14.デーモンの見張り Demonic Sentinels


  この大きな部屋は命知らずの見張り三人衆の兵舎である。〈麗し〉のレアスから出入口を見張るように命ぜられたこれらデーモンは、第13区画との境界にイヤらしい罠を準備した。デーモンはPCに対して直接攻撃を仕掛けるよりも、この部屋から攻撃を仕掛け、シンボル・オヴ・ペイン に引き込むことを好む。そこで、彼らは隣室から呪文を発動し、PCが彼らのそばまで接近してくることを期待する。そこでさらに複数のシンボル を発動させようとする。
  PCがデーモンと戦闘状態に入ったなら、彼女らは戦術的遭遇を引き起こす。


戦術的遭遇:遭遇レベル19

準備

  クラリチア・デーモンの配置箇所はマップに示されている。PCが不可視状態のクリーチャーを認識する能力を持たないなら、デーモンをマップ上に配置してはならない。PCにあってはマップの左下角に配置しろ。配置が済んだなら、読め:

  4つある穴を越えた先に、大きな部屋がある。床にはいくつかのくぼみがあり、泡立つ不気味な液体が満たされている。血だまりが、遠くの角の壁を彩っている。

 

  もしキャラクターが不可視のクリーチャーを認識できるか、あるいはグレーター・インヴィジビリティ 呪文を無効化出来るのであれば、読め:

  身長30フィートはある、筋肉質かつ力に満ちたデーモンが立ちはだかっている。背中からはがっしりとした真紅の翼が広がり、4本ある力強い腕には空を裂く鉤爪が生えている。恐ろしげな頭部からはうなり声が響き、何もかも噛み砕けそうな第2の口が胴体にくっついている。

 

クラリチア Klurichir (3体):ヒット・ポイント210:脅威度17:『Fiend Folio』48ページ

 

戦略

  戦闘開始前に、デーモンはグレーター・インヴィジビリティ、メイジ・アーマー を発動する。PCが接近したなら、デーモンはアンホーリィ・オーラ を発動する(データ・ブロックにはこれらは含まれている)。デーモンはPCを近接戦闘に引きずり込もうとするが、狡猾にもまず彼女らを弱体化させようとする。そのため、最初の3ラウンドにわたり、デーモンはデストラクション、エナヴェイション、インプロージョン を順次発動する。最後のインプロージョン は精神集中が可能な限り持続させる。デーモンはキャラクターが接近してくるまで喜んで呪文を発動し続ける。もしこれらの呪文がPCに影響を与えないようであるなら、デーモンはホールド・モンスター、ファイア・ストーム、スコーチング・レイ を織り交ぜて発動する。
  デーモンの30フィート以内に侵入したキャラクターは《恐怖のオーラ》に対してセーブしなくてはならない。もしキャラクターが逃げだすなら、1体のクラリチアがキャラクターを虐殺しようと追跡する。
  デーモンは恐るべき呪文や擬似呪文能力を多数有しているが、彼らが真に得意とするのは近接戦闘である。デーモンは近接戦闘の第1ラウンドで、10ポイントの《強打》で攻撃する。続いて、彼らはバトルアックスで攻撃するが、同時にキャラクターに組みついての《首狩鋏》攻撃も行う。いったん組みついたなら、クラリチアは組み付いた犠牲者が逃げ出すか殺されるまで攻撃を集中し続ける。
  デーモンはPCを簡単には逃がさない。もし彼女らが撤退しようとするなら彼らは追跡する ‐ たとえエルダー・イーヴルの外に向かってであろうと。彼らは餓えており、彼女らは久しぶりの新鮮な肉なのである。もしPCがエルダー・イーヴルの印を減衰させた後であるなら、事態はさらに悪化する。デーモンはそれぞれ2体のグラブレズゥを招来し、そして彼女らの撤退を妨害するためキャラクターの背後に彼らを送りだす。

 

区画の特徴 Features of the Area

  この区域は以下の特徴を持つ。

  シンボル・オヴ・ペイン Symbols of Pain:この部屋に至るそれぞれの入口はシンボル・オヴ・ペイン により守られている(術者レベル20)。いずれのクリーチャーであってもシンボル を通過したならそれを起動する。そのクリーチャーと60フィート以内に存在するすべてのクリーチャーは難易度21の意志セーヴを行い、失敗したなら攻撃ロールと技能判定、能力値判定に―4ペナルティをこうむる。もしシンボル が呪文抵抗を克服したなら、デーモンもセーヴをしなくてはならない。キャラクターがこの区画を離れた1時間後、ペナルティーは解除される。複数のシンボル・オヴ・ペイン に対しセーヴ失敗しても効果は累積しない。

  くぼみ Pockmarks:床のくぼみにはエルダー・イーヴルの膿漿がたまっている。膿漿がたまったマスに入ったクリーチャーは難易度33の頑健セーヴを行わなくてはならず、失敗したならスポンジ状の肉塊に成り果ててしまう。この効果は〈エッセンス・オヴ・ショウスラグト〉の持つ《肉体不安定化》と同様に作用する。

  血だまり Blood and Gore:この部屋の角に赴くことにより、エルダー・イーヴルを破壊するためにやって来た別の冒険者パーティーの末路を目撃する。デーモンは彼らを捕らえるとゆっくり細切れにし、臓器と肉片の上に装備をばら撒いた。デーモンはアイテムを破壊しなかった。バンデッド・メイル・オヴ・ラック、+2アシディック・バースト・ショートソード、リング・オヴ・メジャー・コールド・レジスタンス、+3リング・オヴ・プロテクション、マキシマイズ・レッサー・メタマジック・ロッド、+5クローク・オヴ・レジスタンス、ドルイズ・ヴェストメント、エターナル・ワンド・オヴ・キュア・シリアス・ウーンズ、紺色の長斜方体形アイウーン・ストーン、ヴェスト・オヴ・フリー・ムーヴメント。

 

エターナル・ワンド Eternal Wand:回数無制限のワンド:『Magic Item Compendium』159ページ

価格(アイテム・レベル):下表参照
アイテム・スロット:手持ち
術者レベル:下表参照
オーラ:微弱;(下表参照)エターナル・ワンドに充填された呪文の系統次第
起動条件:標準アクション(合言葉)
重量:
  この長く先細り形をしたワンドの先端には赤く渦巻くピンク色のクリスタルが嵌まっている。
  エターナル・ワンド は3レベル以下の秘術呪文ひとつを込めて作成される。その呪文が自身のクラス呪文リストに存在するか否かを問わず、秘術呪文を発動可能なキャラクターであるならワンドを起動することができる。
  エターナル・ワンド は1日に2回まで起動することが出来る。
知識:
  前大戦末期の数年間、高貴なる家系に連なる強力なアーティフィサーとウィザードがクリスタルの薄片に包まれた新たなる形式のワンドを作り出した(〈知識:歴史〉難易度10)。
  前大戦の末期、エターナル・ワンドを開発したことにより、受動的な呪文を担当する弱い秘術魔法使いは攻撃的呪文を用いるウォー・ウィザードに変わってしまった(〈知識:歴史〉難易度15)。
  アーティフィサーはその作成過程を合理化しようと努めているが、いまだ製法は不完全なままである。現在、このワンドは軍隊では滅多に見かけられることがない。しかし少数の従軍兵士はマジック・ミサイルのエターナル・ワンド を前線で使い続けている(〈知識:歴史〉難易度20)。
  前提条件 :《ワンド作成》、《その他の魔法のアイテム作成》、エターナル・ワンド に込められる呪文
  作成コスト :下表参照
呪文レベル術者レベル価格(アイテム・レベル)〈呪文学〉難易度作成コスト
460gp(3レベル)15230gp、18経験点消費、1日間
820gp(4レベル)15410gp、32経験点消費、1日間
4420gp(9レベル)162210gp、176経験点消費、3日間
10900gp(13レベル)175450gp、436経験点消費、11日間

ヴェスト・オヴ・フリー・ムーヴメント Vest of Free Movement:自由移動のヴェスト:『Magic Item Compendium』198ページ
快速戦士装備群 Fleet Warrior's Array

価格(アイテム・レベル):12000gp(13レベル)
アイテム・スロット:胴体
術者レベル:7レベル
オーラ:中程度;(難易度18)防御術
起動条件:即効アクション(合言葉)
重量:
  この森の緑のヴェストは高品質なミスラルの鋲が打たれている。表面には銀糸を用いて螺旋状の棘が描かれている。
  起動したなら、ヴェスト はあなたにフリーダ・オヴ・ムーヴメント (呪文と同じ)の効果を3ラウンド間にわたり与える。この能力は1日3回まで起動することが出来る。
  前提条件 :《その他の魔法のアイテム作成》、フリーダム・オヴ・ムーヴメント 、一連アイテムの所有者
  作成コスト :6000gp、480経験点消費、12日間