Steal This Hook! 08/15/2005

それは過ぎし時代のよすが

ダグ・ベイヤー


 

あらゆるエベロンのキャンペーンは忘れられた遺物、埃にまみれた寺院や不吉なダンジョンに隠された、歴史を震撼させるアーティファクト(とも限らないが)の探索や争奪戦なしには始まらない。モルグレイブ大学や到達者財団、あるいはクォーリのためであるか否かを問わず、PCたちはこうした過ぎ去りし時代の遺物を探し出すのが大好きである。さぁ、楽しんでくれたまえ!

 

変わるトラブル馬鹿が見る

シャドウマーチのあばら家に卑しい魂を持つカラシュターの女が住んでいた。ジャグルワート(Jaglwurt)、あるいはそのほかの無数の忌まわしく危険な名で知られる女である(どの名前が出てくるかは概ねどの吟遊詩人に尋ねるかで決まる)。ジャグルワートは元々グリーン・ハグであったが、デック・オブ・トランスフォーメーション(「Race of Eberron」p178、あるいはデック・オブ・メニーシングズで代用する事)によって変身してしまったのである。だが、変身してなお彼女の性根は邪悪なままである。彼女がカードを引いた――そして生き残った――後もデックにはまだ二枚の不利益を与えるカード(DMの選択)が残っており、現在の己の境遇に憤懣やるかたない彼女は、もはやこの残り2枚を誰か他者に引かせたいと言う欲求のみで生きているような状態になっている。

ジャグルワートは他者にカードを引かせるための策略を無数に用意している。欲深どもを誘い込むためにデックを隠した沼地の隠れ家に誘導するような偽の宝の地図を作るかもしれない。誠実な英雄たちを呼び寄せるために哀れな少女を装って手紙を書き、デックからカードを引くことによって邪悪な呪いから自分が解き放たれると信じさせるかもしれない。さらには魅力的なカラシュターの外見を利用し、占い師に扮して町に入り込み、直接カードを引かせようとするかもしれない。

ジャグルワートのデックからは当然カードが数枚なくなっており、DMはそれを忘れずにデックの内容を調整すること。もちろん、PCがデックから有益な効果を受けるならばジャグルウォートは非常に立腹するだろう。

 

長虫は砂漠に遊弋す

砂漠に住むタレンタ・ハーフリングの一部族はウサト(Usut)と呼ばれる存在を崇拝している。何世代もの間砂の中を泳ぎ回ってきたそれはトカゲのような生きたアーティファクトなのだ。ヘンタール(Hentarr)はこの部族出身の奴隷商人であり、戦争狂である。彼は部族をその支配から解放するため、部族の長にウサトを破壊するよう迫る。ヘンタールの娘ソレーマが彼女の父親に力を与えるのと引き換えに部族の子供住人の血をウサトに捧げようとした時、長は彼女を止めるためにPC達を呼び寄せた。実はウサトは単なるアース・エレメンタルであり、代々の族長がストーン・オブ・コントローリング・アース・エレメンタルによって操っていたに過ぎない事が露見したりすれば、事は一層ややこしくなるだろう。

 

湖は謎をたたえて

小さな町ブレスドウォーターは今騒然としている。かつては澄んだ静かな湖であり、町を養い宗教的儀式の礎ともなっていたこの湖は現在酸性かつ腐食性の粘液によって満たされているのだ。ブレスドウォーターの町のソヴリンホストのクレリック、コーウォル(Kowol)は冒険者を呼ぶ。英雄達が召喚に応えたとき、彼らは汚染の源が水に沈んだゲートであり、そこから染み出す生の、邪悪なエネルギーであることを知る。ゲートが通じているのは異なる次元界ではなく、魔物たちの時代に作られたアーティファクトによって汚染されたダンジョンなのだ。

 

見えない糸

スレインのフォートライトで巡視隊が二隊消息を絶ち、恐らく死んでいるものと判断された。英雄達は調査救援のために依頼を受けた。巡視隊の痕跡は松の森で途切れ、英雄達はその周囲にカラスが群れているのに気付く。無数のカラスが身を寄せ合って木々に止まり、木々の緑とカラスの黒がまだらの模様を形作る。一方向から見ただけではカラスのパターンは理解できないのだが、遠くから観察することでその全貌が理解できる。カラスは地下に存在する、長らく失われていたアーティファクトの発する力場にそって目に見えない線を描いていたのだろうか? 線はドラゴンマークの形を描いていたり、それとも異世界の蜘蛛の巣の模様だったりするのだろうか? カラスは消えた巡視達の行き先を示すかもしれないし、彼らを捉えた罠にPCたちをも誘い込むかもしれない・・・或いはその両方かも!

 

ミニフック