Steal This Hook! 09/27/2004

それは古書の中に

ダグ・ベイヤー


 

ウィザードの呪文書(上)とラスの書(下)再び「スティール・ジス・フック!(このアイデアを盗め!)」にようこそ。今回のテーマは古書である。良きにつけ悪しきにつけ、冒険のアイデアには大体かび臭い古書をめくるやせっぽっちの誰かが必要になる。(私たちがからかっているのは誰だって? そりゃ勿論"悪いほう"に決まってる!) あなたのプレイヤー達にこのアイデアを使ってみたまえ。おそらく、彼らは無知が幸福なのであると思い知ることだろう!

 

白紙の写本

PCの一人の伯父が死に、革ひもで厳重に縛られた上に鍵のかかった古い写本を冒険者の甥ないし姪に残した(最終戦争の影、p24参照)。表紙に題名は無く、丸い印で飾られている。開いても何も記されていない――しかし、本は魔法を投射する! 各ページは特定の条件を見た実蹴れば読めない、特別な種類のイリューソリィ・スクリプトで書かれていると判明する。ページによっては特定の時間帯でなければ読めないこともある――例えば、ドルラーが遠方にあるときだけとか。他のページは読み手によって制限されている。例えばエルフと調教のマークを持つものにしか読み取れないページがあるのだ。

一体何が書いてあるのだろうか? 本は伯父の一族のウィザード、最終戦争の古参兵だった人物の日記(アーケイン・マークがどこかにある)である。ウィザードは旅の中で多くの驚異と神秘を眼にしており、本は冒険の種を一杯に詰めた金鉱かも知れない。また、本の出現は英雄に注目を集めるかもしれない。シヴィス氏族の代表はこの興味深い書物に喜んで大金を支払うだろうし、いまや年老いたかのウィザードの敵はそれを奪い取ろうとする。またあるカルトの熱狂的信者が、本の中に捜し求めていた地図があると信じて英雄たちを脅したり殺そうとしたりするかもしれない。

 

グローミングのヘンジ

※ヘンジ(Henge)・・・ストーン・ヘンジを含む、円形の古代の構造物の総称。ストーンヘンジのほかにクレーターのような穴のもの、木で作ったもの、土手を丸く作ったものや円墳なども含む。

エルデン・リーチでは門を護る者のドルイド達がタワリング・ウッドで増加する密猟に頭を悩まされている。彼らは信頼できるPCにこれらの犯罪の調査の助けを求め、PCたちの調査によってピクシーの翼、ジャイアントイーグルの羽根、ユニコーンの角が買い占められ、領収書には常にモルグレイブ大学の印があったと判明する。鍵となるのは古代ガリファー王国のウリック・ヘルベーン教授が記した『弁証法論』と題された巻物二巻。

一方、グローミングの最も奥まった、最も暗い、最も危険な森の中で、ドルイドに付いて研究している学生と彼の相棒であるホリッド・エイプが飽く事無く作業を続けていた・・・何かを、建設するために。彼らは木を切り倒し、巨大な長方形の石を動かす。ルーンで覆われたその分厚い石の板に、記述と図に従って翼、羽根、角を置く。彼らの行為と第三の巻物『アーリー・ウォーカーズとマバールとの関係についての熟考』の関係は? 英雄たちは見当違いの研究を続ける学生だけでなく、はるかな昔に死んだヘルベーン教授によって作られた神秘的なヘンジにグローミングの負のエネルギーを集中させる恐ろしい研究に対処しなければならないのだ。

 

明日の暦

モーンランドの地下のダンジョンで、英雄たちはバラバラになった大量の羊皮紙を発見する(火災注意!)。ページの下に記されている暦は、この記録が毎日魔法で自動的に書き加えられていたことを意味する。ページの増殖に耐え切れなくなった装丁は何年も前にはちきれて、今では部屋中が羊皮紙で埋もれている。それぞれのページは一日後に起きることが記述されており、予言を自動的に書き留める書であったことが分かる。天気、死者の数、軍の行動、その他の重要な出来事の記述全てが予測されていた。

最新のページには明日災害が起こると記されており、英雄はそれを防ぐことができるかもしれない! 最終戦争が終っているにもかかわらず、明日には数百の死者が出ると記されており、"サイアリ"がスレインにむけて軍を動かしていると書かれている(これは、ロード・オブ・ブレードの軍事行動を指している)。それとも、それはリランダー氏族の狂ったメンバーによって起された気象災害なのかもしれない。あるいは邪悪な呪いが疫病と飢饉を引き起こすのかもしれない!

ダンジョンの部屋からそれらを取り除くと暦の情報は正確さを欠くようになるが、役に立たなくなるわけではない。この暦を作ったものの調査は更なる冒険になることだろう。

 

『トゥーム・オブ・グリフ』の探索

英雄の後援者は『トゥーム・オブ・グリフ』(ゼンドリックのジャイアントの歴史を詳しく述べた伝説的な書物)がクバーラの霧深いジャングルのダンジョンに存在するかもしれないと彼らに伝える。シャーンの考古学者にして言語学者ブレナ・ドーウェンは冒険者に同伴し、ダンジョンを探す手伝いをする。

ダンジョンの入口で、彼らはライバル探険隊の物と思われる、無人のキャンプを見つける。遅すぎたのかもしれない! ダンジョンの中でパーティは六角形の部屋に配置された六つの陳列台と六つの巨大な本(それぞれが貴族のベッドを上回る大きさ)を発見する。どれか一つが本物なのだろうか? 床の血の染みは壁の一角に続いている。そして本が攻撃してくる! パーティが誘い出されたのは六体の(あるいはPCと同じ数の)ミミックの狩場だったのだ! 先に来た探検隊はこいつらに食われてしまったに違いなく、床の血の染みの先には、それらの残りが保存されているのだ。果たして本物の『トゥーム・オブ・グリフ』はこのダンジョンのどこかに存在するのだろうか? それとも狡猾なイリシッドが冒険者をミミックのねぐらに誘い込むのに伝説を利用していたに過ぎないのか? あるいはブレナが彼女自身の理由でパーティを罠にかけたのかもしれない。

 

図書館の怪物

ある月のない夜、コランベルグ図書館の職員、パンプル・ダンビビン氏から冒険者に援助要請が届いた。彼は本に住み着いていた怪物を二匹、図書館の最下層に閉じ込めたというのだ。吹き抜けに通じる重い扉だけが彼らを封じ込めているのだという。ダンビビン氏からは怪物が何故図書館にいるかという説明は全くない。彼はただそれらを捕らえることだけを要求し、怪物を殺してしまったり、すぐに事件を解決しないなら、報酬は大幅に減額するという。

PCは埃だらけの書架が並んだ暗い廊下のなかを怪物に忍び寄る。「稀覯本」とプレートの張られた鉄の扉の後ろで二匹のファイハイアー(fihyr)(ないしは適切な脅威度の攻撃的なモンスター)と遭遇する。ファイハイアーは実の所ダンビビン氏の息子達(12歳と10歳)であり、稀覯書の一つを音読していたときに事故で変身してしまったのである。呪文が彼らの心を騙しているので、彼らは自分達が本物の怪物であると信じている。ダンビビン氏は何が起こったのかを知っているが、彼が息子達に貴重な書物を無許可で閲覧させていたと知れば、ダンビビン氏は只では済まされないだろう。彼はPCが変化してしまった息子達を捕らえ、原因となった書物を回収すれば息子たちは元に戻ると信じている。

 

ミニフック