Steal This Hook! 02/28/2005

冷たき死の腕(かいな)

ダグ・ベイヤー


 

エベロンにおける過酷な危険の中をPCたちは生き残り、幾ばくかの幸福を掴んでさえいるが、死神の骨ばった手は常に彼らの背後に迫っている。これらのアドベンチャー・フックではPCはキーパーの冷たい領域にこれまで以上に近づくことになる――恐らく彼らはより間近に感じる死に身震いすることだろう。さぁ、楽しんでくれ。

 

悲しみの一瞥

カルナスのヴルヤールに住む若い少女から英雄に連絡が来る。彼女は一週間前に「ドロガンと話してくる」と言って、ふらりとモーンランドに旅立ってしまった父親イーマークの捜索を依頼する。ドロガンはデイ・オブ・モーニングで死んだ彼女の兄弟であり、彼女は父親が気が狂ったか、或いはもっと悪い状況――何者かが兄の魂を装っているのではないかと心配している。

PCはデッド・グレイ・ミストの中にイーマークの足取りを辿り、新しく手を加えられた粗末な駐屯地を発見する。中ではやつれたイーマークが蹲っており、壁にはソヴリン・ホストの聖典からちぎられたページ、それも保護や守りに関するページが一面にベタベタと貼られている。そして床に捨てられているのは黒いレンズをはめ込んだゴーグル。一体ここで何が起こっているのだろうか?

イーマークがモーンランドに持って来たデス・ゴーグルは、彼の息子のゴーストと話をするためのものであったが、それは少しばかりうまく働きすぎたのである。ゴーグルをつけたとき、彼は周囲を漂う余りにもゴースト、多くのモーンランドで命を落したものたちのさまよえる魂を見てしまい、恐怖の余り心の奥底に閉じこもってしまったのだ。イーマークは偶然にもモーンランドの知られざる謎に触れてしまったのだろうか? そして英雄達はその謎を解き明かすことが出来るのだろうか? このゴーグルで、PCはいかなる死の秘密を暴くことが出来るだろうか――そして、何者か、あるいは何かがそれを阻止しようと動くだろうか? そしてイーマークはドロガンを見つけ出すことが出来るのか――あるいは、やはり彼は騙されていて、その仕掛人はロード・オブ・ダストなのかもしれない。

 

大いなる棺

英雄達はゼンドリックでダンジョンの入口を発見する。あるいは発見したと思い込む。実際にはその「入口」はドラゴンとフィーンドの戦争の最終盤に命を落した有名な巨人のひつぎである。恐らく墓泥棒が最近その入口をこじ開けたか、さもなくば偉大な先達を崇拝する原始的な巨人のカルト集団が占拠した遺跡を発見したのであろう。入念に仕組まれた罠はダンジョンの中で不運な犠牲者を待ち受け、洞窟に住む野獣たちは自らのテリトリーを守るために攻撃を仕掛けてくる。さらに古代の巨人はリッチかその類に足を掛けた存在であり、その魂は現在もなお中断した儀式の中で生きることも死ぬことも叶わず、半永劫的な苦しみを味わっているのだ。PCがこれらの儀式の鍵となるつながりを断ち切ることによって彼の魂は解放されるかもしれないし、あるいは彼を崇拝する巨人の血が流されたとき、祭壇に生贄の血を受けて儀式は完了するのかもしれない。

 

祖先のための努力

ヴァラナーでは二人の高位のキーパー・オブ・ザ・パスト(一人はカヴィオンというクレリック、もう一人はジャランサというバード)が同じリュシャンという名の守護祖霊を共有している。それぞれはかの祖霊の究極的な写し身となるべく互いにしのぎを削っており、二人はリュシャンの偉業についての研究に人生を捧げている。リュシャンがエアレナルに秘密の研究室を持っていた事を発見したとき、ジャランサはライバルに大きく差をつけるチャンスだと感じ、冒険者に接触をとった。一方カヴィオンも彼女を負かすために彼自身の遠征を組織し、結果としてレースは未だに続行中である。英雄達が到着したとき、彼らはリュシャンの研究室で、休眠中の魔法的メカニズムを見つける。リュシャンはエルドリッチ・マシンを動かそうとしていたのだろうか? あるいはそれは既に役割を終えて力を使い果たしているのか? 何千年も前にドラゴンの攻撃を防ぐために使用された兵器であったのだろうか? 先祖の事ばかりに目がいって、このエルドリッチマシンをどちらが先に起動させるかで争うカヴィオンとジャランサを、PCたちは一体どうするべきなのだろうか。

 

ハーフリングの契約

バビン・オレクは見張られている。老いたハーフリングは自分がストーキングされていると考えている――彼は宝石を商いながら街を歩き回っていたとき、黒い影に付きまとわれていることに気付いた。それは何者だろうか。スリ? 彼の家族への妄想に囚われた狂人? それとも彼がハーフリングの宝石を「保護」するビジネスを営んでいると考えている犯罪者?

ストーカーを調査するために雇われた冒険者はより厳しい現実に直面するかもしれない。オレクが本当に恐れているのは、彼に付きまとう黒い影がかつて彼の行った闇の契約――オレクの寿命を延ばしたそれ――を知っているのかもしれないということなのである。実際彼はその影を人の姿をとったキーパーではないかとすら考えている。バビン・オレクの実年齢はおよそ300歳(これはハーフリングの平均寿命を優に一世紀は上回る)。にもかかわらずその外見はせいぜい120歳程度でしかない。オレクは契約の一環として毎年誕生日に枕の下に高品質のドラゴンシャードを用意しなくてはならない。そして朝になるとそのシャードは消えているのである。オレクはドラゴンシャードを入手するのに宝石業界のツテを辿っているが、ハーフリングの外見が徐々に本来の年齢に近づいていることからして、シャードのご利益は既に薄れつつある。

オレクに付きまとうのは一体誰なのか? もしそれが彼の死を望む誰かであるのなら、PCはオレクを助けることが出来るだろうか? そうでないならば、99年前死に怯えるこの老人を死に関するペテンにかけたのは誰か? その契約相手は今起こりつつある状況に責任があるのか? この契約の後ろにキーパーの影が無いのであれば、PCはこの老人の不自然な寿命をどのように説明するのか? そして100個を越えるドラゴンシャードはどこに消えたのか?

 

ドルラーからの横滑り

ドルラーが隣接しているとき、シルヴァー・フレイムのクレリックは死んだ仲間のうち重要な人間を復活させようと試みる。呪文に込められた信仰の力が隣接した死者の次元から多くの魂を呼び寄せ、クレリックは誤って別の魂を肉体に戻してしまう。現在シルヴァー・フレイム教会の要人の肉体は、誰か別の人間の魂によって所有されているのである。それは若い頃死んだシフターの少女であるかも知れず、退屈しきった厳格なシャーンの主婦もしくは荷車の事故の犠牲者であるかも知れず、あまつさえシルヴァー・フレイムの聖戦によって打ち倒された地下竜教団の執念深い狂信者の魂であるかもしれない。あるいは敵のライトニングボルトに倒れたウォーフォージドの兵士、生後二週間で死んだ幼児、ダーグーンのケチ・シャーラットの将軍、ひょっとしたら六万年前に死んだエルフのソーサラーが、現世の重要な肉体を乗っ取るためにこうした現象を起こしたのかもしれない。一体何が起こると言うのか? PCはどのようにそれにかかわっていくのか? 本来の要人の魂は一体どうなるのか? ただ一つ言えることは、これは貴方のキャンペーンであり、これはただのアドベンチャー・フックに過ぎないと言うことだ・・・。

 

ミニフック