Steal This Hook! | 12/06/2004 |
ダグ・ベイヤー
外套には、多くの機能がある――それは人の顔を隠し、経歴を隠し、名前を隠す。PCの目からそれらを隠すことによって、解決すべき謎を生み出すのである。これら黒衣の来訪者たちの神秘を全て盗み取り、君のキャンペーンに謎のヴェールを纏わせて欲しい。
赤いヒゲのカラシュターのローグがクローク・オブ・エルヴンカインドを翻して暗闇から現れる。彼はワンダリング・イン(放浪者の宿)でガランダ氏族にかかわる血なまぐさい陰謀を察知し、それを暴くためにここまで旅をしてきたと言う。PCはこの「自由なる魂」を信じて彼の調査を助けるだろうか? 旅行者ギルドのハーフリングが犯した殺人を隠しとおすことが出来るだろうか? あるいはローグは単にPC達を引っ掛けようとしているのかもしれない。英雄達は果たして正義の名において不正の霧を払おうとしているのか、それとも潔白な氏族に無実の罪を着せようとしているのか? 行動の前に赤毛のローグの事を調べてみることが必要になるかもしれないし、地元のハーフエルフは彼がどこで魔法のクロークを手に入れたのか知っているかもしれない。
PCはコランベルグのドックの周辺をうろついていた、足を引きずって歩く人影を尾行する。やがて人影は酷く破損したウォーフォージドであり、海岸通りの店に押し込み強盗をかけるべく下見をしていた事が判明する。或いはそれは竹馬に乗ったケチ・ヴォラーのゴブリンの兄弟であり、コランベルグ図書館に潜入する気違いじみた任務を遂行しているのかもしれない。さもなければそれは重いスーツケースを引きずった若い少女で、スーツケースの中にはコランベルグ博物館から消えた宝物がぎっしりつまっているのである。どの場合でも外套の中の人物は手段を選ばないほど破れかぶれになっており、英雄達は彼らと予期せぬ遭遇、予期せぬ事件に巻き込まれるだろう。最終的に英雄達は彼らの邪魔をするかもしれないし、事情によってはそれを助けることになるかもしれない。
年老いた人間の男性が外套を脱ぎ、パーティのタバーンテーブル(訳注:居酒屋(タバーン)で使われるような、長方形の長いテーブル)に腰を下ろす。衣装は埃だらけで汗まみれではあるが明らかに洗練されており、彼の出自をうかがわせる(彼がモルグレイブ大学のバーク・ハメット教授であると分かれば納得してもらえるかもしれない)。彼はダルーク・バル、即ち地元の10の学芸機関のメンバー有志で構成された、余暇を冒険とスリルの追求に費やすサークルのメンバーであると自己紹介する(余談だがダルーク・バルとはゴブリン語で「運命の玩具」を意味する)。彼らの冒険は概ね合法かどうか怪しい代物であるので、大学側に知られれば首は間違い無いのだが・・・現在彼らはトラブルに巻き込まれていた。マインドフレイヤーとその配下のヴォイドマインド・ミニオン(モンスターマニュアルV参照)がほど近い洞窟を探険していた彼らのメンバー三名を捕らえてしまったのである。つまり今ハメット教授が必要としているのは「本物の」冒険者というわけだ!
その歩く死体は外観を隠すために外套をまとっていた。彼はカルナスにライトニング・レイルで向かう方法を探しており、その為にPC達の助けを必要としている。これは安らぎを得られぬ魂が故郷に帰るシリアスなストーリーを紡ぐ機会であるかも知れず、また――恐らくはよりありそうな事ではあるが――逃亡するゾンビ(あるいは他のアンデッド)にかかわるより気楽な冒険に関係するものであるかもしれない。緊張を保つために、発見されそうな状態で危機一髪的なシーンを多数挿入するのがいいだろう。切符に判を押す車掌はアンデッドの乗客の顔と身分証明書を比べたがるかもしれないし、隣のコンパートメントに乗る乗客は臭いにクレームをつけるだろう。子供はゾンビの両足の間にボールを転がし、それを取る振りをして外套の中を覗き込もうとする――その、死んだ目を見上げるために。また、隠された旅行者を見つけ出すことを目的とした一つかそれ以上のグループ――金銭や他の何かを彼に貸していると主張する家族(遺族?)や、ヴォルの血の信奉者、あるいは単に興味を持った伝記作家――が列車に乗り込んでいるかもしれない。
ブレランドの王はブロークンブレード城の塔の一つに秘密の客を迎える。この客に関して「国王が彼のために通常の四倍の食事を用意するようコックに命じ、仕立て屋に巨大(長さ12フィート)な黒い羊毛の外套を修繕するよう命じた」という噂が流れ、ブレランドの王都はその噂で持ちきりになっている。ロートの悪名高いゴシップペーパー(ロート・デイリー・ガゼット)はこの客の正体に関するスクープに万金を支払う用意があり、それはたちどころにPC達の知る所となる。