Steal This Hook! 12/20/2004

ここはラザー、海賊の島

ダグ・ベイヤー


 

コーヴェア大陸北東の海に浮かぶラザー公国は苛酷な環境の島々からなる、無法の支配する地である。危険な暗礁、公子たちの騙しあいのパワーゲーム、そして深い海に秘められた秘密はDMたる貴方をして叫ばせずにはおれないだろう――ここはまさしく、映画の如き海のロマンを追求できる場所なのだと。さぁ、冒険に満ちたラザーの海に君も足を浸してみようではないか?

 

ラザーを覆う影

ライガー・イル・ワイナーン大公はラザーを一つの旗――勿論彼の――の元に統一することを夢見ている。しかしラザーの他の公子は彼らの艦隊の指揮権を大公に引き渡すことにはよく言っても積極的ではなかった。しかし世界は常に変化し続けている。そしてその変化が少なくとも一人の海の女を刺激した。ある海賊の首領が彼の忠誠をライガー大公に捧げた。タルーラ・アイアンスパイン(オルガロス島に程近い島の、小さいがよく統率された船団のキャプテン)はその時はなんとも思わなかったが、続けて二人の公子がライガーに忠誠を誓い、彼女自身もライガー大公との会見に赴かざるを得なくなった。

タルーラはライガー大公と、彼の根拠地であるリーガルポートで個人的な会見を持った。大公は人をひきつける微笑みを持った彼女の忠誠を求めたが、彼女の返事は顔に叩きつけられたワイン――大公が望むはずも無かった答えであった。彼女は退出を許された。しかし港に戻った彼女を待っていたのは、燃え上がる自らの旗艦と虐殺された部下達であった。

今タルーラは復讐の機会と、ライガーによるラザーの征服を食い止めるための手段を探し求めている。使えるだけのコネを手繰り、彼女は彼女の計画を助ける意志と能力を持った熟練の冒険者を集めようとしている。しかしながら、彼女の呼びかけに応えた冒険者は、ライガー大公がラザーの公子と船長たちを自らの勢力に引き入れるために暗い力と取引したことに気付くかもしれない。だがその力――暗黒のリッチ、ヴォルも彼女自身の邪悪な目的のためにその力を確固たるものとすべくライガーを利用しているだけなのかもしれないのだ。

 

"気違い"ドリッグズの走り書き

クエスター等の海岸、塩水に現れた洞穴の一つで、ノームのローグが遺体で発見された。不幸なノームの手には古代の羊皮紙が握られており、半ば気の狂ったゴブリンが何世紀も前に書き残した謎めいた言葉が綴られていた。ノームはゴブリンの書き残した謎を最後まで探索することは出来なかったが、PCたちにはそれが出来るかもしれない。しかし、チュラーニ氏族のエルフが英雄たちの探している場所にある情報を求めている。不幸なノームの死因はチュラーニのエージェントによってよく使われる毒だったのかもしれない。

 

泳いで渡るには冷たすぎる

クリフスクレイプから程近いテンペスト島という小島までの海で、毎年競泳が催される。もっとも愚かで頑健な者だけがこの過酷なレースに挑む――この二つの岸の間に生息する凶暴な海棲生物については言うまでも無い。しかしながら、ライガー大公による賞金はかなりとんでもない額であるのもまた事実だ。また勝者はライガー大公の旗艦であるドラゴンアイ号で彼と個人的に会談する機会を得る。

 

砕けた王笏

「それでは、お若いの。ラザーの砕けた王笏について話そうか」と老海賊は言った。
「かつて西に王がいた。彼にはデーモンを使う召喚術師の友人がいたが、ある時使役されていたデーモンが王の神秘的な王笏を盗み、東に逃げた。勇敢で純粋な一人の騎士がデーモンを倒し、王笏を取り戻すために旅に出、ついにここラザーでデーモンを追い詰めたのだ。騎士とデーモンの戦いは島を揺るがすほどだった。ついに騎士の剣がデーモンを貫き、致命傷を与えた。だがデーモンは最後の力を振り絞って王笏に牙を突き立て、それを粉々に砕き、破片はラザー中に散らばったと言う。
 現在それは失われたと考えられているが、エールの一杯でも引っかければどのアシカ野郎(訳注:船乗りのことか)でも『実は王笏の破片を見つけたことがあるんだ』くらいのホラは吹くだろう。儂の考えによればだ、もしそんな宝物が本当にあるんならそれは組み立てられないままなのが一番いいんだ。デーモンだなんだと、触らぬ神にたたりなしだよ。・・・・もっとも、あんたらには関係ないことだろうがな」
そう言って、その年老いた海賊はにやりと笑った。

 

怒れる海賊ブルールグ

でかくて腕っ節が強いが人望に欠ける海賊船長、オーガのブルールグはラザー海で商船を略奪して大儲けしているにもかかわらず乗組員への払いが悪い。それが変わったのは彼がデディケイテッド・ライト、ファーティヴ・フィルチャー、アイアン・ディフェンダーを満載した輸送船を襲ってからのことである。彼は突然、理想の乗組員を手に入れたのだ。ブルールグはたった一人――これらの人造を作り上げたサランドリと言う名のアーティフィサー――さえ生かしておけば十分だと言うことに気付き、彼女を使って人造の船員たちに命令を下すようになった。現在彼の船は効率的な略奪機械、海の災厄と化し、公子、大商人、その他の勢力が注意を払う存在となりつつある。PCたちはブルールグと彼の珍しい乗組員を探し出すためにそう言った方面のエキスパートを求める船長や、彼のペットに我慢ならないライバルの海賊船長の依頼、あるいは捕らえられたサランドリからの助けを求めるメッセージを受けとるだろう。それを届けるのは人造の乗組員を手に入れたブルールグに首にされるどころか昼飯にされかけて逃げ出してきた元乗組員であるかもしれない。

 

ミニフック