術者レベルがクラスレベルに等しいパスウォールという、どうにもならない効果は置いておくとして、他の能力は主に敵を転ばせる能力となっています。どれもこれも山の力を呼び覚ましてドカーンといった感じで「ドワーフ=山」のイメージの表れといった感じです。
クラスの名前にディープが含まれているので、ディープドワーフ(MM収録)の都市の熟練衛兵といった設定のNPCというのも面白そうです。
Eternal Blade(エターナル・ブレード)
出典:ToB109
レベル:10レベルまで
前提条件:エルフ;基本攻撃ボーナス+10;《武器熟練:何か1つ》;ディヴォーテッド・スピリットもしくはダイヤモンド・マインドの武技2つ
ベースアタック;ファイター
良好セーヴ:頑健
ヒットダイス:d10
修得可能な流派:ディヴォーテッド・スピリット、ダイヤモンド・マインド、アイアン・ハート、ホワイト・レイヴン
修得武技の増加:5つ
修得構えの増加:1つ
準備済み武技の増加:3つ
総合評価:B
特徴:(楽)(つ)(器)
以前のエターナルブレードの霊に導かれて戦うエルフの戦士、何だか主人公っぽいです。先代が倒せなかったドラゴン、更に歳をとったそのドラゴンを次の代が打ち倒そうとするなんてシナリオが面白そうです。
その霊に導かれて一時的に武技を得たり、攻撃ボーナスが増えたり、ダメージ減少を抜いたりと、いろいろと霊に世話になります。なおボーナスに知力の値が用いられる事が多いので、戦士系には珍しく知力の高さが重要です。それと10レベルになるとIsland in timeという能力により、敵のターンに割り込んで攻撃等が出来るという、強力な能力があります。
あと仕方が無い問題ではありますが、霊に導かれる能力が超常能力なので、魔法の作用しない範囲での活躍が見込めません。対策もし難いので、仕方が無いと思いますが。
Jade Phoenix Mage(ジェイド・フェニックス・メイジ)
出典:ToB114
レベル:10レベルまで
前提条件:悪以外;〈精神集中〉9ランク、〈知識神秘学〉2ランク、〈知識歴史〉2ランク、〈知識宗教〉2ランク;武技2つ(内1つは攻撃技)、構え1つ;2レベル秘術呪文
ベースアタック;ファイター
良好セーヴ:頑健
ヒットダイス:d6
修得可能な流派:デザート・ウインド、ディヴォーテッド・スピリット
修得武技の増加:5つ
修得構えの増加:1つ
準備済み武技の増加:3つ
術者レベル:8上昇
総合評価:S
特徴:(楽)(器)
いわゆる魔法戦士です。魔道師大全のアブジュラント・チャンピオンが人気ですが、それとこのクラス、両方とも全ての取ろうとすると随分大変になります。ゲシュタルトでもしなければ、20レベルを超えないと取れません。
とまあ、魔法戦士の例に漏れず厳しい点がいろいろとありますが、呪文を消費して次の攻撃ロールにボーナスと追加ダメージダイスを与えたり、攻撃技を当てた後の呪文を威力強化、高速化したりと、割とメイジらしい(=自己強化だけではない程の意)事の出来る魔法戦士です。HDがd6なのも、メイジらしいという事で我慢です。そして最終奥義のEmerald Immolationはウルトラダイナマイト(角が欲しい方はハーフミノタウロス辺りでどうぞ)といっても過言ではない力です。
ウルトラダイナマイトの為に10レベルまで取ろうとすると厳しいですが、かなり面白く、かつ強いクラスだと思います。ちなみにこのクラスにも、師弟関係っぽい設定がクラス能力として付いています。
Master of Nine(マスター・オヴ・ナイン)
出典:ToB119
レベル:5レベルまで
前提条件:流派の最重要技能10ランク4つ;《武技準備時間短縮》《回避》《無視界戦闘》《イニシアチブ強化》《素手攻撃強化》;6つの流派の武技1つずつ
ベースアタック;クレリック
良好セーヴ:意志
ヒットダイス:d8
修得可能な流派:全て
修得武技の増加:8つ
修得構えの増加:2つ
準備済み武技の増加:5つ
総合評価:C
特徴:(凡)(N)
全部の流派から武技を取れるというと、聞こえは良いですが、いわゆる器用貧乏クラスです。まあ何かのはずみで前提条件が満たせてしまったら、何レベルか取れば良いのではないかと思います。
今は年老いて昔の力が出せないが、9つの流派全ての知識を持つ武芸者とかそういう設定のNPCで出すと良いかもしれません。PCが「今度戦う事になる、あの流派はどういう能力持ってるの」という事を聞きたい時、きっと実演つきで教えてくれるに違いありません。
強さ弱さににこだわらずにやるなら、面白いクラスだと思います。
Ruby Knight Vindicator(ルビー・ナイト・ヴィンディケイター)
出典:ToB122
レベル:10レベルまで
前提条件:隠れ身4ランク、威圧4ランク、知識宗教8ランク;ディヴォーテッド・スピリットの武技と構え1つずつ;ウィー・ジャス信仰;アンデッド退散もしくは威服
ベースアタック;ファイター
良好セーヴ:意志
ヒットダイス:d8
修得可能な流派:ディヴォーテッド・スピリット、シャドウ・ハンド、ストーン・ドラゴン、ホワイト・レイヴン
修得武技の増加:5つ
修得構えの増加:2つ
準備済み武技の増加:2つ
術者レベルの上昇;8上昇
総合評価:A
特徴:(器)(つ)(楽)
ウィージャスの力を受けて戦うルビーの騎士です。でもダイヤモンド・マインド流派には通じてません。
前半、後半とばらけて強力な能力が用意されているので、その辺りの選択が難しいクラスです。ただ術者レベルの上昇が嬉しいので、命中率に悩むクレリックは最後まで取ってしまっても良いかもしれません。ちなみにサンプルキャラクターは、クルセイダー4とクレリック1からこのクラスになっています。
ウィージャス信仰という辺りがロールプレイ面のネタになりそうなので、なかなか面白そうなクラスです。
Shadow Sun Ninja(シャドウ・サン・ニンジャ)
出典:ToB125
レベル:10レベルまで
前提条件:いずれかの善;基本攻撃ボーナス+3;隠れ身8ランク;《素手攻撃強化》;シャドウ・ハンドもしくはセッティング・サンの2レベル武技1つ。シャドウハンドとセッティング・サンの任意のレベルの武技1つずつ。
ベースアタック;クレリック
良好セーヴ:全て
ヒットダイス:d8
修得可能な流派:セッティング・サン、シャドウ・ハンド
修得武技の増加:4つ
修得構えの増加:1つ
準備済み武技の増加:2つ
総合評価:C
特徴:(楽)(N)
名前とは裏腹にニンジャ(冒険者大全)の能力ではなく、モンクの能力が伸びて行くクラスです。正のエネルギーと負のエネルギー、光と闇に関わる能力を得るので、もしかすると陰陽道辺りに影響されているのかもしれません。筆者にはその手の知識が無いので、本当にそうなのか分かりませんが。
10lv目のBalance of Light and Darkは敵に負のレベルを与える能力なのですが、与えすぎた場合、自分が死んでしまう可能性があります。すると属性が悪になり、さらにヴァンパイアとなって悪のチャンピオンとなってしまうという、かなり面白い能力です。「ご利用は計画的に」といったところでしょうか。
DMならば、10レベル目の能力の使い過ぎでヴァンパイアとなってしまった者を、キャンペーンの重要人物に据えても面白そうです。