Will McDermott著
縁を越えては9レベル・キャラクター用の短い冒険だ。この冒険はウレクとヴェルボボンクの間に新たに確立された交易路にあるロートミル山脈を舞台としているが、キャラクターに山道を抜けさせる経路なら何処でも良い。
数年前、ウレク公国の首都トライアングリーの商人たちがロートミル山脈からヴェルボボンクの町へと至る新たな交易路を拓いた。しかし、ここ1〜2ヶ月、その途上でのマンティコアの略奪の報告がトライアングリーに返ってきた。ひと月前、その商人らは冒険者の集団を雇ってマンティコアの略奪を終えさせるため山脈へと送り出した。その一行は戻ってきていない。
マンティコアの略奪は実際には、富と権力を増そうと最近この地域にやって来たジュヴナイル・レッド・ドラゴンによって指揮されている。カルドラコという名前のそのレッド・ドラゴンは交易路上にある橋から数百フィート下の崖にあるマンティコアの洞窟の奥を住まいとしている。
カルドラコはそのマンティコアらと、より最近はギートとギャーンという名前の2人のヒル・ジャイアントを使って旅人を待ち伏せ攻撃させ、橋の使用料を払うよう強制させている。全ての金は、勿論、カルドラコの元へと行っている。商人たちが山脈へと送り出した冒険者たちは、実際には見つけるよう送り出されていた問題の場所を特定していた。しかし、生き延びているのは1人――フィングロスという名前のメスメリスト――しかいない。彼の忠義が現在那辺にあるかは議論の余地がある。
この冒険はギートとギャーンとの出会い、フィングロスの発見、洞窟への崖の這い降り、洞窟の探検、そして究極的にはカルドラコとの対決で構成されている。マンティコアとヒル・ジャイアントの宝物全てはカルドラコの宝物の収集品の中へと回収されている。
縁を越えては山道の途上で発生するため、GMはキャラクターをこの冒険に引っ掛けるのが簡単か難しいか分かるだろう。キャラクターが現在何らかの山を旅している場合、君は容易に彼らの目の前にこの冒険を貼り付けられるだろう。そうではない場合、以下の契機の1つを試みること:
縁を越えての行動の殆どはカルドラコの洞窟内とその洞窟の上にある断崖で起こる。しかし、山道に辿り着く前ですら、キャラクターは別の一般的な交易路上の問題――山賊――で何らかの商人を助けられる機会を得る。この遭遇はキャラクターをこの冒険に更に引き込む契機にさえなる、GMはこの崖っぷちを、キャラクターに背景の情報を与える方法として使用できるが故に。
ロートミル山脈の標高の低い丘に入るとすぐに、キャラクターは道の角周辺で騒ぎが起こっているのを聞きつける。聴覚による〈知覚〉判定(DC15)に成功したキャラクターは共通語で以下のような主張を聞く:「決まりを守るか命で支払うかだ!」聴覚による〈知覚〉判定(DC20)は武器が捨てられる音も明らかにする。英雄たちがその角を曲がったなら、以下の文を読むか言い換えること:
100フィートほど先に木箱、桶、宝箱で半分ほど占められている3台の荷馬車がある。荷馬車それぞれに2人の男が座っていて、全員の両手は自身の頭まで上げられている。荷馬車の御者は明らかに商人であり、誰も目に見える武器や鎧を身に着けていない。スタデッド・レザー・アーマーを着た山賊6人は全員ショート・ソードを見せびらかしながらこの隊商を囲んでいる。山賊の頭は両手を尻に当てながら隊商の前に立っている。彼は腰帯にロングソードを佩き、肩に弓を背負っているが、目に見える鎧はない。
この山賊の頭はキリアンという名前の悪党だ。山賊たちがPCたちを視認して警戒の声を上げた時、彼は向き直る。「お前たちには関係がない事だ、」彼は言う。「商談を続けさせてくれるなら、そのまま通してやる。」キャラクターがキリアンとその同胞たちを敬遠した場合、山賊たちは彼らを見逃すが、夜に襲撃する。PCが攻撃する場合、キリアンの仲間たちは意識を商人から外して英雄たちと戦う。
キリアン | CR9 |
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男性の人間スカルド10二次レンジャー
NE中型の人型生物(人間)
イニシアチブ+7;感覚〈知覚〉+9
防御
AC21、接触14、立ちすくみ17(+7鎧、+3【敏】、+1回避)
hp71(10d8+20+3)
頑健+9、反応+6、意志+6;+4対バードの呪芸、[音波]もしくは[言語依存]効果
防御的能力直感回避強化;DR1/―;完全耐性立ちすくみ、不可視による【敏】喪失
攻撃
移動速度30ft.
近接+1ロングソード+10(1d8+4/19〜20)
遠隔高品質コンポジット・ロングボウ+11(1d8+3/×3)
修得呪文(CL10;精神集中+12)
4レベル(1/日)―ディメンジョン・ドア、グレーター・インヴィジビリティ
3レベル(3/日)―ヘイスト、パージング・フィナーリ、リヴァイヴィング・フィナーリ、ディスペル・マジック、グリブネス
2レベル(5/日)―サイレンス、ミスディレクション、ミラー・イメージ、パイロテクニクス、グリッターダスト、クリエイト・トレジャー・マップ、コンテイジアス・ジール、ディスガイズ・アザー
1レベル(6/日)―フェザー・ステップ、セーヴィング・フィナーリ、キュア・ライト・ウーンズ、オルター・セルフ、リムーヴ・フィアー、タイムリー・インスピレーション、オブスキュア・オブジェクト、グリース
0レベル(回数無制限)―ゴースト・サウンド、ダンシング・ライツ、ライト、メッセージ、プレスティディジテイション、ディテクト・マジック
性能
【筋】14、【敏】16、【耐】14、【知】10、【判】8、【魅】14
基本攻撃+7;CMB+9;CMD23
特技《巻物作成》S、《回避》H、《武器熟練:ロングソード》、《イニシアチブ強化》、《渾身の一打》
技能〈芸能:歌唱〉+12、〈鑑定〉+9、〈隠密〉+10、〈装置無力化〉+10、〈知覚〉+9、〈軽業〉+10、〈魔法装置使用〉+8、〈交渉〉+8、〈威圧〉+8、〈呪文学〉+6;クラス修正+5〈知識〉;クラス修正+5〈知識〉;博識
言語共通語
SQバードの知識、万能なる芸、呪文理解、激怒の歌
戦闘用装着品2足留め袋、20アロー
他の装着品+1ロングソード、+1グラマード・ミスラル製ブレストプレート、高品質コンポジット・ロングボウ(+2【筋】)、115gp
特殊能力
直感回避強化(変則)スカルドは挟撃されることがなくなる。この能力を持つスカルドに対して、挟撃している敵は急所攻撃を行うことができない。ただし、急所攻撃を与えるクラスのレベルが14レベル以上ある場合、その敵は挟撃と急所攻撃を行うことができる。
万能なる芸(変則)〈真意看破〉、〈はったり〉技能のボーナスの代わりに、その〈芸能:歌唱〉技能のボーナスを使用することができる。
呪文理解(超常)1日1回、スカルドは自分の修得呪文の1つであるかのように、ウィザード/ソーサラー呪文リスト、クレリック呪文リスト、バード呪文リストのいずれかから呪文を1つ発動することができる。この時、選択した呪文と同じスカルド呪文スロットを消費する。呪文理解で呪文を発動する際、元の呪文の発動時間にかかわらず、最低でも呪文の発動に1全ラウンドを必要とする。
激怒の歌(超常)スカルドはこの能力を、1日に25ラウンドだけ使用することができる。激怒の歌の開始は移動アクションである。しかし毎ラウンド、フリー・アクションで激怒の歌を維持することができる。バードの呪芸に影響を及ぼす全ての効果において、激怒の歌はバードのバードの呪芸特殊能力として扱われる。
激怒の歌は音声要素を持つが、視覚要素を持たない。対象となる仲間がこの歌の効果を受けるには、スカルドの声が聞こえていなければならない。聴覚喪失状態のスカルドは、激怒の歌を使用する際に20%の失敗確率を被る。この判定に失敗しても、この行為は1日の使用回数として扱われる。聴覚喪失状態のクリーチャーは激怒の歌に完全耐性を持つ。
激怒の歌が仲間に効果を及ぼす場合、スカルドが激怒の歌を開始したとき、そして激怒の歌を聴くことのできる仲間のターンの開始時に、スカルドの仲間は激怒の歌の効果を受けるかどうかを決定しなければならない。これはアクションではない。気絶状態の仲間は自動的に激怒の歌の影響を受ける。同意するなら、激怒の歌の効果はその仲間のターンの間か激怒の歌が終了するまでか、いずれかの間持続する。
キリアンの仲間(6) | CR3 |
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男性のスレイヤー3/ブローラー1
CN中型の人型生物(人間)
イニシアチブ+2;感覚〈知覚〉+6
防御
AC18、接触13、立ちすくみ15(+4鎧、+2【敏】、+1回避、+1盾)
hp25(4d10+3+4)
頑健+6、反応+7、意志+1
攻撃
移動速度30ft.
近接ショート・ソード+9(1d6+4/19〜20)あるいは
遠隔コンポジット・ショートボウ+7(1d6+1/×3)
特殊攻撃観察、急所攻撃+1d6、素手打撃
性能
【筋】18、【敏】14、【耐】13、【知】12、【判】10、【魅】8
基本攻撃+4;CMB+8(+10裏技);CMD21
特技《素手打撃強化》B、《攻防一体》、《裏技強化》S、《回避》H、《強行突破》
技能〈鑑定〉+5、〈登攀〉+10、〈軽業〉+8、〈隠密〉+8、〈装置無力化〉+5、〈知覚〉+6、〈魔法装置使用〉+3、〈生存〉+6;クラス修正+1〈生存〉(追跡のみ)
言語共通語
SQスレイヤーの技(ローグの技[戦闘技術])、抜け目ない、多様なる武術
戦闘用装着品2足留め袋、20アロー
他の装着品高品質チェイン・シャツ、高品質バックラー、高品質コンポジット・ショートボウ(+4【筋】)、高品質ショート・ソード、15gp
特殊能力
観察(変則)スレイヤーは移動アクションとして敵を観察することができる。そうすると、スレイヤーはその敵に対する〈真意看破〉、〈生存〉、〈知覚〉、〈知識〉、〈はったり〉判定に+1のボーナスを得、その敵に対する武器攻撃ロールとダメージ・ロールに+1のボーナスを得る。加えて、その敵に対して行うスレイヤーのクラス能力のDCは1だけ増加する。スレイヤーは一度に敵1体にのみ、このボーナスを維持することができる。その敵が死亡するか、スレイヤーが新しい敵に観察を使用するまで、このボーナスは持続する。
急所攻撃ダメージを与える場合、スレイヤーは割り込みアクションとして急所攻撃の目標に観察を使用することができ、そのようにするならば観察によるボーナスを(通常の武器のダメージ・ロールに加えて)この目標に対して与えることができる。
多様なる武術(変則)ブローラーは移動アクションで、保持していない戦闘特技1つの利益を得ることができる。この効果は1分間持続する。ブローラーはこの特技の前提条件を満たしていなければならない。ブローラーはこの能力を、1日に4回だけ使用することができる。
ブローラーは持続時間が過ぎ去る前に再度使用することで、以前に選択した戦闘特技を別のものに置き換えることができる。《朦朧化打撃》など、戦闘特技に1日の使用回数制限がある場合、この能力を使用している間の使用回数は、この戦闘特技の1日の使用回数制限に従う。
戦術:キリアンとその仲間は可能な限り多くのキャラクターを挟撃して挟撃ボーナスを得て急所攻撃ダメージを齎そうとする。加えて、山賊全員は裏技で戦う。キリアンが二度目の攻撃の命中に困難を抱えている場合、彼は追加攻撃を諦めて《渾身の一打》のダメージを得る。旗色が悪い場合、キリアンは撤退を命じる;山賊たちは《強行突破》を使って近接距離から離脱して足留め袋を使って追撃を邪魔する。
キャラクターたちがキリアンとその仲間を倒すか蹴散らすかしたなら、隊商の統率者――ベリミル、ある程度有名な仕立て屋――は彼らに感謝し、次に彼らがトライアングリーにいる時にそれぞれに専用に誂えた衣装一式を提供する。加えて、ベリミルは英雄たちに、自分とその同胞たる商人たちが4日ほど前に山に掛けられている橋で出会った2人のヒル・ジャイアントについて話す。その巨人たちは隊商の護衛全員を殺したが、橋を渡る通行料の支払いに合意した後は商人たちを通した。
縁を越えて
Will McDermott著
山道はその橋まで曲がりくねる上り坂だ。キャラクターたちが山々をこっそり抜けようとしていない場合、ギートとギャーンが彼らの到来を聞きつけ、この最初の遭遇はキャラクターたちが角を曲がった直後に発生する。キャラクターが静かである場合、キャラクターが角を曲がる前に、ギートとギャーンに聞く為の〈知覚〉判定させること。ひと度巨人の視界に入ったなら、視覚による〈知覚〉判定(DC25)に成功したキャラクターは不意討ちラウンドに行動する巨人たちを視認する。他のキャラクター全員は岩の一斉射撃の間立ちすくみ状態だ。
英雄たちが巨人を目視したなら、以下の文を読むか言い換えること:
君たちは角を曲がって頑丈な橋を見る、商用の荷車でも通れるほど広く、150フィート先まである懸崖に渡してあるものだ。ヒル・ジャイアント2人が橋の手前の道に立っており、それぞれが足元に岩を山積みしている――そしてそれぞれ手に岩を持っており、君たちに向かって放ろうとしている。
ギートとギャーン | CR7 |
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ヒル・ジャイアント(B1参照)
hp75
ギートとギャーンは併せて銀貨20枚と、それ以外の無価値のものしか持っていない。
戦術:ギートとギャーンはキャラクターに対して即座に敵対的になり、キャラクターが近接戦闘に入るまで岩を投げる。そうなった時点で、ギートはグレートクラブで戦う。しかしギャーンは自分の戦闘相手に組みつこうとする。成功した場合、ギャーンは次のアクションで押さえ込もうとする。組みついたPCを押さえ込むのに成功した場合、ギャーンは次のアクションで崖の端に移動してフリー・アクションとしてその相手を落とす。この断絶は深さ1,000フィートあるため、落ちたキャラクターは衝撃により20d6ポイントのダメージを受ける。どちらの巨人とも接近戦を行っていないキャラクターは最初の組みつきの試みの間断崖を睨んでいる事に気付く為の視覚による〈知覚〉判定(DC25)に成功するかもしれない。
ギートとギャーンとやりあった後、キャラクターたちは軋るような音を聞く。聴覚による〈知覚〉判定(DC10)によって英雄たちは断絶から音が聞こえているのだと判断できる。聴覚による〈知覚〉判定でDC20を上回ったキャラクターは誰かあるいは何かが岩壁を登っているのだと認識する。
縁を越えて
Will McDermott著
ギートとギャーン(ヒル・ジャイアントの橋守り)を蹴散らした後、集団は亀裂で木霊している響き渡る軋る音を聞く。聴覚による〈知覚〉判定(DC20)はその音は誰か(あるいは何か)が岩壁を登っている音だと識別する。声がする、「少し助けてくれないか?」
この登攀者は前回のトライアングリーの商人たちによってこの山脈へと送られた冒険者御一行唯一の生存者フィングロスだ。彼は友好的に見え、(まだキャラクターたちが助けていないなら)助けか縄を求め続け、自分は2週間下のマンティコアの洞窟で脱出の機会を伺いながら隠れ続けていたのだと告げる。
フィングロス | CR8 |
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男性の人間メスメリスト9
CN中型の人型生物(人間)
イニシアチブ+2;感覚〈知覚〉+10
防御
AC17、接触13、立ちすくみ14(+4鎧、+2【敏】、+1回避)
hp80(9d8+9+18+9)
頑健+5、反応+5、意志+9
防御的能力圧倒的な自我
攻撃
移動速度40ft.
近接+1ダガー+8(1d4+2/19〜20)
特殊攻撃秘められた精神力、暗示の視線
修得呪文(CL9;精神集中+13)
3レベル(4/日)―グレーター・フォールス・ライフ、グリブネス、トリガード・サジェスチョン、センディング
2レベル(5/日)―アノニマス・インタラクション、ミスディレクション、ファントム・トラップ、インシュラウド・ソウツ
1レベル(6/日)―ヴェントリロキズム、ヴァニッシュ、メモリー・ラプス、デイクレピット・ディスガイズ、コール・アニマル
0レベル(回数無制限)―ゴースト・サウンド、メッセージ、メイジ・ハンド、プレスティディジテイション、リード・マジック、ララバイ
性能
【筋】12、【敏】14、【耐】14、【知】10、【判】8、【魅】18
基本攻撃+6;CMB+7;CMD20
特技《回避》H、《強行突破》、《暗示の視線距離延長》、《一撃離脱》、《強烈な痛み》、《追加hp》
技能〈はったり〉+19、〈登攀〉+12、〈製作:罠〉+7、〈隠密〉+13、〈軽業〉+10、〈装置無力化〉+10、〈知覚〉+10、〈真意看破〉+6;クラス修正+4〈はったり〉;クラス修正+5〈軽業〉(跳躍のみ)
言語共通語
SQメスメリストの技、接触医療、強烈な視線(小心、識別障害)
戦闘用装着品2ポーション・オヴ・ダークヴィジョン
他の装着品+1ダガー、+1スタデッド・レザー、絹のロープ(100ft.)、盗賊道具、ブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング
特殊能力
秘められた精神力(変則)メスメリストは通常よりも強力なクリーチャーやより多くのクリーチャーに対して、自身の精神的効果を適用することができる。メスメリストが発動する心術及び幻術のHD上限と目標のHD合計に1を加えること。メスメリストが発動する心術及び幻術呪文において、目標の数が2体以上であれば、目標数も1体増加する。
暗示の視線(超常)即行アクションとして、メスメリストは40フィート以内のクリーチャー1体に自分の視線を集中させることができる。そのクリーチャーは意志STに−3のペナルティを受ける。メスメリストは一度に1体にだけこの視線を維持することができる。新しい対象に視線を使用するか、対象が死亡するか、対象が30フィートを超えて離れるか、メスメリストが気絶状態になるか死亡するまでこの効果は持続する。メスメリストはこの視線の記憶を目標から取り除くことができる。メスメリストが許可しない限り、そのクリーチャーは効果を受けていたことを覚えていない(また、現在効果を受けていることにも気付かない)。暗示の視線は念術効果であり、目標が視線に意識を向けているか、ではなくメスメリストの集中に強く依存している。凝視攻撃と同様の方法で効果を打ち消すことはできない。メスメリストはこの能力を盲目状態であっても使用することができるが、そうするにはDC20の精神集中判定に成功しなければならない。クリーチャーに視線を向けるにはメスメリストは集中しなければならない。そのため、メスメリストが凝視攻撃か同様の能力を使用する場合、暗示の視線の対象を目標にしなければ視線は終了してしまう。これは[精神作用]効果である。
メスメリストの暗示の視線の目標にダメージを与える攻撃が命中した際、メスメリストは目標に6に等しい追加ダメージを与えることができる。メスメリストはこの能力をフリー・アクションで使用することができ、自分のターンでなくても使用することができる。メスメリストがこの能力で自分が与えるダメージを増加させる場合、追加ダメージは4d6に増加する。このダメージは精密性によるダメージであり、クリティカル・ヒットで増加しない。メスメリストはこの能力を1ラウンドに1回だけ起動することができる。
暗示の視線によるペナルティはダメージ・ロールにも適用される。暗示の視線によるペナルティは攻撃ロールにも適用される。
メスメリストの技(超常)メスメリストは仲間と催眠術による絆を作り出すことができる。この絆を用いることで、後になって魔法的な示唆を仲間に埋め込むことができる。毎日、メスメリストは8回だけ技を埋め込むことができる。メスメリストが一度に埋め込める技は3つだけであり、新しい技を埋め込むと以前の技は終了する(以前の技を中断した場合でも、この能力の使用回数を失う)。
技を埋め込むには、メスメリストは標準アクションを消費しなければならず、同意するクリーチャーに接触するか、自分自身に対して技を埋め込む。メスメリストの技の効果を受けられる数は、クリーチャー1体毎に1つまでである。(技の説明文に記載された)起動条件を満たしていれば、メスメリストは例え自分のターンでなくても、フリー・アクションとして技を起動することができる。技の起動条件を満たすには、目標はメスメリストから200フィートの範囲内にいなければならない。メスメリストはわずかなテレパシーによるつながりを通して技の起動条件を感知する。そのため起動するために視線が通っている必要はない――しかしテレパシーによる接触を妨げるものは技の起動も妨げる。埋め込んだ技は次にメスメリストが呪文を回復するまで持続する。
起動すると、技は埋め込まれた状態ではなくなり、再びメスメリストが技を埋め込むまで再び起動することはできない。メスメリストの技あるいは絶技がセーヴィング・スローや技能判定を必要とする際のDCは、18に等しい。
接触医療(超常)メスメリストは念術エネルギーを治療している手を通して流し込むことで、有害な状態異常をふるい落として仲間を助けることができる。メスメリストは1日に7回だけ、接触医療を使用することができる。この能力は標準アクション(自分に使用する場合には即行アクション)で使用することができ、メスメリストは目標に接触できなければならない。この能力を使用するたびに1体の目標から状態異常1つを取り除くことができる。メスメリストは下級及び中級の状態異常一覧から状態異常を1つ取り除くことができる。
フィングロスは実際には数週間カルドラコの虜囚でいて、現在はカルドラコのチャーム・パースン呪文の効果を受けている。〈真意看破〉判定(DC25)はこの心術の存在を看破し、フィングロスへのディテクト・マジック呪文の成功でも同様だ。チャーム・パースンが解呪されない限り、フィングロスは集団にマンティコアの洞窟への入口はこの岩壁を200フィート程降りたところにあり、冒険者集団の助けがあれば自分は最終的に同胞の死の復讐ができると言う。更に、フィングロスはキャラクターに現在マンティコアは狩りに出ており、自分は洞窟の内側で帰還した奴らを待ち伏せする最高の場所を知っていると伝える。彼は拓けた場所でのマンティコアとの戦闘は自殺行為だと説明する、かの魔獣は上空彼方に留まって尾から棘を発射すると。
実のところ、フィングロスはキャラクターを洞窟へと釣ってカルドラコに会わせようとしている。カルドラコのチャーム・パースン呪文は3時間しか持続しないため、フィングロスは2時間経過時点で帰還するよう明瞭な指示を受けている。英雄たちが躊躇うか朝まで休んでから岩壁を降りようと願う場合、フィングロスは彼らに嘆願する:今が我が友を殺したかのクリーチャーを破壊できる最高の好機だと。彼の請願が失敗する場合、彼は、なら1人でもあのモンスターに立ち向かうと言いながら岩壁を降り戻ろうとする。
フィングロスは知らない事だが、彼とキャラクターが洞窟へと降り始めると、カルドラコの命令を受けたマンティコアたちが攻撃してくる。フィングロスが単独で戻るあるいは全く戻らない場合、マンティコアたちはPCたちが降り始めるまで待つ(必要なら翌日まで待つ)。
集団が崖の上と洞窟の入口の間の半ばほど(崖上から100フィート降りた地点)に来ると、マンティコア4羽が露頭の裏からキャラクターの両側へと飛びかかってきて攻撃する。
マンティコア(4) | CR5 |
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hp57(B1参照)
戦術:飛行するキャラクターによって接近戦に持ち込まれない限り、マンティコアは(6ラウンドの間毎ラウンド4本)棘を射ってから近付いて爪と歯で攻撃する。キャラクターが縄にしがみついている場合、マンティコアの1羽が上まで飛び上がり、着地し、縄を噛み千切ろうとする。
マンティコアらを倒した後、キャラクターはそれ以上の攻撃を受ける事なく洞窟の入口に到着する。以下の文を読むか言い換えること:
洞窟の入口は壁面に空いた大きな傷口以上のものではない。裂け目の狭さによって太陽光は日中でも常にこの入口から遥か先までは貫けないため、洞窟は20フィートも進むと漆黒の闇となる。「ここには少なくとも5羽のマンティコアがいる」フィングロスは言う。「来なよ、早く待ち伏せ地点に着かなきゃいけない。」それから彼はポーションをがぶ飲みして闇へと走り去る。
縁を越えて
Will McDermott著
フィングロスはダークヴィジョンのポーションを飲み、洞窟の闇を60フィート見通せるようにした。彼はキャラクターが彼に付いて来るようには見えない限り毎ラウンド2倍の速度で移動し、その付いてこない場合には脇の部屋の1つに入って隠れようとする。PCがフィングロスに付いてくる場合、彼は前方を指して言う、「早く、待ち伏せ地点はその角を曲がったところだ!」フィングロスはそれから英雄たちがその道を先に行くのを待つ。
洞窟そのものは極めて一直線だ。本道はおよそ幅20フィートで天井の高さは約25フィート。道はほぼ一直線に120フィートほど崖の奥へと向かってから左に曲がる。本道から3本の脇道が分かれており(2本が右へと、1本が左へと)、それらは進むとほぼ即座に小さな洞窟が拓ける(それぞれは差し渡し約50フィート)。キャラクターがそれらの脇の洞窟を探索する場合、手前の2部屋それぞれではマンティコア1羽用の巣を見つける。3部屋目にはそうした巣が2つある。視覚による〈知覚〉判定(DC20)の成功によってPCはその2つのうち1つは他のものよりずっと新しい事に気付ける。これらの脇の洞窟のどれにも宝物はない。
通路の曲がり角で、通廊のその区画の床全体を飲み込む幅20フィートの落とし穴の罠が待ち構えている。英雄たちがフィングロスに発動されているチャーム・パースンを解呪している場合、彼は落とし穴の罠について警告する、それはここ4週間の間にカルドラコが自分に作るよう強要したものだと。角にある5フィートの大穴を飛び越える(DC10)ことでこの罠は回避できる。この〈軽業〉判定に失敗したキャラクターは自動的に落とし穴へと落ちる。
棘付き落とし穴の罠 | CR4 |
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種類機械式;〈知覚〉DC20;〈装置無力化〉DC20
効果
起動条件場所式;再設置手動
効果深さ60ft.、攻撃不要(6d6);近接1d4棘+10(1d4+5);反応セーヴで回避(DC20)。
罠は(角を曲がった)落とし穴の反対側からのみ無力化できる。キャラクターの1人が飛び越えてこの罠を無力化しようとする場合、即座に崖っぷちの項へと進むこと。一行の者全員が角の落とし穴を飛び越えた場合、崖っぷちへと進む前にこの遭遇を完了させること。
フィングロスは落とし穴の底にある地下通路を知っているが、まだその通路を探索していない。フィングロスはブラック・プディングが落とし穴の底で暮らしている事を知らない。現在それは落とし穴の床面全体を覆っていて(自身を棘の周辺に溶け込ませている)、落ちたキャラクターを即座に攻撃する。
ブラック・プディング | CR7 |
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hp115(Bestiary参照)
ブラック・プディングは落下してくるキャラクターからCore Rulebookの「落下してくる物体」に記載されている通りのダメージを受ける;PCの体重と装着品の重量が合計200ポンドを超えている場合6d6ポイント;合計重量が101〜200ポンドの場合3d6。しかし、キャラクターがブラック・プディングへと着地するや否や、そのキャラクターの鎧は反応セーヴ(DC21)に成功しない限りプディングの酸によって溶解する。ブラック・プディングへと落とした(あるいは使った)武器も反応セーヴ(DC21)に成功しない限り溶ける。
戦術:ブラック・プディングは相手を叩きつけ、叩きつけと酸の両方のダメージを与えようとする。叩きつけが成功した後、ブラック・プディングはフリー・アクションとしてつかもうとする。以降のラウンド、プディングはつかんだ相手を締めつけて自動的な叩きつけと酸のダメージを与えようとする。斬撃武器や刺突武器は武器はブラック・プディングにダメージを与えない;それらは単にプディングを2分割するだけだ(半分それぞれは本来のヒット・ポイントの半分を持つ)。
通路は更に60フィート続くが、漆黒の闇を抜けることになる。落とし穴の罠を通過して〈知覚〉判定(DC5)に成功すると硫黄の刺激臭がこの隧道の奥から漂ってくるのに気付く。〈知覚〉判定(DC20)に成功した者は落とし穴のこちら側は僅かに温かいように感じることにも気付く。英雄が前方の黒色から来る音を聴覚で〈知覚〉(DC15)した場合、翼が羽ばたく音だと看破する。
縁を越えて
Will McDermott著
カルドラコはフィングロスが帰って橋での喧嘩を報告するのを待っている。(実際のところ、フィングロスが未だ魅了されている場合、彼は戻ってカルドラコにキャラクターが来ている事を伝える。)そのため竜は穴の底から100フィート先に潜んで通路を観察している。英雄たちが落とし穴より奥へと到達したなら(あるいはキャラクター1人――フィングロスさえ――が飛び越えて罠の無力化を試みたなら)カルドラコは住処から飛び立って攻撃する。
カルドラコ | CR11 |
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ジュヴナイル・レッド・ドラゴン
CE大型の竜(火)
イニシアチブ+5;感覚煙の見通し、竜の超感覚;〈知覚〉+16
オーラ畏怖すべき存在(120ft.、DC18)
防御
AC26、接触10、立ちすくみ25(+1【敏】、+16外皮、−1サイズ)
hp149(13d12+65)
頑健+13、反応+9、意志+10
完全耐性[火];抵抗麻痺、睡眠効果;弱点[冷気]への脆弱性
攻撃
移動速度40ft.、飛行200ft.(貧弱)
近接噛みつき+20(2d6+12)、2爪+20(1d8+8)、2翼+18(1d6+4)、尾の打撃+18(1d8+12)
接敵面10ft.;間合い10ft.(噛みつき15ft.)
特殊攻撃ブレス攻撃(40フィートの円錐形、DC21、8d10[火])
擬似呪文能力(CL13;精神集中+15)
回数無制限―ディテクト・マジック、パイロテクニクス
修得呪文(CL3;精神集中+5)
1レベル(6/日)―チャーム・パースン、シールド、メイジ・アーマー
0レベル(回数無制限)―アーケイン・マーク、ダンシング・ライツ、メイジ・ハンド、メンディング、プレスティディジテイション
性能
【筋】27、【敏】12、【耐】21、【知】14、【判】15、【魅】14
基本攻撃+13;CMB+22;CMD33(37対足払い)
特技《イニシアチブ強化》、《呪文熟練:心術》、《強打》、《複数回攻撃》、《かすめ飛び攻撃》、《急旋回》、《外皮強化》
技能〈はったり〉+17、〈交渉〉+17、〈威圧〉+16、〈軽業〉+16、〈知識:神秘学〉+16、〈知覚〉+16、〈真意看破〉+16、〈呪文学〉+16、〈飛行〉+11
言語共通語、竜語、スカルド語
特殊能力
畏怖すべき存在(変則)この能力の使用はフリー・アクションであり、通常は攻撃や突撃の一部として使用される。距離内にいる敵のうち、そのアクションを知覚したものは恐れ状態あるいは怯え状態となりうる。持続時間は5d6ラウンドである。この能力は、13よりもHDやレベルが低い敵にしか作用しない。作用を受けた敵は、意志セーヴに成功すれば、効果に抵抗できる。STに成功した敵は、そのクリーチャーの“畏怖すべき存在”能力に対し、24時間の間、完全耐性を持つ。セーヴに失敗した場合、4HD以下の敵は恐慌状態に、それより高ければ怯え状態になる。“畏怖すべき存在”は[精神作用]の[恐怖]効果である。
戦術:カルドラコは《かすめ飛び攻撃》で落とし穴より自分側にいるキャラクターを突き飛ばして罠に落としてから《急旋回》を使って方向転換して更なるかすめ飛びに備える。彼は未だ通路にいるキャラクターにブレスを吐いてから近接戦闘に入る。
フィングロスが未だ魅了されている場合、彼はこの戦闘の間隠れ続ける(宝物品の裏かマンティコアの洞窟部屋の1つの中、落とし穴の罠の遭遇の後彼がどこにいるかに依る)。
カルドラコはマンティコア、ヒル・ジャイアント、そしてフィングロスさえもをけしかけて自分の為に隊商を襲わせる事で莫大な宝物を集めている。宝物の大半はキャラクターが洞窟から持ち出すには余りに多い(粗雑な大きな布1反、塩の入った小箱、そして陶器の入った木箱)。しかし、トライアングリーの商人は自分たちの商品全ての所在を知る為に報酬を支払うだろう。英雄たちがカルドラコを倒し奥の部屋にある荷を通して手探りに依る〈知覚〉する場合、以下を見つけられる:
硬貨:3合の宝箱それぞれには6,000sp、2,400gp、そして150ppが入っている。
宝石:絹の財布4具にはそれぞれ3宝石(それぞれ10gpの価値のある3虎目石;3月長石、それぞれ50gp;2白真珠、それぞれ100gp;2黒真珠、それぞれ500gp;1翠玉、1,000gpの価値、1金剛石、2,000gpの価値)。
交易品:品々の中に散らばっているのは105gpの価値のある小さな絹1反、550gpの価値のある精製されていないミスラルの入った箱、1,050gpの価値のある青玉の嵌った銀の櫛一式の入った小さな木箱。
魔法のアイテム:一般的な商人の商品、硬貨、そして宝石に加え、キャラクターは+1クローク・オヴ・レジスタンス、ダスト・オヴ・ディサピアランス、フィギュリーン・オヴ・ワンドラス・パワー(サーペンタイン・アウル)、グラヴズ・オヴ・ストアリング、アイウーン・ストーン(鈍い灰色)、そしてネックレス・オヴ・ファイアーボールズ(タイプI)。
フィングロスのアイテム:最後に、カルドラコは宝箱1棹の中にフィングロスのアイテム全てを保存しており、あのメスメリストは少数のアイテムのみ(武器と防具)を必要な時(かつ魅了された時のみ)に持ち出せた。フィングロスのアイテムの残りは未だその箱の中にある。それらは:280gp、+1コンポジット・ショートボウ(+2【筋】)、リング・オヴ・フェザー・フォール、そして3ポーション(1キュア・モデレット・ウーンズ、2スパイダー・クライム)。
キャラクターたちはカルドラコに会った後複数の方法で冒険を続けられる。この竜を倒した場合、落とし穴の罠の下にある通路はロートミル山脈内での更なる冒険へと導くかもしれない。カルドラコは御せないほどに強いと英雄たちには分かった場合、このレッド・ドラゴンは英雄たちがこの地域を旅している時に悩ます再登場する敵となる。キャラクターがトライアングリーに戻った時、商人たちは新しいより大きな問題を抱えているかもしれない。迂遠なGMはフィングロスに戦闘の後のいつかの時点で一行を興奮させて、宝物を盗もうとさせてさえ良い。
ウィザーズ・オヴ・ザ・コースト社の有線媒体部門へと異動する前はWill McDermottはTopDeck誌の主任編集者をしており、更にその前にはThe Duelistでその役職をしていた。Willはマジック:ザ・ギャザリングとポケモンTCG両方の戦略手引書を書いており、現在マジック:ザ・ギャザリングの小説を執筆中だ。
経験点(ストーリー経験点含む) | 約52,800XP |
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4人が次のレベルになるのに必要なXP | 120,000XP |
実際の宝物 | 約10,913gp |
脅威度から求められる宝物 | 約47,000gp |