崖っぷちの冒険
鮫の餌だ!

第一話:消えた石像

Ramon Arjona著

鮫の餌だ!は5レベル・キャラクター4人用の短い冒険だ。この冒険は最初は海沿いにあるモックドレヴの村で起こり、後にサフアグンの集団の一時的な基地として接収されている水中の網状洞窟へと移動する。ゲーム・マスターはPCと敵対するサフアグンたちにクレリック・レベルやレンジャー・レベルを与えることで、あるいはサフアグンの数を増やすことでより強力なPC用にこの冒険を調整できる。GMはサフアグンに随行しPCを排除する試みの手助けをするシャークのサイズと数も増やしても良い。著しく殺意を込めたいならGMは下に記した比較的無害な自然の姿の代わりに、ダイア・シャークやワーシャークを使っても良い。

冒険の背景

沿岸の村モックドレヴは主要産業を漁業に頼っている。村が大きくなるにつれ、縄張りを拡大しているサフアグンの部族と対立するようになっている。サフアグンの統率者、アーソラーと呼ばれる世故長けた老人は、「自分たちにより大きな影響をもたらしうる、隣接する海岸の居住区の多くと結託しサフアグンを狩るかもしれないような人間の居住地」との公の対立に憂慮した。この脅威は自分たちの部族を狩猟区から追い出し、仲間の命の多くが失われる結果になるかもしれないと彼は知っている。

そのため、アーソラーは隠密と巧緻を用いて人間を海に怯えさせることにした。彼は鮫の魚群が時折サフアグンの狩猟区の端を巡回しているのが見えるようにした。そうした鮫は時折モックドレヴの釣り船を攻撃し、漁師を波の下へと引きずり込んで殺すこともある。アーソラーの計略は図に当たっており、人間の共同体に暴力的な行動を起こさせることなく十分な死によって恐怖を誘発しようとしている。彼はサフアグンの戦士が視界に入らないよう気をつけており、真実を抱えてモックドレヴへと帰還できる希望のない者に対してのみ明かす。

モックドレヴの民衆に鮫への恐怖を広めるのに、アーソラーはルローサとして知られるマレンティに頼っている。マレンティ(Bestiary参照)は、見た目がアクアティック・エルフそっくりで通常のサフアグンよりも乾燥した地上に長く居続けられるサフアグン突然変異体だ。

ルローサはその突然変異の外見を活用して地上暮らしの中にいるアクアティック・エルフとして行動する。この姿をしている彼はモックドレヴの群衆の中に混ざっており、鮫の襲撃の多さは聖なる縄張りへの侵略に憤慨する鮫の女神セコラの怒りによるものだと人々に告げる。彼に言わせると海から彼らの小舟を全て取り除くことによってのみ、モックドレヴの村民はかの女神を慰撫し死を止められるのだ。

より強調するため、ルローサはモックドレヴの宗教生活の象徴である木彫の像の窃盗までした。この木像そのものは魔法的ではないが、明らかにセコラと縁のある超常的な手段で盗まれれば既に怯えているモックドレヴの人心に更なる恐慌を植え付けられるだろう。

冒険の概要

PCは木像が盗まれた時にモックドレヴの漁村にいる。村の指導者はPCたちにこの悪むべき聖物盗みの調査の手助けを乞う。寺院に残された手がかりとサイリックと呼ばれるエルフ・レンジャー(実際にはルローサの変装)によって、キャラクターはモックドレヴの北に延びる水中の洞窟へと向かう。村人のセコラへの恐怖を掻き立てることによって、サフアグンの腹心らにPCを抹殺させようとしている場所がここである。

PCはその洞窟に入り、木像を回収し、サフアグンの戦士を倒すか追い払わなければならない。

キャラクターのきっかけ

盗まれた木像(EL可変)

この冒険は不可思議な勢力に冒涜されている村の寺院にPCが入ると始まる。PCがその寺院へと行く前に誰かに近付く場合、質問される村人はどちらかと言えば厳めしく、悲しそうに、あるいは怯えているべきであり、この村はクレリックを失った、と言及することになるかもしれない:

この村の寺院は茅葺屋根と漂白された石版でできた粗末な造りだ。モックドレヴの百人以上の住人を全員収容できるほどに大きな部屋が1つある。玄関扉は叩き壊されている。建物の内側は混沌としており、倒れた祭壇には砕けた会衆席が立てかけられている。魚と汗の強烈な臭いが濃密に漂っている。血痕が床に点々とついている。男が残骸の中で動き周り、出来る限り秩序を取り戻そうとしている。

昨晩までここのクレリックでありモックドレヴ村の小さな指導者であったこの血はスザーのものである。彼はルローサとサフアグンの窃盗を妨害し、その代償として命を失うこととなった。

残骸の中で動き回っている男はスザーの友人であり時折この寺院を管理していたオウェインだ。オウェインはスザーの肉体を、かの老司祭がオウェインとの朝の茶会に姿を見せなかった時に見つけた。祭壇近くで血まみれの布がスザーの死体にかけられている。

キャラクターがオウェインと話す時、彼は悲しみに打ちひしがれている。彼は鮫の奇妙な振る舞いと起こっている猛攻についてキャラクターに話す。3人がそうして死んでいるのだ。それから彼は以下を付け加える:

スザー老は私たちに信仰を持ち助け合うよう教えてくれた。彼はこの悪魔鮫の話は全く馬鹿げていると話した、光と善の勢力は常に優っているのだと。今や彼は大いなる彼方へと旅立ってしまい、我々がすべきことが何か私には分からない。出来る限り遺志を継ぐべきではないかとは思うが。しかし奴らは寺院の木像を盗んでいった。何故かは分からないがその強盗もスザーの死も、モックドレヴの魂を殺したかのようだ。

キャラクターはクレリックの死体に近付く許可を得る前に〈交渉〉判定(DC15)に成功しなければならない。

スザーの死体を調査したキャラクターは、死体は血まみれで切り傷があることを見つける。〈治療〉か〈知識:自然〉判定の成功(DC15)で彼は何らかの野生動物に依る歯と爪で切り裂かれたことが明らかになる。手探りによる〈知覚〉判定の成功(DC20)でスザーの傷の1つに白い歯が1本挟まっているのを見つけられる。その歯はギザギザで三角形をしており、鮫の歯に似ている。これはサフアグンの歯ではなく、本当の鮫の歯(ルローサ愛玩の虎鮫、コーサから抜け落ちたものだ)を迷信深い村人が見つけてくれるようサフアグンが埋めたものだ。老クレリックの肉体に刺さった歯の存在によってオウェインは極めて神経質になっている。

更に手探りによる〈知覚〉判定(DC20)に成功すれば祭壇周辺に黒い砂と鋭い岩の破片の跡があることが分かる。オウェインはそれらを、村の北に伸びる海岸のものだと識別できる。

キャラクターがスピーク・ウィズ・デッドをスザーに使おうとする場合、この老人の霊魂は友好的とは言い難い。サフアグンが攻撃した時の寺院は暗く、そして後ろからやられたのだ。彼は闇から現れた爪、歯、鰭、そして突き出た黄色い目を覚えている。彼は攻撃者たちと二足歩行の鮫とを思い比べる。この報せはオウェインをこれまでよりも更に神経質にする。

ある適切な劇的な瞬間に、緑色の肌と青い髪を持ち、エラを生やした半裸のエルフが寺院に入ってくる。彼は片手に三叉槍を持っている。この「アクアティック・エルフ」は勿論マレンティのルローサだ。彼はまず神経質になっていて悲しみに暮れるオウェインに話しかけ、PCは無視する:

偉人を失った事についてお悔やみ申し上げます、オウェインさん。しかし言っていたはずです――悪魔鮫のセコラがあなた方への復讐に闇の下僕を送りだしているのだと。まだ間に合ううちに漁場と村を捨てなければ!

オウェインはこの「エルフ」をサイリックとPCたちに紹介する。PCが彼に質問したなら、サイリックは隙のない話を語る。彼はセコラの悪魔によって一掃されたアクアティック・エルフ一団の唯一の生き残りである。かの悪魔鮫は領有権を主張していて、神に抗う者は非業の死を遂げるのだと彼はこの沿岸村に警告している。彼は可能な限りかの「デヴィル」の視点で語り、幽霊、鮫男、そして奈落そのものからもたらされる恐るべき生物について説く。PCが看破呪文をサイリックに発動しようとする場合、サイリックのアミュレット・オヴ・プルーフ・アゲンスト・ディテクション・アンド・ロケーションがそれを妨げるだろう。PCがこれについて問い詰める場合、サイリックはこの護符は確実に自分を狙っているであろうセコラの目に留まらないようにするためのものであると主張する。このエルフの誠実さに疑問を抱いているPCに、ルローサの〈はったり〉判定に対する〈真意看破〉判定を認めること。

PCがサイリックに対して口が悪いか無礼な場合、オウェインが嘴を入れる:

サイリックを悪く言わないでくれ。彼は鮫からカリー少年を救い、少年の父まで救えなかったことをどれだけ悔いているかを私は知っている――許してくれ、サイリック。彼がいなければ、今よりもっと死者が増えていたことだろう。

PCがまだ鮫の歯か砂を見つけていない場合、サイリックが両方を見つける。オウェインは砂を北に伸びる海岸のものだと識別すると、サイリックは以下のように主張する:

これは悪魔鮫セコラが血に飢えた子らに命を授けている聖なる水場のものです! 彼女は自分のものを取り返しに来ています! かの悪魔はあそこに木像を取っていったのでしょう。遅くなる前にモックドレヴの人々の安全を確保しなければ。

サイリックが騒ぐのをやめたら、オウェインは恐慌し、モックドレヴの人々にスザーが悪魔鮫の手にかかって死んだという恐ろしい話を告げに飛び出る。

進展:PCがルローサの嘘に完全に騙されることはありうる。その場合、この冒険はモックドレヴの人々に村を放棄させるものへと変わる。僧侶が死に、傾聴するもの皆にオウェインが悪魔鮫について告げれば、そう難しいことではないだろう。

PCがルローサの〈はったり〉判定に対する〈真意看破〉判定に成功した場合、彼の話の何処かに嘘があることが分かる。あるいは「悪魔鮫」に楽な勝利を与えまいとするかもしれない。いずれにせよ、「セコラの水場」へと彼らを導ける唯一の人物はルローサだ。ルローサは最初は渋るが、最終的にPCの頼みを呑む。

PCがウォーター・ブリージング呪文と通絡するには不十分な場合、オウェインは木像の回収の遂行のために寺院の秘密のそして聖なる遺物の一部を提供する:ポーション・オヴ・ウォーター・ブリージング4本を。オウェインはPCの成功にそこまで希望を持っていないが、スザーなら自分にそうするよう求めただろうという理由なら持っている。

崖っぷち

異邦人にとっては、木像が隠し洞窟のどこかにある。PCはそれを回収してモックドレヴの村へと戻せるだろうか? それとも失敗し、道半ばで魚の餌となってしまうのだろうか?

ゲーム・マスターはプレイヤーが連作崖っぷちの鮫の餌だ!を通してPCにどうさせるべきかを決定するに際し、以下の点を心に留めておくこと。

モックドレヴ

NGの村

退廃−1;犯罪−1;経済−5;法治−5;情報+0;社交−4;危険+20%

欠点襲撃

人口統計

政治体制独裁制

人口500(人間480人、ドワーフ10人、ハーフリング10人)

権力者教父スザー、男性の人間クレリック4

著名なNPCオウェイン、男性の人間コモナー3。

市場

基本価格160gp;購入上限6,400gp;呪文3レベル

下級アイテム(5)スクロール・オヴ・ウォーター・ブリージング(信仰)、スクロール・オヴ・ウォーター・ブリージング(秘術)、ワンド・オヴ・エア・バブルワンド・オヴ・タッチ・オヴ・ザ・シー中級アイテム(2)ポーション・オヴ・ウォーター・ブリージング

解決後

退廃−1;犯罪−1;経済−1;法治−1;情報+0;社交+0;危険+0%

基本価格200gp;購入上限8,000gp


:モックドレヴの人々はスザーという名前の老クレリック(クレリック4)に導かれていた。鮫がここまで活動的に、あるいは血に飢えるようになったのがいつなのかを覚えている者はいない。1人か2人用の小舟で漁業を営む村の人々は海に出ることを恐れている。悪魔鮫セコラの恐怖から逃れようと村を捨てて内陸に移住しようと話す者も既に出てきている。PCがそれを妨害できない場合、モックドレヴは廃村になるだろう。

マレンティ(EL6)

サイリック(ルローサ) CR6

XP2,400

男性のマレンティ・シャーマン5(悪霊からの守り手)

LE中型の人怪(水棲)

イニシアチブ+8;感覚非視覚的感知30フィート、暗視60フィート;〈知覚〉+9

防御

AC20、接触14、立ちすくみ16(+4鎧、+4【敏】、+2外皮)

hp59(2d10+5d10+5+21)

頑健+4、反応+8、意志+11

攻撃

移動速度30フィート、水泳60フィート

近接トライデント+8(1d8+3)

遠隔ヘヴィ・クロスボウ+9(1d19/19〜20)あるいはネット+9(絡みつかれた状態)

特殊攻撃正のエネルギー放出、波の打撃、魅了、血の狂乱

擬似呪文能力(CL2;精神集中+5)

3/日―コマンド((水棲)クリーチャーに対してのみ)

修得呪文(C5L;精神集中+9)

3レベル(1/日)―ホールト・アンデッド

2レベル(1/日)―コマンド・アンデッド

1レベル(1/日)―ディテクト・アンデッド

準備呪文(CL5;精神集中+9)

3レベル―エア・ブリージングディスペル・マジック

2レベル―バークスキンダークネスボイアンシー

1レベル―パス・ウィズアウト・トレイスフロストバイトハイドローリック・プッシュウェイヴ・シールド

0レベル(回数無制限)―ノウ・ディレクションメンディングディテクト・ポイズンピュアリファイ・フード・アンド・ドリンク

M神秘呪文;波;浮遊霊闘争

一般データ

【筋】14、【敏】19、【耐】16、【知】12、【判】18、【魅】17

基本攻撃+5;CMB+7;CMD21

特技《欺きの名人》B、《技能熟練:はったり》B、《イニシアチブ強化》、《特殊武器習熟:ネット》、《強打》、《持久力》

技能〈動物使い〉+7、〈はったり〉+15、〈変装〉+12、〈知覚〉+9、〈隠密〉+15、〈職能:狩人〉+9、〈生存〉+9、〈水泳〉+15、〈騎乗〉+6、〈威圧〉+7;クラス修正+2〈威圧〉(士気をくじく際のみ);ACP−2

言語水界語、共通語;シャークとの会話

SQシャークとの会話

戦闘用装着品変装用具ボルト10本

他の装着品ヘヴィ・クロスボウ高品質トライデントネットアミュレット・オヴ・プルーフ・アゲンスト・ディテクション・アンド・ロケーションチェイン・シャツ

特殊能力

魅了(超常)シャーマンは30フィート以内にいる動物クリーチャーもしくは人型生物クリーチャーを、手招きや慰みの言葉で魅了することができる。この効果は、まるで〈交渉〉技能に成功したかのように、動物クリーチャーもしくは人型生物クリーチャーの態度を1段階向上させる。この効果は4ラウンドだけ持続する。DC16の意志セーヴィング・スローに成功すれば、この効果を無力化できる。セーヴの成否にかかわらず、この呪術の目標になったクリーチャーは以後24時間の間、この呪術の目標にならない。

波の打撃(超常)標準アクションとして、シャーマンは近接接触攻撃を行い、クリーチャー1体を水浸しにして押しやることができる。目標は1d6+2ポイントの非致傷ダメージを受け、シャーマンから5フィート離れる方向に移動する。この移動は機会攻撃を誘発しない。シャーマンはこの能力を1日に6回だけ使用することができる。

正のエネルギー放出(超常)3d6。DC15。悪霊からの守り手はアンデッド・クリーチャーに害を及ぼすためにのみ、この能力を使用することができる。悪霊からの守り手はこの能力を1日に6回だけ使用できる。

闘争の霊(超常)シャーマンから30フィート位内にいるすべての仲間は、攻撃ロールと武器のダメージ・ロールに+1の士気ボーナスを得る。シャーマンはこの能力を1日に6ラウンドだけ使用することができる。持続時間は連続している必要はない。

シャークとの会話(超常)サフアグンは150フィートまで離れたところにいるシャークとテレパシーで意思疎通できる。この意思疎通は[来い][守れ][この目標を攻撃]など単純なものに限られる。

血の狂乱(変則)1日に1回、戦闘でダメージを受けたサフアグンは、次のラウンドから狂乱状態に陥り、+2【耐久力】と+2【筋力】を得るが、ACに−2のペナルティを被る。狂乱状態は戦闘終了か1分間の、どちらか短い方まで継続する。

キング・クラブの霊獣 CR―

N超小型の来訪者(原住)

イニシアチブ+2;感覚暗視60ft.;〈知覚〉+5

防御

AC21、接触14、立ちすくみ19(+2【敏】、+7外皮、+2サイズ)

hp29(7HD)

頑健+2、反応+6、意志+7

防御的能力身かわし強化

攻撃

移動速度30フィート、水泳20フィート

近接2爪+5(1d2−2、加えて“つかみ”)

接敵面2と1/2ft.;間合い0ft.

特殊攻撃締めつけ(1d2−2)

一般データ

【筋】7、【敏】15、【耐】12、【知】8、【判】10、【魅】2

基本攻撃+5;CMB+5(+9組みつき);CMD13(25対足払い)

特技《強行突破》

技能〈動物使い〉+0、〈はったり〉+3、〈変装〉+3、〈知覚〉+5、〈隠密〉+17、〈職能:狩人〉+2、〈生存〉+2、〈水泳〉+11、〈騎乗〉+3、〈威圧〉−3;種族修正+4〈知覚〉

言語主人との会話

SQ水への依存、呪文共有、接触呪文伝達、鋭敏感覚、共感的リンク

特殊能力

接触呪文伝達(超常)霊獣はシャーマンが使用する接触呪文や接触して使用する呪術を伝達できるようになる。シャーマンと霊獣が接触している時にシャーマンが接触呪文を使用する際、シャーマンは霊獣を“接触者”に指定することができる。霊獣はあたかもシャーマンが接触したかのように接触呪文を伝達できる。接触呪文が伝達される前にシャーマンが別の呪文を発動すると、接触呪文は失われる。シャーマンが呪術を起動する際、接触を行うために霊獣を使用することができる。シャーマンは呪術でこの能力を使用する際、霊獣と触れている必要はない。

水への依存(変則)クラブは12時間、水の外でも生存できる。クラブはこの限界を超えると溺れているかのように窒息の危険を冒す。

貯蔵シャーマン呪文ありうる呪文全て


ルローサは鮫とサフアグン以外のあらゆるクリーチャーを憎む天邪鬼なクリーチャーである。彼は自身の突然変異の姿を、地上暮らしの中に楽に混ざれるセコラの恩恵と見ている。これによってアーソラー男爵の密命に従って悍ましき空気呼吸のクリーチャーを世界から一掃する日を早められている。

ルローサは長年かけてサイリックという偽りの姿を作り上げている。彼はこの仮面を維持するのに必要な限りのことを行っており、他のサフアグンの命を犠牲にさえしている。地元民の中での発言力を増すため、サイリックは鮫の攻撃から若い男を「救出」した事すらある。バレた場合、ルローサはモックドレヴを離れて他の地を見つけ、地上暮らしを蝕み始めるだろう。

サフアグン

サフアグンと鮫は群れて水中の優位を最大限に利用しようとする。彼らは上下から攻撃し、大地に束縛されるPCが慣れていないであろう三次元の戦場を活用する。彼らは水中戦闘の優れた知識を使って挟撃の位置へと移動することを特に好む。

Dragon Magazine#291には水中戦闘を構成するのに有用なGM向けの選択肢がある。D&DのFAQで水中戦闘ルールを確認すべきでもあるだろう。

略奪と他の重要な問題

PCがサフアグンを倒し村に木像を戻したなら、モックドレヴの村民から不朽の感謝を得る。彼らは合計で村の寺院から合計で2,000spの慎ましやかな贈り物も受け取る。それぞれ50gpの価値がある月長石3つはサフアグンが盗んだ木像を貯蔵している水中の洞窟に隠されている。ほぼ垂直の縦穴を登れば、PCは600gpの価値を持つセコラの小像のある部屋を見つけられる。ゲーム・マスターは集団がルローサを倒そうとしている場合、アミュレット・オヴ・プルーフ・アゲンスト・ディテクション・アンド・ロケーションを宝物の中に入れてしまうとこの崖っぷち内で君が見つける遭遇にしては高額になりすぎる点に注意すべきだろう。これの解決法としては妥当になるまで以降の遭遇での報酬を減らすか、ルローサに代わりにリング・オヴ・マインド・シールディングを与えることだ。集団がルローサの装備を入手できるような手段で彼を倒したいとは願っていない場合には、こうした遭遇の標準的な水準まで宝物を更に与える事は公正だろう。

第二話:探索

Ramon Arjona著

(第一話の第一段落と同様。)

冒険の背景

PCがモックドレヴの村へ行くと村の指導者の死体を寺院で見つけ、寺院の像が盗まれていることを知る。サイリックという名前の現地民は集団を盗まれた像があると考えている網状の洞窟へと連れて行くと申し出る。現在PCは洞窟へと向かっている。

洞窟の上(EL4)

PCは「セコラの水場」へと道中の一部では歩けるが、途中から小舟が必要になる。ルローサ/サイリックは道中の初めから小舟に乗りたがる。彼は大海に面する黒い砂で覆われた海岸まで導く。海岸から半マイルほど先に、波間を鮫の鰭が切っているのにも似ている剥き出しの岩が見える。ルローサはPCにあの目印は村の像があるであろう巨大な網状の水中洞窟の悪の巣窟がある場所だと告げる。彼は神経質なフリをし、キャラクターに任務を辞め戻ろうと説得しようとする。実際には、彼は計画通りに「愛玩動物」が現れるのを待っている。

このエリアにPCが入ったなら以下の文章を読むこと:

大きな黒い岩が水面から突き出ており、波の下に潜むゾッとするような鮫の鰭のように見える。

「すぐ下には、」ルローサが言う、「悪魔鮫セコラが数千の血に飢えた子らと共に潜んでいる洞窟があります。心に決めているなら手を貸しますが、このような馬鹿げた計画に私たちの命を浪費するなんて反対です。」

sharkbaitmap

ルローサはPCに網状洞窟の入り口の描写を続け、水面から200ヤードほど下にあると告げる。彼はPCに自力で入り口を見つけて欲しがっている。彼は水は濁っており、地上暮らしではその貧弱な視界によって容易に迷ってしまうと説明する。彼はPCたちに自分やお互いと離れないよう勧める。

PCが視認による〈知覚〉判定(DCD25)に成功した場合、彼らは鮫が近付いているのに気付く。成功しなかったなら初めて鮫を知るのは船への衝突を受けた時になる。ルローサは三叉槍を掴むと、報復に来ている「セコラの子です」と叫ぶ。彼は恐慌になったフリをし、突然立ち上がって投げようとするかのように頭上に槍を掲げる。小舟は危なげに揺れ始める。PCにやりたいと思うように安定化させる試みを認めること。術者は小舟が不安定な間に呪文を発動するには精神集中判定(DCは10に呪文レベルを足したもの)に成功しなければならない。立っているキャラクター全員は〈軽業〉判定(DC10)にも成功しない限り小舟から落ちる。

次のラウンド、鮫2尾は同じ舷から小舟に衝突する。ルローサは同時に「平衡を失」って側面から落ちる。PCが転覆を妨げるような適切な手順を踏んでいないとGMが判断する場合、小舟も転覆する。小舟が転覆する場合、全員が海中に落ちる。

PCは死に物狂いで藻掻いているルローサに鮫が噛み付いているのを目撃する。最後に彼らが見るルローサは水面から空を蹴る足だけであり、それから血の雲が水中に広がる。

PCたちが水中でルローサと共にいる場合、2尾目の鮫が、自分のヒット・ポイントの半分を失うまで彼らを攻撃し、それから逃げる。

ルローサは勿論害を被っていない。ここの鮫はこのような任務の為に特別の調教を受けている。ここの鮫はルローサを波の下へと引き釣り下ろす劇を見せる事になっており、残る静寂の間に漏れる血はルローサが手ずから体表を傷つけて漏出させたものだ。(水面のこれをPCたちは見る)。

ここでのルローサの目的は2つある。1つ目は、他のサフアグンが殺人対象に近付く時にも同行していたくはないからだ。PCが生き延びても、ルローサは今回行動せず、戦闘を生き延びた事について物語ることで、表向きの顔を維持できる。2つ目は、獲物を嬲りたいからだ。彼は地下洞窟で他のサフアグンと彼らが最終的に出会う時に出来るだけ不安がってほしいと思っている。

シャーク(2) CR2

Bestiary参照。

hp22


進展:この時点で、キャラクターたちは決断しなければならない:サイリックの明らかな末期にも拘らず続行するか、モックドレヴに戻るかを。怖じけて村に戻る場合、住人が荷物を積めて村を出るのは時間の問題だ。ルローサは期待通りの結果になるまで遠くから片手間に結末を観察し、その後アーソラーに報告に戻ってから別の地上暮らしの共同体の中に嘘と恐怖を広めに動く。前進する場合、キャラクターは地下の水中洞窟でサフアグンの待ち伏せを受ける。

崖っぷち

キャラクターは大胆にも大海の深みまで歩を進めるのだろうか? それとも悪魔鮫がここを牛耳っていることに納得するのだろうか? 彼らはモックドレヴの精神を宥めるのだろうか、それともその漁場をサフアグンに明け渡すのだろうか?

第三話:海中

Ramon Arjona著

(第一話の第一段落と同様。)

冒険の背景

PCはモックドレヴの村に来て村の指導者の死体を彼の寺院で見つけ、寺院の像が盗まれていることを知る。サイリックという名前の現地民は集団を盗まれた像があると考えている網状の洞窟へと連れて行くと申し出る。洞窟に近付いた際にPCは水中にいる2尾の鮫と既に対面しており、現在彼らは網目状の洞窟へと泳がなければならない。

エリア43(EL4)

洞窟の中に天然の光は届かないため、キャラクターはライトコンティニュアル・フレイム呪文のような何らかの道を照らす手段を持っているべきである。

キャラクターが洞窟に入ったなら、以下を読むこと:

水は濁りきっており、視界は劣悪だ。15フィートより先の物は何も見えない。奇妙な潮流と渦巻きがこの水域を満たしており、水の中で何かが動いているかのようだ。

実のところ、この大部屋には動いているものがいる:サフアグンが護衛としてここに配置している大シュモクザメ2尾が。これらの鮫はルローサを引き釣り下ろしたものとは異なり、そのため意気軒昂のまま戦闘を始める。

シャーク(2) CR2

Bestiary参照。

hp22

戦術:鮫は洗練された戦術を持たない。彼らは最弱そうなPC、最小か最も脆そうな者を選ぶ。PCの誰かが以前の遭遇で傷付き未だ出血している場合、鮫は他の目標よりもそいつを好んで攻撃する。これらの鮫は殺人の訓練を受けている。一たび血が水と混ざると、鮫は自分かPCが死ぬまで攻撃をやめられない。

エリア42

キャラクターがこのエリアに入った時に以下を読むこと:

ここの濁りは濃くはなく、部屋の壁が明瞭に見える。奇妙な印――液体の青と赤が恐らく文字として波打っている――が、水掻きの張った手形に似た他の跡と共に壁を彩っている。

〈言語学〉判定(DC25)の成功によってセコラに大漁を願う祈祷文であることが明らかになる。

エリア41(EL6)

ウォーター・ナーガ毒矢の罠 CR6

種類機械式;〈知覚〉DC25*;〈装置無力化〉DC20

効果

起動条件場所式;再設置不可

効果アンダーウォーター・ヘヴィ・クロスボウ+15遠隔(1d10およびウォーター・ナーガの毒/19〜20)

毒(変則)噛みつき―致傷;セーヴ頑健DC19;頻度1/ラウンドを6ラウンド;効果1d2【耐】ダメージ;治癒2回のセーヴ成功。

:最大有効距離200ft.、目標は経路上の者から無作為に選ばれる。*キャラクターは濁水のためこの罠を探す試みに−5の状況ペナルティを受ける(反映済み)。


サフアグンは最後の襲撃の前にPCたちを更に弱めようとこの罠を配置している。この罠に番えられた矢はサフアグン特製のクロスボウ・ボルトであり、射撃武器の多くが受ける距離に依るペナルティを受けない。

崖っぷち

サフアグンと、恐らくはモックドレヴの遺失物もPCたちの目前にある。彼らは自らの任務を見通せるだけの力を持っているだろうか? それとも海原の下の洞窟で息を引き取ってしまうのだろうか?

第四話:魚の餌

Ramon Arjona著

(第一話の第一段落と同様。)

冒険の背景

PCがモックドレヴの村へ行くと村の指導者の死体を寺院で見つけ、寺院の像が盗まれていることを知る。サイリックという名前の現地民は、集団を盗まれた像があると考えている網状の洞窟へと連れて行くと申し出る。洞窟に近付いた際にPCは水中にいる2尾の鮫と既に対面しており、それから網目状の洞窟の入り口へと泳がなければならなかった。PCはサフアグンとの最後の戦いに向けて前進する。現在、彼らは自分たちが戦っているのは単なる洞窟の鮫ではないと認識しているかもしれない。唯一の疑問は、彼らは生きてモックドレヴに戻って冒険について語るのかということだ。サイリックが描写した悪魔鮫について心に留め、水中洞窟の視界は限定されていることを強調しよう。

エリア40(EL5)

キャラクターがエリア40に入ったなら下記の上下を線で囲んだ文章を読むこと:

ここの濁りは未だ濃いが、洞窟の他ほどではない。上へと泳ぐほどに薄くなっていくように感じる。

キャラクターが上へと泳ぎ続ける場合、最終的に水面に手が届く。そうなったなら以下を一度読むこと:

空気が旨い! 光が頭上高くにある、ごつごつした洞窟の天井を反射している。西側には立てそうな乾燥した大地があるようにさえ見える。

サフアグンの隠れ身の〈隠密〉に対する視認による〈知覚〉判定にPCが成功しない限り(DC28)、サフアグンに不意討ちされる。彼らは下から攻撃する、恐らくキャラクターが全員水面に着いているが誰も岸辺には到達していない時に。

PCが岸へと移動するよう確実に唆す為に、サフアグンたちは堂々と水辺のすぐ先に消えた像を配置している。

サフアグン(3) CR2

Bestiary参照。

hp15

戦術:地上暮らしは予想通りの行動をし戦闘せずに上陸に専念すると信じているサフアグンはこの部屋を待ち伏せに使う。サフアグンは協力して、挟撃ボーナスと逃げるPCが受ける機会攻撃の回数を最大化しながらPCが陸に到達しないようにする。サフアグンは可能な限りすぐに狂乱し、ACへのペナルティの中和について水中にいる優位を当てにする。

PCの誰かが浅瀬へと逃げるなら、サフアグンは水中からそうした者を狙い続ける。水中にいるPCが全員死ぬと、サフアグンは興味を揚陸した残るPCへと移す。

宝物:このエリアを捜索する場合PCは像以外にも取得できる(DC20)。彼らは海辺の壁添付近に宝石が3つ隠されているのを見つける。

進展:サフアグンとやりあったなら、PCは像に注目してもよい。像はダーク・ウッド製でおおよそ300lb.の重量がある。これは固く、浮力は全然ない。これを持って水中を通るのはGMに大部分が一任されるが、プレイヤーが差配できる限りでの最大限に鬱憤を貯めるような難しい計画だ。

〈知覚〉判定の成功(DC15)によって微風が西の隧道(エリア38)から吹いているのが明らかになる。キャラクターが隧道の終わりまで進む場合、小さな穴を通ってモックドレヴから約半マイル離れた地上へと出る。隧道の壁は同様に奇妙な記述と水かきの張った手形で覆われている:セコラへの大漁の祈祷文だ。

来た道を戻ろうとする場合、キャラクターはエリア43でかつて戦った2尾の鮫と対面しなければならない。網目洞窟から出るとすぐにサイリックを咥えた鮫たちとも出会わなければならない。小舟があるべき場所に戻る場合、小舟はなくなっており、他に有効な代替手段がない限り岸へと半マイル泳がなければならない。この時点で攻撃する鮫はないが、攻撃したい鮫がいる可能性はある。PCに無作為に視認による〈知覚〉判定を振らせ、鮫の鰭が近くの水面の上に見えたなどということ。(この時点で現れる鮫はPCを悩ませないが、PCにそれを確信させないこと。)

エリア39

〈登攀〉判定(DC20)の成功が滑りやすい壁をよじ登るのに要求される。そうする場合、真珠層の眼が嵌められた、象牙から掘り出した白い大鮫の像を見つける。これはセコラの像であり、600gpの価値がある。壁はエリア42で見つけたものと同じ記述で覆われている。

崖っぷちの終焉

キャラクターがモックドレヴへと凱歌をあげて木像とともに帰還する場合、村民は祝賀する。オウェインはその像を適切な場所に戻す。モックドレヴの人々は活力を取り戻し、鮫の襲撃に対し足掻き続けて海へと押し返すだろう。スザーなら自分にそうさせただろうと、オウェインは寺院の財宝からPCたちを2,000spで報いる。キャラクターが重傷を負って、あるいは数を減らして帰還したが像を持ち帰った場合、村民は歓声は上げないが感謝はする。キャラクターが像を持たずに帰還する場合、村民は泡を食う。オウェインは彼らを奮起させようとするが、多くはモックドレヴから永遠に離れる計画を立て始める。

上記のいずれの場合にせよ、サイリックは未だ生きており自分たちより先にモックドレヴに戻ってきているとPCたちは知る。PCがそれについて何か言う場合、サイリックも「あなたたちは死んでしまったのだと思っていました」と、同じことを思っていたと応じる。鮫と戦った後に海面の小舟に戻ったがみんな消えていたと彼は言う。どうしようもないので小舟に乗ってモックドレヴに戻り、彼らの死を報告した。PCたちが戻ってきた現在、彼は歓喜と安堵にうち震えるふりをする。

しかしながら彼はかの悪魔鮫は君たちを待ち構えており全員避難すべきだという村民への説得を諦めない。PCが凱旋した場合、彼らは彼の言葉に影響されない。数日後、彼は目論見が崩れたことを認識する。彼はモックドレヴを去り、海原へと戻って新しい計画を練る。

PCが像に加えサフアグンの存在を証明する確実な証拠、例えば袋に入れた彼らの頭部など、を持ち帰ったなら、モックドレヴの人々は自分たちが関わってきたのは超常的なデーモンではなく水棲人型生物の一族であることを認識する。逃避の話は急速にサフアグンとの戦争の話に変わってゆく。一方、サイリックはこの戦いは負け戦であることを認識しており静かに去る。

PCたちは次にサフアグンの村の位置を突き止めようとするかもしれない。ルローサは故郷の痕跡が十分に消えている場所を選んだため、網目状洞窟に手がかりはないが、PCは別の手段でサフアグンの住居を見つける計画を立てるかもしれない。例えば、鮫の活動周期を調べたり、トリトンやマーフォークといった志を同じくする生物の助けを借りようとしてもよい。

しかしどのような結果になろうと、PCたちがルローサの最期を耳にすることはない。彼らはあのマレンティの計画に干渉している。彼らは思いもよらぬ時に海の深みからこっそりと一撃を加えてくる、確執ある邪悪なクリーチャー1人を敵に回すことになる――何故なら今や彼は個人となっているのだから。

補記

ashenport
報酬
経験点(ストーリー経験点含む) 約9,600XP
4人が次のレベルになるのに必要なXP 32,000XP
実際の宝物 約1,049gp
脅威度から求められる宝物 約8,450gp

クリーチャー

アクアティック・エルフ Aquatic Elf

アクアティック・エルフは平均身長5フィートで体重は概して100ポンド強だ。

彼らの故郷から離れたところで出会うアクアティック・エルフはエルフの多くはウォリアーである。

アクアティック・エルフはエルフは注意深いウォリアーであり時間をかけて可能な限り相手と戦場を解析し、待ち伏せ、狙撃、迷彩で優位を最大限にする。

接近戦では、アクアティック・エルフは優雅で致命的であり、見るだに美しい複雑な技を繰る。他のアクアティック・エルフに影響を与えないため、彼らの中のウィザードは時にスリープ呪文を戦闘中に使う。

海エルフとも呼ばれるこのクリーチャーは地上暮らしエルフの水中呼吸する従兄弟だ。

アクアティック・エルフは水中でトライデント、スピア、そしてネットで戦う。

アクアティック・エルフの特性

水中戦闘

水中での遠隔攻撃:水中では投擲武器は無効である(たとえ陸上から投げたとしても)。他の遠隔武器による攻撃には、通常の距離によるペナルティに加えて、水中を5フィート通るごとに攻撃ロールに−2のペナルティがつく。

火器、黒色火薬、および水:黒色火薬は水にさらされると使い者にならなくなるが、火薬入れとカートリッジは黒色火薬を曝露から保護する。君は魔法の助けなく水中で黎明期の火器に通常通り装填すること、水中でいずれかの火器を射撃することはできない。

陸上からの攻撃:泳いでいる者、水に浮かんでいる者、水面に顔を出して立ち泳ぎしている者、胸までかそれ以上の深さのある水をかき分けて歩いている者は、陸上の相手からの攻撃に対して良好な遮蔽を得る。ただし陸上にいる相手がフリーダム・オヴ・ムーヴメントの効果を得ており、水中の目標に対して近接攻撃を行うのであれば、この遮蔽は無視される。完全に水面下にいるクリーチャーは、地上の相手に対して完全遮蔽を得る(ただし地上の相手がフリーダム・オヴ・ムーヴメントの効果を得ている場合を除く)。魔法効果は影響を受けないが、攻撃ロールを要するもの(これは他の効果と同様に影響を受ける)と[火]効果は別である。

:魔法のものでない火(錬金術師の火を含む)は水中では燃えない。呪文および擬似呪文能力のうち、補足説明に[火]とあるものは、術者がCL判定(DC20+呪文レベル)に成功しない限り、水中では効果がない。術者が判定に成功すれば、呪文は通常の火炎の効果の代わりに蒸気の泡を生み出すが、それ以外の点では呪文の説明通りに働く。超常能力の[火]効果は、特記なき限り水中では効果がない。水面は[火]呪文の効果線を遮断する。術者がCL判定に成功して[火]呪文を水中で使い得たとしても、やはり水面はその呪文の効果線を遮断する。

水中での呪文:水中で呼吸ができない者にとって、水面下で呪文を使うのは困難である可能性がある。水中で呼吸できないクリーチャーが水中で呪文を使うには、精神集中判定(DC15+呪文レベル)に成功しなければならない(これは[火]呪文を水中で使うためのCL判定とは別に行われる)。水中で呼吸できるクリーチャーはなんら影響を受けず通常に呪文を発動できる。GM判断により、ある呪文が水中では異なる機能を発揮するようにしてもよい。

呼吸:キャラクターは、自分の【耐久力】の2倍に等しいラウンドの間、息を止めておくことができる。そのキャラクターが標準アクションまたは全ラウンド・アクションをとるごとに、息を止めていられる残り時間が1ラウンド減少する。この期間が過ぎると、息を止め続けるためには、そのキャラクターは毎ラウンド1回の【耐久力】判定(DC10)を行わなくてはならない。1ラウンドごとにこの判定はDCが+1されていく。

この【耐久力】判定に失敗すると、そのキャラクターは溺れ始める。1ラウンド目にそのキャラクターは気絶状態(hp0)となる。次のラウンドには、そのキャラクターは−1hpになり、瀕死状態となる。3ラウンド目に、そのキャラクターは溺死する。

気絶状態のキャラクターが水中に沈んだ場合(あるいは水中にいる意識のあるキャラクターが気絶状態になった場合)、【耐久力】判定を行わなければならない。この判定に失敗すると、即座に、そのキャラクターは−1hpになり(すでにhpが−1以下ならさらに1hpを失う)。次のラウンドに、そのキャラクターは溺死する。

表:水中での戦闘に関する影響
状況 斬撃/殴打 刺突 組みつき
判定
移動
速度
疾走、突撃、
5ft.ステップ
攻撃 ダメージ 攻撃 ダメージ
フリーダム・オヴ・ムーヴメント 通常 通常 通常 通常 通常 通常
水泳移動速度を有する −2 半分 通常 通常 通常 通常
〈水泳〉判定に成功 −2 半分 通常 通常 −2 1/4 不可
しっかりした足場2 −2 半分 通常 通常 −2 半分 不可
通常の状態1 −2 半分 −2 半分 −2 0ft. 不可

1…ACへの【敏】ボーナスを失う。また、こうしたクリーチャーに対する攻撃には+2のボーナスがつく。また、肺呼吸するクリーチャーは水面にいてさえ呼吸できない。

2…水底を歩いていたり、船体を支えにしていたりする場合、そのクリーチャーは“しっかりした足場”を有するものとみなされる。クリーチャーが水底を歩けるのは、自分自身を水に沈めるだけの重さの装備品を運搬している場合だけである。中型サイズのクリーチャーで最低16ポンド。この重量はサイズ分類が1段階大きくなるごとに×2され、サイズ分類が1段階小さくなるごとに×1/2される。重い荷重だからといって歩くのが強制になるわけではない。

アボレスやショゴスのデータや(水棲)の副種別の説明より、(水棲)や(水)の副種別を持つクリーチャーはフリーダム・オヴ・ムーヴメントと同様の利益を得ていると考えられる。