Steal This Hook! 05/23/2005

過去があなたを追ってくる

ダグ・ベイヤー


 

 プレイヤーがキャラクターの詳細な歴史を考えるタイプであるなら、そのキャラクターシートは幼年期の思い出、好きな親類の話、および修行時代の逸話等々、盗めるフックで一杯のはずだ――トラブルに巻き込まれる愛する人、古馴染みとの再会、その他ドラマティックな選択(我がエベロンはこの点で非常に優れた背景世界である)を生み出しそうなあらゆる思い出をキャンペーンに組みこめる。
 しかし、プレイヤー達がそう言った、キャラクターの背景を細かく決めるタイプで無いのなら、今日のスティール・ジス・フックはまさしく貴方のためのものである。逃れ得ぬ過去にかかわるフックがここには一杯ある。これらはキャンペーンに連続性とリアリティを持ち込み、個人的な利害関係や切羽詰った動機をプレイに与えてくれることだろう。もしこれからキャンペーンを始める所であるのなら、いずれ果実を得るべく、最初から幾つかの伏線を植えて水を与えておくのも悪くは無い。
 さぁ、もってけドロボー!

 

兄弟からの手紙

ウルヴィタス兄弟団――それは12人のメンバーによるPCの一人が学生のころ所属していたサークルである。それは彼らの憲章が公然と掲げたように、哲学的な、新ロマン派の啓発された集団というよりもむしろ飲んで騒ぐだけの集まりではあった。それでもPCは皆で作り上げた手の込んだ規則を、酒場「ブルーバック・タバーン」で歌った歌を、そしてウルヴィタス、この兄弟愛と知識への探求について記した古代の無名の随筆家の理念を忘れぬための高潔かつ徹底的に馬鹿馬鹿しい誓いのことを覚えている。

彼らがそれぞれの道を歩み出してから何年も後になった今、旧友にして兄弟団の同士、オラフ・エグビーズが驚くべき事実をPCに伝える。PCは手紙を開け、読み始める・・・

懐かしの「ブルーバック」での緊急の集合がかかったのか? ひょっとしたら兄弟団のことをかぎ回るジャーナリストについての警告? 他のメンバーからの保護の依頼? 随筆家ウルヴィタスに関心を持っているホワイトドラゴンの学者からのメッセージ? それとも昔の仲間が三人、突然死んだと言う報せ?

 

飾り板は破滅を予言する

全ては、そのウォーフォージドの遺体の背中にあったぴかぴか光るプラチナの飾り板(訳注:飾り板とは絵画のように飾る金属・木・陶器等で出来た板)から始まった。

飾り板のドラゴン語を誤訳した結果、来る数週間の間悪魔の力がブレランドを覆うという軽率な発表がなされた。急使がPCを見つけるために派遣される。彼(彼女)の母親アイディンは次元界とデルキールの侵入に関する権威だったのである――9年前に姿を消すまでは。PCは突然消失した母親と同じケースが再び起こるかもしれないと聞かされて重苦しい思い出に沈む。パーティの残りのPCも同様だ。そして英雄達は彼女の持ち物のいくつかが失踪後に不自然に所有権を移動しており、サインは隠遁した男爵との関係を示すことを発見する。

時計は時を刻み、飾り板に予言されていた悪魔の侵入までもう間が無い。PCは飾り板の予言の本当の意味を解読出来るか? 予言の発表は真実から大衆の注意をそらす陰謀だったのか? ウォーフォージドは何故死に、何故背中に飾り板を取り付けられたのか? アイディンの消失の裏にある真実は、そしてそれは飾り板の作られた時代や謎めいた男爵、そして未完成のまま放置されたデルキールの生態の研究に関連しているのだろうか?

 

ドラゴンマークの師匠

ドラゴンマークの発現はしばしば若いPCの人生に苦痛と混乱をもたらすかも知れない。それは突然覆い被さってくる責任であり、社会的地位の変化であり、奇妙でぼんやりした新しいパワーであり、勿論肉体的な醜い印であり、そのいずれもが若者の心に深い傷を残すだろう。

彼がジヴ・ド・デニスの到着に心慰められたのはそう言った理由があったからである。この灰色の鬚を生やした偉丈夫は守護兵ギルドの兵士であり、到着した所に若いPCがドラゴンマークを発現したと聞き、彼自身がマークを発現した時の苦痛に満ちた、そしてしばしば吹きだすような話をしてくれる。老戦士は数週間の間町に滞在し、別れのときにPCが直面していた新しいマークに関する多くのこと、新しい責任、そして新しい力についてPCに教え、再会を約して去っていった。

そして彼らは再会した・・・望まぬ状況で。何故か? 年老いたジヴはデニス氏族の政治的な陰謀で暗殺されようとしているのだろうか? 兄弟を探してクバーラの密林に消えた彼を探し出さねばならないだろうか? それとも彼の宿敵であるビホルダーを倒すため、奇妙な巻物を解読するようにPCに助けを求めてくるのだろうか?

 

悪党は傷跡を残す

PCは彼女の首に触れ、指の下の傷痕に気付く。彼女と他のPCが花崗岩の階段をダンジョンへ下り、昔の恋人との約束を綺麗な声の、ラザーなまりのリードラ語で語る。彼女は何故今になって昔の約束を思い出したのだろう? 約束が破られたのがはるか昔だからと言うわけではない。悪党が彼女にナイフを突きつけてズィラーゴ当局から逃れたからと言うわけでもない。しかし、ダンジョンの入口に記されていたのはその悪党の家紋だった。

パーティが後援者から依頼されたアイテム回収任務でダンジョンを探険するとき、PCはかつて彼女がこの土地を所有している一族の破廉恥なローグと関係を持っていた事を思い出す。これはかつての恋人へ報復を遂げる機会なのだろうか? 彼女の心を奪った男から心を奪い取るか、或いは彼が去って数年の間に傷ついた心を癒す(はたまた盗まれた心を返してもらうか)方法があるのだろうか? パーティが探すアイテムは悪党たちの金庫に納まっていたりはしないか? 彼はズィラーゴのノーム達に長年追跡を受けるようなどんな罪を犯したのか、そしてPCは彼のせいでどのような苦難を耐え忍ばねばならなかったのか?  そして彼女はダンジョンの中で彼の現在の居場所に関する情報を見つけ出すかもしれない。

彼はそれらのすべての年前に彼を捜し出すためにジル格言に引き起こされたそれをどんな犯罪にしたか、そして、PCは彼に代わってどんな懲罰的な降下に耐えましたか? 彼女は土牢の危険の中で彼の現在の居場所に関する証拠を見つけるかもしれませんか?

 

ミニフック