6.暗褐色のポータル Puce Portal


  この部屋には〈エッセンス・オヴ・ショウスラグト〉に繋がるポータルが置かれている。門の上からは欲求不満を感じさせる打撃音が響いてくる。難易度5の〈聞き耳〉判定に成功することで(これは距離による修正だ)、それがハンマーを打ちつける音であることがわかる。
  もしPCが第4区画の〈タリズダンの宝石〉を破壊していないのであれば、読め:

  部屋の奥の壁に、黒く焦げた肉に縁取られた、薄黄色の円盤が掛かっている。大きな抽象的ななにかが、円盤をハンマーで叩いている。その胴体は青緑色の金属板で作られ、内部には複雑な時計仕掛けが納められているようだ。その頭部は平べったい円盤だ。その頭部が旋回し、あなたの方に向いた。赤く光る単眼が、あなたを見つめている。

 

  このクリーチャーはヴァラハットだ。諸神格が、自らとその被造物を守るために生み出したイネヴァタブルだ。彼と同胞はエルダー・イーヴルが覚醒してからすぐに物質界に現われた。彼を除くイネヴァタブルは、旅の途中において不快な運命を遂げた。そしてこの人造だけが、遠征隊最後の生き残りである。
  ヴァラハットはエルダー・イーヴルの内部で遭遇するいかなるクリーチャーに対しても敵対的である。しかしながら、それはPCに対し事情を説明するに十分な時間を与える。キャラクターが〈交渉〉により友好的以上の関係に態度を改善できない場合(難易度35)、それは攻撃を開始する。


戦術的遭遇:遭遇レベル19

準備

  マップ上に示された場所にヴァラハットを配置しろ。プレイヤーは自らのミニチュアをマップの入口付近に置け。イネヴァタブルとの関係を改善できたのならその限りではない。ヴァラハットが攻撃を開始するなら、読め:

  火のように赤い目が、侮蔑の意味合いを込めて燃え上がる。それは低い声で淡々と、恐るべき言葉を述べ伝えた。

 

ヴァラハット Varakhut ヒット・ポイント151:脅威度19:『Fiend Folio』103ページ

 

戦略

  ヴァラハットは高速化サークル・オヴ・デス 呪文を発動し、腹心や従者、動物の相棒などを除去しようとする。その後、窓のない牢獄型のフォースケイジ を発動して、術者と思われる者を隔離しようとする。可能であるなら、イネヴァタブルはパーティーの撤退を阻止する場所にフォースケイジ を発動する。
  次のラウンドに、ヴァラハットはメテオ・スウォーム (+17遠隔接触)を重装キャラクターに発動し、次に非信仰術者に発動する。その後にヴァラハットはホールド・モンスター フォースケイジ を発動する。だが、彼は少なくともエルダー・イーヴルに発動するために1回のフォースケイジ を残しておく。
  ヴァラハットは諸神格の擁護者であり、エルダー・イーヴルの信者や共謀者を破壊することにほとんど興味を持っていない。これらのクリーチャーを攻撃するよりむしろ、ヴァラハットはドミネイト・モンスター を発動して、エルダー・イーヴルとその下僕の破壊を援護させようとする。

 

区画の特徴 Features of the Area

  この区域は以下の特徴を持つ。

  ポータル Portal:エルダー・イーヴルの印が圧倒的である間は、ポータルは機能しない。ただトーチ・オヴ・リヴィーイング の光を照らすことにより、PCは第21区画に移動することができる。さもなければ、PCは〈タリズダンの宝石〉を破壊しなくてはならない。
  ポータルが起動しているか否かに関わらず、いずれかの生きているクリーチャーがポータルに隣接するマスに入ったなら、難易度25の意志セーヴを行わなくてはならず、失敗したなら1ポイントの【判断力】吸収を起こす。

 

イネヴァタブルを味方にする Befriending the Inevitable

  戦闘が始まった後でさえ、PCは自らの意図をイネヴァタブルに伝えて納得させることが出来るかもしれない。イネヴァタブルを味方にすることを望むPCは全ラウンド・アクションで〈交渉〉判定を行える(急いでの〈交渉〉判定は−10ペナルティーが課せられる)。もしPCがイネヴァタブルの態度を無関心まで改善するなら、それは攻撃を打ち切りポータルを叩く仕事に戻る。態度を協力的にまで改善することが出来たなら同じ効果をもたらすが、イネヴァタブルはフォースケイジ に捕えたPCを解放し、他の魔法的効果からも解放する。


  もし冒険者が彼の態度を“友好的”に改善することに成功したなら、それはPCを無視してポータルを叩く作業に没頭する。もしキャラクターが態度を“協力的(難易度50)”にまで改善することが出来たなら、彼は彼女らと会話をする。イネヴァタブルは「冒険の背景」に記されたすべての背景を知っており、そしてもし尋ねられたならその情報を話す。それは異形を破壊するなら協力するとPCに申し出る。そして、彼女らが目的を逐一説明する限り、冒険者に同行する。もしPCがためらうなら、ヴァラハットは彼女らを無視する。
  もしPCが第4区画の〈タリズダンの宝石〉を破壊した後なら、読め:

  壁に掛かった、大きな円盤のまわりに、ゆらめく炎が燃えている。円盤は、脈動する暗褐色の光を放っている。はっきりとはしないが、何かが中で動いているようだ。暗く、女性のような姿をした、なにかが動き回っている。部屋は薄暗く、何もないように見える。

 

  ポータルが開いたなら、ヴァラハットは〈エッセンス・オヴ・ショウスラグト〉を攻撃するべく門を通過する。たった1体では期待するべくもなく、ブラックストーン・ギガントと〈エッセンス〉を前にして、イネヴァタブルは1d4+2ラウンド後に破壊されてしまう。
  もしPCが点火されたトーチ・オヴ・リヴィーイング 持って部屋に入るなら、読め:

  トーチが投げかける、不気味な光が円盤に届くとともに、霞は消え去り、あなたは部屋の中を見通すことが出来る。4体の巨大な石像が、大穴を守るかのように立てられている。そして、穴の中には、黒く邪悪な何かが、うなりうごめいている。

 

  トーチ の明かりを得ることにより、PCは前方にある〈エッセンス・オヴ・ショウスラグト〉の棲居に対面することができる。