Steal This Hook! | 01/16/2006 |
ダグ・ベイヤー
日の光は届かず、周囲は冷たい花崗岩に囲まれ、おまけに暗視能力を持つ恐ろしい何かに追われている――こうした状況以上に、エベロンの冒険者達に生を実感させるものはないだろう。今日のスティール・ジス・フックはダンジョンで感じる種々のジレンマを扱った冒険のほか、ダンジョンに閉じ込められた英雄達が厳しい、そして即座の決断を迫られるようなフックを取り揃えた。楽しんで欲しい!
PCはダーグーンの銀山の深い縦穴にホブゴブリンの盗賊を追跡する。追跡のさなか、盗賊が爆発を引き起こし、底が見えないほど深い裂け目をロープ・スイングで飛び渡る羽目になる。坑道の崩壊が後ろから迫り、英雄達は一人ずつ迅速に、しかし確実に裂け目を飛び移らなければならない。だが坑道の崩壊はNラウンド後なのに、PC達は(N+1)人いるのだ! この上ホブゴブリンの盗賊がロープを切るための矢(訳注:自然の種族に似たようなアイテムがある)をクロスボウにつがえ始めたら、PC達は敏速に、しかも安全に仲間が渡りきるための何らかの手段を考え出さなくてはなるまい・・・。
今年、ズィラーゴのハウリングピークでは冬は駆け足で訪れたが、だからといって英雄達がインダイロ山の山頂近くに口をあけた、霜のきらめく洞窟に下りないでいられる理由にはならない。シヴィス氏族の若いノーム二人、ディオメイルとジャルバはもはや自力で帰還する事はできないだろうから。シヴィス氏族の依頼者は彼らの目的地がこの凍りついた洞窟にあると見ており、英雄達もそれに同意する。たとえノーム達が生きていたところで、その洞窟に住むフロスト・ジャイアントの捕虜となっていると聞けば冒険者達も幸運に感謝する気にはなれないだろう。巨人達がノームを捕らえているのではなく、ノームたちのために働いているという事実を知ったとき、一体何が起こっている、いや起こりつつあるのかと言う驚きが冒険者を襲うだろう。さらに案内人は空気のにおいから、トンネルがスヴァーフネブリン(ロック・ノームまたは地底ノーム)の住処であると断言する。通常彼らはこうした肌寒い場所を避けるはずなのだが。ノームの若者達とフロストジャイアント、スヴァーフネブリンは共謀しており、彼らを捜索するための任務そのものが罠であるのかもしれない。英雄達は真実を求めて歩みを進めるだろうか、それとも一歩下がって計画を練り直すだろうか。ひょっとしたら英雄達のにおいは既に洞窟中に広まっており、引き返すには遅すぎるかもしれない。
ティタリングズ・ディープと呼ばれる洞窟に住む毒蜘蛛は、そこにあるという宝を見つけるために踏み入った多くの冒険者たちの命を奪った。この洞窟はかつては宝石鉱山であり、常に狙われつづけていたが、裕福なナイトハグが住み着いており、蜘蛛によって殺された犠牲者の体を奪うと噂されていた。
洞窟の中に侵入したPC達はチキチキと音を立てる蜘蛛たちが床をびっしり覆っている部屋を見つける。部屋のこちら側、入口から手の届く場所に黄金のワンドが掛けられており、部屋のもう片方――ただし高さ20フィート、しかも鉄のカンヌキがかかっている――には出口がある。そして出口の直下に低い台座があり、黄金に塗られたウォーフォージドが不動のまま佇んでいる。いくらかの試行錯誤の末ワンドによってウォーフォージドを制御できることができる事が判明する。さらに短い試みの末、ウォーフォージドに蜘蛛一杯の部屋を横切らせ、梯子を持ってきてカンヌキを開け、さらに向こう側まで床を安全に渡るための橋を準備できることもわかるだろう。だがそれらの作業をしている間、ウォーフォージドはひっきりなしに蜘蛛に襲われ、何度も噛み付かれるのである。PC達はハグの用意した便利な奴隷を嬉々として使うだろうか? それとも別の方法を考え出して、苦痛に満ちているであろう隷属からこのウォーフォージドを解放してやるだろうか。
ブレランドの恐るべきブラック・ピット(ワールドガイドp201)を見下ろす村でクレンシと言う名のハーフリングが人の心を探っている。クレンシの目的は同行者――影多き穴への彼の探検を援助してくれるほど裕福で、彼がそこに住む危険と戦うのを手助けしてくれるほどに勇敢で、かつ彼が己の神であるカイバー(地下竜教団)を称える儀式を行う事を止められないような愚かないし騙されやすい――を見つけることにある。そしてこのサイオンはPC達が適任だと判断し、残忍な下男のオラクとともに失われた軌跡のアーティファクトを捜索するために飛行船をレンタルし、穴の中に降りていくように説得する。クレンシは既に買い手の目星もつけてあるこのアーティファクトを売り捌き、大儲けしようと約束するが、実の所彼が望んでいるのはPC達が分裂する事だけなのである・・・。