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いしかわは4eをどう思っているか?
 ---3.Xeの終焉に思う---
090122
いしかわ

I.4eへの不満

正直な話、いしかわは4eにスゲエ不満がある。
ぶっちゃけ、これクソゲーじゃね? って思うことも少なくない。

ルールに慣れてないせいかも、と思ってようやく2ケタほどの回数をプレイし、DMも5回ほどやって曲がりなりにもHJオフィシャルのシナリオを作成する身となってみても、未だに、その、なんというか、アレだ。なあ金沢。

じゃ4eのどこがダメなのか?

■ルールが未成熟すぎる 
全てはここに帰結するように思う。
3年の月日をかけて編み上げられたはずのルールには穴が多く、プレイの度アラが見えてイラっとくる。
8月に出されたupdateに至っては、レベルに対しての基準目標値を10ずつ下げてくる始末。
http://www.wizards.com/default.asp?x=dnd/updates
基準値にd20足すゲームで10下げるってそれはもう別のゲームだろ
 #ちなみに日本語版はエラッタ適用済らしい。HJ&翻訳チームGJ。 

直すことはいい。直さないよりは百倍もいい。 
でも、基準値10も変えるようなどデカイ誤りがなぜ発売まで放置されていたのか。
300人以上のプレイテスター達からなんの意見も出なかったのか(*4)。 
元々の予定を2年繰り上げたという事情もあるのだろうが、せめてもう半年ディベロップに時間をかけていれば……と思わずにはいられない。

■ゲームスタイルの変更 
この点については俺の好みの問題なので客観性に欠けるのかもだが。 
D&Dってのは、伝統的に「冒険を」するゲームだったんだよな。 
戦闘に関するルールがスゲエ多いし、それにかかる時間も長く、またそこが一番楽しいものだったがために「戦闘級シミュレーションゲームだ」などと揶揄されることも少なくなかったD&Dは、しかし戦闘の影にひっそりと「冒険のための」魔法やアイテム、技能、特技、そしてギミックが無数にちりばめられていた。 
そして、そういう部分こそが、戦闘外でのD&DのD&Dらしさを形作っていたように思われる。
例えば、君はD&D以外のゲームでテンサーズ・フローティング・ディスクやロープトリック、レオムンズ・タイニィ・ハットに類する呪文を見たことはあるだろうか?(*1) 
そらまあ、この種のものにはいい呪文か、とか効果的な呪文かっていうと微妙なものも少なくない。
けど、こういう雑多な部分を日常の何気ない場面で使ったりするあたりが「D&D」って世界を形作っていた。
そしてこの点がこそ、MMOなんかでは決してできないTRPGの楽しさを作り出す要素なんだと思うのだ。 

翻って、4eはといえば……残念なことだが、いまのD&Dは「戦闘のためのゲーム」と言っても過言ではなくなっている。
「冒険」のためのギミックの多くは失われ、技能や特技に今はよすがを残すばかりだ。
仲間の回復やバフに敵への命中判定が必要となったりしてるため、以前は許されていた「戦闘はできないけど他の面では役に立つ」というキャラクターは役割分担が強化されたことで存在が難しくなってしまった。 
そして、こういうコンセプトのゲームであればすでに国産ゲームが発売されている。
戦闘のやりとりを楽しもうって言うのが主眼であればアリアンロッドやアルシャードで充分楽しめるし、手軽さやできることの豊富さでも全く劣っていないと思う。

■クラス制の変更と発展性の縮小 
変更と言うよりは回帰というべきなのかも知れないが、マルチクラスが(実質)無くなった。 
実はこれは良い点と言えなくもない。
初心者にとって3.5eの敷居が高い原因のひとつがこの複雑なマルチクラスにあったからだ。
しかし一方で、前述したように「戦闘ばかり」となった4eでは、勢いパワーも戦闘に関するものばかりで、結果としてクラスのやれることの差が小さくなってしまっている。
例えば射撃型レンジャーとウォーロックは、もちろん細部では異なってはいるものの、実質的にやっていること/やれることは変わらない(*2)。 

■戦闘の長大化−−パワー管理の問題 
戦闘は軽く、簡単になった。 これが4eの売りのはずなんだが、実際に戦闘をしてみると実はそうでもなかったりする。 
簡単になったのは間違いない。
3.5eで使用されていた(けどやらない人にとっては面倒でしょうがなかった)戦闘オプションをごっそり切り捨てたのだから。
それをパワーという単位にし、パワーを持つものだけが使える、としたのもルールの単純化の面では非常に有効だと思う。 

問題は、戦闘が軽くなっていない点だ。 
ルールが簡単になっているにも関わらず、戦闘はずるずると長く、タルいものになりがちなことが多い。

例えば3lvsoloのホワイトドラゴンのhpは200。
適正レベルである2レベルPC5人でこれを倒そうとすると、戦闘の後半は戦闘毎/一日毎パワーを使い尽くし、ダラダラと互いを削りあう、「d20で×以上を出すゲーム」へと変貌する。 
これはドラゴンのような強い敵だけでなく、例えば1レベルのコボルドスカーミッシャーでさえhpは27。
実はこのhpの敵を一撃で殺せるのは限られたパワーだけで、低レベル帯ではさらにダイス目に多いに恵まれる必要がある。 
これはキャラクターのhpがえらいこと増えていること、にもかかわらずクリティカルで大ダメージが出なくなったことに加え、バフなんかで命判が上がりにくくダメージを与えにくくなったこと、複数回攻撃などの攻撃法も少なくなり与ダメージが小さいことなどが原因と思われる。
またブレイクスルー的なもの(大ダメージを与えるとか即死とか絶対命中とか)が無い(*3)ことも戦闘がダラダラ続いちゃう原因のひとつと思われる。
前述のようにPC間の差が少ない点も、このダラダラ感に拍車をかける原因となっているのではあるまいか。 
そして、簡単にしたはずのルールも、マジックアイテムルールでどんどんごちゃごちゃになっているのも気になる。
クリティカルでダメージ倍加ができなくなったのはよしとして(*5)、魔法武器だとクリティカル時にダイスが増えるとか、最近では「ダメージの出目が1か2ならダイス振り直し」とか3.5e時より複雑になっているものもある始末。どんだけ迷走してんだよと。

■フレーバーの大幅削除 
これも好き嫌いの話になるんでアレだけど、4eではクリーチャーやクラスに関する記述がごっそり削除されている。 
例えばD&Dのアイコンモンスターであるビホルダーの記述を見ても、掲載されているのは戦闘能力ばかりであり、彼らがどのようなところに住んで、どんな生活をしているのか、どんな仲間がいるのかなどといった面に関しては一切(そう、全く!)書かれていない。
MMOの攻略本のおまけコラムだってもうちょっと書いてあるっつーの。 
このへん、「設定を知らない人でも入りやすくする工夫」なのかも知らんけど、従来の「このクリーチャーがどんなところに住み、どんな生活をしているかに基づいてエンカウントを作っていく」という楽しみは大きく失われたと言っていい。

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あ、やべえ。書いててどんどん暗澹たる気分になってきた。

んじゃあ、4eって、ダメなの?
II.4eの長所

じゃあどんなところが4eのいいところなの?

■プレイヤーはPHB1冊あればプレイ可能 
この点は大きい。非常に大きい。 
3.Xeでも同じ、とは言いながら、実際にはマジックアイテムや特殊能力を知るためにDMGが、サモン系呪文のためにMMが必要であるという現実があった。
しかし、4eではPHBにマジックアイテムまで掲載され、サモン系呪文は全て無くなった。 経済的な負担が1/2〜1/3になる、というのは大きなアドバンテージと言えるだろう。

■PC/DMの準備が軽減された 
欠点として前述した点ではあるが、選択肢が減っていることの裏返しとして選択が容易になり、PC作成が非常にカンタンになっている。
慣れれば1キャラ作るのに30分程度で作れるようになるだろう。 
そして、DMの準備の負担軽減はそれ以上である。クリーチャーの行動指針がbrute /soldier / artillery /leaderなどタイプ別のテンプレートになったため、クリーチャーを使う目的にあわせてチューンするのがものすごく容易になった。 
Pilgrimさんはその例として「あるセッションで5体のヴロックを出した。2体をartillery、2体をsoldierにして、リーダーとして1体は2headにし、1Rに2行動を可能にした。このエンカウントを作るのに、僕は15分しかかからなかった」という。 
このエンカウントを3.Xeで作るのは容易だ。しかし、膨大な時間が必要となるのは言うまでもない。 
4eでなら、レベル毎にhpを、2レベル毎にボーナスを増やし、テンプレ能力を加算するだけでオリジナリティあるエンカウントを作れるのだ。 
ほかにも、「冒険向けのギミックが減った」ことで、いままでのように壁抜け対策だの立体機動対策だのに煩わされることが無くなった(*7)のもシナリオ作りをイージーにしてくれるだろう。
その割に、戦闘に関する楽しみはそれなりに保たれてる(序盤だとやることが無くなって手詰まり、という局面も少なくないが、ある程度レベルが上がればパワーのやりくりでいろんなオプションが取れる)んで、このへんは良い点かなーと。

■役割分担の明確化 
これまで曖昧に表現されてきた「壁」とか「剣」とかってパーティ内での役割が制御役・撃破役・指揮役・防衛役として明確化され、割り当てられた各クラスもその役割が果たしやすいような能力/パワーが得られるようデザインされている。 
これもプレイ上良い点であると思う。
これまではパーティ作るためにはクラスだけでなく「どんな狙いで作られたPCか」を聞かないとわからなかったのが、クラスを見るだけでほぼ理解できる。

■パワーによるリソース管理 
呪文や戦闘オプションの大半は「パワー」として管理されるようになった。 
できることが全てユニット化され、とりあえずパワーのリスト見ればできることが一目でわかるというのは非常にわかりやすい。 
また無限回パワーが全キャラに供給されているので「戦闘中やることがない」という状態が無くなっているのも良いと思う。 
他方、これまで術者達がしていたようなリスト管理を全PCがしなければならなくなった、すなわち3.Xeのように「初心者ならパラディンやらせとけ」的なアレがやりにくくなったりもしてるけど。
ドンマイ。

■「強い呪文」が消える 
3.Xeにおける「強力な呪文」とは、実はダメージの大きい呪文ではない。
呪文はカンタンに無効化されてしまうし、与ダメージ量でも前衛クラスには適わないのはちょっとやりこんだプレイヤーなら誰もが知っていることだろう。 
そう、3.Xeにおける「強力な呪文」とは、「敵を無力化する呪文」、そして「味方を強化する呪文」に他ならない。
前者はグリース、グリッターダスト、コーズフィアーあたり、後者はメイジアーマーからはじまって枚挙にいとまがない。 
これらはうまく使うことで脅威を容易に解消できるという「魔法使いらしさ」を醸し出していたが、反面複雑なルール運用と煩雑な判定を必要としていた。 

4eではこの種の呪文がほとんどなくなり、よってこれまで行われてきたいわゆる”戦闘前の儀式”がほとんど無くなった。
多くのPCは自分の能力と他PCのパワーとのコンビネーションで戦うようになった。 
戦闘中にこまこまと命判+2とか+4とかされるとその方が管理めんどくさくね? という意見もあるが、いままでのような「定番」が無くなったというのはゲームを知らない人達の敷居が下がる意味で良いのでは、とか思う。 

■新しいギミック 
そのほか、いろいろ増えてるなかで面白いのをいくつか列記。
・マーク: 
戦術に新しい可能性を与えているし、「役割」にも合致した良いギミックだと思う。
・パワーと特殊能力: 
ウォーロックの呪いとかレンジャーの獲物、あと前述した無限回パワーなんかはプレイ中ヒマな人を作らない良いギミックだ。命判必要なのが多いのがちょっとアレかな、という気もするけど、どうせじきに新しいサプリで自動命中のとかが出るだろ。【投げやりに】
・技能チャレンジ: 
DMGに載ってるままだとダルい(高技能値のヤツが一人でえんえん振るのが一番効率がいい)だけだけど、時間制限付けるとかちょっといじれば面白い仕掛けにできると思う。


III.3.Xeから4eへ

おなじD&Dて名前を冠していても、3eがAD&D2ndと別ゲームだったように、4eは3.Xeとは全く別のゲームだ。
その変貌があまりにドラスティックで、しかも従来プレイヤーの多くには面白いと感じられる方向性ではなかったがために、現在のような状態になっているのではないかと思う。

実はこのへんの議論は、本国アメリカでも同じように巻き起こっていた。 
4e発売直後にはWotCのオフィシャルな(!)BBSに「Good bye 4e forever」というスレが立てられ「もうこんなゲームやらねえよ!」という旧来ファンの書き込みが大量になされていたりもした。 
そんでそれに逆ギレした某デザイナーが「もういいわけはしない」って題でブログ書いたりとか。 
面白すぎる。

実際、アメリカでも序盤は苦戦していたようだ。 
一時は多くのプレイヤーが離れ、あるいは1,2度プレイした段階で3.5eに戻っていったという話も聞いた。 
しかしLiving FRがはじまった8月からはプレイヤーが増加をはじめ、いまではたくさんの新規プレイヤーを得るに至っているという(*6)。
移行しないという人達も変わらず存在しているものの、多くのTRPGサークルは以前と変わらず繁盛してるとのこと。 Pilglimさんのところだけではもちろんなく、LFRはwiki(http://forgottenrealms.wikia.com/wiki/Living_Forgotten_Realms:Main_Page)や運営のためのいろんなサイト(http://www.livingforgottenrealms.net/ とか)が作られ、掲示板では活発に意見交換がなされている。  

ここからわかることは、WotCの方針が世界やセッションサポートに重点を置いているっぽいこと、つまりはこれまでの「面白いルールやギミックを充実させる」という方向から、「良いセッションをすること」を推進し、サポートする方向に舵を切っているのではないか、ということだ。 
言い換えれば、「ルールでの面白さ」というハードウェア的な面白さを充実させるのではなく、ルールを用いて遊ぶための世界やプレイングの楽しさというソフトウェア的な面白さを充実させることにした、ということなのだろう。
そしてルール面のサポートはサプリメントで、セッション面でのフォローはウェブとRPGAで、というのがいまの進め方なのではないか、という気がする。

面白いセッティングで良質なシナリオ(*9)を供給し、良いセッションをすること。それが、新しい4eに適合した、新しいD&D”独自の”おもしろさを作り出していくのだろう。

そして、逆に言えば、これまでのようにルールを追っかけるだけで楽しめる時代は終わりを告げ、セッション内容でがんばらないといけない時代が来るのかも知れない。


IV.3e系の終焉に思う
D&D3.Xeってのは、俺にとって最高のTRPGだった。


こんなにも優秀なデザイナーが集まって、月産ペースでこんだけルールや設定が集積されたゲームってのは他にないと思うんだ。

クトゥルフ、ルーンクエスト、トラベラー、ワースブレイド……いろんなTRPGを遊んできたが、ここまで入れ込んだゲームは他にない。レゲーばっかりじゃんこの老害とか言うな

だから、わざわざ3.5eの展開を中止して、予定よりも早くやってきた4eがこのていたらくという点に、俺は怒りすら覚えている。



だが一方で、その集積やルールの細密さによって、3.Xeは初心者さんお断りなゲームになっていった。
D&D未経験のプレイヤーさんをゲームに引きずり込もうとDAC-BITなんて活動をやっているときも、「どうすれば初心者にカンタンに遊ばせることができるか」というのが話し合いの主題になっていた。

結果として、PC全員をファイターにした『長い夜』というシナリオが生まれた。

単純なシナリオのわりに展開が広く、PLの工夫が生きやすいためか評判は良かったのだが、いまにして思えば「初心者におもしろさを知ってもらうためにやること・できることを削りこんでやらねばならなかった」、3.Xeを象徴するようなシナリオであったなあ、とも思う。


3.5eは間違いなく面白いゲームだ。
ただし、ルールを理解できる人にとっては


ほりびさんの言葉を借りるならば、そういう『恐竜的進化』を遂げたのが3.5eというゲームである。
そして、そういう進化を遂げた存在であるからこそ、途中参加はおろか、プレイ経験があってもしばらく展開を追うのを休んだだけでついていくことさえ難しいゲームになってしまった(*10)。

新規参入者が生まれない世界は滅ぶだけだ。


だからこそ、4eは3.5eの後継者ではいけなかったのだろう。



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4eがリリースされたころ、いしかわは仲間達と『4eって「カンタンになった」んじゃなく「できることを減らしただけ」で、俺たちがやりたいのは「簡単にできる遊び」じゃなく「面白い遊び」なんじゃねえの?』ってなことを盛んに話し合った。

 カンタンに遊びたいだけならディセントとかタリスマンで事足りるし、戦闘を楽しむのが目的ならDDMのほうが面白いとすら思える−−そりゃそうだ、DDMなら防衛役から制御役まで全ての役割を自分で遊べて、しかも同条件で構築された他のプレイヤーと対戦できるんだから。


「4eならではのおもしろさってなに?」


いしかわにはまだその答えは見つかっていない。

でも、WotCはシステム的なおもしろさではなく、ストーリー的、あるいは活劇的なおもしろさを目指そうとしてるんじゃないかという気がする。

そしてもう一つ、4eのルール自体はシンプルで扱いやすくなっているのは間違いない。それを象徴するのが「斜め移動でもなんでも1マスは1マス」というルールであり、「1R中にできるのは標準+移動+マイナーアクション=全ラウンドアクションとか無くしました」というルールの単純化だろう。
このへんが釈然としない、という人は少なくないものの、慣れてみるとえらいことプレイが楽になったりもする。
これまでの戦術を楽しむような遊び方はできなくなっているとしても、それこそタクティクスオウガやFFT、あるいはMMOのようなライトな感覚で遊ぶにはむしろ適しているのだ。

日本でも、少なくともゲームデイや「初心者の会」、BIT参加者なんかを通しての感触では、これまでD&Dを遊んでこなかった層の人達には「4eは面白い」と好評だったりもする。 
前述したような欠点が気になったという話も聞こえてこない(*12)。

そして米国でもPilgrimさんによれば現在でも10%くらいのコアな人達−−3.Xeを濃く遊んでいたプレイヤー達は4eを遊んでいないそうだ。
彼はこの点を「3.x was very good rules, it was very "adult" atmosphere and feel. 4e is "young" atmosphere. So it may be hard to change for people.(3.X版はとても良いルールで、"adult"な雰囲気と感触がある。4版は"young"な雰囲気だ。だから、4版について行けない人を変えるのは難しいんじゃないかな)」と分析している。
3.Xeと4eの相克を表す言葉としては非常にうまい表現だと思う。
そして彼は言う。「4eは"young"なゲームだが、だからこそパワーに満ちあふれている」と。



結局のところ、どうがんばっても3.Xeは帰ってこない(*11)。

4eは3.Xeとは全く別のゲームだ。
俺を含めた多くのプレイヤーが「これはD&Dじゃない」と断言してしまうほどに。

でも、変わりすぎたのを見た俺が「こんなのD&Dじゃねえよ!」って言ってみても、作ってるWotCが「これが新しいD&Dです」って言ってる以上、4eはD&Dである、それは間違いないことだ。


Show must go on.
すでにステージは始まっているのだ。

だったら俺たちにできる選択は二つ。


遊ぶ? 遊ばない?


答えは…… 
   俺が言うまでもないよな?  
      【ショーン・オヘアっ顔で】



ただ、ひとつ心配なのは、日本では、アメリカよりも移行しない、あるいは4eを選ばないプレイヤーが多くなる可能性がある、という点だ。
システム的な楽しみが無くなると、世界設定とかシナリオとか、そういうソフト面で人を引きつける必要がある。
アメリカではこれはRPGAを中心としたコミュニティがあり、LFRやD&D insiderが豊富なサポートを提供することで行われ、実際今のところうまく回っているようだ。
しかし、これらは当然英語でなされており、多くの日本語プレイヤーには届かない。

3.Xe時代でも、3eのころはDragon誌やウェブ記事をどんどん取り込んでいく風土がプレイヤー間にも濃かったが、3.5eになったころからそうした遊び方は一部のコアなプレイヤーによるマニアックな楽しみという感じになっていた。
日本語版ルールが豊富に発売されるようになって「そこまで追加しなくても」、そして「全員が理解できないルール使うのはどうよ?」という空気が生まれたことがその原因かと思う。

しかし、アメリカでの4eの隆盛がLFRのような良質のプレイサポートによってもたらされているのだとしたら、それらがない日本では、移行がなかなか進まない、あるいは別の国産ゲームに移行していく可能性も十分に考えられるだろう。
このへん、WotCやHJに大いに期待する−−というか彼らが力入れないといろいろまずいことになる部分ではないだろうか。


そしてもう一点、「ソフトウェア的な楽しみ」は、実はルールを選ばない場合が多い。
「面白い世界設定で遊ぶ」というだけなら、実はD&Dである必要はなく、とりわけ日本ではより安価で、4eと同じようなことのできる国産ゲームが複数存在している。
これまではエベロンやFRなどのように、「世界をルールで表現する」ことで3.Xeならではの面白さを醸成することに成功していた。ルールと世界の様々な出来事を結びつけ、ギミックとして用いることで互いの楽しさを増幅することに成功していた。

では、4eでは? 
……結果は、まだ出ていない。

それをうまくできるか否か。それが今後の成功の鍵を握っているような気がする。

*1:実はガープスとかにはあるんだけどね。まあでも、アレはパク(ry
*2:や、3.5eでもファイターとバーバは変わんなくね? っていやそうなんだけどさ。まあ、元はといえば派生クラスだからねえ>バーバ
*3:デザインコンセプトに「いきなりPCが死んじゃうのを減らす方向で」といったことが書かれていたのでこれは意図的だろうと思うんだが、なにごともやり過ぎは良くないと思うんだ。いきすぎたしつけは子供の人格を壊します、ってアレ。
*4:これは推論でしかないんだけど、現在のデザイナーチームの上層部に「人の意見が聞けない」人が混ざってんじゃねーの? とか思ってます。大量のデザイナーの離脱とリストラ、ルールコンセプトの迷走、販売方針の突然の大幅な変更、webでプレイできるのが売りだったのに開発は全然進んでない、etc.etc... いや知らんけど。
*5:や、じつはここも嫌いなところなんだけどな。hp増やしたのにダメージ増やさなきゃ、そら戦闘が伸びるばっかりになるって。このへんも、ホントにテストプレイで誰も何も思わなかったんだろか?
*6:アメリカ在住の濃ゆいD&Dプレイヤー Pilglimさんから聞きました。彼は日本に4年ほど滞在した後、LAに戻ってリビングFRやGH,RPGAなんかでプレイしてるそうです。
*7:まあ、時間の問題だろうとは思うけどね【ジェナシの種族パワーとか見ながら】
*9:考えてみたら現状で日本語で出てるオフィシャルなシナリオって「シャドウフェル」だけで、こんな(以下危ないので略)なシナリオを基準に考えてたら、そらアレなことになるよなー。とか危険なことを思ってみたり。
*10:実のところ、他のプレイグループなんざ気にせず自分で好きなように遊べよとか思わないではないですが。コアだけだって充分遊べるってのな。俺だって10レベルで〈視認〉達成値100越えちゃうとかAC50越えちゃうような人と同レベルでは遊べないッスよ(笑)。
*11:といいながら、老害な俺はPathfinderに超期待してたりもするんですが(笑)。でもいいじゃん。4eやるからってPFやるなとかPF流行ったら4e無くなるとか、そういう話じゃないっしょ?
*12:まあ「初対面の相手にルール談義ふっかけてくる初心者」ってのもなかなかいないだろうけど(笑)。