Steal This Hook! 11/22/2004

戦争の爪跡

ダグ・ベイヤー


 

最終戦争はコーヴェア中を死体で埋め尽くしたが、それは生き延びた人間にとって気が滅入ると言う程度のものでは到底なかったのは確かである。血と暗黒に閉ざされたこの一世紀を乗り越えた人々は、癒えぬ傷を身体に刻み、汚れてしまった思い出とともに生きていかなくてはならない。こうした憂鬱なキャラクターは貴方のキャンペーンにおいて激しい感情を呼び起こす劇的な冒険の糸口となるだろう。「戦後」のスティール・ジス・フックへようこそ!

 

罪と名誉の物語

ソヴリン・ホストの年老いたクレリックであるブラザー・イェロンドが、彼の寺院を彩るステンドグラスの窓を叩き割り、自らの額にルーン文字のシンボルを刻む。隠していた罪が彼をついに打ちのめしたのではないかと囁く人々を置き去りにして、彼は重い荷物を負って町を出た。丁度町にいた英雄たちは彼の捜索を依頼され、調査の結果彼はモーンランドに向かっていることが判明する。彼を発見して問いただした英雄達に、彼は気が狂ったわけではないと言う。そしてかつてサイアリにいたある家族を探すのを手伝って欲しいと頼んでくる。最終戦争の最後の数年、彼はその家族の末の息子を殺してしまい、ドル・アラーの名においてその贖罪として残りの人生を彼らのために尽すことを誓ったのだ。自らの重荷に対して彼はいかなる援助をも拒絶するが、旅の助けをしてくれる事については最大限の感謝を捧げる。

 

大尉とハグ

ファラス大尉は最終戦争を戦い抜いたカルナスの古参兵――赤いスケイル・アーマーに無数の勝利を物語る勲章をぶら下げた――であるが、その頃の話を人に語ることは決してない。彼はアンデッドの軍団と肩を並べ、あるいはその中で戦う内に、生きた戦友よりもこれらの生者を憎悪する悪意に満ちた存在の中にあることに安らぎを覚えるようになっていったのである。戦争が終わり、空しさと存在意義の喪失に苦しむ彼はますますアンデッドに傾倒するようになる。彼が戦旗の切れ端を握り締めて墓場をうろついていたある夜、ねじくれて腰の曲がった影が現れた。彼女は死霊術の技を授ける事を申し出、そして彼はその申し出を受けた。この堕落した約定は一体何をもたらすのだろうか? 彼は再び赤いスケイルアーマーを身につけ、不死者の軍団を率いるのだろうか? 腰の曲がったハグの目的は一体? 彼の大切な誰かが彼の行いで死んだ時、彼は彼女を不死者として甦らせるのだろうか?

 

陪審義務

ベブルボーム夫人は五年以上前に戦争で三人の子供を全て失ったが、彼女はそれを知らない。一年前、目が近くなってきたこの初老の婦人をギムという名の勇敢なチェンジリング(彼女の三人の息子たちの戦友)が尋ねてきた。彼は辛いニュースを告げにやってきたのだったが、老婦人にそれを告げるに忍びず、彼女の長男に変身し、彼が帰って来たように装ったのである。彼女は彼を抱きしめ、迎え入れた。

賞賛すべき努力と変身の技を尽くし、ギムは一年間の間彼女の三人の子供をかわるがわるに装った。しかしベブルボーム夫人の兄弟がそれに気付き、ギムは現在詐欺と超常能力の濫用の容疑で公判中である。地域の法によればこうした場合「部分者の陪審」と呼ばれる地域に定住していない人間による陪審で裁かれねばならない。そしてPCたちが陪審に選ばれたのである。

ベブルボーム夫人は子供のことを悲しんではいるものの、この詐欺に怒っている訳ではない。しかし彼女の兄弟は不平不満の合唱団と成り果てている。英雄は双方から事情を聞き、地域の法を解釈してギムが有罪かどうか決めなくてはならない。この決定はPCが夫人、その兄弟、ギム達の上官、そしてギム本人からの証言にどれだけ心を打たれるかに左右されるかもしれない。

 

ウォーフォージド・フォージド(ウォーフォージドは鉄を打つ)

ウォーフォージドの古参兵が彫刻を施した鎧を作り始める。そして彼は平和な世界における自身の新しい運命を表現し、理解するために「自画像」として自分そっくりのプレートアーマーを数十領作り上げた。しかしイルーヴィア(Iruvia)という名の復讐の女神の半ば気の触れた信者達はアニメイト・オブジェクトを使ってこの空っぽなウォーフォージドを動かすことにより、彫刻家の情熱を利用する事を企んでいた。このイルーヴィアのインスタント軍隊は武器屋を略奪し、街を恐怖のどん底に叩き落す。イルーヴィアは甲冑を彼女の永久的従者とする方法を探すだろうか? 自分の写し身が彼の村を攻撃する光景を見て、彫刻家は何を思うだろうか? それとも、それら全てがイルーヴィアの計画の一部なのだろうか?

 

過去の汚れ

現在カンラン(ブレランド東端における幾つかの主要な戦いがあった場所)は最終戦争の辛い思い出を抱える人々の住む地となっている。しかし、最近奇妙なことに戦争に関する思い出が櫛の歯のように欠けつつあるのだ。住民が戦争を完全に忘れていることに気付いたシャーンの伝記作家が英雄達に連絡を取ってきた。調査していく中でカンラン要塞に記憶を盗むことの出来るエルドリッチ・マシンがあり、コーヴェアの国中にその力を及ぼすべく準備されていることが分かる。装置を組み立てたのは誰か? 目的は? それとも何者かがこの力を発見して、それを良い目的のために活用しようとしているのだろうか? そしてカンランや他の場所で思い出が消えたとき、それは何をもたらすのだろうか?

 

ミニフック