はじめの一歩のいっぽ先
     −−前衛[モンク]編:活躍の章−−  
070808 (080229:細部の表記を統一し、誤記を訂正)
 文責: T_N 


<はじめに>
 というわけで、モンクを作成したら、次はどう遊び、どう育てるかだ。これはレベル上昇に伴う特技の習得と、アイテムの取得、さらにはゲーム中の行動、などが関わってくる。

 まず、中〜高レベル帯のモンクの実力について、実際遊んでみた感想を羅列してみよう(レギュレーションは例によってコア3冊のみ)。
 4レベルあたりから、素手攻撃ダメージのダメージダイスが一応ファイターと並ぶ(D8)ため、ポーションや呪文でバフすればそれなりにダメージが入る。
 10レベル以上で《肉体攻撃強化》があれば、前衛として遜色のないダメージを叩きだせる。そのレベルになればさすがにモンクス・ベルトもあるだろうから、ダメージはそれなりに、うまくいけばファイターを上回るくらいには与えることができる。
 低い命中率も、(連打の命中率が低下しなくなるので)手数でカバーしていると感じられる。
 1日10回朦朧化打撃が使えるとなれば、主要な遭遇では毎ラウンド、朦朧化打撃を乗せて連打することができるし、それによって相手が朦朧化すれば、高レベル戦闘での手番喪失という致命的なペナルティを与えることができる。
 低いHPも、パーティーの回復手段が充実してくるので割合何とかなる。総じて、10レベル以上であればモンクは結構活躍できるのではないだろうか。

 要するに、モンクの問題は低〜中レベル帯(1〜9レベル)でのダメージ、BAB、ACの低さなのだろう。
 では、そのへんを可能な限りカバーする方法を検討しよう。

 最初の一歩は、

「1レベルはファイター」だ!

 ……いやモンクちゃうやン、というツッコミが入るのはわかっているのだが、モンクがマルチクラスできるのは1レベルのときだけなので、他のクラスの成長ガイドでは最後に来るマルチクラスの問題を最初に検討することになるのだ。
 ちょいとわき道な気もするが、モンクのマルチクラスというのはかなりアリな選択肢だと思うので、一つお付き合い願う。



■その1:1レベルはファイター
 なんかいきなり違う話だが、1レベルはファイターでもいい。BABの上昇が微妙に早くなる以外にもいいことが多く、欠点は少ない。低レベルでの活躍の可能性を大幅に増やすことができるし、高レベルになっても後悔する可能性は低いと思われる。

 何しろ特技が多い上、1レベルの段階でBABが+1つくので、多い特技のスロットを「BAB+1を前提とした特技」に費やせるのがすばらしい。具体的には、《武器の妙技》や《武器熟練》だ。これによってBABのビハインドが緩和される。
 また、単純武器と軍用武器がすべて使用可能になる(恐るべきことに、モンクは単純武器すら満足に使えないのだ)ため、足払いの可能な間合いのある武器を使用できたり、パーティー内で型落ちした魔法の武器を使える(*)ので状況対応能力が上がるなど、前衛としての汎用性が高くなるのも見逃せない。【敏】が高いなら、弓を用いるのもいいだろう。
(*)魔法の武器について補足しよう。大抵のDMは、多かれ少なかれランダムなマジックアイテムの表を使用する。実際に表を使ってダイスを振らないDMだって、D&D世界におけるマジックアイテムの正常な出現率の基準として参考にはしているはずだ。そしてこの表、戦士向けの魔法の武器が出ることはかなり多いが、モンク向けの魔法の武器が出る可能性はほとんどない。最低限の与魔法ダメージ能力を確保するためにも、色々な武器を使えることは重要だ(4レベルの「気」打撃を得るか、アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツが手に入るまでのつなぎとして、だとしてもだ)。

 さらに、ファイターなどとのマルチクラスをしたモンクが鎧を着るのは、低レベルでは失う物が意外なほど少ない(半分ファイターなんだから当然だが)。
 失うのは連打、ACボーナス、高速移動、身かわしである。朦朧化打撃や素手攻撃へのペナルティはない。低レベルでは連打は命中しにくいし、ACボーナスも【判】修正そのまま(つまり高くても3、筋力重視のモンクなら2もありうる)、高速移動はそもそも3レベルになるまでお預けだ。身かわしがなくなるのは痛いが、ACが6とか8とか上がることを考えてみたまえ。どうしてもというなら、軽装鎧+楯にしておけば身かわしと〈軽業〉は使えるのである。
 ブレストプレート(またはチェインシャツ)を着て、シールドとロングソード(《武器の妙技》で戦うならショート・ソード)を持っていても、好きなときに素手打撃に切り替えて朦朧化打撃を行うことができる。モンクの素手打撃は両手がふさがっていても、鎧を着ていても使えるのだ。
 低レベルにしては戦術の幅が広く、普通に戦ってもそれほど弱くない前衛/中衛として活躍できるんじゃなかろうか。

 また、与ダメージ性能が高く足払い可能な、間合いのある軍用武器が使えるのも悪くない。
 普通なら隣接マスに入った相手には無力だが、モンクなら武装を切り替える必要もなく隣接マスを攻撃できる。

 つまり、ファイターとのマルチクラスは、低レベルでのモンクの攻撃力・防御力の低さを補う方法としてはかなり有効だと思うのだ。
 町のゴロツキが流れの修行僧に叩きのめされて弟子入りする、とか、キャラに物語を載せることも色々できそうではないか。
<余談>
 なお、ファイターに限らず、モンクの細道をゆこうと思えば、マルチクラスする唯一のチャンスは1レベル時である。
 前衛系の職業なら上述のとおり広範な戦闘能力と微妙に高いBABを得ることができる。
 前衛以外だとBABは下がってしまうが、ローグであれば急所攻撃と罠対策、信仰術者クラスなら回復呪文、秘術術者クラスならシールドメイジアーマーによるAC+8に加えてマジックアイテムを自力使用して自らを強化する能力……が手に入る。いずれも、モンクとしては極めて貴重な財産である。
 モンクとして高レベルに達することを心に誓っているのなら、最初の段階でこそ、マルチクラスを検討すべきだろう。ひとたびモンクになれば、もはや引き返せないのだから。
 ちなみに、マルチクラスを始めるとついつい2レベル、3レベルとモンク以外のクラスを伸ばしたくなるが、それはそれで本末転倒である。1レベルで止めておくことをお勧めする。


■その2:《肉体武器強化》
 BABが+4になったらすぐに、つまり6レベルで、モンスターマニュアルのモンスター特技にある、《肉体武器強化(IMPROVED NATURAL ATTACK)》を習得しよう。
 これによって素手攻撃のダメージがD8から2D6になり、6レベルでようやく、素手のダメージ性能がグレートソードと並ぶことになる(とはいえ本来なら12レベルまで得られないダメージなのだ。ファイターが1レベルから使える武器の性能なのに)。これを取らない理由はない。
 モンスターマニュアルの特技はモンスター専用だというDMがいたら、『プレイヤーズ・ハンドブック2』ではモンクの推奨特技として《肉体武器強化》が挙げられていることを指摘しよう。それでもダメなら諦めるしかない(Your Dungeon Master is always right)が、これを諦めるくらいなら、モンクを諦めるかキャンペーンそのものを諦めた方がよい

<余談>
 『プレイヤーズ・ハンドブック2』では、モンクの推奨特技として、《肉体武器強化》のみならず《能力熟練:朦朧化打撃》まで挙げられている。どちらもモンスターマニュアルに掲載された特技なので、「モンクはモンスターに近いということか?」……てなことを冗談で言っていたものだが、よく考えると完全に的外れなわけでもない。
 ゲームシステムの上では、組み付き・足払いと肉体武器を駆使するモンクは、モンスターや動物の相棒と共通のルールを使用することが多いように思う(最終的には来訪者扱いになるしね)。
 このルール的な特徴と、モンクを精神の完成を求める求道者とするフレーバー設定との間には、かなり大きな乖離がある。モンクのプレイヤーが成長において必ずしも有利でない選択をしてしまう理由の一端はここにあるのではないだろうか(意識するとしないとにかかわらず、フレーバーを重視するとルール的な最適解から外れる度合いが他のクラスより大きい)。

教訓:モンクの成長計画を立てるにあたっては、こうしたフレーバーのことは忘れた方がよい。モンクはバーバリアンやドルイドよりもなお異質で原始的な、野獣のごとき存在だと思い定めた上でデータを設定しよう。私が言うんじゃない、ルールシステムがそう言ってるんだから仕方がないのだ。
 フレーバーはロールプレイで何とでもなるが、使えないキャラクターは耐え難いものだ。……って、ホラ、言ってたんだよ、俺の叔父さんが。


■その3:魔法の拳
 続いて、素手に強化ボーナスを乗せる方法について。
 戦士が持ってる「ロングソード+1」みたいな武器に付くボーナスのことだ。T&Tと違って黄金とダイヤモンド製の魔法の拳とかが手に入らないD&Dで、何ができるか考えてみよう。
 ……例によって、いわれなき迫害に怒りが胸を灼くことになるわけだが。

<要旨>
 素手で戦うモンクは、戦士ほど簡単に魔法の恩恵を受けることができない。これには二つの理由があるが、そのうち、ふたつ目のはプレイヤーの努力でどうにかなる。

●原因その1
 ひとつ目の理由は、それが非常に高価なことだ。
 素手攻撃を強化するアミュレット・オヴ・マイティ・フィスツは+1で6000gpという、地獄のような高額アイテムだが、他にないのだから仕方がない
 これがどのくらいひどい価格設定かというと、+1の剣(2310gp)、+1のフルプレート(2650gp)、+1のヘヴィ・シールド(1170gp)が合計6130gpなのだ。
 つまり、戦士が命判+1、ダメージ+1、AC+10+3のボーナスを受けるのとほぼ同じ金額を突っ込んで、ようやく命判+1、ダメージ+1なのだ(しかも分割払い不可)。
 これは単に金額の問題ではない。これだけの差があると、要するにそのアイテムが手に入るのが3レベルかそれ以上は遅いということで、ただでさえ遅い命判の成長において他の前衛クラスにさらに大きく水をあけられる理由となる。
 とはいえ、ルールで決まってるものはどうにもならない。
 次善の策として、このアイテムの価格設定はバランスが悪いんじゃないの? ということをマスターに力説しよう。これは次のもうひとつの理由の解決にもつながるはずだ。

●原因その2
 ふたつ目の理由は、大半のDMがアミュレット・オヴ・マイティ・フィスツの存在と重要性について無知なことだ。
 魔法の武器と鎧については、マジックアイテム解説のしょっぱなに大量の記述があるが、アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツはその他の魔法のアイテムのひとつでしかなく、したがって、これが存在することを知らないDMは多い(モンクのプレイヤーにも知らない人が多いだろう。私もしばらくは知らなかった)。
 知らないとしても、それはDMの落ち度ではない。DMには「その他の魔法のアイテム」の欄をすみからすみまで読む以外にもやることがたくさんあるのだ。
 だがその結果として、冒険の報酬、すなわちダンジョン内の宝箱または依頼人からの報酬の一部として+1の武器を出そうというDMは多いが、アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツ+1を出そうとするDMは少ない(というか、ほぼいない)。

 こ れ は 不 公 平 で あ る !

●対処法
 ゆえに、モンクのプレイヤーはそれが存在することを、きちんとDMに説明して、「ほしいな」位のことは言っておいたほうがいい。
 相手がキャンペーンを共にする気心の知れたDMなら、以下2点について説明しておくのもいい。
・それが必要であり不可欠であること(戦士がいつまで
 たっても+1の魔法の武器すら手に入れられない……
 という事態を考えてみたらいい)
・不可欠なくせに効果に比して非常に高価なアイテム
 であり、それゆえ同額の他のマジックアイテムと、
 少なくとも同じくらいにはたやすく(できればそれ
 以上にたやすく−−つまり+1の武器と同じくらい
 たやすく)手に入るべきだということ
 逆に言うと、一通り説明さえしておけば、公平を重んじるDMであれば、+1の魔剣と同じくらいの確率でアミュレット・オヴ・マイティ・フィスツを出すべきだと理解するだろう。
ただ、もちろん、理解しないからといってDMを恨むのは良くない(Your Dungeon Master is always right)。

<ご注意>
 「その3」の項は、ゲーム的な助言、というよりゲーム外の行動に関する内容なので、参考にしようと思う人は、自分のプレイ環境のことを良く考えてから実行してくださいな。
 熟練度やグループ内での発言力の格差がほとんどない、気の置けない仲間たちと遊ぶ機会に恵まれているのであれば、上記のようなことをしてもあるていど許容される。のだが、初対面の人やよく知らないDM相手にゴリゴリ要求しちゃだめだ。
 いずれにせよ、卓の他のメンツにしてみれば、TCGで「今日は引きが悪い」とこぼすくらいの、みっともない愚痴に聞こえるってことも覚悟しよう。


■その4:モンクス・ベルト
 みんなの憧れモンクス・ベルトについて。
 モンクたるもの、このマジックアイテムを師父を質に入れてでも買うべきである。
 市価13000gpという、モンク十人を質草にしたって調達できそうにない金額なのだが、そこは何とかするのだ。両腕くらい売り払ってもかまわない。ズイム軍曹ではないが、極端な話、モンクは足指一本でも動かせれば素手攻撃が可能だ(極端すぎです)。

 このベルトを締めると、素手ダメージと追加ACが、5レベル上のモンクと等しくなる(!)。あまりに素晴らしい効果なので修行ってなんだろうなどという言葉が脳内をよぎるが、危険思想なので忘れよう。
 《肉体武器強化》で素手のダメージを大型クリーチャー並みにしておくと、ダメージの上昇率が目を見張るほどよくなるので、これでも理不尽に高価とは思えなくなってくる。

 ……さて。
 《肉体武器強化》とモンクス・ベルトを組み合わせると、ダメージに関してはそれなりに光明が見えてくる。
 以下の表を参照して欲しい。どうだろう、生きる希望がわいてこないか?

モンクの素手ダメージ
(モンクス・ベルトを装備すると、+5レベル相当になる)
 レベル       中型    大型   超大型
レベル1      1d6    1d8    2d6
レベル2     1d6    1d8     2d6
レベル3      1d6    1d8     2d6
レベル4      1d8    1d8     2d6
レベル5      1d8    2d6     3d6
レベル6      1d8    2d6     3d6
レベル7      1d8    2d6     3d6
レベル8      1d10   2d8     3d8
レベル9      1d10   2d8     3d8
レベル10     1d10   2d8     3d8
レベル11     1d10   2d8     3d8
レベル12     2d6    3d6     4d6
レベル13     2d6    3d6     4d6
レベル14     2d6    3d6     4d6
レベル15     2d6    3d6     4d6
レベル16     2d8    3d8     4d8
レベル17     2d8    3d8     4d8
レベル18     2d8    3d8     4d8
レベル19     2d8    3d8     4d8
レベル20     2d10   4d8     6d8
 超大型のダメージまで書いてあるのは、《肉体武器強化》を習得して素手打撃を大型相当にした中型モンクが、エンラージ・パースン呪文などでさらにワンサイズ大型化した場合のためのものだ。

 ご覧の通り、6レベルあたりから、素手のモンクにはそれなりに強力な打撃力が手に入る
 モンクが他の前衛系コアクラスに比べて確実に勝っている戦闘関係の能力は、6レベル以降での基礎ダメージダイスの大きさだけだと思う。利点を伸ばすためにきちんとリソースを突っ込んでおくのは大事なことだろう。
 5レベルで連打時の命判ペナルティがー1になるのも大きい。これによって、ファイターの2発目は命中判定に−5ペナなのに対して、−1ペナで2回攻撃できるのだ。2回の命判を総合した命中率で、ファイターといい勝負ができるようになるだろう。
 要するに、中レベル帯以後のモンクの攻撃力は、じつは結構高いということが、おわかりいただけると思う。


■その5:能力値強化アイテム
 能力値強化アイテムによるキャラクターの強化は、どのクラスでも同じことで、特にモンクに限った話ではない。が、武器や防具に頼らない(頼れない)モンクにとってはひときわ重要だ。頼りになるのは肉体と精神のみなのだから、これらをアイテムによって強化することを怠ってはならない。
 したがって、他のクラスに比べて、能力値強化アイテムの充実はより重要だと言える。
 モンクのロールプレイとして変だって?

 それは皮相的なものの見方というものだ。

 D&Dにおいて、鍛錬や研鑽とはマジックアイテムの獲得を含んでいるのだ。
 高レベルの戦士はプラスのいっぱいつく魔法の武器防具で完全武装しているのが普通だし(そうしていなければ仲間の罵言を浴びるだろう?)、高レベルのウィザードはスクロールやワンドを売るほど持っているものだし(そうでなければスクロールも書かず日々遊び呆けている怠惰な奴だろう?)、高レベルのローグは技能強化アイテムを自分でも忘れるくらい大量に持っているはずだ(そうしないローグは速やかに罠のサビになるだろう)。
 したがって、モンクのアイテム欄には少なくとも連中のマジックアイテムに価格合計で匹敵するだけの能力値強化アイテムが並んでいなければ、パーティーの一員として実力を蓄える努力を怠っているということになる。
 PHBにも書いてある。モンクは「かたちある富はそれほど欲しがらないが、武術の完成に役立つものは熱心に探すと。天に恥じることなく熱心に探したまえ。


■その6:その他のマジックアイテム
 能力値上昇以外にも、戦闘力を上げるアイテムは多い。
 モンクにとって有効なマジックアイテムの組み合わせを検討しよう。裸でも戦えるモンクだが、だからといってアイテムを持っていけない理由もない。
 なお、モンクが装備できる恒常型のマジックアイテムは、基本的にはリングと「その他のマジックアイテム」だけだ。武器、防具、巻物、ワンドを考える必要はないし、ロッドは基本的に面白アイテムだし、スタッフは主に術者用だ(ポーションなど消耗品は次の項で扱う)
 体の部位ごとに、戦闘関係の能力やACが上昇するマジックアイテムは何があるのか、主なものをリストにしてみた。ただ、予算はレベルやDMの気前のよさによって全く変わってしまうので、お勧めパックのようなものを提示するのは意味がない。財布の中身と値段と効果を見比べて、自分なりに最適解を探して欲しい。

●首周り
 モンクにとっては非常に重要なアイテムが3種ある。が、首は一本しかない(よね?)。
 重要さは甲乙つけがたいので、財布や好みで決めて欲しい。

・アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツ(素手攻撃の命判とダメージに強化ボーナス)
  +1 6,000gp
  +2 24,000gp
  +3 54,000gp
  +4 96,000gp
  +5 150,000gp
・ペリアプト・オヴ・ウィズダム(【判】に強化ボーナス=AC、意志セーヴ、朦朧化打撃DCの上昇)
  +2 4,000gp
  +4 16,000gp
  +6 36,000gp
・アミュレット・オヴ・ナチュラル・アーマー(ACに外皮ボーナス)
  +1 2,000gp
  +2 8,000gp
  +3 18,000gp
  +4 32,000gp
  +5 50,000gp

 次点として、モンクに限らずどんなキャラクターにも有用な、【耐】が上昇するアミュレット・オヴ・ヘルスが挙げられるだろう(+2で4,000gp、+4で16,000gp、+6で36,000gp)。

●腰回り
 モンクス・ベルト一択なのだが、13,000gpはいかにも高い。
 もっと安いものがあれば……と思ったが、ないようだ。ベルト・オヴ・ジャイアント・ストレンクス(【筋】に強化ボーナス。+4で16,000gp、+6で36,000gp)もベルト・オヴ・ドワーヴンカインド(ドワーフと仲良くなり、ドワーフの持つ耐性の一部を得る。14,900gp)も、それなり以上に強力なアイテムなのだが、モンクス・ベルトより有益だとは思えない。高いし。

●肩回り
 安い割に効果が大きいので定番の、クローク・オヴ・レジスタンスは割とお勧め。
 もとからセーヴが高いモンクにとっては鬼に金棒。何度でもセーヴを要求する嫌な特殊能力を持つ怪物とかを殴りにいくのはモンクの役目なので、持っていて損はない。
 クローク・オヴ・ディスプレイスメントはより強力だが、手に入るのはよほど高レベルになってからになる。
・クローク・オヴ・レジスタンス(全セーヴに抵抗ボーナス)
  +1 1,000gp
  +2 4,000gp
  +3 9,000gp
  +4 16,000gp
  +5 25,000gp
・クローク・オヴ・ディスプレイスメント(着用者に対する攻撃を一定確率ではずす)
  マイナー(20%) 24,000gp
  メジャー(50%) 90,000gp

●両腕
 基本はブレイサーズ・オヴ・アーマー……といいたいところだが、同じ鎧ボーナスを与えるメイジ・アーマー呪文が常にかかる(後述)と考えると微妙にもったいない。とはいえ、呪文は万能ではないので、やはり欲しいアイテムではある。ダンジョン内で拾ったのなら、パーティー内ではモンクに優先権があると思っていいだろう。
・ブレイサーズ・オヴ・アーマー(ACに鎧ボーナス)
  +1 1,000gp
  +2 4,000gp
  +3 9,000gp
  +4 16,000gp
  +5 25,000gp
  +6 36,000gp
  +7 49,000gp
  +8 64,000gp

●両手
 ACと反応セーヴが上昇するグラヴズ・オヴ・デクスタリティか、命判とダメージが上昇するガントレッツ・オヴ・オーガ・パワーはどちらもあるとうれしい。
・グラヴズ・オヴ・デクスタリティ(【敏】に強化ボーナス=ACと反応セーヴが上昇)
  +2 4,000gp
  +4 16,000gp
  +6 36,000gp
・ガントレッツ・オヴ・オーガ・パワー(【筋】に+2強化ボーナス=命判とダメージが上昇。4,000gp)

●指輪
 戦闘能力なら、リング・オヴ・プロテクション。そのほか技能にボーナスを与えるものが多いので、その辺も見ておくと面白い。
・リング・オヴ・プロテクション(ACに反発ボーナス)
  +1 2,000gp
  +2 8,000gp
  +3 18,000gp
  +4 32,000gp
  +5 50,000gp

●ブーツ
直接に戦闘能力を上げるのはブーツ・オヴ・スピード(ヘイストがかかる=攻撃回数が増える。12,000gp)だが、他にも移動能力を強化・拡張するタイプのアイテムが多い。ウィングド・ブーツ(1日3回、各5分まで飛べる。16,000gp)、ブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング(基本移動速度に+10’(*)、〈跳躍〉+5。5,500gp)、ブーツ・オヴ・エルヴンカインド(〈忍び足〉+5。2,500gp)などは、モンクにとってもうれしいアイテムだと思う。
(*)この移動速度へのボーナスは強化ボーナスなので、モンクの高速移動とは重複しない。これに限らず、移動速度が向上するアイテムや呪文が与えるのはほとんどが強化ボーナスであるため、重複しないケースが多いので注意が必要だ。モンクの高速移動が強化ボーナスであると決めた奴、いいから百回呪われろ

主な部位は実はこれくらいだが、一応その他の部位も挙げておく。

●頭
 いまいち、戦闘力を上げてくれるアイテムはないようだ。

●両目
 戦闘力を上げるものはないが、ゴーグルズ・オヴ・ナイト(暗視60’獲得、12,000gp)は暗視のないキャラクターにはあれば便利かも。

●胴体
 単に戦闘力を上げるものはあまりない。ヴェスト・オヴ・エスケープ(〈開錠〉+4、〈脱出術〉+6、5,200gp)は、うっかり組み付きの得意な敵に組み付いてしまったときに役に立つ。

●全身
 要するに全身を覆うローブなど。モンクとはあまり縁がないみたい。

 そのほか、隠密性を増したり、移動力を増したりするアイテムもモンクの能力とは相性がいい。
 「その他の魔法のアイテム」をモンクの視点でじっくり読むと、色々新しい発見があるだろう。


■その7:補助呪文による強化
 モンクは自分で呪文を使うことはできないが、僧侶や魔術師に「この呪文をかけてくれ」とリクエストすることはできる。特に、モンクの低いACは呪文でかなり補えるので、モンクが効果や持続時間を知っておいた方がよい呪文というものはそれなりに存在する。
 ここでは、1レベル呪文からオススメを紹介する。
 1レベル呪文というのは、レベルの割に恐ろしく強力な呪文がいくつもある。これらを把握しているだけでも、モンク人生は全く変わってくるはずだ。
 ここではモンクにとって特に重要な呪文に絞って紹介するが、これ以外にも、ファイターがかけてもらってる呪文はどれもかけてもらって損はないはずだ(いしかわさんがそれについて何か書いてくれるという噂もあるので、気になるHFO主義者は楽しみにするといいんじゃないかな)
 仲間がいなくて、かけてもらうことができなくても、買うべきポーションの指針にはなるだろう。

 まず、必ず要ると書いて必要な防御呪文、メイジ・アーマーがある。1レベル呪文だが、モンクにとっては命に等しい価値を有する。

●メイジ・アーマー
 ソーサラー/ウィザードの1レベル呪文。効果はACが4上昇(!)。だが、鎧ボーナスなので鎧とは重複しない。つまりほとんどモンク専用の呪文。呪文名もモンク・アーマーでいいんじゃないかと思うのは私だけですかそうですか。
 自腹でワンドを買って術者に渡しておき、外出するたびにかけてもらおう。
 非常用にポーションも持っておくべし。
 術者レベル×1時間という長い持続時間を持つので、ワンドがあれば危険地帯ではかけっぱなしにできる。
 だが、この呪文があれば鎧ボーナスを与えるマジックアイテムは不要かといえば、そんなことはない。呪文というのは切れたり消されたりするものなので、永続的な魔法のアイテムも持っていたほうがよい。鎧ボーナスならブレイサーズ・オヴ・アーマーだ。
 他のタイプのボーナスについても同じことが言える。呪文やポーションは一時的にマジックアイテムを上回る恩恵を与えてくれることも多いが、かけっぱなしにはできない。可能であれば重複を覚悟で持っておくのは悪い考えではない。
 さて、モンクたるもの、メイジ・アーマーをかけてもらわずに戦闘に突入するようなことがあってはならないものと心得よう。ワンドで持っておいて、1時間以内に少しでも戦闘の可能性があると思ったらすかさず、自分に対してかけてもらうようにすべきだ。無駄うちを恐れてはならない。
 だが、この呪文をかけずに戦闘を開始してしまった場合、秘術術者の第一手番はモンクへのメイジ・アーマーなどに消費するのは貴重すぎる(君がただ一人の前衛だというなら話は別だが、まれなケースではなかろうか)。2ラウンド目以後にかけてもらうまで、あるいは戦闘終了まで、メイジ・アーマーなしで生き抜くのがモンクの義務だ。死んだら自分が悪かったと思ってあきらめること。

以下、あると嬉しい呪文をいくつか。

●シールド
 ソーサラー/ウィザードの1レベル呪文。術者本人にしかかけられない呪文なので、ウィザードになるほかにこの呪文の効果を受ける方法はない(ポーションなども存在しない)し、持続時間も短い(術者レベル×1分)。だが盾ボーナスによってACが4上昇する(!)ので、この呪文の為だけに1レベルでウィザードを選択するのもありだと思う(*1)。マジックアイテムには盾ボーナスを与えるものがほとんどないので、先々まで役に立つのは大きい。
 メイジ・アーマーと併用すれば、鎧ボーナスと盾ボーナスでACは+8される。ファイターはフルプレートとへヴィシールドでAC+10なので、かなり高い水準までACが上がるといえるだろう。
(*1)もちろん、あらゆる秘術系呪文のワンドとスクロールが潜在的に使用可能になるという巨大なメリットもある。ちなみに魅力を高くできないモンクにはソーサラーという選択肢はない。

●エンラージ・パースン
 ソーサラー/ウィザードの1レベル呪文。クレリックにとっては、力の領域の領域呪文でもある。
 かけられた者は大型サイズになる。利益は武器が1サイズ大きくなってダメージが増えるのと、筋力が2上昇するのでダメージがさらに1点増えること。これと引き換えに、ACと反応セーヴは1下がる。
 モンクがこの呪文から受ける恩恵は、他の前衛よりかなり大きい。まず、武器の大型化によるダメージの増大は、期待値で1.2〜1.5倍程度に設定されている。つまり、もともとのダメージダイスが大きいほど増加も大きい。したがって、6レベル以上では基本のダメージダイスが他の前衛より大きいモンクにとってメリットが大きい。また、組み付きと足払いに+4のボーナスを得られるので、これらを多用するモンクにとってメリットが大きい。リーチも伸びるので、突入してきた相手を遠間から機会攻撃で足払いをかけて転倒させてぶん殴り、起き上がるところを再び機会攻撃で転倒させてぶん殴る、といった夢のようなことも可能だ。
 ただし、発動してから効果を発揮するまでにタイムラグがある。「呪文が発動した次のラウンドの、発動者の手番の直前」まで大きくならないので注意。

●マジック・ウェポン
 クレリック、ウィザード/ソーサラー、パラディンの1レベル呪文。
 武器に+1の強化ボーナスを与える。3.5版でモンクの素手攻撃を強化するのにも使えることになった。
 前衛が魔法の武器を手に入れれば不要になるので、最初の1〜2回の冒険でのみ必須とされる呪文。だが、魔法の武器を入手しにくいモンクにとっては、4レベルに達するか、アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツ(6000gp)が手に入るまではこの呪文のお世話になる可能性が高い。また、4レベル以降、あるいは非魔法の武器が通用する敵に対する際にも、BABの低いモンクにとってはあったほうが有難い補助呪文だ。
 ドルイド、レンジャーの1レベル呪文マジック・ファングも、モンクにとってはほぼ同じ呪文といえる。つまり、術者さえパーティーにいるなら、誰かが使える効果ではあるのだ。
 ただ、持続時間は短いし、効果も必須というほどに強力なわけではない。魔法の武器を持った戦士がいるなら、パーティー全体から見た優先順位は低いので、自腹でポーション(オイル)を買うか、スクロール、ワンドなどを買って術者に渡しておくといい。

シールド・オヴ・フェイス
 クレリックの1レベル呪文。反発ボーナスによってACが+2される(術者が6、12、18レベルになると+3、+4、+5されるようになる)。ACに反発ボーナスを与える、もっとも基本的な呪文である。とはいえ、クレリックはブレス、モラル、プレイヤーといった呪文でパーティ全員を強化するのに忙しいし、反発ボーナスはリング・オヴ・プロテクションによって割と簡単に得られるのでかけてもらう頻度は低い。でも、存在は知っていた方がよい。
 これも、ポーションを持っておくか、タイミングが合えばかけてもらうためにスクロールをクレリックに渡しておくといいかもしれない。

●バークスキン
 例外的に2レベル呪文を一つだけ紹介しておく。
 バークスキンはドルイド、レンジャーの2レベル呪文。クレリックにとっては植物の領域の領域呪文でもある。
 外皮ボーナスによってACが+2される(術者が6、9、12レベルになると+3、+4、+5されるようになる)。外皮ボーナスをあたえる効果は珍しい。アイテムではアミュレット・オヴ・ナチュラルアーマー、呪文ではこのバークスキンくらいのものだ。
 ただ、外皮護符は装備部位が微妙で、ウィズダムを上昇させるペリアプト・オヴ・ウィズダム、素手を魔法の武器と化すアミュレット・オヴ・マイティ・フィスツと同じだ。これらのうちの1つを選ばなければならないことになったら、アミュレット・オヴ・ナチュラルアーマーについては、この呪文である程度代替がきくことは覚えておくとよい。
 ただ、ドルイドや植物の領域を選択したクレリックがいるパーティーは比較的まれなので、ポーションに頼ることが多いだろうし、2レベル呪文のポーションは比較的高価なので、どうしてもここぞというときの切り札になることが多い。持続時間は術者レベル×10分と長めなので、アミュレット・オヴ・ナチュラルアーマーをこの2レベル呪文で代替するのか、アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツを持続時間の短い1レベル呪文(=マジックウェポン)で代替するのか、どっちがお得なのかは、微妙なところだ。好みで決めてもいいのではなかろうか(どちらも手に入らないケースだって、当然あるわけで、その場合はできれば両方の呪文が欲しいわけだが)。
 持続時間については中途半端だという人もいる。時間単位ならダンジョン内ではずっと、分単位なら1戦闘中はずっと、という簡易な処理をしているグループも多いので、こういう呪文が実際にどの程度長持ちするのかは、マスター判断にゆだねられてしまう。戦闘開始時に、バークスキンがまだ有効かどうかはたずねておいたほうがいいかもしれない。

●回復手段
 補助呪文ではないが、モンクのたしなみとして。
 自分のHPが低いので、キュア系のポーションを持っておいたほうがいい。
 加えて、モンクはHPこそ低いが、みかわしがある上にセーヴがのきなみ高いので、一撃で無力化される可能性が低いキャラクターでもある。出会い頭に敵のスティンキング・クラウド呪文を食らい、一瞬にして行動可能なのがモンクだけになる、といったケースは割とある。そうしたときのために、状態回復系のポーションも持っておくといいだろう。めったに役に立つことはないとは思うが、役に立ったときのインパクトはかなり大きいはずだ。



<最後に>
 とまあ、色々描いてきたが、以上がかなり偏った論であるのは、無論お分かりのことと思う。
 「単純に戦闘力を追求するのなら、モンクでなくても……」という主張も、実際その通りではある。
 ただ、モンクはきちんと考えて構築すれば、正面切っての戦闘でもなかなか捨てたものではない、ということを強調したかったので、このような記事になったわけだ。
 心残りなのは、武器を使って戦うことを考慮したキャラクター構築についてはほとんど検討していないことだが、私は上記の通りモンクの最大の(そしてたぶん唯一の)アドバンテージはその拳が叩き出す大ダメージだと考えている。武器で戦うモンクの構築は、いずれにせよはじめの一歩のだいぶ先にある課題だろう。

 難儀な点ばかりを強調したので、最後はモンクの魅力をアピールしておきたい。

 モンク本来の魅力である高い機動力を生かした戦いや、コンバットオプションを縦横に駆使して戦うのはやはり楽しい。基礎の戦闘力が高ければそれはなおのこと。
 岩場でまさに飛び立とうとするドラゴンの隣にジャンプで飛び込み、足払いで転倒させたあとは、仲間の合流まで好き放題に相手をボコりつつ足止めしたり、前線をすり抜けて魔術師を組み付きで無力化してDMをげんなりさせるのは、やはりモンクの醍醐味といえる。
 もうひとつ特筆すべきは生存能力の高さだ。HPが低いのでダメージを蓄積していく消耗戦で持ちこたえるのはファイターに任せることになるが、ファイアーボールをはじめとする反応セーヴを要求する範囲攻撃呪文、組み付き判定を強いる組み付きや絡めとり、一発でアホなファイターを無力化する心術呪文、行動の自由を奪う滑る床、などなどの嫌な攻撃によって瞬時に戦線が崩壊することを防ぎ、主力が復帰するまで壁になるのは大抵モンクの役目だ。
 ようするに、敵がヘンなことをしてきたときや、パーティーがやばいときに輝くクラスなのである。こうした場面ではモンクをやってて良かった、と思うこと請け合いだ。……まあ、たぶんね。
 ただ、そうした場面ばかりではないので、それ以外の局面で最低限の貢献ができるようにしよう、というのが本稿の趣旨でもある。むろん、きちんと考えて組んだモンクで常に前線の主力をはることも可能だというのは、説明した通り。


 以上を踏まえて、今度こそ、強力なモンクの作成、愉快なモンクライフを目指していただきたい。
そしていつの日か、伝説のHFO決起集会ならぬ、MN(モンクなら何でも)決起集会のリプレイを読める日を楽しみにしている。


 ああ、でも決起の際は私に声をかけなくていいので、そこんとこよろしく。
 (↑チキン野郎)